JP2019018531A - 加飾木材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷画像の線の太さを任意にコントロールすることが可能な、加飾木材の製造方法を提供する。
【解決手段】
印刷画像のドットの大きさに応じて木材の水分量を調整する水分量調整工程と、前記水分量調整工程後に、前記木材に、水性インクジェットインクを用いてインクジェット印刷を行う印刷工程と、前記印刷工程後に前記木材を乾燥させる乾燥工程と、を含む、加飾木材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、加飾木材の製造方法に関する。
インクジェット印刷は、非接触でバリアブル印刷(Variable Data Printing:VDP)が可能であり、種々の基材に対する少ロット印刷に適している。中でも木材は種類により基材の凹凸性が変わるため、木材に印刷する場合には、非接触で印刷できる観点からインクジェット印刷が好ましい。
インクジェット印刷に使用するインクは、その吐出原理の観点から、ある程度粘度を低くする必要があるが、粘度が低いインクは、木材のような繊維状の基材に対して滲みを発生させやすい。そのため、印刷画像の線(例えば、文字)を任意の太さにコントロールすることが難しいばかりか、例えば、滲みによりインクが横方向に広がり過ぎてしまい、画像濃度が低くなってしまうことがある。
更には、印刷された木材を建築材として使用する場合は、耐湿摩擦性や、傷の目立ち難さ(耐傷性)が求められる場合がある。
特許文献1では、紙等の基体にシリカと多糖を含むインク受容媒体トップコートを使用することで、印刷の滲みを低減する手法が提案されている。
特許文献2では、天然木材基材にマット材とバインダーからなるインク受容層を形成することで優れた印刷特性を示すインクジェット記録材が記載されている。
特許文献3では、木質基材に紫外線硬化型インクで印刷し、印刷層の可視光領域における透過率を7%以上とする加飾木材が記載されている。
国際公開第2006/063096号 特開2003−300379号公報 特開2012−111069号公報
特許文献1では、木材を基材として用いた印刷において印刷画像の線の太さ(例えば文字の太さ)をコントロールすることについては検討されていない。また、特許文献1の手法では、木材に対しては文字再現性が劣る場合がある。
特許文献2の手法では、インク受容層を形成する必要があるため、工程が煩雑になる。
特許文献3の手法では、文字再現性に劣る場合があるだけではなく、木材の風合いを損ねたり、インク中の残留モノマーに由来する臭気が発生する場合がある。
本発明の一目的は、印刷画像の線の太さを任意にコントロールすることが可能な、加飾木材の製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態により、印刷画像のドットの大きさに応じて木材の水分量を調整する水分量調整工程と、前記水分量調整工程後に、前記木材に、水性インクジェットインクを用いてインクジェット印刷を行う印刷工程と、前記印刷工程後に前記木材を乾燥させる乾燥工程と、を含む、加飾木材の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態により、印刷画像の線の太さを任意にコントロールすることが可能な、加飾木材の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態の加飾木材の製造方法に用いる装置の一例の模式図である。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことは言うまでもない。
なお、本明細書において、「水性インクジェットインク」を、単に「水性インク」又は「インク」とも記す場合がある。
本明細書において、「加飾」は装飾と同義であって、印刷画像を形成することを意味しており、「加飾された」とは印刷画像を有することを意味する。この加飾部分は、対象物、すなわち基材の全面であっても一部であってもよい。
また、「加飾木材」とは、加飾された木材を意味する。
本発明の一実施形態の加飾木材の製造方法は、印刷画像のドットの大きさに応じて木材の水分量を調整する水分量調整工程と、前記水分量調整工程後に、木材に、水性インクジェットインクを用いてインクジェット印刷を行う印刷工程と、印刷工程後に木材を乾燥させる乾燥工程と、を含む。
木材(以下、木材を「基材」と記す場合がある。)としては、例えば、天然の樹木から切り出した木板、薄く切った単板(突板)、及び単板を積層して熱圧着した合板(構造用合板等)、木材チップを接着・成形した木質ボードが挙げられる。樹木の種類、及び合板の製造方法と積層枚数等は特に限定されない。木材の厚みも特に限定されず、0.1mm程度の薄い突板から数センチ程度の厚い無垢板材まで、幅広く用いることができる。中でも、本発明は木板、単板、合板で効果を発揮しやすい。木の種類としては、針葉樹(スギ、ヒノキ、モミ、カラマツ、ヒバ、カヤ等)、広葉樹である環孔材(ケヤキ、キリ、ミズナラ、キリ等)、散孔材(シナ、チーク、カツラ、メープル、カリン等)、幅射孔材(ヒシ等)、紋様材(ギイラギ、モクセイ等)、無導管材(ヤマグルマ等)が挙げられる。
木材としては、ワックス加工などの加工された木材であってもよい。インク浸透性の観点からは、ワックス加工されていない木材が好ましい。
以下、各工程について説明する。
[水分量調整工程]
本実施形態の加飾木材の製造方法は、木材の水分量を調整する水分量調整工程を含むことが好ましい。水分量調整工程では、印刷画像のドットの大きさに応じて木材の水分量を調整することが好ましい。
木材に含まれる水分量を調整することで、木材の空隙を調整し、これによって、インクの浸透性を調整し、結果として、印刷画像のドットの大きさをコントロールすることができる。印刷画像では、ドットの集合体が線や文字として表現されるため、印刷画像のドットの大きさをコントロールすることで、結果として、印刷画像の線の太さ(例えば、文字の太さ)を任意にコントロールすることができる。
印刷画像のドットの大きさは、例えば、印刷画像の線の太さ(例えば文字の太さ)で判断できる。
水分量調整工程は、印刷工程の前に行われることが好ましい。
木材に含まれる水分量は、例えば、下記式1による水分割合として求めることができる。
木材の水分割合(質量%)=[(測定対象の木材の質量A−乾燥木材の質量B)/測定対象木材の質量A]×100 ・・・式1
式1において、Aは、測定対象の木材の質量であり、Bは、測定対象と同一の木材を150℃24時間乾燥させた木材(乾燥木材)の質量である。
木材に含まれる水分量が、式1で求められる水分割合として、8.5質量%より多いと、印刷画像のドットが大きくなる傾向があり、結果として、印刷画像の線が太くなる傾向がある。これは、木材に含まれる水分が多いと繊維が膨潤し、その結果、木材中の空隙が少なくなるため、インクの浸透が抑制されたり、木材中の水分がインクの呼び水となりインクを滲ませるためと推測される。また、木材に含まれる水分量が、式1で求められる水分割合として、1質量%より少ないと、印刷画像のドットが大きくなる傾向があり、結果として、印刷画像の線が太くなる傾向がある。これは、水分を蒸発させたことにより木材繊維の凝集が強くなる傾向があり、インクが繊維方向に滲みやすくなるためと推測される。
