以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、走行機体2の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
まず、図1〜図4を参照しながら、結球野菜収穫機1の概略構造について説明する。結球野菜収穫機1は、走行部としての左右一対の走行クローラ3にて支持された走行機体2を備えている。走行機体2の前部右側に操縦部4が設けられている。
操縦部4は、操縦コラム4a、サイドコラム4b及び操縦座席4cを備えている。操縦コラム4aには、走行機体2の旋回方向及び旋回速度を変更操作する操向ハンドル5が設けられている。サイドコラム4bには、走行機体2の変速操作を行う主変速レバー6、副変速レバー7、後述する引抜き搬送装置14を昇降操作する引抜き昇降レバー(図示省略)、作業クラッチレバー8、後述する切断装置19の回転速度を調節操作する速度調節レバー9、切断装置19の高さ位置を調節操作する切断調節具10(レバー又は切換スイッチ)等が配置されている。実施形態の切断調節具10は、操縦部4の後部側、具体的にはサイドコラム4bの後部側に配置されている。
操縦座席4cの下方には動力源としてのエンジン11が搭載されている。エンジン11の前方で且つ左右走行クローラ3の間には、エンジン11からの動力を適宜変速して左右両走行クローラ3に伝達するためのミッションケース12が配置されている。
操縦部4の左側には、結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13が配置されている。実施形態の収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜き結球部を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置14を備えている。引抜き搬送装置14は、前端側に位置する左右一対の掻込みホイール16L,16Rと、左右一対の根茎搬送帯17L,17Rと、根茎搬送帯17L,17Rの上方に前低後高に傾斜して設けられた左右一対の結球搬送帯18L,18Rとを備えている。側面視で結球搬送帯18L,18Rと根茎搬送帯17L,17Rの間に、搬送中の結球野菜Aの根茎部を切断する切断装置19が配置されている。なお、後述する姿勢調整部15が設けられる場合、左右一対の掻込みホイール16L,16Rは不要であり、さらに、姿勢調整部15が別の切断装置88を備える場合、切断装置19も不要である。
掻込みホイール16L,16Rは、外周を平面視で凹凸波形の花弁状にした円盤型に形成され、且つ、側面視で半径中心側が外周側より高くなるように形成されている。掻込みホイール16L,16Rは前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。互いに対向する掻込みホイール16L,16Rを内向きに回転させることによって、圃場における結球野菜Aの根茎部は中央側に掻き込まれ(引き込まれ)、根茎搬送帯17L,17Rの始端側に誘導される。
根茎搬送帯17L,17Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの根茎部を左右から挟持して当該根茎部を切断装置19に向けて案内するものである。根茎搬送帯17L,17Rも前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。結球搬送帯18L,18Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの結球部を左右から挟持した状態で後ろ斜め上方に搬送するものである。実施形態の結球搬送帯18L,18Rは、側面視で根茎搬送帯17L,17Rと平行状に配置されている。従って、結球搬送帯18L,18Rも、根茎搬送帯17L,17Rと同様に、前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。
