JP2019038191A - 加飾された多孔質材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質材に対し、その機能を損なうことなく、発色性の高い画像を形成することが可能な加飾技術を提供する。【解決手段】多孔質材の表面に、前処理液Aを付着させる第1前処理工程、前記第1前処理工程の後に、前記多孔質材の表面に、前処理液Bを付着させる第2前処理工程、及び、前記第2前処理工程の後に、水及び色材を含む水性インクジェットインクを用い、前記多孔質材の表面にインクジェット印刷する印刷工程を含み、前記前処理液Aは、多価金属塩及びイオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種である成分A、並びに水を含み、前記前処理液Bは、水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である成分B、並びに水を含む、加飾された多孔質材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、加飾された多孔質材の製造方法に関する。
微細な孔が無数にあいている構造をもった天然素材または合成樹脂、金属、ガラス等の機能性多孔質材は、従来の素材では持ちえない、多孔質構造に由来する特徴的な性質をもっている。
多孔質であるため非常に軽量であり、孔がいずれかの部分で連結しているため通気性や透過性、透光性、吸水性、断熱性等の様々な機能をもつ。また、孔の内部に空気や液体を保持することが可能であるため、衝撃吸収性、吸音性、吸水性、断熱性、又はエネルギー吸収性などをもつ。さらに、比表面積が大きくなるため、表面での化学反応性等も高くなる。また、加工性に優れており、容易に切断や曲げが可能である。
そのような性質と、素材が本来もつ特徴を併せ持つため、多様な用途に利用されている。
例えば、吸音材として利用されている多孔質材として、アルミニウム等の無機物の粉体、無機物の繊維又は無機物の不織布を焼結して多孔質にした物、アルミニウム繊維又は樹脂繊維を圧縮成形した物、ガラス繊維とパルプを混ぜた物などがある。
また、断熱材としても多孔質材が多く用いられる。グラスウール、ロックウール、ガラスクロス等、そのままの形状で使用されるものもあれば、吸音材と同様に圧縮成形したものもある。
吸音材や断熱材は、建築物の内装やスピーカーのカバー等に用いられることが多いため、機能だけではなく高い意匠性も求められる。そのため、これらの基材に高品位の画像を形成可能で、基材が本来もつ多孔質構造ならではの機能を消失、低減しない加飾方法が必要となる。
吸音材や断熱材等の多孔質材の加飾方法としては、表面を立体加工して凹凸等をつける方法、塗装又は印刷により色及び/又は模様をつける方法、ファブリックで覆う方法等があるが、よりユーザーのニーズに対応し、表現の幅を広げるためには、オンデマンド印刷による加飾方法が適している。
特許文献1には、印刷前の多孔質吸音材に対し、特定の色材定着成分を含む表面処理材を適用する技術が記載されている。
特開2016−210977号公報
多孔質材は、その構造ゆえに液体を高速度で吸収する性質をもつ傾向がある。そのため、特にインクジェットインクのような低粘度のインクは、インクが基材内部に瞬時に浸透しやすく、十分な発色を得にくい。
一方、塗料等の粘度が高いインクは、多孔質材に対しても比較的基材内部に浸透しにくいため塗装しやすいが、デジタル印刷に比べ表現力が低い。
スクリーンインクのようにインク中の樹脂量が非常に多いインクで印刷した場合、多孔質材がもつ孔が塞がれてしまい、多孔質材が本来もつ機能を低下させてしまう恐れがある。
本発明の一目的は、多孔質材に対し、その機能を損なうことなく、発色性の高い画像を形成することが可能な加飾技術を提供することである。
本発明の一実施形態は、多孔質材の表面に、前処理液Aを付着させる第1前処理工程、前記第1前処理工程の後に、前記多孔質材の表面に、前処理液Bを付着させる第2前処理工程、及び、前記第2前処理工程の後に、水及び色材を含む水性インクジェットインクを用い、前記多孔質材の表面にインクジェット印刷する印刷工程を含み、前記前処理液Aは、多価金属塩及びイオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種である成分A、並びに水を含み、前記前処理液Bは、水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である成分B、並びに水を含む、加飾された多孔質材の製造方法に関する。
本発明の実施形態により、多孔質材に対し、その機能を損なうことなく、発色性に優れた画像を形成することが可能な、加飾された多孔質材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことは言うまでもない。
以下の記載において、多孔質材を「基材」と記すことがあり、水性インクジェットインクを単に「インク」又は「水性インク」と記すことがある。
また、「加飾」は装飾と同義であって、印刷画像を形成することを意味しており、「加飾された」とは印刷画像を有することを意味する。また、加飾された多孔質材を、「加飾物品」と記す場合もある。
<加飾された多孔質材の製造方法>
本発明の実施形態の加飾された多孔質材の製造方法は、多孔質材の表面に、前処理液Aを付着させる第1前処理工程、第1前処理工程の後に、前記多孔質材の表面に、前処理液Bを付着させる第2前処理工程、及び、前記第2前処理工程の後に、水及び色材を含む水性インクジェットインクを用い、前記多孔質材の表面にインクジェット印刷する印刷工程を含み、前記前処理液Aは、多価金属塩及びイオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種である成分A、並びに水を含み、前記前処理液Bは、水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である成分B、並びに水を含む。
この加飾された多孔質材の製造方法では、多価金属塩及びイオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種である成分Aと水とを含む前処理液A、及び、水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である成分Bと水とを含む前処理液Bを用いることで、多孔質材の表面に存在する処理液の成分と水性インクの成分との凝集反応、及び/又は、処理液が形成する微細な空隙に水性インクの成分が捕獲されることにより、インクの色材が基材の表面に高い濃度で存在することが可能となり、このため、高発色な画像を有する加飾物品を得ることが可能となる。また、滲みが抑制された画像を有する加飾物品を得ることも可能となる。
加飾された多孔質材の製造方法は、第1前処理工程、第2前処理工程、及び印刷工程以外の、任意の他の工程(例えば、乾燥工程、加熱工程、他の処理工程等)を含んでいてもよい。
多孔質材は特に限定されない。多孔質材としては、例えば、紙、布などの一般的な多孔質材でもよく、例えば、無機粉体、無機繊維又は樹脂繊維を、焼結又は紡織等により成形した機能性多孔質材でもよい。機能性多孔質材は、多孔質材の構造から得られる機能を有する基材であり、そのような機能として、例えば、吸音機能、断熱機能等が挙げられる。多孔質材の形状はとくに限定されないが、シート状のもの、シート状のものを成形したものが好ましい。シート状のもの、シート状のものを成形したものとしては、例えば、シートの表面に凹凸を有していてもよい。シートの厚さは、多孔質構造に由来する機能の発現しやすさの観点から、0.3mm以上であることが好ましい。これらの多孔質材は、単独で使用しても良いし、複数枚重ねても良い。また、他の基材と組み合わせて使用しても良い。
例えば、吸音材は、吸音により防音効果を奏する防音材であり、表面及び内部に多数の細孔を備え、この細孔が音を吸収して防音効果を発揮する。こうした機能を奏する多孔質体であれば、特に限定されず、例えば、グラスウール、ロックウール、樹脂繊維、金属質繊維等を用いて形成されるもの、又は樹脂発泡体、石膏ボード、金属発泡体、金属粉末焼結体から形成されるものを用いることができる。アルミニウム、ステンレス等のエキスパンドメタルを用いた防音材でもよい。
吸音材の形状は通常、ボード状あるいはパネル状、すなわち板状であるが、これに限定されるものではない。
なかでも、吸音材として、多孔質金属体を用いることが好ましい。多孔質金属体とは、微細な孔が無数にあいた構造を有する金属体である。