木材に含まれる水分量は、印刷画像の線の、所望とする太さによって異なるが、式1で求められる水分割合として、1.0質量%〜8.5質量%とすると、印刷画像のドットを小さくしやすく、滲みの少ない細い線の印刷画像を得やすい。これは、木材の水分量がこの範囲のとき、木材の適度な空隙によりインクが速やかに浸透しやすく、且つ、木材繊維の強い凝集によるインクの繊維方向への滲みが抑制されやすく、インクが木材に対して適度な深度に浸透やすいためと推測される。
木材中に含まれる水分量を、式1で求められる水分割合として、4.5質量%〜7.5質量%とすると、更に、視認性の高い細い線の印刷画像を得やすい。
また、木材中に含まれる水分量が、木材に適度な空隙が維持されるような水分量である場合(例えば、下記式1で求められる水分割合として12質量%以下)、インクが木材に浸透しやすく、印刷面に傷がついたときに、木材のインクで着色されていない部分が露出しにくい傾向があり、すなわち、耐傷性に優れる傾向がある。
例えば、印刷画像のドットを小さくし、これにより印刷画像の線を細くするためには、水分量調整工程において、木材の水分量を、式1で求められる水分割合として、1.0質量%〜8.5質量%とするように調整することが好ましく、4.5質量%〜7.5質量%とするように調整することがより好ましい。
また、印刷画像の耐傷性の観点からは、水分量調整工程において、木材の水分量を、式1で求められる水分割合として、12質量%以下(より好ましくは、10%質量以下)とすることが好ましい。
水分量調整工程では、木材を乾燥する工程(以下、「乾燥工程A」と記す場合もある)、及び、木材に水分を付与する工程(以下、「水分付与工程」と記す場合がある。)の少なくとも一方により、木材の水分量を調整することが好ましい。例えば、木材中に含まれる水分量を低下させる場合には、乾燥工程Aを行い、木材中に含まれる水分量を増加させる場合には水分付与工程を行うことで、水分量を調整することができる。
水分量調整工程における乾燥工程Aにおける乾燥方法としては、例えば、木材に低湿度の空気をあてる方法、木材に高温の空気をあてて木材の水分を気化させる方法、木材を直に加熱して木材の水分を気化させる方法、マイクロ波により木材の水分を気化させる方法、赤外光により木材の水分を気化させる方法等の、能動的乾燥方法が挙げられる。より具体的にはオーブン、シートヒーター、ヒートプレス、赤外線ランプ、マイクロ波照射式ドライヤー等を用いる方法が挙げられる。
水分量調整工程における乾燥工程Aでは、生産性の観点からは赤外線ランプを使用することが好ましい。一方、木材中の水分量が均一になりやすいという観点からはオーブンを用いることが好ましく、中でも温風式オーブン(例えば、電熱線加熱式オーブン)が好ましい。オーブンの温度は、40〜60℃が好ましい。オーブンの温度を40℃以上とする場合、乾燥時間を短くしやすく、60℃以下とする場合、木材を均一に乾燥しやすい。
水分量調整工程における水分付与工程としては、例えば、木材に水蒸気をあてる方法、木材に水を塗工する方法等の、能動的に水分を付与する方法が挙げられる。木材に水蒸気をあてる方法は、木材中の水分量を均一にしやすく、水分量も調整しやすい点で好ましい。一方、木材に水を塗工する方法は、生産性の観点で好ましい。
木材に水蒸気をあてる方法としては、例えば、水蒸気の発生方法により、水を加熱して蒸気を出すスチーム式、超音波により水を気化する超音波式、これらを組み合わせたハイブリット式等が挙げられる。例えば、水を加熱して蒸気を出すスチーム式のオーブンを使用してもよい。
木材に水を塗工する方法としては、例えば、スプレー、ローラー、インクジェット等の手法が挙げられるが、塗工量のコントロールのし易さからスプレー方式が特に好ましい。
水分量調整工程では、木材の厚み、及び初期の水分量状態に応じて、これらの乾燥する工程及び/又は水分付与工程を適宜選択して行うことが好ましい。
例えば、水分量調整工程では、複数の乾燥方法を組み合わせてもよく、複数の水分を付与する方法を組み合わせてもよく、乾燥方法と水分付与方法とを組み合わせてもよい。
[印刷工程]
加飾木材の製造方法は、木材に水性インクジェットインクを用いてインクジェット印刷を行う印刷工程を含むことが好ましい。印刷工程は、水分量調整工程の後に行われることが好ましい。
以下、水性インクジェットインクについて説明する。
水性インクジェットインクは、水を含むことが好ましい。
水は、インク全量の30質量%以上であることが好ましく、インク全量の60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。インク中の水分量が30質量%未満の場合、木材中の水分がインクの呼び水となり、インクを滲ませる効果が低下する場合がある。また、水の含有量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
インクの溶媒は、その大部分が水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。水溶性有機溶剤の沸点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、水と単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
水溶性有機溶剤のインク中の含有量は、2種以上が用いられる場合はその合計含有量として、5〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。加飾画像の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材の含有量は、インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲であることが好ましい。さらには、色材の含有量は0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが一層好ましく、また、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以下であることが一層好ましい。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
インクには、インク中における顔料の分散を良好にするために、インクに必要に応じて顔料分散剤を添加することができる。使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶媒中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、高分子分散剤や顔料分散能をもった界面活性剤に代表される公知の顔料分散剤を使用することが好ましい。高分子分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース(商品名)シリーズ、ジョンソンポリマー社製のジョンクリル(商品名)シリーズ、BYK社のDISPERBYKシリーズ、BYKシリーズなどが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、花王(株)製デモール(商品名)シリーズのような、アニオン性の脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等、非イオン性のポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記溶媒中に分散可能な量であれば足り、例えば顔料1に対し質量比で0.01〜2の範囲内で、適宜設定できる。
