以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示す走行制御装置100は車両Vに搭載される。走行制御装置100は、車両Vが自動運転で走行するように車両Vの走行を制御する。自動運転とは、車両Vの加速、減速及び操舵等の運転操作が車両Vの運転者の運転操作によらずに実行されることを意味する。
図1に示すように、走行制御装置100は、外部センサ1、GPS[Global Positioning System]受信部2、内部センサ3、地図データベース4、ナビゲーションシステム5、アクチュエータ6、HMI[Human Machine Interface]7、ドライバセンサ8、刺激付与装置9、補助機器U及びECU[Electronic Control Unit]10を備えている。
外部センサ1は、車両Vの周辺情報である外部状況を検出する検出機器である。外部センサ1は、車外撮影用カメラ、レーダー[Radar]、及びライダー[LIDAR:LaserImaging Detection and Ranging]のうち少なくとも一つを含む。カメラは、車両Vの外部状況を撮像する撮像機器である。
車外撮影用カメラは、例えば、車両Vのフロントガラスの裏側に設けられている。車外撮影用カメラは、車両Vの外部状況に関する撮像情報をECU10へ送信する。車外撮影用カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれている。
レーダーは、電波(例えばミリ波)を利用して車両Vの外部の他車両等の障害物を検出する。レーダーは、電波を車両Vの周囲に送信し、障害物で反射された電波を受信することで障害物を検出する。レーダーは、検出した障害物に関する情報をECU10へ送信する。
ライダーは、光を利用して車両Vの外部の他車両等の障害物を検出する。ライダーは、光を車両Vの周囲に送信し、障害物で反射された光を受信することで反射点までの距離を計測し、障害物を検出する。ライダーは、検出した障害物に関する情報をECU10へ送信する。車外撮影用カメラ、ライダー及びレーダーは、必ずしも重複して備える必要はない。
GPS受信部2は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両Vの位置(例えば車両Vの緯度及び経度)を測定する。GPS受信部2は、測定した車両Vの位置に関する位置情報をECU10へ送信する。なお、GPS受信部2に代えて、車両Vの緯度及び経度が特定できる他の手段を用いてもよい。
内部センサ3は、車両Vの走行状態を検出する検出機器である。内部センサ3は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサのうち少なくとも一つを含む。車速センサは、車両Vの速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、車両Vの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車両Vの速度に関する速度情報(車輪の回転速度に関する情報)をECU10に送信する。
加速度センサは、車両Vの加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、車両Vの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両Vの横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、例えば、車両Vの加速度情報をECU10に送信する。ヨーレートセンサは、車両Vの重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した車両Vのヨーレート情報をECU10へ送信する。
地図データベース4は、地図情報を備えたデータベースである。地図データベースは、例えば、車両Vに搭載されたHDD[Hard disk drive]内に形成されている。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点、分岐点、合流場所の位置情報が含まれる。また、地図情報には、車両Vが自動運転で走行可能か否かに関する情報、及び自動運転で走行している車両Vが停止可能か否かに関する情報が含まれる。さらに、建物や壁等の遮蔽構造物の位置情報、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を使用するために、地図情報に外部センサ1の出力信号を含ませることが好ましい。なお、地図データベースは、車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
ナビゲーションシステム5は、車両Vのドライバーによって設定された目的地まで、車両Vのドライバーに対して案内を行う装置である。ナビゲーションシステム5は、GPS受信部2の測定した車両Vの位置情報と地図データベース4の地図情報とに基づいて、車両Vの走行するルートを算出する。ナビゲーションシステム5は、例えば、車両Vの位置から目的地に至るまでの目標ルートを演算し、HMI7のディスプレイの表示及びHMI7のスピーカの音声出力によりドライバーに対して目標ルートの報知を行う。ナビゲーションシステム5は、車両Vの目標ルートの情報をECU10へ送信する。なお、ナビゲーションシステム5は、車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
