本発明は、浴室の天井に形成された開口部に取り付けられる浴室空調装置において、装置本体に対して着脱可能に設けられるフィルタ等の板状部材の本体部と取手部との間の部分に水滴(結露水)を落下させるための形状部分を設けることにより、板状部材の着脱のし易さを確保しながら、板状部材に付着した水滴が取手部を伝って浴室内に落下することを防止しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
以下に説明する本発明の実施の形態では、浴室空調装置の適用例として、浴室の天井に形成された開口部に取り付けられる浴室乾燥装置を例にとって説明する。ただし、本発明に係る浴室空調装置は、浴室の天井に設置される空調装置であれば特に限定されるものではなく、例えば、換気機能、乾燥機能、暖房機能、冷房機能等の少なくともいずれかの機能を有する空調装置等であってもよい。
図1から図3に示すように、本実施形態の浴室乾燥装置1は、浴室の天井2に形成された開口部(以下「天井開口部」とする。)3に取り付けられる。天井2は、いずれも水平な上面(以下「天井上面」とする。)2aおよび下面(以下「天井下面」とする。)2bを形成する水平な板状部材により構成されている。天井開口部3は、天井2をその板面に対して垂直方向に貫通する矩形状の開口を形成する部分である。天井開口部3は、矩形状の開口を形成する面として、天井2の板面に対して垂直な内側面3a,3bを有する。天井開口部3の開口形状である矩形状の短辺をなす内側面を内側面3aとし、長辺をなす内側面を内側面3bとする。
本実施形態の浴室乾燥装置1は、装置本体4と、装置本体4に対する着脱が可能なフィルタ5と、装置本体4の下側に取り付けられる表面パネル6とを備える。浴室乾燥装置1は、装置本体4の全体を天井下面2bよりも上方に位置させた状態で、取付部材としての取付補強材7と、開口カバー8とが用いられて、天井開口部3に取り付けられる。
本実施形態の浴室乾燥装置1の取付構造においては、取付補強材7および開口カバー8が、装置本体4を天井開口部3に取り付けるためのアダプタ部材として機能する。アダプタ部材は、天井開口部3に取り付けられた状態で装置本体4の取付面を形成し、装置本体4は、アダプタ部材により形成された取付面に取り付けられる。つまり、浴室乾燥装置1は、取付補強材7および開口カバー8を介して、天井開口部3に間接的に取り付けられる。本実施形態では、取付補強材7により、装置本体4の取付面が形成される。
ここで、本実施形態の浴室乾燥装置1について、図4および図5を加えて説明する。なお、図4は、図2におけるA−A矢視断面図に相当し、図5は、図2におけるB−B矢視断面図に相当する。浴室乾燥装置1の装置本体4は、筐体としての本体ケーシング10を有する。本体ケーシング10は、天井下面2bよりも上方に位置し、装置本体4の外装構造を構成する。
本体ケーシング10は、全体として略直方体状の外形をなし、一面側を開放させて箱状に構成されている。本体ケーシング10は、その平面視形状である略矩形状における長手方向および短手方向を天井開口部3の矩形状の開口形状に合わせるとともに、開放側を天井開口部3から下側に臨ませた状態で設けられる。したがって、本体ケーシング10は、その略直方体状の箱外形における開放側を下側とし、開放側と反対側を上面側とする。以下の説明では、浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10の平面視形状である略矩形状における長手方向(図4における左右方向)を装置長手方向とし、同略矩形状における短手方向(図5における左右方向)を装置短手方向とする。
本体ケーシング10は、その下端縁部に、矩形状の外周形状に沿って鍔状に突出するフランジ部11を有する。フランジ部11は、本体ケーシング10の下側の開口端部において、本体ケーシング10の平面視の矩形状の外形を囲むように、本体ケーシング10の各側面から略板状の外形をなして突出した部分である。このようにフランジ部11が設けられる本体ケーシング10の下側に、表面パネル6が取り付けられる。
表面パネル6は、全体として略矩形板状の部材であり、本体ケーシング10の開放側を塞ぐように取り付けられる。表面パネル6は、本体ケーシング10のフランジ部11を含む全体を覆うように本体ケーシング10に取り付けられる。したがって、表面パネル6は、フランジ部11の底面視の矩形状に対応して、その外形寸法と略同じ大きさの外形寸法を有する。
表面パネル6は、浴室乾燥装置1の下面部を構成する。表面パネル6は、装置本体4の下側に取り付けられた状態で、その下面6aを、天井下面2bと略面一とする。また、表面パネル6は、天井開口部3から下側に臨む本体ケーシング10の開放側に、本体ケーシング10の全体を覆うように取り付けられる。このようにして、表面パネル6は、天井開口部3を下側から覆うように設けられる。
このように本体ケーシング10および表面パネル6により構成される外装構造を有する浴室乾燥装置1は、機能的には、浴室内に温風を送り込む乾燥機能と、浴室内を換気する機能とを有する。浴室乾燥装置1は、吸込口12から浴室内の空気を吸い込んで、吸い込んだ空気を加熱して温め、温めた空気を吹出口13から浴室内に吹き出すことで、乾燥機能を発揮する。一方、浴室乾燥装置1は、浴室内を換気する際には、吸込口12から吸い込んだ空気を、換気口14から浴室外に送り出す。
図4および図5に示すように、浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10の内部には、空気の吸込みや吹出しを行うための送風ファン15が設けられている。送風ファン15は、多翼ファンであり、直方体状の本体ケーシング10の内部において、装置長手方向の一側(図4において右側)寄りの位置に形成されたファン室15a内に、回転軸方向を上下方向(鉛直方向)とするように設けられている。送風ファン15は、その上側に配置されたファンモータ16により回転駆動する。送風ファン15は、その下側から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を側方へと送り出す。
送風ファン15の下側には、本体ケーシング10内において風路を形成する風路形成部材17が設けられている。風路形成部材17は、その上側の面部において送風ファン15が臨む円形状の開口17aを形成するとともに、下側を開放させた枠状ないし箱状の部材である。風路形成部材17は、本体ケーシング10内において、送風ファン15と同様に装置長手方向の一側寄りの位置に装着されており、送風ファン15の下側において、本体ケーシング10の内壁面等とともに、吸込口12から吸い込まれた空気を受け入れる吸気室17bを区画形成する。
吸気室17bは、風路形成部材17の開口17aを介してファン室15aと連通している。吸気室17bの下側の開放部、つまり風路形成部材17の開放された下側の開口部が、吸込口12から本体ケーシング10内に吸い込まれた空気が流れ込む内部吸込口18となる。
本体ケーシング10内において、送風ファン15の側方には、ダンパ19が設けられている(図4参照)。ダンパ19は、送風ファン15に対して、装置長手方向の他側(図4において左側の側方に設けられている。ダンパ19は、送風ファン15を収容するファン室15aと内部吹出口20を介して連通する送風空間19a内に設けられている。
図4に示すように、ダンパ19が設けられた送風空間19aの下側には、吹出口13に連通する循環風路21が設けられており、送風空間19aの内部吹出口20側と反対側(図4において左側)には、換気口14に連通する換気風路22が設けられている。すなわち、送風ファン15の下流側の風路は、内部吹出口20から送風空間19aおよび循環風路21を経て吹出口13に連通する経路と、内部吹出口20から送風空間19aおよび換気風路22を経て換気口14に連通する経路とに分岐しており、この2つの経路の分岐部分となる送風空間19a内に、ダンパ19が設けられている。
ダンパ19は、内部吹出口20から送り込まれる空気を、循環風路21および換気風路22のいずれかまたは両方に送り出すように、送風ファン15の下流側における風路を切り替える。ダンパ19は、回転式のロータリダンパであり、その回転位置により、循環風路21および換気風路22を塞いだり開放したりして風路を切り替える。
本実施形態の浴室乾燥装置1において、浴室側から本体ケーシング10内に空気を吸い込む吸込口12は、本体ケーシング10の下側に取り付けられる表面パネル6と、その周囲に位置する開口カバー8との間に下側に開口するように形成された隙間として設けられ、吸気風路を構成する。したがって、吸込口12は、下面視で矩形状の外形をなす表面パネル6の外形に沿って矩形状をなすスリット状の開口部となる。
