JP6447671B2 - ステアリングホイール - Google Patents
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そのため、ステアリングホイールが振動すると、エアバッグ装置がダイナミックダンパのダンパマスとして機能し、弾性部材がダイナミックダンパのばねとして機能する。弾性部材は、ステアリングホイールの振動の周波数と同一又は近い共振周波数で弾性変形しながら、エアバッグ装置を伴って振動し、ステアリングホイールの振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイールの振動が抑制(制振)される。
そのため、ステアリングホイールが振動すると、エアバッグ装置がダイナミックダンパのダンパマスとして機能し、弾性部材がダイナミックダンパのばねとして機能する。弾性部材は、ステアリングホイールの振動の周波数と同一又は近い共振周波数で弾性変形しながら、エアバッグ装置を伴って振動し、ステアリングホイールの振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイールの振動が抑制(制振)される。
図1(a)に示すように、車両には、軸線L1に沿って同車両の略前後方向に延び、かつ同軸線L1を中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)14が、後側ほど高くなるように傾斜した状態で配設されている。ステアリングシャフト14の後端部には、ステアリングホイール10が取付けられている。
図3〜図5に示すように、エアバッグ装置20は、パッド部24、リングリテーナ25、エアバッグ(図示略)及びインフレータ23を、バッグホルダ21に組付けることによって構成されている。
図2、図6及び図7に示すように、各ホーンスイッチ機構30は、支持部材としてのスナップピン31、スライダとしてのピンホルダ32、キャップ部材としてのコンタクトホルダ33、可動側接点部としての接点端子34、ばね受け35、及び付勢部材としてのコイルばね36を備えている。次に、ホーンスイッチ機構30の各構成部材について説明する。
スナップピン31は、導電性を有する金属材料によって形成されている。このスナップピン31の芯金12に対する支持構造については、後述する。スナップピン31の主要部は、上記ステアリングシャフトの軸線L1に対し平行の関係にある軸線L2に沿って前後方向に延び、かつバッグホルダ21の取付孔21gの内径よりも小径の長尺状の軸部31fによって構成されている。軸部31fの後端部は、固定側接点部として機能する。軸部31fの前端部には、環状の係止溝31bが形成されている。軸部31fの後端外周部には、同軸部31fの他の部分よりも大径状をなす鍔部31aが形成されている。鍔部31aの外径は、バッグホルダ21の取付孔21gの内径よりも大きく設定されている。
図7〜図9に示すように、ピンホルダ32は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成されている。ピンホルダ32の主要部は、前後両端が開放された筒状部32aによって構成されている。筒状部32aは、スナップピン31の軸部31fの外側に被せられている。ピンホルダ32は、ホーンスイッチ機構30の作動に際し、軸部31fに沿ってスライドするスライダとして用いられている。筒状部32aの後端部は、ピンホルダ32の後端部を構成している。
図6〜図8に示すように、コンタクトホルダ33は、絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。コンタクトホルダ33は、略円板状をなす天板部33aと、その天板部33aの外周縁から前方に延びる略円筒状の周壁部33bとを備えている。コンタクトホルダ33は、ピンホルダ32における筒状部32aの後端部から後方へ離間した状態で、スナップピン31の少なくとも鍔部31aと、ピンホルダ32の筒状部32aの少なくとも後端部とを後方から覆っている。周壁部33bの周方向に互いに離間した複数箇所には、フック部33cが径方向へ弾性変形可能に形成されている。
接点端子34は、導電性を有する帯状の金属板をプレス加工することにより形成されている。接点端子34は、コンタクトホルダ33の径方向に延びる本体部34aと、同本体部34aの両端から前方へ延びる一対の側部34bとを備えている。
