以下、ステアリングホイールの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両10内の運転席11の前方には、同車両10を操舵する際に運転者Dによって操作される操舵装置12が設けられている。操舵装置12は、ステアリングコラム13と、ステアリングコラム13の後側に回転操作可能に配置されたステアリングホイール14とを備えている。ステアリングコラム13内には、ステアリングホイール14の回転をステアリングギヤボックス(図示略)に伝達するステアリングシャフト15が配置されている。ステアリングシャフト15は、後側ほど高くなるように傾斜した状態で配置されている。
本実施形態では、ステアリングホイール14の各部について説明する際には、ステアリングシャフト15の軸線L1を基準とする。この軸線L1に沿う方向をステアリングホイール14の「前後方向」といい、軸線L1に直交する面に沿う方向のうち、ステアリングホイール14の起立する方向を「上下方向」というものとする。従って、ステアリングホイール14の前後方向及び上下方向は、車両10の前後方向(水平方向)及び上下方向(鉛直方向)に対し若干傾いていることとなる。
なお、図5〜図9、及び図11では、便宜上、ステアリングホイール14の前後方向が水平方向に合致し、同ステアリングホイール14の上下方向が鉛直方向に合致した状態で図示されている。
図2に示すように、ステアリングホイール14は、ハンドル部(リング部、リム部と呼ばれることもある)16、パッド部17及びスポーク部18を備えている。ハンドル部16は、運転者Dによって把持されて回転操作される部分であり、略円環状をなしている。パッド部17は、ハンドル部16によって囲まれた空間に配置されている。スポーク部18は、ハンドル部16及びパッド部17の間の複数箇所に設けられている。ステアリングホイール14は、ハンドル部16によって囲まれた空間にエアバッグ装置(エアバッグモジュール)70を備えている。上記パッド部17は、エアバッグ装置70の一部を構成している。
ステアリングホイール14の骨格部分は、図3に示す芯金20によって構成されている。芯金20は、鉄、アルミニウム、マグネシウム又はそれらの合金等によって形成されており、車両10のボディ(図示略)にアースされている。芯金20は、円環状のリング部芯金(図示略)と、リング部芯金によって囲まれた空間の略中心部分に位置するボス部芯金21と、リング部芯金及びボス部芯金21を連結する一対のスポーク部芯金22と、ボス部芯金21を迂回した状態で、両スポーク部芯金22を連結する連結芯金23とを備えている。ボス部芯金21は、上記ステアリングシャフト15の後端部に対し、一体回転可能に取付けられている。両スポーク部芯金22は同一直線状に配置されている。
各スポーク部芯金22において、ボス部芯金21の近傍には、ねじ孔24が形成されている。連結芯金23において、各スポーク部芯金22寄りの2箇所にもねじ孔25が形成されている。各スポーク部芯金22において、ねじ孔24よりもハンドル部16側へ離れた箇所には、孔からなる窓部27が形成されている。さらに、連結芯金23において、両ねじ孔25の間の2箇所には、芯金20の一部として規制部26が一体に形成されている。各規制部26の一部は、連結芯金23からボス部芯金21側へ突出している。
図4(a),(b)及び図10に示すように、ステアリングホイール14には、複数の機能装置及び制御装置42が取付けられている。各機能装置は制御装置42に電気的に接続されている。複数の機能装置としては、例えば、ホーン装置67、オーディオ機器、エアコン等の車載機器の作動に際し、運転者D(図1参照)により操作される各種スイッチが挙げられる。そのほかにも、エアバッグ装置70も機能装置として挙げられる。
本実施形態では、機能装置は、制御装置42の前側で上記軸線L1を挟んで相対向する一対の前側機能装置31と、制御装置42の後側で上記軸線L1を挟んでスポーク部芯金22の長さ方向に相対向する一対の後側機能装置37とからなる。なお、図10では、両前側機能装置31のうちの片方と、両後側機能装置37のうちの片方とが、それぞれ部分的に図示されている。また、図10では、要部のみが図示されており、周辺の部材、例えば、芯金20等は図示が省略されている。
<前側機能装置31>
各前側機能装置31は、各スポーク部18のハンドル部16との連結部分の前方近傍に配置されている。各前側機能装置31は、その外殻部分を構成する樹脂製の前側機能ケース32と、変速指示用のパドルスイッチ等の機能部品が実装された機能基板33とを備えている。なお、図1及び図2中の「30」は、パドルスイッチに接続され、かつ同スイッチの状態を変化させる際に操作される操作部である。各前側機能ケース32は、後方へ突出する突出部32aを有している。この突出部32aには、前側第1コネクタ34が取付けられている。前側第1コネクタ34の後部は、突出部32aから後方へ露出している。
さらに、各前側機能ケース32の内部には、機能基板33から前側第1コネクタ34へ伝達される応力を吸収する応力吸収部が設けられている。応力吸収部は、機能基板33及び前側第1コネクタ34を、前側機能ケース32の内部において、弛んだ状態で電気的に接続するハーネス35によって構成されている。
各前側機能装置31は、前側第1コネクタ34を制御装置42の後述する前側第2コネクタ58に結合させた状態で、芯金20に取付けられている。