また、本実施形態の浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10内から浴室へ空気を吹き出す吹出口13は、ダンパ19の下側に設けられた循環風路21を下側に開口させるように、表面パネル6に設けられている。つまり、吹出口13は、表面パネル6において、ダンパ19の下方に対応する位置に設けられている。したがって、吹出口13は、装置長手方向について送風ファン15が位置する側と反対側(図4において左側)寄りの位置に設けられている。吹出口13は、表面パネル6を貫通する矩形状の吹出開口部13aにグリル13bを設けた構成となっている。
吹出口13の上流側となる吹出口13の上側に、空気を暖めるヒータ23が配置されている(図4参照)。ヒータ23は、吹出口13の上側に設けられたヒータケース24内に収容された状態で設けられている。
また、本実施形態の浴室乾燥装置1において、本体ケーシング10内から浴室外へ空気を送り出す換気口14は、ダンパ19の側方に設けられた換気風路22を本体ケーシング10の側壁から側方外側に開口させる。換気口14は、本体ケーシング10の装置長手方向の他側(図4において左側)の側壁から突出する管状の部材により構成されている。換気口14には、図示せぬ排気管が接続され、浴室外への排気経路が構成される。
以上のような構成において、ファンモータ16によって送風ファン15が回転することにより、浴室内の空気が、吸込口12から本体ケーシング10内に吸い込まれる。本体ケーシング10内に吸い込まれた空気は、内部吸込口18から吸気室17b内を経て開口17aを介してファン室15aに導かれ、送風ファン15の回転によって内部吹出口20側へ送り出される。
浴室乾燥装置1の動作モードが乾燥を行うモードの場合、ダンパ19によって循環風路21が開放され、内部吹出口20から送り出された空気は、循環風路21側に流れ、ヒータ23により温められて吹出口13から吹き出される。一方、浴室乾燥装置1の動作モードが換気を行うモードの場合、ダンパ19によって換気風路22が開放され、内部吹出口20から送り出された空気は、換気風路22側に流れ、換気口14から送り出される。なお、乾燥を行うモードにおいても、適宜換気口14への風路を確保するため、ダンパ19によって換気風路22が一部開放される。
このような空気の流れを形成する浴室乾燥装置1において、吸込口12から吸い込まれた空気が入り込む内部吸込口18を塞ぐように、板状部材としてのフィルタ5が設けられている。フィルタ5は、全体として略矩形板状の部材であり、矩形状の開口をなす内部吸込口18を下側から全体的に覆うように設けられている。
フィルタ5は、平面視において略矩形状の外形の長手方向が装置短手方向に沿うように、風路形成部材17の下部に設けられた一対のフィルタレール部17cに嵌め込まれることで、略矩形状の外形の短手方向の両側の縁部が風路形成部材17に支持された状態で設けられる。一対のフィルタレール部17cは、風路形成部材17において装置長手方向に互いに対向する壁部に形成されており、装置長手方向を互いの対向方向として、かかる方向について対称に設けられている。フィルタレール部17cは、もう一方のフィルタレール部17cに対向する側(内側)、つまり吸気室17b側を開口側として断面略「コ」字状をなす溝状の部分である。フィルタレール部17cは、装置短手方向となる長手方向の両側を開放させた貫通形状を有する。
フィルタレール部17cは、全体としてアーチ状をなすように上側に凸な湾曲形状に沿って形成されている。したがって、フィルタ5は、一対のフィルタレール部17cに嵌め込まれることで、長手方向を湾曲方向として、フィルタレール部17cの湾曲形状に沿って、全体としてアーチ状をなすように湾曲した状態で設けられる。
フィルタレール部17cは、装置短手方向について略対称なアーチ形状に沿って形成されており、装着状態のフィルタ5を装置短手方向について略対称なアーチ状に湾曲させる(図5参照)。このように、フィルタ5は、本体ケーシング10内に設けられる風路形成部材17に装着されることで、本体ケーシング10の下側に装着される表面パネル6の上方の位置に設けられている。
フィルタ5は、装置本体4に対して着脱可能に設けられている。フィルタ5は、フィルタレール部17cに対して差し込まれたり引き抜かれたりすることで着脱される。フィルタ5は、装置本体4に対する着脱の際に掴まれる取手部5bを有する。取手部5bは、矩形状のフィルタ本体部5aの長手方向の一側の辺部から突出するように設けられている。
フィルタ5は、装置本体4に表面パネル6が取り付けられた状態で、装置本体4に対して着脱可能に構成されている。このため、取手部5bは、フィルタ5の装置本体4に対する装着状態で、表面パネル6の外側に突出して下側に露出する(図2、図5参照)。つまり、フィルタ5の装着状態において、取手部5bは、矩形状に沿う吸込口12の一辺部において、下側から見て視認可能な位置に露出した状態にある。これにより、天井2の下側からのフィルタ5の着脱作業が容易に行われる。本実施形態では、取手部5bは、吸込口12の装置短手方向の一側(図5において右側)の辺部において下側に露出している。
フィルタ5の装着に際しては、フィルタ5が、その取手部5b側と反対側の端部から、フィルタレール部17cに対してその端部の開放部から差し込まれる。フィルタ5は、フィルタレール部17cの湾曲形状に沿って斜め上側に向けて差し込まれる。フィルタ5は、フィルタレール部17cに差し込まれることで、フィルタレール部17cの湾曲形状に倣って自動的にアーチ状に湾曲した形状で装着される。一方、フィルタ5の取外しに際しては、取手部5bを掴んで斜め下側にフィルタ5を引っ張り出すことで、フィルタレール部17cに沿ってフィルタ5が取り出される。
フィルタ5は、装置本体4に対して、装置短手方向の両側からの着脱が可能となっている。すなわち、フィルタ5は、上記のとおり長手方向の両側を開放させたフィルタレール部17cに対して、長手方向についての反転装着が可能となっている。本実施形態の浴室乾燥装置1では、図5に示すように、取手部5bが表面パネル6に対して装置短手方向の一側(図5において右側)に突出する向きでのフィルタ5の装着状態を標準装着状態とし、その反対の装着状態、つまり取手部5bが表面パネル6に対して装置短手方向の他側(図5において左側)に突出する向きでの装着状態を反転装着状態とする。
以上のような構成により装置本体4にフィルタ5が設けられた構成においては、送風ファン15が回転することによって吸込口12から吸い込まれた空気は、内部吸込口18を覆うように装着されたフィルタ5を介して、吸気室17b内に流れ込むことになる。
以上のような構成を備える本実施形態の浴室乾燥装置1の天井開口部3に対する取付構造について説明する。本実施形態の浴室乾燥装置1の取付構造は、装置本体4を構成する本体ケーシング10と、アダプタ部材としての取付補強材7および開口カバー8とを備える。本実施形態の取付構造によれば、本体ケーシング10が、取付補強材7により天井2よりも上方に形成される取付面に固定されることで、装置本体4の全体が天井下面2bよりも上側に埋め込んだ態様で設けられる。
図3および図6(a)に示すように、取付補強材7は、全体として矩形枠状の部材であり、その枠状の形状について、天井開口部3の開口形状・寸法に対応した形状・寸法を有する。取付補強材7は、例えば鉄板等の金属板により構成された金属製の部材である。ただし、取付補強材7は、金属製に限らず、樹脂製の部材であってもよい。
取付補強材7は、矩形状の外形をなすとともに水平面に沿う天面部31と、天面部31の外縁部から天面部31に対して直角状に形成された4つの縦壁部32と、各縦壁部32の下端部から縦壁部32に対して直角状に形成された板状の鍔部33とを有する。天面部31には、その矩形状の外形に沿う矩形状の開口31cが形成されている。
取付補強材7は、天面部31、縦壁部32、および鍔部33により、長手方向を左右方向とする側面視(図4参照)、および短手方向を左右方向とする側面視(図5参照)それぞれにおいて、偏平なハット状の外形をなす。取付補強材7は、その長手方向および短手方向それぞれについて略対称な形状を有する。
取付補強材7は、図1および図3に示すように、天井2よりも上方に位置する吊下支持部材としての吊ボルト41および吊下げハンガー42により支持された状態で設けられる。本実施形態では、取付補強材7は、4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42によって吊下げ支持されている。4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42は、本体ケーシング10の略矩形状の平面視形状における4隅の近傍の位置に配置されている。
吊ボルト41は、外周面にネジ面が形成された棒状のボルト部41aと、ボルト部41aに螺嵌される2つのナット41bとを有する。吊ボルト41は、ボルト部41aの上側の部分を、天井2の上方にある建物側の天井等の構造物(図示略)に固定させた状態で垂設される。2つのナット41bは、ボルト部41aの下部に位置する。