図2及び図7に示すように、ばね受け35は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成されている。ばね受け35の一部は、円環板状をなす受け部35bによって構成されている。受け部35bの外径は、コイルばね36の外径、及び貫通孔12cの内壁面における後端部の外径、すなわち、テーパ状の内壁面における最大径と同程度に設定されている。
コイルばね36は、スナップピン31の軸部31f、ピンホルダ32の筒状部32a、ばね受け35の両装着部35fのそれぞれの周りに巻回されている。コイルばね36は、ピンホルダ32の受け部32cとばね受け35の受け部35bとの間に、圧縮させられた状態で配置されている。
図6、図7及び図9に示すように、弾性部材41は、ゴム(例えば、EPDM、シリコンゴム等)、エラストマー等の弾性材料によって形成されている。
弾性本体部41aと鍔部31aとの間には、空隙部G1が形成されている。弾性本体部41aの後面の一部には、後方へ突出して鍔部31aの前面の一部に接触するリブ41eが設けられている。本実施形態では、リブ41eは、スナップピン31の上記軸線L2を中心とする円上の複数箇所において、その円に沿った形状である円弧状に形成されている(図6参照)。これらのリブ41eは、鍔部31aに安定した状態で接触させる観点からは、上記円上の3箇所以上に設けられることが望ましい。
弾性板状部41cは、弾性筒状部41bの前端外周部から径方向外方へ突出しており、厚みの小さな円環板状をなしている。弾性板状部41cの外径は、上記受け部32c(被伝達部)の外径と同程度に設定されている。
上記弾性部材41(主として弾性本体部41a)は、上述したエアバッグ装置20とともにダイナミックダンパを構成している。本実施形態では、弾性部材41(主として弾性本体部41a)をダイナミックダンパのばねとして機能させ、エアバッグ装置20をダンパマスとして機能させるようにしている。
ダンパホルダ42は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成されている。ダンパホルダ42は、弾性部材41とバッグホルダ21における挟持部21iとの間であり、かつ同バッグホルダ21における取付部21fの後側に配置されている。
周壁部42aの後面は、弾性部材41の環状突部41fの前面に接触している。図6及び図8に示すように、周壁部42aの互いに周方向に離間した複数箇所には、係合爪42cが形成されている。これらの係合爪42cが、コンタクトホルダ33の対応する爪係合孔33dに内側から係合されることで、ダンパホルダ42がコンタクトホルダ33に取付けられている。
この作業に際しては、ホーンスイッチ機構30毎のスナップピン31が芯金12において対応する保持部12bの貫通孔12cに後方から挿入される。この挿入に伴い、ばね受け35の受け部35bが保持部12bに接近し、係合片35eが貫通孔12cの内壁面に接近する。また、スナップピン31における軸部31fの前端31cがクリップ13に接触する。さらに、クリップ13の付勢力に抗してスナップピン31等が前方へ移動されると、クリップ13がスナップピン31の径方向外方へ弾性変形させられる。そして、係止溝31bがクリップ13に対向する箇所までスナップピン31が移動されると、クリップ13が自身の弾性復元力により係止溝31bに入り込もうとする。
車両に対し、前面衝突(前突)等による前方からの衝撃が加わらない通常時には、エアバッグ装置20では、インフレータ23のガス噴出部23eからガスが噴出されず、エアバッグが折り畳まれた状態に維持される。
このとき、エアバッグ装置20の荷重は、主としてコンタクトホルダ33、ダンパホルダ42及び弾性部材41を介してピンホルダ32に伝わる。
(1)スナップピン31(支持部材)の軸部31fの外側にスライド可能に配置されたピンホルダ32(スライダ)と、コンタクトホルダ33(キャップ部材)内に取付けられたダンパホルダ42との間に弾性部材41を介装する。ダンパホルダ42の内周部に伝達部42eを設ける。ピンホルダ32の外周部であって伝達部42eの直前となる箇所に、被伝達部として受け部32cを設ける。そして、エアバッグ装置20の押下げに伴うダンパホルダ42の前方への動きを、伝達部42e及び受け部32cによってピンホルダ32に伝達するようにしている(図7、図8)。
