以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る運転支援システムを示すブロック図である。図1に示す運転支援システム1は、例えば、乗用車等の車両に搭載されており、運転者による自車両の運転を支援する。運転支援システム1は、運転者に対する運転支援としてACC[Adaptive Cruise Control]を実行する。
ACCとは、例えば、自車両の前方に先行車が存在しない場合は予め設定された設定速度で自車両を定速走行させる定速制御を行い、自車両の前方に先行車が存在する場合には先行車との車間距離に応じて自車両の車速を調整する追従制御を行う制御である。先行車とは、自車両の走行車線上で自車両の一つ前を走行する車両を意味する。自車両と先行車との間に他の車両は介在しない。自車両の前方に先行車が存在する場合とは、例えば、自車両との車間距離が予め設定された追従制御開始閾値未満の先行車が存在する場合である。追従制御開始閾値には、周知の値を採用することができる。なお、先行車と自車両との車間距離に代えて、先行車と自車両とのTTC[Time To Collision:衝突余裕時間]、先行車と自車両とのTHW[Time Headway:車間時間]を用いてもよい。
ここで、本実施形態に係るTTCとは、走行車線に沿った自車両の進行方向における自車両と他車両との相対距離を、当該進行方向における自車両と他車両との相対速度で除して得られる時間を意味する。また、本実施形態に係るTHW(車間時間)とは、走行車線に沿った自車両の進行方向における自車両と他車両との相対距離を他車両の速度で除して得られる時間を意味する。なお、運転支援システム1は、ACCの他、LKA[Lane Keeping Assist]、レーンチェンジ支援(レーンチェンジ時の走行支援)等の運転支援を実行してもよい。
運転支援システム1は、ACCにより先行車に対する自車両の追従制御が行われる場合において、追従制御による減速の開始前に運転者に対する減速開始タイミングの通知を行う。減速開始タイミングとは、追従制御による自車両の減速が開始されるタイミングである。減速開始タイミングは、例えば、先行車と自車両とのTTCを基準として決まるタイミングである。TTCに代えて、THW又は車間距離を基準としてもよい。その他、減速開始タイミングは、ACCに関する周知の技術に基づいて決めることができる。減速開始タイミングの通知とは、先行車に対する追従制御により自車両の減速が開始される前に、追従制御による減速が行われることを運転者に伝えるための通知である。減速開始タイミングの通知は、スピーカの音による通知であってもよく、インストルメントパネルのディスプレイの表示による通知であってもよい。減速開始タイミングの通知態様について詳しくは後述する。
運転支援システム1は、減速開始タイミングの通知を行う前に、減速開始タイミングの通知の要否を判定する。運転支援システム1は、自車両の周囲の道路状況に基づいて、減速開始タイミングの通知の要否を判定する。自車両の周囲の道路状況とは、例えば、自車両を中心として自車両から予め設定された距離閾値内の道路状況である。距離閾値は、例えば150mとすることができる。距離閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。自車両の周囲の道路状況には、例えば、自車両の走行する走行道路の車線の種別(単一車線、複車線)、走行道路の形状、自車両の周囲の障害物状況(他車両の状況も含む)、自車両の先行車の有無、先行車と自車両との車間距離及び相対速度、自車両の後続車の有無、自車両と後続車との車間距離及び相対速度等が含まれる。
ここで、障害物状況とは、障害物(走行中の他車両、駐停車中の他車両、工事用パイロン等を含む工事設備、歩行者、壁等)の位置、速度、移動方向等の状況である。先行車と自車両との車間距離とは、走行車線に沿った自車両の進行方向における先行車及び自車両の間隔である。先行車と自車両との相対速度とは、走行車線に沿った自車両の進行方向における先行車の速度と自車両の速度との差分となる速度である。後続車とは、自車両の走行車線上で自車両の一つ後を走行する車両を意味する。自車両と後続車との間に他の車両は介在しない。自車両と後続車との車間距離及び相対速度については、先行車の場合と同様であるため説明を省略する。
