本発明に係るコンバインの一例について説明する。まずは、コンバインの全体構造について簡単に説明する。次に、そのコンバインに装備された脱穀装置、選別装置、及び、細断装置について説明し、その後で、それらの動力伝動機構について説明する。
[コンバインの全体構造]
図1〜3は、それぞれ、本実施形態のコンバイン100の左側面、右側面、及び平面を示す。図中には、コンバイン100の前後方向、左右方向、及び、上下方向を矢印で示している。コンバイン100は、走行装置1と、刈取装置2と、脱穀装置3と、選別装置4と、貯留装置5と、動力装置6とを備える。更に、本実施形態のコンバイン100は、外部へ排出する脱穀処理物である排稈を細断するための細断装置7を備えている。
走行装置1は、機体フレーム10の下方に設けられている。走行装置1は、トランスミッション11と、左右一対に設けられたクローラ装置12とを有する。トランスミッション11は、機体フレーム10に搭載されたエンジン61の動力をクローラ装置12に伝達する。クローラ装置12は、コンバイン100を前後方向に走行させたり、コンバイン100を左右方向に旋回させたりする。
刈取装置2は、走行装置1の前方に設けられている。刈取装置2は、リール21と、カッター(刈刃)22と、オーガ(横送りスクリュー)23と、搬送コンベア24と、ロータ25(図4参照)とを有する。リール21は、回転することによって圃場の穀稈をカッター22へ案内する。カッター22は、リール21によって案内された穀稈を切断する。オーガ23は、カッター22によって切断された穀稈を所定の位置に集合させる。搬送コンベア24は、オーガ23によって集合させた穀稈をロータ25まで搬送する。ロータ25は、搬送コンベア24が搬送してきた穀稈を脱穀装置3へ送り込む。
脱穀装置3は、刈取装置2の後方に設けられている。脱穀装置3は、扱胴31を収容する扱室30と、扱胴軸311を中心に回転する扱胴31と、扱胴31を下方から覆う受網32(図4参照)とを有する。脱穀装置3の左側には、扱胴31の左側方をカバーするサイドカバー33が取り付けられている。扱胴31は、回転することによって穀稈を脱穀しながら後方へ搬送する。受網32は、扱胴31によって搬送される穀稈を支持するとともに、脱穀物を選別装置4へ落下させる。扱胴31の下方には、穀粒搬送用のスクリューコンベアである一番コンベア143と二番コンベア144(図4参照)とが設けられている。これらは、いずれも脱穀処理された穀粒を水平方向に搬送する。
選別装置4は、脱穀装置3の下方に設けられている。選別装置4は、扱胴31から落下した脱穀物を選別する揺動選別体41と、送風装置である唐箕42とを有する。揺動選別体41は、脱穀物をふるいにかけて穀粒を選別する。揺動選別体41で選別された穀粒は、一番コンベア143と揚穀コンベア151とによって搬送され、投入口153を介してグレンタンク51に投入される。唐箕42は、脱穀物に含まれる藁屑などの夾雑物を吹き飛ばす。藁屑などの夾雑物は、選別装置4の後方に設けられた細断装置7によって細断され、排稈口721から外部へ排出される。
貯留装置5は、脱穀装置3及び選別装置4の右側方に設けられている。したがって、脱穀装置3及び選別装置4と、貯留装置5とは、走行装置1の上方で左右に並列配置される。貯留装置5は、穀粒を貯留するためのグレンタンク51を備える。グレンタンク51は、選別装置4から一番コンベア143及び揚穀コンベア151を介して搬送されてきた穀粒を貯留する。グレンタンク51内の穀粒を排出する際には、排出オーガ52が用いられる。排出オーガ52は、上下左右方向に回動自在に構成されており、穀粒を任意の場所に排出することができる。
動力装置6は、運転部13の下方で且つ貯留装置5の前方に設けられている。動力装置6は、エンジン61で構成されている。本実施形態のエンジン61は、ディーゼルエンジンであり、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。より具体的に説明すると、エンジン61は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを、走行装置1など各部を駆動する動力に変換する。動力装置6は、電気によって動力を発生させる電動モータであっても構わない。また、動力装置6はエンジン61と電動モータの双方を備えていてもよい。