顔料表面を親水性官能基で修飾した自己分散顔料を使用してもよい。自己分散顔料の市販品の例としては、たとえば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ(CAB−O−JET200、300、250C、260M、270Y)、オリヱント化学工業(株)製BONJETシリーズ(BONJET BLACK CW−1、CW−2、CW−4)等が挙げられる。顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
インクには、水分散性樹脂又は水溶性樹脂の少なくとも一方が含まれることが好ましい。これにより、少量の色材で高い着色性を得ることができる。水分散性樹脂と水溶性樹脂を併用してもよい。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらは、単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。
水分散性樹脂の場合は、粒子表面がマイナスに帯電し、負電荷を帯びたアニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型エマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するアニオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にアニオン性の分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。アニオン性の官能基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基等であり、アニオン性の分散剤は、陰イオン界面活性剤等である。表面がアニオン性であると、後述する前処理剤中にカチオン性水分散性樹脂が含まれる場合に、カチオン性水分散性樹脂との化学的な相互作用が得られ、その結果、色材の定着を一層強固なものとして画像の耐久性をより高めることができる。
樹脂粒子の表面電荷は、ゼータ電位を測定することで評価できる。具体的には、ゼータ電位の絶対値が30mV以上であることが好ましい。
樹脂の種類としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、インクの製造に際し、樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。
これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入するか、又は、アニオン性分散剤等で表面処理して、マイナスの表面電荷を与えることができる。
これらの水分散性樹脂(又はそのエマルション)のうち、インクジェットヘッドからの安定吐出性能の観点、及び木材に対する密着性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が−35〜40℃のウレタン樹脂(エマルション)を用いることが好ましい。かかる樹脂エマルションの具体例としては、第一工業製薬(株)のスーパーフレックス460、420、470、460S(カーボネート系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、150HS(エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルション・商品名)、740、840(芳香族イソシアネート系エステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、DSM社のNeoRez R−9660、R−2170(脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、NeoRez R−966、R−967、R−650(脂肪族ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、R−986、R−9603(脂肪族ポリカーボネート・いずれも商品名)などが挙げられる。
また、インク中での安定性の観点から、(メタ)アクリル樹脂又は(メタ)アクリル樹脂共重合体を用いることも好ましい。具体的には、日本合成化学工業(株)のモビニール966A、6963、6960(アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、6969D、RA−033A4(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)や、BASF社のジョンクリル7100、PDX−7370、PDX−7341(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、DIC(株)のボンコートEC−905EF、5400EF、CG−8400(アクリル/スチレン系エマルション)などが挙げられる。
水分散性樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の1種単独の樹脂(又はそのエマルション)から構成されてもよいし、又は、複数種の樹脂(又はそれらのエマルション)を組み合わせて構成されてもよい。
エマルションを形成する水分散性樹脂粒子は、インクジェット印刷に適した粒子径であれば良く、一般的には平均粒径(動的光散乱法により体積基準で測定したメジアン径)で300nm以下であることが好ましく、より好ましい値は250nm以下であり、さらに好ましい値は200nm以下であり、一層好ましい値は150nm以下である。平均粒径の下限値は、特に限定はされないが、インクの保存安定性の観点からは、5nm以上程度であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
樹脂粒子の平均粒径は、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒径値(メジアン径)である。動的光散乱式粒子径分布測定装置としては、ナノ粒子解析装置nano Partica SZ−100(株式会社堀場製作所)等を用い、水分散性樹脂の濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、25℃で測定することができる。
インク中又は後述する前処理剤中において、樹脂粒子は、独立した微粒子の状態で存在する場合と、独立した微粒子が集合した凝集体の状態で存在する場合とが考えられるが、動的光散乱法で測定されるメジアン径を「平均粒径」と位置づけることとする。
なお、上記樹脂粒子の平均粒径は、前処理剤又はインクを調製する前の原料エマルション状態で測定することが、インクの場合であれば色材(顔料粒子)の影響を排除できることから好ましく、その測定値を本実施形態の平均粒径とすることができる。
