JP2019026665A - グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
・直射日光にさらされても変色しにくいこと(耐候性)。
・塗装と同等の良好な発色性を有すること(発色性)。
・傷が付きにくい、または傷が目立ちにくいこと(耐傷付き性)。
耐傷付き性の良好な成形品としては、ゴム質重合体の割合を低くして成形品の表面を硬くしたもの、潤滑剤(シリコーンオイル、オレフィンワックス等)を添加して成形品の表面の滑り性を良くしたもの、摺動性の高いグラフトを添加するもの等が知られている。
(1)特定のゲル含有量を有する架橋オレフィン樹脂に、スチレン等の芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物を重合したグラフト共重合体(特許文献1)。
(2)特定のゲル含有量を有する架橋エチレン・α−オレフィン共重合体の存在下に芳香族ビニルとシアン化ビニルとを含む単量体混合物をグラフト重合したグラフト共重合体と、ガラス転移温度が135℃以下であるメタクリル酸エステル樹脂と、メタクリル酸メチルを95質量部以上含む単量体成分を重合したメタクリル酸からなる熱可塑性樹脂組成物(特許文献2)。
しかしながら、特許文献2に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品においては、タオルによる擦り傷が付きやすく、耐傷付き性に劣るため、用途に制限があった。
[1] エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を含むビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたグラフト共重合体であって、
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)をパルスNMRにより30℃で測定したときに、スピン−スピン緩和時間が異なる成分が複数検出され、前記複数の成分のうち、スピン−スピン緩和時間が最も長い成分(α)とスピン−スピン緩和時間が2番目に長い成分(β)との、下記式(1)で表されるスピン−スピン緩和時間の平均値(T2ave.)が270μs以下である、グラフト共重合体。
1/T2ave.={AM(α)/T2(α)+AM(β)/T2(β)}/{AM(α)+AM(β)} ・・・(1)
(式(1)中、「AM(α)」はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が有する水素原子の総数を100mol%としたときの、成分(α)が有する水素原子の割合[mol%]であり、「T2(α)」は成分(α)のスピン−スピン緩和時間[μs]であり、「AM(β)」はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が有する水素原子の総数を100mol%としたときの、成分(β)が有する水素原子の割合[mol%]であり、「T2(β)」は成分(β)のスピン−スピン緩和時間[μs]である。)
[2] [1]に記載のグラフト共重合体と、
メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体成分(m2)の重合体であるメタクリル酸エステル樹脂と、
を含む、熱可塑性樹脂組成物。
[3] [2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた、成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性、耐候性、発色性および耐傷付き性に優れる成形品が得られる。
本発明の成形品は、耐衝撃性、耐候性、発色性および耐傷付き性に優れる。
なお、以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「成形品」とは、熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものを意味する。
「明度(L*)」とは、JIS Z 8729において採用されているL*a*b*表色系における色彩値のうちの明度の値(L*)を意味する。
「SCE方式」とは、JIS Z 8722に準拠した分光測色計を用い、光トラップによって正反射光を除去して色を測る方法を意味する。
本発明のグラフト共重合体(以下、「グラフト共重合体(A)」ともいう。)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたものである。換言すれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)部分と、ビニル系単量体成分(m1)の重合体であるビニル系重合体部分とからなる。
なお、グラフト共重合体(A)においては、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下にビニル系単量体成分(m1)がどのように重合しているか、特定することは困難である。例えば、ビニル系単量体成分(m1)が重合したビニル系重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に結合したものと、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に結合していないものとが存在する。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に結合したビニル系重合体の分子量、構成単位の割合等を特定することも困難である。すなわち、グラフト共重合体(A)をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的でないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。したがって、本発明においては、グラフト共重合体(A)は「エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの」と規定することがより適切とされる。
以下、各成分について説明する。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを公知の重合方法によって共重合することによって得られた、エチレン単位とα−オレフィン単位とを含む共重合体である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、非共役ジエン単位をさらに含んでもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)をパルスNMRで測定すると、T2が異なる成分が複数検出される。具体的には、T2が最も長い成分(α)と、T2が2番目に長い成分(β)と、T2が3番目に長い成分(γ)と、T2が3番目に長い成分(δ)の4成分が検出される。なお、成分(δ)はT2が最も短い成分に相当し、成分(γ)はT2が2番目に短い成分に相当する。