そのため、エアバッグ装置20が押下げられた場合、ダンパホルダ42の前方への移動に伴う伝達部42eの前方への動きを、被伝達部(受け部32c)に対し弾性板状部41cを介して間接に伝達することができる。ピンホルダ32(スライダ)をコイルばね36に抗して前方へスライドさせることができる。その結果、上記(1)の効果を好適に得ることができる。
(4)ピンホルダ32(スライダ)の主要部を、スナップピン31(支持部材)の軸部31fにスライド可能に被せられる筒状部32aにより構成し、その筒状部32aの後端部によりピンホルダ32(スライダ)の後端部を構成している(図7、図8)。
<ピンホルダ32(スライダ)について>
・ピンホルダ32の筒状部32aにおける被伝達部は、受け部32cとは別の箇所に設けられてもよい。
<コンタクトホルダ33(キャップ部材)について>
・コンタクトホルダ33は、スナップピン31及びピンホルダ32の各後端部に加え、それよりも前側の部分を後方から覆うものであってもよい。
・付勢部材としては、ピンホルダ32(スライダ)を後方へ付勢するものであることを条件として、コイルばねとは異なる種類のばねや、ばねとは異なる弾性部材が用いられてもよい。
・弾性部材41として、上記実施形態とは異なる形状を有するものが用いられてもよい。これに伴い、ピンホルダ32及びダンパホルダ42の各形状が変更されてもよい。
・弾性部材41は、ピンホルダ32の筒状部32aに対し一体に形成されてもよい。これは、例えば、ピンホルダ32をインサート部材として金型内に配置し、そのピンホルダ32の筒状部32aの外側に弾性材料を注入する、いわゆるインサート成形が行なわれることによって可能である。
・弾性部材41から弾性板状部41cが省略されてもよい。この場合には、ダンパホルダ42の伝達部42eはピンホルダ32の受け部32c(被伝達部)に直接接触される。
・弾性部材41の形状が変更されることにより、テーパ面41dと筒状部32aとの間の空隙部G2の大きさが変更されてもよい。この変更により、狙いとする制振の周波数を変更することが可能である。例えば、空隙部G2を大きくすることにより、制振の周波数を下げることが可能である。
・伝達部42eは、必ずしも円環状をなしていなくてもよく、スナップピン31の軸線L2を中心とする円上の複数箇所において、その円に沿った円弧状に形成されてもよい。
・上記ステアリングホイールは、車両以外の乗物、例えば、航空機、船舶等における操舵装置のステアリングホイールに適用することもできる。
Claims (13)
- エアバッグ装置を備えるステアリングホイールであって、
前記エアバッグ装置のバッグホルダに挿通された支持部材と、
前記支持部材の外側に前後方向へスライド可能に配置され、かつ付勢部材により後方へ付勢された筒状のスライダと、
前記スライダの一部を覆う環状のダンパホルダと、
前記スライダ及び前記ダンパホルダの間に介装された環状の弾性部材と
を備え、
前記ダンパホルダは、周壁部と、同周壁部の前端内周部に形成された底壁部と、同底壁部の内周部に設けられた伝達部を備え、
前記弾性部材は、弾性本体部と、同弾性本体部の内周部から前方へ延びる弾性筒状部を備え、
前記スライダは、前記伝達部の直前に位置するように同スライダの外周部に設けられるとともに前記ダンパホルダの前方への動きが前記伝達部を通じて伝達される被伝達部を備え、
前記弾性本体部は、その径方向において前記周壁部と前記スライダに挟まれており、
前記エアバッグ装置は、前記支持部材によるスナップフィット構造により取付けられており、前記エアバッグ装置をダイナミックダンパのダンパマスとして機能させ、かつ前記弾性部材をダイナミックダンパのばねとして機能させるように構成されたステアリングホイール。 - エアバッグ装置を備えるステアリングホイールであって、
前記エアバッグ装置のバッグホルダに挿通された支持部材と、
前記支持部材の外側に前後方向へスライド可能に配置され、かつ付勢部材により後方へ付勢された筒状のスライダと、
前記支持部材の後方に配置され、前記スライダと連動して前後方向へ移動可能な可動側接点部と、
前記スライダの一部を覆う環状のダンパホルダと、
前記スライダ及び前記ダンパホルダの間に介装された環状の弾性部材とを備え、
前記ダンパホルダは、周壁部と、同周壁部の前端内周部に形成された底壁部と、同底壁部の内周部に設けられた伝達部を備え、
