JP2019031015A - 撥液性シーラントフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヨーグルト等の内容物に対する付着防止性を有すると共に、ガスバリア性を有し、しかも、その内面側から印刷画像が明瞭に視認できる撥液性シーラントフィルムを提供すること。【解決手段】ガスバリア性基材1、印刷インキ皮膜2、シーラント層3、付着防止層4をこの順に積層して、撥液性シーラントフィルムとする。そして、かつ、前記ガスバリア性基材として金属箔又は金属蒸着層を含むものを採用すると共に、前記付着防止層に平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を配合する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばヨーグルト等の内容物を収容したカップ容器の蓋材として使用して、その内容物の付着を防止することができる撥液性シーラントフィルムに関する。また、これに加えて、本発明の撥液性シーラントフィルムは、ガスバリア性が高く、したがって内容物の保存性が高く、しかも、開封した後、その内面側から印刷画像を視認することができる撥液性シーラントフィルムに関する。
例えばヨーグルト等の内容物を収容したカップ容器の蓋材として使用して、その内容物の付着を防止することができる撥液性シーラントフィルムは、特許文献1に記載されている。
この撥液性シーラントフィルムは、基材フィルムの内面側に、シーラント層と付着防止層とをこの順に積層したもので、付着防止層として、無機又は金属アルコキシド類から成る無機バインダー中に、金属酸化物微粒子を分散させたものを使用している。そして、この微粒子が撥液性シーラントフィルム表面に露出して、ヨーグルト等の付着を防止する。また、蓋材としてカップ容器にシールする際には、無機バインダーにクラックを生じ、このクラックからシーラント層が浸出して容器フランジ部と熱接着する。
国際公開第2014/038701号パンフレット
ところで、このような蓋材には、内容物の保存性を高めるため、ガスバリア性が求められることがある。ガスバリア性の素材として代表的なものは、アルミニウム箔等の金属箔である。あるいは金属蒸着層がガスバリア層として用いられることもある。
また、これに加えて、この蓋材をカップ容器から剥離した後、その内面側、すなわち、シーラント層側から印刷画像が視認できることが求められることもある。例えば、懸賞の当落を示す印刷画像である。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、ヨーグルト等の内容物に対する付着防止性を有すると共に、ガスバリア性を有し、しかも、その内面側から印刷画像が明瞭に視認できる撥液性シーラントフィルムを提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、ガスバリア性基材、印刷インキ皮膜、シーラント層、付着防止層をこの順に備える撥液性シーラントフィルムであり、かつ、前記ガスバリア性基材が金属箔又は金属蒸着層を含んでいる撥液性シーラントフィルムであって、
前記付着防止層が平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を含有することを特徴とする撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項2に記載の発明は、ガスバリア性基材、シーラント層、印刷インキ皮膜、付着防止層をこの順に備える撥液性シーラントフィルムであり、かつ、前記ガスバリア性基材が金属箔又は金属蒸着層を含んでいる撥液性シーラントフィルムであって、
前記付着防止層が平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を含有することを特徴とする撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項3に記載の発明は、前記微粒子が、平均一次粒子径10〜100nmの凝集体で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項4に記載の発明は、前記微粒子が金属酸化物から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項5に記載の発明は、前記微粒子の表面が疎水処理されていることを特徴とする請求項4に記載の撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項6に記載の発明は、前記付着防止層の微粒子がバインダーによって固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項7に記載の発明は、前記バインダーが無機バインダーであることを特徴とする請求項6に記載の撥液性シーラントフィルムである。
