JP6938129B2 - 木材用表面処理液、成型板用表面処理液、及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、木材又は成型板を表面処理するための表面処理液、表面処理された木材及び成型板、並びに、加飾された木材及び成型板とその製造方法に関する。
近年、建築材料等として用いられる木材及び成型板に対し、インクジェット印刷を用いて様々な画像を印刷し、美観を高めることが求められている。しかし、木材及び成型板のような表面に空隙を有する基材に対しインクジェット印刷を行うと、インクが基材内部に浸透してしまうため、画像品位が悪いとの問題がある。
木材に対しこれまで、インクジェット印刷を行う前に、エマルション接着剤を木材の表面に塗布する技術(特許文献1)、及び、水溶性高分子系インクジェット用樹脂と透明な充填剤を含むインク受容層を形成する技術(特許文献2)が知られている。また、木材に対しインク受容層を形成せず、紫外線硬化型インクの硬化物からなる印刷層を設ける技術も知られている(特許文献3)。
特許第3701805号公報 特開2008−93910号公報 特開2012−111069号公報
しかし、上記特許文献1の技術では、接着剤が木材の細孔を塞いでしまうため、木材本来が有する吸湿性を維持することが難しくなる。また、本発明者らの検討によれば、上記特許文献2の技術では、画像再現性が充分ではない。さらに、建築材料等の場合、印刷画像には、表面の傷が目立ちにくい耐傷性を有することが求められるが、上記特許文献3の技術では、傷が目立ちやすく、かつ、不自然な光沢が生じるばかりか、木材本来の吸湿性も損なわれてしまう。
そこで、本発明は、木材又は成型板に対し、高品位であり且つ耐傷性に優れた画像を、インクジェット印刷により形成するための技術を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態によれば、水、カチオン性の水分散性樹脂、及び表面張力調整剤を含み、前記カチオン性の水分散性樹脂は、動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm以上10μm以下の大粒子を含む、木材又は成型板用表面処理液が提供される。
本発明の別の実施形態によれば、上記実施形態の表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を備える、表面処理木材又は表面処理成型板が提供される。
本発明の別の実施形態によれば、上記実施形態の表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層と、該表面処理層上に形成されたインクジェット印刷層とを備える、加飾木材又は加飾成型板が提供される。
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記実施形態の表面処理液を用いる加飾木材又は加飾成型板の製造方法であって、前記木材又は成型板用表面処理液を木材又は成型板表面に塗布して、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を形成する工程、及び、該表面処理層上に、水性インクジェットインクを用いたインクジェット印刷を行う工程、を含む、加飾木材又は加飾成型板の製造方法が提供される。
本発明の実施形態では、特定のカチオン性の水分散性樹脂と表面張力調整剤を含む表面処理液を用いるため、基材(木材又は成型板)表面に、画像品位に優れ耐傷性も良好な印刷画像を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことは言うまでもない。なお、本明細書において「重量」と「質量」は同じ意味で用いられるので、以下、「重量」に統一して記載する。以下の記載において、木材又は成型板用表面処理液を単に「表面処理液」又は「処理液」と記すことがあり、インクジェットインクを単に「インク」と記すことがある。木材と成型板をまとめて「基材」と記すこともある。
<木材又は成型板用表面処理液>
本実施形態に係る表面処理液は、木材又は成型板に用いられるものであり、少なくとも水、カチオン性の水分散性樹脂、及び表面張力調整剤を含む。この表面処理液は、特には、UV硬化型ではないインクジェットインクによる印刷画像を形成する前の前処理液として用いることが好ましい。印刷前に本実施形態の表面処理液を予め用い、その後にインクジェットインクによる印刷画像を形成することにより、印刷画像の品位を向上させ、かつ、基材表面の傷を目立たなくすることができる。
本明細書において、「表面処理」とは、任意の手段により表面処理液を基材に付着させる意味であり、表面処理液を付着させることを「塗布」又は「適用」とも記す。また、その付着箇所は、基材の表面のみではなく、基材の空隙の内部(内面)を含んでいてもよい。
[カチオン性の水分散性樹脂]
インクは一般に、表面電荷がアニオン性の成分を含み、顔料等の色材も一般的にアニオン性である。したがって、カチオン性の成分を含む表面処理液を用いて、予め基材表面にカチオン性の成分を付着させておくことにより、インクとの間にアニオン−カチオン反応が生じ、色材などのインク成分の基材への浸透を十分に抑制し、色材を基材表面に留めることができる。
カチオン性の成分は、好ましくは、水分散性樹脂であり、水分散性樹脂粒子である。カチオン性の水分散性樹脂粒子は、樹脂粒子の表面がプラスに帯電した、正電荷を帯びた樹脂粒子であり、水に溶解することなく粒子状に分散して、水中油(O/W)型のエマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するカチオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にカチオン性の分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。
カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、及びベンゾピラゾール基等であり、カチオン性の分散剤は、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、及びカチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等である。
樹脂粒子の表面電荷量は、粒子電荷計で評価することができる。試料を中和するのに必要なアニオン量またはカチオン量を測定することで、表面電荷量を算出することができる。具体的には、表面電荷量が+300μeq/g以上であることが好ましい。粒子電荷計としては、日本ルフト株式会社製コロイド粒子電荷量計Model CAS等を用いることができる。
水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、処理液の製造に際しては、水中油型の樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いても良い。後述するが、これらの樹脂が複合された樹脂エマルションでも良い。