引抜き搬送装置14及び切断装置19等を支持する左右一対の前部フレーム20は、後端側を回動支点にして、走行機体2の前部左側に固着された支持台21に昇降回動可能に軸支されている。そして、走行機体2と前部フレーム20との間には単動式の油圧シリンダ22が介装されている。油圧シリンダ22の伸縮動によって、引抜き搬送装置14の傾斜角度を変更したり引抜き搬送装置14を持ち上げたりできる。なお、前部フレーム20の前部下面側には、圃場における結球野菜Aの根茎部に掻込みホイール16L,16Rを位置合わせするための左右一対の橇体23が設けられている。ただし、本実施形態では、後述する姿勢調整部15が設けられているため、橇体23は使用されない。
収穫作業部13(引抜き搬送装置14)の前部側には、結球野菜を前方に押し倒して前倒れ姿勢にする姿勢調整部15が設けられている。姿勢調整部15は、圃場に直立した状態で植生している結球野菜Aを側方から押圧して前倒れ姿勢とし、結球野菜Aを前倒れ姿勢の状態で引抜き搬送装置14に受け渡すためのものである。
姿勢調整部15は、前部フレーム20に支持アーム70を介して取り付けられている。姿勢調整部15は、支持アーム70に対して回転可能に取り付けられたホイール71(回転部材に相当する)と、支持アーム70の先端部に固定されているプレート72とを備える。姿勢調整部15の詳細は後述する。
収穫作業部13(引抜き搬送装置14)の後方には、結球野菜Aを搬送しながら選別調製する調製搬送部24が配置されている。調製搬送部24は、収穫作業部13の後方に配置された前後長手の選別用コンベヤ25と、選別用コンベヤ25の左右一側方(実施形態では進行方向左側)に並列状に配置された調製用コンベヤ26と、調製用コンベヤ26から結球野菜Aを受け継いで集積する集積用コンベヤ27とを備えている。
実施形態では、引抜き搬送装置14と選別用コンベヤ25とが進行方向前後に直線的に並べられている。引抜き搬送装置14の後方に選別用コンベヤ25が水平状に位置している。引抜き搬送装置14で後ろ斜め上方に搬送された結球野菜Aの結球部は、選別用コンベヤ25上に転落して載ることになる。
調製用コンベヤ26は、選別用コンベヤ25上に送り込まれた結球野菜Aのうち調製の必要なものを手作業で移し換えて搬送するものである。調製用コンベヤ26は、前述の通り、選別用コンベヤ25の左右一側方(実施形態では進行方向左側)に並列状に配置されている。実施形態では、走行機体2における選別用コンベヤ25の左側に配置された前後一対の支持フレーム35に、調製用コンベヤ26が下方から支持されている。また、調製用コンベヤ26は、平面視で選別用コンベヤ25よりも後方に若干長く延びている。なお、移し換え作業の作業性に配慮して、調製用コンベヤ26の搬送面の高さ位置は、選別用コンベヤ25のそれよりも高くなるように設定されている。
図4に示すように、各支持フレーム35は、走行機体2における選別用コンベヤ25の左側に立設された縦フレーム35aと、縦フレーム35aの上端側から左外向きに延びる横フレーム35bと、縦フレーム35aの下端側と横フレーム35bの先端側とを着脱可能につなぐ筋交いフレーム35cとにより構成されている。横フレーム35b上に調製用コンベヤ26が固定されている。縦フレーム35aと横フレーム35bとの連結部分は、前後横向きの枢軸ピン35dにて回動可能に軸支されている。
調製用コンベヤ26は、枢軸ピン35d回りの回動によって、走行機体2から左外側に張り出した使用状態と、選別用コンベヤ25の左側面に重なるように収容される収容状態と、に姿勢変更可能(出し入れ可能)に構成されている(図2及び図3参照)。調製用コンベヤ26を走行機体2から左外側に張り出させた上で、縦フレーム35aの下端側と横フレーム35bの先端側とに筋交いフレーム35cの端部をボルト締結することによって、調製用コンベヤ26の姿勢が使用状態に保持される。逆に、ボルトを弛めて筋交いフレーム35cを取り除くことによって、調製用コンベヤ26の姿勢が収容状態に折り畳まれる。