運転部13は、グレンタンク51の前方で機体フレーム10の右側前部に設けられている。運転部13には、オペレータが着席する運転座席14や、その運転座席14の前方に配置された操向ハンドル15が設置され、それらの周囲に変速レバーやクラッチレバー、スイッチ類など種々の操作具が配置されている。
[脱穀装置]
既述のように、脱穀装置3は、扱室30と、扱胴31と、受網32とを有する。図4に示すように、扱室30は、受網32、機枠300、上部カバー301、及び、穀稈案内部材302などによって区画形成されている。機枠300は、扱胴31の前方に配置された前壁部材303と、扱胴31の後方に配置された後壁部材304と、扱胴31の右側方に配置された右側壁部材305とを含む。上部カバー301は、扱胴31を上方から覆うように配置され、機枠300に対して開閉可能に取り付けられている。穀稈案内部材302は、後方に向かって上方へ傾斜する姿勢で設けられ、ロータ25により送り込まれた穀稈を受網32に案内する。
扱胴31は、前後方向に沿って延びた扱胴軸311と、掻き込みスクリュー312と、ツースバー(扱歯支持部材)313とを有する。扱胴31の駆動軸である扱胴軸311には、後述する伝動構造によってエンジン61からの回転動力が伝達される。掻き込みスクリュー312は、扱胴31の前部に配置され、その掻き込みスクリュー312の後方に、扱胴軸311を中心として複数のツースバー313が並列に配置されている。
扱胴軸311は、直線状に形成された構造体であり、掻き込みスクリュー312と複数のツースバー313とを支持する。扱胴軸311は、扱室30を形成する前壁部材303及び後壁部材304によって回転自在に支持されている。また、扱胴軸311の前端部は、前壁部材303から前方に突出しているとともに、扱胴軸311の後端部は、後壁部材304から後方に突出している。即ち、扱胴軸311は、その両端部を扱室30よりも前後方向に突出させている。
掻き込みスクリュー312は、螺旋状のインペラ(掻き込み羽根)312bが着脱可能に形成された構造体である。掻き込みスクリュー312は、ロータ25によって送り込まれてきた穀稈を掻き込む。つまり、掻き込みスクリュー312は、回転することにより、ロータ25によって送り込まれてきた穀稈を取り込んで後方へ送り出す。掻き込みスクリュー312は、螺旋状のインペラ312bが形成された構造に限られず、複数のブレードが形成された構造でも構わない。
ツースバー313は、複数の扱歯313tが所定の間隔を設けて平行に配置された構造体である。ツースバー313は、掻き込みスクリュー312が送り出した穀稈を脱穀する。つまり、ツースバー313は、回転することにより、掻き込みスクリュー312が送り出した穀稈を揉み込み、また打撃して脱穀物を落とす。扱胴31で脱穀処理された穀稈の一部や塵などは、扱胴31の後方に流下し、脱穀装置3の後方から排出される。ツースバー313は、複数の扱歯313tを有する構造に限られず、螺旋状のブレードを有する構造でもよい。本実施形態では、複数のツースバー313と、各ツースバー313同士に亘って設けられる複数の板部材314とにより、扱胴31の内部空間と扱胴31の外部空間とを隔てて全体として円筒状をなす回転体を構成しているが、これに代えて、円筒形状の回転体に複数の扱歯313tを備えた構造としてもよい。
受網32は、主に網体321によって構成されている。本実施形態では、複数のツースバー313によって構成される回転体の下方を覆うように、網体321が設けられている。網体321は、所定の間隔で平行にワイヤを張り巡らせた構造体である。網体321は、ツースバー313によって揉み込まれる穀稈を支持する。また、網体321は、その隙間から脱穀物を選別装置4へ落下させる。網体321の左端部と右端部は、機枠300に対して着脱自在に支持されている。
[選別装置]