吊下げハンガー42は、略「L」字状に折り曲げ形成された板状部材であり、短冊状の本体部42aと、本体部42aの長手方向の一端側(上端側)にて本体部42aに対して直角状に形成された係止部42bとを有する。係止部42bには、本体部42aからの突出側である先端側を開放側とする切欠部42cが形成されており、係止部42bは、略「U」字状の形状を有する。
吊下げハンガー42の上端部は、吊ボルト41に固定される。吊下げハンガー42は、係止部42b側を上側としながら本体部42aの長手方向を上下方向とし、係止部42bを吊ボルト41に係止固定させた状態で、吊ボルト41に連結される。吊下げハンガー42は、ボルト部41aの2つのナット41b間の部分に、切欠部42cにより係止部42bを係合させた状態で、吊ボルト41に係止される。吊下げハンガー42は、係止部42bの部分がその上下のナット41bによって挟持固定されることで、吊ボルト41に固定される。ボルト部41aにおけるナット41bの位置調整により、吊下げハンガー42のボルト部41aに対する固定位置つまり高さ位置が調整される。
吊下げハンガー42の下端部、つまり本体部42aの係止部42b側と反対側の端部は、取付補強材7に固定される。取付補強材7は、吊下げハンガー42の下端部が固定される部分として、矩形板状の突片部である支持突片部34を有する。支持突片部34は、取付補強材7において、4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42の配置位置に対応して4箇所に設けられている。
このような支持突片部34に対し、吊下げハンガー42は、本体部42aの下端部を支持突片部34の外側に重ねた状態で、ボルト等の締結具43によって固定される。締結具43は、互いに重なった状態の支持突片部34および本体部42aの下端部を貫通し、これらを互いに固定させる。支持突片部34には、締結具43を貫通させる孔部34aが形成されている。
このように、取付補強材7は、4箇所の支持突片部34それぞれにおいて吊下げハンガー42の下端部の連結を受け、4組の吊ボルト41および吊下げハンガー42により吊下げ支持される。かかる支持構成によれば、各吊ボルト41において係止部42bを上下から挟む2つのナット41bのボルト部41aに対する位置調整により、吊下げハンガー42を介して取付補強材7の高さ位置が調整される。
取付補強材7は、本体ケーシング10を所定の取付位置に支持する。取付補強材7は、天井2よりも上方の位置に、本体ケーシング10の取付面を形成し、この取付面に本体ケーシング10を固定支持させることで、本体ケーシング10を支持する。本実施形態では、本体ケーシング10の取付面は、取付補強材7の天面部31により形成される。天面部31の下面が、本体ケーシング10の取付面となる。そして、取付補強材7は、鍔部33の上面が天井下面2bに接触するように吊ボルト41および吊下げハンガー42により支持される。
取付補強材7は、吊ボルト41および吊下げハンガー42により吊下げ支持された状態で、本体部分を天井開口部3から上方に突出させるとともに鍔部33を天井下面2bに接触させる。すなわち、ボルト部41aに対するナット41bの位置調整により、鍔部33が天井下面2bに接触するように、取付補強材7の高さ位置が調整される。言い換えると、取付補強材7は、吊ボルト41および吊下げハンガー42によって上方に引き上げられる作用を得ながら鍔部33を天井下面2bに係止させた態様で支持される。以上のように、取付補強材7は、鍔部33が接触する天井下面2bを支持面として、吊ボルト41および吊下げハンガー42による支持を受ける。
そして、天井開口部3を介する取付補強材7の天井2からの上側への突出部分の上面部となる天面部31が、本体ケーシング10の支持部であって、天井2よりも上方の位置に本体ケーシング10の取付面を形成する部分となる。すなわち、略水平面部となる天面部31の下面が、天井2よりも上方に位置し、本体ケーシング10の取付面として用いられる。
このように取付補強材7によって天井2よりも上方に形成された取付面に対して、本体ケーシング10が取り付けられる。本体ケーシング10は、天面部31に対して下側から上側に向かって締結される固定用ネジ45により取付補強材7に固定される。本実施形態では、開口31cの長辺側に設けられた2箇所と、開口31cの短辺側に設けられた1箇所との計6箇所に、固定用ネジ45による固定部が設けられる(図1参照)。
図3および図6(b)に示すように、開口カバー8は、全体として矩形枠状の部材であり、その枠状の形状について、天井開口部3の開口形状・寸法に対応した形状・寸法を有する。開口カバー8は、樹脂製の部材である。ただし、開口カバー8は、樹脂製に限らず、金属製の部材であってもよい。
開口カバー8は、全体としての矩形枠状の形状を構成する部分として、開口カバー8の長手方向(図4における左右方向)に沿う一対の長手辺部51と、開口カバー8の短手方向(図5における左右方向)に沿う一対の短手辺部52とを有する。開口カバー8は、枠状の外形に沿って形成された上面部50を有する。上面部50には、その矩形状の外形に沿う矩形状の開口50cが形成されている。
開口カバー8は、その下側の開放側の縁端から開口カバー8の矩形状の外形に沿って鍔状に突出した爪部53を有する。開口カバー8は、その長手方向を左右方向とする側面視(図4参照)、および短手方向を左右方向とする側面視(図5参照)それぞれにおいて、偏平なハット状の外形をなす。開口カバー8、その長手方向および短手方向それぞれについて略対称な形状を有する。
開口カバー8は、取付補強材7の天面部31に対して下側から上側に向かって締結される第2固定用ネジ46により取付補強材7に固定される。開口カバー8は、第2固定用ネジ46による固定部として、複数のボス部54を有する。本実施形態では、第2固定用ネジ46によるボス部54の天面部31に対する固定部は、各長手辺部51に3箇所ずつ、各短手辺部52に1箇所ずつ計8箇所に設けられている。
また、開口カバー8と取付補強材7との関係について、開口カバー8には、取付補強材7の天面部31を下側から上側に向けて貫通して開口カバー8を取付補強材7に係止させる仮固定用の係止片部55が設けられている。係止片部55は、開口カバー8を構成する材料の弾性を利用したいわゆるスナップフィットの態様で取付補強材7に係合し、開口カバー8を取付補強材7に仮固定させるための形状部分である。開口カバー8の係止片部55に対し、取付補強材7の天面部31においては、4箇所の係止片部55に対応する位置に、係止孔部31gが形成されている。
以上のような構成を備える本実施形態の装置取付構造による浴室乾燥装置1の取付手順について説明する。まず、天井2の上方にある建物側の天井等の構造物の4箇所に吊ボルト41をねじ込み、吊ボルト41を垂設し、各吊ボルト41に吊下げハンガー42を取り付ける。4箇所の吊ボルト41および吊下げハンガー42に対し、取付補強材7が、天井2の下側から天井開口部3を介して取り付けられる。取付補強材7は、開口31cの開口縁部に設けられた支持突片部34が吊下げハンガー42の下端部に締結具43によって固定されることで取り付けられる。取付補強材7は、本体部分を天井開口部3から上方に突出させるとともに鍔部33を天井下面2bに接触させた状態で、吊ボルト41および吊下げハンガー42により吊下げ支持される。取付補強材7の支持位置は、各吊ボルト41において係止部42bを上下から挟む2つのナット41bによって調整される。
次に、開口カバー8が、取付補強材7に対して下側から取り付けられる。開口カバー8の取付補強材7への取付けに際しては、まず、開口カバー8の4箇所の係止片部55により、開口カバー8が取付補強材7に仮固定される。開口カバー8が取付補強材7に仮固定された後、第2固定用ネジ46により、開口カバー8が取付補強材7に8箇所で締結固定される。
開口カバー8が取付補強材7に固定された後、装置本体4にフィルタ5および表面パネル6が装着された浴室乾燥装置1が、取付補強材7および開口カバー8により天井開口部3に沿うように形成された開口部に対して取り付けられる。浴室乾燥装置1は、下側から螺挿される固定用ネジ45によって本体ケーシング10が6箇所で取付補強材7に固定されることにより、取付補強材7に固定支持される。以上のようにして、浴室乾燥装置1が天井開口部3によって天井2に取り付けられる。
以上のような構成を備える本実施形態の浴室乾燥装置1は、表面パネル6の上方の位置に装置本体4に対して着脱可能に設けられたフィルタ5において、浴室内の湿った空気により付着した水滴が、フィルタ5を伝って、下側に露出した取手部5bから浴室内に落下することを防止すべく、水滴を取手部5bの手前で表面パネル6上に自動的に落下させる水切りのための構成を備える。以下、本実施形態に係るフィルタ5について説明する。