運転支援システム1は、自車両のレーンチェンジの可否の判定結果に基づいて、減速開始タイミングの通知の要否を判定する。まず、運転支援システム1は、自車両の周囲の道路状況に基づいて、自車両のレーンチェンジの可否を判定する。運転支援システム1は、例えば、自車両の走行車線が単一車線である場合に自車両のレーンチェンジが不能であると判定する。運転支援システム1は、自車両のレーンチェンジが不能であると判定した場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。これは、自車両のレーンチェンジが不能である場合、ACCを解除したとき等の例外的状況を除いて、自車両の運転者はACCの追従制御による減速を避けることができないためである。
一方、運転支援システム1は、例えば、自車両の走行車線に隣接する隣接車線が存在しており、且つ、当該隣接車線に他車両等の障害物が存在しない場合、自車両のレーンチェンジが可能であると判定する。運転支援システム1は、自車両のレーンチェンジが可能であると判定した場合、減速開始タイミングの通知が必要であると判定してもよい。
また、運転支援システム1は、運転者のレーンチェンジの意図の有無の判定結果に基づいて、減速開始タイミングの通知の要否を判定してもよい。運転支援システム1は、例えば、運転者の運転操作情報及び運転者を撮像するドライバモニタカメラの撮像情報のうち少なくとも一方に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定する。運転支援システム1は、例えば、運転者がウインカ操作を行った場合、レーンチェンジの意図が有ると判定する。また、運転支援システム1は、例えば、運転者が隣接車線を映すサイドミラーを注視している場合、レーンチェンジの意図が有ると判定する。運転支援システム1は、例えば、運転者がよそ見をしている場合(例えば車内の運転者が車内のオーディオ機器等を注視している場合)、レーンチェンジの意図が無いと判定してもよい。運転支援システム1は、例えば、運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定した場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。
また、運転支援システム1は、減速開始タイミングの通知が必要であると判定した場合、自車両の周囲の道路状況に基づいて通知態様を設定してもよい。減速開始タイミングの通知態様には、例えば、音による通知の態様、表示による通知の態様、振動による通知の態様が含まれる。音による通知の態様には、例えば、出力するスピーカの種類(インストルメントパネル裏のスピーカ、ドア内側のスピーカ、ECU[Electronic Control Unit]の内蔵スピーカ等)、警報音又は音声の種別、音量、音の高さ、警報音の繰り返し周期(警報音の繰り返し周波数)、音声のメッセージ内容等が異なる態様が含まれる。表示による通知には、例えば、表示するディスプレイの種類(MID[Multi Information Display]、インストルメントパネルのセンターディスプレイ、HUD[Head Up Display]等)、表示の大きさ、表示の輝度、表示の色彩、表示の点滅の有無、表示の点滅の周期等が異なる態様が含まれる。振動による通知の態様には、振動部位(運転席のシート、運転席のヘッドレスト、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル等)、振動の振幅、振動の周波数(振動の周期)等が異なる態様が含まれる。
運転支援システム1は、音による通知の態様、表示による通知の態様、及び振動による通知の態様のうち少なくとも二つを組み合わせた通知態様を設定してもよく、三つ全てを組み合わせた通知態様を設定してもよい。また、運転支援システム1は、一度だけの警報音の出力のように通知が継続しない単発通知の通知態様を設定してもよく、減速開始タイミングまでのカウントダウンを示すディスプレイ表示のように通知が継続する継続通知の通知態様を設定してもよい。
運転支援システム1は、例えば、自車両の周囲の道路状況に応じた刺激度の通知態様を設定する。刺激度とは、運転者に対して通知が与える刺激(影響)の度合いである。運転支援システム1は、例えば、自車両の周囲の道路状況に基づいて、運転者に対する通知の刺激度を演算し、演算した刺激度に応じた減速開始タイミングの通知態様を設定する。
運転支援システム1は、例えば、先行車に対する自車両の接近速度が大きいほど、刺激度を高い値に演算する。先行車に対する自車両の接近速度とは、上述した先行車と自車両との相対速度のうち、先行車と自車両が接近する場合(先行車の速度より自車両の速度が大きい場合)の速度である。また、運転支援システム1は、運転者の覚醒度が低いほど、刺激度を高い値に演算してもよい。運転支援システム1は、例えば、運転者の運転操作情報及び運転者を撮像するドライバモニタカメラの撮像情報のうち少なくとも一方に基づいて、運転者の覚醒度を認識する。運転者の覚醒度の認識について詳しくは後述する。