ここで、成分(α)および成分(β)のT2は、下記式(2)で表されるパルスNMRの自由誘導減衰曲線により求められる。成分(γ)および成分(δ)のT2は、下記式(3)で表されるパルスNMRの自由誘導減衰曲線により求められる。
M=M0exp(−t/T2) ・・・(2)
M=M0exp{−1/2(t/T2)2} ・・・(3)
(式(2)、(3)中、「M」は磁場の強さであり、「M0」はt=0時の磁場の強さであり、「t」は時間である。)
1/T2ave.={AM(α)/T2(α)+AM(β)/T2(β)}/{AM(α)+AM(β)} ・・・(1)
(式(1)中、「AM(α)」はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が有する水素原子の総数を100mol%としたときの、成分(α)が有する水素原子の割合[mol%]であり、「T2(α)」は成分(α)のスピン−スピン緩和時間[μs]であり、「AM(β)」はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が有する水素原子の総数を100mol%としたときの、成分(β)が有する水素原子の割合[mol%]であり、「T2(β)」は成分(β)のスピン−スピン緩和時間[μs]である。)
チーグラー・ナッタ触媒としては、遷移金属(チタン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム等)のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、架橋構造を有することが好ましい。エチレン・α−オレフィン系共重合体(a)が架橋構造を有することで、成形品の耐衝撃性がより向上する。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のT2ave.が270μs以下になりやすい。
なお、本明細書において、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を水性媒体に分散させたものを「オレフィン樹脂水性分散体(x)」ともいう。また、架橋構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を特に「架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)」ともいう。また、架橋構造を有さないエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を特に「未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)」ともいう。
オレフィン樹脂水性分散体(x)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を水性媒体に分散させたものである。
オレフィン樹脂水性分散体(x)は、その他の成分として、乳化剤、酸変性オレフィン重合体等を含有してもよい。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中の乳化剤の含有量は、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱着色を抑制でき、オレフィン樹脂水性分散体(x)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の粒子径制御が容易である点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して1〜8質量部が好ましい。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中の酸変性オレフィン重合体の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。酸変性オレフィン重合体の添加量が前記範囲内であれば、成形品の耐傷付き性と耐衝撃性のバランスがさらに優れる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体との混合方法は、限定されない。混合方法としては、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等を用いた溶融混練法等が挙げられる。この場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とを混合する工程が、それらの混合物を溶融混練する工程を兼ねてもよい。
乳化剤の添加方法は、限定されない。例えば、酸変性オレフィン重合体の添加方法と同様の方法が挙げられる。また、前記(M1)または(M2)の方法において、水性媒体に乳化剤を添加する方法、前記(M2)の方法において、炭化水素溶媒に乳化剤を溶解する方法等が挙げられる。
体積平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(x)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径が、そのままグラフト共重合体(A)および後述する熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)またはこれが水性媒体に分散したオレフィン樹脂水性分散体(x)を架橋処理することにより得られる。架橋処理の方法としては、(M3)有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加して架橋処理を行う方法;(M4)多官能性化合物を添加して架橋処理を行う方法;(M5)電離性放射線によって架橋処理を行う方法等が挙げられる。中でも、成形品の耐衝撃性、発色性の点から(M3)、(M4)の方法が好ましく、(M3)の方法がより好ましい。
例えば、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加し、溶融混練し、粉砕すると、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の粉体が得られる。未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が水性媒体に分散したオレフィン樹脂水性分散体(x)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加して架橋処理すると、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散体が得られる。
加熱温度は、有機過酸化物の種類によって異なる。加熱温度は、有機過酸化物の10時間半減期温度の−5℃〜+30℃が好ましい。
加熱時間は、3〜15時間が好ましい。
ジアルキルペルオキシド化合物の具体例としては、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