図7に示すように、フィルタ5は、表面パネル6の上方に位置する本体部としてのフィルタ本体部5aと、表面パネル6の外側に突出して下側に露出する取手部5bと、フィルタ本体部5aと取手部5bとの間の中間部5cとを有する。そして、フィルタ5は、中間部5cに設けられ、伝ってきた水滴を表面パネル6上に落下させる水滴落下誘導部60を有する。上記のとおり略矩形板状の部材であるフィルタ5は、その平面視において、幅方向(短手方向、図9における左右方向、以下「フィルタ幅方向」という。)、および長さ方向(長手方向、図9における上下方向、以下「フィルタ長さ方向」という。)について対称な形状を有する。
フィルタ本体部5aは、矩形板状の外形を有し、略格子状の枠部61に、繊維素材等によりメッシュ状に構成されたフィルタ部62を張設した構成を備える。
枠部61は、その外枠部を構成する部分として、フィルタ本体部5aの矩形板状の外形における取手部5b側の辺部に沿う取手部側縁部63aと、取手部5b側と反対側の辺部に沿う反取手部側縁部63bと、フィルタ幅方向の両側の辺部に沿う側縁部63c,63cとを有する。取手部側縁部63a、反取手部側縁部63b、および両側の側縁部63c,63cにより、枠部61において矩形枠状の部分が構成される。
また、枠部61は、外枠部の内側に架設された部分として、フィルタ幅方向に配された1本の横架設部64aと、フィルタ長さ方向に配された2本の縦架設部64bとを有する。横架設部64aは、フィルタ長さ方向の略中央の位置においてフィルタ幅方向両側の側縁部63c,63c間に架設された線状ないし棒状の部分である。縦架設部64bは、フィルタ幅方向の両側の側縁部63c,63c間を略3等分する2箇所の位置において取手部側縁部63aと反取手部側縁部63bとの間に架設された線状のないし棒状の部分である。
枠部61においては、矩形枠状の部分を構成する取手部側縁部63a、反取手部側縁部63b、および側縁部63c,63cにより形成される開口部が、1本の横架設部64aおよび2本の縦架設部64bにより、フィルタ長さ方向を長手方向とする6つの矩形状の開口領域61aに区画される。このように枠部61において形成される6つの開口領域61aが、フィルタ5における風路となり、かかる開口領域61aを塞ぐように、フィルタ部62が張設されている。
枠部61を構成する取手部側縁部63a、反取手部側縁部63b、側縁部63c,63c、横架設部64a、および縦架設部64bは、いずれもフィルタ5の板面に沿う偏平矩形状の横断面形状を有する幅狭の帯板状の部分であり、フィルタ本体部5aの両面側において共通の(面一の)板面を形成する。このフィルタ本体部5aの両側の板面のうち、装着状態のフィルタ5において上側の板面を上面61bとし、下側の板面を下面61cとする。
中間部5cは、フィルタ本体部5aの取手部側縁部63aからフィルタ本体部5aの板面に沿って延出された略三角形状の板状の部分である。中間部5cは、フィルタ本体部5aの板厚と略同じ板厚を有し、フィルタ本体部5aの上面61bと略面一をなす板面である上面65aと、フィルタ本体部5aの下面61cと略面一をなす板面である下面65bとを有する。
中間部5cは、略三角形状の外形における一辺側を取手部側縁部63aに沿わせた態様で、一つの頂点部側をフィルタ本体部5aからの延出先端部側とする。中間部5cは、フィルタ本体部5aに対して、フィルタ幅方向の寸法の略1/3の幅をもって、フィルタ幅方向の中央部から延出されている。したがって、中間部5cは、フィルタ本体部5aを構成する枠部61に対して、取手部側縁部63aにおける2本の縦架設部64b間の範囲の部分から略三角形状に突設された態様で設けられている(図9参照)。
中間部5cは、略三角形状の外形を形成する縁部として、中間部5cの頂点部を形成する2つの傾斜縁部65cを有する。傾斜縁部65cは、中間部5cのフィルタ本体部5a側(以下「基部側」とする。)を二等辺三角形状における底辺側とした場合の斜辺に相当する。傾斜縁部65cは、中間部5cにおいて上面65aと下面65bとの間に設けられた側面を形成する。以上のような略三角形状の中間部5cの頂点部側(以下「先端側」とする。)から、取手部5bが突設されている。
取手部5bは、フィルタ5の着脱に際して掴まれる部分となる取手本体部66aと、取手本体部66aと中間部5cとを繋ぐ連係部66bとを有する。取手本体部66aは、フィルタ幅方向を板厚方向とするように設けられた矩形板状の部分である。取手本体部66aの両側の板面66cには、滑り止め用の突起部66dが形成されている。突起部66dは、装着状態のフィルタ5において上下方向に沿う突条部分である。連係部66bは、取手本体部66aを頭部とした場合において首部をなす態様の部分であって、取手本体部66aから突出した態様で設けられるとともに取手本体部66aと連続する板状の部分である。
以上のようにフィルタ本体部5a、中間部5c、および取手部5bを有するフィルタ5は、上述したように、装置本体4内の風路形成部材17に設けられたフィルタレール部17cに嵌め込まれることで全体としてアーチ状をなすように湾曲した状態で装置本体4に装着される。フィルタ5は、開口側を互いに対向させる一対の溝状のフィルタレール部17cに対し、フィルタ本体部5aのフィルタ幅方向の両側の縁部、つまり枠部61を構成する両側の側縁部63cの部分が上下から挟持された状態で、風路形成部材17に支持される(図4参照)。
このようにして装置本体4に装着された状態のフィルタ5においては、中間部5cの少なくとも一部が、フィルタ本体部5aから取手部5bまで連続して下方へ傾斜している。本実施形態では、中間部5cは、その板状の外形をフィルタ5の全体的なアーチ状の支持形態に沿わせ、全体として斜め下方向へ傾斜した状態となっている。
すなわち、全体としてアーチ状に湾曲したフィルタ5の一端側の部分となる中間部5cは、アーチ状に沿ってやや湾曲した態様で、フィルタ本体部5aから取手部5bまで、フィルタ本体部5aに対して略連続した板面である上面65aおよび下面65bを形成するように設けられている。したがって、中間部5cは、フィルタ5の側面視においてアーチ形状に沿うようにやや湾曲した形状をなし、全体としてフィルタ本体部5aから取手部5bまで連続するように下方向に傾斜して延出している。
なお、本実施形態では、中間部5cは、全体的にフィルタ本体部5aから取手部5bまで連続して下方へ傾斜した下方傾斜部分となっているが、これに限定されず、中間部5cの一部が上記のような下方傾斜部分となっていてる構成であってもよい。つまり、中間部5cは、フィルタ5の装着状態において、少なくとも一部に下方傾斜部分を有するものであればよい。
そして、中間部5cに設けられた水滴落下誘導部60は、アーチ状に湾曲したフィルタ5の支持態様において、その湾曲形状に沿って伝う水滴を、取手部5bの手前側、つまりフィルタ本体部5a側にて落下させる形状部分である。水滴落下誘導部60は、略三角形状の中間部5cの先端部(頂点部)近傍に設けられている。
図11および図16に示すように、フィルタ5の中間部5cには、例えばフィルタ本体部5aや中間部5cの上方に位置する本体ケーシング10のフランジ部11等から水滴W1が伝ってくる。仮に、水滴落下誘導部60が設けられていない場合、中間部5cに伝ってきた水滴W1は、上面65aおよび下面65bがフィルタ本体部5aから取手部5bまで略連続する面であることから、取手部5bに達してしまうことになる。取手部5bは、表面パネル6の外側に突出して下側に露出する部分であることから、取手部5bに達した水滴は、取手部5bから落下することで、浴室内に滴下することになる。
そこで、フィルタ5における上側のフィルタ本体部5aから下側の取手部5bへの水滴の流れにおいて、取手部5bの手前側(上流側)である中間部5cに、水滴落下誘導部60が設けられている。これにより、中間部5cに伝ってきた水滴について、下方に表面パネル6が存在する位置である取手部5bの手前側の位置で水滴を落下させることで、表面パネル6で水滴を受け、表面パネル6の外側の取手部5bから水滴が浴室内に落下することが防止される。
水滴落下誘導部60は、中間部5cの上面65a、下面65b、および両側の傾斜縁部65cにおいて凹凸形状をなし、水滴が取手部5b側へ流れることを規制し、中間部5cの下方へと滴下させるための形状部分である。言い換えると、水滴落下誘導部60は、中間部5cにおけるフィルタ本体部5aから取手部5bへの水滴の連続的な流れを遮り、中間部5cを形成する上面65a、下面65b、および両側の傾斜縁部65cの少なくともいずれかの面部から水滴を解離させ、取手部5bの手前側で滴下させる形状部分である。
水滴落下誘導部60の形状は、上述のとおり中間部5cにおいて水滴を落下するように導くことができる形状であれば、特に限定されない。水滴落下誘導部60は、中間部5cを形成する上面65a、下面65b、および両側の傾斜縁部65cの少なくともいずれかの面部に対して、例えば、突起部等の凸部もしくは溝部等の凹部または凸部および凹部の両方をなす部分である。