上記のとおり、これらの樹脂にカチオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性分散剤等で表面処理して、プラスの表面電荷を与えることができる。
樹脂粒子の粒径は、特に限定されず、複数種の異なる粒径の粒子を任意に組み合わせて用いることができる。一実施形態において、基材の表面に留まりやすく、加熱乾燥等により基材表面に定着しやすいとの観点から、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が1μm以上のサイズを持つ粒子を含むことが好ましい。また、樹脂粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、これにより基材の特性を生かしつつ基材表面の凹部及び空隙にも浸透することができる。
好ましい一実施形態においては、カチオン性の水分散性樹脂は、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が1μm以上10μm以下の大粒子を含む。これにより、インク層の画像品位と耐傷性を充分に確保することができる。これはすなわち、粒子径が大きな樹脂粒子を用いることで、表面凹凸及び空隙のある基材に対し、その基材の特性を損なうことなく、その凹凸や空隙に追随して表面処理層を形成することができ、その結果、耐傷性と画像品位の高いインク層を形成することができるためであると考えられる。さらに、木材では、メジアン径(平均粒径)を1μm以上10μm以下とすることによって、基材に存在する空隙(木材では後述する管)の大きさに追随して、効率よく表面処理層を形成することができる。特に、木材では、針葉樹と広葉樹の分類によって管の大きさ(平均直径)が異なる。例えば、広葉樹の環孔材であるタモ材の平均直径は約260μm、散孔材であるメープル材は約60μmである。一方、針葉樹であるヒノキ材は平均直径が約10μmである。このように、木材は樹種によってその空隙の大きさが異なり、さらには天然物であるため基材の空隙の分布が全く同じ状態のものは存在しないのであるが、大粒子の平均粒径を上記とすることにより、木材のような空隙が不揃いな基材に対しても、基材の本来の機能(木材では吸湿性)を低下させることなく、表面処理層を形成することができる。
さらに好ましい一実施形態において表面処理液は、動的光散乱法により測定されるメジアン径(平均粒径)が1μm未満の小粒子も併せて含む。これにより、上記の画像品位と耐傷性に加えて、インク層の耐水性もさらに向上させることができる。
大粒子と小粒子を用いる場合の両者の比率は、小粒子が大粒子に対して少なすぎると定着性が不十分であり、多すぎると処理層が皮膜化し木材の吸湿性を妨げる恐れがあるため、重量比で大粒子1に対し小粒子が0.1〜1.5程度であることが好ましい。
樹脂粒子の平均粒径は、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒径値(メジアン径)である。動的光散乱式粒子径分布測定装置としては、ナノ粒子解析装置nano Partica SZ−100(株式会社堀場製作所)等を用い、水分散性樹脂の濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、25℃で測定することができる。
表面処理液中又は後述するインク中において、樹脂粒子は、独立した微粒子の状態で存在する場合と、独立した微粒子が集合した凝集体の状態で存在する場合とが考えられるが、動的光散乱法で測定されるメジアン径を「平均粒径」と位置づけることとする。
なお、上記樹脂粒子の平均粒径は、表面処理液又はインクを調製する前の原料エマルション状態で測定することが、インクの場合であれば色材(顔料粒子)の影響を排除できることから好ましく、その測定値を本実施形態の平均粒径とすることができる。
大粒子の平均粒径は、1μm以上であることが好ましく、10μm以下、7μm以下、5μm以下であることがこの順に好ましい。小粒子の平均粒径は、1μm未満、500nm以下であることがこの順に好ましい。平均粒径の下限値は、特に限定はされないが、表面処理液の保存安定性の観点からは、5nm以上程度であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
さらに、大粒子と小粒子は、両者を混合して平均粒径を測定した場合に、その粒度分布において二つのピークが存在する、すなわち各々が異なるピーク値を有するものであることが好ましい。
また、大粒子と小粒子は、平均粒径値の相違に加え、その他の相違点を有していてもよい。例えば、大粒子は、最低造膜温度(MFT)が70℃以上であることが好ましく、一方、小粒子は、MFTが70℃未満以下であることが好ましい。このMFTとは、エマルションがフィルム化(成膜)するために必要な温度であり、JIS K6828−2に従って測定することができる。ここで、70℃においても成膜しない水分散性樹脂は、MFTが70℃以上の水分散性樹脂に含まれるものとする。
より好ましくは、大粒子のMFTは100℃以上であり、小粒子のMFTは50℃以下であり、特に、小粒子は室温で成膜することが好ましいため、40℃以下であることが一層好ましい。
また、大粒子のMFTと小粒子のMFTの差は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
大粒子と小粒子の樹脂の分子構造は、同一であってもよいが、互いに異なるものを用いてもよい。
大粒子として、例えば、カルボキシ基、スルホ基等に代表されるアニオン性の官能基を有するポリマーと、アミノ基又はアミド基等に代表されるカチオン性の官能基を有するポリマーとが複合して得られるポリマーコンプレックスであって、コア部がアニオン性ポリマー、シェル部がカチオン性ポリマーである、コアシェル構造の複合有機粒子を用いることも好ましい。
複合有機粒子のアニオン性ポリマーとしては、例えば繰り返し単位として(メタ)アクリル酸を含むポリマー、より具体的にはスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。スチレン、(メタ)アクリル酸以外の、これらと共重合可能なビニル化合物を含んでいてもよい。
複合有機粒子のカチオン性ポリマー(塩基性ポリマー)としては、例えば、含窒素モノマーを含むポリマーであり、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルイミダゾール等の窒素複素環化合物を繰り返し単位として含むホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。コポリマーを形成するコモノマーとしては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリルアミド等の一般的なビニル化合物を、1種または2種以上選択して使用できる。