多官能性化合物としては、ジビニルベンゼン、1,7−オクタジエンメタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。多官能性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸変性オレフィン重合体は、オレフィン樹脂水性分散体(x)の説明で挙げたものと同様である。酸変性オレフィン重合体の添加量は、オレフィン樹脂水性分散体(x)中の酸変性オレフィン重合体の含有量と同様に、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。
酸変性オレフィン重合体の添加方法は、限定されない。未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とを混合した後に架橋処理をしてもよいし、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とをそれぞれ架橋処理した後に混合してもよい。
未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体との混合方法は、限定されない。混合方法としては、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等を用いた溶融混練法等が挙げられる。
また、グラフト共重合体(A)が架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散体を用いて得られたものである場合、この水性分散体中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径が、グラフト共重合体(A)および後述する熱可塑性樹脂組成物中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
ビニル系単量体成分(m1)は、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を含む。ビニル系単量体成分(m1)は、必要に応じて、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体以外のビニル系単量体(他のビニル系単量体)を含んでいてもよい。
一方、シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m1)の総質量に対して、15〜40質量%が好ましく、20〜38質量%がより好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
一方、他のビニル系単量体の含有率は、ビニル系単量体成分(m1)の総質量に対して、90〜99質量%が好ましく、95〜99質量%がより好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
グラフト共重合体(A)のグラフト率は、成形品の耐衝撃性、発色性のバランスの点から、20〜100質量%が好ましい。
グラフト率は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体成分(m1)を重合して得られる。
グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)40〜80質量%の存在下に、ビニル系単量体成分(m1)20〜60質量%(ただし、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)とビニル系単量体成分(m1)の合計は100質量%である。)を重合して得られたものであることが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の割合が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性、発色性の物性バランスがさらに向上する。
有機過酸化物は、有機過酸化物と遷移金属と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤として用いるのが好ましい。
重合の際に、連鎖移動剤、乳化剤等を状況に応じて用いてもよい。
有機過酸化物としては、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、t-ブチルヒドロペルオキシドと、硫酸第一鉄と、ピロリン酸ナトリウムと、デキストロースとからなるものがより好ましい。
連鎖移動剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
連鎖移動剤の添加量は、ビニル系単量体成分(m1)100質量部に対して2.0質量部以下が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩、アミノ酸誘導体塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を有し、カチオン部にアミン塩、第4級アンモニウム塩等を有するものが挙げられる。
乳化剤の添加量は、ビニル系単量体成分(m1)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
グラフト共重合体(A)を含む水性分散体からグラフト共重合体(A)を回収する方法としては、例えば、水性分散体に析出剤を添加し、加熱、撹拌した後、析出剤を分離し、析出したグラフト共重合体(A)を水洗、脱水、乾燥する析出法が挙げられる。
析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。析出剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(A)を含む水性分散体に、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
以上説明した本発明のグラフト共重合体(A)にあっては、パルスNMR法により30℃で測定して求められる前記T2ave.が270μs以下であるエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたものである。よって、本発明のグラフト共重合体(A)は、耐衝撃性、耐候性、発色性および耐傷付き性に優れる成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物の材料として好適である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明のグラフト共重合体(A)と、メタクリル酸エステル樹脂(B)とを含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や各種添加剤等の任意成分を含んでいてもよい。
以下、各成分について説明する。
熱可塑性樹脂組成物に含まれるグラフト共重合体(A)は、上述した本発明のグラフト共重合体(A)であるため、その説明を省略する。
グラフト共重合体(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メタクリル酸エステル樹脂(B)は、メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体成分(m2)の重合体である。換言すれば、メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体成分(m2)を重合して得られた重合体である。