次に、請求項8に記載の発明は、前記付着防止層が前記シーラント層に接して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の撥液性シーラントフィルムである。
本発明の撥液性シーラントフィルムにおいては、その表面に付着防止層を有しており、この付着防止層が平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を含有するため、ヨーグルト等の内容物の付着を防止することができる。このため、蓋材に付着した内容物の棄損による無駄を減少させ、また、開封時に付着物が手や指、衣類あるいは周辺を汚すことを防ぐことができる。
また、この撥液性シーラントフィルムは、金属箔又は金属蒸着層を含むガスバリア性基材を、その層構成中に有するため、酸素ガスや水蒸気の透過を防止する。このため、高い内容物保存性を達成することができる。
ところで、これら金属箔又は金属蒸着層は高い光反射性を有し、しかも、光を正反射する。そこで、これら金属箔又は金属蒸着層に囲まれた印刷画像を観察する際には、その周囲の金属箔又は金属蒸着層が光を正反射して眩しく感じられ、その印刷画像を容易に認知することができない。これに対し、本発明の撥液性シーラントフィルムにおいては、付着防止層が平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を含み、この微粒子が光を散乱するため、印刷画像周囲の反射光の眩しさを低減する。そして、このため、印刷画像が明瞭に視認できるのである。
図1は本発明の具体例に係る撥液性シーラントフィルムの要部断面図である。 図2は本発明の別の具体例に係る撥液性シーラントフィルムの要部断面図である。 図3は本発明の第3の具体例に係る撥液性シーラントフィルムの要部断面図である。
以下、図面を参照して本発明の具体例を説明する。図1は本発明の具体例に係る撥液性シーラントフィルム10の要部断面図である。
図1から分かるように、本発明の撥液性シーラントフィルム10は、ガスバリア性基材1、印刷インキ皮膜2、シーラント層3、付着防止層4を、この順に積層して構成されるものである。
ガスバリア性基材1は単層構造と多層構造のいずれであってもよいが、本発明の撥液性シーラントフィルム10にガスバリア性を付与し、例えば蓋材等の包装材料として使用した場合に、内容物の保存性を高める機能を有する。このため、ガスバリア性基材1は、ガスバリア層として金属箔又は金属蒸着層を含んでいる必要がある。
金属箔としては、アルミニウム箔、鉄箔、銅箔等が例示できる。望ましくはアルミニウム箔である。金属箔単体でガスバリア性基材1を構成してもよいし、他の層と積層して多層構造のガスバリア性基材1としてもよい。例えば、紙、プラスチックフィルム等である。もちろん、樹脂コーティング層を有するものであってもよい。
ガスバリア層として金属蒸着層を利用する場合には、適切な金属を蒸着した金属蒸着フィルムの形態で使用することができる。蒸着基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム等のプラスチックフィルムが利用できる。金属蒸着層の材質としては、アルミニウム、鉄、銅等が例示できる。好ましくはアルミニウムである。なお、この金属蒸着フィルム単体でガスバリア性基材1を構成してもよいし、紙、プラスチックフィルム等と積層して多層構造のガスバリア性基材1としてもよい。
次に、印刷インキ皮膜2は、撥液性シーラントフィルム10をその内面側から、すなわち、シーラント層3側から観察したときに、その内容を表示するものである。このため、この印刷インキ皮膜2は、ガスバリア性基材1より内面側、すなわち、シーラント層3側に位置する必要がある。また、この印刷インキ皮膜2より内面側に積層される各層(シーラント層3,付着防止層4等)は、この印刷インキ皮膜2を読み取れる程度の透明性を有していなければならない。
この印刷インキ皮膜2は、常用の印刷インキ及び印刷方法で形成することができる。例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法等である。また、この印刷インキ皮膜2は、ガスバリア性基材1に直接印刷して形成することもできるが、ガスバリア性基材1が多層構造を有する場合には、このガスバリア性基材1の一部を構成するフィルムに印刷して、残部を貼り合わせることによって形成することもできる。例えば、ガスバリア性基材1が金属蒸着フィルムと紙とを積層した二層構造を有する場合には、まず、紙に印刷し、次に金属蒸着フィルムと貼り合わせることにより、印刷インキ皮膜2を有するガスバリア性基材1を形成することができる。
また、この印刷インキ皮膜2は、他のフィルムに印刷してガスバリア性基材1に貼り合わせることにより形成することもできる。例えば、透明フィルムに印刷インキ皮膜2を印刷し、この印刷インキ皮膜2が透明フィルムとガスバリア性基材1との間に位置するように、これら透明フィルムとガスバリア性基材1の両者を貼り合わせる方法である。この場合には、得られる撥液性シーラントフィルムには、印刷インキ皮膜2とシーラント層3との間に透明フィルムを介在させた構造を有することになる。