この場合のアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの使用割合は、粒子表面の電荷をカチオン性とするために、重量比で、アニオン性ポリマー1に対し、カチオン性ポリマーが3〜10であることが好ましい。
このような複合有機粒子の市販品として、「PP−15」、「PP−17」(共に明成化学工業株式会社)を好ましく用いることができる。
表面処理液中における水分散性樹脂の量(大粒子と小粒子を用いる場合には両者の合計固形分量)は、処理した際の基材表面におけるインク定着性の観点から2重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることが一層好ましい。一方、処理液の粘度が高すぎる場合、均一な処理が困難になるため、樹脂量は50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。
[溶媒]
水は、処理液の溶媒、すなわちビヒクルとして機能するものであり、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が使用できる。水は揮発性の高い溶媒であり、基材に吐出された後、容易に蒸発するので、表面処理後の基材の空隙が塞がれるのを防止し、木材の吸湿性等の表面処理後の基材本来の特性の低下を防止する作用を奏する。また、水は、無害で安全性が高く、VOCのような問題が無いので、表面処理された基材を環境にやさしいものとすることができる。
表面処理液中の水の含有量が多いほど、表面処理液の粘度が低く、取り扱いが容易になることから、水は、処理液全量の60重量%以上であることが好ましく、65重量%以上であることがより好ましい。
水の含有量の上限値は、特に限定はされないが、処理液中に水分散性樹脂の大粒子と小粒子を含む一実施形態において、水の含有量は95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましい。別の一実施形態においては、水の含有量は85重量%〜95重量%であることが好ましい。
処理液の溶媒は、ほとんどが水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。水溶性有機溶剤の沸点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、水と単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。水溶性有機溶剤の含有量は、粘度調整と保湿効果の観点から、処理液中に30重量%以下(あるいは、溶媒中に50重量%以下)であることが好ましい。
[表面張力調整剤]
表面処理液は、その表面張力を低下させて基材表面に均一に塗布できるようにするために、また、粒径の小さい水分散性樹脂粒子(小粒子)を含む場合にはその凝集を抑制して液の保存安定性を高めるために、表面張力調整剤(界面活性剤)をさらに含むことが好ましい。
界面活性剤は、親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のものと非イオン性(ノニオン性)のものに大別されるが、本実施形態では、処理液の泡立ちの観点から、起泡しにくい非イオン系の界面活性剤を用いることが好ましい。また、低分子系・高分子系(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のどちらでも良いが、高分子系界面活性剤を用いることが好ましい。
HLB値については、5〜20程度の界面活性剤であることが好ましい。
非イオン系の界面活性剤としては、たとえば、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等のエステル型のもの、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型のもの、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型のもの等が挙げられる。
本実施形態では、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、アセチレングリコールであるサーフィノール104E、104H、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造のサーフィノール420、440、465、485等(エアープロダクツアンドケミカルズ社)、アセチレングリコールのオルフィンE−1004、E−1010、E−1020、PD−002W、PD−004、EXP.4001、EXP−4200、EXP−4123、EXP−4300等(日信化学工業株式会社)、アセチレングリコールのアセチレノールE00、E00P、アセチレングリコールのエチレンオキサイドを付加した構造のアセチレノールE40、E100等(川研ファインケミカル株式会社)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤は、非常に高い表面張力低下能と接触角低下能を持つため、基材表面が親水性でなくても基材表面に処理液を速やかに拡散させることができる。その結果、基材の表面に処理液の機能発現成分が均一に定着することができるため、印刷した際にインクが処理部分に均一に定着し、高発色で高品位の印刷画像を得ることができる。
シリコーン系界面活性剤のなかでも、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤が好ましい。市販品では「シルフェイスSAGシリーズ」(日信化学工業株式会社)を好ましく使用できる。
界面活性剤は、上記のシリコーン系界面活性剤等を、いずれか単独で用いてもよいし、互いに相溶性が良好な複数の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤を使用する場合の表面処理液中の含有量は、0.1重量%以上程度であることが好ましく、0.3重量%以上であることがより好ましく、0.5重量%以上であることが一層好ましい、一方、界面活性剤量は、5重量%以下程度であることが好ましく、4重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることが一層好ましい。
[その他の成分]
処理液には、処理液の機能を阻害しない限り、上記の成分以外に、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の公知の添加剤を任意に添加できる。これらの添加剤を複数種組み合わせて使用してもよい。
処理液は、水、カチオン性の水分散性樹脂、及び表面張力調整剤、並びに任意に添加される添加剤があれば該添加剤を、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。
[木材]
基材である木材は、天然の樹木から切り出した木板、薄く切った単板(突板)、及び単板を積層して熱圧着した合板(構造用合板等)を意味する。樹木の種類、及び合板の製造方法と積層枚数等は特に限定されない。木材の厚みも特に限定されず、0.1mm程度の薄い突板から数センチ程度の厚い無垢板材まで、幅広く用いることができる。