このように中間部5cにおいて水滴落下誘導部60を有するフィルタ5は、取手部5bおよびフィルタ本体部5aの取手部5b側と反対側の端部が下側に位置するように全体的に湾曲した状態で装置本体4に装着される。このことは、上述したように、フィルタレール部17cに装着された状態のフィルタ5が、全体としてアーチ状をなすように上側に凸な湾曲形状をなすことに相当する。
具体的には、図10に示すように、フィルタレール部17cに装着された状態のフィルタ5は、フィルタ長さ方向について、全体として略対称なアーチ状をなし、中央部を最上に位置する頂部として両側の端部にかけて徐々に下るように傾斜しており、両側の端部を中間部よりも下方に位置させる。すなわち、フィルタ5は、フィルタ長さ方向の一方の端部である取手部5bと、フィルタ本体部5aの取手部5b側と反対側の端部である反取手部側縁部63bとを、これらの間の部分、つまりフィルタ本体部5aの反取手部側縁部63bよりも取手部5b側の部分および中間部5cよりも下側に位置させる。
このように、フィルタ5は、装置本体4に対する装着状態において、フィルタ長さ方向の両端部が中間部よりも下側に位置するように、フィルタ長さ方向について全体的に湾曲している。なお、フィルタ5のフィルタ長さ方向の取手部5b側と反対側の端部である反取手部側縁部63bは、表面パネル6から外側に突出することなく、表面パネル6の上方に位置する(図9参照)。
以上のようなフィルタ5において中間部5cの水滴落下誘導部60により落下する水滴を受けるため、表面パネル6の上面には、水滴落下誘導部60により落下した水滴を貯留する貯留部70が形成されている。貯留部70は、水滴落下誘導部60から表面パネル6上に滴下した水滴が表面パネル6上から浴室へ落下することのないように、表面パネル6上にて水滴を貯留して保持するための部分である。
図8から図11に示すように、表面パネル6は、矩形板状の本体板部71と、本体板部71の外縁に沿って設けられた側壁部72とを有する。本体板部71は、その下側の板面を、上述のとおり天井下面2bと略面一となる下面6aとする平板状の部分である。側壁部72は、矩形状の本体板部71の各辺に沿って本体板部71の外周を囲むように立設された板状の部分である。側壁部72の高さ寸法、つまり本体板部71からの上方への突出寸法は、本体板部71の外形寸法との比較においては十分に小さい。本体板部71および側壁部72により、深さが浅い偏平な箱状の部分が構成される。
表面パネル6において、本体板部71の上面71a上には、複数の板状のリブ73が突設されている。リブ73としては、本体板部71の矩形状の短手方向(図9における上下方向)に沿う縦リブ73Aと、同矩形状の長手方向(図9における左右方向)に沿う横リブ73Bとが設けられている。特に、本体板部71における長手方向についてフィルタ5が位置する側(図9において右側)の略半分の領域には、縦リブ73Aおよび横リブ73Bが格子状に配設されている。
以上のような構成を備える表面パネル6において、フィルタ5の水滴落下誘導部60から落下した水滴を受ける貯留部70は、少なくとも、本体板部71と側壁部72とを含む構成である。本体板部71の上面71a上に落下した水滴は、その量が増えることによっても、本体板部71の周りの側壁部72により、本体板部71上から落下することが規制され、本体板部71上に貯留されることになる。
また、本体板部71の上面71aに落下した水滴については、上面71a上に立設され上面71a上の領域を適宜区画する複数のリブ73によっても、移動が規制されて所定の場所に貯留されることになる。つまり、本体板部71の上面71a上においては、複数のリブ73により、あるいはリブ73と側壁部72とにより、複数の壁状の部分によって区画された容器状の部分が形成され、かかる容器状の部分内に、上面71aに落下した水滴が貯留される。
このように、表面パネル6の上面に形成される貯留部70は、本体板部71と、側壁部72およびリブ73の少なくともいずれかとによって形成された容器状の部分であり、フィルタ5の水滴落下誘導部60から落下した水滴を表面パネル6上にて貯留して保持することができる部分である。したがって、貯留部70の構成としては、本体板部71と側壁部72とからなる部分、本体板部71と側壁部72とリブ73とからなる部分、および本体板部71とリブ73とからなる部分のいずれの構成であってもよい。
次に、本実施形態のフィルタ5が備える水滴落下誘導部60について具体的に説明する。図12から図14に示すように、本実施形態のフィルタ5は、水滴落下誘導部60として、中間部5cの上面65a側に設けられた第1リブ81と、中間部5cの下面65b側に設けられた第2リブ82とを有する。このように、本実施形態のフィルタ5において、水滴落下誘導部60は、中間部5cの上面65a側および下面65b側に設けられている。
第1リブ81および第2リブ82は、いずれも、中間部5cの板面である上面65aおよび下面65bから突出する突条部である。つまり、第1リブ81および第2リブ82は、いずれも中間部5cの上面65aまたは下面65bにおいて突設された所定の形状に沿う筋状の突起部である。
第1リブ81は、中間部5cの上面65a側の水滴落下誘導部60であり、フィルタ幅方向に対称に形成された一対の傾斜辺部81a,81aからなる。各傾斜辺部81aは、中間部5cの先端部近傍におけるフィルタ幅方向の中央の位置から、フィルタ幅方向の外側にかけて徐々にフィルタ本体部5aから取手部5b側に近付くように傾斜した直線状の突条部である。したがって、上述したように斜め下方に傾斜した状態となる中間部5cにおいて、傾斜辺部81aは、フィルタ幅方向の中央側から外側にかけて下るように傾斜している。
このように第1リブ81を構成する一対の傾斜辺部81aは、フィルタ幅方向の中央側において互いに連続している。これにより、第1リブ81は、全体として略「V」字状をなすように設けられている。各傾斜辺部81aは、その下側の端部、つまりフィルタ幅方向の外側の端部が中間部5cの傾斜縁部65cに達する位置まで延設されている。したがって、第1リブ81は、中間部5cの上面65aにおいて、一対の傾斜辺部81aにより、中間部5cの先端側の部分を基部側の部分に対してフィルタ幅方向の全範囲に渡り仕切るように設けられている。
第1リブ81は、中間部5cの上面65aを伝ってきた水滴を受けて表面パネル6上に落下させる傾斜面81bを有する。本実施形態では、第1リブ81は、フィルタ幅方向の中央側から外側にかけて下るように傾斜した一対の傾斜辺部81aにより構成されており、各傾斜辺部81aの上側、つまり中間部5cの基部側の面が、傾斜面81bとなる。
具体的には、図14(c)に示すように、第1リブ81の各傾斜辺部81aは、斜め下方に傾斜した状態の中間部5cの上面65aから突出した突条部分であり、中間部5cの基部側(図14(c)において右側)および先端側(同左側)のそれぞれを向く面として、中間部5cの上面65aに対して鉛直状に立ち上がった壁面を形成する。つまり、傾斜辺部81aは、中間部5cの上面65aに対し、これら両側の壁面を板面とする板状の突出部分として設けられている。そして、これら両側の壁面のうち、中間部5cの基部側を向く壁面が、傾斜面81bとなる。すなわち、板状の突条部分である第1リブ81の傾斜辺部81aが、それぞれ全体としてフィルタ幅方向の中央側から外側にかけて下るように傾斜していることにより、各傾斜辺部81aのフィルタ本体部5aの壁面(板面)として、傾斜面81bが形成されている。
このように各傾斜辺部81aにおいて傾斜面81bを有する第1リブ81は、中間部5cの上面65aを伝ってきた水滴を、傾斜面81bによって受けるとともに傾斜面81bの傾斜によってフィルタ幅方向の両外側かつ中間部5cの先端側に導き、中間部5cの先端側の部分における傾斜縁部65cから落下させる。
なお、本実施形態では、傾斜面81bは、突条部分である傾斜辺部81aにおいて中間部5cの基部側の壁面として設けられているが、これに限定されるものではない。言い換えると、第1リブ81の全体が、傾斜面81bの傾斜に沿って形成されている構成に限定されるものではない。傾斜面81bとしては、中間部5cの上面65a側の水滴落下誘導部60において、中間部5cの上面65aから立ち上がった壁面であって、上面65a上を伝う水滴を受けてそれを中間部5cの傾斜縁部65c側から落下させるように、フィルタ幅方向に対して傾斜した面であればよい。傾斜面81bとしては、本実施形態のようにフィルタ幅方向について対称的に設けられた一対の傾斜辺部81aによって2方向に傾斜したものではなく、例えば、第1リブ81全体として所定の1方向に傾斜した傾斜面であってもよい。