運転支援システム1は、音による通知の態様として、例えば、刺激度が高いほど音量の大きい警報音又は音声を設定する。同様に、運転支援システム1は、表示による通知の態様として、例えば、刺激度が高いほど輝度の高い表示を設定する。運転支援システム1は、表示による通知の態様として、刺激度が高いほど点滅周期を早くする表示を設定してもよい。また、運転支援システム1は、振動による通知の態様として、例えば、刺激度が高いほど振幅の高い振動を設定する。なお、運転支援システム1は、自車両の周囲の道路状況と当該道路状況に応じた刺激度の通知態様とを関連付けたマップデータを参照することにより、刺激度を演算することなく、自車両の周囲の道路状況から当該道路状況に応じた刺激度の通知態様を設定してもよい。
また、運転支援システム1は、運転者の覚醒度に基づいて、減速開始タイミングの通知時期を設定してもよい。減速開始タイミングの通知時期とは、運転者に対して減速開始タイミングの通知を行う時期(タイミング)である。通知時期は、時間を基準とする場合に限られず、先行車と自車両とのTTC、先行車と自車両とのTHW、又は先行車と自車両との車間距離を基準として設定してもよい。通知時期は、例えば、ACCの追従制御による減速開始タイミングと同じ基準により設定される。運転支援システム1は、例えば、運転者の覚醒度が低いほど、減速開始タイミングの通知時期が早くなるように設定する。
[運転支援システムの構成]
以下、本実施形態に係る運転支援システム1の構成について図面を参照して説明する。図1に示されるように、運転支援システム1は、自車両の運転支援を制御する運転支援ECU[Electronic Control Unit]2を備えている。運転支援ECU2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等からなる電子制御ユニットである。運転支援ECU2では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の運転支援制御を実行する。運転支援ECU2は、複数のECUから構成されていてもよい。
運転支援ECU2は、ミリ波レーダ3、ステレオカメラ4、ナビゲーションシステム5、ドライバモニタカメラ6、操舵トルクセンサ7、操舵タッチセンサ8、ウインカ操作検出部9、通信部10と接続されている。また、運転支援ECU2は、エンジン制御部11、ブレーキ制御部12、表示部13、音出力部14、振動部15と接続されている。
ミリ波レーダ3は、例えば、自車両の車体前端及び自車両の車体後端に設けられ、ミリ波を利用して自車両前後の障害物を検出する。ミリ波レーダ3は、更に自車両の側面に設けられ、自車両の側方の障害物を検出してもよい。ミリ波レーダ3は、例えば、ミリ波を自車両の前後に送信し、他車両等の障害物に反射したミリ波を受信することで障害物を検出する。ミリ波レーダ3は、検出した障害物情報を運転支援ECU2へ送信する。なお、ミリ波レーダ3に代えて、LIDAR[Laser Imaging Detection and Ranging]等を用いてもよい。
ステレオカメラ4は、例えば、自車両のフロントガラスの裏面に設けられた二つの撮像部を有している。二つの撮像部は、自車両の車幅方向に並んで配置されており、自車両の前方を撮像する。ステレオカメラ4は、自車両前方の撮像情報を運転支援ECU2へ送信する。なお、ステレオカメラ4に代えて単眼カメラを用いてもよい。
ナビゲーションシステム5は、運転者によって設定された目的地まで自車両の運転者の案内を行う。ナビゲーションシステム5は、例えば、自車両の位置を測定するためのGPS受信部と、地図情報を記憶した地図データベースを有している。GPS受信部は、例えば、3個以上のGPS衛星からの信号を受信することにより、車両の位置(例えば緯度経度)を測定する。地図データベースの地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路の種別情報、交差点又は分岐点の位置情報等が含まれる。ナビゲーションシステム5は、GPS受信部の測定した自車両の位置と地図データベースの地図情報とに基づいて、自車両の走行する走行道路及び走行車線を認識する。ナビゲーションシステム5は、自車両の位置から目的地に至るまでの経路を演算し、表示部13の表示及び音出力部14の音声出力により運転者に対して当該経路の案内を行う。ナビゲーションシステム5は、例えば、自車両の位置情報、自車両の走行道路(走行車線)の情報、及び自車両の案内経路情報を運転支援ECU2へ送信する。
