図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
(実施形態1)
<運転支援システム1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。図1に示す運転支援システム1は、自動車(以下、単に車両)で用いられるものであり、HMI(Human Machine Interface)システム2、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)ロケータ3、周辺監視センサ4、空調装置5、車両状態センサ6、車両制御ECU7、及び運転支援ECU8を含んでいる。HMIシステム2、ADASロケータ3、周辺監視センサ4、空調装置5、車両状態センサ6、車両制御ECU7、及び運転支援ECU8は、例えば車内LANに接続されているものとする。運転支援システム1を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
ADASロケータ3は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、慣性センサ、地図データを格納した地図データベース(以下、DB)を備えている。GNSS受信機は、複数の人工衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。地図DBは、不揮発性メモリであって、リンクデータ、ノードデータ、道路形状等の地図データを格納している。なお、地図データは、道路形状及び構造物の特徴点の点群からなる三次元地図を含む構成であってもよい。
ADASロケータ3は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、ADASロケータ3を搭載した自車の車両位置を逐次測位する。なお、車両位置の測位には、自車に搭載された車輪速センサから逐次出力されるパルス信号から求めた走行距離等を用いる構成としてもよい。そして、測位した車両位置を車内LANへ出力する。また、ADASロケータ3は、地図DBから地図データを読み出し、車内LANへ出力することも行う。なお、地図データは、例えば車載通信モジュールを介して自車外のサーバから取得する構成としてもよい。
周辺監視センサ4は、自車の周辺環境を監視する。一例として、周辺監視センサ4は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ4は、例えば、自車周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等のセンサである。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として運転支援ECU8へ逐次出力する。ソナー、ミリ波レーダ、LIDAR等の探査波を送信するセンサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として運転支援ECU8へ逐次出力する。
また、周辺監視センサ4として、日射量を検出する日射センサを含んでいてもよい。日射センサは、自車の例えばウインドシールド間際のインスツルメントパネル部に設けられて、自車の車室内への日射量を検出する。他にも、周辺監視センサ4として、自車の外気温を検出する温度センサを含んでいてもよい。日射センサで検出した日射量、及び自車の外気温を検出する温度センサで検出した外気温は、運転支援ECU8へ出力してもよいが、例えば車内LANへ出力すればよい。
空調装置5は、図2に示すように、主空調部50及びシート空調部51を備えており、主空調部50は、エアコンECU500、閉塞板501、開閉用モータ502、横ルーバ503、横ルーバ用モータ504、縦ルーバ505、縦ルーバ用モータ506、ブロア507、及び温度調整部508を備えている。
閉塞板501は、吹き出し口よりも風の流路の上流側でその風の流路を塞ぐための可動式の閉塞板である。開閉用モータ502は、閉塞板501を駆動するモータである。
横ルーバ503は、吹き出し口よりも風の流路の上流側であって、吹き出し口の付近に設けられている。横ルーバ503は、自車の車幅方向に延びるように形成されている複数の長板を備える。これら複数の長板は、自車の高さ方向に互いに間隔をおいて配列されている。横ルーバ503の各長板は、それぞれ車幅方向に延びたシャフトを中心に回動可能に配置されている。横ルーバ用モータ504は、横ルーバ503の各長板のシャフト駆動用のモータであって、各長板のシャフトを個別に駆動できるように例えば複数個のモータからなる。
縦ルーバ505も、吹き出し口よりも風の流路の上流側であって、吹き出し口の付近に設けられている。縦ルーバ505は、自車の高さ方向に延びるように形成されている複数の長板を備える。これら複数の長板は、車幅方向に互いに間隔をおいて配列されている。縦ルーバ505の各長板は、それぞれ自車の高さ方向に延びたシャフトを中心に回動可能に配置されている。縦ルーバ用モータ506は、縦ルーバ505の各長板のシャフト駆動用のモータであって、各長板のシャフトを個別に駆動できるように例えば複数個のモータからなる。
横ルーバ503の向きが横ルーバ用モータ504により制御されることで、その横ルーバ503の下流にある吹き出し口から吹き出される風の上下方向の向きが調整される。また、縦ルーバ505の向きが縦ルーバ用モータ506により制御されることで、その縦ルーバ505の下流にある吹き出し口から吹き出される風の左右方向の向きが調整される。
また、縦ルーバ用モータ506によって、縦ルーバ505の隣接する長板同士の間隔が、吹き出し方向に向かうほど狭くなるように各長板を回動させるとともに、横ルーバ用モータ504によって、横ルーバ503の隣接する長板同士の間隔が、吹き出し方向に向かうほど狭くなるように各長板を回動させることにより、吹き出す風の範囲を集中させる調整を行うことができる。一方、縦ルーバ505の隣接する長板同士の間隔と横ルーバ503の隣接する長板同士の間隔とが、吹き出し方向に向かうほど広くなるように各長板を回動させることにより、吹き出す風の範囲を拡散させる調整を行うこともできる。
ブロア507は、吹き出し口から吹き出される風の風量を調整する。温度調整部508は、熱交換器を備えており、吹き出し口から吹き出す風の温度を調整する。
エアコンECU500は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。エアコンECU500は、HCU20から出力された空調要求情報を取得し、取得した空調要求情報に基づいて、風向,風量,風の集中拡散,風の温度等の調整を実行する。
シート空調部51は、運転席シート内部に配置されており、運転席シートを介して、運転席シートに着座した運転手の胴体に対する空調を行う。シート空調部51も、エアコンECU500によって制御される。シート空調部51の空調の方式としては、一例として、運転席シート内部にダクトを備え、そのダクト内に冷風若しくは温風を流すことで冷却したり暖房したりする方式を用いればよい。他にも、例えば運転席シート内部に吸い込み口を備え、その吸い込み口から車室の空気を吸い込むことで冷却する方式を用いてもよい。
車両状態センサ6は、自車の走行状態,操作状態等の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ6としては、自車の車速を検出する車輪速センサ,自車のステアリングの操舵角を検出する操舵センサ,自車のアクセルペダルの開度を検出するアクセルポジションセンサ,自車のブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキ踏力センサ、自車の室温を検出する温度センサ等がある。車両状態センサ6は、検出結果を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ6での検出結果は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
車両制御ECU7は、自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU7としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU7は、自車に搭載されたアクセルポジションセンサ、ブレーキ踏力センサ、舵角センサ、車輪速センサ等の各センサから出力される検出信号を取得し、電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力する。また、車両制御ECU7は、上述の各センサの検出信号を車内LANへ出力可能である。
運転支援ECU8は、ADASロケータ3から取得した自車の車両位置及び地図データ、周辺監視センサ4から取得したセンシング情報等から、自車の周辺環境を認識する。また、運転支援ECU8は、認識した周辺環境をもとに、車両制御ECU7との連携によって自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行うことにより、自車の運転支援を行う。運転支援の一例としては、自車を自車線内に維持して走行させる支援、自車を定速走行させる支援、障害物回避のために自動減速する支援等がある。また、運転支援として、自車の加速、制動、及び操舵を車両制御ECU7に自動で行わせることで、自動運転を行わせる構成としてもよい。なお、本実施形態では、自動運転を行う場合でも、予定している自動運転区間の走行の終了、認識される周辺環境若しくは周辺監視センサ4でのセンシングの不具合等に応じて、手動運転への交代が可能であることが好ましい。
HMIシステム2は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)20、DSM(Driver Status Monitor)21、生体センサ22、表示装置23、音声出力装置24、及び操作デバイス25を備えている。HMIシステム2は、運転手からの入力操作を受け付けたり、運転手に向けて情報を提示したり、運転手の状態を監視したりする。この運転手が対象者に相当する。
DSM21は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されている。DSM21は、近赤外カメラを自車の運転席側に向けた姿勢にて、例えばインスツルメントパネルの上面に配置される。DSM21は、近赤外光源によって近赤外光を照射された運転手の頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、例えば運転手の顔向き及び/又は視線方向を、撮像画像から検出する。
DSM21は、運転手の目の開き具合等を撮像画像から抽出し、運転者の覚醒度(つまり、眠気の度合い)を検知する。このDSM21が眠気検知装置に相当する。本実施形態では、DSM21において覚醒度を0〜5の6段階の眠気の度合いに区分して検知する場合を例に挙げて説明を行う。6段階に区分される眠気の度合いは、覚醒度の高いものから順に、全く眠くなさそうな(言い換えると覚醒状態である)眠気レベル「0」,やや眠そうな眠気レベル「1」,眠そうな眠気レベル「2」,かなり眠そうな眠気レベル「3」,非常に眠そうな眠気レベル「4」,眠っている(言い換えると睡眠状態である)眠気レベル「5」とする。DSM21は、検知した眠気の度合いをHCU20へ出力する。
生体センサ22は、運転手の生体情報を計測し、計測した生体情報を、HCU20へ逐次出力する。生体センサ22は、ステアリングホイール,運転席シート等に設けるといったように自車に設ける構成としてもよいし、運転手が装着するウェアラブルデバイスに設けられる構成としてもよい。運転手が装着するウェアラブルデバイスに生体センサ22が設けられている場合には、例えば無線通信を介して、生体センサ22での計測結果をHCU20が取得する構成とすればよい。
生体センサ22としては、例えば生体情報として運転手の皮膚温を検出する温度センサを用いればよい。温度センサによる皮膚温の検出は、運転手に接触して検出する方法によって行ってもよいし、皮膚から放射される赤外線を利用することで運転手に非接触で検出する方法によって行ってもよい。また、生体センサ22としては、運転手の例えば手等の血流量を計測する血流センサを用いてもよい。血流センサは、例えばレーザードップラーフローメトリー法によって血流量を計測する構成とすればよい。