吸音材として利用されている多孔質金属体としては、アルミニウムの不織布をプレス加工したもの、及びアルミニウム、銅、マグネシウム、チタニウム、ステンレス鋼、ニッケル等の金属粉末を焼結して多孔質にしたもの、アルミニウム等の溶融金属を発泡させ気孔を作ることで多孔質にしたものなどが挙げられる。これらは、従来の石膏ボードやグラスウール、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、又はセラミック素材の吸音材のように、繊維や粒子が飛散することもなく、リサイクルも容易である。例えば市販品としては、アルミニウム粉末を焼結して製造された金属製吸音板「NDCカルム」(エヌデーシー販売株式会社)、アルミニウム繊維をプレス成形した「アルトーン」(ニチアス株式会社)、アルミニウム不織布をエキスパンドメタルでサンドイッチ状に密着・圧延した「ポアル」(株式会社ユニックス)、アルミニウム繊維を連続焼結させた「フルポーラス」(株式会社UACJ)、「メタシリー」(株式会社サーマル)等を好ましく使用できる。
吸音材の市販品としては、ポリエステル繊維を圧縮した「アコースティック・ミュートボード」(株式会社アコースティック・アドバンス)、ガラス繊維とパルプを混ぜた極薄軽量シートからなる「カールトン」(野原産業株式会社)等も挙げられる。
吸音性能は、吸音率で表すことができる。吸音率αは、入射した音のエネルギーに対する、反射されてこない音のエネルギーの比率であり、以下の式で示される。
α=(la+lt)/li=(li−lr)/li=1−lr/li
α:吸音率
li:入射音のエネルギー(=lr+la+lt)
lr:反射音のエネルギー
la:吸収音のエネルギー
lt:透過音のエネルギー
吸音率の種類として、垂直入射吸音率、ランダム入射吸音率、斜入射吸音率があるが、一般的にはJIS A 1409で規格化されたランダム入射吸音率で表記され、残響室法を用いて測定される。
本実施形態の加飾された多孔質材の製造方法は、多孔質材の表面に、前処理液Aを付着させる第1前処理工程、及び、第1前処理工程の後に、多孔質材の表面に、前処理液Bを付着させる第2前処理工程を含む。
本明細書において、「前処理」とは、塗布等の任意の手段により、前処理液を多孔質材に付着させる意味であり、前処理液を付着させることを「適用」とも記す。また、その付着箇所は、多孔質材の表面のみではなく、孔の内部(内面)を含んでいてもよい。
水性インクジェットインクによる印刷前に、前処理液Aを用いた第1前処理工程、及び、前処理液Bを用いた第2前処理工程を行うことにより、多孔質材に高発色の画像を付与することができる。
前処理液Aは、多価金属塩及びイオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種である成分Aを含むことが好ましい。前処理液Bは、水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である成分Bを含むことが好ましい。
成分Aのイオン性粒子の例として、イオン性水分散性樹脂、イオン性表面を有する無機粒子が挙げられる。一実施形態において、成分Aは、多価金属塩、イオン性水分散性樹脂及びイオン性表面を有する無機粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
成分Bの水分散性樹脂は、例えば、イオン性水分散性樹脂、非イオン性水分散樹脂のいずれでもよい。一実施形態において、成分Bは、イオン性水分散性樹脂、非イオン性水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
例えば、一実施形態において、成分Aは、多価金属塩、イオン性水分散性樹脂及びイオン性表面を有する無機粒子からなる群から選択される少なくとも1種であり、成分Bは、イオン性水分散性樹脂、非イオン性水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
成分A及び/又はBは、イオン性材料を含むことが好ましく、カチオン性材料を含むことがより好ましい。例えば、下記の条件(a)又は(b)の少なくとも1つが満たされることが好ましい。
(a)成分Aは、多価金属塩及びカチオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
(b)成分Bは、カチオン性水分散性樹脂及びカチオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
条件(a)は、下記の条件(a´)であることがより好ましい。
(a´)成分Aは、多価金属塩、カチオン性水分散性樹脂、及びカチオン性表面を有する無機粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
以下、前処理液Aの成分Aに含まれうる多価金属塩、及び、イオン性粒子、並びに、前処理液Bの成分Bに含まれうる樹脂粒子、及びイオン性水溶性樹脂について、より詳細に説明する。
インク中の色材は、多価金属塩の存在により、その分散状態が破壊されて、凝集状態に成りやすい傾向がある。そのため、多価金属塩が多孔質材に付着していることにより、多価金属塩と接触した色材が凝集して、多孔質材の表面に留まり易くなると考える。
多価金属塩としては、例えば、Mg、Ca、Al、Zn、Ba等の2価以上の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、脂肪酸塩、乳酸塩等が挙げられる。多価金属塩は、例えば、水和物であってもよい。多価金属塩としては、1種を単独で、または、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
前処理液Aの成分Aが多価金属塩を含む場合、前処理液A中における多価金属塩の含有量は、処理した際の基材表面におけるインク定着性の観点から0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上であることが、この順に一層好ましい。一方、前処理液Aの安定性や画像の均一性の観点から、多価金属塩量は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下で、6質量%以下あることが、この順に一層好ましい。
水性インク中の色材は、表面電荷としてイオン性をもつものが多いため、前処理液に逆電荷のイオン性の材料を用いることで、加飾時に色材と基材表面の処理液材料が接触した際にアニオン−カチオン反応が生じ、色材を基材表面に留めることができる。その際、前処理液A及び/又は前処理液Bは、イオン性材料を含むことが好ましく、このようなイオン性材料としては、イオン性の低分子化合物、イオン性の高分子化合物、イオン性表面を有する無機粒子などが挙げられる。前処理液A及び/又は前処理液Bがイオン性材料を含む場合のイオン性材料としては、カチオン性材料がより好ましい。
前処理液Aの成分Aに含まれうるイオン性粒子としては、例えば、イオン性水分散性樹脂、イオン性表面を有する無機粒子が挙げられる。
前処理液Aの成分Aに含まれうるイオン性粒子は、カチオン性、アニオン性のいずれでもよいが、カチオン性粒子がより好ましい。一実施形態において、成分Aは、多価金属塩及びカチオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
イオン性表面を有する無機粒子(以下、単に「イオン性無機粒子」又は「無機粒子」という場合もある。)は、インクの受容層となり、色材を定着させることができる。その際、多孔質材が本来有する空隙を無機粒子が埋めることになるが、無機粒子で形成される受容層自体も多孔質層となるため、多孔質材の性能を良好に維持することができる。
無機粒子は、基材に対する定着性の観点から、動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm未満であることが好ましい。前処理液A及び/又はBは、さらに粒径の大きな無機粒子を一部に含んでいてもよい。
好ましい一実施形態において、無機粒子は、表面がプラスに帯電した、正電荷を帯びたカチオン性の無機粒子である。カチオン性の無機粒子としては、例えばカチオン性コロイダルシリカが挙げられる。
無機粒子及び後述する樹脂粒子の表面電荷量は、粒子電荷量計で評価することができる。試料を中和するのに必要なアニオン量またはカチオン量を測定することで、表面電荷量を算出することができる。具体的には、カチオン性無機粒子の表面電荷量は、+50μeq/g以上であることが好ましく、+100μeq/g以上であることがより好ましい。粒子電荷計としては、日本ルフト株式会社製コロイド粒子電荷量計Model CAS等を用いることができる。