アクチュエータ6は、車両Vの加速、減速及び操舵等の自動運転中における車両Vの挙動を制御する装置である。アクチュエータ6は、エンジンアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。エンジンアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両Vの駆動力を制御する。なお、車両Vがハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。車両Vが電気自動車である場合には、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。
ブレーキアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、車両Vの車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、車両Vの操舵トルクを制御する。
HMI7は、車両Vの乗員(運転者を含む)と走行制御装置100との間で情報の出力及び入力をするためのインターフェイスである。HMI7は、例えば、乗員に画像情報を表示するためのディスプレイパネル、音声出力のためのスピーカ、及び乗員が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネル、乗員が音声入力を行うためのマイクロフォン等を備えている。HMI7では、後述する自動運転区間の設定及び停止可能領域の特定の際に、運転者からの入力操作又は音声入力が行われる。また、HMI7は、設定された自動運転区間及び特定された停止可能領域に関する情報を車両Vの運転者に対して表示する。また、HMI7は、自動運転から手動運転への切り替えが行われる予定であることと、自動運転から手動運転への切り替えが行われたこととを車両Vの運転者に対して表示する。また、HMI7は、自動運転から手動運転に切り替えるための運転者からの入力操作又は音声入力が行われてもよい。
ドライバセンサ8は、車両Vの運転者の睡眠深度を推定するために、車両Vの運転者の状態を検出するセンサである。例えば、ドライバセンサ8は、車両Vの運転者の顔の画像を撮影する車内撮影用カメラである。車内撮影用カメラは、例えば、車両Vのフロントガラスの裏側、ダッシュボードの上面及びインスツルパネルの表面等に設けられる。また、ドライバセンサ8は、例えば、車両Vの運転者の脳波を計測する脳波計測装置であってもよい。また、ドライバセンサ8は、車両Vの運転者の呼吸又は心拍を検出するセンサであってもよい。
刺激付与装置9は、睡眠中の運転者を覚醒させるための刺激を運転者に付与する装置である。刺激付与装置9は、運転者に付与する刺激として、例えば、冷風、温風、臭い、運転者席への振動、光及び音のいずれかを付与する。刺激付与装置9は、運転者に冷風、温風及び臭いを帯びた風のいずれかを送風する送風機から構成することができる。また、刺激付与装置9は、運転者席を振動させるバイブレータから構成することができる。また、刺激付与装置9は、運転者に光を照射するライトから構成することができる。また、刺激付与装置9は、運転者に音声を出力するスピーカから構成することができる。刺激付与装置9は、運転者に付与する刺激の種類や組合せを変更可能であってもよい。また、刺激付与装置9は、運転者に送風する冷風や温風の温度、運転者に送風する風に含まれる臭いの刺激の強さ、運転者席の振動の強度、運転者に照射する光の光量、及び運転者に出力する音の音量のいずれかの刺激の強度を変更可能であってもよい。刺激付与装置9は、ECU10からの制御信号により、動作が制御される。
補助機器Uは、アクチュエータ6に含まれない機器を総称したものである。本実施形態における補助機器Uは、例えば、空調装置、ワイパー等を含む。なお、補助機器Uは、車両Vの周囲の気温、天候等に応じてECU10からの制御信号により自動的に制御されてもよい。
ECU10は、自動運転中における走行制御装置100の各部の動作を制御する。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU10は、自動運転区間設定部11、停止可能領域特定部12、位置情報取得部13、速度情報取得部14、睡眠深度推定部15、刺激付与部16、距離算出部17、刺激付与開始地点設定部18及び走行制御部19を有している。ECU10では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の自動運転区間設定部11等の各部の制御を実行する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
自動運転区間設定部11は、車両Vを自動運転で走行させるための自動運転区間を設定する。自動運転区間は、車両Vが自動運転で走行することが可能な自動運転可能区間の中から選択される。自動運転可能区間に関する情報は、地図データベース4に記憶されている。自動運転可能区間は、例えば、高速道路を含む自動車専用道路である。自動運転可能区間は、可能であれば自動車専用道路以外の道路でもよい。
例えば、運転者によるHMI7への入力操作又は音声入力により、自動運転可能区間における開始インターチェンジと終了インターチェンジとを指定された場合に、自動運転区間設定部11は、開始インターチェンジと終了インターチェンジとの間の区間を自動運転区間として設定する。自動運転区間設定部11は、設定された自動運転区間を開始インターチェンジ及び終了インターチェンジと共にHMI7に表示させる。
停止可能領域特定部12は、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間において自動運転で走行している車両Vが停止可能な停止可能領域を特定する。車両Vが停止可能な領域に関する情報は、地図データベース4に記憶されている。停止可能領域は、例えば、パーキングエリア又はサービスエリアである。停止可能領域は、車両Vが停止可能であれば、パーキングエリア及びサービスエリア以外の路側帯等の領域でもよい。