集積用コンベヤ27は、前述の通り、調製用コンベヤ26から結球野菜Aを受け継いで集積する(一時的に貯留する)ものであり、調製用コンベヤ26の後部側に左右内向きに延びるように配置されている。従って、集積用コンベヤ27の搬送方向と、選別用及び調製用コンベヤ25,26の搬送方向とは、互いに交差する関係にある。
実施形態では、選別用コンベヤ25から後ろ向きに延びる左右一対の後部フレーム36の後端側に、集積用コンベヤ27のコンベヤフレーム37から前向きに突出させた連結フレーム部37aをボルト締結することによって、集積用コンベヤ27が着脱可能に構成されている。調製用コンベヤ26で後方に搬送された結球野菜Aの結球部は、集積用コンベヤ27上に転落して載ることになる。
集積用コンベヤ27における搬送下流側の端部には、調製用及び集積用コンベヤ26,27の駆動を停止させるための停止フレーム38が設けられている。集積用コンベヤ27にて搬送される調製要の結球野菜Aが停止フレーム38に当接して、下端側を支点にして停止フレーム38を横倒れ方向に回動させると、調製用及び集積用コンベヤ26,27の両方の駆動が停止するように構成されている。このようにして、集積用コンベヤ27に次々と調製要の結球野菜Aが送られて溜まってしまうおそれをなくしている。
選別用コンベヤ25は、走行機体2に搭載されたエンジン11からの動力にて駆動する一方、調製用コンベヤ26と集積用コンベヤ27とは、エンジン11とは別の駆動源である電動アクチュエータとしての電動モータ65にて独立して駆動するように構成されている。このため、集積用コンベヤ27に調製要の結球野菜Aが一時的に溜まって、調製用及び集積用コンベヤ26,27を駆動停止させた状態でも、選別用コンベヤ25はそのまま駆動でき、調製要の結球野菜Aの滞留が選別作業の邪魔になるおそれを抑制できる。
選別用コンベヤ25と集積用コンベヤ27との間には、収穫作業部13の切断装置19にて適切に切断されなかった茎根部や外葉等を取り除くための調製器29が配置されている。実施形態の調製器29は、選別用コンベヤ25から後ろ向きに延びる左右一対の後部フレーム36に搭載され支持されている。
走行機体2における操縦部4の後方(選別用コンベヤ25の右側)は、作業スペース兼コンテナ載置スペース39になっている。走行機体2の右側及び後部側には、上向き回動して折り畳み収納可能な補助作業台31,32が設けられている(図2及び図3参照)。展開された補助作業台31,32に作業者が搭乗した状態で走行機体2を走行させながら、圃場の結球野菜Aを連続的に収穫する。実施形態では、走行機体2と右補助作業台31等とに跨ってコンテナ34が載置されることになる。走行機体2や後補助作業台32等に作業者が搭乗する。右補助作業台31と後補助作業台32との間の後右隅部を構成する連結フラップ台33を収納する際は、後補助作業台32の表面側に折り畳んでから、後補助作業台32と共に上向き回動させる。
結球野菜収穫機1にて結球野菜Aを収穫する際は、根茎部切断後の結球野菜Aの結球部を結球搬送帯18L,18Rにて後方に搬送し、引抜き搬送装置14から選別用コンベヤ25上に転落させる。選別用コンベヤ25上の結球野菜Aのうち調製不要なものは、走行機体2上の作業者がコンテナ34に収容する。調製が必要なものは、走行機体2上の作業者が調製用コンベヤ26に移し換える。調製用コンベヤ26を経由して集積用コンベヤ27に搬送された調製要の結球野菜Aは、例えば後補助作業台32上の作業者が調製器29等を用いて余分な外葉除去といった調製作業を行ってから、コンテナ34に収容するのである。
次に、図5及び図6を参照しながら、姿勢調整部15の詳細構造について説明する。ホイール71は、進行方向に交差する横軸71aを中心に縦方向に回転する。ホイール71は、左側方視で反時計回りに回転する。ホイール71は、正方形状のフレームで構成されている。
プレート72には、ホイール71の回転を阻止してロック状態とするホイールロック爪81が設けられている。ホイールロック爪81は、プレート72の貫通孔72aを通って左右方向に延びる棒状をしている。ホイールロック爪81は、プレート72の貫通孔72aよりも外側、すなわちプレート72を挟んでホイール71と反対側に設けられた上下方向に延びる回動軸81aの回りに回動する。これにより、ホイールロック爪81の回動範囲は、プレート72の貫通孔72aの大きさによって定まる。