なお、印刷インキ皮膜2が表示する印刷画像は任意でよいが、例えば、懸賞の当落を示す印刷画像とすることができる。この場合には、内容物を収容した容器を開封する前には
当落が認識できず、開封して初めてその当落を認識することができる。また、その印刷画像として、内容物のメーカーにアクセスするコードを使用することもできる。もちろん、広告宣伝の印刷画像であってもよい。
次に、シーラント層3は、撥液性シーラントフィルム10のヒートシール性を担保する層である。後述するように、この例では、撥液性シーラントフィルム10は、ヒートシールの際の熱圧によって付着防止層4にクラックを生じ、このクラックからシーラント層3が浸出して熱接着する。
このシーラント層3は、ヒートシール性の樹脂をコーティングすることによって形成することができる。例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ホットメルト樹脂などが使用できる。また、アクリル系のヒートシールニスを使用することも可能である。なお、シーラント層3のコーティングに先立ち、周知のアンカーコート剤を塗布してもよい。
なお、ヒートシール性樹脂に比較的大粒径の粒子を混合して塗布することにより、表面に凹凸のあるシーラント層3’を設けることができる。図2はこのような撥液性シーラントフィルム10’の例を示す要部断面図である。そして、このようにシーラント層3’表面に凹凸を設けたときには、付着防止層4はシーラント層3’表面の凹凸に沿って設けられる。この結果、付着防止層4の表面は、シーラント層3’の表面の比較的大きな凹凸と、付着防止層5に含まれる疎水性微粒子に基づく微小な凹凸とが重畳した凹凸を有している。このため、これら大小2種類の凹凸が重畳して構成された付着防止層4の表面の付着防止性能が向上する。
このシーラント層3’に混合する粒子としては、平均二次粒径が1〜100μmで、後述する微粒子より平均二次粒径が大きい粒子が好ましく使用できる。その材質としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化チタンを例示することができる。
次に、付着防止層4は、少なくとも2つの機能を果たす必要がある。その第1の機能は、ヨーグルト等の内容物の付着を防止する機能である。また、第2の機能は、ガスバリア性基材1に含まれる金属箔又は金属蒸着層からの反射光を散乱して、その眩しさを低減する機能である。また、これら第1の機能及び第2の機能に加えて、撥液性シーラントフィルム10をヒートシールする際にクラックを発生して、このクラックからシーラント層3を浸出させる第3の機能を有することが望ましい。
第1の機能及び第2の機能を発揮するため、付着防止層4は、平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子4bを含有する必要がある。望ましくは1〜10μmである。なお、平均二次粒子径は、マイクロトラックベル社のレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定できる。
平均二次粒子径が100nmより小さいと、光散乱性が劣るため、印刷インキ皮膜2の周囲のガスバリア性基材1からの反射光が眩しく感じられる。このため、印刷インキ皮膜2の画像を読み取ることが困難である。また、内容物の付着防止性に劣る結果となる。
一方、平均二次粒子径が100μmより大きいと、光散乱性が高く、このため、印刷インキ皮膜2を含む全面が白濁して、その画像を読み取ることが困難である。また、見かけ
上の微粒子の表面積が低くなり、付着防止性が低下することがある。
このような微粒子4bとしては、平均一次粒子径10〜100nmの金属酸化物粒子の凝集体を使用できる。また、この微粒子4bは、その表面が疎水処理されているものであってもよい。
この微粒子4bとしては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄などを主成分とした無機化合物が用いられる。二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛が好ましく、特に酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化ケイ素(シリカ)が好ましい。また、これらの混合物でもよい。また、疎水処理としては、例えば、シランカップリング剤による処理が例示でき、この場合には、コアとなる無機酸化物粒子の表面に疎水性の官能基を付与して、その表面を疎水化することができる。シランカップリング剤としては、ジメチルシリル系シランカップリング剤(化学式:(CH Si(O−R) )、トリメチルシリルシランカップリング剤(化学式:(CH SiO−R)、ジメチルポリシロキサンシランカップリング剤(化学式:(CH −Si−O−Si(O−R) )、ジメチルシロキサンシランカップリング剤、アミノアルキルシリルシランカップリング剤、アルキルシリルシランカップリング剤、メタクリルシリルシランカップリング剤などが好ましいが、より好ましくはメチル基(化学式:CH )が多いトリメチルシリルシランカップリング剤である。なお、化学式中、「O−R」は加水分解される置換基を示している。