<後側機能装置37>
各後側機能装置37は、各スポーク部18に配置されたハンドルスイッチモジュールによって構成されている。各後側機能装置37は、その外殻部分を構成する樹脂製の後側機能ケース38と、オートクルーズスイッチ、オーディオスイッチ、エアコンの温度設定スイッチ等の機能部品が実装された機能基板39とを備えている。なお、図2中の「36」は、各種スイッチに接続され、かつ同スイッチの状態を変化させる際に操作される操作部である。各後側機能ケース38は、前方へ突出する突出部38aを有している。この突出部38aには、後側第1コネクタ40が取付けられている。後側第1コネクタ40の前部は、突出部38aから前方へ露出している。
さらに、各後側機能ケース38の内部には、機能基板39から後側第1コネクタ40へ伝達される応力を吸収する応力吸収部が設けられている。応力吸収部は、機能基板39及び後側第1コネクタ40を、後側機能ケース38の内部において、弛んだ状態で電気的に接続するハーネス41によって構成されている。
各後側機能装置37は、後側第1コネクタ40を制御装置42の後述する後側第2コネクタ61に結合させた状態で、芯金20に取付けられている。
<制御装置42>
制御装置42は、その外殻部分を構成する樹脂製の取付部材43と、制御部品が実装された制御基板46とを備えている。取付部材43は、芯金20の中心部分の後側に配置されている。ここでの中心部分とは、ボス部芯金21と、各スポーク部芯金22のボス部芯金21寄りの箇所と、連結芯金23とである。取付部材43は、制御基板46を覆うケースとして用いられており、前後方向に相対向する前壁部44及び後壁部45を有している。前壁部44は、前側機能装置31の後方近傍に位置し、後壁部45は、後側機能装置37の前方近傍に位置している。制御基板46は、前壁部44及び後壁部45の間に配置されている。
図4(a)、図5及び図6に示すように、取付部材43の中心部分であって、ボス部芯金21の後方となる箇所には、同取付部材43を前後方向に貫通する多角形の開口部47が形成されている。取付部材43は、開口部47の周りの3箇所に、支持部48,49を有している。これらの支持部48,49のうちの2つの支持部48は、スポーク部芯金22の後方近傍に位置し、1つの支持部49は連結芯金23の後方近傍に位置している。各支持部48,49には、同支持部48,49を前後方向に貫通する貫通孔50が形成されている。
図6及び図12に示すように、取付部材43の前側には、1本のスナップばね64が保持されている。スナップばね64は、導電性を有するばね鋼等からなる金属線によって形成されている。スナップばね64は、開口部47を挟んでスポーク部芯金22の長さ方向(図12の左右方向)に相対向する一対の縦ばね部64aと、同方向へ延びる単一の横ばね部64bとからなる。図4(a)及び図12に示すように、両縦ばね部64aは、スポーク部芯金22の後方近傍で、そのスポーク部芯金22の長さ方向に対し略直交する方向(図12では上下方向)へ延びている。横ばね部64bは、連結芯金23の後方近傍で上記スポーク部芯金22の長さ方向に延びており、両縦ばね部64aの片側(図12では下側)の端部同士を連結している。各縦ばね部64aの長さ方向における中間部分は、他の部分よりも開口部47に近づくように山形状に屈曲形成されている。各中間部分のうち、横ばね部64bに近い側の部分は、同横ばね部64bに近づくに従い、開口部47からハンドル部16に近づくように傾斜する傾斜部64cとなっている。各縦ばね部64aの一部、及び横ばね部64bの一部は、貫通孔50の前側に位置している。
図6及び図12に示すように、前壁部44には貫通孔50毎に保持部51が形成されている。各保持部51は、前壁部44において貫通孔50の周囲から前方へ突出し、かつ開口部47に向けて開放された略円弧筒状をなしている。各保持部51の周方向における開放部分の両端部であって、前壁部44との境界部分には切欠き部51aが形成されている。
図4(a),(b)及び図11に示すように、横ばね部64bの後方であって、貫通孔50を挟んでスポーク部芯金22の長さ方向に相対向する箇所には、連結芯金23に設けられた一対の上記規制部26が位置している。
図6及び図12に示すように、前壁部44において、各縦ばね部64aの長さ方向に互いに離間した複数箇所(3箇所)には、保持部52が形成されている。各保持部52は、前壁部44において、各縦ばね部64aを挟んで開口部47とは反対側の箇所から前方へ突出する基部52aと、各基部52aの前端部から開口部47側へ向けて屈曲する押さえ部52bとを備えている。
図5及び図6に示すように、支持部49の周囲にはリリース部53が設けられている。リリース部53は、操作部53a、一対の伝達部53b及び弾性連結部53eを備えている。操作部53aは、支持部49から開口部47とは反対側へ離れた箇所に位置し、スポーク部芯金22の長さ方向へ延びている。各伝達部53bは、操作部53aの長さ方向における端部から開口部47側へ延びている。両伝達部53bは、支持部49をスポーク部芯金22の長さ方向へ離間した状態で挟み込む箇所に位置している。各伝達部53bは先端部に、保持部53cを有している。各保持部53cには、その後面において開放される凹部53dが形成されている。弾性連結部53eは、側面視で略C字状をなすように湾曲し、操作部53aの長さ方向における中央部分と、支持部49とを連結しており、開口部47に接近及び離間する方向へ弾性変形可能である。