ホイールロック爪81は、先端側にロック部81bを備えており、このロック部81bがホイール71側の係止部84bに係合することで、ホイール71が反時計回りに回転しないようにする。
ホイールロック爪81の後端側と、プレート72から左方向に向かって突出するばね支持体72bとの間には、ばね82が張設されている。ばね82は、ロック部81bが進行方向へ向かうようにホイールロック爪81を回動付勢する。
ホイール71は、回動アーム83と、ロックアーム84と、回動アーム83とロックアーム84を連結するリンクアーム85とを備える。
回動アーム83は、ホイール71の外周部に等間隔で複数配置され、本実施形態では、正方形状のホイール71の四隅の位置にそれぞれ配置されている。ただし、回動アーム83は、4本に限定されず、3本以下でも5本以上でもよい。回動アーム83は、ホイール71に対して回転可能に支持されている。回動アーム83は、ホイール71を貫通して左右方向に延びる回動軸体83aと、回動軸体83aの両端にそれぞれ固定されている当接アーム83b(当接体に相当する)及び従動アーム83cとで構成されている。当接アーム83bと従動アーム83cは、ホイール71を挟んで両側にそれぞれ配置されている。当接アーム83bと従動アーム83cは、回動軸体83aを中心として一体として回転する。
当接アーム83bは、結球野菜Aに当接して、結球野菜Aの姿勢を調整する。当接アーム83bは、結球野菜Aが前倒れ姿勢となるように結球野菜Aの側面に当接して押圧する。当接アーム83bは、結球野菜Aの前倒れ姿勢に合わせて回動軸体83a回りで回動して前傾姿勢となることができる。
本実施形態の当接アーム83bは、基端側の第1バー831と先端側の第2バー832とを備える。第1バー831は、回動軸体83aが延長されたものである。第1バー831と第2バー832の周囲は、回転可能なスリーブ833でそれぞれ覆われている。
ロックアーム84は、ホイール71の左側に配置されている。ロックアーム84は、ホイール71から左方向に向かって突出する回転軸711の回りに回転する。ロックアーム84は、ホイールロック爪81のロック部81bに係合する係止部84bを備える。係止部84bは、長尺板状のロックアーム84から左方向に向かって突出している。ロックアーム84の後端部84aとホイール71との間には、ばね86が張設されている。ばね86は、係止部84bがホイール71の径方向外方へ向かうようにロックアーム84を回動付勢する。ただし、ホイールロック爪81の近傍(貫通孔72aの周辺)にはプレート72から突出するように設けられた規制部材72cが設けられており、ホイールロック爪81の近くに位置するロックアーム84の回動は、規制部材72cによって規制され、係止部84bがホイールロック爪81のロック部81bに確実に係合するようになっている。
リンクアーム85の両端は、回動アーム83の従動アーム83cとロックアーム84にそれぞれ回転可能に連結されている。リンクアーム85は、ターンバックルにより長さを調整可能となっている。
姿勢調整部15の下方には、図1に示すように、当接アーム83bが押圧して前倒れ姿勢となった結球野菜Aを前倒れ姿勢のまま搬送する左右一対の搬送ベルト87L,87Rと、結球野菜Aの根茎部を切断する切断装置88とが設けられている。搬送ベルト87L,87Rは、結球搬送帯18L,18Rとほぼ同じ角度で前低後高に傾斜して設けられており、後方の結球搬送帯18L,18Rに前倒れ姿勢を維持したままで結球野菜Aを受け渡すことができる。また、切断装置88も、搬送ベルト87L,87Rとほぼ同じ角度で前低後高に傾斜して設けられている。