木材には水を通す役割を持つ管(導管)が存在する。木材は大きく針葉樹と広葉樹に分類され、針葉樹には仮導管が、広葉樹には導管が存在し、さらに針葉樹には樹種によっては仮導管の他に、分泌したヤニ(樹脂)を通す樹脂道も存在する。また、広葉樹では、導管が環状に並び環状に孔が空いている環孔材(ナラ材、タモ材、ケヤキ材等)と、導管の配列が整わず全体に分散している散孔材(カエデ材、メープル材、ウォールナット材、チェリー材等)とが存在する。これらの導管の分布の仕方によって、木材の表面に木目模様が現れる。
板状に加工された木材表面では、導管の内部が剥き出しになっているため、そこに水性インクで印刷を行うと、導管に沿って滲みが生じ、細線再現性が低下することとなる。これに対し、本実施形態の表面処理液による表面処理を行うことにより、表面処理液中のカチオン性の水分散性樹脂が導管内部のインクの濡れ広がりを制御し、滲みにくく細線再現性が良好で、且つ、発色性の良い印刷画像を形成することができる。また、表面処理層が導管内部にも浸透することで、印刷層が導管内部にも充分に定着し、その結果、表面の擦過傷を目立たなくすることもできる。
さらに、本実施形態の表面処理液は、上述した成分を含むものであるため、木材本来が有する吸湿性の低下を抑制し、木材の吸湿性能を維持しつつ表面処理層と印刷層とを形成することができる。
[成型板]
成型板(成型ボード)としては、代表的には木質ボード(又はファイバーボード)が挙げられるが、木質以外の原材料、例えば木材以外の植物由来材料を用いた成型板も好ましく使用できる。本実施形態では、植物由来物(木材又は木材以外の植物)を主原料とする成型板(植物由来の成型板)であることが好ましい。
木質ボードとしては、インシュレーションボード、パーティクルボード、MDF(中密度ファイバーボード)、ハードボード等が挙げられる。これらは、各種の木質未利用材(林地残廃材、小径木、合板工場残廃材、建築解体材等)を小片、粉末、又は繊維化したもの(木材チップ、樹皮粉砕チップ、木質フレーク、オガ粉、木質ウエハー、木材ストランド等)を用い、乾式法又は湿式法で圧縮成型して得られるものである。市販品では、檜を用いた「レノウッド」(竹村工業(株))等が挙げられる。
木材以外の植物由来材料としては、麦わら、もみがら、いぐさ、草木の切れ端等が挙げられ、「ハーベストパネル」((株)高岡建材)、「もみがらエコボード」((株)コバリン)、「イグサボード」((株)エスウッド)等の市販品を用いることができる。
植物由来物を用いた成型板では、表面が親水性であるため水性インクの広がり及び滲みが発生するが、本実施形態の表面処理液を予め用いることにより、上記木材の場合と同様に、滲みにくく細線再現性が良好で、発色性が良く、かつ、成型板の凹凸及び空隙にもインクを良好に付着させることができるので、擦過傷が目立たない印刷画像を形成できる。
<表面処理木材又は表面処理成型板>
表面処理木材又は成型板は、上記実施形態の表面処理液により表面処理された木材又は成型板であり、表面処理層を備えている。この表面処理層は、固形分で0.5g/m以上の量の表面処理液を含むことが好ましい。すなわち、この表面処理層は、カチオン性の水分散性樹脂と表面張力調整剤を含む層であり、表面処理液が、これら以外の不揮発成分を含む場合、表面処理層もそれらの不揮発成分を含む。
表面処理層は、木材又は成型板の表面の少なくとも一部に存在すればよいが、全表面に形成されていてもよい。
表面処理層が、固形分で0.5g/m以上の表面処理液を含むことにより、インクの滲み等を防止する効果が発揮され、固形分で1g/m以上の表面処理液を含むことがより好ましく、固形分で1.5g/m以上の表面処理液を含むことが一層好ましい。一方、表面処理層の表面処理液の上限値は特に限定されないが、画像の耐水性という観点からは、表面処理液が多すぎると、基材に浸透しきれない表面処理液が乾燥して表面処理層が厚く形成され、加飾後に該表面処理層が水分の付着によって溶解し、加飾部ごと剥がれてしまって加飾品の耐水擦過性が低下する恐れがあるため、固形分で10g/m以下であることが好ましい場合がある。この耐水擦過性の観点からは、表面処理液の量は固形分で7g/m以下であることがより好ましく、5g/m以下、4g/m以下であることがこの順に一層好ましい。
好ましい一実施形態においては、表面処理層は、メジアン径が1μm以上10μm以下のカチオン性の水分散性樹脂粒子を含み、さらに好ましい一実施形態においては、表面処理層は、メジアン径が1μm以上10μm以下のカチオン性の水分散性樹脂粒子と、メジアン径が1μm未満のカチオン性の水分散性樹脂粒子の双方を含む。
上記木材及び成型板には、表面処理前に、任意の下地塗装や親水化処理等がなされていても良い。その場合、塗装は水性の塗料で行われることが好ましい。また、木材及び成型板が本来もつ吸湿性を低下させない程度の下地塗装である必要がある。
<表面処理木材又は表面処理成型板の製造方法>
表面処理木材又は表面処理成型板は、木材又は成型板用表面処理液を木材表面に塗布して、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を形成する工程、を含む表面処理木材又は表面処理成型板の製造方法により好ましく製造することができる。
表面処理液の基材表面への塗布又は付着は、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター、スプレーを使用して基材表面に一様に塗布することによって行ってもよいし、又は、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。すなわち、表面処理液は、基材表面の全面に塗布されてもよいし、必要な箇所にのみ、例えばインクジェット印刷が行われる箇所にのみ塗布されてもよい。
表面処理液が、カチオン性の水分散性樹脂として大粒子と小粒子を含む場合、表面処理液の適用を、2段階に分けて行うこともできる。すなわち、例えば、大粒子又は小粒子のどちらか一方を含む表面処理液と、残りの一方を含む表面処理液を準備し、両者をそれぞれ、基材に塗布することもできる。大粒子と小粒子を分けて適用する場合、小粒子の塗布が先であると、基材の空隙への浸透が進み、インクに対するバインダーとしての効果が薄れる可能性があるため、大粒子を先に塗布するほうが好ましい。
表面処理液を基材に付着させたのち、乾燥させてからインクジェット印刷を行うことが好ましい。その際、加熱乾燥により乾燥時間を短縮することが好ましいが、基材の種類によっては加熱をしない方が好ましい場合もある。例えば、突板に対しては、加熱による突板の湾曲を避けるために、加熱乾燥を行わず、室温で乾燥させることが好ましい。
一方、表面処理液を基材に付着させた直後に、すなわち表面処理液を乾燥させずに、続けてインクジェット印刷を行うこともできる。
<加飾木材又は加飾成型板>