表示装置23としては、例えばコンビネーションメータ、CID(Center Information Display)、HUD(Head-Up Display)、LED、ナビゲーション装置のディスプレイ等がある。コンビネーションメータは、運転席の前方に配置される。CIDは、車室内にてセンタクラスタの上方に配置される。コンビネーションメータは、HCU20から取得した画像データに基づいて、情報提示のための種々の画像を液晶ディスプレイの表示画面に表示する。HUDは、HCU20から取得した画像データに基づく画像の光を、ウインドシールドに規定された投影領域に投影する。ウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する運転手によって知覚される。運転手は、HUDによって投影された画像の虚像を、自車前方の外界風景と重ねて視認可能となる。LEDは、インストルメントパネル,運転席足元等に設けられ、HCU20によって発光が制御される。音声出力装置24としては、例えば音声を出力するオーディオスピーカ,音を出力するブザー等がある。
操作デバイス25は、運転手が操作するスイッチ群である。例えば、操作デバイス25としては、自車のステアリングのスポーク部に設けられたステアリングスイッチ,ディスプレイを有する表示装置23と一体となったタッチスイッチ等がある。本実施形態では、操作デバイス25に、覚醒を維持するための刺激(以下、覚醒刺激)の発生を運転手が要求するためのスイッチ(以下、刺激要求スイッチ)、及び寒くなりすぎていることを申告するためのスイッチ(以下、寒さ申告スイッチ)が含まれるものとして以降の説明を行う。
HCU20は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。プロセッサがこの制御プログラムを実行することは、制御プログラムに対応する方法が実行されることに相当する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。HCU20が覚醒維持装置に相当する。なお、HCU20での処理の詳細については後述する。
<HCU20の概略構成>
続いて、図3を用いて、HCU20の概略構成について説明を行う。HCU20は、開始トリガ検知部201、変更トリガ検知部202、及び刺激制御部203を備えており、刺激制御部203は、ローテーション制御部204及びゆらぎ制御部209を備えている。また、ローテーション制御部204は、順番制御部205、急峻さ制御部206、変更周期制御部207、及び強度制御部208を備えており、ゆらぎ制御部209は、ゆらぎ周期制御部210及びゆらぎ幅制御部211を備えている。なお、HCU20が実行する機能の一部または全部を、1つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、HCU20が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
開始トリガ検知部201は、覚醒刺激を発生させるためのトリガ(以下、開始トリガ)を検知する。例えば開始トリガ検知部201は、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、これを開始トリガとして検知する。ここで言うところの閾値とは、運転手による運転操作を行う場合に、覚醒させる必要が生じる程度の眠気の度合いであって、一例としては眠気レベル「2」とすればよい。
また、開始トリガ検知部201は、操作デバイス25のうちの刺激要求スイッチで操作を受け付けた場合に、これを開始トリガとして検知する。刺激要求スイッチは、運転手が自らのタイミングで覚醒刺激を発生させたい場合に、運転手が操作を行うものとすればよい。さらに、開始トリガ検知部201は、運転支援ECU8をモニタすることにより、自動運転の自動化レベルが運転手に監視義務のないレベルから運転手に監視義務のあるレベルに切り替わることを開始トリガとして検知する構成としてもよい。
変更トリガ検知部202は、後述する刺激制御部203で覚醒刺激を発生させている状況において、運転手の寒さの高まりが推定されるトリガ(以下、変更トリガ)を検知する。この変更トリガ検知部202がトリガ検知部に相当する。例えば、操作デバイス25のうちの寒さ申告スイッチで操作を受け付けた場合に、これを変更トリガとして検知すればよい。また、生体センサ22で検出した運転手の血流量,皮膚温等が、運転手の寒さの高まりが推定される閾値以下である場合に、これを変更トリガとして検知してもよい。他にも、周辺監視センサ4のうちの日射センサで検出した日射量,自車の外気温を検出する温度センサで検出した外気温が、運転手の寒さの高まりが推定される閾値以下である場合に、これを変更トリガとして検知してもよい。また、車両状態センサ6のうちの自車の室温を検出する温度センサで検出した室温が、運転手の寒さの高まりが推定される閾値以下である場合に、これを変更トリガとして検知してもよい。
また、変更トリガ検知部202は、刺激制御部203で覚醒刺激を発生開始してからの経過時間を例えばタイマ回路等によってカウントし、この経過時間が規定時間となった場合に、これを変更トリガとして検知する構成としてもよい。ここで言うところの規定時間とは、数十分といった任意に設定可能な時間であって、例えば刺激制御部203でのそれまでの発生態様の覚醒刺激によって運転手の寒さの高まりが推定される時間を設定すればよい。
なお、変更トリガ検知部202は、運転手の寒さの高まりが推定されるトリガを検知できるのであれば、上述した以外の方法で変更トリガを検知する構成としてもよい。例えば、エージェント装置といった車両用コミュニケーション装置とのコミュニケーションにおける運転者の応答から、運転手の寒さの高まりを推定して変更トリガを検知する構成としてもよい。
刺激制御部203は、開始トリガ検知部201で開始トリガを検知した場合に、覚醒刺激を発生する刺激装置から、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させる。刺激装置としては、空調装置5を用いる。刺激制御部203は、空調装置5のエアコンECU500へ向けて空調要求情報を出力することにより作動を制御する。空調装置5から発生させる覚醒刺激は、一例として冷風といった対象者に冷感を与える冷刺激とする。
冷刺激の種類としては、冷刺激を行う人体の部位が異なる場合は、異なる種類とする。本実施形態では、空調装置5から、顔を対象部位とする冷刺激、手を対象部位とする冷刺激、及び胴体を対象部位とする冷刺激といった複数種類の覚醒刺激を発生させる。顔を対象部位とする冷刺激は、より詳しくは頬を対象部位とする冷刺激とすればよい。また、手を対象部位とする冷刺激は、片手のみを対象とする構成としても、両手を対象とする構成としてもよい。両手を対象とする場合には、左手を対象部位とする冷刺激と右手を対象部位とする冷刺激とを異なる種類の冷刺激として扱う構成としてもよいが、本実施形態では、左手を対象部位とする冷刺激と右手を対象部位とする冷刺激とを同じ種類の冷刺激として扱う場合を例に挙げて説明を行う。また、胴体を対象部位とする冷刺激は、体幹を対象部位とする冷刺激と言い換えてもよい。
一例として、顔及び手については、顔、左手、及び右手のそれぞれに風が向かうように専用の吹き出し口を車両に設け、空調装置5の主空調部50によって各吹き出し口からの冷風の風量,温度を調整することにより、顔を対象部位とする冷刺激と手を対象部位とする冷刺激との調整を行う構成とすればよい。また、胴体については、空調装置5のシート空調部51によって運転席シートを冷却する冷風の風量,温度を調整することにより、胴体を対象部位とする冷刺激の調整を行う構成とすればよい。
なお、顔及び手については、顔、左手、及び右手のそれぞれに風が向かうように専用の吹き出し口を車両に設ける構成に限らない。例えば、1つの吹き出し口に設けられた横ルーバ503及び縦ルーバ505の各長板を個別に回動させることで、1つの吹き出し口から複数の対象部位に向けて送風する構成としてもよい。
また、刺激制御部203は、前述したようにローテーション制御部204及びゆらぎ制御部209を備え、ローテーション制御部204によって、空調装置5による冷刺激の強度が複数の対象部位別に順番に強くなるように冷刺激の強度を変更させる(つまり、ローテーションさせる)。冷刺激として冷風を用いる場合には、冷刺激の強度は、風の有無、風量、風の温度等を変更することで変更する構成とすればよい。
一例としては、顔と手とについては、冷風を向かわせる対象部位が逐次変更されるように、冷風の風向を逐次変更させる一方、胴体についてはシート空調部51からの冷風による運転席シートの冷却有無を変更させることでローテーションさせればよい。なお、複数の対象部位を同時に刺激する構成とする場合には、対象部位別に風量が順番に強くなるように調整することでローテーションさせたり、対象部位別に冷風の温度が順番に低くなるように調整することでローテーションさせたりすればよい。言い換えると、冷刺激として少なくとも冷風による刺激を含み、刺激制御部203は、対象部位別の冷刺激(つまり、複数種類の冷刺激)の強度が順番に強くなるように冷刺激の有無、温度、及び風量の少なくともいずれかを変更させるローテーションを行わせる。冷刺激の強度が複数の対象部位別に順番に強くなるように冷刺激の強度を変更させるローテーションによって、それぞれの冷刺激についての慣れが生じにくく、より高い覚醒効果を得ることが可能になる。
一例として、対象部位別に風量が強くなる調整とは、対象部位別に一定以上の風量の差(例えば1m/s〜1.5m/s以上の差)が生じる調整とすればよい。以降についても、風量を風速で表す場合の例を挙げて説明を行う。冷刺激として冷風の温度を用いる場合には、対象部位別に一定以上の冷風の温度の差(例えば10℃の差)が生じる調整とすればよい。
さらに、ローテーション制御部204は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激の発生態様を変更する。言い換えると、ローテーション制御部204は、対象者の寒さの高まりが推定される場合に、胴体で感じられる冷感のより弱い発生態様に変更する。胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、ローテーションにおける冷刺激の発生態様を、胴体で感じられる冷感のより弱い発生態様に変更することで、ローテーションによってより高い覚醒効果を得つつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
また、刺激制御部203は、ゆらぎ制御部209によって、空調装置5による冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させる。ここで言うところのゆらぎとは、冷刺激の強度が、基準となる強度を中心に周期的に上下に変動する状態、若しくは冷刺激を断続的に発生させる状態を示す。対象部位別の冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させるので、それぞれの冷刺激についての慣れが生じにくく、より高い覚醒効果を得ることが可能になる。
さらに、ゆらぎ制御部209は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激の発生態様を変更する。言い換えると、ローテーション制御部204は、対象者の寒さの高まりが推定される場合に、胴体で感じられる冷感のより弱い発生態様に変更する。胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、ゆらぎの発生態様を胴体で感じられる冷感のより弱い発生態様に変更することで、ゆらぎによってより高い覚醒効果を得つつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
ここで、図4〜図8を用いて、ローテーション制御部204での冷刺激の強度の制御について説明を行う。図4〜8では、冷刺激の種類は顔への冷刺激A,手への冷刺激B,胴体への冷刺激Cの3種類である場合を例に挙げて説明を行う。図4〜図8のグラフの縦軸が強度を示しており、横軸が時間を示している。
まず、ローテーション制御部204は、図4に示すように、複数種類の冷刺激の強度をローテーションで順に強くしていく。なお、ローテーション制御部204では、ある種類の冷刺激の強度を強くしている場合には、他の種類の冷刺激の強度は弱くしている。図4では、顔への冷刺激A,手への冷刺激B,胴体への冷刺激Cの順に強度を強くしていく場合の例を示している。