前記弾性部材は、弾性本体部と、同弾性本体部の内周部から前方へ延びる弾性筒状部を備え、
前記スライダは、前記伝達部の直前に位置するように同スライダの外周部に設けられるとともに前記ダンパホルダの前方への動きが前記伝達部を通じて伝達される被伝達部を備え、
前記弾性本体部は、その径方向において前記周壁部と前記スライダに挟まれており、
前記エアバッグ装置の非押下げ時には、同エアバッグ装置をダイナミックダンパのダンパマスとして機能させ、かつ前記弾性部材をダイナミックダンパのばねとして機能させ、前記エアバッグ装置の押下げ時には、その押下げに伴い前記付勢部材に抗して前記スライダを前方へスライドさせ、そのスライドの過程で、前記可動側接点部を前記支持部材の後端部に接触させてホーン装置を作動させるように構成されたステアリングホイール。 - 前記弾性本体部は、前記バッグホルダより後方側のみに位置している請求項1又は請求項2に記載のステアリングホイール。
- 前記スライダの後端部から後方へ離間した状態で、前記支持部材及び前記スライダの少なくとも各後端部を後方から覆うコンタクトホルダを備え、
前記エアバッグ装置の押下げ時には、その押下げに伴い前記コンタクトホルダを前方へ移動させることで、前記付勢部材に抗して前記スライダを前方へスライドさせるように構成された請求項1に記載のステアリングホイール。 - 前記支持部材の後方に配置され、前記スライダと連動して前後方向へ移動可能な可動側接点部を備え、
前記エアバッグ装置の押下げ時には、その押下げに伴い前記付勢部材に抗して前記スライダを前方へスライドさせ、そのスライドの過程で、前記可動側接点部を前記支持部材の後端部に接触させてホーン装置を作動させるように構成された請求項1に記載のステアリングホイール。 - 前記可動側接点部は、前記ダンパホルダの径方向に延びる本体部と、
前記本体部の端部から前方へ延びる側部とを備え、
前記側部の前部と前記バッグホルダとが接触して導通されている請求項5に記載のステアリングホイール。 - 前記可動側接点部は、前記ダンパホルダの径方向に延びる本体部と、
前記本体部の端部から前方へ延びる側部とを備え、
前記側部の前部と前記バッグホルダとが接触して導通されている請求項2に記載のステアリングホイール。 - 前記スライダの後端部から後方へ離間した状態で、前記支持部材及び前記スライダの少なくとも各後端部を後方から覆うコンタクトホルダを備え、
前記可動側接点部は、前記コンタクトホルダ内に取付けられており、
前記エアバッグ装置の押下げ時には、その押下げに伴い前記コンタクトホルダを前方へ移動させることで、前記付勢部材に抗して前記スライダを前方へスライドさせるように構成された請求項2又は請求項7に記載のステアリングホイール。 - 前記伝達部は、前記被伝達部に対し直接、又は前記弾性部材の前端外周部に形成された弾性板状部を介して間接に接触されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
- 前記スライダの外周部には前記付勢部材の後ろ向きの付勢力を受ける受け部が設けられており、
前記受け部により前記被伝達部が構成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載のステアリングホイール。 - 前記支持部材は、前記エアバッグ装置の押下げ方向に延びる軸部と、前記軸部の後端外周部に形成された鍔部とを備え、
前記スライダの主要部は、前記軸部にスライド可能に被せられる筒状部により構成されており、
前記筒状部の後端部は前記スライダの後端部を構成している請求項1〜10のいずれか1項に記載のステアリングホイール。 - 前記弾性部材の少なくとも後部は、ダイナミックダンパのばねとして機能する環状の弾性本体部により構成されており、
前記弾性本体部と前記鍔部との間には空隙部が形成され、
前記弾性本体部の後面の一部には、後方へ突出して前記鍔部の前面の一部に接触するリブが設けられている請求項11に記載のステアリングホイール。 - 前記弾性部材は、前記弾性本体部から前方へ延びる弾性筒状部を備えており、
前記弾性筒状部と前記伝達部との間には空隙部が形成されている請求項12に記載のステアリングホイール。
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