ドライバモニタカメラ6は、例えば、自車両のステアリングコラムのカバー上で運転者の正面の位置に設けられ、運転者の撮像を行う。ドライバモニタカメラ6は、運転者を複数方向から撮像するため、複数個設けられていてもよい。ドライバモニタカメラ6は、運転者の撮像情報を運転支援ECU2へ送信する。
操舵トルクセンサ7は、例えば、自車両のステアリングシャフトに対して設けられ、運転者がステアリングホイールに与える操舵トルクを検出する。操舵トルクセンサ7は、検出した操舵トルク情報を運転支援ECU2へ送信する。
操舵タッチセンサ8は、例えば、自車両のステアリングホイールに設けられ、ステアリングホイールに対する運転者の接触及び運転者がステアリングホイールを握る圧力を検出する。操舵タッチセンサ8としては、例えば、感圧式のセンサを用いることができる。操舵タッチセンサ8は、ステアリングホイールに対する運転者の接触の情報を含む操舵圧力情報を運転支援ECU2へ送信する。
ウインカ操作検出部9は、例えば、自車両のウインカレバーに対して設けられ、運転者によるウインカレバーの操作を検出する。ウインカ操作検出部9は、運転者によるウインカレバーの操作が右ウインカの操作であるか左ウインカの操作であるか検出する。ウインカ操作検出部9は、検出したウインカ操作情報を運転支援ECU2へ送信する。
通信部10は、自車両に搭載され、他車両との車々間通信を行う。通信部10は、例えば、車々間通信により自車両の周囲の他車両(先行車、後続車、隣接車線を走行する他車両等)の情報を取得する。通信部10は、道路に設けられた路側送受信機(例えば、光ビーコン)との路車間通信により、自車両の走行道路の情報を取得してもよい。また、通信部10は、車内の運転者が装着しているウェアラブルデバイス又は運転者の携帯情報端末(例えばスマートフォン)等と通信を行ってもよい。ウェアラブルデバイスは、例えば、運転者が装着することで運転者の心拍又は脳波等を検出する機能を有する電子機器である。ウェアラブルデバイスには、運転者の指に装着するリング状のタイプ、運転者の腕に装着するリストバンド状のタイプ、運転者の頭部に装着するヘッドバンド状のタイプ、運転者の頭部に装着するメガネ状のタイプ等が含まれる。通信部10は、ウェアラブルデバイス又は携帯情報端末との通信により、運転者の心拍又は脳波等の体調情報を取得してもよい。通信部10は、取得した通信情報を運転支援ECU2へ送信する。なお、運転支援システム1は、ナビゲーションシステム5、ドライバモニタカメラ6、操舵トルクセンサ7、操舵タッチセンサ8、ウインカ操作検出部9、及び通信部10を必ずしも備える必要はない。
エンジン制御部11は、自車両のエンジンを制御する電子制御ユニットである。エンジン制御部11は、例えば、エンジンに対する燃料の供給量及び空気の供給量をコントロールすることで自車両の駆動力を制御する。なお、エンジン制御部11は、自車両がハイブリッド車又は電気自動車である場合には、動力源として駆動するモータの制御を行う。エンジン制御部11は、運転支援ECU2からの制御信号に応じて自車両の駆動力を制御する。
ブレーキ制御部12は、自車両のブレーキシステムを制御する電子制御ユニットである。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。ブレーキ制御部12は、液圧ブレーキシステムに付与する液圧を調整することで、自車両の車輪へ付与する制動力をコントロールする。ブレーキ制御部12は、運転支援ECU2からの制御信号に応じて車輪への制動力を制御する。なお、ブレーキ制御部12は、自車両が回生ブレーキシステムを備えている場合、液圧ブレーキシステム及び回生ブレーキシステムの両方を制御してもよい。
表示部13は、表示により運転者に対する通知を行うためのディスプレイである。表示部13は、複数の種類のディスプレイから構成されていてもよい。表示部13は、例えば、ナビゲーションシステム5が備えるディスプレイ、コンビネーションメータのMID、インストルメントパネルのセンターディスプレイ、サイドミラー、HUD等のうち少なくとも一つを含んでいる。表示部13は、運転支援ECU2からの制御信号に応じてディスプレイに表示を行う。
音出力部14は、警報音又は音声の出力により運転者に対する通知を行うためのスピーカである。音出力部14は、複数のスピーカから構成されていてもよい。音出力部14は、例えば、自車両のインストルメントパネル裏に設けられたスピーカ、自車両の運転席のドア内側に設けられたスピーカ、運転支援ECU2の内蔵スピーカ等のうち少なくとも一つを含んでいる。音出力部14は、運転支援ECU2からの制御信号に応じて警報音又は音声を出力する。