さらに、ローテーション制御部204は、順番制御部205、急峻さ制御部206、変更周期制御部207、及び強度制御部208により、空調装置5で複数種類の冷刺激の強度を強くするタイミング,時間,上限及び/又は下限の強度,強度の時間変化率(つまり、急峻さ)を制御し、切り替える。ローテーション制御部204は、この切り替えによって、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の発生態様を変更させる。
順番制御部205は、空調装置5から冷刺激を発生させるローテーションの順番を制御する。一例として、順番制御部205は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているローテーションの順番についてのデフォルトの設定値に従い、ローテーションの順番を制御する構成とすればよい。
急峻さ制御部206は、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の強度変化の急峻さを制御する。一例として、急峻さ制御部206は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている冷刺激の強度を変化させる際の時間変化率のデフォルトの設定値に従い、強度変化の急峻さを制御する構成とすればよい。
また、急峻さ制御部206は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、図5に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激の強度変化がよりなだらかになるように切り替える。一方、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度変化の急峻さを変更しない。これによれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激の強度変化の急峻さを変更しなくても、胴体への冷刺激の強度変化をよりなだらかにすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激の強度変化をなだらかに変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
変更周期制御部207は、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の変更の周期(以下、変更周期)を制御する。一例として、変更周期制御部207は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている変更周期のデフォルトの設定値に従い、変更周期を制御する構成とすればよい。
また、変更周期制御部207は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、図6に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうち、胴体への冷刺激については、ローテーションにおいて連続して強度が強くなる時間をより短くさせるように変更周期を切り替える。一方、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、胴体への冷刺激の強度が連続して強くなる時間を短くした分を補う時間だけ、強度が連続して強くなる時間を長くさせる。つまり、ローテーションの1サイクルあたりの冷刺激が強くなる時間自体は変更しない。これによれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激が強くなる時間を胴体への冷刺激が強くなる時間を短くした分だけ長くしたとしても、胴体への冷刺激が強くなる時間をより短くすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激が強くなる時間を胴体への冷刺激が強くなる時間を短くした分だけ長くして覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
強度制御部208は、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の、各々の冷刺激の上限及び/又は下限の強度を制御する。冷刺激の上限と下限とは、ローテーションで冷刺激の強度を強弱2つのパターンに変化させる際の、強度を強くしているときの強度と強度を弱くしているときの強度と言い換えることもできる。強度制御部208は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている冷刺激の上限と下限との強度のデフォルトの設定値に従い、冷刺激の上限及び/又は下限の強度を制御する構成とすればよい。
例えば、強度制御部208は、図7に示すように、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうち、胴体への冷刺激の上限と下限との強度差(以下、変更強度差)がより小さくなるように切り替える。一方、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後で変更強度差を変更しない。これによれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激の変更強度差を変更しなくても、胴体への冷刺激の変更強度差をより小さくすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激の変更強度差を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
また、強度制御部208は、図8に示すように、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、空調装置5から発生させる複数種類のうち、胴体への冷刺激の上限及び下限の強度を、変更強度差は一定に保ったまま、強度がより小さくなるように切り替える構成としてもよい。この場合、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後で上限及び下限の強度を変更しない。これによれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激の強度を変更しなくても、胴体への冷刺激の強度がより小さくなるようにすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激の強度を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
続いて、図9〜図14を用いて、ゆらぎ制御部209での冷刺激の強度の制御について説明を行う。図9〜図14でも、冷刺激の種類は顔への冷刺激A,手への冷刺激B,胴体への冷刺激Cの3種類である場合を例に挙げて説明を行う。図9〜図14のグラフの縦軸が強度を示しており、横軸が時間を示している。
まず、ゆらぎ制御部209は、図9に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させる。図9では、顔への冷刺激A、手への冷刺激B、胴体への冷刺激Cのそれぞれについて、ローテーション制御部204での制御に用いる設定値に従った強度である基準強度(図9中の破線参照)を基準として、この基準強度を中心に周期的に強度を上下に変動させる場合の例を示している。なお、ゆらぎ制御部209は、図10に示すように、基準強度(図10中の破線参照)を基準として、各冷刺激を断続的に発生させる構成としてもよい。
ゆらぎ周期制御部210は、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させる際の、このゆらぎの周期を(以下、ゆらぎ周期)を制御する。一例として、ゆらぎ周期制御部210は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているゆらぎ周期のデフォルトの設定値に従い、ゆらぎ周期を制御する構成とすればよい。
また、ゆらぎ周期制御部210は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、図11に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のゆらぎ周期がより長くなるように切り替える。なお、図11及び以降の図12〜図14では、基準強度を中心に周期的に強度を上下に変動させてゆらぎを生じさせる場合を例に挙げて説明を行う。図11のPcfがゆらぎ周期にあたる。ゆらぎ周期制御部210は、胴体への冷刺激のゆらぎ周期がより長くなるように切り替える一方、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後でゆらぎ周期を変更しない構成としてもよい。
さらに、ゆらぎ周期制御部210は、ゆらぎ周期(図12のPcf参照)を切り替える場合に、切り替え後のゆらぎ周期と、変更周期制御部207で制御されている変更周期(図12のPca参照)とを比較する。そして、ゆらぎ周期が変更周期以上であった場合には、切り替え後のゆらぎ周期を、変更周期よりも短いゆらぎ周期に変更する。つまり、ゆらぎ周期制御部210は、ゆらぎ周期を切り替える場合に、ゆらぎ周期が変更周期よりも短くなるようにゆらぎ周期を切り替える。これは、ゆらぎ周期が変更周期以上の長さとなった場合、変更周期制御部207での冷刺激の強度のローテーションとゆらぎ周期制御部210での冷刺激の強度のゆらぎとが、運転手に混同され、強度のローテーションとゆらぎとの相乗効果による覚醒状態の維持の効果が弱まるためである。
ゆらぎ幅制御部211は、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させる際の、このゆらぎにおける冷刺激の強度のゆらぎ幅を制御する。ゆらぎ幅は、ゆらぎにおける冷刺激の強度の上限と下限との強度差と言い換えることもできる。一例として、ゆらぎ幅制御部211は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているゆらぎ幅のデフォルトの設定値に従い、ゆらぎ幅を制御する構成とすればよい。
また、ゆらぎ幅制御部211は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、図13に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの、胴体への冷刺激のゆらぎ幅がより小さくなるように切り替える。一方、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後でゆらぎ幅を変更しない。図13のIdfがゆらぎ周期にあたる。これによれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激のゆらぎ幅を変更しなくても、胴体への冷刺激のゆらぎ幅をより小さくすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激のゆらぎ幅を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
なお、ゆらぎ幅の上限のみを変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅の下限のみを変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅の上限と下限との両方を変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよい。また、ゆらぎによる覚醒状態の維持の効果があるため、空調装置5から発生させる胴体への冷刺激、顔への冷刺激、手への冷刺激といった複数種類の冷刺激のゆらぎ幅がより大きくなるように切り替える。