ビニル系単量体成分(m2)は、少なくともメタクリル酸エステルを必須成分として含む。
ビニル系単量体成分(m2)は、必要に応じて、メタクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体をさらに含んでもよい。
メタクリル酸エステル樹脂(B)は、ビニル系単量体成分(m2)を重合することによって得られる。
ビニル系単量体成分(m2)の重合方法は、限定されない。重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等)が挙げられる。
乳化剤としては、通常の乳化重合用乳化剤(ロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられる。
重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
析出法としては、水性分散体からグラフト共重合体(A)を回収するときと同様の方法を採用できる。
懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
重合開始剤としては、有機ペルオキシド類が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
(他の熱可塑性樹脂)
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド(ナイロン)等が挙げられる。
各種添加剤としては、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、染料、充填剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル等が挙げられる。
グラフト共重合体(A)の含有量は、グラフト共重合体(A)とメタクリル酸エステル樹脂(B)との合計質量に対して、10〜40質量%が好ましく、20〜31質量%がより好ましい。グラフト共重合体(A)の含有量が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性、耐候性、発色性、耐傷付き性のバランスがさらに優れる。
熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)とメタクリル酸エステル樹脂(B)、必要に応じて任意成分を混合することにより得られる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、上述した本発明のグラフト共重合体(A)と、メタクリル酸エステル樹脂(B)とを含むので、耐衝撃性、耐候性、発色性および耐傷付き性に優れる成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐傷付き性や耐候性に優れる成形品を得ることができるため、車両内外装部品での使用も可能である。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形加工して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形品は、耐衝撃性、耐候性、発色性および耐傷付き性に優れる。
成形品の用途としては、車輌内装・外装部品、事務機器、家電、建材等が挙げられ、車輌内装・外装部品が好適である。
以下に記載の「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。
<質量平均分子量(Mw)の測定方法>
GPC(GPC:Waters社製「GPC/V2000」、カラム:昭和電工株式会社製、「Shodex AT−G+AT−806MS」)を用い、o−ジクロロベンゼン(145℃)を溶媒として、ポリスチレン換算での質量平均分子量(Mw)を測定した。
JIS K 2501に準拠して酸価を測定した。
マイクロトラック(日機装株式会社製、「ナノトラック150」)を用い、測定溶媒として純水を用いて体積平均粒子径(MV)を測定した。
なお、水性媒体に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径が、そのままグラフト共重合体(A)および熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
パルス核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、「パルスNMR型式MU25」)にて、測定温度:30℃、核種:プロトン、共鳴周波数:25MHz、パルス系列:ソリッドエコー法、90度パルス幅:2.0μsec、パルス間隔:8.0μsec、パルスシーケンスの繰り返し時間:4.0sec、積算回数:16回、核種:プロトンとして測定を行い、自由誘導減衰(FID)曲線を得た。
得られた自由誘導減衰曲線を非線形最小二乗法で解析し、前記成分(α)、成分(β)、成分(γ)および成分(δ)に由来する4つの自由誘導減衰曲線に分離した。
成分(α)および成分(β)のT2を前記式(2)で表されるパルスNMRの自由誘導減衰曲線により求め、成分(α)と成分(β)とのT2の平均値(T2ave.)を前記式(1)より求めた。
グラフト共重合体(A)1gを80mLのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間加熱還流し、得られた懸濁アセトン溶液を遠心分離機(日立工機株式会社製、「CR21E」)にて14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶成分)とアセトン溶液(アセトン可溶成分)を分取した。そして、沈殿成分(アセトン不溶成分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(4)からグラフト率を算出した。なお、式(4)におけるYは、グラフト共重合体(A)のアセトン不溶成分の質量(g)、Xは、Yを求める際に用いたグラフト共重合体(A)の全質量(g)、ゴム分率は、グラフト共重合体(A)のエチレン・α−オレフィン系水性分散体(a)の固形分の含有割合である。
グラフト率(%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100 ・・・(4)
熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて射出成形し、縦100mm、横100mm、厚さ3mmの黒着色板(成形品(Ma1))を得た。
熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて射出成形し、縦80mm、横10mm、厚さ4mmのシャルピー衝撃強度測定用の成形品(成形品(Ma2))を得た。
成形品(Ma2)について、ISO 179規格に準拠して、23℃の条件でシャルピー衝撃試験(ノッチ付)を行い、シャルピー衝撃強度を測定した。
成形品(Ma1)の明度L*を、分光測色計(コニカミノルタオプティプス株式会社製、「CM−3500d」)を用い、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(ma)」とする。L*が低いほど黒色となり、発色性が良好である。