第2リブ82は、中間部5cの下面65b側の水滴落下誘導部60であり、フィルタ幅方向に沿って形成された直線状の突条部である。第2リブ82は、フィルタ幅方向の外側の両端部が中間部5cの傾斜縁部65cに達するように延設されている。したがって、第2リブ82は、中間部5cの下面65bにおいて、中間部5cの先端側の部分を基部側の部分に対してフィルタ幅方向の全範囲に渡り仕切るように設けられている。
第2リブ82は、第1リブ81に対して、フィルタ幅方向の両側の端部を、第1リブ81の各傾斜辺部81aのフィルタ幅方向の外側の端部と略同じ位置に位置させる。第2リブ82の両側の端部は、第1リブ81の両側の端部に対して鉛直方向の直下に位置する。
第2リブ82は、中間部5cの下面65bを伝ってきた水滴を受けて表面パネル6上に落下させる垂下面82bを有する。第2リブ82の上側、つまり中間部5cの基部側の面が、垂下面82bとなる。
具体的には、図14(c)に示すように、第2リブ82は、斜め下方に傾斜した状態の中間部5cの下面65bから突出した突条部分であり、中間部5cの基部側(図14(c)において右側)および先端側(同左側)のそれぞれを向く面として、中間部5cの下面65bに対して鉛直状に垂下した壁面を形成する。つまり、第2リブ82は、中間部5cの下面65bに対し、これら両側の壁面を板面とする板状の突出部分として設けられている。そして、これら両側の壁面のうち、中間部5cの基部側を向く壁面が、垂下面82bとなる。このように垂下面82bを有する第2リブ82は、中間部5cの下面65bを伝ってきた水滴を、垂下面82bによって受けて落下させる。
なお、本実施形態では、第2リブ82は、第1リブ81に対して、フィルタ幅方向の両側の端部の位置を互いに略同じ位置とするように設けられているが、これに限定されるものではない。つまり、第2リブ82は、第1リブ81に対して中間部5cの基部側または先端側にずれた位置に設けられてもよい。
また、本実施形態の水滴落下誘導部60は、中間部5cの外縁から突出する突起部としての第3リブ83を含む。第3リブ83は、中間部5cにおいて、フィルタ幅方向両側の傾斜縁部65cからフィルタ幅方向の両外側に向けて突出した部分である。
第3リブ83は、中間部5cの傾斜縁部65cを伝ってきた水滴を受けて表面パネル6上に落下させる突出面83bを有する。第3リブ83の上側、つまり中間部5cの基部側の面が、突出面83bとなる。
具体的には、図14(a)、(c)に示すように、第3リブ83は、斜め下方に傾斜した状態の中間部5cの傾斜縁部65cから突出した板状部分であり、中間部5cの基部側(図14(c)において右側)および先端側(同左側)のそれぞれを向く面として、鉛直状に沿う壁面を形成する。つまり、第3リブ83は、中間部5cの傾斜縁部65cに対し、これら両側の壁面を板面とする板状の突出部分として設けられている。そして、これら両側の壁面のうち、中間部5cの基部側を向く壁面が、突出面83bとなる。このように突出面83bを有する第3リブ83は、中間部5cの傾斜縁部65cを伝ってきた水滴を、突出面83bによって受けて落下させる。
第3リブ83は、上述したようにフィルタ幅方向の両側の端部同士を中間部5cの上面65a側と下面65b側とで略同じ位置に位置させる第1リブ81および第2リブ82に対して連続するように設けられている。つまり、第3リブ83は、中間部5cの傾斜縁部65c側において第1リブ81および第2リブ82のフィルタ幅方向の両側の端部同士を繋ぐように設けられている。
したがって、第3リブ83の両側の壁面のうち、中間部5cの基部側の壁面である突出面83bは、第1リブ81の各傾斜辺部81aの傾斜面81bと、第2リブ82の垂下面82bとの両者に連続する面となる。また、第3リブ83の両側の壁面のうち、中間部5cの先端側の壁面83cは、第1リブ81および第2リブ82それぞれの中間部5cの先端側の壁面81c,82cの両者に連続する面となる。
このように第3リブ83が第1リブ81と第2リブ82とを両側の端部同士で繋ぐ構成においては、中間部5cの上面65a側の第1リブ81と、下面65b側の第2リブ82と、両方の傾斜縁部65cの第3リブ83とにより、中間部5cの先端部近傍が全周にわたって突条部により囲まれた構成が得られる。言い換えると、第1リブ81、第2リブ82、および第3リブ83により、中間部5cの先端部近傍を上面65a、下面65b、および傾斜縁部65cの全周にわたって囲む環状の突条部が形成された態様となっている。
なお、本実施形態では、第3リブ83は、第1リブ81および第2リブ82に対して、これらの両側の端部同士を繋ぐようにこれらのリブと略同じ位置に設けられているが、これに限定されるものではない。つまり、第3リブ83は、第1リブ81および第2リブ82の少なくともいずれかに対して中間部5cの基部側または先端側にずれた位置に設けられてもよい。
また、本実施形態のフィルタ5においては、中間部5cには、中間部5cの板面上にてフィルタ5の着脱方向に沿う方向に延設されたスライド面を形成するスライド部が設けられている。本実施形態のフィルタ5においては、中間部5cの上面65a側および下面65bの両方の板面上にスライド部が設けられている。
図12から図14に示すように、中間部5cの上面65a側においては、第1リブ81よりも中間部5cの先端側の部分に、第1リブ81に連続するスライド部として、上側スライド部84が設けられている。上側スライド部84は、中間部5cの上面65aにおいて突設された直線状の突条部である。
上側スライド部84は、フィルタ幅方向の中央部において、第1リブ81の一対の傾斜辺部81aの連結部から取手部5b側に連続するように、フィルタ長さ方向に沿うように直線状に設けられている。つまり、上側スライド部84は、第1リブ81のフィルタ幅方向の中央部と、取手部5bとの間に架設された態様で設けられている。
上側スライド部84は、中間部5cの上面65aからの突出側の端面(上面)として、スライド面84aを形成する。スライド面84aは、上面65aと略平行な面であって、しかも、第1リブ81の上面65aからの突出側の端面である上面81dと略面一の面である。このように設けられた上側スライド部84は、中間部5cの上面65a上において、一対の傾斜辺部81aにより略「V」字状をなす第1リブ81とともに、中間部5cの基部側を指す矢印状の態様を形成する。
また、上側スライド部84は、中間部5cの先端側において、スライド面84aを、取手部5bの上面66eと連続させる。取手部5bの上面66eは、装着状態のフィルタ5において斜め下方向へ傾斜した中間部5cに対して、略水平方向に沿って延出している。
また、上側スライド部84は、その幅方向の両側の側面84bを有し、各側面84bを、取手部5bの両側の板面と略面一とする。つまり、上側スライド部84は、その幅方向の寸法を、取手部5bの板厚の寸法と略同一とし、取手部5bの所定の板厚を保ちながら取手部5bの連係部66bから第1リブ81まで連続するように延設されている(図14(a)参照)。
一方、図12から図14に示すように、中間部5cの下面65b側においては、第2リブ82よりも中間部5cの先端側の部分および基部側の部分のそれぞれに、第2リブ82に連続するスライド部として、下先端側スライド部85および下基部側スライド部86が設けられている。
下先端側スライド部85は、フィルタ幅方向の中央部の1箇所において、第2リブ82の中央部から中間部5cの先端側に向けて、フィルタ長さ方向に沿うように直線状に設けられている。下基部側スライド部86は、フィルタ幅方向の両側の2箇所において、第2リブ82の長手方向の両端部近傍から中間部5cの基部側に向けて、フィルタ長さ方向に沿うように直線状に設けられている。
下先端側スライド部85および下基部側スライド部86は、いずれも、中間部5cの下面65bからの突出側の端面(下面)として、スライド面85a,86aを形成する。スライド面85a,86aは、中間部5cの下面65bを、第2リブ82の下面65bからの突出側の端面である下面82dに対して連続ないし略連続する傾斜面である。つまり、下先端側スライド部85および下基部側スライド部86は、いずれも、中間部5cの下面65bと第2リブ82の下面82dとの間を繋ぐスロープを形成する部分であり、かかるスロープ形状により、中間部5cの下面65bと第2リブ82との段差を緩和する。
以上のような構成を備えるフィルタ5に対し、水滴落下誘導部60により落下した水滴を受ける側の表面パネル6においては、次のような構成が設けられている。すなわち、表面パネル6の上面には、上方に突出し、フィルタ5に下側から接触してフィルタ5を支持する支持突起部として、突出板部90が設けられている。