さらに、ゆらぎ幅制御部211は、ゆらぎ幅(図14のIdf参照)を切り替える場合に、切り替え後のゆらぎ幅と、強度制御部208で制御されている変更強度差(図14のIda参照)とを比較する。そして、ゆらぎ幅が変更強度差以上であった場合には、切り替え後のゆらぎ幅を、変更強度差よりも強度の上限と下限との差が小さいゆらぎ幅に変更する。つまり、ゆらぎ幅制御部211は、ゆらぎ幅を切り替える場合に、ゆらぎ幅が変更強度差よりも小さくなるようにゆらぎ幅を切り替える。これは、ゆらぎ幅が変更強度差以上の大きさとなった場合、強度制御部208での冷刺激の強度のローテーションとゆらぎ幅制御部211での冷刺激の強度のゆらぎとが、運転手に混同され、強度のローテーションとゆらぎとの相乗効果による覚醒状態の維持の効果が弱まるためである。
<HCU20での覚醒刺激関連処理>
続いて、図15のフローチャートを用いて、HCU20での冷刺激を発生させる制御に関連する処理(以下、覚醒刺激関連処理)の流れの一例について説明を行う。図15のフローチャートは、例えば、自車のイグニッション電源がオンになったときにHCU20の電源もオンになり開始する構成とすればよい。
まず、ステップS1では、開始トリガ検知部201が、覚醒刺激を発生させるための開始トリガを検知した場合(S1でYES)には、ステップS3に移る。一方、開始トリガを検知していない場合(S1でNO)には、ステップS2に移る。ステップS2では、覚醒刺激関連処理の終了タイミングであった場合(S2でYES)には、覚醒刺激関連処理を終了する。一方、覚醒刺激関連処理の終了タイミングでなかった場合(S2でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。覚醒刺激関連処理の終了タイミングの一例としては、自車のイグニッション電源がオフになったこと,運転手の監視義務のない自動化レベルの自動運転に切り替わったこと等がある。
ステップS3では、刺激制御部203が、空調装置5から、顔への冷刺激,手への冷刺激,胴体への冷刺激といった複数種類の冷刺激を同時に発生させる。ステップS4では、ローテーション制御部204が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる。つまり、空調装置5から発生させる冷刺激にローテーションを付加する。また、冷刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,強度の上限及び下限については、デフォルトの設定値に従って順番制御部205、急峻さ制御部206、変更周期制御部207、及び強度制御部208で制御される。
ステップS5では、ゆらぎ制御部209が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の強度にゆらぎを生じさせる。つまり、空調装置5から発生させる冷刺激にゆらぎを付加する。また、冷刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅については、デフォルトの設定値に従ってゆらぎ周期制御部210及びゆらぎ幅制御部211で制御される。
ステップS6では、変更トリガ検知部202が、運転手の寒さの高まりが推定される変更トリガを検知した場合(S6でYES)に、ステップS7に移る。つまり、これまでの冷刺激での運転手の寒さの高まりが推定される場合に、S7に移る。一方、変更トリガ検知部202が、変更トリガを検知していない場合(S6でNO)には、ステップS10に移る。
ステップS7では、刺激制御部203が制御切替関連処理を行って、胴体への冷刺激の発生態様を、冷感を弱める発生態様に変更し、ステップS8に移る。ここで、図16のフローチャートを用いて、制御切替関連処理の流れの一例についての説明を行う。実施形態1では、胴体への冷刺激が特定部位刺激に相当する。
まず、ステップS71では、変更周期制御部207が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激の強度が連続して強くなる時間がより短くなるように変更周期を切り替える。一方、変更周期制御部207は、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、胴体への冷刺激の強度が連続して強くなる時間を短くした分を補う時間だけ、強度が連続して強くなる時間を長くさせる。
ステップS72では、急峻さ制御部206が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激の強度変化がよりなだらかになるように切り替える。一方、急峻さ制御部206は、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度変化の急峻さを変更しない。
ステップS73では、強度制御部208が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激の変更強度差がより小さくなるように切り替える。一方、強度制御部208は、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後で変更強度差を変更しない。なお、S73では、強度制御部208が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激の上限及び下限の強度を、変更強度差は一定に保ったまま、強度がより小さくなるように切り替える構成としてもよい。この場合、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、変更トリガを検知前後で上限及び下限の強度を変更しない。
ステップS74では、ゆらぎ幅制御部211が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激のゆらぎ幅がより小さくなるように切り替える。一方、ゆらぎ幅制御部211は、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、ゆらぎ幅がより小さくなるように切り替えてもよいが、変更トリガを検知前後でゆらぎ幅を変更しないことが好ましい。
ステップS75では、ゆらぎ幅制御部211が、S74で切り替え後のゆらぎ幅と、強度制御部208で制御されている現在の変更強度差とを比較する。そして、ゆらぎ幅が変更強度差未満であった場合(S75でYES)には、ステップS77に移る。一方、ゆらぎ幅が変更強度差以上であった場合(S75でNO)には、ステップS76に移る。ステップS76では、ゆらぎ幅制御部211が、S74で切り替え後のゆらぎ幅を、S74で切り替え前のゆらぎ幅とは異なるようにしつつ、現在の変更強度差よりも小さくなるように変更する。
ステップS77では、ゆらぎ周期制御部210が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの胴体への冷刺激のゆらぎ周期がより長くなるように切り替える。一方、ゆらぎ周期制御部210は、顔への冷刺激及び手への冷刺激については、ゆらぎ周期がより長くなるように切り替えてもよいし、変更トリガを検知前後でゆらぎ周期を変更しない構成としてもよい。
ステップS78では、ゆらぎ周期制御部210が、S77で切り替え後のゆらぎ周期と、変更周期制御部207で制御されている現在の変更周期とを比較する。そして、ゆらぎ周期が変更周期未満であった場合(S78でYES)には、ステップS8に移る。一方、ゆらぎ周期が変更周期以上であった場合(S78でNO)には、ステップS79に移る。ステップS79では、ゆらぎ周期制御部210が、S77で切り替え後のゆらぎ周期を、S77で切り替え前のゆらぎ周期とは異なるようにしつつ、現在の変更周期よりも短くなるように変更する。
図15に戻って、ステップS8では、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合(S8でYES)には、S9に移る。ここで言うところの閾値とは、運転手による運転操作を行う場合に、覚醒させる必要が生じる程度の眠気の度合いであって、一例としては眠気レベル「2」とすればよい。一方、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値未満となった場合(S8でNO)には、ステップS10に移る。DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上か否かは刺激制御部203が判断すればよい。
ステップS9では、ローテーション制御部204及びゆらぎ制御部209が、S7の制御切替関連処理で変更した冷刺激の発生態様を、S6で変更トリガを検知する前の発生態様に戻し、ステップS10に移る。つまり、制御切替関連処理によって冷感を弱めたことによって覚醒効果が不十分となった場合には、弱めていた冷感を元に戻し、覚醒効果を高める。
なお、S9では、S6で変更トリガを検知する前の発生態様よりも冷感を強めることで、覚醒効果を高める構成としてもよい。冷感を強める態様としては、胴体への冷刺激について、強度が連続して強くなる時間がより長くなるように変更周期を切り替えればよい。また、胴体への冷刺激、若しくは胴体、顔、及び手へ冷刺激といった複数種類の冷刺激について、強度変化の急峻さを大きくしたり、変更強度差を大きくしたり、上限及び下限の強度を、変更強度差は一定に保ったまま、強度がより大きくなるようにしたりしてもよい。他にも、胴体への冷刺激、若しくは胴体、顔、及び手へ冷刺激といった複数種類の冷刺激について、ゆらぎ幅をより大きくしたりしてもよい。また、S9の処理を実行したにもかかわらず、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合には、さらに冷感を強める構成としてもよい。
また、ローテーション制御部204及びゆらぎ制御部209は、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値未満となった場合に、変更トリガを検知して変更した身体部位(実施形態1では胴体)への冷刺激以外の冷刺激の発生態様については、変更しないか、若しくはその変更トリガを検知する前の発生態様に戻す構成とすればよい。
ステップS10では、覚醒刺激関連処理の終了タイミングであった場合(S10でYES)には、空調装置5からの冷刺激の発生を終了させ、覚醒刺激関連処理を終了する。一方、覚醒刺激関連処理の終了タイミングでなかった場合(S10でNO)には、S6に戻って処理を繰り返す。
図16のフローチャートでは、S7の制御切替関連処理で冷感を弱めたにもかかわらず、再度S6で変更トリガを検知する場合には、再度の制御切替関連処理において冷感をさらに弱める構成としてもよい。
また、図16のフローチャートでは、変更トリガを検知した場合に、冷刺激の強度をローテーションさせる際の強度変化の急峻さ,変更周期,上限及び/又は下限の強度、並びに冷刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅といった冷刺激の発生態様の全てを切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、冷刺激の発生態様を1種類ずつ切り替えながら、変更トリガの検知が続く場合に、切り替える冷刺激の発生態様の種類を逐一増やしていく構成としてもよい。また、図16のフローチャートにおけるS75及びS76の処理を省略する構成としてもよいし、S78及びS79の処理を省略する構成としてもよい。
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の強度が順番に強くなるように冷刺激の強度を変更させるローテーションを行わせるので、それぞれの冷刺激についての慣れが生じにくく、より高い覚醒効果を得ることが可能になる。また、運転手の寒さの高まりが推定される変更トリガを検知した場合に、この複数種類の冷刺激に含まれる胴体への冷刺激の発生態様を変更するので、運転手の寒さの高まりが推定される場合に、ローテーションを行わせつつも胴体への冷刺激を抑えることが可能になる。胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、胴体への冷刺激を抑えるだけであっても運転手の寒さを軽減しやすい。実施形態1の構成によれば、変更トリガを検知した場合に、ローテーションにおける冷刺激の発生態様を、胴体で感じられる冷感のより弱い発生態様に変更するので、ローテーションによってより高い覚醒効果を得つつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