前処理液A中における無機粒子の含有量は、処理した際の基材表面におけるインク定着性の観点から1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上がさらに好ましい。一方、前処理液Aの粘度が高すぎる場合、均一な処理が困難になるため、無機粒子量は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
前処理液Bの成分Bに含まれうる水分散性樹脂としては、例えば、イオン性水分散性樹脂、非イオン性水分散性樹脂のいずれでもよいが、イオン性水分散性樹脂が好ましく、カチオン性水分散性樹脂がより好ましい。
以下、前処理液Aの成分Aに含まれうるイオン性粒子の例であるイオン性水分散性樹脂、及び前処理液Bの成分Bに含まれうる水分散性樹脂の例であるイオン性水分散性樹脂について、まとめて説明する。
なお、前処理液Aの成分A及び前処理液Bの成分Bがそれぞれイオン性水分散性樹脂を含む場合、前処理液Aの成分Aに含まれるイオン性水分散性樹脂及び前処理液Bの成分Bに含まれるイオン性水分散性樹脂は、互いに同一であっても異なってもよい。
水分散性樹脂は、水に溶解することなく粒子状に分散して、水中油(O/W)型のエマルションを形成できるものである。
イオン性の水分散性樹脂は、樹脂粒子の表面がプラス又はマイナスに帯電した、電荷を帯びた樹脂粒子であり、樹脂粒子の表面がプラスに帯電した、正電荷を帯びた水分散性は、カチオン性水分散性樹脂であり、樹脂粒子の表面マイナスに帯電した、負電荷を帯びた水分散性は、アニオン性水分散性樹脂である。イオン性水分散性樹脂としては、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するカチオン性又はアニオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にカチオン性またはアニオン性の分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。
カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、又はベンゾピラゾール基等であり、カチオン性の分散剤の例としては、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、カチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等が挙げられる。
アニオン性の官能基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基等であり、アニオン性の分散剤の例としては、陰イオン界面活性剤等である。
カチオン性水分散性樹脂の表面電荷量は、+50μeq/g以上であることが好ましく、+100μeq/g以上であることが好ましい。樹脂粒子の表面電荷量の測定方法は、上述の無機粒子の表面電荷量について説明した通りである。表面電荷量が+100μeq/g以上であるカチオン性水分散性樹脂の例として、上記の「PP−17」、「ポリゾールAP−1350」、「ボンコートSFC−55」、「アクアテックスAC−3100」等が挙げられる。
水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、処理液の製造に際しては、水中油型の樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いても良い。後述するが、これらの樹脂が複合された樹脂エマルションでも良い。
上記のとおり、これらの樹脂にカチオン性又はアニオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性又はアニオン性分散剤等で表面処理して、プラス又はマイナスの表面電荷を与えることができる。
イオン性水分散性樹脂の粒径は、特に限定されず、複数種の異なる粒径の粒子を任意に組み合わせて用いることができる。
一実施形態において、多孔質材の表面に留まりやすく、加熱乾燥等により基材表面に定着しやすいとの観点から、イオン性水分散性樹脂としては、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が0.5μm以上のサイズを持つイオン性水分散性樹脂(以下、「大粒子」と記す場合もある。)が好ましい。また、樹脂粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、これにより多孔質材の多孔を完全に塞ぐことなく、多孔質材の多孔質構造に由来する性能の低下を抑制することができる。
一実施形態において、イオン性水分散性樹脂として、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が0.5μm(500nm)未満のサイズをもつイオン性水分散性樹脂(以下、「小粒子」と記す場合もある。)を用いてよい。
さらに好ましい一実施形態においては、イオン性水分散性樹脂として、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が0.5μm以上10μm以下の大粒子と、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が0.5μm未満の小粒子とを組み合わせて用いてもよい。
例えば、一実施形態において、前処理液Aの成分A及び前処理液Bの成分Bのうちの一方が、動的光散乱法により測定されるメジアン径が0.5μm以上10μm以下の大粒子を含んでよく、他方が、動的光散乱法により測定されるメジアン径が0.5μm未満の小粒子とを含んでよい。
樹脂粒子の平均粒径は、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒径値(メジアン径)である。動的光散乱式粒子径分布測定装置としては、ナノ粒子解析装置nano Partica SZ−100(株式会社堀場製作所製)等を用い、水分散性樹脂の濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、25℃で測定することができる。
前処理液A中、前処理液B中及び後述するインク中において、樹脂粒子は、独立した微粒子の状態で存在する場合と、独立した微粒子が集合した凝集体の状態で存在する場合とが考えられるが、動的光散乱法で測定されるメジアン径を「平均粒径」と位置づけることとする。
なお、上記樹脂粒子の平均粒径は、前処理液A、前処理液B又はインクを調製する前の原料エマルション状態で測定することが、インクの場合であれば色材(顔料粒子)の影響を排除できることから好ましく、その測定値を本実施形態の平均粒径とすることができる。
大粒子の平均粒径は、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上であることがこの順に好ましく、10μm以下、7μm以下、5μm以下であることがこの順に好ましい。
小粒子の平均粒径は、0.5μm(500nm)未満、250nm以下であることがこの順に好ましい。平均粒径の下限値は、特に限定はされないが、表面処理液の保存安定性の観点からは、5nm以上程度であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
さらに、大粒子と小粒子は、両者を混合して平均粒径を測定した場合に、その粒度分布において二つのピークが存在する、すなわち各々が異なるピーク値を有するものであることが好ましい。
また、大粒子と小粒子は、平均粒径値の相違に加え、その他の相違点を有していてもよい。例えば、大粒子は、最低造膜温度(MFT)が70℃以上であることが好ましく、一方、小粒子は、MFTが70℃未満以下であることが好ましい。このMFTとは、エマルションがフィルム化(成膜)するために必要な温度であり、JIS K6828−2に従って測定することができる。ここで、70℃においても成膜しない水分散性樹脂は、MFTが70℃以上の水分散性樹脂に含まれるものとする。
より好ましくは、大粒子のMFTは100℃以上であり、小粒子のMFTは50℃以下であり、特に、小粒子は室温で成膜することが好ましいため、40℃以下であることが一層好ましい。
また、大粒子のMFTと小粒子のMFTの差は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
大粒子と小粒子の樹脂の分子構造は、同一であってもよいが、互いに異なるものを用いてもよい。
大粒子のカチオン性水分散性樹脂として、例えば、カルボキシ基、スルホ基等に代表されるアニオン性の官能基を有するポリマーと、アミノ基又はアミド基等に代表されるカチオン性の官能基を有するポリマーとが複合して得られるポリマーコンプレックスであって、コア部がアニオン性ポリマー、シェル部がカチオン性ポリマーである、コアシェル構造の複合有機粒子を用いることも好ましい。
