JP2005096257A - 伝動ベルト製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多品種少量生産に適した二軸成形法を採りながら、1軸成形法の有する高精度で安定した品質の良い伝動ベルトが作成できる伝動ベルト製造方法を提供する。
【解決手段】所定の間隔をあけて互いに平行に配置された一対の円筒ロール1,2と、一対の円筒ロール1,2間に心線3をスパイラル状に順次巻回する心線巻回工程aと、一対の円筒ロール1,2間に巻回された心線3と円筒ロール1,2との間に未加硫の第1ゴムシートを供給する第1シート供給工程bと、円筒ロール1,2の外側から円筒ロール1,2に押圧付勢する押えローラ17と一対の円筒ロール1,2間に巻回された心線3との間に未加硫の第2ゴムシートを複数回個別に又は連続して巻回供給する第2シート供給工程cと、を用いて伝動ベルトを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、伝動ベルト製造方法に係り、詳しくは、製造された伝動ベルトの品質がより安定するとか、精度が向上する、或いは効率良く製造できるといった利点の得られる技術に関するものである。
従来、伝動ベルト製造方法として、一方が駆動回転される互いに平行な一対の円筒ロールを軸間距離が調節可能に配備し、これら一対の円筒ロールに未加硫のゴムシートと心線とを巻回して伝動ベルト体を作成する二軸成形法が知られている。これによれば、真円形状の単一の円筒ロールに巻回してベルト体を形成させる一軸成形法に比べて、一対の円筒ロールの軸間距離を調節することにより、周長の異なる伝動ベルトに容易に対応できる利点がある。このような伝動ベルト製造装置としては、例えば、特許第3195533号公報にて示された伝動ベルト成形装置が挙げられる。
特許3195533号公報
二軸成形法では、二軸間で長円軌道を成形面とすることから、シート体、心線を巻き付ける積層成形においては、一軸成形法に比べて、積層精度や積層工程の合理化の点では難点がある。又、一軸成形法では、周長が円筒ロール外径で固定されており、形成されたベルト体の周長寸法が安定した高精度なものにできるが、軸間距離が変動し得る二軸成形法ではその点でも改善の余地が残されているものである。
本発明の目的は、この製造方法を見直すことにより、多品種少量生産に適した二軸成形法を採りながら、1軸成形法の有する高精度で安定した品質の良い伝動ベルトが作成できる伝動ベルト製造方法を提供することにある。
請求項1の方法は、伝動ベルト製造方法において、所定の間隔をあけて互いに平行に配置された一対の円筒ロール間に、心線をスパイラル状に巻回する心線巻回工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線と前記円筒ロールとの間に第1シート体を供給する第1シート供給工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線の外周側に複数の厚みに分割した第2シート体を前記複数回数だけ巻回供給する第2シート供給工程とを有していることを特徴とする。
請求項1の方法によれば、先ず始めに一対の円筒ロールに直に心線をスパイラル状に巻回するので、例えば、一対の円筒ロール間に巻回されているゴムシート上に心線を巻回させる方法に比べて、円筒ロールの軸方向で隣り合う心線どうしの巻径を正しく一致させることが可能になり、より規則正しい整列状態で心線を巻回して行くことができる。
そして、心線が規則正しくスパイラル状に巻回形成された後に、その内径側及び外径側にシート体を供給することにより、心線がサンドイッチされたベルト体(ベルトスリーブ)を作成するものであるから、それら第1及び第2のシート体供給工程が為されても心線の良好な仕上がり具合が維持されて、従来よりも品質が安定するとか、引張り強さが向上するといった利点を有した伝動ベルトの実現に寄与できるようになる。