既述のように、選別装置4は、揺動選別体41と、唐箕42とを備える。図4に示すように、揺動選別体41は、フィードパン411と、チャフシーブ412と、ストローラック413とを有し、これらが互いに連接されている。本実施形態では、フィードパン411の後方にチャフシーブ412が配置されており、そのチャフシーブ412の後方にストローラック413が配置されている。揺動選別体41の下方には、左右方向に延びた揺動軸41aの回転に連動して揺動選別体41を前後に揺動する偏心カム式の揺動駆動機構410が設けられている。揺動選別体41の駆動軸である揺動軸41aには、後述する伝動構造によって回転動力が伝達される。
フィードパン411は、広く平らに形成された構造体である。フィードパン411は、受網32から落下してきた脱穀物を受け止める。また、フィードパン411は、前後に揺動することにより、フィードパン411上の脱穀物を均しながら後方に移動させる。このとき、脱穀物は、斜めに取り付けられたフィン411fによって左右方向にも満遍なく広げられる。
チャフシーブ412は、複数のシーブプレート412pが所定の間隔を設けて平行に取り付けられた構造体である。シーブプレート412pの角度は変更可能に構成されている。チャフシーブ412は、前後に揺動することにより、フィードパン411から送られてきた脱穀物をふるいにかける。これにより、脱穀物に混入している夾雑物を浮き上がらせ、穀粒と分離することができる。こうして、チャフシーブ412は、脱穀物から穀粒の選別(「精選別」)を行う。精選別後の脱穀物(穀粒のみを含む「一番処理物」)は、ふるい網415を通った後に、第一流穀板431で案内されて一番樋43へ落下し、一番コンベア143で右側方へと搬送される。一番コンベア143は、左右方向に延びた一番スクリュー軸143aの回転に伴って穀粒を搬送する。一番コンベア143の駆動軸である一番スクリュー軸143aには、後述する伝動構造によって回転動力が伝達される。チャフシーブ412の上に残った脱穀物は、後方に移動してストローラック413へ送られる。
ストローラック413は、複数のラックプレート413pが所定の間隔を設けて平行に取り付けられた構造体である。ストローラック413は、前後に揺動することにより、チャフシーブ412から送られてきた脱穀物をふるいにかける。これにより、脱穀物に混入している比較的大きな夾雑物を支持して、穀粒と分離することができる。こうして、ストローラック413は、脱穀物から穀粒の選別(「精選別」)を行う。精選別後の脱穀物(穀粒と少数の小さな夾雑物を含む「二番処理物」)は、第二流穀板441で案内されて二番樋44へ落下する。二番樋44に落下した脱穀物は、二番コンベア144で右側方へと搬送され、選別装置4の前端側に還元搬送されて、再度の選別処理に供される。二番コンベア144は、左右方向に延びた二番スクリュー軸144aの回転に伴って穀粒を搬送する。二番コンベア144の駆動軸である二番スクリュー軸144aには、後述する伝動構造によって回転動力が伝達される。ストローラック413の上に残った脱穀物は、後方に移動して外部へ排出される。
唐箕42は、揺動選別体41の前部下方に配置され、揺動選別体41に向かって選別風を供給する。唐箕42は、ファン部421と、ケース部422とを備える。本実施形態では、フィードパン411の下方にファン部421が配置され、そのファン部421を覆うようにケース部422が配置されている。ファン部421は、左右方向に延びた唐箕軸42aによって軸支されている。ファン部421は、唐箕軸42aを中心に回転する。唐箕42の駆動軸である唐箕軸42aには、後述する伝動構造によってエンジン61からの回転動力が伝達される。
ファン部421は、複数のファンプレート421pが所定の角度で取り付けられた構造体である。ファン部421は、チャフシーブ412やストローラック413に向けて風を送り、夾雑物を吹き飛ばす。つまり、ファン部421は、回転して風を送り出すことにより、チャフシーブ412やストローラック413に載った藁屑、及び、それらから落下した藁屑などを吹き飛ばす。これによって、脱穀物に混入している比較的小さな夾雑物を分離できる。こうして、ファン部421は、脱穀物から穀粒の選別を行う。選別後の脱穀物(穀粒のみを含む)は、第一流穀板431で案内されて一番樋43へ落下する。若しくは、選別後の脱穀物(穀粒と少数の小さな夾雑物を含む)は、第二流穀板441で案内されて二番樋44へ落下する。