加飾木材又は加飾成型板は、上記実施形態の表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層と、該表面処理層上に形成されたインクジェット印刷層とを備える木材又は成型板である。本明細書において、「加飾」は装飾と同義であって、印刷画像を形成することを意味しており、「加飾された」とは印刷画像(印刷層又はインク層)を有することを意味する。この印刷層は、基材の全面であっても一部であってもよい。なお、印刷前の基材は、上記処理液による表面処理後に、任意の別の処理が行われたものであってもよい。
加飾木材又は加飾成型板は、インクジェットインクを用いたオンデマンド印刷による印刷層を含む。また、基材に対し、加飾により不自然な光沢等を付与せずに、木質等の基材特有の性状を損なわない印刷ができるので、基材の自然な外観を生かしつつ高発色で滲みのない画像を有している。
[インクジェットインク]
上記表面処理木材又は表面処理成型板にインクジェット(IJ)印刷を行うためのインクは、IJインクであれば特に限定されないが、UV硬化型ではないインクであることが好ましく、さらに、水性インクであることが好ましい。すなわち、水、バインダー樹脂、及び色材を含むIJインクであることが好ましい。
水は、インクの溶媒、すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が使用できる。表面処理液について上述したとおり、水は安全であるとともに揮発性が高いため、加飾された基材本来の性能の低下を防止することができる。
インク中の水の含有量は、インク全量の30重量%以上であることが好ましく、インク全量の60重量%以上であることがより好ましく、65重量%以上であることがさらに好ましい。また、水の含有量は95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましい。
インクの溶媒は、その大部分が水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、上記表面処理液に使用できるものと同様の溶剤を、1種又は2種以上選択して使用できる。
水溶性有機溶剤のインク中の含有量は、2種以上が用いられる場合はその合計含有量として、5〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
バインダー樹脂としては、水溶性樹脂又は親水性樹脂を用いることができ、特に限定はされない。得られた画像の耐水性を向上させるためには、水分散性樹脂を含むことが好ましく、水分散性樹脂を水溶性樹脂と組み合わせて用いても良い。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらは、単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。
水分散性樹脂の場合は、粒子表面がマイナスに帯電し、負電荷を帯びたアニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型エマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するアニオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にアニオン性の分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。アニオン性の官能基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基等であり、アニオン性の分散剤は、陰イオン界面活性剤等である。表面がアニオン性であると、上記表面処理液中のカチオン性水分散性樹脂との化学的な相互作用が得られ、その結果、色材の定着を一層強固なものとして画像の耐久性をより高めることができる。
樹脂粒子の表面電荷は、ゼータ電位を測定することで評価できる。具体的には、ゼータ電位の絶対値が30mV以上であることが好ましい。
樹脂の種類としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、インクの製造に際し、樹脂エマルションとして配合することができる。
代表的には、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びそれらの樹脂エマルション等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。
上記のとおり、これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入するか、又は、アニオン性分散剤等で表面処理して、マイナスの表面電荷を与えることができる。
これらの水分散性樹脂(又はそのエマルション)のうち、インクジェットヘッドからの安定吐出性能の観点、及び基材に対する密着性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が−35〜40℃のウレタン樹脂(エマルション)を用いることが好ましい。かかる樹脂エマルションの具体例としては、第一工業製薬(株)のスーパーフレックス460、420、470、460S(カーボネート系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、150HS(エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルション・商品名)、740、840(芳香族イソシアネート系エステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、DSM社のNeoRez R−9660、R−2170(脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、NeoRez R−966、R−967、R−650(脂肪族ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルション・いずれも商品名)、R−986、R−9603(脂肪族ポリカーボネート・いずれも商品名)などが挙げられる。
また、インク中での安定性の観点から、(メタ)アクリル樹脂又は(メタ)アクリル樹脂共重合体を用いることも好ましい。具体的には、日本合成化学工業(株)のモビニール966A、6963、6960(アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、6969D、RA−033A4(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)や、BASF社のジョンクリル7100、PDX−7370、PDX−7341(スチレン/アクリル樹脂エマルション・いずれも商品名)、DIC(株)のボンコートEC−905EF、5400EF、CG−8400(アクリル/スチレン系エマルション)などが挙げられる。
水分散性樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の1種単独の樹脂(又はそのエマルション)から構成されてもよいし、又は、複数種の樹脂(又はそれらのエマルション)を組み合わせて構成されてもよい。