ここで、図17を用いて、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる際の胴体,手,顔への冷刺激の発生態様を変更した場合の冷感低減効果の一例を示す。図17は、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせた場合の冷温感と、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる際の胴体,手,顔への冷刺激の発生態様を変更した場合の冷温感とを比較した図である。図17の例では、十数人を被験者としてドライビングシミュレーターにおいて運転を継続させ、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせた上で被験者から申告を受けた冷温感の平均値を示している。冷温感の「0」が無感を示しており、正の値が大きいほど温感が強く、負の値が大きいほど冷感が強いことを示している。
図17の例では、複数種類の冷刺激として、顔、手、胴体といった対象部位別の冷風による冷刺激を用いている。また、図17の例では、対象部位別に冷刺激の強度を変更させるローテーションとして、冷風の温度は固定のまま冷風の風量を変更させた場合の例を示す。図17の例では、冷刺激の強度を強くする対象部位への冷風の風量が他の対象部位への冷風の風量よりも1m/s程度強くなるようにしてローテーションを行った。また、図17では、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる際の胴体,手,顔への冷刺激の発生態様の変更として、胴体への冷刺激については停止させる一方、手及び顔への冷刺激についてはローテーションを行わせつつ、手及び顔への冷刺激についての強度の上限と下限との強度差をより小さくした場合の例を示す。
図17に示すように、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる際の胴体,手,顔への冷刺激の発生態様を変更しない場合の温冷感は「−3」程度であったのに対し、胴体,手,顔への冷刺激の発生態様を変更した場合の温冷感は「−2」程度となり、被験者に与える冷感が低減されている。また、図に示さないが、眠気レベル2未満となってからの眠気レベル2未満の状態が維持される覚醒維持時間は、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる際の胴体,手,顔への冷刺激の発生態様を変更しない場合に比べ、変更した場合では10分程度長くなっていた。これは、ローテーションの態様を変更することによって冷刺激への慣れが生じにくくなったためと考えられる。よって、複数種類の冷刺激の強度をローテーションさせる際の胴体,手,顔への冷刺激の発生態様を変更することによって、より高い覚醒効果を得つつ、被験者に与える冷感を低減する効果が得られる。
また、実施形態1の構成によれば、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させるので、それぞれの冷刺激についての慣れが生じにくく、より高い覚醒効果を得ることが可能になる。また、開始トリガを検知した場合に、この複数種類の冷刺激に含まれる胴体への冷刺激の強度の上限と下限との少なくともいずれかを小さくさせるので、ゆらぎを生じさせつつも、対象者の全身の冷感を高める胴体への冷刺激を抑えることが可能になる。よって、ゆらぎを行わせつつも胴体への冷刺激を抑えることで、より高い覚醒効果を得つつも、運転手が寒くなり過ぎることを防ぐことを可能にする。
他にも、変更トリガを検知した場合に、冷刺激の強度をローテーションさせる際の強度変化の急峻さ,変更周期,上限及び/又は下限の強度、並びに冷刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅を切り替えるので、これによっても冷刺激についての慣れが生じにくくなり、覚醒効果が高まる。さらに、複数種類の冷刺激を同時に発生させるので、単一の冷刺激を発生させる場合に比べて運転手が刺激に慣れにくい。
また、実施形態1の構成によれば、開始トリガ検知部201で開始トリガを検知した場合に冷刺激を発生させるため、常に冷刺激を発生させ続ける構成に比べ、運転手が冷刺激を与えられる機会が少なく、冷刺激への慣れが生じにくい。さらに、実施形態1の構成によれば、自動運転の自動化レベルが運転手に監視義務のあるレベルに切り替わることを開始トリガとして開始トリガ検知部201が検知する。よって、自動運転中に監視,運転操作が軽減されることにより運転手の覚醒度が低下していた場合でも、自動化レベルが下がって運転手の監視,運転操作等が必要となる際には覚醒させることが可能になる。
(実施形態2)
前述の実施形態では、空調装置5から複数種類の冷刺激を同時に発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの一部の冷刺激の強度が0になるタイミングが存在する構成としてもよい。つまり、空調装置5から複数種類の冷刺激の少なくとも一部を同時に発生させる構成としてもよいし、空調装置5から複数種類の冷刺激の全てを異なるタイミングで順番に発生させる構成としてもよい。
(実施形態3)
なお、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激についての強度の上限と下限とのうち、下限を0にさせる構成(以下、実施形態3)としてもよい。
実施形態3では、ローテーション制御部204が、図18に示すように、変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激Cについては、強度を強くしないタイミングにおいて冷刺激を行わずに強度を0とする一方、顔への冷刺激A及び手への冷刺激Bについては変更トリガを検知前後で発生態様を変更しない構成とすればよい。強度を強くしないタイミングにおいて冷刺激を行わずに強度を0とするように変更するのは、ローテーション制御部204のうちの強度制御部208で行う構成とすればよい。
実施形態3の構成によれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激の発生態様を変更しなくても、胴体への冷刺激の強度の下限を0にすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激の発生態様を変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
(実施形態4)
実施形態1では、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激について、ローテーションにおいて連続して強度が強くなる時間をより短くさせるように変更周期を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激については、強度が強くならないようにさせることでローテーションから外す構成(以下、実施形態4)としてもよい。
実施形態4では、ローテーション制御部204が、図19に示すように、変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激Cについては、強度を強くせずに維持させるようにする一方、顔への冷刺激A及び手への冷刺激Bについては、変更トリガを検知する前と同じ時間間隔でローテーションを行わせればよい。胴体に対する冷刺激Cの強度を強くさせずに維持させるように変更するのは、ローテーション制御部204のうちの変更周期制御部207で行う構成とすればよい。また、胴体に対する冷刺激Cをローテーションから外すのは、ローテーション制御部204のうちの順番制御部205で行う構成とすればよい。
実施形態4の構成によれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激の発生態様を変更しなくても、胴体への冷刺激の強度が強くならないように維持させることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激の発生態様を変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
なお、実施形態1と実施形態4とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、実施形態1における図16のフローチャートで、S7の制御切替関連処理で冷刺激の強度を弱めたにもかかわらず、再度S6で変更トリガを検知する場合に、再度の制御切替関連処理において実施形態4の構成を採用する構成としてもよい。
(実施形態5)
実施形態1では、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激について、ローテーションにおいて連続して強度が強くなる時間をより短くさせるように変更周期を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激については停止させることでローテーションから外す構成(以下、実施形態5)としてもよい。
実施形態5では、ローテーション制御部204が、図20に示すように、変更トリガを検知した場合に、胴体への冷刺激Cについては停止させるようにする一方、顔への冷刺激A及び手への冷刺激Bについては、変更トリガを検知する前と同じ時間間隔でローテーションを行わせればよい。胴体への冷刺激Cを停止させるように変更するのは、ローテーション制御部204のうちの強度制御部208で行う構成とすればよい。また、胴体への冷刺激Cをローテーションから外すのは、ローテーション制御部204のうちの順番制御部205で行う構成とすればよい。
実施形態5の構成によれば、胴体への冷刺激は対象者の全身の冷感を高める冷刺激であるため、手及び顔への冷刺激の発生態様を変更しなくても、胴体への冷刺激を停止させることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、手及び顔への冷刺激の発生態様を変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
なお、実施形態1と実施形態5とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、実施形態1における図16のフローチャートで、S7の制御切替関連処理で冷感を弱めたにもかかわらず、再度S6で変更トリガを検知する場合に、再度の制御切替関連処理において実施形態5の構成を採用する構成としてもよい。
また、実施形態1と実施形態4と実施形態5とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、実施形態1における図16のフローチャートで、S7の制御切替関連処理で冷感を弱めたにもかかわらず、再度S6で変更トリガを検知するたびに、段階的に実施形態4,実施形態5の構成を採用する構成としてもよい。
(実施形態6)
前述の実施形態では、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに顔への冷刺激及び手への冷刺激を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに顔への冷刺激及び/又は手への冷刺激を含まない構成としてもよい。また、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに、胴体、顔、及び手以外への冷刺激を含む構成としてもよい。例えば、首への冷刺激、足への冷刺激等を含む構成としてもよい。
なお、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに顔への冷刺激及び/又は手への冷刺激を含まない構成とした場合であっても、覚醒効果をより高く維持するために、複数種類の冷刺激によるローテーションは行わせることが好ましい。
(実施形態7)
前述の実施形態では、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、刺激制御部203が胴体への冷刺激の発生態様を変更する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、刺激制御部203が手への冷刺激の発生態様を変更する構成(以下、実施形態7)としてもよい。以下、実施形態6の構成について説明する。実施形態7では、手への冷刺激及び顔への冷刺激が特定部位刺激に相当する。