複合有機粒子のアニオン性ポリマーとしては、例えば繰り返し単位として(メタ)アクリル酸を含むポリマー、より具体的にはスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。スチレン、(メタ)アクリル酸以外の、これらと共重合可能なビニル化合物を含んでいてもよい。
複合有機粒子のカチオン性ポリマー(塩基性ポリマー)としては、例えば、含窒素モノマーを含むポリマーであり、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルイミダゾール等の窒素複素環化合物を繰り返し単位として含むホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。コポリマーを形成するコモノマーとしては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリルアミド等の一般的なビニル化合物を、1種または2種以上選択して使用できる。
この場合のアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの使用割合は、粒子表面の電荷をカチオン性とするために、質量比で、アニオン性ポリマー1に対し、カチオン性ポリマーが3〜10であることが好ましい。
このような複合有機粒子の市販品として、「PP−15」、「PP−17」(共に明成化学工業株式会社製)を好ましく用いることができる。
小粒子のカチオン性水分散性樹脂の市販品としては、例えば、「ポリゾールAP−1350」(昭和電工株式会社製、カチオン性水系アクリル樹脂エマルション)が挙げられる。
前処理液A中におけるイオン性水分散性樹脂の量は、処理した際の基材表面におけるインク定着性の観点から1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上がさらに好ましい。一方、処理液の粘度が高すぎる場合、均一な処理が困難になるため、樹脂量は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。前処理液B中におけるイオン性水分散性樹脂の量についても同様である。
また、前処理液Aの成分A及び前処理液Bの成分Bがいずれもイオン性水分散性樹脂を含む場合、前処理液Aに含まれる水分散性樹脂の含有量X(前処理液A全量に対する質量%)及び前処理液Bに含まれる水分散性樹脂の含有量Y(前処理液B全量に対する質量%)の比率は、X1に対しYが0.1〜1.5程度であることが好ましく、0.5〜1.2程度がより好ましい。
前処理液Aの成分A及び前処理液Bの成分Bが、それぞれイオン性水分散性樹脂を含み、そのイオン性が同一である場合、水分散性樹脂を基材表面に残しやすくする観点から、前処理液Aの成分Aに含まれる水分散性樹脂の大きさが、前処理液Bの成分Bに含まれる水分散性樹脂の大きさと同じか、より大きいことが好ましい。
前処理液Bの成分Bは、水分散性樹脂として、例えば、非イオン性水分散性樹脂を含んでもよい。非イオン性水分散性樹脂の市販品としては、例えば、モビニール7720(日本合成化学工業株式会社製)、ボンコート40−418EF(DIC株式会社製)、HUX−895、HUX−830((株)ADEKA製)、スーパーフレックス500M、スーパーフレックスE−4800(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
前処理液Bの成分Bは、イオン性水溶性樹脂を含んでよい。
イオン性水溶性樹脂としては、アニオン性、カチオン性のいずれでもよいが、カチオン性水溶性樹脂が好ましい。カチオン性水溶性樹脂の例としては、アミノ基を有する水溶性樹脂が好ましい。
アミノ基を有する水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルピリジン等の塩基性高分子電解質またはそれらの誘導体を挙げることができ、特に、数平均分子量が200〜2000のポリエチレンイミン、または、数平均分子量200〜2000のポリエチレンイミンとアクリル酸エステルまたはビニル化合物のいずれかと付加反応した変性ポリエチレンイミンを好適に使用することができる。変性ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンの全アミン価を1モル当量とした場合に、アクリル酸エステルまたはビニル化合物との比率が0.3モル当量以上1モル当量未満のものが好ましい。ここで、アミン価は、JIS K−7237−1995(エポキシ樹脂のアミン硬化剤の全アミン価試験方法)の(2)指示薬滴定方法によりアミン価(KOHmg/g)を求め、KOHの分子量56.11mg/mmolと換算して算出したものである。
ポリエチレンイミンは、市販のものを用いることが可能であり、たとえば、(株)日本触媒製エポミンSP−006、SP−012、SP−018、SP−200(いずれも商品名);BASFジャパン(株)製Lupasol FG、Lupasol G20 Waterfree、Lupasol PR 8515(いずれも商品名)等を好ましく挙げることができる。
また、ポリアリルアミンとしては、たとえば日東紡績株式会社のPAA−01、PAA−03、PAA−05、アリルアミン塩重合体であるPAA−HCL−01、PAA−HCL−03、PAA−HCL−05、アリルアミンアミド硫酸塩重合体であるPAA−SA等が挙げられるがこの限りではない。
前処理液B中のイオン性水溶性樹脂の量は、前処理液Bの全質量に対して、基材への定着力の観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上がさらに好ましく、前処理液の粘度の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
前処理液A及び前処理液Bは、それぞれ、水を含むことが好ましい。
水は、前処理液の溶媒、すなわちビヒクルとして機能するものであり、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が使用できる。水は揮発性の高い溶媒であり、多孔質材に吐出された後、容易に蒸発するので、表面処理後の多孔質材の細孔が塞がれるのを防止し、表面処理後の多孔質材の多孔質構造に由来する性能の低下を防止する作用を奏する。また、水は、無害で安全性が高く、VOCのような問題が無いので、表面処理された多孔質材を環境にやさしいものとすることができる。
前処理液中の水の含有量が多ければ多いほど、多孔質材の多孔質構造に由来する性能の低下を防止する効果が高まるので、前処理液A中、水は、前処理液A全量の60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。前処理液Bについても同様である。
前処理液A及び前処理液Bのそれぞれにおいて、溶媒は、ほとんどが水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。水溶性有機溶剤の沸点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、水と単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
前処理液Aに水溶性有機溶剤が含まれる場合は、水溶性有機溶剤の含有量は、粘度調整と保湿効果の観点から、前処理液A中に30質量%以下(あるいは、溶媒中に50質量%以下)であることが好ましい。前処理液Bに水溶性有機溶剤が含まれる場合の、前処理液Bにおける水溶性有機溶剤の量の好ましい範囲についても同様である。
前処理液A及びBはそれぞれ、その表面張力を低下させて基材表面に均一に塗布できるようにするために、また、粒径の小さい水分散性樹脂粒子(小粒子)又は無機粒子の凝集を抑制して液の保存安定性を高めるために、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。
また、金属やガラス等の無機材料を成形した多孔質材は、一般に表面の親水性が低い。そのため、水性インクをその上に印刷すると、インクに対する濡れ性が悪く、結果として均一な印刷ドットが形成できず画質が低下する場合がある。そのような場合、前処理液に界面活性剤を配合し、表面の親水性が低い基材に、インクに対する濡れ性を付与することが好ましい。