エマルションを形成する水分散性樹脂粒子は、インクジェット印刷に適した粒子径であれば良く、一般的には平均粒径(動的光散乱法により体積基準で測定したメジアン径)で300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、さらに好ましい値は200nm以下であり、一層好ましい値は150nm以下である。平均粒径の下限値は、特に限定はされないが、インクの保存安定性の観点からは、5nm以上程度であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
インク中における水分散性樹脂及び/又は水溶性樹脂の量(固形分量)は、色材と樹脂の比率(色材:樹脂)で1:0.5〜1:7(重量比)が好ましい。樹脂の含有量をこの範囲にすることで、基材の表面に印刷された画像の耐水擦過性と高画質性を十分に確保することができる。色材1に対する樹脂の比率が0.5より小さいと、顔料の定着性が悪くなる可能性があり、7より大きいと、粘度が高くなり、インクを吐出するヘッドからインクを吐出できなくなる可能性がある。
インクの色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。加飾画像の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材の含有量は、インク全量に対して0.01〜20重量%の範囲であることが好ましい。さらには、色材の含有量は0.1重量%以上であることがより好ましく、0.5重量%以上であることがさらに好ましく、1重量%以上であることが一層好ましく、また、15重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましく、8重量%以下であることが一層好ましい。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
インクには、インク中における顔料の分散を良好にするために、必要に応じて顔料分散剤を添加することができる。使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶媒中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、高分子分散剤や顔料分散能をもった界面活性剤に代表される公知の顔料分散剤を使用することが好ましい。高分子分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース(商品名)シリーズ、ジョンソンポリマー社製のジョンクリル(商品名)シリーズ、BYK社のDISPERBYKシリーズ、BYKシリーズなどが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、花王(株)製デモール(商品名)シリーズのような、アニオン性の脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等、非イオン性のポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記溶媒中に分散可能な量であれば足り、例えば顔料1に対し重量比で0.01〜2の範囲内で、適宜設定できる。
また、インク中にはインクの表面張力を低下させ、インクジェットヘッドに導入した際の吐出安定性を確保し、また印刷対象基材にインクを速やかに浸透させるために、表面張力低下剤(界面活性剤)を添加することができる。表面張力低下剤としては、さらに水分散性樹脂粒子の凝集を抑制する効果も有している界面活性剤、例えば、表面処理液に配合されると同様の界面活性剤を用いることもできる。顔料分散機能と表面張力低下機能の双方を備える界面活性剤を使用してもよい。
インク中の表面張力低下剤の量は、0.1重量%以上程度であることが好ましく、0.3重量%以上であることがより好ましく、0.5重量%以上であることが一層好ましい。一方、表面張力低下剤量は、5重量%以下程度であることが好ましく、4重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることが一層好ましい。
インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記の成分以外に、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
インクの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、ビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め水と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
<加飾木材又は加飾成型板の製造方法>
加飾木材又は加飾成型板は、前記木材又は成型板用表面処理液を木材又は成型板表面に塗布して、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を形成する工程、及び、該表面処理層上に、水性インクジェットインクを用いたインクジェット印刷を行う工程、を含む加飾木材又は加飾成型板の製造方法により好ましく製造することができるが、これに限定されることはない。表面処理層の形成方法は、上記表面処理木材又は表面処理成型板の製造方法において記載したとおりである。
[インクジェット印刷]
表面処理木材又は表面処理成型板への水性インクを用いたインクジェット印刷は、一般的な記録ヘッドを用いて行うことができ、印刷方式や使用する装置等に特に制限はない。印刷(加飾)後は、乾燥させることにより、印刷されたインクから水及びその他の揮発性成分が揮発して、木材又は成型板の表面に、バインダー樹脂と色材から主として構成される画像を備えてなる、加飾木材又は加飾成型板が得られる。
画像の記録面積は、特に限定されず、任意の絵柄又は文字、あるいは絵柄と文字との組合せ等を、自由に選択することができる。
より高品位の加飾画像を得るために、(i)インク滴を小さくする、(ii)印刷速度を遅くする、(iii)片方向印刷をする、(iv)基材を温めながら印刷する、(v)印刷解像度を低くする、又は(vi)これらの方法を組み合わせて印刷するなどの印刷条件を用いることが有効である。
特に、基材を温めながら印刷する上記印刷条件は、少ないインク量で高発色の画像を得ることが必要な場合、凹凸が多い基材に、又は、インクの吸水性能が異なる複数の基材にまたがった絵柄を均一に印刷する場合の印刷条件としても有効である。基材を温めながら印刷することで、インク中の水以外の成分である顔料等の存在位置を基材の表面近くに形成させることが可能となるため、基材の形状及び性状への影響が小さくなり、安定した画像を得ることが可能となる。