図15に示すように、突出板部90は、表面パネル6の本体板部71の上面71aにおいて上方に向けて突設された板状の部分である。突出板部90は、装着状態のフィルタ5のフィルタ幅方向となる表面パネル6の長手方向(図9において左右方向)を板厚方向とする薄板状の部分である。つまり、突出板部90は、本体板部71の矩形状の短手方向に沿う縦リブ73Aと板厚方向を同じとする薄板状の部分である。突出板部90は、本体板部71の上面71aに突設された複数の板状のリブ73よりも上面71aからの突出量が多く、複数のリブ73よりも高い位置まで突出している。
突出板部90は、表面パネル6の上方においてアーチ状に湾曲した状態で支持されたフィルタ5に対し、フィルタ長さ方向(図9において上下方向)の両端部近傍の位置をそれぞれ2箇所で支持するように、計4箇所に設けられている。つまり、突出板部90は、上述したようにリブ73が格子状に配設された、本体板部71における長手方向のフィルタ5が位置する側の略半分の領域部分において、表面パネル6の短手方向の両側の縁部近傍の位置に2箇所ずつ設けられている。4箇所の突出板部90は、本体板部71の長手方向および短手方向について形状的および配置的に対称となるように設けられている。
突出板部90は、装着状態のフィルタ5に対して、フィルタ幅方向について、フィルタ本体部5aの枠部61を構成する2つの縦架設部64bに対応する位置に設けられている(図8および図9参照)。図10に示すように、装着状態のフィルタ5に対し、フィルタ長さ方向の取手部5b側(図10において右側)に位置する2つの突出板部90は、中間部5cから取手部側縁部63aにかかる部分に当接した状態でフィルタ5を支持し、取手部5b側と反対側(図10において左側)に位置する2つの突出板部90は、主に反取手部側縁部63bの部分に当接した状態でフィルタ5を支持する。
突出板部90は、図10に示す側面視で、アーチ状に湾曲したフィルタ5に沿うように、上端縁部となる上辺部が本体板部71の短手方向の両外側にかけて下るように傾斜した略台形状を有する。なお、フィルタ5は、上述したようにフィルタ長さ方向についての反転装着が可能となっており、標準装着状態と反転装着状態とで、本体板部71の短手方向の両側に位置する突出板部90のフィルタ5に対する支持位置は、フィルタ長さ方向について互いに反転することになる。
以上のようにして表面パネル6の上面71aに設けられた突出板部90は、一対のフィルタレール部17cにフィルタ幅方向の両縁部の側縁部63cが嵌ることでアーチ状に形態が保持された状態のフィルタ5に対し、フィルタ幅方向の中間部を下側から支持する。したがって、フィルタ5は、フィルタレール部17cによって、フィルタ幅方向の両側の縁部が挟持支持されるとともに、表面パネル6の上面に突出した4箇所の突出板部90によって、下側から当接支持される。
なお、本実施形態では、フィルタ5を下側から支持する突出板部90は、板状の部分であるが、これに限定されるものではない。つまり、フィルタ5に下側から接触してフィルタ5を支持する支持突起部としては、フィルタ本体部5aの枠部61や中間部5cに接触してフィルタ5を下側から支持する部分であれば、形状は特に限定されない。また、突出板部90の配置位置や配置箇所数についても特に限定されない。
以上説明した本実施形態に係る浴室乾燥装置1によれば、装置本体4に対するフィルタ5の着脱作業の容易性を確保しながら、フィルタ5に付着した水滴がフィルタ5の取手部5bを伝って浴室内に落下することを防止することができる。以下、本実施形態に係る浴室乾燥装置1による作用効果について説明する。
本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、表面パネル6を取り付けた状態でフィルタ5の着脱を容易に行うため、アーチ状に湾曲した態様で支持されたフィルタ5が、中間部5cから取手部5bの部分にかけて斜め下方に傾斜し、しかも取手部5bが表面パネル6の外側に突出して下側に露出している。このため、仮にフィルタ5において中間部5cに水滴落下誘導部60が設けられていない場合、フィルタ本体部5a等に付着した水滴は、フィルタ5の傾斜によって中間部5cを伝って取手部5bに達し、取手部5bから落下することで、吸込口12の一部である、表面パネル6の外周側と開口カバー8の内周側との間の隙間を介して浴室内に滴下することになる(図11、仮想水滴W2参照)。
そこで、中間部5cに水滴落下誘導部60を設けることにより、取手部5bに流れようとする水滴を、下方に表面パネル6が存在する範囲内の位置で落下させることができる(図11、図16、落下水滴W3参照)。結果として、吸込口12の一部である隙間を介して浴室内に水滴が落下することを防ぐことができる。
また、浴室乾燥装置1においては、フィルタ5の支持形態がアーチ状に湾曲した形態であり、フィルタ5が中間部5cから取手部5bの部分にかけて斜め下方に傾斜している。このため、フィルタ5の着脱方向が水平面に対して斜め方向となるので、フィルタ5の着脱作業について良好な作業性が得られ、フィルタ5を容易に着脱することができる。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、フィルタ5のフィルタ長さ方向について両側の端部が中間部に対して下側に位置するように、フィルタ5が全体的にアーチ状に湾曲した状態で装置本体4に装着される構成が採用されている。
このような構成によれば、湾曲方向となるフィルタ長さ方向について、取手部5b側については、水滴落下誘導部60により水滴を表面パネル6上に落下させることができるとともに、表面パネル6から突出していない取手部5b側と反対側にも、フィルタ5に付着した水滴を誘導することができる。これにより、フィルタ5に付着した水滴を分散して表面パネル6の上方に落下させることができる。結果として、例えば表面パネル6上において水滴が局所的に溜まるといった現象を回避することができる。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、表面パネル6の上面に貯留部70を設けた構成が採用されている。
このような構成によれば、貯留部70によって表面パネル6上にて水滴を貯留して保持することができるので、水滴落下誘導部60により表面パネル6上に落下した水滴が、表面パネル6の上面上を流れて表面パネル6の外側から流れ落ちることを防止することができる。特に、水滴落下誘導部60の直下の位置に貯留部70を設けることにより、水滴落下誘導部60によって水切りされた水滴がそのまま貯留部70に落下して貯留されることになるので、表面パネル6から水滴が落下することを効果的に防止することが可能となる。
ここで、貯留部70の配置位置については、水滴落下誘導部60との関係で特に限定されるものではない。上述した実施形態においては、水滴落下誘導部60として設けられた第1リブ81、第2リブ82、および第3リブ83は、水滴を各リブの位置で略直下に落下させるように作用する。このため、水滴落下誘導部60の直下に貯留部70を設けることにより、水滴落下誘導部60から滴下する水滴を貯留部70により直接的に受けることができる。これに対し、貯留部70は、例えば、水滴落下誘導部60から落下した水滴が表面パネル6上を流れて到達するような、水滴落下誘導部60の直下の位置から離れた位置に設けられてもよい。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、水滴落下誘導部60を、第1リブ81および第2リブ82として、中間部5cの上面側および下面側の両側に設けた構成が採用されている。
このような構成によれば、フィルタ5の上面側を流れる水滴および下面側を伝う水滴の両方について水滴落下誘導部60による水切り作用を得ることができる。これにより、効果的に水滴落下誘導部60による水切りを行うことができる。なお、水滴落下誘導部60は、フィルタ5の中間部5cの上面65aおよび下面65bの少なくともいずれかの面に設けられればよい。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、水滴落下誘導部60が、第1リブ81や第2リブ82等のように、フィルタ5の中間部5cの板面から突出する突条部として設けられている。
このような構成によれば、形状的に容易に水滴落下誘導部60を形成することができ、簡単な構成で水滴落下誘導部60を設けることができる。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、水滴落下誘導部60が、第1リブ81において、中間部5cの上面65aを伝ってきた水滴を受けて表面パネル6上に落下させる傾斜面81bを有する構成が採用されている。