そして、第1シート供給工程が第2シート供給工程に先立って行なわれるものであれば、これらの工程順序が逆である場合に比べて、既に形成されたスパイラル心線体と円筒ローラとの間に圧入的に挿入されることになる第1シート体に作用する圧力を、程よい値に制御することができる。これは、第2シート供給工程が第1シート供給工程に先立って行なわれる場合では、スパイラル心線体とベルト状に形成された第2シート体との双方による比較的強い圧力が作用するに対して、第1シート供給工程が第2シート供給工程に先立って行なわれる場合では、スパイラル心線体による圧力だけが作用するので、第1シート体が円筒ロールと心線とで挟持される圧力の調整設定が行い易いからである。
更に、円筒ロール間に第2シート体を巻回する第2シート供給工程は、第2シート体が形成する所定の厚みが少なくとも2回以上の巻回工程によって達成される複数の厚みに分割されているので、一回で巻回する第2シート体の厚みは、巻回回数に逆比例して薄くなる。このように第2シート体が薄くなることによって、巻回時の円筒ロールへの巻き付け抵抗が小となり、先に巻回されたスパイラル心線体と第1シート体の積層体に対し、第2シート体を良好且つ容易に接着することができる。
また、請求項2の方法は、伝動ベルト製造方法において、所定の間隔をあけて互いに平行に配置された一対の円筒ロール間に、心線をスパイラル状に巻回する心線巻回工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線と前記円筒ロールとの間に第1シート体を供給する第1シート供給工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線の外周側に前記一対の円筒ロール間に巻回された心線の外周側に複数の厚みに分割した第2シート体を前記複数回数だけ連続して巻回供給する第2シート供給工程とを有していることを特徴とする。
請求項2の方法によれば、先ず始めに一対の円筒ロールに直に心線をスパイラル状に巻回するので、例えば、一対の円筒ロール間に巻回されているゴムシート上に心線を巻回させる方法に比べて、円筒ロールの軸方向で隣り合う心線どうしの巻径を正しく一致させることが可能になり、より規則正しい整列状態で心線を巻回して行くことができる。
そして、心線が規則正しくスパイラル状に巻回形成された後に、その内径側及び外径側にシート体を供給することにより、心線がサンドイッチされたベルト体を作成するものであるから、それら第1及び第2のシート体供給工程が為されても心線の良好な仕上がり具合が維持されて、従来よりも品質が安定するとか、引張り強さが向上するといった利点を有した伝動ベルトの実現に寄与できるようになる。
そして、第1シート供給工程が第2シート供給工程に先立って行なわれるものであれば、これらの工程順序が逆である場合に比べて、既に形成されたスパイラル心線体と円筒ローラとの間に圧入的に挿入されることになる第1シート体に作用する圧力を、程よい値に制御することができる。
これは、第2シート供給工程が第1シート供給工程に先立って行なわれる場合では、スパイラル心線体とベルト状に形成された第2シート体との双方による比較的強い圧力が作用するに対して、第1シート供給工程が第2シート供給工程に先立って行なわれる場合では、スパイラル心線体による圧力だけが作用するので、第1シート体が円筒ロールと心線とで挟持される圧力の調整設定が行い易いからである。
更に、円筒ロール間に第2シート体を巻回する第2シート供給工程は、第2シート体が形成する所定の厚みが少なくとも2回以上の複数回の巻回工程によって達成される複数の厚みに等分割されているので、一回で巻回する第2シート体の厚みは、巻回回数に逆比例して薄くなる。このように第2シート体が薄くなることによって、巻回時の円筒ロールへの巻き付け抵抗が小となり、先に巻回されたスパイラル心線体と第1シート体の積層体に対し、第2シート体を良好且つ容易に接着することができる。
しかも、この請求項2の方法は、供給する第2シート体の厚みが形成すべき所定の厚みの少なくとも1/N(Nは2以上の整数)の厚みであるから、少なくとも2回転以上の連続する巻回工程によって円筒ロール間に第2シート体を巻き付けることになるから、巻回工程は連続工程となり、その手間は、所定厚みの分厚い第2シートを1回のみ巻き付ける手間と変わらない。