停止可能領域特定部12は、例えば、地図データベース4に記憶された情報を参照しつつ、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間の終端(終了インターチェンジ等)に最も近いパーキングエリア又はサービスエリアを停止可能領域として特定する。また、例えば、運転者によるHMI7への入力操作又は音声入力により、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間におけるパーキングエリア及びサービスエリアのいずれかを指定された場合に、停止可能領域特定部12は、指定されたパーキングエリア又はサービスエリアを停止可能領域として特定してもよい。停止可能領域特定部12は、特定された停止可能領域をHMI7に表示させる。
位置情報取得部13は、GPS受信部2及び地図データベース4により得られた情報に基づいて、車両Vの位置に関する位置情報を取得する。位置情報取得部13は、ナビゲーションシステム5により演算された目標ルートに基づいて、車両Vの位置情報を取得してもよい。位置情報とは、例えば、車両Vの緯度及び経度を含む情報である。速度情報取得部14は、内部センサ3の車速センサにより得られた情報に基づいて、車両Vの速度に関する速度情報を取得する。速度情報とは、例えば、車両Vの速度、車両Vの車輪の回転速度等を含む情報である。
睡眠深度推定部15は、ドライバセンサ8により得られた運転者の状態に関する情報に基づいて、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間を停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に接近しつつ車両Vが自動運転で走行している場合に、睡眠中の運転者の睡眠深度を推定する。
睡眠深度推定部15は、例えば、車内撮影用カメラにより撮影された運転者の顔の画像において、運転者の目の周辺の画像から、運転者の瞼が開いている度合及び運転者の瞼の開閉の周期を計測する。睡眠深度推定部15は、計測された運転者の瞼が開いている度合と運転者の瞼の開閉の周期とに基づいて、運転者の睡眠深度を推定する。睡眠深度推定部15は、運転者の瞼が開いている度合が小さく、運転者の瞼の開閉の周期が長い(開閉頻度が少ない)ほど、運転者の睡眠深度が深い(ノンレム睡眠)であると推定する。また、睡眠深度推定部15は、運転者の瞼が開いている度合が大きく、運転者の瞼の開閉の周期が短い(開閉頻度が多い)ほど、運転者の睡眠深度が浅い(レム睡眠)であると推定する。睡眠深度推定部15は、運転者の瞼が開いている度合が閾値を超えている場合に、運転者の覚醒を推定する。
なお、睡眠深度推定部15は、ドライバセンサ8の脳波計測装置により計測された運転者の脳波に特定の周波数の波形が出現するか否かにより、運転者の睡眠深度を推定してもよい。また、睡眠深度推定部15は、ドライバセンサ8により計測された運転者の呼吸や心拍の安定性に基づいて、運転者の睡眠深度を推定してもよい。
刺激付与部16は、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間を停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に接近しつつ車両Vが自動運転で走行している場合に、刺激付与装置9の動作を制御することにより、睡眠中の運転者を覚醒させるための刺激を運転者に付与する。刺激付与部16は、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が後述する刺激付与開始地点設定部18により設定された刺激付与開始地点に到達したときに、睡眠中の運転者を覚醒させるための刺激を付与する。刺激付与部16は、車両Vが停止可能領域を通過した後は、刺激を運転者に付与しない。
なお、刺激付与部16は、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度や、後述する距離算出部17により算出された距離や、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置と停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域との距離に応じて、刺激付与装置9により、運転者に付与する刺激の種類や組合せを変更してもよい。
また、刺激付与部16は、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度や、距離算出部17により算出された距離や、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置と停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域との距離に応じて、刺激付与装置9により、運転者に送風する冷風や温風の温度、運転者に送風する風に含まれる臭いの刺激の強さ、運転者席の振動の強度、運転者に照射する光の光量、及び運転者に出力する音の音量のいずれかの刺激の強度を変更してもよい。例えば、刺激付与部16は、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度が深く、距離算出部17により算出された距離が長く、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置と停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域との距離が短いほど、刺激の強度を増大させてもよい。