インク中における水分散性樹脂及び/又は水溶性樹脂の量(固形分量)は、色材と樹脂の比率(色材:樹脂)で1:0.5〜1:7(質量比)が好ましい。
また、インク中にはインクの表面張力を低下させ、インクジェットヘッドに導入した際の吐出安定性を確保し、また印刷対象である基材にインクを速やかに浸透させるために、表面張力低下剤を添加することができる。表面張力低下剤としては、さらに水分散性樹脂粒子の凝集を抑制する効果も有している界面活性剤を用いることもできる。顔料分散機能と表面張力低下機能の双方を備える界面活性剤を使用してもよい。
界面活性剤は、親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のものと非イオン性(ノニオン性)のものに大別されるが、処理液の泡立ちの観点からは、起泡しにくい非イオン系の界面活性剤を用いることが好ましい。また、低分子系・高分子系(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のどちらでも良いが、高分子系界面活性剤を用いることが好ましい。
HLB値については、5〜20程度の界面活性剤であることが好ましい。
非イオン系の界面活性剤としては、たとえば、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等のエステル型のもの、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型のもの、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型のもの等が挙げられる。
界面活性剤の好ましい例としては、さらに、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、アセチレングリコールであるサーフィノール104E、104H、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造のサーフィノール420、440、465、485等(エアープロダクツアンドケミカルズ社)、アセチレングリコールのオルフィンE−1004、E−1010、E−1020、PD−002W、PD−004、EXP.4001、EXP−4200、EXP−4123、EXP−4300等(日信化学工業株式会社)、アセチレングリコールのアセチレノールE00、E00P、アセチレングリコールのエチレンオキサイドを付加した構造のアセチレノールE40、E100等(川研ファインケミカル株式会社)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤のなかでも、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤が好ましい。市販品では「シルフェイスSAGシリーズ」(日信化学工業株式会社)を好ましく使用できる。
インク中の表面張力低下剤の量は、0.1質量%以上程度であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましい。一方、表面張力低下剤量は、5質量%以下程度であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが一層好ましい。
インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記の成分以外に、例えば、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
インクの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、ビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め水と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
木材への水性インクを用いたインクジェット印刷は、一般的な記録ヘッドを用いて行うことができ、印刷方式や使用する装置等に特に制限はない。
画像の記録面積は、特に限定されず、任意の絵柄又は文字、あるいは絵柄と文字との組
合せ等を、自由に選択することができる。
[乾燥工程]
加飾木材の製造方法は、印刷工程後に木材を乾燥させる乾燥工程を含むことが好ましい。乾燥工程によって、インクが基材に定着される。
印刷後の乾燥工程における乾燥方法としては、例えば、水分量調整工程の乾燥工程Aにおける乾燥方法として挙げられた方法が挙げられる。
印刷後の乾燥工程においては、より優れた画像濃度及び耐水性の観点から、ヒートプレス(例えば、アイロン)による熱定着がより好ましい。水性インクは主成分が水であるため、吐出性・機上安定性を保つために、保湿剤として、沸点の高い保湿作用を有する水溶性有機溶剤(例えば、グリセリンなどの多価アルコール)を含む場合がある。そのような場合、水性インクを印刷後に、例えば、オーブン又は自然乾燥で乾燥させると、インクが定着し終わる前に、色材が、高沸点の保湿剤と共に基材内部に浸透し、画像濃度が低下する場合がある。この現象は木材で特に起きやすい現象であり、木材の主成分のセルロースが水酸基を複数有しており、インク中の保湿剤と親和性が高いことに由来すると推測される。一方、印刷後の乾燥工程においてヒートプレスで乾燥する場合には、高い熱伝導効率により速やかにインクを乾燥させて、色材の木材内部への浸透を低減するとともに、横方向への滲みも低減し、また、且つ表面の平滑性も高めるために、画像濃度を高めることができる。また、印刷後の乾燥工程において、ヒートプレスで乾燥する場合、残留する水溶性有機溶剤が少なくなるため、耐水性を向上させ得る傾向がある。
印刷終了後から乾燥工程までの時間は、20分以下が好ましく、10分以下が好ましく、5分以下がより一層好ましい。ヒートプレスの方式としては、特に限定は無いが、例えば、市販のヒートプレス機、アイロンを使用することができる。
乾燥工程における条件としては、ヒートプレスの場合は、加熱温度50〜180℃(例えば120度)が好ましく、加熱時間は、1〜60秒(例えば5秒)が好ましい。例えば、オーブンを用いる場合には、加熱温度50〜180℃(例えば、70℃)が好ましく、加熱時間は1〜60分(例えば10分)が好ましい。
[水分量測定工程]
加飾木材の製造方法には、水分量調整工程の前及び/又は後に、水分量を測定する水分量測定工程を設けてもよい。
水分量の測定方法としては、例えば、質量を測定する方法、既存の水分測定器を使用する方法が挙げられる。既存の水分測定器としては、例えば電気抵抗式、電気容量式、高周波容量式、赤外線検出式等が挙げられる。
水分量測定工程を設け、木材の水分量を測定することで、木材の水分量を調整しやすくすることができる。一方、水分量測定工程は、必ずしも設ける必要はない。例えば、同一木材で水分量を適切に調整できる水分量調整条件を設定した場合は、必ずしも印刷の度に水分量を測定する必要はない。
[前処理工程]
加飾木材の製造方法は、木材の表面に前処理剤を付着させる前処理工程を含んでもよい。前処理工程は、印刷工程の前に行われることが好ましく、水分量調整工程の前に行われることがより好ましい。また、水分量調整工程の前に水分量測定工程が行われる場合には、前処理工程は、水分量測定工程の前に行われることが好ましい。