なお、無機材料由来の多孔質材に界面活性剤を含む前処理液で前処理したものを高温多湿環境に長期保管する場合には、前処理後に熱乾燥して基材に固定化させた前処理層の、未加飾の状態における高温多湿での保存安定性の観点から、前処理液Aには活性剤を含まず、前処理液Bには界面活性剤を含むことが好ましい。この場合、高温多湿で保存する場合でも、前処理層が多孔質材に安定して固定化され、すぐれた発色性を得やすい。これは、未加飾の状態で湿度が高く温度も高めの環境に一定期間保管しておいた際にも、前処理層と基材との界面の界面活性剤の密度が高くなりにくいためと考える。
界面活性剤は、親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のものと非イオン性(ノニオン性)のものに大別されるが、本実施形態では、処理液の泡立ちの観点から、起泡しにくい非イオン系の界面活性剤を用いることが好ましい。また、低分子系・高分子系(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のどちらでも良いが、高分子系界面活性剤を用いることが好ましい。
HLB値については、5〜20程度の界面活性剤であることが好ましい。
非イオン系の界面活性剤としては、たとえば、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等のエステル型のもの、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型のもの、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型のもの等が挙げられる。
本実施形態では、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、アセチレングリコールであるサーフィノール104E、104H、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造のサーフィノール420、440、465、485、アセチレングリコールのオルフィンE−1004、E−1010、E−1020、PD−002W、PD−004、EXP.4001、EXP−4200、EXP−4123、EXP−4300等(日信化学工業株式会社)、アセチレングリコールのアセチレノールE00、E00P、アセチレングリコールのエチレンオキサイドを付加した構造のアセチレノールE40、E100等(川研ファインケミカル株式会社)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤は、非常に高い表面張力低下能と接触角低下能を持つため、多孔質材表面が親水性でなくても基材表面に処理液を速やかに拡散させることができる。その結果、多孔質材の表面に処理液の機能発現成分が均一に定着することができるため、印刷した際にインクが処理部分に均一に定着し、高発色で高品位の印刷画像を得ることができる。
シリコーン系界面活性剤のなかでも、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤が好ましい。市販品では「シルフェイスSAGシリーズ」(日信化学工業株式会社)を好ましく使用できる。
界面活性剤は、上記のシリコーン系界面活性剤等を、いずれか単独で用いてもよいし、互いに相溶性が良好な複数の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤を使用する場合の前処理液A中の含有量は、0.1質量%以上程度であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましく、一方、前処理液A中の界面活性剤量は、5質量%以下程度であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが一層好ましい。
同様に、界面活性剤を使用する場合の前処理液B中の含有量は、0.1質量%以上程度であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましく、一方、前処理液B中の界面活性剤量は、5質量%以下程度であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが一層好ましい。
前処理液A及びBには、それぞれ、その機能を阻害しない限り、上記の成分以外に、例えば、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
例えば、前処理液Aの成分Aが無機粒子又は多価金属塩の場合、前処理液の基剤への定着性を高めるために、前処理液Aまたは前処理液Bの少なくとも一方にバインダー樹脂が含まれていることが好ましい。
バインダー樹脂は、特に限定されないが、例えば、水分散性樹脂として先に例示したエチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等、水溶性樹脂として先に例示した樹脂等を好ましく用いることができる。これらの樹脂は一種が単独で含まれても良いし、複数が含まれても良い。また、これらの樹脂を架橋させる架橋成分が含まれても良い。架橋成分としては、例えばブロックイソシアネート、オキサゾリン基含有化合物、(ポリ)カルボジイミド、アジリジン等が挙げられるがその限りではない。なお、成分A及び/又はBが、例えば、水分散性樹脂又は水溶性樹脂を含む場合は、この成分A及び/又はBの水分散性樹脂又は水溶性樹脂がバインダー樹脂としての機能も併せ持つことができる。
前処理液A及び前処理液Bは、その成分の一部又は全部が同一であっても異なってもよい。例えば、前処理液Aがイオン性粒子として水分散性樹脂を含み、前処理液Bが、前処理液Aの水分散性樹脂と同じ水分散性樹脂を含んでもよい。また、前処理液A及び前処理液Bの成分の一部又は全部が同一である場合、前処理液A及び前処理液Bの間で、同一の成分の含有量が同一であっても異なってもよい。
前処理液A及び前処理液Bは、それぞれ、水、及びその他の成分を、例えばホモジナイザーや超音波分散機等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。
第1前処理工程では、多孔質材の表面に前処理液Aを付着させる。第2前処理工程では、多孔質材の表面に前処理液Bを付着させる。
第1前処理工程における前処理液Aの多孔質材表面への付着、及び、第2前処理工程における前処理液Bの多孔質材表面への付着は、それぞれ、例えば、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター、スプレーなどを使用して基材表面に一様に塗布することによって行ってもよいし、又は、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。すなわち、前処理液A及び前処理液Bは、それぞれ、多孔質材表面の全面に塗布されてもよいし、必要な箇所にのみ、例えば上記インクを用いたインクジェット印刷が行われる箇所にのみ塗布されてもよい。前処理液Aの付着方法及び前処理液Bの付着方法は、同じ方法でも異なる方法でもよい。
前処理液A及びBそれぞれの塗工量(付着量)は、多孔質材の種類・材質等によっても異なるため一律に規定することはできないが、加飾画像の一定の発色及び光沢を達し、かつ、多孔質構造に由来する性能を妨げないためには、塗布面積あたりの固形分量(不揮発分量)として、例えば、それぞれ独立に、1g/m〜50g/m程度であることが好ましく、2g/m〜30g/m程度であることがより好ましい。
例えば、多孔質材には、第1前処理工程の前に、任意の下地塗装や親水化処理等がなされていても良い。その場合、塗装は水性の塗料で行われることが好ましい。また、多孔質材が本来もつ性能を低下させない程度の下地塗装であることが好ましい。
例えば、第1前処理工程と第2前処理工程と間、及び/又は、第2前処理工程と印刷工程との間に、別の処理液による処理又は乾燥等の別の処理が行われてもよい。
例えば、成分Aの多孔質材表面への定着性を高めるため、第1前処理工程で前処理液Aを多孔質材の表面に付着させた後、前処理液Aを乾燥させてから、第2前処理工程を行うことが好ましい。第1前処理工程の後かつ第2前処理工程の前に乾燥工程を行う場合の乾燥方法はとくに限定されず、例えば、加熱乾燥などが挙げられる。加熱乾燥における加熱温度は、例えば、50〜200℃(より好ましくは50〜150℃)であってよい。
例えば、成分Bの多孔質材表面への定着性を高めるため、第2前処理工程で前処理液Bを多孔質材の表面に付着させたのち、前処理液Bを乾燥させてから、印刷工程を行うことが好ましい。第2前処理工程の後かつ印刷工程の前に乾燥工程を行う場合の乾燥方法はとくに限定されず、例えば、加熱乾燥などが挙げられる。加熱乾燥における加熱温度は、例えば、50〜200℃(より好ましくは50〜150℃)であってよい。