距離算出部17は、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間を停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に接近しつつ車両Vが自動運転で走行している場合に、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度と、速度情報取得部14より取得された速度情報とに基づいて、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでに車両Vが走行する距離を算出する。
距離算出部17は、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度に対して、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでの時間を算出する。距離算出部17は、例えば、刺激の付与から運転者の覚醒までの時間を実験値から算出する。ECU10には、複数の被験者に対する実験における各睡眠深度で睡眠中の被験者の刺激の付与から覚醒までの時間の平均値に関するデータが記憶されている。実験で被験者に付与された刺激は、例えば、運転者席の振動等の継続的に付与される刺激を含み、刺激付与部16により付与される刺激と同様の刺激である。距離算出部17は、記憶された実験のデータから、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度に対応する覚醒までの時間を抽出することにより、睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでの時間を算出することができる。
また、ECU10には、年代、性別等の属性ごとに分類された複数の被験者のそれぞれに対する実験における各睡眠深度で睡眠中の被験者の刺激の付与から覚醒までの時間の平均値に関するデータが被験者の属性ごとに記憶されていてもよい。距離算出部17は、記憶された実験のデータから、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度と、車両Vの運転者の年齢、性別等の属性とに対応する覚醒までの時間を抽出することにより、睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでの時間を算出することができる。これにより、運転者の属性に対応した覚醒までの時間を算出することができる。
あるいは、ECU10には、複数の被験者に対する実験における各睡眠深度で睡眠中の被験者の様々な種類、組合せ及び強度の刺激の付与から覚醒までの時間の平均値に関するデータが刺激の種類、組合せ及び強度ごとに記憶されていてもよい。距離算出部17は、記憶された実験のデータから、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度と、刺激付与部16により付与される刺激の種類、組合せ及び強度とに対応する覚醒までの時間を抽出することにより、睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでの時間を算出することができる。これにより、刺激付与部16により付与される刺激の種類、組合せ及び強度に対応した覚醒までの時間を算出することができる。また、例えば、覚醒までの時間が設定された閾値以下となる刺激の種類、組合せ及び強度を選択し、刺激付与部16に当該刺激を付与させることもできる。
距離算出部17は、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでの時間と、速度情報取得部14により取得された速度情報に関する速度との積により、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでに車両Vが走行する距離を算出する。なお、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定される場合には、距離算出部17は、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでに車両Vが走行する距離を0と算出する。
刺激付与開始地点設定部18は、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間を停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に接近しつつ車両Vが自動運転で走行している場合に、停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域から距離算出部17により算出された距離以上に手前の位置を睡眠中の運転者への刺激の付与を開始する刺激付与開始地点として設定する。
停止可能領域から刺激付与開始地点までの距離が、距離算出部17により算出された距離と、余裕距離との和になるように、刺激付与開始地点は設定される。余裕距離は、停止可能領域よりも、どのくらい手前で運転者を覚醒させるかを決定するパラメータである。余裕距離は、後述する走行制御部19により自動運転から手動運転に切り替える否かが決定されるまでに車両Vが走行する距離と、走行制御部19により当該決定に基づいて車両Vの走行経路が変更させられるまでに車両Vが走行する距離との和よりも長い距離である必要がある。なお、走行制御部19により自動運転から手動運転に切り替える否かが決定されるまでに車両Vが走行する距離と、走行制御部19により当該決定に基づいて車両Vの走行経路が変更させられるまでに車両Vが走行する距離との和が無視できるほど短い場合は、余裕距離は0でもよい。