前処理剤は、木材上でのインクの滲みを制御するものであり、滲みを制御することで、印刷画像のドットの大きさをコントロールしやすくし、その結果、印刷画像の線の太さをコントロールしやすくすることができ、特に、細い線(例えば細い文字)を得やすくすることができる。また、画像濃度を向上させやすい。
木材として、例えば、ワックス加工された木材を用いた場合、とくにワックスの塗工量が多すぎる場合、インクの浸透性が低くなる場合があり、このため、印刷画像のドットの大きさをコントロールしにくい場合があり、結果として、印刷画像の線の太さをコントロールしにくい場合がある。しかし、木材の表面に前処理剤を付着させることで、ワックス加工されている木材等でも、印刷画像のドットの大きさ及び印刷画像の線の太さをコントロールしやすい。
本明細書において、「前処理」とは、塗布等の任意の手段により、前処理剤を木材表面に付着させる意味であり、前処理剤を付着させることを「適用」とも記す。また、その付着箇所は、木材の表面のみではなく、孔の内部(内面)を含んでいてもよい。
前処理剤は、インクの色材を木材表面に定着させる作用を有する色材定着成分を含むことが好ましい。色材定着成分が含まれる場合、インクの色材が木材表面に定着しやすく、これにより、インクの滲みを抑制しやすい。
インク色材定着成分としては、例えば、カチオン性の水分散性樹脂、無機粒子、及び多価金属塩等が挙げられる。
カチオン性の水分散性樹脂は、樹脂粒子の表面がプラスに帯電した、正電荷を帯びた樹脂粒子であり、水に溶解することなく粒子状に分散して、水中油(O/W)型のエマルションを形成できるものである。カチオン性水分散性樹脂を含む前処理剤を用いた場合、インクとの間にアニオン―カチオン反応を生じると、色材などのインク成分の基材への浸透を抑制し、色材を基材表面に留めることができる。
カチオン性水分散性樹脂は、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するカチオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にカチオン性の分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、又はベンゾピラゾール基等であり、カチオン性の分散剤は、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、カチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等である。
樹脂粒子の表面電荷量は、粒子電荷計で評価することができる。試料を中和するのに必
要なアニオン量又はカチオン量を測定することで、表面電荷量を算出することができる。具体的には、表面電荷量が+300μeq/g以上であることが好ましい。粒子電荷計としては、日本ルフト株式会社製コロイド粒子電荷量計Model CAS等を用いることができる。
水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、前処理剤の製造に際しては、水中油型の樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いても良い。後述するが、これらの樹脂が複合された樹脂エマルションでも良い。
上記のとおり、これらの樹脂にカチオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性分散剤等で表面処理して、プラスの表面電荷を与えることができる。
樹脂粒子の粒径は、特に限定されず、複数種の異なる粒径の粒子を任意に組み合わせて
用いることができる。
一実施形態において、木材の表面に留まりやすく、加熱乾燥等により木材表面に定着しやすいとの観点から、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が1μm以上のサイズを持つ粒子を含むことが好ましい。また、樹脂粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましい。
さらに好ましい一実施形態においては、水分散性樹脂は、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が1μm以上10μm以下の大粒子と、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が1μm未満の小粒子とを含む。
大粒子の平均粒径は、1μm以上、2μm以上であることがこの順に好ましく、10μm以下、7μm以下、5μm以下であることがこの順に好ましい。
小粒子の平均粒径は、1μm未満、500nm以下、250nm以下であることがこの順に好ましい。平均粒径の下限値は、特に限定はされないが、前処理剤の保存安定性の観点からは、5nm以上程度であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
さらに、大粒子と小粒子は、両者を混合して平均粒径を測定した場合に、その粒度分布において二つのピークが存在する、すなわち各々が異なるピーク値を有するものであることが好ましい。
また、大粒子と小粒子は、平均粒径値の相違に加え、その他の相違点を有していてもよい。例えば、大粒子は、最低造膜温度(MFT)が70℃以上(より好ましくは100℃以上)であることが好ましく、一方、小粒子は、MFTが70℃未満以下(より好ましくは40℃以下)であることが好ましい。このMFTとは、エマルションがフィルム化(成膜)するために必要な温度であり、JIS K6828−2に従って測定することができる。ここで、70℃においても成膜しない水分散性樹脂は、MFTが70℃以上の水分散性樹脂に含まれるものとする。また、大粒子のMFTと小粒子のMFTの差は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
大粒子と小粒子の樹脂の分子構造は、同一であってもよいが、互いに異なるものを用い
てもよい。
大粒子として、例えば、カルボキシ基、スルホ基等に代表されるアニオン性の官能基を有するポリマーと、アミノ基又はアミド基等に代表されるカチオン性の官能基を有するポリマーとが複合して得られるポリマーコンプレックスであって、コア部がアニオン性ポリマー、シェル部がカチオン性ポリマーである、コアシェル構造の複合有機粒子を用いることも好ましい。
複合有機粒子のアニオン性ポリマーとしては、例えば繰り返し単位として(メタ)アクリル酸を含むポリマー、より具体的にはスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。スチレン、(メタ)アクリル酸以外の、これらと共重合可能なビニル化合物を含んでいてもよい。
複合有機粒子のカチオン性ポリマー(塩基性ポリマー)としては、例えば、含窒素モノマーを含むポリマーであり、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルイミダゾール等の窒素複素環化合物を繰り返し単位として含むホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。コポリマーを形成するコモノマーとしては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリルアミド等の一般的なビニル化合物を、1種又は2種以上選択して使用できる。