次に、前述の第3の機能を発揮するため、無機バインダー4aによって前記微粒子を固定していることが望ましい。この場合、このバインダー4aは微粒子4bと共に付着防止層4を構成する。そして、このバインダー4aはヒートシールの際の熱圧によってクラックを生じるため、このクラックからシーラント層3が浸出することができる。なお、このように付着防止層4からシーラント層3が浸出できるように、付着防止層4はシーラント層3に接して配置することが望ましい。
無機バインダー4aとしては、金属アルコキシドの加水分解物が利用できる。また、これに加えて、水溶性高分子やシランカップリング剤を併用することもできる。
金属アルコキシドとしては、化学式 M(OR)nで表される金属アルコキシドである。その一部が加水分解されていてもよい。ここで、MはSi、Al、Ti、Zr等の金属、RはCHまたはC、nは金属元素の酸化数]である。その中でも、水系の溶媒中において比較的安定なものが好ましい。例えば、テトラメトキシシラン(化学式:Si(OCH)、テトラエトキシシラン(化学式:Si(OC)、トリイソプロピルアルミニウム(化学式:Al(OC)である。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を使用できる。
また、シランカップリング剤としては、例えば、アミンシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等を使用することができる。また、イソシアネート基やエポキシ基を持つシランカップリング剤であってもよい。例えば、トリエトキシエポキシシラン等を使用できる。
付着防止層4は、これら各成分を溶解又は分散させてコーティング液を作成し、このコーティング液を塗布した後、加熱して乾燥すると共にこれら各成分を反応させることにより形成することができる。この反応によって、金属アルコキシドは、SiO骨格を有する強固な無機皮膜を生成し、この無機皮膜がバインダーとして働き、前記微粒子を固定する。
微粒子4bと金属アルコキシドとの配合比及び塗布量は、微粒子4bを無機バインダー4aに固定してその脱落を防ぐと共に、その表面に微粒子に基づく微小な凹凸が形成される程度でよい。例えば、その配合比は、微粒子4bと無機バインダー4aとの重量比が95:5〜5:95となる割合である。また、その膜厚は0.5〜10μmの範囲でよい。
微粒子と金属アルコキシドとの混合物は、例えば、水とアルコールの混合溶媒中に分散させて、塗布することができる。塗布方法としては、例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコーティング、キスリバースコーティング、ダイコーティング、ドクターブレードコーティング、刷毛塗り、ディップコーティング、スプレーコーティング、スプレーコーティングなどを用いることができる。
以上、印刷インキ皮膜2をガスバリア性基材1とシーラント層3との間に配置した撥液性シーラントフィルムを例として本発明を説明したが、印刷インキ皮膜2がパターン状に構成されている場合には、この印刷インキ皮膜2をシーラント層3と付着防止層4との間に配置することもできる。図3はこの例を示す要部断面図である。この場合には、ヒートシールの際の熱圧によってシーラント層3を表面に浸出させる必要があるから、そのヒートシール領域には、前記印刷インキ皮膜2が存在しないことが望ましい。
本発明に係る撥液性シーラントフィルムは、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ジャム、ムース等を内容物とする包装容器の材料として好適である。例えば、これら内容物を収容したカップ状容器の蓋材として使用することができるが、これに限らず、任意の形態の包装容器の材料として使用することができる。
(実施例1)
ガスバリア性基材1として、紙と金属蒸着フィルムとを積層した2層構造のシートを使用した。紙は坪量55g/mのモゾウ紙である。また、金属蒸着フィルムは厚さ12μmのポリエステルフィルムにアルミニウムを蒸着したものである。これら両者はドライラミネート法により積層した。
次に、ガスバリア性基材1のポリエステルフィルム面に印刷インキ皮膜2を印刷した。印刷方法はグラビア印刷である。
そして、この印刷インキ皮膜2を被覆してアンカーコート層を塗布した後、アクリル系ヒートシールニス剤を塗布してシーラント層3を形成した。アンカーコート剤はDIC社製A970、ヒートシールニス剤はDIC社製A450で、いずれもグラビアコーティング法により塗布した。