次に、図7を参照しながら、結球野菜収穫機1の動力伝達系統について説明する。エンジン11の動力は、その出力軸41からベルト・プーリ伝動系42並びにテンションクラッチ43を介して、入力分配軸44に伝達される。入力分配軸44に伝達された動力は、選別用コンベヤ25と収穫作業部13との二方向に分岐して伝達される。入力分配軸44から収穫作業部13に向かう分岐動力は、伝動ベルト45を介して第1入力軸46に伝達される。第1入力軸46の長手中途部には、左右一対の搬送下流ギヤケース47L,47Rが設けられている。第1入力軸46から左搬送下流ギヤケース47Lに伝達された動力は、左搬送下流ギヤケース47Lから突出する左伝動軸48Lを介して左結球搬送帯18Lに伝達される。第1入力軸46から右搬送下流ギヤケース47Rに伝達された動力は、右搬送下流ギヤケース47Rから突出する右伝動軸48Rを介して右結球搬送帯18Rに伝達される。
第1入力軸46の動力伝達下流側には、ベルト・プーリ伝動系49及び変速切換クラッチ50を介して、第2入力軸51が動力伝達可能に連結されている。変速切換クラッチ50は、動力伝達下流側の根茎搬送帯17L,17R(掻込ホイール16L,16Rを含む)の駆動速度を高低2段に切換え変速するベルトテンション式のものである。実施形態では、基本的に結球搬送帯18L,18Rの駆動速度を根茎搬送帯17L,17Rの駆動速度よりも若干速くするように設定している。その上で、圃場に植生する結球野菜Aの大きさが比較的小さい場合は、結球搬送帯18L,18Rと根茎搬送帯17L,17Rとの速度差を大きくし、逆に大きい場合は、結球搬送帯18L,18Rと根茎搬送帯17L,17Rとの速度差を小さくすることによって、結球野菜Aの大きさに拘らず、掻込及び搬送効率を高い状態に維持できる。
第2入力軸51の左寄り部位と右端側とには、左右一対の搬送上流ギヤケース52L,52Rが設けられている。第2入力軸51から左搬送上流ギヤケース52Lに伝達された動力は、左搬送上流ギヤケース52Lから突出する左伝達軸53L、伝達ベルト54並びに左搬送帯駆動軸56Lを介して左根茎搬送帯17Lに伝達される。第2入力軸51から右搬送上流ギヤケース52Rに伝達された動力は、右搬送上流ギヤケース52Rから突出する右伝達軸53R、伝達ベルト55並びに右搬送帯駆動軸56Rを介して右根茎搬送帯17Rに伝達される。
各根茎搬送帯17L,17Rが巻き掛かる従動プーリ57L,57Rの従動回転軸58L,58Rは上向きに突出している。従動回転軸58L,58Rの上側には、各掻込ホイール16L,16Rのハブ部が固定されている。従って、各掻込ホイール16L,16Rは、対応する根茎搬送帯17L,17Rの周回駆動に連動して互いに内向きに回転する。さらに、従動回転軸58L,58Rの上端側には、各搬送ベルト87L,87Rを駆動するための駆動プーリ59L,59Rが固定されている。従って、各搬送ベルト87L,87Rは、対応する根茎搬送帯17L,17Rの周回駆動に連動して互いに内向きに回転する。
次に、姿勢調整部15の動作を説明する。走行機体2の進行に伴い、図8Aに示すように当接アーム83bの第1バー831と第2バー832が結球野菜Aの側面に当接する。このとき、ホイール71は、ロックアーム84の係止部84bがホイールロック爪81に係合することで、回転が阻止されたロック状態となっている。
次いで、走行機体2の進行に伴い、図8Bに示すように当接アーム83bが結球野菜Aを押圧し、結球野菜Aは、根茎部を支点として右側方視で時計回りに回動し、前倒れ姿勢となっていく。結球野菜Aの前倒れ姿勢に合わせて、当接アーム83bも右側方視で時計回りに回動する。当接アーム83b(回動アーム83)の回動によってリンクアーム85が上昇し、さらに、リンクアーム85の上昇によってロックアーム84が右側方視で反時計回りに回動する。そして、当接アーム83bが所定の前傾角度となるまで回動すると、ロックアーム84の係止部84bとホイールロック爪81の係合が外れて、ホイール71のロック状態が解除される。これにより、ホイール71は、走行機体2の進行方向と逆方向(右側方視で時計回り)に回転可能となる。なお、ホイール71のロック状態が解除される当接アーム83bの前傾角度は、リンクアーム85の長さをターンバックルで変更することで調節することができる。