請求項1に係る伝動ベルト製造方法によれば、上記第2シート供給工程を少なくとも2回以上、複数回の巻回工程で構成することを特徴とするものであるから、前工程としての第2シート体の厚みは所定厚みの少なくとも2分割以上の厚みに薄く形成される。これによって、一対の円筒ロールに巻き付けられる第2シート体の厚みは、1回で所定厚みに巻き付ける方法に比べて、相対的に薄いシート体を巻回することになる。
1回の巻回工程で円筒ロールに巻き付けられる第2シート体の厚みは、この厚みを変えることによって以下の効果が発生する。すなわち、第2シート体を所定の曲率(円筒の半径に相当)にスパイラル心線体の外側から巻き付けて、スパイラル心線体を、第1シートとの間にサンドイッチするベルト体の成形工程において、サンドイッチ状ベルト体を構成するシート間を強固に接着する必要がある。この接着に問題があると、円筒ロールから直線走行部或いは直線送後部から円筒ロールへ移動時には、屈曲による曲げ応力が第2シート体に働くため、前記ベルト体はシート間で剥離し、以降のベルトの製造を不可能にする。
この第2シート体の厚みを薄くすることによって、このシート体を曲がり梁とする横断面の中立軸回りの断面2次モーメント(I)は、シート幅を(b)、シート厚みを(t)とすると、I=(b×t)/12となる。ここで、シート体の弾性係数を(E)、一対の円筒ロールの半径を(r)とすると、前記シート体を円筒ロールの曲率(1/r)に巻き付けるために必要な曲げ荷重は以下の通りとなる。
すなわち、この曲げ荷重を片持梁の先端集中荷重(P)で代用したときには、梁先端の撓みを(ωmax)、先端までの梁長さを(l)とすると、P=ωmax×(3×E×I)/(l)で表せる。ここで、撓み(ωmax)、弾性係数(E)、梁長さ(l)を一定と考えると、前記曲げ荷重(P)は、P∝I(=(b×t)/12)となる。
上式から、曲げ荷重は、他の条件が同じであれば、シート厚みの3乗に比例することがわかる。故、シート厚みを例えば2分割し、代わりに2回の巻回工程によってサンドイッチ状ベルト体を製造する方法を用いれば、スパイラル心線体の緊張力に起因する曲げ荷重に対し、シート厚みが1/2となるので曲げ抵抗は1/8となる。この曲げ抵抗が大幅に低減することによって、スパイラル心線体を含む第1シート体との接着は強固に、且つ、良好に維持される。
同様に、請求項2に係る伝動ベルト製造方法によれば、その特徴は、上記第2シート供給工程を少なくとも2回以上の複数回で巻回工程を構成することであり、且つ連続して複数回の巻回工程を行うことを特徴とするものであるから、前工程としての第2シート体の厚みは、所定厚みの少なくとも2等分割以上の連続したシート厚みに薄く形成される。
この第2シート体の厚みは、連続して行う巻回回数に逆比例して薄くなる。このように第2シート体が薄くなることによって、円筒ロールへの巻き付け抵抗が小となり、スパイラル心線体を含む第1シート体に対し、第2シート体を強固に接着し、且つ良好にこの接着を維持することができる。
しかも、この請求項2の方法は、供給する第2シート体の厚みが形成すべき所定の厚みの少なくとも1/N(Nは2以上の整数)の厚みであるから、N回の連続巻回工程によって円筒ロール間に第2シート体を巻き付けることになるから、巻回工程は連続工程となり、その手間は、所定厚みの分厚い第2シートを1回のみ巻き付ける手間と変わらない。
これによって、強固な接着性能を有するベルトスリーブ(第1シート体+スパイラル心線体+第2シート体)の製造が可能となり、又、寸法精度が良く回転変動の無い円筒ロールの外周にダイレクトに心線を巻くことが可能になることから、従来よりも品質が安定し、且つ、引張り強さが向上するといった利点が得られて、多品種少量生産に適した二軸成形法を採りながら、1軸成形法の有する高精度で安定した品質の良い伝動ベルトの製造が可能になる。
又、前記円筒ロールがフラットであるため、円筒ロールに掛けられたままベルトスリーブの幅方向のカットが可能となる。そして、この切断工程を用いれば、伝動ベルトを所定幅の小割りベルトに容易に切断できるから、優れた生産効率を発揮することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明に係る伝動ベルト製造装置Aの主要部を示す斜視図が示されている。この伝動ベルト製造装置Aは、例えば、伝動ベルトの一例であるラップドVベルトB(図8参照)を製造するために用いられる。