振動部15は、振動の出力により運転者に対する通知を行うための振動アクチュエータである。振動部15は、複数の振動アクチュエータから構成されていてもよい。振動アクチュエータは、例えば、運転席のシート、運転席のヘッドレスト、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルのうち少なくとも一つに設けられている。振動部15は、運転支援ECU2からの制御信号に応じて振動する。なお、運転支援システム1は、振動部15を必ずしも備える必要はない。
〈運転支援ECUの機能的な構成〉
次に、運転支援ECU2の機能的な構成について説明する。運転支援ECU2は、例えば、道路状況認識部20、運転操作検出部21、運転履歴記憶部22、覚醒度認識部23、運転集中度認識部24、通知要否判定部25、通知態様設定部26、通知時期設定部27、通知実行部28、及び車速制御部29を有している。
なお、運転支援ECU2は、運転操作検出部21、運転履歴記憶部22、覚醒度認識部23、運転集中度認識部24、通知態様設定部26、及び通知時期設定部27を必ずしも有する必要はない。また、以下に説明する運転支援ECU2の機能の一部は、自車両と通信可能な情報管理センター等の施設のコンピュータにおいて実行される態様であってもよい。
道路状況認識部20は、自車両の周囲の道路状況を認識する。道路状況認識部20は、例えば、ミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて、自車両を基準とした障害物の方向、自車両と障害物との相対距離、自車両と障害物との相対速度を認識する。道路状況認識部20は、例えば、ステレオカメラ4の撮像情報に基づいて、自車両の走行車線及び隣接車線の白線(車線境界線)を認識する。道路状況認識部20は、ステレオカメラ4の撮像情報に基づいて、白線の線種(連続線、破線等)を認識してもよい。道路状況認識部20は、例えば、白線の認識結果に基づいて、自車両の走行する走行車線を認識する。
また、道路状況認識部20は、例えば、ステレオカメラ4の撮像情報に基づいて、白線及び路面を認識することにより、走行車線に隣接する隣接車線を認識する。道路状況認識部20は、隣接車線を走行する他車両との通信部10を介した車々間通信により隣接車線を認識してもよい。道路状況認識部20は、例えば、ミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて、隣接車線における他車両等の障害物状況を認識する。なお、道路状況認識部20は、ナビゲーションシステム5の地図情報又は通信部10による路車間通信の通信結果に基づいて、自車両の走行する走行道路の車線の種別(単一車線、複車線)を認識してもよい。
また、道路状況認識部20は、自車両の先行車を認識する。道路状況認識部20は、例えば、ミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて、自車両の前方を走行する障害物を先行車として認識する。道路状況認識部20は、ステレオカメラ4の撮像情報に基づいて、自車両の前方の撮像画像の解析により先行車を認識してもよい。道路状況認識部20は、例えば、ミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて、認識した先行車と自車両との車間距離及び相対速度を認識する。道路状況認識部20は、先行車と自車両との車間距離及び相対速度に基づいて、先行車と自車両とのTTCを認識してもよい。
同様に、道路状況認識部20は、自車両の後続車を認識する。道路状況認識部20は、例えば、ミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて、自車両の後方を走行する障害物を後続車として認識する。なお、道路状況認識部20は、通信部10の通信情報に基づいて、車々間通信により先行車又は後続車を認識してもよい。道路状況認識部20は、例えば、ミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて、認識した後続車と自車両との車間距離及び相対速度を認識する。道路状況認識部20は、後続車と自車両との車間距離及び相対速度に基づいて、後続車と自車両とのTTCを認識してもよい。道路状況認識部20は、上述した他、様々な情報に基づいて、自車両の周囲の道路状況を認識することができる。