ホイール71のロック状態が解除されると同時に、結球野菜Aは、搬送ベルト87L,87Rによって挟持されて後方に搬送され始める。次いで、図8Cに示すように、搬送ベルト87L,87Rで搬送される結球野菜Aによって当接アーム83bが後方に押され、ホイール71は回転する。また、切断装置88は、搬送ベルト87L,87Rで搬送される結球野菜Aの根茎部を切断する。このように当接アーム83bが所定の前傾角度となった際に後方に退避するため、収穫する結球野菜Aを損傷させることなく収穫できる。また、搬送ベルト87L,87Rで搬送される結球野菜Aの角度が、当接アーム83bの前傾角度によって定まるため、切断装置88による根切り位置が安定する。
ホイール71は、図8Dに示すように、次のロックアーム84の係止部84bがホイールロック爪81に係合するまで回転した後、ロック状態となる。走行機体2の進行に伴い、当接アーム83bが次の結球野菜Aの側面に当接し、その後、図8A〜図8Dの動作を繰り返しながら、所定の植付け間隔で植生した結球野菜Aを連続して収穫する。隣り合う当接アーム83bのホイール71の回転方向の間隔は、結球野菜Aの植付け間隔(例えば300mm)よりも小さくなっており、結球野菜Aを連続して収穫することを可能としている。
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、当接アーム83bが所定の前傾角度となった際に後方に退避するように構成しているが、当接アーム83bが所定の負荷が加わった際に後方に退避するように構成してもよい。具体的には、ホイール71の回転を規制するブレーキを設けて、ホイール71の回転軸に取り付けたトルクセンサによって、ブレーキのオンオフを制御しホイール71のロック状態とロック解除状態を作り出す。
(2)前述のように、ホイールロック爪81は、ばね82によりロック部81bが進行方向へ向かうように回動付勢されている。そのため、図9に示すように、ロック状態のままホイール71に過大なトルクが加わると、ホイールロック爪81はばね82の付勢力に抗して回動し、係止部84bがホイールロック爪81を乗り越えることで、ホイール71のロック状態を解除することができる。これにより、例えば、結球野菜Aが機体前方に滞留して姿勢調整部15が正しく動作できない場合に、ホイール71が後方に回転して逃げることができるため、過大なトルクによってホイール71が故障することを防止できる。
また、姿勢調整部15の支持アーム70を前部フレーム20に対して上方には自由に回動できるように取り付けてもよい。これにより、ホイール71に過大なトルクが加わった際、姿勢調整部15全体が上方に逃げることができる。
さらに、ホイール71の回転軸にトルクセンサを設けて、ホイール71に過大なトルクが加わったことをトルクセンサが検出すると、支持アーム70を上方に強制的に回動させるようにしてもよい。支持アーム70の回動は、油圧式でも電動式でもよい。
(3)前述の実施形態では、結球野菜Aに当接する当接アーム83bの当接部を第1バー831と第2バー832で構成しているが、当接アーム83bの当接部は、板状でもよい。ただし、当接アーム83bの当接部は、少なくとも上下の2か所で結球野菜Aを押圧する形状が好ましい。
(4)前述の実施形態では、ホイール81のロック状態が解除された後、搬送ベルト87L,87Rで搬送される結球野菜Aによって当接アーム83bが後方に押され、ホイール71が回転するように構成しているが、ホイール81の回転軸に電動モータ又は油圧モータを組み込むことにより、ホイール81を任意の回転速度で回転させてもよい。これにより、結球野菜Aの植付け間隔が狭い場合にも姿勢調整部15を適用できる。
(5)前述の実施形態では、姿勢調整部15の下方に切断装置88を設けているが、切断装置88に替えて、掻込みホイール16L,16Rと同様の形状を有する左右一対の掻込みホイールを設けてもよい。このとき、結球野菜Aの根茎部は、切断装置19にて切断される。
(6)姿勢調整部15は、既存の結球野菜収穫機1に後付けしてもよい。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。