図1に示すように、本発明に係る伝動ベルト製造装置Aは、一対のロール1,2間に心線3を巻回する心線巻回工程a、一対のロール1,2間に上芯ゴムシート4を巻回する第1シート供給工程b(図5に示す)、一対のロール1,2間にV芯ゴムベルト5を巻回する第2シート供給工程c(図6に示す)、副円筒ロール2を主円筒ロール1に対して遠近移動及び停止維持自在な調節機構d、一対のロール1,2間にて形成されたベルト体(未加硫ベルトスリーブ)veを小幅に切断する切断工程g(図7,図8に示す)、及びエッジガイド手段h(図7に示す)等を備えている。
主円筒ロール1及び副円筒ロール2は互いに同径、同長さの回転自在な円筒体であり、夫々、第1及び第2主電動モータM1,M2によって駆動回転自在である。これら両主電動モータM1,M2は、主円筒ロール1及び副円筒ロール2を、互いに同方向(矢印で示す方向)に、かつ、互いに同回転速度で駆動回転させる。
図1に示すように、心線巻き付け装置aは、一対の円筒ロール1,2と、円筒ロール1,2と平行に配置され、心線3が乗り上げ可能な溝を有するガイドローラ101,102,103,104と、円筒ロール1,2間に一周に巻掛けられ、心線3と略同径のモノフィラメントからなるリードロープ120と、このリードロープ120に接続された心線3を一方の円筒ロール1上の基準位置であって、この円筒ロール1の軸方向後方に所定距離Lだけ離間した基準位置に供給するガイドプーリ11と、を備えている。
円筒ロール1,2の間に配設され、所定ピッチP間隔の溝111(図2に示す)を有するガイドローラ101,102,103,104は、心線3を円筒ロール1,2の軸方向に所定ピッチで整列させ、先頭のリードロープ120が溝111を乗り越えて軸方向にピッチ送される機能を有する。ガイドローラ101は円筒ロール1に対する心線3の入り側に配設され、ガイドローラ102は円筒ロール2に対する心線3の入り側に配設されている。ガイドローラ103は円筒ロール1に対する心線3の出側に配設され、ガイドローラ104は円筒ロール2に対する心線3の出側に配設されている。
ガイドローラ101,102,103,104の表面は、図2に示すように、斜面がV字状に対向するV溝111が所定ピッチPで平行に配設されたものになっている。この所定ピッチPは、心線3の直径(d)の1.1〜1.3倍となる範囲である。V溝111は、心線3を比較的密に整列させる。このV溝111の頂部の角はアール状に形成されている。V溝111の底面もアール状に形成されている。また、V溝111の対向する斜面のなす角度βは好ましくは30〜50°の鋭角範囲である。V溝111の斜面で心線3を乗り上げ状態で保持するために、角度βは35°又は45°が好ましく、特に35°が好ましい。
V溝111の大きさは、心線3が外方に露出するような大きさとなっている。心線3の中心と、V溝111の頂部との距離αは、心線3の直径(d)の±15%以内とすることが好ましい。特に、距離αがゼロを超え、心線3の直径(d)の+15%以内となっており、心線3の中心がV溝111の頂部より浮き上がった状態であることが好ましい。
以上のようなV溝111とすることにより、リードロープ120の特にジョイント121の部分がV溝111から殆どはみ出る状態となる。このジョイント121を起点としてリードロープ120がV溝111を乗り越える。また、心線3はV溝111により確実に案内される。
図3に示すように、ガイドローラ101,102,103,104は、円筒ロール1,2の入り側と出側に接近して設けられているとともに、心線3を押し上げ又は押し下げるような位置に設けられている。心線3の押し上げ又は押し下げの程度(γ)は、心線3の直径(d)の1.5〜3.5倍程度が好ましい。
このγが大きすぎると、リードロープ120がV溝111を乗り越えにくくなり、このγが小さすぎると、リードロープ120がV溝111のピッチセンターでの保持が弱くなる。このガイドローラ101,102,103,104は、円筒ロール1,2と平行な固定位置において、回転自在に保持されている。