なお、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定され、距離算出部17により、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでに車両Vが走行する距離が0と算出されている場合は、刺激付与開始地点設定部18により、停止可能領域の位置が刺激付与開始地点として設定される。この場合は、後述するように走行制御部19は車両Vを停止させず、刺激付与開始地点に車両Vが到達したときに、車両Vは停止可能領域を通過してしまうため、刺激付与部16は刺激を運転者に付与しない。そのため、既に覚醒している運転者に不要な刺激が付与されることを防止することができる。
走行制御部19は、自動運転区間設定部11により設定された自動運転区間を車両Vが自動運転で走行している場合に、車両Vの走行を制御しつつ、自動運転から運転者の運転操作による手動運転への切り替えを制御する。走行制御部19は、例えば、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置に対応する道路の形状を地図データベース4から抽出しつつ、車両Vの走行経路を設定する。走行制御部19は、設定された車両Vの走行経路と、位置情報取得部13により取得された車両Vの位置情報とに基づいて、設定された走行経路を車両Vが走行するように制御信号をアクチュエータ6に出力することにより、車両Vの自動運転を制御する。走行制御部19は、外部センサ1により検出された障害物を車両Vが回避するように、車両Vの自動運転を制御する。また、走行制御部19は、速度情報取得部14により取得された車両Vの速度情報に基づいて、車両Vが予め設定された速度で走行するように、車両Vの自動運転を制御する。
また、走行制御部19は、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に到達するまでに、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定されるときは、自動運転から手動運転に切り替える。また、走行制御部19は、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に到達するまでに、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定されないときは、停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域に車両Vを停止させる。
自動運転から手動運転への切り替えの場合に、走行制御部19は、例えば、HMI7により、自動運転から手動運転への切り替えが行われる予定であることを車両Vの運転者に対して表示する。走行制御部19は、自動運転区間の終端(終了インターチェンジ等)において、自動運転から手動運転への切り替えを行う。走行制御部19は、HMI7により、自動運転から手動運転への切り替えが行われたことを車両Vの運転者に対して表示する。走行制御部19は、停止可能領域と自動運転区間の終端との間の位置で自動運転から手動運転への切り替えを行ってもよい。また、走行制御部19は、HMI7に自動運転から手動運転に切り替えるための運転者からの入力操作又は音声入力が行われたときに、自動運転から手動運転への切り替えを行ってもよい。
停止可能領域に車両Vを停止させる場合に、走行制御部19は、停止可能領域に車両Vを停止させるための走行経路を設定する。走行制御部19は、設定された停止可能領域への走行経路を車両Vが走行するように、制御信号をアクチュエータに出力する。
次に、走行制御装置100で実行される処理について説明する。図2に示すように、自動運転区間設定部11は、車両Vを自動運転で走行させるための自動運転区間を設定する(S1)。図3に示すように、高速道路等の道路200において自動運転可能区間201がある場合に、運転者によるHMI7への入力操作又は音声入力により、自動運転可能区間201における開始インターチェンジ203と終了インターチェンジ204とが指定される。自動運転区間設定部11は、開始インターチェンジ203と終了インターチェンジ204との間の区間を自動運転区間202として設定する。自動運転区間設定部11は、設定された自動運転区間202を開始インターチェンジ203及び終了インターチェンジ204と共にHMI7に表示させる。
図2及び図3に示すように、停止可能領域特定部12は、自動運転区間202において自動運転で走行している車両Vが停止可能な停止可能領域205を特定する(S2)。図3の例では、自動運転区間202の終端である終了インターチェンジ204に最も近いパーキングエリアが停止可能領域205として特定される。停止可能領域特定部12は、特定された停止可能領域205をHMI7に表示させる。
位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が自動運転区間202の始端である開始インターチェンジ203に到達すると、走行制御部19は、車両Vの自動運転を開始する(S3)。このようにして、自動運転区間202を停止可能領域205に接近しつつ車両Vが自動運転で走行している場合に、位置情報取得部13は車両Vの位置に関する位置情報を取得し、速度情報取得部14は車両Vの速度に関する速度情報を取得する(S4)。睡眠深度推定部15は、睡眠中の運転者の睡眠深度を推定する(S5)。