例えば、加飾された多孔質材の製造方法は、一実施形態において、第1前処理工程の後かつ第2前処理工程の前に、前処理液Aを加熱乾燥する工程、及び、第2前処理工程の後かつ印刷工程の前に、前処理液Bを加熱乾燥する工程を、含んでよい。
印刷工程では、水及び色材を含む水性インクジェットインクを用い、多孔質材の表面にインクジェット印刷する。印刷工程は、第2前処理工程の後に行うことが好ましい。
水性インクジェットインクは、前処理後の多孔質多孔質材表面を加飾するためのインクであり、水及び色材を含むことが好ましい。
上述の通り、「加飾」は装飾と同義であって、印刷画像を形成することを意味しており、「加飾された」とは印刷画像を有することを意味する。この加飾部分は、対象物、すなわち多孔質材の全面であっても一部であってもよい。
なお、印刷前の多孔質材は、第1前処理工程及び第2前処理工程に加えて、任意の別の処理が行われたものであってもよい。
水性インクジェットインクは水を含むことが好ましい。水は、インクの溶媒、すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が使用できる。前処理液A及びBについて上述したとおり、水は安全であるとともに揮発性が高いため、多孔質材の細孔が塞がれるのを防止し、加飾された多孔質材の多孔質構造に由来する性能の低下を防止することができる。
インク中の水の含有量が多ければ多いほど、多孔質材の性能の低下を防止する効果が高まるので、水は、インク全量の30質量%以上であることが好ましく、インク全量の60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。
また、水の含有量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
インクの溶媒は、その大部分が水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、上記表面処理液に使用できるものと同様の溶剤を、1種又は2種以上選択して使用できる。
水溶性有機溶剤のインク中の含有量は、2種以上が用いられる場合はその合計含有量として、5〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。加飾画像の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材の含有量は、インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲であることが好ましい。さらには、色材の含有量は0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが一層好ましく、また、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以下であることが一層好ましい。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
インクには、インク中における顔料の分散を良好にするために、インクに必要に応じて顔料分散剤を添加することができる。使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶媒中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、高分子分散剤や顔料分散能をもった界面活性剤に代表される公知の顔料分散剤を使用することが好ましい。高分子分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース(商品名)シリーズ、BASFジャパン株式会社製のジョンクリル(商品名)シリーズ、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYKシリーズ、BYKシリーズなどが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、花王(株)製デモール(商品名)シリーズのような、アニオン性の脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等、非イオン性のポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記溶媒中に分散可能な量であれば足り、例えば顔料1に対し質量比で0.01〜2の範囲内で、適宜設定できる。
顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散顔料を使用してもよい。自己分散顔料の市販品の例としては、たとえば、キャボットジャパン株式会社製CAB−O−JETシリーズ(CAB−O−JET200、300、250C、260M、270Y)、オリヱント化学工業(株)製BONJETシリーズ(BONJET BLACK CW−1、CW−2、CW−4)等が挙げられる。顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
インクには、水分散性樹脂又は水溶性樹脂の少なくとも一方が含まれることが好ましい。これにより、少量の色材で高い着色性を得やすい。水分散性樹脂と水溶性樹脂を併用してもよい。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらは、単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。
水分散性樹脂の場合は、粒子表面がマイナスに帯電し、負電荷を帯びたアニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型エマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するアニオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にアニオン性の分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。アニオン性の官能基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基等であり、アニオン性の分散剤は、陰イオン界面活性剤等である。表面がアニオン性であると、上記表面処理液中のカチオン性水分散性樹脂との化学的な相互作用が得られ、その結果、色材の定着を一層強固なものとして画像の耐久性をより高めることができる。
樹脂粒子の表面電荷は、ゼータ電位を測定することで評価できる。具体的には、ゼータ電位の絶対値が30mV以上であることが好ましい。
樹脂の種類としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、インクの製造に際し、樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。
上記のとおり、これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入するか、又は、アニオン性分散剤等で表面処理して、マイナスの表面電荷を与えることができる。
これらの水分散性樹脂(又はそのエマルション)のうち、インクジェットヘッドからの安定吐出性能の観点、及び金属製等の多孔質材に対する密着性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が−35〜40℃のウレタン樹脂(エマルション)を用いることが好ましい。かかる樹脂エマルションの具体例としては、第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス460、420、470、460S(カーボネート系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、150HS(エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルション・商品名)、740、840(芳香族イソシアネート系エステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、DSM株式会社製のNeoRez R−9660、R−2170(脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、NeoRez R−966、R−967、R−650(脂肪族ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、R−986、R−9603(脂肪族ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)などが挙げられる。