図4に示すように、リードロープ120は、円筒ロール1,2の軸方向の巻き始めに相当する位置であって、円筒ロール1,2の間に、一周に巻掛けられ、ジョイント121で接続される。このジョイント121は、リードロープ120の端同士を突き合わせ又は引き揃えて、更に心線3の端を沿わせて接続したものである。
尚、リードロープ120の端同士の突き合わせ接続部分又は引き揃え接続部分と、心線3の並設接続部分とは別にしてもよい。また、これら接続に使用されるジョイント121には、鞘管を押しつぶす圧着端子を用いることが好ましい。リードロープ120は、心線3と略同径のモノフィラメントが用いられる。モノフィラメントは、断面の全体が一本の線となっているものである。モノフィラメントは、撚り線のように、張力が掛かっても回転することがない。
また、図1に示すように、このリードロープ120に接続される心線3は、PETロープ又はアラミドロープのような撚り線であって、ガイドプーリ11を経て円筒ロール1,2の間に供給される。ガイドプーリ11は、図示しない心線ロールから繰り出される心線コード3を、一方の円筒ロール1への押圧又は円筒ロール1に接近した基準位置であって、リードロープ120の巻掛け位置から所定距離Lだけ離間した基準位置に供給するものである。
この所定距離Lは、心線3の直径(d)に対して20倍以上、70倍以内であることが好ましい。ガイドプーリ11は、円筒ロール1に向かって揺動自在な揺動アーム16の先端に軸支されている。揺動アーム16は移動台10上の支点pに枢支されている。
図1において、ガイドプーリ11は、第1円筒ロール1の軸方向の所定位置に設置される。この所定位置への正確な設置のために、ガイドプーリ11は円筒ロール1の軸方向に往復移動自在に設けられている。この往復移動自在機構は、一対のガイドレール12,12と、それらの間に配されたネジ軸13及びその第1駆動モータ14による第1ネジ送り機構15とにより、枠体9に対してX軸方向に移動台10を往復移動自在に駆動することで構成されている。
この往復移動機構により、ガイドプーリ11は、円筒ロール1の軸方向に沿って制御されたスライド移動が可能である。このガイドプーリ11を円筒ロール1の外周の所定位置に接近させた状態や押圧付勢された状態にする。繰り出された心線コード3は、ガイドプーリ11を経て、回転する円筒ロール1と円筒ロール2との間に供給される。
尚、一対の円筒ロール1,2の回転は、互いに同方向(矢印で示す方向)に、且つ、互いに同回転速度で駆動される。これにより、心線コード3が一対の円筒ロール1,2の間を一周するたびに、リードロープ120を、所定ピッチP間隔だけ円筒ロール1,2の軸方向に押し出して移動させ、心線コード3を円筒ロール1,2の軸方向の一端側から他端側へと所定ピッチPで整列させていく。
図5において、第1シート供給工程bは、一対のロール1,2間に巻回された心線3と主円筒ロール1との間に、未加硫の上芯ゴムシート(第1シート体の一例)4を供給するものである。図7(イ)において、第1シート供給工程bは、上芯ゴムシートロール18と、これから繰り出された上芯ゴムシート4を、主円筒ロール1の下端部に案内すべく一対のロール1,2間に45度傾けて配置された回転自在な傾斜供給ローラ19とから構成されている。
即ち、上芯ゴムシートロール18から繰り出された上芯ゴムシート4を、傾斜供給ローラ19によって90度向きを変え、既に形成されている側面視長円径で帯状の心線3の下側部分3aにシート先端部4aを載せ付けると、回転駆動されている心線3に引きずられて上芯ゴムシート4が主円筒ロール1方向に移動する。すると、図7(ロ)、(ハ)に示すように、主円筒ロール1の底部と心線下側部分3aとの間にシート先端部4aが挟持された状態で引き込まれ、それによって心線3の内側にて主円筒ロール1と副円筒ロール2間に巻回されるのである。
ところで、上芯ゴムシート4は、予め心線3の内側にて主円筒ロール1と副円筒ロール2間に丁度1回巻回される長さに切断されており、1回転すれば両シート端部4a,4aどうしが当接するように設定されている。尚、傾斜供給ローラ19を、電動モータ等を用いて駆動回転型のものに構成しても良い。