ケース部422は、板材を折り曲げて形成された構造体である。ケース部422は、ファン部421を覆うとともに、そのファン部421が送り出した風を所定の方向へ案内する。より具体的に説明すると、ケース部422は、ファン部421が送り出した風を所定の方向へ案内する。
[細断装置]
選別装置4の後方には、脱穀装置3や選別装置4から搬出された藁屑などの排稈を細断して外部へ排出する細断装置7が設けられている。細断装置7は、扱室30の後方下部で排稈を細断するチョッパ71と、チョッパ71を覆うチョッパフード72と、チョッパフード72の後方に設けられた排稈口カバー73とを有する。
チョッパ71は、左右方向に延びたチョッパ軸71aと、複数の回転刃71bとを備える。複数の回転刃71bは、チョッパ軸71aの長手方向となる左右方向と、チョッパ71の回転方向に沿った周方向とに、所定の間隔を設けて配置されている。チョッパ71は、チョッパ軸71aを中心に回転する。チョッパ71の駆動軸であるチョッパ軸71aには、後述する伝動構造によって回転動力が伝達される。チョッパ71の回転方向は、左側から見て反時計回りである。
チョッパフード72には、後方に向けて開口した排稈口721が形成されており、細断された排稈は、この排稈口721を通じて排出される。チョッパフード72には、チョッパ71の下方に配置された複数の固定刃72bが支持されている。複数の固定刃72bは、左右方向に所定の間隔を設けて且つ左右方向で回転刃71bと互い違いとなるように配置されている。チョッパフード72の上方には、後述するギアケース318cが載置される台座9を設けている。台座9は、機枠300の後部に取り付けられている。本実施形態では、台座9が箱状の部材であるが、これに限定されない。
排稈口カバー73は、後方に向かって下方に傾斜した天板731と、左右一対で設けられた側板732と、その一対の側板732の間に配置された複数の案内板733とを備える。天板731と一対の側板732とは、排稈口721の外周縁部を覆うように設けられており、排稈口カバー73の下部及び後部は開放されている。案内板733は、後方に向かって右側に傾斜した姿勢で設けられている。これにより、排稈口721から排出された排稈は、下方へ向けて且つ右斜め後ろに向けて案内される。
[動力伝動機構]
図5に示すように、本実施形態のコンバイン100は、扱胴31の前方で扱胴軸311に連動連結された扱胴入力軸315と、扱胴31の後方で扱胴軸311に連動連結された扱胴出力軸316と、扱胴入力軸315にエンジン61からの回転動力を伝達する第1動力伝動機構810と、唐箕軸42aよりも後方に位置する駆動軸に扱胴出力軸316からの回転動力を伝達する第2動力伝動機構820とを備える。
第1動力伝動機構810は、エンジン61からの回転動力を扱胴入力軸315に伝達する。本実施形態では、第1動力伝動機構810が、伝動ベルト81bを介して回転動力を伝達するベルト伝動機構81である例を示す。ベルト伝動機構81は、脱穀装置3及び選別装置4の右側で扱胴入力軸315と第1カウンタ軸45とに亘って設けられている。即ち、扱胴入力軸315と第1カウンタ軸45とに亘って伝動ベルト81bが架け渡されている。エンジン61からの回転動力は、エンジン61の出力軸61aからベルト伝動機構83を介して第1カウンタ軸45の右端部に伝達され、ベルト伝動機構81によって扱胴入力軸315の右端部に伝達される。ベルト伝動機構83には、伝動ベルト83bを緊張または弛緩させて動力を接続または切断する脱穀クラッチ83cが備えられている。
扱胴入力軸315は、左右方向に沿って延びており、その左端部が扱胴軸311の前端部に連動連結されている。扱胴入力軸315は、ギアケース317c(図4では図示していない)で覆われたベベルギア機構317を介して扱胴軸311に連動連結されている。扱胴軸311の前端部と、扱胴入力軸315の左端部とは、それぞれギアケース317cに回転自在に支持されている。扱胴入力軸315に伝達された回転動力がベベルギア機構317を介して扱胴軸311に伝達されることにより、扱胴31が回転する。