実施形態7の運転支援システム1は、HCU20の刺激制御部203での制御切替関連処理が一部異なる点を除けば、実施形態1の運転支援システム1と同様である。ここで、図21のフローチャートを用いて、実施形態76におけるHCU20での制御切替関連処理について説明する。
まず、ステップS71aでは、変更周期制御部207が、図22に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手への冷刺激の強度が連続して強くなる時間がより短くなるように変更周期を切り替える。一方、変更周期制御部207は、顔への冷刺激については、手への冷刺激の強度が連続して強くなる時間を短くした分を補う時間だけ、強度が連続して強くなる時間を長くさせる。
これによれば、手の血管は冷風によって収縮しやすく、他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激が強くなる時間を手への冷刺激が強くなる時間を短くした分だけ長くしたとしても、手への冷刺激が強くなる時間をより短くすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激が強くなる時間を手への冷刺激が強くなる時間を短くした分だけ長くして覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
S71aでは、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度が連続して強くなる時間を変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1,3〜5の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後で発生態様を変更させる構成とすればよい。この場合には、胴体への冷刺激の強度が連続して強くなる時間が短くなる分を補う時間だけ、顔への冷刺激の強度が連続して強くなる時間をさらに長くさせる構成とすればよい。
ステップS72aでは、急峻さ制御部206が、図23に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手への冷刺激の強度変化がよりなだらかになるように切り替える。一方、急峻さ制御部206は、顔への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度変化の急峻さを変更しない。
これによれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激の強度変化の急峻さを変更しなくても、手への冷刺激の強度変化をよりなだらかにすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激の強度変化をなだらかに変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
S72aでは、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度変化の急峻さを変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1,3〜5の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後で発生態様を変更させる構成とすればよい。
ステップS73aでは、強度制御部208が、図24に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手への冷刺激の変更強度差がより小さくなるように切り替える。一方、強度制御部208は、顔への冷刺激については、変更トリガを検知前後で変更強度差を変更しない。これによれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激の変更強度差を変更しなくても、手への冷刺激の変更強度差をより小さくすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激の変更強度差を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
なお、S73aでは、強度制御部208が、図25に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手への冷刺激の上限及び下限の強度を、変更強度差は一定に保ったまま、強度がより小さくなるように切り替える構成としてもよい。この場合、顔への冷刺激については、変更トリガを検知前後で上限及び下限の強度を変更しない。これによれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激の強度を変更しなくても、手への冷刺激の強度をより小さくすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激の強度を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
S73aでは、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で変更強度差や強度を変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1,3〜5の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後で発生態様を変更させる構成とすればよい。
ステップS74aでは、ゆらぎ幅制御部211が、図26に示すように、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手への冷刺激のゆらぎ幅がより小さくなるように切り替える。一方、ゆらぎ幅制御部211は、顔への冷刺激については、ゆらぎ幅がより小さくなるように切り替えてもよいが、変更トリガを検知前後でゆらぎ幅を変更しないことが好ましい。これによれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激のゆらぎ幅を変更しなくても、手への冷刺激のゆらぎ幅をより小さくすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激のゆらぎ幅を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
S74aでは、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後でゆらぎ幅を変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後でゆらぎ幅をより小さく変更させる構成とすればよい。
ステップS75a〜ステップS76aについては、S75〜S76と同様である。ステップS77aでは、ゆらぎ周期制御部210が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手への冷刺激のゆらぎ周期がより長くなるように切り替える。一方、ゆらぎ周期制御部210は、顔への冷刺激及び胴体への冷刺激については、ゆらぎ周期がより長くなるように切り替えてもよいし、変更トリガを検知前後でゆらぎ周期を変更しない構成としてもよい。ステップS78a〜ステップS79aについては、S78〜S79と同様である。
(実施形態8)
なお、実施形態8の構成に限らず、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激についての強度の上限と下限とのうち、下限を0にさせる構成(以下、実施形態8)としてもよい。
実施形態8では、ローテーション制御部204が、図27に示すように、変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激Bについては、強度を強くしないタイミングにおいて冷刺激を行わずに強度を0とする一方、顔への冷刺激Aについては変更トリガを検知前後で発生態様を変更しない構成とすればよい。強度を強くしないタイミングにおいて冷刺激を行わずに強度を0とするように変更するのは、ローテーション制御部204のうちの強度制御部208で行う構成とすればよい。
実施形態8の構成によれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激の発生態様を変更しなくても、手への冷刺激の強度の下限を0にすることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激の発生態様を変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
実施形態8では、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で発生態様を変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1,3〜5の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後で発生態様を変更させる構成とすればよい。
(実施形態9)
実施形態7では、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激について、ローテーションにおいて連続して強度が強くなる時間をより短くさせるように変更周期を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激については、強度が強くならないようにさせることでローテーションから外す構成(以下、実施形態9)としてもよい。
実施形態9では、ローテーション制御部204が、図28に示すように、変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激Bについては、強度を強くせずに維持させるようにする一方、顔への冷刺激Aについては、手への冷刺激の強度が連続して強くなる時間がなくなる分を補う時間だけ、強度が連続して強くなる時間を長くさせる。
手への冷刺激Bの強度を強くさせずに維持させるように変更するのは、ローテーション制御部204のうちの変更周期制御部207で行う構成とすればよい。また、手に対する冷刺激Bをローテーションから外すのは、ローテーション制御部204のうちの順番制御部205で行う構成とすればよい。
実施形態9では、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度が連続して強くなる時間を変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1,3〜5の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後で発生態様を変更させる構成とすればよい。この場合には、胴体への冷刺激の強度が連続して強くなる時間が短くなる分を補う時間だけ、顔への冷刺激の強度が連続して強くなる時間をさらに長くさせる構成とすればよい。
実施形態9の構成によれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激が強くなる時間を手への冷刺激が強くなる時間がなくなる分だけ長くしたとしても、手への冷刺激の強度が強くならないように維持させることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激が強くなる時間を手への冷刺激が強くなる時間がなくなる分だけ長くして覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
なお、実施形態7と実施形態9とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、実施形態7における覚醒刺激関連処理のフローチャートにおいて、制御切替関連処理で冷感を弱めたにもかかわらず、変更トリガを再度検知する場合に、再度の制御切替関連処理において実施形態9の構成を採用する構成としてもよい。
(実施形態10)
実施形態7では、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激について、ローテーションにおいて連続して強度が強くなる時間をより短くさせるように変更周期を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激については停止させることでローテーションから外す構成(以下、実施形態10)としてもよい。