図6に示す第2シート供給工程cは、内側に上芯ゴムシート4(第1シート体の一例)が巻回された状態の心線3の外周側に、未加硫のV芯ゴムシート(第2シート体の一例)5を供給するものである。図6(イ)に示されるように、V芯ゴムシートロール20と、主円筒ロール1の径方向で外方から主円筒ロール1に押圧付勢させる押えローラ17とから構成されている。
図1に示す押えローラ17は、枠体9の上部に支持された下向きの電動シリンダ21の伸縮ロッド21a先端に回転自在に枢支されており、電動シリンダ21の伸縮作動によって押えローラ17の上下方向位置、及び押圧力を自在に設定できるようになっている。作用としては、図6に示すV芯ゴムシートロール20から繰り出されたV芯ゴムシート5の先端部5aを、主円筒ロール1に巻回されている部分の心線3と押えローラ17との間に供給することにより、それら両者3,17間に引き込まれ、それによって心線3の外側にて主円筒ロール1と副円筒ロール2間に巻回されるのである。
ところで、V芯ゴムシート5は、予め心線3の外側にて主円筒ロール1と副円筒ロール2間に丁度1回巻回される長さに切断されており、1回転すれば両先端部5a,5a同士が当接するように設定されている。但し、本請求項1に係る発明は、所定の第2シート体の厚みをこの巻回工程1回で形成するのではなく、予め所定の第2シート体の厚みを少なくとも2分割以上の厚みに形成した複数のシート体をV芯ゴムシートロール20から同じく複数回に渡って供給し、各回転毎に両先端部5a,5a同士を当接し、最終的に所定の厚みを実現するように設定されている。
同様に、本請求項2に係る発明は、所定の第2シート体の厚みをこの巻回工程1回で形成するのではなく、予め所定の第2シート体の厚みを少なくとも1/N(Nは2以上の整数)の厚みに形成した連続シート体をV芯ゴムシートロール20から、所定の回数分に相当する長さの連続シート体を連続して供給する方法であり、最後に両先端部5a,5a同士を然るべく当接することによって、最終的に所定の厚みを実現するように設定されている。
また、押えローラ17を主円筒ロール1に対して遠近移動させる手段としては、電動シリンダ21の他、油圧やエアによる流体圧シリンダ、或いは、揺動によって遠近できる機構等種々のものが可能である。
図1において、調節機構dは、副円筒ロール2を回転自在に支承し、かつ、副円筒ロール2を回転駆動する第2主電動モータM2を支持する移動塔22と、この移動塔22をY軸方向にスライド移動自在に支持させるレール機構23と、ネジ軸24回転駆動用の第2駆動モータ25とから構成されている。
即ち、第2駆動モータ25の正逆駆動によって、副円筒ロール2を第2主電動モータM2ごとY軸方向に移動及び停止維持自在であり、主円筒ロール1と副円筒ロール2との軸間距離wbを、調節することができる。従って、調節機構dを作動させることで、製造しようとする伝動ベルトBの周長に適合するよう、副円筒ロール2をY軸方向に移動調節することができる。
図7に示すように、一対のロール1,2間にて形成されたベルト体veを小幅に切断する切断工程gは、図1及び図7に示すように、回転刃29と、これをベルト伝動によって駆動回転させる第3駆動モータ30と、これら回転刃29及び第3駆動モータ30を載置支持する中間台31と、この中間台31を移動台10に対してY軸方向に駆動スライド移動させる第2ネジ送り機構32とから構成されている。
第2ネジ送り機構32は、一対のガイドレール33,33と、それらの間にてY軸方向に延びるネジ軸34と、ネジ軸34を駆動回転させる第4駆動モータ35とから構成されており、第4駆動モータ35の正逆駆動により、中間台31、すなわち、切断工程gを移動台10に対してY軸方向に移動させることができる。これにより、切断工程gをその不使用時には主円筒ロール1から十分遠ざかった退避位置に移動させておき、必要時には主円筒ロール1に近づく方向に移動させるのである。
エッジガイド手段hは、図7に示すように、紙面上下方向を軸として自在に回転する追従ローラ36を、主円筒ロール1の一端側で、かつ、主円筒ロール1と副円筒ロール2との間に配置して構成されている。追従ローラ36は、図示のX軸方向に移動調節及び固定が自在に支持されており、ベルト体veの固定側端のX軸方向での位置を定める機能を発揮するものである。