上記のように、本実施形態では、扱胴入力軸315の左端部を扱胴軸311の前端部に連動連結している。しかし、これに限定されず、扱胴入力軸315の右端部を扱胴軸311の前端部に連動連結させてもよい。その場合、第1動力伝動機構810は、扱胴31の左側に配置され、第1カウンタ軸45の左端部から取り出した回転動力を扱胴入力軸315の左端部に伝達するように設けられる。このように、扱胴入力軸315は、扱胴軸311の右側と左側のどちらに配置されていても構わない。いずれの場合であっても、エンジン61からの回転動力は第1カウンタ軸45に伝達され、その第1カウンタ軸45から取り出された回転動力が扱胴入力軸315に伝達される。
唐箕42は、唐箕軸42aを中心に回転する。唐箕軸42aは、中空のパイプ軸で形成されており、第1カウンタ軸45に対して相対回転可能に外嵌されている。第1カウンタ軸45の左端部に伝達された動力は、第1カウンタ軸45の前方に配置された第2カウンタ軸46の左端部にベルト伝動機構88を介して伝達される。そして、その第2カウンタ軸46の左端部に伝達された動力がベルト伝動機構89を介して唐箕軸42aに伝達されることにより、唐箕42が回転する。第2カウンタ軸46は、機枠300に支持された支持軸47により回転可能に支持されている。
第2動力伝動機構820は、唐箕軸42a(及び第1カウンタ軸45)よりも後方に位置する駆動軸に扱胴出力軸316からの回転動力を伝達する。本実施形態では、第2動力伝動機構820によって回転動力が伝達される駆動軸が、脱穀装置3の扱室30の後方下部で排稈を細断するチョッパ71の駆動軸(即ち、チョッパ軸71a)である例を示す。また、本実施形態では、第2動力伝動機構820が、伝動ベルト82bを介して回転動力を伝達するベルト伝動機構82である例を示す。ベルト伝動機構82は、扱胴出力軸316とチョッパ軸71aとに亘って設けられている。即ち、扱胴出力軸316とチョッパ軸71aとに亘って伝動ベルト82bが架け渡されている。
図5及び6に示すように、扱胴出力軸316は、左右方向に沿って延びており、その右端部が扱胴軸311の後端部に連動連結されている。扱胴出力軸316は、ギアケース318c(図4では図示していない)で覆われたベベルギア機構318を介して扱胴軸311に連動連結されている。扱胴軸311の後端部と、扱胴出力軸316の右端部とは、それぞれギアケース318cに回転自在に支持されている。ギアケース318cは、機枠300の後部に取り付けられた台座9に支持されているが、脱穀装置3の機枠300に支持されていてもよい。扱胴軸311に伝達された回転動力は、ベベルギア機構318を介して扱胴出力軸316に伝達され、ベルト伝動機構82によってチョッパ軸71aの左端部に伝達される。
このように、本実施形態のコンバイン100では、扱胴31の後方で扱胴軸311に連動連結されている扱胴出力軸316から回転動力を取り出し、それをチョッパ軸71aに伝達する。そのため、唐箕軸または第1カウンタ軸から回転動力を取り出してチョッパ軸に伝達する伝動構造(例えば、特許文献1参照)に比べて、チョッパ軸71aに回転動力を伝達する第2動力伝動機構820の長さを小さくできる。その結果、伝動ベルト82bの長さが小さくなり、伝動ベルト82bの側面摩耗を抑制できるとともに、伝動ベルト82bがプーリ316pまたはプーリ71pから外れることを防止できる。
図6に示すように、ベルト伝動機構82の伝動ベルト82bは、扱胴出力軸316のプーリ316pとチョッパ軸71aのプーリ71pとの間に巻回されている。本実施形態では、扱胴出力軸316のプーリ316pが、チョッパ軸71aのプーリ71pよりも大径であるため、チョッパ71をより高速で回転させて、排稈の細断を効率的に行うことができる。
第2動力伝動機構820は、伝動ベルト82bに張力を付与するテンションプーリ821を有する。テンションプーリ821により伝動ベルト82bに適度な張力を付与することで、プーリ316p及びプーリ71pに対する伝動ベルト82bの空回りを防ぎ、回転動力の伝達を安定させることができる。テンションプーリ821は、台座9に取り付けられた揺動アーム822の先端に軸支されているとともに、スプリング823の引張力により伝動ベルト82bに向けて付勢されている。テンションプーリ821は、このように台座9に支持されているが、脱穀装置3の機枠300に支持されていてもよい。ギアケース318c及びテンションプーリ821は共に、機枠300に支持されている、または台座9に支持されていてもよい。これらを共通の部材で支持することにより、組付時に同一工程で容易に組み付け作業を行うことができる。