印刷終了後に基材を加熱してもよく、インク中の水やその他の揮発性成分を完全に揮発させ、インク中の色材をバインダー樹脂によって基材に定着させることができる。
基材を温める方法は任意であり、加熱温度は、インクジェット印刷に用いるノズルが乾燥し吐出が不安定にならない温度であれば特に限定されず、例えば50〜100℃の範囲で加熱できる。
加飾を行うための装置は、特に限定されないが、例えば、基材を載置するための載置部と、基材の表面に表面処理液を塗布するための表面処理液塗布部と、続いてインクを吐出してインクジェット印刷するように配置されたインクジェット記録ヘッドとを少なくとも備え、さらに好ましくは、基材を加熱するための加熱部を任意に備えた加飾装置を用いることができる。
より詳細には、加飾装置は、加飾しようとする画像の電子データ(各画素に対応する画素値を備えるもの)を提供するための入力部(例えば、スキャナ)、基材の表面に水性インクを吐出して画像を記録する記録ヘッド部、基材を載置した状態で記録ヘッド部の下面に形成された吐出ノズルと対向する位置に基材を搬送する搬送部、及び、基材が記録ヘッド部に至る前に、その表面に表面処理液を塗布する表面処理液塗布部を備えることができる。さらに、印刷中又は印刷前後の任意の段階で、基材上の加飾領域を加熱する加熱部(セラミックヒーター等の各種ヒーター)を設け、吐出された処理液及び/又はインクの乾燥を促進できるようにすることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「重量%」である。表中の各成分の配合量も「重量%」で示す。
<表面処理液の調製>
表1に記載された各成分を、表1に示す割合でプレミックスし、その後、ホモジナイザーで1分間分散して、表面処理液1〜11を得た。
表1記載の原材料の詳細は、下記のとおりである。塩化カルシウム水溶液は、和光純薬製の塩化カルシウムを水に溶解させ、濃度を50%に調製した水溶液である。グリセリンは、和光純薬製の試薬特級である。
「PP−15」:明成化学工業(株)製、カチオン性水分散性複合有機粒子(平均粒径約1.8μm、100℃において成膜しない)
「PP−17」:明成化学工業(株)製、カチオン性水分散性複合有機粒子(平均粒径約2.5μm、100℃において成膜しない)
「ポリゾールAE−803」:昭和電工(株)製、カチオン性水系アクリル樹脂エマルション(平均粒径419nm、MFT0℃)
「ポリゾールAP−1370」:昭和電工(株)製、カチオン性水系アクリル樹脂エマルション(平均粒径206nm、MFT10℃)
「パスコールJK−870」:明成化学工業(株)製、カチオン性水系ウレタン樹脂エマルション(平均粒径50nm)
「ビニブラン271」:日信化学工業(株)製、アニオン性塩化ビニル系エマルション(平均粒径230nm)
「MP−2040」:日産化学工業(株)製、シリカゾル(平均粒径200nm)
「スノーテックス20L」:日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ(平均粒径40〜50nm)
「スノーテックス30」:日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ(平均粒径10〜15nm)
「ビニブラン1035F」:日信化学工業(株)製、酢酸ビニル系エマルション樹脂(非イオン性水分散性樹脂、平均粒径 1000nm(参考値))
「エスレックKX−3」:積水化学工業(株)製、ポリビニルアセタール樹脂
「シルフェイスSAG503A」:日信化学工業(株)製、シリコーン系界面活性剤
「オルフィンE1010」:日信化学工業(株)製、アセチレングリコール系界面活性剤
樹脂の平均粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置「ナノ粒子解析装置nano Prtica SZ−100」(株式会社堀場製作所製)を用いて、各樹脂分散液を粒子濃度0.5質量%となるように精製水で希釈して、分散媒屈折率:1.333、試料屈折率:1.600、分散形態:「多分散」・「ナロー」に設定し、温度25℃で測定した体積基準のメジアン径である。
Figure 0006938129
<水性インクセットの調製>
表2に記載の各成分を表2に示す割合でプレミックスし、得られた分散液を孔径3μmのメンブレンフィルターに通過させて、6色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ)からなる水性インクセット1〜3を得た。
表2記載の原材料の詳細は、下記のとおりである(表1に記載の原材料と同一のものを除く)。
「CAB−O−JET 250C」:キャボット社製、水系自己分散シアン顔料分散体
「CAB−O−JET 260M」:キャボット社製、水系自己分散マゼンタ顔料分散体
「CAB−O−JET 270Y」:キャボット社製、水系自己分散イエロー顔料分散体
「BONJET BLACK CW−4」:オリヱント化学工業(株)製、水系自己分散カーボンブラック分散体
「スーパーフレックス470」:第一工業製薬(株)製、アニオン性水系ウレタン樹脂エマルション(平均粒径83nm)
「クラレポバールPVA205」:(株)クラレ製、部分けん化ポリビニルアルコール(けん化度86.5〜89モル%)
「サーフィノール465」:日信化学工業(株)製、アセチレングリコール系界面活性剤
Figure 0006938129
<表面処理木材及び表面処理成型板の製造>
表3−1、表3−2、及び表3−3(以下、まとめて「表3」とも記す。)に示すとおり、木材又は成型板に対し、各表面処理液を電動スプレー用いて全面塗工し、23℃、相対湿度50%で一晩放置した。表面処理液の塗布量は、表3に示すとおりである。
使用した基材は次のとおりである。
木材1:ハードメープル(広葉樹、散孔材)、厚み0.6mm、突板
木材2:ヒノキ(針葉樹)、厚み0.2mm、突板
木材3:ヒノキ(針葉樹)、厚み10mm、単板
木材4:タモ(広葉樹、環孔材)、厚み0.6mm、突板
木材5:スプルース(針葉樹)、厚み0.6mm、突板
成型板1:(株)高岡建材製「ハーベストパネル」(麦わら)、厚み18mm
成型板2:竹村工業(株)製「レノウッド」(ヒノキ)、厚み17mm
成型板3:(株)コバリン製「もみがらエコボード」(もみがら)、厚み14mm
成型板4:(株)エスウッド製「イグサボード」(イグサ)、厚み8mm
<表面処理品の評価>
得られた表面処理品(表面処理木材、表面処理成型板)について、以下の評価を行った。評価基準は、表4に示すとおりである。
基材表面性:表面処理された基材について、表面処理していない基材と同様の風合いで素地の表面模様が残存しているかを目視で判定した。
<加飾木材及び加飾成型板の製造>
実施例及び比較例(比較例4を除く)の上記表面処理品(比較例1及び11は未表面処理品)に対し、表2に示した各インクセットを、市販の水性顔料インクジェットプリンタの各色に対応したインクジェットヘッドに導入し、ベタ画像、0.3mmの細線画像、木材に対しては木目調画像、及び成型板に対してはグラデーション画像をそれぞれインクジェット印刷し、80℃で10分間加熱して印刷面を乾燥させた。比較例4では、ローランド ディー.ジー.社製UVプリンターVersaUV LEF−12用のECO−UVインクを用い、同プリンターを用いて未表面処理の木材1に各画像を印刷したのち、プリンターに内蔵されているUV−LEDランプで紫外線硬化させた。