次に、本発明に係る製造方法の一例として伝動ベルト製造装置AによるラップドVベルトBの製造方法について説明する。
(1)調節機構dを作動させて副円筒ロール2の位置を動かし、主円筒ロール1との軸間距離wbを所望の値に設定する軸間距離設定工程を行う。
(2)心線巻回工程aを用いて、心線3を主円筒ロール1と副円筒ロール2との間にスパイラル状に巻回させる(図1、図4参照)。この心線巻回工程aは、準備工程として、円筒ロール1,2の間の一周にリードロープ120が巻掛けられ、このリードロープ120に心線コード3がジョイント121により接続される。すなわち、円筒ロール1,2の間であって軸方向の一端側に、リードロープ120が巻掛けられ、ジョイント121で固定される。
このリードロープ120には心線コード3と略同径のモノフィラメントが使用される。このリードロープ120の適所に、ジョイント121により撚り線式の心線コード3の先端が接続される。図示例では、リードロープ120の接続と心線コード3との接続が同じ場所であるが、別々にすることもできる。
ガイドプーリ11は、リードロープ120に接続された心線コード3を案内するように、円筒ロール1の表面に押圧状態とされる。このガイドプーリ11の位置は、リードロープ120から所定間隔Lだけ離間した基準位置とされる。一方、ガイドローラ101,102,103,104のV溝111がリードロープ120とともに巻き掛けられる心線コード3を所定ピッチPで案内する。
次に、円筒ロール1,2が回転駆動される。リードロープ120が回転走行するとともに、ガイドプーリ11から心線コード3が繰り出される。このとき、心線コード3に張力が作用し、心線コード3は回転しようとするが、巻き始めに所定距離Lだけ離間した位置にあるガイドプーリ11により、心線コード3がリードロープ120に巻き付くことなく、整列状態を維持する。つまり、心線コード3を螺旋状に巻き付けることの最初に、巻き付け前端部分の整列状態を確保すると、後続の心線コード3は順次所定ピッチPで巻き付けられていく。
巻き始めの心線コード3は、リードロープ120でせき止められている。その結果、リードロープ120の手前に心線コード3が順序よく並ぶ。心線コード3が数本巻となると、心線コード3がリードロープ120を円筒ロール1,2の軸方向に押し出す作用が働く。この押し出し力が、ガイドローラ101,102,103,104のV溝111によるリードロープ120の保持力を超えると、リードロープ120がV溝111を乗り越えてピッチ送りされる。一方、心線コード3は、スパイラル状に、順次、V溝111に順番に案内されていく。以上の繰り返しにより、心線コード3の軸方向への整列状態が確保される。
このように、円筒ロール1,2間に最初に巻き掛けられるリードロープ120は、その配列状態がガイドローラ101,102,103,104のV溝111に乗り越え可能に案内されることにより、心線コード3の整列状態が維持される。そして、整列状態の心線コード3が、円筒ロール1,2の軸方向の一端側から他端側へと帯状に広がっていくことになる。
(3)第1シート供給工程bを用いて、上芯ゴムシート4を帯状の心線3と主円筒ロール1との間に引き込ませて、主円筒ロール1と副円筒ロール2との間に上芯ゴムシート4を巻回させる(図5参照)。上芯ゴムシート4を1周させ、ベベルカットし突き合わせ重ねてジョイントする。このようなジョイントのやり方は公知に付き、図示説明は省略する。
(4)第2シート供給工程cを用いて、V芯ゴムシート5を帯状の心線3の外周側に重なるように、主円筒ロール1と副円筒ロール2との間に巻回させる(図6に示す)。
ここで、第2シート供給工程cは、所定の第2シート体の厚みをこの巻回工程1回で形成するのではなく、予め所定の第2シート体の厚みを少なくとも2分割以上の厚みに形成した複数の切尺状の第2シート体を用意し、この切尺状の第2シート体をV芯ゴムシートロール20から、順次、所定の回数に渡って供給し、その両先端部5a、5a同士を一回毎に当接する、或いは所定の複数回分の長さに相当する連続したシート体を主円筒ロール1と副円筒ロール2との間に重ねて連続巻回し、最後に一方の先端部5aを然るべく当接する。この第2シート供給工程cの終了に伴い、上芯ゴムシート4と心線3とV芯ゴムシート5との三層からなる所定幅の未加硫のベルト体ve(未加硫ベルトスリーブ)が作成される。