次に、シーラント層3の上に、付着防止層4を形成した。この付着防止層4は、微粒子4bを無機バインダー4aによって固定したもので、その形成方法は次のとおりである。
この付着防止層4に使用した微粒子4bは、乾式法にてジメチルポリシロキサン処理を行った平均一次粒子径16nmの疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル RY200S)の凝集体で、これをメタノールに分散した溶液の形態で使用した。
また、無機バインダー4aは、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとの混合液の形態で使用した。
そして、前記微粒子4bのメタノール分散液と前記混合液とを混合し、メタノールで希釈して、付着防止層4用コーティング液を調製した。混合比は、固形分の重量比が1:1となる量である。また、希釈は、付着防止層4用コーティング液の固形分が6質量%となるように希釈した。
そして、この付着防止層4用コーティング液を前記シーラント層3上にグラビアコーティング法に塗布し、加熱乾燥して、テトラエトキシシランを互いに反応させて無機皮膜を生成することにより、前記付着防止層4を形成した。その塗布量は、ウェットで15g/mである。なお、微粒子4bの平均2次粒子径は2μmである。
(実施例2)
この例は、ガスバリア性基材1として、厚さ12μmのポリエステルフィルムと厚さ9μmのアルミニウム箔とを積層した2層構造のシートを使用した例であり、その他は実施例1と同様である。
(実施例3)
この例は、微粒子4bとして、平均2次粒子径が1μmの疎水性シリカ微粒子を使用した例である。
まず、ガスバリア性基材1としては、実施例1と同様に、紙と金属蒸着フィルムとを積層した2層構造のシートを使用した。そして、これも実施例1と同様に、印刷インキ皮膜2、アンカーコート層、シーラント層3を順次形成した。
次に、シーラント層3の上に、付着防止層4を形成した。この付着防止層4は、微粒子4bを無機バインダー4aによって固定したもので、その形成方法は次のとおりである。
この付着防止層4に使用した微粒子4bは、乾式法にてトリメチルシリル処理を行った平均一次粒子径12nmの疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル R812)の凝集体で、これをメタノールに分散した溶液の形態で使用した。
また、無機バインダー4aは、テトラエトキシシランとトリエトキシエポキシシランを混合した液に0.02N塩酸とメタノールを加えて加水分解させて作製したシリカゾル溶液の形態で使用した。
そして、前記微粒子4bのメタノール分散液と前記シリカゾル溶液とを混合し、メタノールで希釈して、付着防止層4用コーティング液を調製した。混合比は、固形分の重量比が1:1となる量である。また、希釈は、付着防止層4用コーティング液の固形分が6質量%となるように希釈した。
そして、この付着防止層4用コーティング液を前記シーラント層3上にグラビアコーティング法に塗布し、加熱乾燥して、テトラエトキシシランを互いに反応させて無機皮膜を生成することにより、前記付着防止層4を形成した。その塗布量は、ウェットで15g/mである。なお、微粒子4bの平均2次粒子径は1μmである。
(実施例4)
この例は、微粒子4bとして、平均2次粒子径が50μmの疎水性シリカ微粒子を使用した例である。
すなわち、微粒子4bとして、乾式法にてトリメチルシリル処理を行った平均一次粒子
径20nmの疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル NX90G)の凝集体を使用した外は、実施例3と同様に撥液性シーラントフィルムを製造した。なお、微粒子4bの平均2次粒子径は50μmである。
(比較例1)
この例は、微粒子4bとして、平均2次粒子径が90nmの疎水性シリカ微粒子を使用した例である。
すなわち、微粒子4bとして、乾式法にてトリメチルシリル処理を行った平均一次粒子径12nmの疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル NX90G)の凝集体を使用した外は、実施例1と同様に撥液性シーラントフィルムを製造した。なお、微粒子4bの平均2次粒子径は90nmである。
(比較例2)
この例は、微粒子4bとして、平均2次粒子径が110μmの疎水性シリカ微粒子を使用した例である。
すなわち、微粒子4bとして、乾式法にてジメチルポリシロキサン処理を行った平均一次粒子径12nmの疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル RY50)の凝集体を使用した外は、実施例1と同様に撥液性シーラントフィルムを製造した。なお、微粒子4bの平均2次粒子径は110μmである。
(比較例3)
この例は、微粒子4bとして、平均2次粒子径が120μmの疎水性シリカ微粒子を使用した例である。