この場合のアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの使用割合は、粒子表面の電荷をカチオン性とするために、質量比で、アニオン性ポリマー1に対し、カチオン性ポリマーが3〜10であることが好ましい。
このような複合有機粒子の市販品として、「PP−15」、「PP−17」(共に明成化学工業株式会社)を好ましく用いることができる。
カチオン性水分散性樹脂の市販品の例としては、小粒子のものとしては、例えば、カチオン性アクリル樹脂エマルションであるポリゾールAE−803、ポリゾールAM−3400(いずれも昭和電工株式会社製)が挙げられる。
無機粒子は、インクの受容層となり、色材を定着させることができる。
無機粒子は、基材に対する定着性の観点から、動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm未満であることが好ましく、前処理剤は、平均粒径が1μm未満の無機粒子を含むことが好ましい。前処理剤は、さらに粒径の大きな無機粒子を一部に含んでいてもよい。
無機粒子の種類は、特に限定されないが、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等を好ましく使用することができ、これらの複数種を組み合わせて使用してもよい。
好ましい一実施形態において、無機粒子は、表面がプラスに帯電した、正電荷を帯びたカチオン性の無機粒子である。無機粒子の表面電荷は、上述の樹脂粒子の表面電荷と同様に測定することができる。
前処理剤は、色材定着成分として、多価金属塩を含むことができる。インク中の色材は、多価金属塩の存在により、その分散状態が破壊されて、凝集状態に成りやすい傾向がある。そのため、多価金属塩が基材に付着していることにより、多価金属塩と接触した色材が凝集して、基材の表面に留まり易くなると考える。
多価金属塩としては、例えば、Mg、Ca、Al、Zn、Ba等の2価以上の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、脂肪酸塩、乳酸塩等が挙げられ、これらの2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
色材定着成分は、一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前処理剤中の色材定着成分の含有量は、浸透性と塗工性の観点から、前処理剤全量に対して5〜30質量%が好ましく、7〜15質量%がより一層好ましい。
前処理剤は水を含むことが好ましい。前処理剤中の水の含有量は、前処理剤全量の60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。
水の配合量の上限値は、特に限定はされないが、前処理剤中の水の含有量は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上であってもよい。
前処理剤の溶媒は、ほとんどが水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、前述のインクにおいて説明したものを用いることができる。水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、水と単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
水溶性有機溶剤の含有量は、粘度調整と保湿効果の観点から、処理液中に30質量%以下(あるいは、溶媒中に50質量%以下)であることが好ましい。
前処理剤は、その表面張力を低下させて基材表面に均一に塗布できるようにするために、また、粒径の小さい水分散性樹脂粒子(小粒子)又は無機粒子の凝集を抑制して液の保存安定性を高めるために、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。界面活性剤としては、前述のインクに用いることができる界面活性剤として記載したものを用いることができる。
界面活性剤は、いずれか単独で用いてもよいし、互いに相溶性が良好な複数の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤を使用する場合の前処理剤中の含有量は、0.1質量%以上程度であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましい、一方、界面活性剤量は、5質量%以下程度であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが一層好ましい。
前処理剤には、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
色材定着成分が無機粒子又は多価金属塩の場合、前処理剤の基剤への定着性を高めるために、バインダー樹脂が含まれていることが好ましい。
バインダー樹脂は、特に限定されないが、水分散性樹脂として先に例示したエチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等を好ましく用いることができる。これらの樹脂は単独で含まれても良いし、複数が含まれても良い。また、これらの樹脂を架橋させる架橋成分が含まれても良い。架橋成分としては、例えばブロックイソシアネート、オキサゾリン基含有化合物、(ポリ)カルボジイミド、アジリジン等が挙げられるがその限りではない。なお、前処理剤が、色材定着成分としてカチオン性水溶性樹脂を含む場合は、このカチオン性水溶性樹脂がバインダー樹脂としての機能も併せ持つことができる。
前処理剤は、水、及び色材定着成分を、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。
前処理剤の木材表面への付着は、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター、スプレーを使用して基材表面に一様に塗布することによって行ってもよいし、又は、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。すなわち、前処理剤は、木材表面の全面に塗布されてもよいし、必要な箇所にのみ、例えば、後述する印刷工程でインクを用いたインクジェット印刷が行われる箇所にのみ塗布されてもよい。
前処理剤の塗工量(付着量)は、木材の種類・材質等によって、適宜設定することができるが、ウェット塗布量(厚み)で40μm以下で塗工することがより好ましい。
前処理剤を基材に付着させることで、インクの滲みを抑制しやすく、このため印刷画像のドットを小さくしやすく、結果として、印刷画像の線の太さを細くしやすい。また、より高い濃度の画像を得ることができる。しかし、前処理剤を用いた場合、インクの色材は基材表面付近で定着する傾向があるため、インクの木材内部(深さ方向)への色材の浸透性が低下する傾向がある。深さ方向への色材の浸透性が低い場合、印刷面に傷がついた時に、木材のインクで着色されていない部分が露出しやすく、耐傷性に劣る場合や、色材定着成分によっては耐水性に劣る場合がある。しかし、前処理剤のウェット塗布量(厚み)を40μm以下とすることで、高い画像濃度と耐傷性及び耐水性とを両立させやすい。