成形品(Ma1)について、アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製、「SUV−W151型」)を用い、ブラックパネル温度63℃、サイクル条件360分(照射240分、暗黒120分、切替時水シャワー有)の条件で144時間処理した。処理後の成形品(Mb)の表面の明度L*を、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*をL*(mb)とする。処理後の成形品(Mb)の耐候性の判定指標ΔL*を下記式(5)から算出した。ΔL*(mb−ma)の絶対値が大きいほど耐候性に劣る。
ΔL*(mb−ma)=L*(mb)−L*(ma) ・・・(5)
図1に示すように、先端部11が半球形に形成された棒状の治具10を用意し、先端部11に、洗車タオル(株式会社ジョイフル製、「洗車用タオル3p」)12を被せた。成形品(Ma1)13の表面に対して、棒状の治具10が直角になるように、洗車タオル12が被せられた先端部11を接触させ、先端部11を成形品(Ma1)13の表面において水平方向(図中矢印方向)に摺動させ、100回往復させた。その際、加える荷重は1kgとした。100回往復させた後、傷を付けた成形品(Mc)の表面の明度L*を、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(mc)」とする。傷を付けた成形品(Mc)の耐傷付き性(傷の目立ちやすさ)の判定指標ΔL*を下記式(6)から算出した。ΔL*(mc−ma)の絶対値が大きいほど耐傷付き性に劣り、傷が目立ちやすい。
ΔL*(mc−ma)=L*(mc)−L*(ma) ・・・(6)
<オレフィン樹脂水性分散体成分(x−1)の調製>
未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)として、エチレン・プロピレン・非共役ジエン3元共重合体(三井化学株式会社製、「タフマーTP3180」、エチレン単位の含有率:70質量%)を使用した。
未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学株式会社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mgKOH/g)20部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム5部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(株式会社池貝製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、該2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム0.6部とイオン交換水3.0部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(x−1)に分散している未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を表1に示す。
表1に示すように、乳化する際の水酸化カリウムの添加部数、イオン交換水の添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(x−2)〜(x−5)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(x−2)〜(x−5)に分散している未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を表1に示す。
<架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の調製>
オレフィン樹脂水性分散体(x−1)(未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の固形分として100部)に固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド0.5部、多官能性化合物としジビニルベンゼン1.5部を添加し、130℃で3時間反応させて、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の水性分散体を調製した。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の体積平均粒子径とT2ave.を表2に示す。
表2、3に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(x)の種類とt−ブチルクミルペルオキシドの添加量を変更した以外は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)と同様にして、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−2)〜(a−12)の水性分散体を得た。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−2)〜(a−12)体積平均粒子径とT2ave.を表2、3に示す。
なお、表2、3に示すオレフィン樹脂水性分散体(x)の添加量(部)は固形分量である。
<グラフト共重合体(A−1)の調製>
撹拌機付きステンレス重合槽に、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の水性分散体(架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の固形分として70部)を入れ、これに、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、さらに硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフルクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。次いで、スチレン23.4部とアクリロニトリル6.6部とクメンハイドロペルオキシド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行い、体積平均粒子径0.31μmのグラフト共重合体(A−1)を含む水性分散体を得た。グラフト共重合体(A−1)を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(A−1)を得た。グラフト共重合体(A−1)のグラフト率を測定したところ30%であった。また、グラフト共重合体(A−1)を用いて製造した熱可塑性樹脂組成物中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の体積平均粒子径を電子顕微鏡により確認したところ、0.31μmであった。