この例は、次の2点を除いて、実施例1と同様である。
すなわち、まず、微粒子4bとして、乾式法にてトリメチルシリル処理を行った平均一次粒子径20nmの疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル NX90G)の凝集体を使用した。
また、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールとの混合液と微粒子4bのメタノール分散液との混合比を、固形分の重量比が1:1となる量とした。
(評価)
各実施例及び比較例の撥液性シーラントフィルムを、印刷画像の見易さと内容物付着性との2つの観点から評価した。
まず、印刷画像の見易さについては、印刷インキ皮膜2周囲のガスバリア性基材1の全光線反射率及び直進(5°)反射率を測定し、これに加えて印刷インキ皮膜2の印刷画像の視認性の点から評価した。
全光線反射率及び直進(5°)反射率は、島津製作所社製UV2450によって測定した。
また、視認性は、撥液性シーラントフィルムを照明光が真上からあたる状態に置き、その反射光が直接あたる角度から 印刷面を目視確認し、視認性を以下の基準で評価した。A:ガスバリア性基材1による反射光が少なく、印刷画像がはっきり読める。
B:ガスバリア性基材1による反射光のため、印刷画像が読みにくい。
C;ガスバリア性基材1による反射光が強く、印刷画像が読めない。
D;撥液性シーラントフィルムの全面が白濁して、印刷画像が薄く読みにくい。
E;撥液性シーラントフィルムの白濁が強く、全く印刷が見えない。
また、内容物付着性については、各撥液性シーラントフィルムの水接触角及び水転落角を測定して評価した。水接触角が大きい方が親水性物質の付着を防止する性能が高い。また、水転落角が小さい方がその付着防止性能が高い。
これらの結果を表1に示す。
この結果から分かるように、微粒子4bの平均二次粒子径100nm〜100μmである場合(実施例1〜4)では、印刷画像がはっきり読め、また、親水性物質の付着防止性能が高い。
これに対し、微粒子4bの平均二次粒子径が100nmより小さい場合(比較例1)には、ガスバリア性基材1による反射光を付着防止層が散乱しないために、その反射光が強く、眩しくて印刷画像が読めない。また、水接触角が小さく、水転落角が大きいことから、その付着防止性能が劣ることが理解できる。
一方、微粒子4bの平均二次粒子径が100μmより大きい場合(比較例2,3)には、ガスバリア性基材1による反射光を付着防止層が強く散乱するため、撥液性シーラントフィルムの白濁が強く、印刷画像が読めない。また、平均二次粒子径が120μmになると(比較例3)、その付着防止性能が大きく低下する。
10:撥液性シーラントフィルム
1:ガスバリア性基材
2:印刷インキ皮膜
3:シーラント層
4:付着防止層 4a:無機バインダー 4b:微粒子

Claims (8)

  1. ガスバリア性基材、印刷インキ皮膜、シーラント層、付着防止層をこの順に備える撥液性シーラントフィルムであり、かつ、前記ガスバリア性基材が金属箔又は金属蒸着層を含んでいる撥液性シーラントフィルムであって、
    前記付着防止層が平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を含有することを特徴とする撥液性シーラントフィルム。
  2. ガスバリア性基材、シーラント層、印刷インキ皮膜、付着防止層をこの順に備える撥液性シーラントフィルムであり、かつ、前記ガスバリア性基材が金属箔又は金属蒸着層を含んでいる撥液性シーラントフィルムであって、
    前記付着防止層が平均二次粒子径100nm〜100μmの微粒子を含有することを特徴とする撥液性シーラントフィルム。
  3. 前記微粒子が、平均一次粒子径10〜100nmの凝集体で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥液性シーラントフィルム。
  4. 前記微粒子が金属酸化物から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性シーラントフィルム。
  5. 前記微粒子の表面が疎水処理されていることを特徴とする請求項4に記載の撥液性シーラントフィルム。
  6. 前記付着防止層の微粒子がバインダーによって固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性シーラントフィルム。
  7. 前記バインダーが無機バインダーであることを特徴とする請求項6に記載の撥液性シーラントフィルム。
  8. 前記付着防止層が前記シーラント層に接して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の撥液性シーラントフィルム。
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