加飾木材の製造方法は、必要に応じて、上述の工程以外の工程を含んでもよい。また、例えば、上述した工程の間に、他の工程が行われてもよい。
また、例えば、上述の工程が複数回行われてもよい。例えば、水分量調整工程後に水分量測定工程が行われる場合、水分量測定工程で得られた結果によって、水分量測定工程後に再度水分量調整工程を行ってもよい。水分量測定工程後の水分量調整工程で行われる工程は、水分量測定工程前の水分量測定工程と同じであっても異なってもよい。
加飾木材の製造方法の各工程は、一部又は全てをインラインで行っても、各工程オフラインで行っても良い。例えば、少なくとも水分量調整工程及び印刷工程(例えば、水分量調整工程から印刷工程までの工程;前処理工程から印刷工程までの工程;水分量調整工程から乾燥工程までの工程、前処理工程から乾燥工程までの工程、等)をインラインで行ってもよいが、これに限定されない。水分量調整工程から印刷工程後の乾燥工程までの工程をインラインで行う場合の一例を、図1を用いて説明する。
図1において、1は加飾木材の製造装置であり、2は搬送部であり、3は前処理部であり、4は水分量調整部であり、5A及び5Bはそれぞれ水分量計測部であり、6は印刷部であり、7は乾燥部であり、矢印Aは木材の進行方法を示す。図1の加飾木材の製造装置1において、搬送部2は、ベルトロール式搬送部である。前処理部3は、加圧式スプレーで前処理剤を木材に付着させる。水分量調整部4は、電熱線加熱式オーブンでの乾燥、及び/又は、加圧式スプレーで木材に水を塗工する方法での水分付与により、木材の水分量を調整する。水分量調整部4の上流に水分量計測部5Aが、水分量調整部4の下流に水分量計測部5Bが備えられている。印刷部6では、インクジェット方式で木材に印刷が行われる。印刷部6の下流に位置する乾燥部7は、ヒートプレス方式で熱定着を行う。基材である木材は、搬送部2によって、前処理部3、水分量計測部5A、水分量調整部4、水分量計測部5B、印刷部6及び乾燥部7と、この順に搬送される。
水分量調整工程から印刷工程後の乾燥工程までの工程をオフラインで行う場合は、例えば次のような方法がある。まず、バーコーターで前処理剤を木材に付着させる。その後、電熱線加熱式オーブン及び/又はスチーム式オーブンにより、木材の水分量を調製する。150℃24時間乾燥させた同じ種類・サイズの木材と、天秤で重量を比較することで、水分量を算出する。インクジェット方式で木材に印刷が行われる。その後、電熱線加熱式オーブンで熱定着を行う。
本発明の実施形態は、下記を含むが、下記の実施形態は本発明を限定するものではない。
<1> 印刷画像のドットの大きさに応じて木材の水分量を調整する水分量調整工程と、
前記水分量調整工程後に、前記木材に、水性インクジェットインクを用いてインクジェット印刷を行う印刷工程と、
前記印刷工程後に前記木材を乾燥させる乾燥工程と、
を含む、加飾木材の製造方法。
<2> 前記印刷工程の前に、前記木材の表面に前処理剤を付着させる前処理工程を含む、<1>に記載の加飾木材の製造方法。
<3> 前記前処理工程を、前記水分量調整工程の前に行う、<2>に記載の加飾木材の製造方法。
<4> 前記水分量調整工程が、木材を乾燥する工程及び木材に水分を付与する工程の少なくとも一方を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
<5> 前記水分量調整工程の前及び前記水分量調整工程の後の少なくとも一方に、水分量を測定する工程をさらに含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
<6> 前記水分量調整工程は、印刷画像のドットを小さくする場合に、下記式1で求められる木材の水分割合が1質量%〜8.5質量%となるようにする、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
木材の水分割合(質量%)=[(A−B)/A]×100 ・・・式1
(式1において、Aは、測定対象の木材の質量であり、Bは、測定対象と同一の木材を150℃24時間乾燥させた木材(乾燥木材)の質量である。)
<7> 少なくとも前記水分量調整工程及び前記印刷工程がインラインで行われる、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
以下、本発明を実験例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実験例のみに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」である。表中の各成分の配合量も「質量%」で示す。
また、表1及び2に記載の材料について、樹脂の平均粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置「ナノ粒子解析装置nano Prtica SZ−100」(株式会社堀場製作所製)を用いて、各樹脂分散液を粒子濃度0.5質量%となるように精製水で希釈して、分散媒屈折率:1.333、試料屈折率:1.600、演算条件:多分散・ナローの設定で、温度25℃で測定した体積基準のメジアン径である。
<インクの調製>
表1に記載の材料を表1に示す割合でプレミックスし、ミックスロータで100rpm30分間撹拌後、孔径5.0μmシリンジフィルターでろ過して、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを得た。
表1記載の各材料の詳細は、下記のとおりである。
「CAB−O−JET 200」:キャボット社製、水系自己分散ブラック顔料分散体
「CAB−O−JET 250C」:キャボット社製、水系自己分散シアン顔料分散体
「CAB−O−JET 260M」:キャボット社製、水系自己分散マゼンタ顔料分散体
「CAB−O−JET 270Y」:キャボット社製、水系自己分散イエロー顔料分散体
「モビニール966A」:日本合成化学工業株式会社製、アニオン性水系アクリル樹脂エマルション(平均粒径170nm)
「グリセリン」:和光純薬工業株式会社製
「サーフィノール465」:エアープロダクツアンドケミカルズ社製、アセチレングリコール系界面活性剤
Figure 2019018531
<前処理剤の調製>
表2に記載の材料をプレミックスし、ミックスロータで100rpm30分間撹拌後、♯100スクリーンメッシュでろ過して、前処理剤1及び2を得た。
表2記載の各材料の詳細は、下記のとおりである。
「硝酸カルシウム四水和物」:和光純薬工業株式会社製
「ビニブラン1035F」:日信化学工業株式会社製、酢酸ビニル系エマルション樹脂(非イオン性水分散性樹脂)
「PP−17」:明成化学工業株式会社製、カチオン性水分散性複合有機粒子(平均粒径約2.5μm、100℃において成膜しない)
「ポリゾールAE−803」:昭和電工株式会社製、カチオン性水系アクリル樹脂エマルション(平均粒径419nm、MFT0℃)
「シルフェイスSAG503A」:日信化学工業株式会社製シリコーン系界面活性剤