運転操作検出部21は、運転者による自車両の運転操作を検出する。運転操作検出部21は、例えば、操舵トルクセンサ7の操舵トルク情報、操舵タッチセンサ8の操舵圧力情報、及びウインカ操作検出部9のウインカ操作情報に基づいて、運転操作を検出する。運転操作検出部21は、更に、図示しないアクセルペダルセンサのアクセル操作情報、ブレーキペダルセンサのブレーキ操作情報に基づいて、運転操作を検出してもよい。
運転履歴記憶部22は、運転者による自車両の運転履歴の記憶処理を行う。運転履歴記憶部22は、例えば、運転支援ECU2の外に設けられたHDD[Hard disk drive]に対して運転操作検出部21の検出した運転操作情報を記憶させることにより、運転履歴の記憶処理を行う。運転履歴記憶部22は、道路状況認識部20の認識した自車両の周囲の道理状況と運転操作検出部21の検出した運転操作情報とを関連付けてHDDに記憶させてもよい。なお、運転履歴記憶部22は、通信部10を介した通信により、自車両ではなく、情報管理センター等の施設のコンピュータが備えるデータベースに対して運転履歴を記憶させてもよい。
覚醒度認識部23は、運転者の覚醒度を認識する。運転者の覚醒度とは、運転者が睡眠不足等により意識が朦朧とした状態ではなく覚醒していることを示す度合いである。覚醒度認識部23は、例えば、ドライバモニタカメラ6の撮像情報に基づいて、運転者の眼の開眼の状況又はまばたきの頻度等から運転者の覚醒度を認識する。
また、覚醒度認識部23は、運転操作検出部21の検出した運転操作情報に基づいて、運転者の覚醒度を認識してもよい。覚醒度認識部23は、例えば、操舵トルクセンサ7の操舵トルク情報に基づいて、運転者がステアリングホイールに与えるトルク変動の状態から運転者の覚醒度を認識する。また、覚醒度認識部23は、操舵タッチセンサ8の操舵圧力情報に基づいて、運転者がステアリングホイールを握る圧力又はステアリングホイールに対する接触の頻度(例えばステアリングホイールを握り直す頻度)から運転者の覚醒度を認識してもよい。
その他、覚醒度認識部23は、ステアリングホイールに設けた検出電極を通じて運転者の心拍情報を取得し、運転者の心拍情報から運転者の覚醒度を認識してもよい。また、覚醒度認識部23は、例えば、通信部10を介して、運転者が身につけているウェアラブルデバイス又は携帯情報端末と通信することにより、運転者の心拍情報又は脳波情報を取得し、運転者の心拍情報又は脳波情報から運転者の覚醒度を認識してもよい。覚醒度認識部23は、各種情報に基づいて、周知の技術により運転者の覚醒度を認識することができる。
運転集中度認識部24は、運転者の運転集中度を認識する。運転者の運転集中度とは、運転者が自車両の運転に集中している度合いである。運転集中度認識部24は、例えば、ドライバモニタカメラ6の撮像情報に基づいて、運転者の顔の向き又は運転者が注視する方向から運転者の運転集中度を認識する。運転集中度認識部24は、運転者が自車両の前方や隣接車線以外の方向に顔を向けており、よそ見をしていると認識した場合、運転集中度が低いと認識してもよい。運転集中度認識部24は、運転者が車内のオーディオ機器等を注視していると認識した場合、運転集中度が低いと認識してもよい。
また、運転集中度認識部24は、運転操作検出部21の検出した運転操作情報に基づいて、運転者の運転集中度を認識してもよい。運転集中度認識部24は、例えば、操舵タッチセンサ8の操舵圧力情報に基づいて、運転者の運転集中度を認識してもよい。更に、運転集中度認識部24は、運転者の過去の運転履歴を利用して、運転者の運転集中度を認識してもよい。その他、運転集中度認識部24は、例えば、上述した覚醒度認識部23と同様に、運転者の心拍情報又は脳波情報を取得し、運転者の心拍情報又は脳波情報に基づいて運転者の運転集中度を認識する。運転集中度認識部24は、各種情報に基づいて、周知の技術により運転者の運転集中度を認識することができる。
通知要否判定部25は、ACCの追従制御による減速開始タイミングの通知の要否を判定する。通知要否判定部25は、道路状況認識部20の認識した自車両の周囲の道路状況に基づいて、減速開始タイミングの通知の要否を判定する。
通知要否判定部25は、例えば、先行車と自車両とのTTCが予め設定された通知要否判定閾値未満に至った場合に、減速開始タイミングの通知の要否を判定する。通知要否判定閾値とは、追従制御による自車両の減速前に、減速開始タイミングの通知の要否を適切に判定するために予め設定された閾値である。通知要否判定閾値は、例えば14秒とすることができる。通知要否判定閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。なお、TTCに代えて、THW又は車間距離を用いてもよい。