このような構成によれば、各傾斜辺部81aの傾斜面81bにより、中間部5cの上面65a上を伝ってきた水滴を傾斜面81bの傾斜方向に沿って所定の方向に誘導することができる(図14(a)、矢印X1参照)。これにより、中間部5cの上面65a上を伝ってきた水滴を第1リブ81において滞留させることなく表面パネル6上へと水滴をスムーズに落下させることができる。結果として、中間部5cの上面65a上を伝ってきた水滴が第1リブ81を乗り越えて取手部5bへと伝うことを防止することができる。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、フィルタ5の中間部5cの上面65aおよび下面65bに、フィルタ5の着脱方向に沿うスライド面を形成するスライド部として、上側スライド部84、下先端側スライド部85、および下基部側スライド部86が設けられている。
このような構成によれば、フィルタ5を装置本体4に対して着脱する際に、水滴落下誘導部60として設けられた突条部である第1リブ81または第2リブ82が引っかかることを防止することができる。これにより、フィルタ5の着脱をスムーズに行うことができる。
具体的には、図16に示すように、フィルタ5のフィルタレール部17cに対する挿脱の過程で水滴落下誘導部60が通過する経路においては、フィルタ5の挿入口となる吸込口12を形成する表面パネル6の側壁部72等の外側の縁部、および開口カバー8の外側(下側)の縁部が、それぞれフィルタ5の上面側および下面側に対して存在する。また、フィルタ5は、下側に開口する吸込口12に対して斜め方向に着脱される。このため、フィルタ5の着脱の過程において、突条部として設けられた第1リブ81および第2リブ82は、上述したような吸込口12を形成する表面パネル6および開口カバー8の縁部に接触して引っかかる可能性がある。
そこで、第1リブ81および第2リブ82に対し、上側スライド部84、下先端側スライド部85、および下基部側スライド部86が設けられている。中間部5cの上面65aにおいてスライド面84aを形成する上側スライド部84は、吸込口12を形成する開口カバー8の縁部に対するスライド部である。中間部5cの下面65bの第2リブ82よりも先端側においてスライド面85aを形成する下先端側スライド部85は、吸込口12を形成する表面パネル6の縁部(特に、側壁部72の上端部72a)に対するスライド面であって、フィルタ5の取外しの際に作用する。一方、中間部5cの下面65bの第2リブ82よりも基部側においてスライド面86aを形成する下基部側スライド部86は、吸込口12を形成する表面パネル6の縁部(特に、側壁部72の上端部72a)に対するスライド面であって、フィルタ5の装着の際に作用する。
また、中間部5cの下面65b側のスライド部は、下先端側スライド部85と下基部側スライド部86とで、フィルタ幅方向について互いにずれた位置に設けられている。つまり、下先端側スライド部85と下基部側スライド部86は、フィルタ長手方向について第2リブ82を介して非連続の態様で設けられている。かかる構成は、中間部5cの下面65bを伝う水滴が下先端側スライド部85および下基部側スライド部86によって第2リブ82を越えて取手部5bへと流れるといった現象を回避する観点からは、好ましい構成であるといえる。
なお、本実施形態では、中間部5cの上面65aおよび下面65bの両面側にスライド部が設けられているが、これに限定されず、中間部5cの上面65a側および下面65bのいずれか一方にスライド部を設けた構成であってもよい。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、水滴落下誘導部60が中間部5cの傾斜縁部65cから横方向に突出する第3リブ83を有する構成が採用されている。
このような構成によれば、フィルタ5のフィルタ幅方向の縁部を伝う水滴を落下させることができる。すなわち、略三角形状の中間部5cにおいて中間部5cのフィルタ幅方向の縁部となる傾斜縁部65cに第3リブ83が設けられることにより、傾斜縁部65cを伝って流れる水滴(図12、矢印X2参照)を、第3リブ83によって水切りすることが可能となる。これにより、第1リブ81および第2リブ82による水切り作用に加えて第3リブ83による水切りの作用が得られることから、効果的に水滴落下誘導部60による水切りを行うことができる。なお、第3リブ83は、フィルタ5の中間部5cの両側の傾斜縁部65cのうち片側のみに設けられてもよい。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、水滴落下誘導部60として設けられた第1リブ81、第2リブ82、および第3リブ83が、中間部5cの先端部近傍を全周にわたって囲む環状の突条部を構成するように設けられている。
このような構成によれば、簡単な形状により、水滴を落下させる位置を集中的に配置することが可能となる。また、水滴落下誘導部60から落下する水滴を受ける表面パネル6側において、水滴を集中的に受けることができるので、例えば、貯留部70を設けるに際し、効率的に水滴を貯留する構成を容易に実現することが可能となる。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、表面パネル6の上面に、フィルタ5を下側から支持する突出板部90を設けた構成が採用されている。
このような構成によれば、表面パネル6によりフィルタ5を下側から支持することができるので、装着状態のフィルタ5の形態を安定させることができる。これにより、フィルタ5の成形誤差や経年劣化などによって本来の形状に対する撓み等の変形が生じた場合であっても、フィルタ5が装置本体4に装着された状態において、フィルタ5が浮いたり反ったりすることなく、フィルタ5の形態を保持することができる。このため、フィルタ5において下方に傾斜した部分となる中間部5cに設けられる水滴落下誘導部60について、中間部5cの傾斜形状を利用した水切りの作用を安定して得ることが可能となる。
また、図16に示すように、装着状態のフィルタ5において、取手部5bの連係部66bが表面パネル6の側壁部72の上端部72aに接触または略接触する構成の場合、仮に水滴が水滴落下誘導部60を越えて取手部5b側に流れた場合であっても、取手部5bの側壁部72に対する接触部から水滴を表面パネル6上に誘導することができる。このような構成において、突出板部90によってフィルタ5の形態を保持することができることにより、フィルタ5が変形することで表面パネル6の側壁部72に接触した状態のフィルタ5が側壁部72から離れ、水滴落下誘導部60を越えた水滴が取手部5bに達するという現象を防止することができる。
また、表面パネル6に突出板部90を設けた構成によれば、付随的な作用効果として、フィルタ5の撓み変形によって内部吸込口18を塞ぐフィルタ5において内部吸込口18に隙間が生じることを防止することができる。これにより、吸込口12から吸い込まれた空気を確実にフィルタ5に通過させることができる。
また、本実施形態に係る浴室乾燥装置1においては、装置本体4に装着される板状部材として、フィルタ5が採用されている。
このような構成によれば、水滴が付着しやすいフィルタ5において、水滴落下誘導部60を効果的に作用させることが可能となる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る浴室乾燥装置は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態においては、装置本体に着脱可能に設けられる板状部材として、フィルタが採用されているが、これに限定されるものではない。板状部材としては、フィルタのほか、例えば脱臭部材や芳香部材や除菌部材や風量調整部材等が挙げられる。
また、上述した実施形態においては、フィルタ5は、装置本体4に対する装着状態において全体としてアーチ状に湾曲した形態となるが、これに限定されるものではない。フィルタ5の装着状態での形態としては、例えば、フィルタ5の取手部5b側の部分が部分的に斜め下方向へ傾斜した形態であってもよい。すなわち、フィルタ5の装着状態での形態としては、少なくともフィルタ5の取手部5b側の部分が、フィルタ5の着脱方向(吸込
口12に対する挿脱方向)に沿うように、つまりフィルタ5の着脱方向と同じかそれに近い方向に斜め下方向へ傾斜した形態であればよい。
また、上述した実施形態においては、中間部5cの上面65a、下面65b、および傾斜縁部65cにおいて、水滴落下誘導部60としての第1リブ81、第2リブ82、および第3リブ83が、それぞれ1箇所に設けられ、一段構成となっているが、これに限定されるものではない。第1リブ81、第2リブ82、および第3リブ83は、中間部5cの各部において複数箇所に設けられ複数段構成であってもよい。さらに、水滴落下誘導部60としては、例えば、中間部5cの上面65aまたは下面65bから延出された棒状や線状の形状を有する延出形状部分であってもよい。つまり、水滴落下誘導部60としては、中間部5cの上面65aまたは下面65bに対する基部の位置の直下に水滴を落下させるものに限らず、上面65aまたは下面65bから延出され、かかる基部の位置から離れた位置に水滴を誘導させて落下させる形状部分であってもよい。