そして、スナップばね64は、両縦ばね部64aの間隔が狭まる方向へ若干弾性変形させられている。各縦ばね部64aは、各保持部52における押さえ部52bと前壁部44との間に入り込ませられ、弾性復元力により基部52aに接触させられている。また、各縦ばね部64a及び横ばね部64bは、それぞれ保持部51の切欠き部51aに掛け止められている。横ばね部64bは、さらに保持部51を挟んだ両側部分に配置された一対の保持部53cの凹部53dに対しても掛け止められている。
さらに、前壁部44において、開口部47を挟んでスポーク部芯金22の長さ方向に相対向する2箇所には、それぞれ前方へ向けて突出する突起部55が形成されている。各突起部55は、各縦ばね部64aの傾斜部64cに対し、開口部47とは反対側から接触している。
取付部材43において、各スポーク部芯金22の上記ねじ孔24の後方となる箇所には、同取付部材43を前後方向に貫通するねじ挿通孔56が形成されている。取付部材43において、連結芯金23の各ねじ孔25の後方となる箇所には、同取付部材43を前後方向に貫通するねじ挿通孔57が形成されている。
図5、図6及び図10に示すように、制御装置42には、一対の前側第2コネクタ58と、一対の後側第2コネクタ61とが設けられている。各前側第2コネクタ58は、前側コネクタハウジング59及び前側ピン60を備えている。前側第2コネクタ58毎の前側コネクタハウジング59は、取付部材43の内外を連通させた状態で前壁部44から前方へ突出しており、同前壁部44に一体に形成されている。前側第2コネクタ58毎の前側ピン60は、制御基板46を貫通して前側コネクタハウジング59に向けて突出している。
各後側第2コネクタ61は、後側コネクタハウジング62及び後側ピン63を備えている。後側第2コネクタ61毎の後側コネクタハウジング62は、取付部材43の内外を連通させた状態で後壁部45から後方へ突出しており、同後壁部45に一体に形成されている。後側第2コネクタ61毎の後側ピン63は、前側ピン60に対し制御基板46の面に沿う方向(図10の左右方向)に隣接した箇所で同制御基板46を貫通して後側コネクタハウジング62に向けて突出している。
上記前側ピン60及び後側ピン63としては、一般に、プレスフィットピンと呼ばれるものが用いられている。また、図10では、それぞれ紙面に直交する方向に設けられた複数の前側ピン60及び複数の後側ピン63のうちの1本ずつが図示されている。
図3、図5及び図6に示すように、各支持部48の前面であって、貫通孔50とねじ挿通孔56とに跨がる領域には、導電性金属により形成された板金部材65が配置されている。各板金部材65において保持部51に対応する箇所には孔65aが形成されており、この孔65aに保持部51が挿通されている。各板金部材65は、孔65aの周辺部分で縦ばね部64aに接触している。また、各板金部材65において、ねじ挿通孔56に対応する箇所には、ねじ挿通孔65bが形成されている。
取付部材43における後壁部45又は前壁部44は、図示しない位置決め部により、芯金20に対し位置決めされている。この位置決めにより、図4(b)に示すように、各前側第2コネクタ58は芯金20の対応する窓部27内の後方に位置している。そして、上記のように位置決めがなされた取付部材43の後方から各ねじ挿通孔56に対し、締結部材としてのねじ66が挿通されている。ねじ66がスポーク部芯金22のねじ孔24(図3参照)に螺入されることで、取付部材43が板金部材65を介してスポーク部芯金22に締結されている。板金部材65は、ねじ挿通孔65bの周囲の部分で芯金20の後面に接触されている。スナップばね64と芯金20とは板金部材65を介して電気的に接続されている。また、取付部材43の後方から各ねじ挿通孔57に対し、締結部材としてのねじ66が挿通され、連結芯金23のねじ孔25(図3参照)に螺入されることで、取付部材43が同連結芯金23に締結されている。
図4(b)及び図10に示すように、各スポーク部芯金22の前方から各前側第1コネクタ34が、対応する窓部27に挿通され、前側第2コネクタ58における前側コネクタハウジング59及び前側ピン60に結合されている。この結合により、前側機能ケース32及び取付部材43の間にハーネスを介さずに、前側機能装置31が制御装置42に電気的に接続されている。
また、図4(a)及び図10に示すように、取付部材43の後壁部45の後方から各後側第1コネクタ40が、対応する後側第2コネクタ61における後側コネクタハウジング62及び後側ピン63に結合されている。この結合により、後側機能ケース38及び取付部材43の間にハーネスを介さずに、後側機能装置37が制御装置42に電気的に接続されている。
図7に示すように、車両10には、ホーン装置67が設けられている。ホーン装置67を、エアバッグ装置70に対する押圧操作により作動させるための複数(上記貫通孔50と同数)のホーンスイッチ機構81が設けられている。各ホーンスイッチ機構81は、互いに同一の構成を有しており、ホーン装置67に電気的に接続されている。各ホーンスイッチ機構81は、各支持部48,49において、スナップフィット構造にて取付部材43に装着されている。そして、これらのホーンスイッチ機構81及び取付部材43を介してエアバッグ装置70が芯金20に支持されている。このように、各ホーンスイッチ機構81は、エアバッグ装置70の支持機能と、ホーン装置67のスイッチ機能とを兼ね備えている。さらに、各ホーンスイッチ機構81は、エアバッグ装置70を利用してステアリングホイール14の振動を抑制、すなわち、制振する機能も有している。