実施形態10では、ローテーション制御部204が、図29に示すように、変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激Bについては停止させるようにする一方、顔への冷刺激Aについては、手への冷刺激の強度が連続して強くなる時間がなくなる分を補う時間だけ、強度が連続して強くなる時間を長くさせる。
手への冷刺激Bを停止させるように変更するのは、ローテーション制御部204のうちの強度制御部208で行う構成とすればよい。また、手への冷刺激Bをローテーションから外すのは、ローテーション制御部204のうちの順番制御部205で行う構成とすればよい。
実施形態10では、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で強度が連続して強くなる時間を変更しない構成とすればよい。なお、実施形態1,3〜5の構成と併用する場合には、変更トリガを検知前後で発生態様を変更させる構成とすればよい。この場合には、胴体への冷刺激の強度が連続して強くなる時間が短くなる分を補う時間だけ、顔への冷刺激の強度が連続して強くなる時間をさらに長くさせる構成とすればよい。
実施形態10の構成によれば、手は他の部位よりも冷たくなりやすいため、顔への冷刺激が強くなる時間を手への冷刺激が強くなる時間がなくなる分だけ長くしたとしても、手への冷刺激の強度が強くならないように維持させることによって、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、顔への冷刺激が強くなる時間を手への冷刺激が強くなる時間がなくなる分だけ長くして覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
なお、実施形態7と実施形態10とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、実施形態7における覚醒刺激関連処理のフローチャートにおいて、制御切替関連処理で冷感を弱めたにもかかわらず、変更トリガを再度検知する場合に、再度の制御切替関連処理において実施形態10の構成を採用する構成としてもよい。
また、実施形態7と実施形態9と実施形態10とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、実施形態7における覚醒刺激関連処理のフローチャートにおいて、制御切替関連処理で冷感を弱めたにもかかわらず、変更トリガを再度検知するたびに、段階的に実施形態9,実施形態10の構成を採用する構成としてもよい。
(実施形態11)
また、刺激制御部203は、変更トリガ検知部202で変更トリガを検知した場合に、手への冷刺激及び顔への冷刺激の両方の強度をより小さく変更する構成(以下、実施形態11)としてもよい。以下、実施形態11の構成について説明する。実施形態11では、手への冷刺激及び顔への冷刺激が特定部位刺激に相当する。
実施形態11では、強度制御部208が、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちの手及び顔への冷刺激の上限及び/又は下限の強度がより小さくなるように切り替える構成とすればよい。強度制御部208は、図30に示すように、手及び顔への冷刺激の上限及び下限のうちの上限のみが小さくなるように切り替えてもよいし、下限のみが小さくなるように切り替えてもよいし、変更強度差を保ちつつ上限及び下限が小さくなるように切り替えてもよい。一方、強度制御部208は、胴体への冷刺激については、変更トリガを検知前後で上限及び下限の強度を変更しない構成とすればよい。
これによれば、冷刺激への感度が特に高い身体部位である手及び顔への冷刺激の上限及び/又は下限の強度を小さくするため、胴体への冷刺激の強度の上限及び下限を変更しなくても、運転手の感じる寒さをやわらげることができる。よって、胴体への冷刺激の強度の上限及び下限を小さく変更せずに覚醒効果をより高く維持しつつも、対象者が寒くなり過ぎることを防ぐことが可能になる。
(実施形態12)
実施形態7〜11では、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに胴体への冷刺激を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに胴体への冷刺激を含まない構成としてもよい。また、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに、胴体、顔、及び手以外への冷刺激を含む構成としてもよい。例えば、首への冷刺激、足への冷刺激等を含む構成としてもよい。
なお、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激のうちに胴体への冷刺激を含まない構成とした場合であっても、覚醒効果をより高く維持するために、複数種類の冷刺激によるローテーションは行わせることが好ましい。
(実施形態13)
また、ローテーション制御部204でのローテーションのための冷刺激の強度の変更に合わせて、ゆらぎの減衰及び増幅を行う構成(以下、実施形態13)としてもよい。以下、実施形態13の構成について説明する。
実施形態13の運転支援システム1は、HCU20の刺激制御部203にゆらぎ制御部209の代わりにゆらぎ制御部209aを備える点を除けば、実施形態1の運転支援システム1と同様である。ここで、図31を用いて、ゆらぎ制御部209aの概略構成を説明する。
図31に示すように、ゆらぎ制御部209aは、ゆらぎ周期制御部210a及びゆらぎ幅制御部211aを備えている。ゆらぎ周期制御部210a及びゆらぎ幅制御部211aは、ローテーション制御部204での冷刺激の強度の変更に合わせてゆらぎの減衰及び増幅を行う点を除けば、実施形態1のゆらぎ周期制御部210及びゆらぎ幅制御部211と同様である。以下では、実施形態1のゆらぎ周期制御部210及びゆらぎ幅制御部211と異なる、ゆらぎ周期制御部210a及びゆらぎ幅制御部211aでの、このゆらぎの減衰及び増幅に関する構成について説明を行う。
まず、ゆらぎ周期制御部210aは、図31に示すように、ゆらぎ周期延長部2101及びゆらぎ周期短縮部2102を備えている。ゆらぎ周期延長部2101は、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を弱く変更する場合に、ゆらぎ周期をこの変更前よりも長く切り替える。ゆらぎ周期が長く切り替わることにより、運転手にとってゆらぎがより目立たなくなり、冷刺激の強度の変更を運転手がより認識しやすくなる。ゆらぎ周期短縮部2102は、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を強く変更する場合に、ゆらぎ周期をこの変更前よりも短く切り替える。ゆらぎ周期が短く切り替わることにより、冷刺激の強度の変更を運転手がより認識しやすくなる。なお、ゆらぎ周期制御部210aは、ゆらぎ周期を切り替える場合に、ゆらぎ周期が変更周期制御部207で制御されている変更周期よりも短くなるようにゆらぎ周期を切り替えることが好ましい。
続いて、ゆらぎ幅制御部211aは、図31に示すように、ゆらぎ幅減衰部2111及びゆらぎ幅増幅部2112を備えている。ゆらぎ幅減衰部2111は、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を弱く変更する場合に、ゆらぎ幅をこの変更前よりも小さく切り替える。ゆらぎ幅が小さく切り替わることにより、運転手にとってゆらぎがより目立たなくなり、冷刺激の強度の変更を運転手がより認識しやすくなる。ゆらぎ幅増幅部2112は、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を強く変更する場合に、ゆらぎ幅をこの変更前よりも大きく切り替える。ゆらぎ幅が大きく切り替わることにより、冷刺激の強度の変更を運転手がより認識しやすくなる。なお、ゆらぎ幅制御部211aは、ゆらぎ幅を切り替える場合に、ゆらぎ幅が強度制御部208で制御されている変更強度差よりも小さくなるようにゆらぎ幅を切り替えることが好ましい。
ゆらぎ幅制御部211aは、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を弱く変更する場合に、図32に示すように、ゆらぎ自体を止めることで冷刺激の強度の変更を運転手により認識しやすくしてもよい。他にも、ゆらぎ制御部209aは、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を弱く変更する場合に、図33に示すように、ゆらぎ周期をより長く切り替えるとともにゆらぎ幅をより小さく切り替えることで冷刺激の強度の変更を運転手により認識しやすくしてもよい。また、ゆらぎ制御部209aは、ローテーション制御部204でローテーションのために冷刺激の強度を強く変更する場合に、図34に示すように、ゆらぎ周期をより短く切り替えるとともにゆらぎ幅をより大きく切り替えることで冷刺激の強度の変更を運転手により認識しやすくしてもよい。
ここで、図35を用いて、ローテーション制御部204でのローテーションのための冷刺激の強度の変更に合わせたゆらぎ制御部209aでのゆらぎの減衰及び増幅に関する処理(以下、ローテーション強調関連処理)の流れの一例について説明を行う。図35では、ローテーションのために冷刺激の強度を弱く変更する場合に、ゆらぎ周期をより長く切り替えるとともにゆらぎ幅をより小さく切り替える一方、ローテーションのために冷刺激の強度を強く変更する場合に、ゆらぎ周期をより短く切り替えるとともにゆらぎ幅をより大きく切り替える場合を例に挙げて説明を行う。
図35のフローチャートは、HCU20の覚醒刺激関連処理で空調装置5から発生させる冷刺激にローテーションを付加した場合に開始する構成とすればよい。ローテーション強調関連処理は、空調装置5で発生させる複数種類の冷刺激のそれぞれについて行う構成とすればよい。
まず、ステップS101では、ローテーション制御部204のための冷刺激の強度の変更がある場合(S101でYES)には、ステップS102に移る。一方、ローテーション制御部204でのローテーションのための冷刺激の強度の変更がない場合(S101でNO)には、ステップS107に移る。ステップS102では、ローテーションのための冷刺激の強度の変更が強度を弱くする変更である場合(S102でYES)には、ステップS103に移る。一方、ローテーションのための冷刺激の強度の変更が強度を強くする変更である場合(S102でNO)には、ステップS105に移る。
ステップS103では、ゆらぎ周期延長部2101が、ローテーションのために強度を弱くする冷刺激について、ゆらぎ周期を冷刺激の強度の変更前よりも長く切り替える。ステップS104では、ゆらぎ幅減衰部2111が、ローテーションのために強度を弱くする冷刺激について、ゆらぎ幅を覚醒刺激の強度の変更前よりも小さく切り替え、ステップS107に移る。
一方、ステップS105では、ゆらぎ周期短縮部2102が、ローテーションのために強度を強くする冷刺激について、ゆらぎ周期を冷刺激の強度の変更前よりも短く切り替える。ステップS106では、ゆらぎ幅増幅部2112が、ローテーションのために強度を強くする冷刺激について、ゆらぎ幅を覚醒刺激の強度の変更前よりも大きく切り替え、ステップS107に移る。
ステップS107では、ローテーション強調関連処理の終了タイミングであった場合(S107でYES)には、ローテーション強調関連処理を終了する。一方、ローテーション強調関連処理の終了タイミングでなかった場合(S107でNO)には、S101に戻って処理を繰り返す。ローテーション強調関連処理の終了タイミングの一例としては、HCU20での覚醒刺激関連処理が終了したこと等がある。
以上の構成によれば、ゆらぎを冷刺激に付加しながらも冷刺激の強度の変更を運転手がより認識しやすくなるという効果を奏することが可能になる。詳しくは、冷刺激の強度が強弱変化する際の、弱の時にはゆらぎを減衰したり、強の時にはゆらぎを増幅したりすることで、冷刺激の強度のローテーションに注意を向けさせることで、冷刺激の強度のローテーションを運転手に認識しやすくする。従って、冷刺激のローテーションとゆらぎといった2種類の冷刺激への慣れ防止の両方の高い効果が期待でき、運転手の覚醒度を高く維持することが可能になる。