通知要否判定部25は、例えば、レーンチェンジ可否判定部30及びレーンチェンジ意図判定部31を有している。レーンチェンジ可否判定部30は、自車両の周囲の道路状況に基づいて、自車両による走行車線から隣接車線へのレーンチェンジの可否を判定する。レーンチェンジ可否判定部30は、例えば、自車両の走行車線が単一車線であると認識した場合、レーンチェンジが不能であると判定する。なお、レーンチェンジ可否判定部30は、ステレオカメラ4の撮像情報に基づいて路面及び白線から隣接車線を認識したとしても、例えば、ナビゲーションシステム5の地図情報に基づいて、当該隣接車線が走行禁止区間又はレーンチェンジ禁止区間であると認識した場合には、レーンチェンジが不能であると判定する。走行禁止区間及びレーンチェンジ禁止区間は、例えば、交通規則に基づいて車両の走行又は隣接車線からのレーンチェンジが禁止されている区間である。
また、レーンチェンジ可否判定部30は、隣接車線の障害物状況に基づいて、レーンチェンジの可否を判定する。レーンチェンジ可否判定部30は、自車両の走行車線の隣に隣接車線(走行禁止区間又はレーンチェンジ禁止区間ではない隣接車線)が存在すると認識した場合であっても、隣接車線の障害物状況に基づいて、自車両と衝突可能性のある障害物が隣接車線に存在すると認識したときには、レーンチェンジが不能であると判定する。具体的に、レーンチェンジ可否判定部30は、隣接車線上に、自車両とのTTCが予め設定されたTTC判定閾値未満の他車両(障害物)が存在すると認識した場合、レーンチェンジが不能であると判定する。TTC判定閾値は、自車両との衝突可能性の高い他車両が隣接車線上に存在するか否かを適切に判定するために予め設定された閾値である。TTC判定閾値は、例えば20秒とすることができる。TTC判定閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。この場合のTTCは、例えば、自車両の前後方向における位置関係を維持しながら、隣接車線の他車両が自車両の走行車線上に位置すると仮定して算出される。TTCに代えて、THW又は車間距離を用いてもよい。
また、レーンチェンジ可否判定部30は、自車両の死角領域に隣接車線を走行する他車両が存在すると認識した場合、レーンチェンジが不能であると判定してもよい。死角領域とは、例えば、自車両に搭載されたセンサ(ミリ波レーダ3、ステレオカメラ4等)の死角となる領域である。レーンチェンジ可否判定部30は、例えば、過去のミリ波レーダ3の障害物情報に基づいて隣接車線の他車両の位置の推定を行い、自車両の死角領域に当該他車両が存在すると認識(推定)した場合、レーンチェンジが不能であると判定する。
また、レーンチェンジ可否判定部30は、自車両に対する後続車の接近速度に基づいて、レーンチェンジの可否を判定してもよい。レーンチェンジ可否判定部30は、例えば、自車両に対する後続車の接近速度が予め設定された後続車接近閾値以上であるときには、接近速度が高い後続車は自車両を追い越すために隣接車線にレーンチェンジする可能性が高いことから、レーンチェンジが不能であると判定する。これにより、後続車が自車両より先にレーンチェンジして自車両のレーンチェンジの障害となる可能性が高い場合に、自車両のレーンチェンジが可能であると判定してしまうことが避けられる。後続車接近閾値とは、後続車の自車両の追い越しによるレーンチェンジの可否を判定するために予め設定された閾値である。後続車接近閾値は、例えば4km/hとすることができる。後続車接近閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
レーンチェンジ可否判定部30は、例えば、自車両の走行車線に隣接車線が存在し、当該隣接車線に自車両と衝突可能性のある障害物が存在せず、かつ、自車両に対する接近速度が後続車接近閾値以上の後続車も存在しないと認識した場合、自車両のレーンチェンジが可能であると判定する。
レーンチェンジ意図判定部31は、自車両の運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定する。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、運転操作検出部21の検出した運転操作情報に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定する。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、運転操作検出部21の検出した運転操作情報に基づいて、隣接車線に対する運転者のウインカ操作を認識した場合、レーンチェンジの意図が有ると判定する。レーンチェンジ意図判定部31は、隣接車線に自車両を徐々に寄せる運転者の操舵を認識した場合、レーンチェンジの意図が有ると判定してもよい。