次に、エアバッグ装置70及びホーンスイッチ機構81の各々について説明する。
<エアバッグ装置70>
図7に示すように、エアバッグ装置70は、上記パッド部17、インフレータ74、エアバッグ77及びリングリテーナ78を、バッグホルダ71に組付けることによって構成されている。エアバッグ装置70の主要部は、取付部材43よりも後側に配置されている。
バッグホルダ71は、導電性を有する金属板によって形成されており、中心部分に円形開口部72を有している。パッド部17は、バッグホルダ71の後方に配置されており、爪係合等により同バッグホルダ71に係止されている。パッド部17とバッグホルダ71とによって囲まれる空間は、バッグ収容空間xを構成している。パッド部17の複数箇所(3箇所)には、ホーンスイッチ機構81を後側から支持するためのスイッチ支持部17aがそれぞれ形成されている。バッグホルダ71において、各スイッチ支持部17aの前方となる箇所には取付孔73が形成されている(図8参照)。
インフレータ74は、低円柱状の本体75と、その本体75の外周に形成されたフランジ部76とを備えている。本体75のうちフランジ部76よりも後側の部分は、膨張用ガスを噴出するガス噴出部75aとして構成されている。そして、ガス噴出部75aがバッグ収容空間x側に突出するように、前側からバッグホルダ71の円形開口部72に挿通されている。さらに、フランジ部76が円形開口部72の周縁部に対し前側から接触させられている。
エアバッグ77は展開及び膨張可能に折り畳まれた状態で、バッグ収容空間xに配置されている。エアバッグ77はバッグ開口部77aを有しており、このバッグ開口部77aを通じてリングリテーナ78がエアバッグ77内に配置されている。リングリテーナ78は、複数箇所に取付ねじ79を有している。これらの取付ねじ79が、バッグ開口部77aの周縁部分、バッグホルダ71及びフランジ部76に対し、後側から挿通されている。さらに、挿通後の各取付ねじ79に前側からナット80が締め付けられることにより,エアバッグ77がリングリテーナ78を介してバッグホルダ71に固定されるとともに、インフレータ74がバッグホルダ71に固定されている。
上記のように構成されたエアバッグ装置70は、ダイナミックダンパのダンパマスとして利用されている。
<ホーンスイッチ機構81>
図8は、支持部49における貫通孔50に装着されたホーンスイッチ機構81を示している。図7及び図8に示すように、各ホーンスイッチ機構81は、スナップピン82、コンタクトホルダ83、可動接点部84、ピンホルダ85、ダンパホルダ86、弾性部材87、支持補助部材88及び付勢部材を備えている。
スナップピン82は、導電性を有する金属材料によって形成されている。スナップピン82は、前後方向に延びる軸部82aを有しており、この軸部82aにおいてバッグホルダ71の取付孔73に挿通されている。軸部82aの前端面から後方へ僅かに離れた箇所には、環状の係止溝82bが形成されている。軸部82aにおいて、その前端面と係止溝82bとによって挟まれた部分は、同軸部82aの支持部82cを構成している。軸部82aの後端外周部には鍔部82dが形成されている。スナップピン82の後端部、すなわち軸部82aの後端部及び鍔部82dは、固定接点部を構成している。
コンタクトホルダ83は、絶縁性を有する樹脂材料により、後端が閉塞された筒状に形成されている。可動接点部84は、導電性を有する帯状のばね鋼を曲げ加工することによって形成されており、コンタクトホルダ83の内壁面に沿って装着されている。可動接点部84の後部の複数箇所には接触突部84aが形成されている。可動接点部84は、自身の前端部においてバッグホルダ71に接触している。ピンホルダ85は、絶縁性を有する樹脂材料によって、前後両端が開放された筒状に形成されており、スナップピン82の軸部82aに前後方向へ摺動可能に被せられている。ピンホルダ85の外周には、円環状の受け部85aが形成されている。ダンパホルダ86は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成されており、コンタクトホルダ83に取付けられている。
弾性部材87は、ゴム(例えば、EPDM、シリコンゴム等)、エラストマー等の弾性材料によって円環状に形成されており、ピンホルダ85とダンパホルダ86との間に配置され、ダイナミックダンパのばねとして利用されている。そして、弾性部材87の大きさ(径方向及び前後方向の各寸法等)をチューニングすることで、ダイナミックダンパにおける上下方向や左右方向の共振周波数が、ステアリングホイール14の上下方向や左右方向の振動について、狙いとする制振の周波数、換言すると、制振したい周波数に設定されている。
支持補助部材88は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成されており、スナップピン82に脱落不能に装着されている。支持補助部材88の外周には、円環板状をなす受け部88aが形成されている。付勢部材は、スナップピン82の軸部82aと、ピンホルダ85のうち受け部85aよりも前側部分と、支持補助部材88のうち受け部88aよりも後側部分とのそれぞれの周りに巻回されたコイルばね89によって構成されている。コイルばね89は、両受け部85a,88aの間に圧縮状態で配置されており、ピンホルダ85を後方へ付勢し、支持補助部材88を前方へ付勢している。