また、インク中での安定性の観点から、(メタ)アクリル樹脂又は(メタ)アクリル樹脂共重合体を用いることも好ましい。具体的には、日本合成化学工業(株)のモビニール966A、6963、6960(アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、6969D、RA−033A4(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)や、BASFジャパン株式会社のジョンクリル7100、PDX−7370、PDX−7341(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、DIC(株)のボンコートEC−905EF、5400EF、CG−8400(アクリル/スチレン系エマルション)などが挙げられる。
水分散性樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の1種単独の樹脂(又はそのエマルション)から構成されてもよいし、又は、複数種の樹脂(又はそれらのエマルション)を組み合わせて構成されてもよい。
エマルションを形成する水分散性樹脂粒子は、インクジェット印刷に適した粒子径であれば良く、一般的には平均粒径(動的光散乱法により体積基準で測定したメジアン径)で300nm以下であることが好ましい。また、インクジェット印刷に適したこの程度の大きさであれば、多孔質材の細孔を完全に塞ぐことがなく、多孔質構造に由来する性能を維持することができるので好ましい。この多孔質構造に由来する性能の維持のため、平均粒径のより好ましい値は250nm以下であり、さらに好ましい値は200nm以下であり、一層好ましい値は150nm以下である。平均粒径の下限値は、特に限定はされないが、インクの保存安定性の観点からは、5nm以上程度であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
インク中における水分散性樹脂及び/又は水溶性樹脂の量(固形分量)は、色材と樹脂の比率(色材:樹脂)で1:0.5〜1:7(質量比)が好ましい。樹脂の含有量をこの範囲にすることで、多孔質材の表面に印刷された画像の耐水擦過性と高画質性を十分に確保することができる。色材1に対する樹脂の比率が0.5より小さいと、顔料の定着性が悪くなる可能性があり、7より大きいと、粘度が高くなり、インクを吐出するヘッドからインクを吐出できなくなる可能性がある。
また、インク中にはインクの表面張力を低下させ、インクジェットヘッドに導入した際の吐出安定性を確保し、また印刷対象基材にインクを速やかに浸透させるために、表面張力低下剤を添加することができる。表面張力低下剤としては、さらに水分散性樹脂粒子の凝集を抑制する効果も有している界面活性剤、例えば、表面処理液に配合されると同様の界面活性剤を用いることもできる。顔料分散機能と表面張力低下機能の双方を備える界面活性剤を使用してもよい。
インク中の表面張力低下剤の量は、0.1質量%以上程度であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましい。
一方、表面張力低下剤量は、5質量%以下程度であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが一層好ましい。
インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記の成分以外に、例えば、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
インクの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。
例えば、ビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め水と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
多孔質材への水性インクを用いたインクジェット印刷は、一般的な記録ヘッドを用いて行うことができ、印刷方式や使用する装置等に特に制限はない。印刷(加飾)後は、乾燥させることにより、多孔質材の表面に、インクジェット印刷されたインクから水及びその他の揮発性成分が揮発して、画像を備えてなる、多孔質構造に由来する性能を有する加飾された多孔質材が得られる。
画像の記録面積は、特に限定されず、任意の絵柄又は文字、あるいは絵柄と文字との組合せ等を、自由に選択することができる。
なお、高品位の加飾画像を得るために、(i)インク滴を小さくする、(ii)印刷速度を遅くする、(iii)片方向印刷をする、(iv)多孔質材を温めながら印刷する、(v)印刷解像度を低くする、又は、(vi)これらの方法を組み合わせて印刷するなどの印刷条件を用いることが有効である。
特に、多孔質材を温めながら印刷する上記印刷条件は、多孔質材の性能に関わらず、少ないインク量でより高発色の画像を得ることが必要な場合、凹凸が多い多孔質材やインクの吸水性能が異なる複数の多孔質材にまたがった絵柄を均一に印刷する場合の印刷条件としても有効である。多孔質材を温めながら印刷することで、インク中の水以外の成分である顔料等の存在位置を多孔質材の表面近くに形成させることが可能となるため、多孔質材の性能や形状への影響が小さくなり、安定した画像を得ることが可能となる。
印刷終了後に多孔質材を加熱してもよく、インク中の水やその他の揮発性成分を完全に揮発させ、インク中の色材を水分散性樹脂によって多孔質材に定着させることができる。
多孔材を温める場合(例えば、多孔質材を温めながら印刷する場合、及び印刷終了後に多孔質材を加熱する場合、など)、温める方法は任意であり、加熱温度も特に限定されないが、例えば50〜100℃の範囲で加熱してもよい。
加飾を行うための装置は、特に限定されないが、例えば、多孔質材を載置するための載置部と、多孔質材の表面に前処理液Aを塗布するための前処理液A塗布部と、続いて多孔質材の表面に前処理液Bを塗布するための前処理液B塗布部と、続いてインクを吐出してインクジェット印刷するように配置されたインクジェット記録ヘッドとを少なくとも備え、さらに好ましくは、多孔質材を加熱するための加熱部を任意に備えた加飾装置を用いることができる。
より詳細には、加飾装置は、加飾しようとする画像の電子データ(各画素に対応する画素値を備えるもの)を提供するための入力部(例えば、スキャナ)、多孔質材の表面に水性インクを吐出して画像を記録する記録ヘッド部、多孔質材を載置した状態で記録ヘッド部の下面に形成された吐出ノズルと対向する位置に多孔質材を搬送する搬送部、及び、多孔質材が記録ヘッド部に至る前に、その表面に、前処理液Aを塗布する前処理液A塗布部及び前処理液Bを塗布する前処理液B塗布部を備えることができる。さらに、印刷中又は印刷前後の任意の段階で、基材上の加飾領域を加熱する加熱部(セラミックヒーター等の各種ヒーター)を設け、吐出された前処理液A、前処理液B及び/又はインクの乾燥を促進できるようにすることが好ましい。
<前処理液セット及びインクセット>
本発明の一実施形態は、前処理液A及び前処理液Bを含む前処理液セットに関する。前処理液A及び前処理液Bについては、上述の加飾された多孔質材の製造方法で説明したとおりである。
前処理液セットは、必要に応じて、その他の処理液等を含んでもよい。
本発明の一実施形態では、上述の前処理液セット及び上述の水性インクジェットインクを含むインクセットに関する。インクセットは、必要に応じて、複数のインクを含んでよい。また、必要に応じて、その他のインク及び/又は処理液等を含んでもよい。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」である。表中の各成分の配合量も「質量%」で示す。
<前処理液Aの製造>
表1に記載の各材料を表1に示す割合でプレミックスし、その後、ホモジナイザーで1分間分散して、前処理液1〜9を得た。
Figure 2019038191
表1記載の各材料の詳細は下記のとおりである。
「CaCl」:塩化カルシウム(多価金属塩)
「Al(SO・16HO」:硫酸アルミニウム(多価金属塩)
「ジエチレングリコール」:和光純薬工業株式会社製ジエチレングリコール、沸点245℃
「PP−17」(商品名):明成化学工業株式会社製カチオン性水分散性複合樹脂(イオン性水分散性樹脂)、メジアン径2.5μm
「ポリゾールAP−1350」(商品名):昭和電工株式会社製カチオン性アクリル樹脂エマルション(イオン性水分散性樹脂)、メジアン径57nm