本実施形態では、第1カウンタ軸45の左端部から取り出された回転動力が、揺動軸41a、一番スクリュー軸143a及び二番スクリュー軸144aに伝達される。より具体的には、第1カウンタ軸45に伝達された回転動力が、ベルト伝動機構84を介して一番スクリュー軸143a及び二番スクリュー軸144aに伝達され、その二番スクリュー軸144aに伝達された回転動力が、ベルト伝動機構85を介して揺動軸41aに伝達される。ベルト伝動機構84の伝動ベルト84bは、第1カウンタ軸45と、一番スクリュー軸143aと、二番スクリュー軸144aとに亘って架け渡されている。ベルト伝動機構85の伝動ベルト85bは、二番スクリュー軸144aと揺動軸41aとに亘って架け渡されている。
本実施形態では、扱胴出力軸316から取り出した回転動力をチョッパ軸71aのみに伝達する例を示したが、これに限られるものではなく、チョッパ軸71aに代えて、またはチョッパ軸71aに加えて、揺動軸41a、一番スクリュー軸143a及び二番スクリュー軸144aの何れか1つ以上を対象にしてもよい。つまり、第2動力伝動機構820によって回転動力が伝達される駆動軸は、チョッパ軸71a、揺動軸41a、及び、扱胴31の下方に配置された穀粒搬送用のスクリューコンベアの駆動軸(即ち、一番スクリュー軸143a及び二番スクリュー軸144a)のうち、少なくとも1つを含むことができる。
例えば、図7に示す別実施形態によれば、扱胴出力軸316から取り出した回転動力が、第2動力伝動機構820によってチョッパ軸71aと揺動軸41aとに伝達される。この第2動力伝動機構820は、扱胴出力軸316から取り出した回転動力をチョッパ軸71aに伝達するベルト伝動機構82と、同じく揺動軸41aに伝達するベルト伝動機構86とを含む。ベルト伝動機構86の伝動ベルト86bは、扱胴出力軸316と揺動軸41aとに亘って架け渡されている。ベルト伝動機構86で用いるプーリの径は、所要の回転差や駆動力に応じて適宜に設定される。図5のベルト伝動機構85をベルト伝動機構86に代えた点を除けば、前述の実施形態と同様であるため、その他の説明は省略する。
図8に示した別実施形態においても、扱胴出力軸316から取り出した回転動力が、第2動力伝動機構820によってチョッパ軸71aと揺動軸41aとに伝達される。この第2動力伝動機構820は、扱胴出力軸316から取り出した回転動力をチョッパ軸71aに伝達するベルト伝動機構82と、同じく揺動軸41aに伝達するベルト伝動機構87とを含む。ベルト伝動機構87の伝動ベルト87bは、チョッパ軸71aと揺動軸41aとに亘って架け渡されている。ベルト伝動機構87で用いるプーリの径は、所要の回転差や駆動力に応じて適宜に設定される。その他の構成は、図7の実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
扱胴31の長さが大きい場合には、唐箕軸42a(または第1カウンタ軸45)からチョッパ軸71aまでの距離だけでなく、唐箕軸42a(または第1カウンタ軸45)から揺動軸41aまでの距離も相当に長くなるため、図7や図8の実施形態のように、扱胴出力軸316から取り出した回転動力をチョッパ軸71aとともに揺動軸41aに伝達する構成が有用である。
また、更に別の実施形態として、扱胴出力軸316から取り出した回転動力を、一番スクリュー軸143a及び二番スクリュー軸144aに伝達することも可能である。その場合、例えば、揺動軸41aと、一番スクリュー軸143aと、二番スクリュー軸144aとに亘ってベルト伝動機構が設けられる。その揺動軸41aには、上記の如きベルト伝動機構86またはベルト伝動機構87を介して、扱胴出力軸316から取り出した回転動力を伝達することができる。
本実施形態では普通型コンバインの例を示したが、これに限られず、本発明は自脱型コンバインであってもよい。
本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。