距離算出部17は、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度と、速度情報取得部14より取得された速度情報とに基づいて、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでに車両Vが走行する距離dを算出する(S6)。刺激付与開始地点設定部18は、停止可能領域205から距離d以上に手前の位置を睡眠中の運転者への刺激の付与を開始する刺激付与開始地点206として設定する(S7)。刺激付与部16は、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が刺激付与開始地点206に到達したときに、睡眠中の運転者を覚醒させるための刺激を付与する(S8)。刺激付与部16は、車両Vが停止可能領域205に到達するまで刺激の付与を続行する。
なお、刺激付与部16は、刺激の付与を開始してから位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が停止可能領域205に到達するまでの間に、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定された場合は、刺激の付与を中止してもよい。例えば、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度が深いために、刺激付与開始地点設定部18が停止可能領域205の1km手前の位置に刺激付与開始地点206を設定し、刺激付与部16が当該刺激付与開始地点206において刺激の付与を開始した場合において、車両Vが停止可能領域205に到達する前に、睡眠深度推定部15により運転者の覚醒が推定された場合は、運転者の覚醒後の刺激の付与は不要となる。このような場合は、刺激付与部16は、刺激の付与を中止してもよい。
走行制御部19は、位置情報取得部13により取得された位置情報に関する車両Vの位置が停止可能領域特定部12により特定された停止可能領域205に到達するまでに、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定されるか否かを判定する(S9)。
車両Vの位置が停止可能領域205に到達するまでに、運転者の覚醒が推定されるときは、走行制御部19は、HMI7により、自動運転から手動運転への切り替えが行われる予定であることを車両Vの運転者に対して表示してから、予定通りに自動運転区間202の終端である終了インターチェンジ204において自動運転から手動運転に切り替える(S10)。走行制御部19は、HMI7により、自動運転から手動運転への切り替えが行われたことを車両Vの運転者に対して表示する。
車両Vの位置が停止可能領域205に到達するまでに、運転者の覚醒が推定されないときは、自動運転から手動運転への切り替えが不可能であるため、走行制御部19は、停止可能領域205に車両Vを停止させる(S11)。
走行制御部19は、例えば、停止可能領域205に停止中の車両Vにおいて運転者が覚醒し、HMI7に自動運転から手動運転に切り替えるための運転者からの入力操作又は音声入力が行われたときに、自動運転から手動運転への切り替えを行ってもよい。また、走行制御部19は、停止可能領域205に停止中の車両Vにおいて、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度により運転者の覚醒が推定されるときには、自動運転から手動運転への切り替えを行い、HMI7により、自動運転から手動運転への切り替えが行われたことを覚醒した運転者に対して表示してもよい。したがって、停止可能領域205に車両Vが停止した場合は、停止可能領域205が自動運転から手動運転への切り替えが行われる位置となる。刺激付与部16は、運転者の早期の覚醒を促すために、停止可能領域205に車両Vが停止した後も、運転者への刺激の付与を継続してもよい。
本実施形態によれば、車両Vの位置が刺激付与開始地点設定部18により設定された刺激付与開始地点206に到達したときに、刺激付与部16により、睡眠中の運転者を覚醒させるための刺激が付与される。また、車両Vの位置が停止可能領域205に到達するまでに睡眠深度推定部15により運転者の覚醒が推定されるときは、走行制御部19により自動運転から手動運転に切り替えられ、車両Vの位置が停止可能領域205に到達するまでに睡眠深度推定部15により運転者の覚醒が推定されないときは、走行制御部19により停止可能領域205に車両Vが停止させられる。これにより、刺激の付与により運転者の覚醒を促し、付与された刺激により運転者が覚醒しない場合以外には、車両Vが停止させられないため、車両Vの運転者が覚醒しないことによる車両の停止を低減することができる。
停止可能領域205で車両Vが停止すると、車両Vが停止していた時間だけ目的地への到着に時間がかかる。しかし、本実施形態では、車両Vの運転者が覚醒しないことによる車両の停止を低減することができるため、目的地への到着に時間がかかることを抑制することができる。
また、本実施形態では、距離算出部17により、睡眠深度推定部15により推定された運転者の睡眠深度と、速度情報取得部14による取得された速度情報とに基づいて、刺激付与部16により睡眠中の運転者に刺激を付与してから運転者が覚醒するまでに車両Vが走行する距離が算出され、刺激付与開始地点設定部18により、停止可能領域205から距離算出部17により算出された距離以上に手前の位置を睡眠中の運転者への刺激の付与を開始する刺激付与開始地点206として設定する。このため、車両Vが停止可能領域205に到達するまでに、より確実に運転者を覚醒させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。