「アクアテックスAC−3100」(商品名):ジャパンコーティングレジン社製カチオン性エチレン・メタクリル酸樹脂エマルション(イオン性水分散性樹脂)、メジアン径700nm
「スノーテックスAK−L」(商品名):日産化学工業株式会社製カチオン性コロイダルシリカ(イオン性無機粒子)、メジアン径79nm
「スーパーフレックス500M」(商品名):第一工業製薬株式会社製非イオン性ウレタン樹脂エマルション(非イオン性水分散性樹脂)
「ジエチレングリコール」:和光純薬工業株式会社製、沸点245℃
「オルフィンE1010」(商品名):日信化学工業株式会社製アセチレングリコール系界面活性剤
樹脂の「メジアン径」は、動的光散乱式粒子径分布測定装置「ナノ粒子解析装置nano Prtica SZ−100」(株式会社堀場製作所製)を用いて、各樹脂分散液を粒子濃度0.5質量%となるように精製水で希釈して、分散媒屈折率:1.333、試料屈折率:1.600、演算条件:多分散・ナローの設定で、温度25℃で測定した体積基準のメジアン径である。
<前処理液Bの製造>
表2に記載の各成分を表2に示す割合でプレミックスし、その後、ホモジナイザーで1分間分散して、前処理液10〜15を得た。
Figure 2019038191
表2記載の各材料の詳細は下記のとおりである。
「スノーテックスAK−L」(商品名):日産化学工業株式会社製カチオン性コロイダルシリカ(イオン性無機粒子)、平均粒径79nm
「ポリゾールAP−1350」:昭和電工株式会社製カチオン性アクリル樹脂エマルション(イオン性水分散性樹脂)、メジアン径57nm
「モビニール7720」(商品名):日本合成化学工業株式会社製非イオン性アクリル樹脂エマルション(非イオン性水分散性樹脂)
「エポミンSP−006」(商品名):株式会社日本触媒製ポリエチレンイミン(イオン性水溶性樹脂)
「JMR−10M」(商品名):日本酢ビ・ポバール株式会社製ポリビニルアルコール(非イオン性水溶性樹脂)
「ジエチレングリコール」:和光純薬工業株式会社製ジエチレングリコール、沸点245℃
「オルフィンE1010」(商品名):日信化学工業株式会社製アセチレングリコール系界面活性剤
「シルフェイスSAG503A」(商品名):日信化学工業株式会社製シリコーン系界面活性剤
<水性インクの製造>
表3に記載の各材料を表3に示す割合で配合し、その後、ホモジナイザーで1分間分散し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)インクをそれぞれ製造し、水性インクセット1とした。
Figure 2019038191
表3記載の各材料の詳細は下記のとおりである。
「BONJET BLACK CW−4」:オリヱント化学工業株式会社製水系自己分散カーボンブラック分散体
「CAB−O−JET 250C」:キャボットジャパン株式会社製水系自己分散顔料シアン分散体
「CAB−O−JET 260M」:キャボットジャパン株式会社製水系自己分散顔料マゼンタ分散体
「CAB−O−JET 270Y」:キャボットジャパン株式会社製水系自己分散顔料イエロー分散体
「スーパーフレックス470」:第一工業製薬株式会社製水系ウレタン樹脂エマルション
「サーフィノール465」:日信化学工業株式会社製アセチレングリコール系界面活性剤
「グリセリン」:和光純薬工業株式会社製グリセリン、沸点290℃
「エチレングリコール」:和光純薬工業株式会社製エチレングリコール、沸点197.3℃、
<前処理>
多孔質材として、「NDCカルム」(NDC株式会社製アルミニウム焼結吸音板)を用いた。10cm×10cmにカットした多孔質材に対して、表5に示す前処理液A及び前処理液Bを用いて、次のように処理を行った。まず、この多孔質材に対して、前処理液Aをスプレーガンにて50g/mのウェット塗布量になるように塗布し、塗布後の多孔質材を100℃のオーブンで10分間乾燥させた。この多孔質材に対して、さらに、前処理液Bを50g/mのウェット塗布量になるようにスプレーガンにて塗布し、塗布後の多孔質材を100℃のオーブンで10分間乾燥させ、処理物品とした。
なお、比較例1では、上記の処理は行われなかった。比較例2では、前処理液Aを用いた処理は行われず、前処理液Bの塗布及びその後100℃のオーブンでの10分間の乾燥のみを行い、処理物品とした。比較例5及び6では、前処理Bを用いた処理は行われず、前処理液Aの塗布及びその後100℃のオーブンでの10分間の乾燥のみを行い、処理物品とした。
<加飾(印刷)>
室温環境で保管した各処理物品(比較例1は未処理多孔質材)に対して、インクセット1を市販の水性顔料インクジェットプリンタの各色に対応したインクヘッドに導入し、シアン単色でのベタ画像、黒の文字及び細線の画像、及び、フルカラーの写真画像を印刷した。印刷終了後、100℃のオーブンで10分間加熱乾燥したものを、加飾物品とした。
このようにして、表5に示す、実施例及び比較例の加飾物品を得た。
<発色>
上記で得られた実施例及び比較例の各加飾物品の、加飾して1日後のシアン単色のベタ画像のOD値を測定した。OD値は光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用い測定した。判定基準を表4に、結果を表5に示す。
<細線>
上記で得られた加飾物品の黒の細線画像部分を、目視で観察した。細線画像は1mm間隔の線が並んだ画像であり、同じ細線画像を写真用インクジェット光沢紙に印刷し、その写真用インクジェット光沢紙上の細線画像と加飾物品の細線画像とを比較し、細線の滲み、及びカスレについて判定した。判定基準を表4に、結果を表5に示す。
<吸音性>
吸音性は、上記で得られた加飾物品のフルカラーの写真画像を有する物を用い、JIS A1409に規定される残響室法吸音率測定法で評価した。背後空気層50mmを設け、各周波数に対する吸音率を測定した。判定基準を表4に、結果を表5に示す。
Figure 2019038191
Figure 2019038191
成分Aを含む前処理液A及び成分Bを含む処理液Bを用いて2回の前処理が行われた実施例1〜7の加飾物品では、発色性、細線及び吸音性能のいずれにおいても優れた結果が示された。一方、前処理が行われなかった比較例1、1回のみの前処理が行われた比較例2、5及び6、前処理液Aに成分Aが含まれていなかった比較例3、前処理液Bに成分Bが含まれていなかった比較例4では、いずれも、発色性及び細線において、実施例に比べて結果が劣ることが示された。

Claims (4)

  1. 多孔質材の表面に、前処理液Aを付着させる第1前処理工程、
    前記第1前処理工程の後に、前記多孔質材の表面に、前処理液Bを付着させる第2前処理工程、及び、
    前記第2前処理工程の後に、水及び色材を含む水性インクジェットインクを用い、前記多孔質材の表面にインクジェット印刷する印刷工程
    を含み、
    前記前処理液Aは、多価金属塩及びイオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種である成分A、並びに水を含み、
    前記前処理液Bは、水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である成分B、並びに水を含む、
    加飾された多孔質材の製造方法。
  2. 前記成分Aは、多価金属塩、イオン性水分散性樹脂及びイオン性表面を有する無機粒子からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記成分Bは、イオン性水分散性樹脂、非イオン性水分散性樹脂及びイオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、
    請求項1に記載の加飾された多孔質材の製造方法。
  3. 下記の条件(a)又は(b)の少なくとも1つを満たす、請求項1又は2に記載の加飾された多孔質材の製造方法。
    (a)前記成分Aが、多価金属塩及びカチオン性粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
    (b)前記成分Bが、カチオン性水分散性樹脂及びカチオン性水溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
  4. 前記第1前処理工程の後かつ前記第2前処理工程の前に、前記前処理液Aを加熱乾燥する工程、及び、
    前記第2前処理工程の後かつ前記印刷工程の前に、前記前処理液Bを加熱乾燥する工程を、
    さらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾された多孔質材の製造方法。
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