Figure 2019018531
<加飾木材の製造>
木材として、シナ単板を、80mm×45mm×2mmにカットして用い、表3に示す実験例1〜10の加飾木材を製造した。
具体的には、実験例8〜10については、前処理工程として、下記のバーコーターを用いて、表3に記載の前処理剤を、下記塗布量となるように木材に塗布した。
実験例8:前処理剤1、バーコーターNo.15(ウェット塗布厚み30μm)
実験例9:前処理剤1、バーコーターNo.30(ウェット塗布厚み60μm)
実験例10:前処理剤2、バーコーターNo.15(ウェット塗布厚み30μm)
ついで、実験例1〜10の木材(実験例8〜10については前記の前処理工程を行ったもの)について、表3の水分量調整工程欄に記載されるように、乾燥又は水分付与により水分量を調整した。具体的には、実験例1、2及び5〜10については、表3の水分量調整工程の欄に記載の条件(温度及び時間)で、電熱線加熱式オーブン(「SPH−101」エスペック株式会社製)による乾燥を行った。また、実験例3及び4については、表3の水分量調整工程の欄に記載の条件(温度、湿度及び時間)で、恒温恒湿器(ヤマト科学株式会社製恒温恒湿器IX410)(加湿オーブン)を用い、水を加熱して蒸気を出すスチーム式により木材に水蒸気をあてることによる水分付与を行った。
各水分量調整後の水分量を、下記式1による水分割合として求めた。結果を表1に示す。
木材の水分割合(質量%)=[(A−B)/A]×100 ・・・式1
式1において、Aは、測定対象の木材の質量であり、Bは、測定対象と同一の木材を150℃24時間乾燥させた木材(乾燥木材)の質量である。なお、上記式1で、測定対象の木材として、水分量調整後の木材を用いることで、水分量調整後の木材の水分割合を算出することができる。
ついで、木材を室温まで冷却後、この木材に、上記で得られた4色のインクを用い、20×20mm四角ベタ、及び、MSゴシック120ポイントの「理」の文字を、コンポジット黒で印刷した。印刷は、プリンターとして、マスターマインド社製MMP−8130を用い、23℃50%の環境で、ヘッド−基材ギャップ1.5mmで行った。
印刷後、表3に記載の方法で乾燥工程を行った。具体的には、実験例1では、70℃のオーブンで10分間乾燥し、実験例2〜9では、表面温度120℃のアイロンで5秒間、ヒートプレスによる乾燥を行った。
<評価>
上記のようにして得られた実験例1〜10の加飾木材について、下記の評価を行った。結果を表3に示す。
(印刷された文字の太さ)
印刷された文字を目視で確認し、下記の基準で判定した。
1:文字の太さは細い
2:文字の太さはやや太い
3:文字が太さは太い
(画像濃度)
ベタ画像部の濃度を分光測色計「X−Rite eXact」(X−Rite製)を用いて測色し、下記の基準で判定した。
A:OD値1.3以上
B:OD値1.3未満
(耐水性)
ベタ画像部を水で濡らした綿棒で30往復撫でて、画像からのインクの剥がれ及び綿棒の汚染を下記基準で評価した。
A:濡らした綿棒で撫でた部分のインク剥がれが殆ど無く、綿棒の汚染も目立たない
B:濡らした綿棒で撫でた部分のインクの剥がれは殆ど無いが、綿棒の汚染が目立つ
C:濡らした綿棒で撫でた部分のインクの剥がれが目立つ
(耐傷性)
ベタ画像部を2mm角のアルミ板で引っ掻き、傷の目立ち方を下記の基準で評価した。
A:傷の凹部が着色されており、傷が目立たない
B:傷の凹部に、着色されていない部分が部分的に露出し、僅かに傷が目立つ
C:傷の凹部全体で、着色されていない部分が露出し、傷が目立つ
Figure 2019018531
表3に示されるように、水分量調整工程後の木材の水分量が、式1で求められる水分割合としてそれぞれ9.3質量%及び14.8質量%と比較的多い実験例3及び4では、印刷された文字の太さは、実験例1〜10の中で最も太かった。また、水分量調整工程後の木材の水分量が、式1で求められる水分割合としてそれぞれ3.8質量%及び1.6質量%である実験例5及び6では、印刷された文字の太さは、実験例3及び4よりも細かった。また、水分量調整工程後の木材の水分量が実験例5及び6よりも多く、かつ、実験例3及び4よりも少ない実験例1、2及び7〜10では、印刷された文字の太さは、実験例5及び6よりもさらに細かった。このように、水分量調整工程で木材の水分量を調整することで、印刷画像の線の太さをコントロールすることができる。
また、表3に示されるように、印刷された文字がもっとも細かった実験例1、2及び7〜10のうち、乾燥工程でヒートプレスによる乾燥が行われた実験例2及び7〜10では、画像濃度及び耐水性がさらに優れていた。実験例1と実験例2との比較からも、乾燥工程でヒートプレス機を使用することで、画像濃度及び耐水性が向上することが示される。
また、実験例1〜3及び5〜7は、水分量調整後の木材の水分量が、式1で求められる水分割合として14.8質量%と比較的多い実験例4、及び、前処理剤による前処理工程が行われた実験例8〜10に比べて、耐傷性に優れていた。
一方、前処理工程が行われた実験例8〜10のうち、前処理剤のウェット塗布厚みが30μmである実験例8及び10は、前処理剤のウェット塗布厚みが60μmと厚い実験例9に比べて、耐傷性及び耐水性に優れていた。
1 加飾木材の製造装置
2 搬送部
3 前処理部
4 水分量調整部
5A及び5B 水分量計測部
6 印刷部
7 乾燥部

Claims (7)

  1. 印刷画像のドットの大きさに応じて木材の水分量を調整する水分量調整工程と、
    前記水分量調整工程後に、前記木材に、水性インクジェットインクを用いてインクジェット印刷を行う印刷工程と、
    前記印刷工程後に前記木材を乾燥させる乾燥工程と、
    を含む、加飾木材の製造方法。
  2. 前記印刷工程の前に、前記木材の表面に前処理剤を付着させる前処理工程を含む、請求項1に記載の加飾木材の製造方法。
  3. 前記前処理工程を、前記水分量調整工程の前に行う、請求項2に記載の加飾木材の製造方法。
  4. 前記水分量調整工程が、木材を乾燥する工程及び木材に水分を付与する工程の少なくとも一方を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
  5. 前記水分量調整工程の前及び前記水分量調整工程の後の少なくとも一方に、水分量を測定する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
  6. 前記水分量調整工程は、印刷画像のドットを小さくする場合に、下記式1で求められる木材の水分割合が1質量%〜8.5質量%となるようにする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
    木材の水分割合(質量%)=[(A−B)/A]×100 ・・・式1
    (式1において、Aは、測定対象の木材の質量であり、Bは、測定対象と同一の木材を150℃24時間乾燥させた木材(乾燥木材)の質量である。)
  7. 少なくとも前記水分量調整工程及び前記印刷工程がインラインで行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾木材の製造方法。
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