このようにして、複数の単体部品、すなわち、スナップピン82、コンタクトホルダ83、可動接点部84、ピンホルダ85、ダンパホルダ86、弾性部材87、支持補助部材88及びコイルばね89がユニット化されて、アセンブリとされたホーンスイッチ機構81が構成されている。そのため、ホーンスイッチ機構81の取付けや交換の際に、ユニット化されたホーンスイッチ機構81を1つの集合体として扱うことが可能である。
エアバッグ装置70は、複数のホーンスイッチ機構81を介して取付部材43に組付けられている。ホーンスイッチ機構81毎のスナップピン82が取付部材43において対応する貫通孔50に挿通されている。スナップばね64において、貫通孔50の前側に位置する部分が、支持部82cと支持補助部材88とによって前後から挟み込まれている。この挟み込みにより、スナップばね64がスナップピン82の係止溝82bに係止されている。スナップピン82は、エアバッグ装置70を取付部材43に支持している。
取付部材43は樹脂により形成されていて,それ自体は導電性を有しない。しかし、支持部48における貫通孔50に装着されたホーンスイッチ機構81では、スナップピン82の係止溝82bに係止された縦ばね部64aと芯金20とに対して、導電性の板金部材65が接触している。ホーンスイッチ機構81は、スナップばね64及び板金部材65を介して、芯金20に電気的に接続されている。
しかも、板金部材65の一部は、ねじ66による取付部材43の芯金20に対する締結箇所で芯金20に接触している。そのため、板金部材65の一部を芯金20に接触させた状態が良好に維持される。
次に、上記のように構成された本実施形態のステアリングホイール14の作用及び効果について、項分けして説明する。
<結線作業について>
ここで、機能装置と制御装置との電気的な接続が、柔軟性を有する線状のハーネスを介して行なわれる従来のステアリングホイールでは、機能装置側のハーネス毎のコネクタを、ハーネスを変形させながら制御装置側のコネクタに結合することで、機能装置を制御装置に接続することになり、その結線作業がしづらい。
この点、本実施形態では、図10に示すように、各前側第1コネクタ34の後部が前側機能ケース32の外部に露出し、各後側第1コネクタ40の前部が後側機能ケース38の外部に露出している。また、各前側第2コネクタ58の前部及び各後側第2コネクタ61の後部が取付部材43の外部に露出している。
そのため、各前側機能装置31を取付部材43に対し前側から近づけ、各前側第1コネクタ34を、芯金20の窓部27(図10では図示略)を通じ、対応する前側第2コネクタ58に結合することで、前側機能ケース32及び取付部材43の間にハーネスを介さずに、制御装置42に各前側機能装置31を結線することができ、結線作業がしやすい。
また、各後側機能装置37を制御装置42に対し後側から近づけ、各後側第1コネクタ40を、対応する後側第2コネクタ61に結合することで、後側機能ケース38及び取付部材43の間にハーネスを介さずに、制御装置42に各後側機能装置37を結線することができ、結線作業がしやすい。
<エアバッグ装置70の組付け作業について>
上記複数のホーンスイッチ機構81を介してエアバッグ装置70を取付部材43に組付ける作業は次のようにして行なわれる。
この作業に際しては、図8に示すように、ホーンスイッチ機構81毎のスナップピン82が、取付部材43において対応する貫通孔50に後方から挿入される。この挿入に伴い、スナップピン82の支持部82cが貫通孔50の前側のスナップばね64に接触する。さらに、スナップばね64の付勢力に抗してスナップピン82等が前方へ移動されると、スナップばね64が開口部47側へ弾性変形させられる。そして、係止溝82bがスナップばね64に対向する箇所までスナップピン82が移動すると、スナップばね64が自身の弾性復元力により係止溝82bに入り込もうとする。
一方、係止溝82b内には、コイルばね89によって前方へ付勢された支持補助部材88の前端部が入り込んでいる。そのため、スナップばね64は、係止溝82b内に入り込む過程で、コイルばね89を後方へ圧縮させながら、支持補助部材88と支持部82cとの間に入り込む。この入り込みにより、係止溝82b内では、支持補助部材88がスナップばね64の後側に位置する。スナップばね64において、貫通孔50の前側に位置する部分は、支持部82cと支持補助部材88とによって前後から挟み込まれる。このようにして、スナップピン82がスナップばね64によって取付部材43に係止されることで、各ホーンスイッチ機構81の取付部材43に対する締結と、エアバッグ装置70の取付部材43に対する装着とが行なわれる。係止溝82bを有するスナップピン82とスナップばね64とを構成部材とし、かつスナップピン82が、貫通孔50への挿通に伴いスナップばね64の弾性によって取付部材43に係止される構造は、スナップフィット構造と呼ばれる。この構造を用いた組付けにより、スナップピン82を貫通孔50に挿通させた状態で、エアバッグ装置70をスナップピン82とともに前方へ移動させるといった簡単な作業を行なうことで、エアバッグ装置70を取付部材43に取付けることができる。