なお、ここでは、ゆらぎの減衰及び増幅のいずれも行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ゆらぎの減衰及び増幅のうちのいずれか一方を行うことによって、冷刺激の強度のローテーションを運転手に認識しやすくする構成であっても構わない。また、ここでは、ゆらぎの減衰及び増幅を、ゆらぎ周期及びゆらぎ幅の切り替えによって行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ゆらぎの減衰及び増幅を、ゆらぎ周期及びゆらぎ幅のいずれか一方の切り替えによって行う構成としても構わない。
ゆらぎ周期及びゆらぎ幅のいずれか一方の切り替えのみを行う場合には、ゆらぎ幅の切り替えの方が冷刺激の強度の変化に運転手が気づきやすくなるため、ゆらぎ幅の切り替えを行う構成の方がより好ましい。また、ゆらぎの減衰としてゆらぎ自体を止めることで、冷刺激の強度の変化に運転手がより気づきやすくなるため、ゆらぎの減衰としてゆらぎ自体を止めることがより好ましい。
(実施形態14)
また、刺激制御部203で冷刺激を開始した場合に、変更トリガ検知部202で運転手の寒さの高まりが推定される変更トリガを検知する処理を行うよりも前に、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上か否かに応じて、冷刺激の発生態様を、冷感のより高くなる発生態様に変更する構成(以下、実施形態14)としてもよい。図15のフローチャートを例に挙げると、S5の処理とS6の処理との間に、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上か否かに応じて、冷刺激の発生態様を変更する処理を追加すればよい。
実施形態14では、ローテーション制御部204は、ローテーション開始から所定時間経過以降に、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、ローテーションにおける冷刺激の発生態様を変更すればよい。ここで言うところの所定時間とは、ローテーション開始によって運転手の眠気の度合いが一旦下がるのに必要な時間以上であればよく、任意に設定可能な時間である。これによれば、ローテーションにおける冷刺激の発生態様を変更することで、それまでのローテーションに対する運転手の慣れが生じて覚醒効果が下がった場合であっても、覚醒効果を高めることが可能になる。
ローテーション制御部204は、順番制御部205、急峻さ制御部206、変更周期制御部207、及び強度制御部208により、空調装置5で冷刺激の強度を強くするタイミング,時間、上限及び/又は下限の強度,急峻さを制御し、冷刺激の発生態様に変更する。
順番制御部205は、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷覚刺激の強度をローテーションで順番に強くしていく際の、この順番を切り替える構成とすればよい。ローテーションの順番は、ランダムに切り替える構成としてもよいし、デフォルトの設定値と逆の順番に切り替える構成としてもよい。
急峻さ制御部206は、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷覚刺激の強度をローテーションで順番に強くしていく際の、強度変化の急峻さを切り替える構成とすればよい。強度変化の急峻さの切り替えは、例えば急峻さが大きくなるように切り替える構成とすればよい。
変更周期制御部207は、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷覚刺激の強度をローテーションで順番に強くしていく際の、変更周期を切り替える構成とすればよい。変更周期の切り替えは、例えば変更周期が長くなるように切り替える構成とすればよい。
強度制御部208は、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷覚刺激の強度をローテーションで順番に強くしていく際の、冷刺激の強度の上限及び/又は下限の強度を切り替える構成とすればよい。例えば、上限と下限との強度差(つまり、変更強度差)が大きくなるように切り替える構成としてもよいし、上限及び下限の強度がより大きくなるように変更強度差を保ったまま切り替える構成としてもよい。
また、ゆらぎ制御部209,209aは、ゆらぎ開始から前述の所定時間経過以降に、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、ゆらぎにおける冷刺激の発生態様を変更する構成とすることが好ましい。これによれば、ゆらぎにおける冷刺激の発生態様を変更することで、それまでのゆらぎに対する運転手の慣れが生じて覚醒効果が下がった場合であっても、覚醒効果を高めることが可能になる。
ゆらぎ制御部209,209aは、ゆらぎ周期制御部210,210a、及びゆらぎ幅制御部211,211aにより、空調装置5から発生させる複数種類の冷刺激の各々の強度にゆらぎが生じるよう冷刺激の強度を変更させる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅を制御し、冷刺激の発生態様に変更する。
ゆらぎ周期制御部210,210aは、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷覚刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させる際の、ゆらぎ周期を切り替える構成とすればよい。ゆらぎ周期を切り替える場合には、例えばゆらぎ周期がより短くなるように切り替える構成とすればよい。
ゆらぎ幅制御部211,211aは、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であった場合に、空調装置5から発生させる複数種類の冷覚刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように冷刺激の強度を変更させる際の、ゆらぎ幅を切り替える構成とすればよい。ゆらぎ幅を切り替える場合には、例えばゆらぎ幅がより大きくなるように切り替える構成とすればよい。
(実施形態15)
前述の実施形態では、空調装置5から発生させる風によって運転手に冷刺激を与える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ペルチェ素子等を用いることにより、空調装置5から発生させる風以外によって運転手に冷刺激を与える構成としてもよい。例えば、運転席シートに設けたペルチェ素子によって胴体への冷刺激を与えたり、ステアリングホイールに設けたペルチェ素子によって手への冷刺激を与えたりする構成としてもよい。
(実施形態16)
前述の実施形態では、ローテーション制御部204が、冷刺激の強度をローテーションさせる際の順番、強度変化の急峻さ、変更周期、上限及び/又は下限の強度を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、冷刺激の強度をローテーションさせる際の順番、強度変化の急峻さ、変更周期、上限及び/又は下限の強度のうちの一部のみを切り替える構成としてもよい。
(実施形態17)
前述の実施形態では、ゆらぎ制御部209が、冷刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期及びゆらぎ幅を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、冷刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期及びゆらぎ幅のうちのいずれかのみを切り替える構成としてもよい。
(実施形態18)
前述の実施形態では、刺激制御部203がローテーション制御部204とゆらぎ制御部209とを備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、刺激制御部203がゆらぎ制御部209を備えない構成としてもよい。また、刺激制御部203がローテーション制御部204を備えない構成としてもよい。
(実施形態19)
前述の実施形態では、開始トリガ検知部201が、DSM21で検知した眠気の度合いが閾値以上であったこと、刺激要求スイッチで操作を受け付けたこと、及び自動運転の自動化レベルが運転手に監視義務のあるレベルに切り替わることを開始トリガとして検知する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、上述のうちの一部のみを開始トリガとして検知する構成としてもよい。また、覚醒刺激の発生を運転手が要求する音声コマンドを音声認識装置で認識したことを開始トリガとする等してもよい。
(実施形態20)
前述の実施形態では、開始トリガ検知部201が開始トリガを検知した場合に、ローテーション及び/又はゆらぎを付加した冷刺激を開始する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車のイグニッション電源がオンになった場合に、ローテーション及び/又はゆらぎを付加した冷刺激を開始する構成としてもよい。
(実施形態21)
前述の実施形態では、覚醒刺激として、冷刺激を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。覚醒刺激として、冷刺激に加え、発光,音,振動等も用いる構成としてもよい。発光については、表示装置23のうちのLED等から、覚醒効果があると考えられる波長の発光を行わせる構成とすればよい。音については、音声出力装置24のうちのスピーカ,ブザー等が、アラーム音,ブザー音を出力させる構成とすればよい。振動については、例えばステアリングホイール,運転席のシート等の自車の運転手が接触する箇所に設けられた振動子を振動させる構成とすればよい。
(実施形態22)
前述の実施形態では、運転手の眠気の度合いを、DSM21を用いて検知する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、生体センサ22で計測した計測結果から運転手の眠気の度合いを検知する構成としてもよい。生体センサ22で計測した計測結果からの眠気の度合いの検知は、例えばHCU20で行う構成とすればよい。
眠気の度合いの検知に用いる生体センサ22及び計測結果の一例としては、脳波計で計測する脳波、心拍計で計測する心拍数,心拍ゆらぎ、脈波計で計測する脈波、皮膚電気活動計で計測する皮膚コンダクタンス等がある。また、計測結果からの眠気の度合いの検知方法については、公知の方法を用いればよい。なお、計測装置は、運転手に装着されて生体情報を計測するウェアラブルデバイスであってもよいし、車両のステアリングホイール等に設けられたものであってもよい。
他にも、自車に搭載された車両状態センサ6で検出した情報から運転手の眠気の度合いを検知する構成としてもよい。自車に搭載されたセンサで検出した情報からの眠気の度合いの検知は、例えばHCU20で行う構成とすればよい。眠気の度合いの検知に用いる車載センサ及び情報の一例としては、舵角センサで検出する操舵角、周辺監視カメラで検出した走行区画線等がある。車載センサで検出した情報からの眠気の度合いの検知方法については、公知の方法を用いればよい。例えば、周辺監視カメラで逐次検出する走行区画線の位置から求められる自車の横揺れから眠気の度合いを検知したり、舵角センサで逐次検出する操舵角から求められるステアリング操作のばらつき量から眠気の度合いを検知したりすればよい。
(実施形態23)
前述の実施形態では、運転支援システム1が自動車で用いられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。運転支援システム1は種々の移動体で用いることが可能であり、例えば、鉄道車両,原動機付自転車等の自動車以外の車両で用いられる構成としてもよいし、航空機,船舶等の車両以外の移動体で用いる構成としてもよい。また、移動体以外の家屋,施設等の室内で用いる構成としてもよい。この場合、この室内における覚醒状態の維持の対象者が対象者に相当する。また、移動体以外の家屋,施設等の室内で用いる構成を採用する場合には、運手席シートの代わりに対象者が着座するシートを用いればよい。
なお、本開示は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。