<加飾品の評価>
得られた加飾品(加飾木材、加飾成型板)について、以下の評価を行った。評価基準は、表4に示すとおりである。
画像品位1(光沢性):印刷された木目調画像又はグラデーション画像の光沢性を目視で判定した。
画像品位2(木目調画像の再現性):加飾木材に対し、印刷された木目調画像の再現性を目視で判定した。
画像品位3(グラデーション画像の再現性):加飾成形品に対し、印刷されたフルカラーのグラデーション画像の再現性を目視で判定した。
画像品位4(発色性):印刷されたベタ画像の発色性を目視で判定した。インクジェット専用紙にもベタ画像を印刷し、それと同等の発色性があるか否かを評価した。
画像品位5(細線再現性):印刷された0.3mm細線のにじみ、かすれ、及びキレの程度を目視で判定した。
耐久性1(耐傷性):JIS K5600−5−6:1999「付着性(クロスカット法)」に準じて、印刷された木目調画像部分又はグラデーション画像部分をカッターで傷つけたときの、傷の見え方を評価した。
耐久性2(耐水擦過性):印刷された木目調画像部分又はグラデーション画像を、濡れた綿棒(荷重約100g)を往復させて擦り、画像の剥がれの有無を評価した。
吸湿性:加飾木材と未加飾木材に対し、JIS Z2101:2012「吸湿性試験」を行った。試験条件は、温度40℃、相対湿度90%とし、24時間後の加飾木材及び未加飾木材の吸湿量を比較評価した。
以上の結果を、表3にまとめて示す。
Figure 0006938129
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実施例に示されるとおり、本実施形態の表面処理液を用いた表面処理品では、基材表面の素地模様(木材であれば木目模様)が自然なまま維持されていた。これに対し、カチオン性水分散性樹脂ではなく非イオン性水分散性樹脂を用いた表面処理液5を用いた比較例5では、表面処理層が皮膜化するため、表面の光沢が出すぎてしまい、自然な外観を維持することができなかった。また、実施例では均一な表面処理層が形成されたのに対し、界面活性剤を含まない表面処理液9を用いた比較例9では、表面処理液層が不均一に付着しており、その結果、不自然な光沢が生じてしまった。
さらに、実施例の表面処理層では、いずれも黄変及び白化は認められなかったが、多価金属塩を含む表面処理液8を用いた比較例8では、表面処理層に黄変が認められた。
加飾品については、実施例では画像品位がいずれも合格レベルであり、耐傷性も優れていた。また、水分散性樹脂を含むインクを用いることにより、画像の耐水擦過性も良好となることが判明した(実施例1〜20及び23)。これに対し、表面処理を行わずに画像を形成した比較例1及び比較例11では、画像品位の著しい低下が認められた。水性インクではなくUVインクを用いた比較例4では、木材表面にUVインクの硬化層が形成されるので不自然な光沢が現れ、吸湿性も維持できず、また、この硬化膜は木材の導管内部に浸透しないことから、表面の傷が目立ってしまうことも判明した。さらに、大粒子を含まない表面処理液5〜8及び10を使用した比較例5〜8及び10では、特に細線再現性が低下し、印刷画像の品位が低下し、また、比較例5が示すとおり、画像の再現性が優れていても、表面の光沢が出すぎてしまい、加飾部の自然な外観を維持できないことが判明した。

Claims (9)

  1. 水、カチオン性の水分散性樹脂、及び表面張力調整剤を含み、
    前記カチオン性の水分散性樹脂は、動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm以上10μm以下の大粒子を含む、木材用表面処理液。
  2. 前記カチオン性の水分散性樹脂は、さらに、動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm未満の小粒子を含む、請求項1記載の木材用表面処理液。
  3. 水、カチオン性の水分散性樹脂、及び表面張力調整剤を含み、
    前記カチオン性の水分散性樹脂は、動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm以上10μm以下の大粒子、及び動的光散乱法により測定されるメジアン径が1μm未満の小粒子を含む、成型板用表面処理液であって、
    前記成型板は、木質ボード、又は麦わら、もみがら、及びイグサからなる群から選ばれる木材以外の植物由来物を用いたものである、成型板用表面処理液。
  4. 請求項1又は2記載の木材用表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を備える、表面処理木材。
  5. 請求項記載の成型板用表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を備える、表面処理成型板であって、前記成型板は、木質ボード、又は麦わら、もみがら、及びイグサからなる群から選ばれる木材以外の植物由来物を用いたものである、表面処理成型板。
  6. 請求項1又は2記載の木材用表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層と、該表面処理層上に形成されたインクジェット印刷層とを備える、加飾木材。
  7. 請求項記載の成型板用表面処理液を用いて形成される、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層と、該表面処理層上に形成されたインクジェット印刷層とを備える、加飾成型板であって、前記成型板は、木質ボード、又は麦わら、もみがら、及びイグサからなる群から選ばれる木材以外の植物由来物を用いたものである、加飾成型板。
  8. 請求項1又は2記載の木材用表面処理液を用いる加飾木材の製造方法であって、
    前記木材用表面処理液を木材表面に塗布して、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を形成する工程、及び、
    該表面処理層上に、水性インクジェットインクを用いたインクジェット印刷を行う工程、を含む、加飾木材の製造方法。
  9. 請求項記載の成型板用表面処理液を用いる加飾成型板の製造方法であって、
    記成型板用表面処理液を成型板表面に塗布して、該表面処理液を固形分で0.5g/m以上の量で含む表面処理層を形成する工程、及び、
    該表面処理層上に、水性インクジェットインクを用いたインクジェット印刷を行う工程、を含み、
    前記成型板は、木質ボード、又は麦わら、もみがら、及びイグサからなる群から選ばれる木材以外の植物由来物を用いたものである、加飾成型板の製造方法。
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