<エアバッグ装置70の取外し作業について>
取付部材43におけるリリース部53に対し、外部から力が加えられる前には、図12に示すように、スナップばね64は、両縦ばね部64aの間隔が狭まる方向へ若干弾性変形させられた状態で複数の保持部52に掛け止められている。
エアバッグ装置70の取外し作業に際しては、ステアリングホイール14の外部から、芯金20とエアバッグ装置70との間に、硬質の棒等からなる長尺状のリリース具91が挿入される。リリース具91の先端で操作部53aの長さ方向における中間部分が開口部47側へ押される等して、リリース部53に対し、開口部47に向かう力が加えられる。この力は、両伝達部53bを介してスナップばね64の横ばね部64bに伝達される。両伝達部53bが弾性連結部53eを挟んでスポーク部芯金22の長さ方向に相対向する箇所に形成されているため、横ばね部64bにおいて両保持部53cが接している箇所に対し、略均等に上記力が伝達される。
上記力により、図13に示すように、弾性連結部53eが弾性変形させられることで、操作部53aが両伝達部53bを伴って開口部47側へ変位し、スナップばね64が横ばね部64bにおいて開口部47側へ押圧される。横ばね部64bのうち、支持部49における貫通孔50の前側に位置する部分が開口部47側へ変位し、スナップピン82の係止溝82bから外れる。すると、横ばね部64bがスナップピン82を係止する力が消失する。
また、横ばね部64bの上記変位に伴い、各縦ばね部64aが自身の長さ方向のうち支持部49から遠ざかる側(図13の上側)へ変位する。これに伴い、縦ばね部64a毎の傾斜部64cの突起部55に対する接触箇所が変化する。各傾斜部64cに対しては、突起部55から、両縦ばね部64aの間隔を狭める側へ向かう力が加えられる。この力により、各縦ばね部64aが横ばね部64bとの境界部分において、対向する縦ばね部64a側へ弾性変形させられる。各縦ばね部64aの保持部52における掛け止め位置が、対向する縦ばね部64a側へ変化する。各縦ばね部64aのうち、各支持部48における貫通孔50の前側に位置する部分も対向する縦ばね部64a側へ変位し、スナップピン82の係止溝82bから外れる。本実施形態では、両縦ばね部64aが互いに反対方向へ同程度弾性変形する。そのため、両縦ばね部64aは、各支持部48における貫通孔50に挿通されたスナップピン82の係止溝82bから略同時に外れる。すると、各縦ばね部64aがスナップピン82を係止する力が消失する。
このように、両縦ばね部64a及び横ばね部64bがスナップピン82を係止する力が略同時に消失するため、3本の全てのスナップピン82を対応する貫通孔50から抜き出し、エアバッグ装置70を取付部材43からスムーズに取外すことができる。
<省スペース化について>
本実施形態では、図4(a),(b)及び図7に示すように、制御装置42の外殻部分を構成する取付部材43が芯金20に取付けられる。表現を変えると、一部が取付部材43により構成された制御装置42が、その取付部材43において芯金20に取付けられる。すなわち、取付部材43が芯金20に取付けられることで、制御装置42が芯金20に取付けられる。
一方、エアバッグ装置70の主要部は、取付部材43よりも後側に配置されて同取付部材43に取付けられる。表現を変えると、エアバッグ装置70は取付部材43を介して芯金20に取付けられる。このように、制御装置42及びエアバッグ装置70は、前後方向に並べられた状態で芯金20に取付けられる。
従って、制御装置42及びエアバッグ装置70が別々に、互いに異なる箇所に取付けられる場合に比べ、制御装置42及びエアバッグ装置70の設置に必要なスペースが小さくてすむ。特に、制御装置42及びエアバッグ装置70の設置スペースのうち、ステアリングシャフト15に直交する方向の寸法が小さくなる。
その結果、ステアリングホイール14の機能の増加に伴い、同ステアリングホイール14に組付けられる部品が増えても、新たな部品を配置するためのスペースを確保することができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、各前側機能装置31と各後側機能装置37とが、前後両側から制御装置42に結線される。しかも、各後側第2コネクタ61は、各前側第2コネクタ58の後方に位置している。そのため、前側機能装置31及び後側機能装置37を制御装置42に結線するのに必要なスペースのうち、制御基板46の面に沿う方向(図10の左右方向)の寸法は、前側第2コネクタ58及び後側第2コネクタ61が制御基板46の厚み方向における同じ側(前側又は後側)に設けられる場合の同方向の寸法よりも小さくてすむ。従って、同方向における結線箇所の省スペース化を図ることができる。
<車両10の通常運転時>
車両10に対し、前面衝突等による前方からの衝撃が加わらない通常運転時には、図7に示すようにエアバッグ装置70では、インフレータ74のガス噴出部75aから膨張用ガスが噴出されず、エアバッグ77が折り畳まれた状態に維持される。
図8に示すように、上記通常運転時において、エアバッグ装置70が押下げられない場合には、コイルばね89の後方へ向かう付勢力が、受け部85aにおいてピンホルダ85に伝達される。後方へ付勢されたピンホルダ85は、スナップばね64によって取付部材43に係止されたスナップピン82の鍔部82dに接触し、それ以上後方へ移動することを規制される。