(5)切断工程gを用いて、幅広のベルト体veをX軸方向の端から順次切断してゆき、所定幅で複数の小割りベルトvcを作成する(図7参照)。分割された複数の小割りベルトvcは、一対のロール1,2から掛け外されて、仕掛かり台車に懸架され、次工程のスカイブ工程が行われる作業場へと搬出される。
(6)図8に示すように、スカイブ工程では、内外が反転された小割りベルトvcにおけるV芯ゴムシート5部位が、V形断面にカットされる。そして、カバリング工程でゴム付きカバー帆布Gが被覆される。これらの工程を経てから加硫工程に移行され、ラップドVベルトが完成するのである。尚、カバリング工程とは、V形断面カットされた未加硫の小割りベルトvcに、ゴム付きカバー帆布Gをカバーする工程のことである。又、加硫工程には、ポット加硫やプレス加硫等がある。
また、上記実施例1を実証するために下記のゴムシートを用いて試験した。すなわち、第1シート供給工程bには、厚さ2.0mmの上芯ゴムシート4を用い、本発明方法がその特徴とする第2シート供給工程cには、比較例として所定厚みを12mmとするV芯ゴムシート5と、実施例として所定厚み12mmを4分割した厚さ3.0mmのV芯ゴムシート5を用いた。
結果は、12.0mmのV芯ゴムシート5を用いたものは、界面剥離を惹起し、厚さ3.0mmのV芯ゴムシート5を4枚重ねたものは、切尺状のゴムシート体、及び連続ゴムシート体のいずれのものも良好な接着が得られた。尚、このときのスパイラル状心線ロープ3の心線径は2.0mm、心線スピニングピッチは2.3mm、ロープ張力は15Nであった。
本発明による伝動ベルト製造方法によって製造される伝動ベルトとしては、ローエッジベルト、リブドベルト、平ベルト等、種々のものが可能である。
伝動ベルト製造装置の主要部を示す斜視図である ガイドローラの溝の断面を示す図である。 ガイドローラの配設状態を示す側面図である。 心線コードの巻き付け状態を示す側面図である。 (イ)は第1シート供給工程を示す平面図、(ロ)、(ハ)は上芯ゴムシートが主円筒ロールと心線との間に引き込まれる作用図である 第2シート供給工程を示し、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である ベルト分断工程を示す平面図である 小割りベルトの仕上げ工程を示す作用図である。
符号の説明
1、2 円筒ロール
3 心線
4 第1シート体
5 第2シート体
8 駆動機構
11 ガイドプーリ
101、102、103、104 ガイドローラ
111 V溝
120 リードロープ
121 ジョイント
17 押えローラ
19 傾斜供給ローラ
a 心線巻回工程
b 第1シート供給工程
c 第2シート供給工程
d 調節機構
g 切断工程
h エッジガイド手段
ve ベルト体
vc 小割りベルト

Claims (2)

  1. 所定の間隔をあけて互いに平行に配置された一対の円筒ロール間に、心線をスパイラル状に巻回する心線巻回工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線と前記円筒ロールとの間に第1シート体を供給する第1シート供給工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線の外周側に複数の厚みに分割した第2シート体を前記複数回数だけ巻回供給する第2シート供給工程とを有している伝動ベルト製造方法。
  2. 所定の間隔をあけて互いに平行に配置された一対の円筒ロール間に、心線をスパイラル状に巻回する心線巻回工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線と前記円筒ロールとの間に第1シート体を供給する第1シート供給工程と、前記一対の円筒ロール間に巻回された心線の外周側に複数の厚みに分割した第2シート体を前記複数回数だけ連続して巻回供給する第2シート供給工程とを有している伝動ベルト製造方法。
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