表4、5に示すように架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の種類を変更した以外は、グラフト共重合体(A−1)と同様にして、グラフト共重合体(A−2)〜(A−12)を得た。グラフト共重合体(A−2)〜(A−12)のグラフト率を表4、5に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽に、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−3)の水性分散体(架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の固形分として70部)を入れ、これに、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−3)の固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、さらに硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびデキストロース0.6部を仕込み、温度を73℃とした。次いで、メタクリル酸メチル29.7質量部とメチルアクリレート0.3質量部とt−ブチルハイドロペルオキシド0.34質量部を150分間連続的に添加し、重合温度を73℃に保ち乳化重合を行い、体積平均粒子径0.45μmのグラフト共重合体(A−13)を含む水性分散体を得た。グラフト共重合体(A−13)を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(A−13)を得た。グラフト共重合体(A−13)のグラフト率を測定したところ30%であった。また、グラフト共重合体(A−13)を用いて製造した熱可塑性樹脂組成物中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a−3)の体積平均粒子径を電子顕微鏡により確認したところ、0.45μmであった。
メタクリル酸エステル樹脂(B−1)として、三菱ケミカル株式会社製の「アクリペットVH5」を使用した。
メタクリル酸エステル樹脂(B−2)として、株式会社日本触媒製の「ポリイミレックス PML203」を使用した。
なお、「アクリペットVH5」および「ポリイミレックス PML203」をは、メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体成分の重合体である。
グラフト共重合体(A−3)15部、メタクリル酸エステル樹脂(B−1)85部、カーボンブラック0.8部を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(株式会社池貝製、「PCM30」)でシリンダー温度240℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化して各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐候性、耐傷付き性を評価した。結果を表6に示す。
表6、7に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製した。
得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化して各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐候性、耐傷付き性を評価した。結果を表6、7に示す。
グラフト共重合体(A−3)15部、メタクリル酸エステル樹脂(B−1)56部、メタクリル酸エステル樹脂(B−2)29部、カーボンブラック0.8部を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(株式会社池貝製、「PCM30」)でシリンダー温度240℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化して各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐候性、耐傷付き性を評価した。結果を表8に示す。
表8、9に示す配合処方に変更した以外は、実施例19と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製した。
得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化して各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐候性、耐傷付き性を評価した。結果を表8、9に示す。
従って、本発明のグラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を用いると、耐衝撃性、発色性、耐候性、耐傷付き性に優れた成形品が得られ、車輌内外装部品、事務機器、家電、建材等の用途等に適用できることがわかる。
11 先端部
12 洗車タオル
13 成形品(Ma1)
Claims (3)
- エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を含むビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたグラフト共重合体であって、
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)をパルスNMRにより30℃で測定したときに、スピン−スピン緩和時間が異なる成分が複数検出され、前記複数の成分のうち、スピン−スピン緩和時間が最も長い成分(α)とスピン−スピン緩和時間が2番目に長い成分(β)との、下記式(1)で表されるスピン−スピン緩和時間の平均値(T2ave.)が270μs以下である、グラフト共重合体。
1/T2ave.={AM(α)/T2(α)+AM(β)/T2(β)}/{AM(α)+AM(β)} ・・・(1)
(式(1)中、「AM(α)」はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が有する水素原子の総数を100mol%としたときの、成分(α)が有する水素原子の割合[mol%]であり、「T2(α)」は成分(α)のスピン−スピン緩和時間[μs]であり、「AM(β)」はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が有する水素原子の総数を100mol%としたときの、成分(β)が有する水素原子の割合[mol%]であり、「T2(β)」は成分(β)のスピン−スピン緩和時間[μs]である。 - 請求項1に記載のグラフト共重合体と、
メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体成分(m2)の重合体であるメタクリル酸エステル樹脂と、
を含む、熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた、成形品。
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