また、上記付勢力は、ダンパホルダ86を介して、バッグホルダ71及びコンタクトホルダ83に伝達される。コンタクトホルダ83に伝達された付勢力は、スイッチ支持部17aに伝達される。このようにして付勢力が伝達されたエアバッグ装置70は、制御装置42から後方へ遠ざけられる。
これに伴い、コンタクトホルダ83に取付けられた可動接点部84も後方へ付勢され、接触突部84aが、スナップピン82の後端部の固定接点部から後方へ離間する。可動接点部84及びスナップピン82が導通を遮断された状態となり、ホーン装置67が作動しない。
このとき、エアバッグ装置70の荷重は、主としてコンタクトホルダ83、ダンパホルダ86及び弾性部材87を介してピンホルダ85に伝わる。そのため、上記通常運転時であって、車両10の高速走行中や車載エンジンのアイドリング中に、ステアリングホイール14に対し、上下方向や左右方向の振動が伝わると、この振動は、芯金20、取付部材43及び各ホーンスイッチ機構81を介してエアバッグ装置70に伝わる。上記振動に応じて、エアバッグ装置70がダイナミックダンパのダンパマスとして機能する。また、弾性部材87は、ステアリングホイール14の振動の狙いとする周波数と同一又は近い共振周波数で弾性変形しながら、エアバッグ装置70を伴って上下方向や左右方向へ振動(共振)することで、ダイナミックダンパのばねとして機能する。この共振により、ステアリングホイール14の振動エネルギーが吸収され、同ステアリングホイール14の上下方向や左右方向の各振動が抑制(制振)される。
<前側機能装置31及び後側機能装置37に対する入力操作時>
図10に示すように、各前側機能装置31では、機能基板33がハーネス35によって前側第1コネクタ34に電気的に接続されている。また、各後側機能装置37では、機能基板39がハーネス41によって後側第1コネクタ40に電気的に接続されている。さらに、前側第1コネクタ34が前側第2コネクタ58に結合されることにより、各前側機能装置31が制御装置42に電気的に接続されている。また、後側第1コネクタ40が後側第2コネクタ61に結合されることにより、各後側機能装置37が制御装置42に電気的に接続されている。
そのため、ハンドル部16を把持した状態で、操作部30,36(図1、図2参照)を通じ、両前側機能装置31及び両後側機能装置37のいずれかに対し入力操作が行なわれると、制御装置42によって、対応する車載機器が制御される。車載機器を入力操作に対応した態様で作動させることができる。すなわち、車載機器を作動させるための入力操作を手元で行なうことができる。
ここで、操作部30,36を通じて前側機能装置31及び後側機能装置37に対し入力操作が行なわれたり、同前側機能装置31及び後側機能装置37の構成部品に寸法ばらつきがあったり、ステアリングホイール14が回転操作されたりすると、機能基板33から前側第1コネクタ34に応力が伝わるおそれがある。また、機能基板39から後側第1コネクタ40に応力が伝わるおそれがある。
この点、本実施形態では、機能基板33と前側第1コネクタ34とを繋ぐハーネス35が弛み、機能基板39と後側第1コネクタ40とを繋ぐハーネス41が弛んでいる。このことから、機能基板33から応力が加わった場合にハーネス35が変形することで、その応力の一部を吸収する。また、機能基板39から応力が加わった場合にハーネス41が変形することで、その応力の一部を吸収する。その吸収の分、機能基板33から前側第1コネクタ34に伝わる応力が小さくなり、機能基板39から後側第1コネクタ40に伝わる応力が小さくなる。機能基板33と前側第1コネクタ34とが電気的に接続された状態を、良好に維持することができ、機能基板39と後側第1コネクタ40とが電気的に接続された状態を、良好に維持することができる。
<エアバッグ装置70の押下げ時>
図9に示すように、上記通常運転時において、ホーン装置67の作動のためにエアバッグ装置70が押下げられると、同エアバッグ装置70に加えられた力が、少なくとも1つのホーンスイッチ機構81におけるコンタクトホルダ83を介して可動接点部84及びダンパホルダ86に伝達される。この力により、ダンパホルダ86が押圧されて前方へ移動させられる。ダンパホルダ86の動きは、受け部85aを介してピンホルダ85に伝達される。この力の伝達により、ピンホルダ85がコイルばね89に抗して、スナップピン82の軸部82aに沿って前方へスライドさせられる。また、コンタクトホルダ83と一緒に可動接点部84が前方へ移動する。
そして、可動接点部84の複数の接触突部84aの少なくとも1つが、スナップピン82の固定接点部に接触すると、車両10のボディにアースされた芯金20とバッグホルダ71とが、板金部材65、スナップばね64、スナップピン82及び可動接点部84を介して導通される。この導通により、ホーンスイッチ機構81が閉成し、バッグホルダ71に電気的に接続されたホーン装置67が作動する。
<車両10に前方から衝撃が加わったとき>
車両10が走行中に前面衝突する等して、同車両10に対し前方から衝撃が加わった場合には、車両10は停止するが運転者Dは慣性により車両10に対し前方へ移動しようとする。
一方、図7におけるエアバッグ装置70では、前記衝撃に応じインフレータ74が作動させられ、ガス噴出部75aから膨張用ガスが噴出される。この膨張用ガスがエアバッグ77に供給されることで、同エアバッグ77が折り状態を解消(展開)しながら膨張する。このエアバッグ77により、パッド部17に加わる押圧力が増大していくと、同パッド部17が破断される。破断により生じた開口を通じてエアバッグ77が後方へ向けて引き続き展開及び膨張する。前突の衝撃により前傾しようとする運転者Dの前方に、展開及び膨張したエアバッグ77が介在し、運転者Dの前傾を拘束し、運転者Dを衝撃から保護する。
上記エアバッグ77の後方への膨張に際しては、バッグホルダ71に対し後方へ向かう力が加わる。この力は、ホーンスイッチ機構81毎のスナップピン82及びスナップばね64に順に伝わり、同スナップばね64のうち、貫通孔50の前側に位置する部分が後方へ引っ張られる。
この際、図6及び図12に示すように、支持部48における貫通孔50と縦ばね部64aとの間であって、同貫通孔50の周囲には板金部材65の一部が配置されている。この板金部材65は、樹脂製の取付部材43よりも高い強度を有している。そのため、板金部材65が用いられず、縦ばね部64aが、取付部材43における貫通孔50の周縁部分に接触する場合に比べ、上記力を板金部材65によってより的確に受け止めることができる。
また、図4(a),(b)及び図11に示すように、支持部49における貫通孔50を挟んでスポーク部芯金22の長さ方向に相対向する箇所には、連結芯金23に設けられた一対の規制部26が位置していて、これらが横ばね部64bに対し後側から当接する。両規制部26は、樹脂製の取付部材43よりも高い強度を有している。そのため、規制部26が設けられず、横ばね部64bが、取付部材43における貫通孔50の周縁部分に接触する場合に比べ、上記力を両規制部26によって的確に受け止めることができる。
上記車両10の前面衝突時においては、運転者Dからエアバッグ77を介してステアリングホイール14に対し押圧力が加わる。この押圧力により、芯金20が、中心部分から外れた箇所で変形することで、運転者Dに加わる衝撃が吸収され、運転者Dの保護が図られる。これは、芯金20の中心部分は一般に他の箇所よりも硬質であり、変形しにくいことから、同中心部分から外れた箇所で変形するように芯金20が形成されているからである。
一方で、制御装置42は硬質であり、その配置箇所によっては、芯金20の変形特性に影響を及ぼすおそれがある。この点、本実施形態では、図4(a)に示すように、制御装置42が、剛性の高い芯金20の中心部分の後側に配置されて、その箇所でねじ66により芯金20に締結されている。従って、制御装置42は、芯金20の変形特性に影響を及ぼしにくい。ステアリングホイール14が衝撃を受けた場合、芯金20は、制御装置42と干渉することなく設計通りの変形特性又はそれに近い変形特性で変形する。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・図10において、制御装置42における制御基板46の前面(図10の上面)に前側第2コネクタ58が固定されるとともに、同制御基板46の後面(図10の下面)に後側第2コネクタ61が固定されてもよい。この場合、後側第2コネクタ61は前側第2コネクタ58の後方に設けられてもよく、このようにすると、制御基板46の面に沿う方向の設置スペースをより小さくすることができる。
・前側第2コネクタ58及び後側第2コネクタ61が制御基板46の厚み方向における同じ側(前側又は後側)に設けられてもよい。
・制御装置42における一対の前側第2コネクタ58のうちの一方、又は双方が省略されてもよいし、さらに別の前側第2コネクタ58が追加されてもよい。
同様に、制御装置42における一対の後側第2コネクタ61のうちの一方、又は双方が省略されてもよいし、さらに別の後側第2コネクタ61が追加されてもよい。
・制御装置42における第2コネクタが、前壁部44及び後壁部45に加えて、又は代えて取付部材43の側壁部に設けられてもよい。この場合には、機能装置の第1コネクタが取付部材43の側方から第2コネクタに結合されることになる。
・各前側機能装置31と制御装置42との電気的な接続、及び各後側機能装置37と制御装置42との電気的な接続が、柔軟性を有する線状のハーネスを介して行なわれてもよい。
ここで、上述したように、制御装置42は芯金20の中心部分の後側に配置されることで、両前側機能装置31間に位置し、かつ両後側機能装置37間に位置する。制御装置42と各前側機能装置31との距離が短くなり、同制御装置42と各後側機能装置37との距離が短くなる。そのため、上記のようにハーネスを用いた電気的接続に変更された場合には、制御装置42と各前側機能装置31とを繋ぐハーネスを短くすることができ、同制御装置42と各後側機能装置37とを繋ぐハーネスを短くすることができる。
・連結芯金23における両規制部26は、横ばね部64bに接触されてもよい。この場合には、スナップばね64及び芯金20が、連結芯金23と横ばね部64bとの接触箇所を通じて電気的に接続される。
・芯金20における規制部26は、支持部48における貫通孔50の周辺部分の前方に設けられてもよい。この場合、規制部26は、支持部48における貫通孔50の周囲で縦ばね部64aに対し後側から当接して、同縦ばね部64aのうち同貫通孔50の前側に位置する部分の後方への移動を規制する。
・上記ステアリングホイール14は、車両以外の乗物、例えば、航空機、船舶等における操舵装置のステアリングホイールに適用することもできる。