レーンチェンジ意図判定部31は、操舵タッチセンサ8の操舵圧力情報に基づいて、運転者がステアリングホイールを握る操舵圧力が予め設定された圧力閾値未満であると認識した場合、レーンチェンジの意図が無いと判定してもよい。圧力閾値とは、例えば、ACC中の運転者のレーンチェンジの意図を適切に判定するために予め設定された閾値である。圧力閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。また、レーンチェンジ意図判定部31は、先行車に合わせて自車両を減速させる運転者のブレーキ操作を認識した場合、レーンチェンジの意図が無いと判定してもよい。その他、レーンチェンジ意図判定部31は、運転者の運転履歴から運転者のレーンチェンジ前操作(運転者がレーンチェンジ前に行う運転操作動作)を抽出(学習)し、運転者の運転操作情報に基づいて運転者がレーンチェンジ前操作を行ったと認識した場合、レーンチェンジの意図が有ると判定してもよい。
また、レーンチェンジ意図判定部31は、ドライバモニタカメラ6の撮像情報に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定してもよい。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、ドライバモニタカメラ6の撮像情報に基づいて、運転者が隣接車線に顔を向けていると認識した場合、運転者のレーンチェンジの意図が有ると判定する。レーンチェンジ意図判定部31は、運転者が隣接車線を映すサイドミラーを注視していると認識した場合、運転者のレーンチェンジの意図が有ると判定してもよい。運転者の顔の向きの認識及び運転者の視線の認識については、周知の技術を採用することができる。
更に、レーンチェンジ意図判定部31は、運転操作検出部21の検出した運転操作情報及びドライバモニタカメラ6の撮像情報の両方に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定してもよい。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、運転者が隣接車線を映すサイドミラーを注視しながら自車両を当該隣接車線に寄せるように操舵していると認識した場合、運転者のレーンチェンジの意図が有ると判定してもよい。
また、レーンチェンジ意図判定部31は、覚醒度認識部23の認識した運転者の覚醒度に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定してもよい。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、運転者の覚醒度が予め設定された覚醒度閾値未満である場合、運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定する。覚醒度閾値は、運転者のレーンチェンジの意図の有無を適切に判定するために予め設定された閾値である。覚醒度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
同様に、レーンチェンジ意図判定部31は、運転集中度認識部24の認識した運転者の運転集中度に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定してもよい。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、運転者がよそ見をしており、運転者の運転集中度が予め設定された運転集中度閾値未満である場合、運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定する。運転集中度閾値は、運転者のレーンチェンジの意図の有無を適切に判定するために予め設定された閾値である。運転集中度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
その他、レーンチェンジ意図判定部31は、ナビゲーションシステム5の案内経路情報に基づいて、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定してもよい。レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、レーンチェンジにより案内経路から自車両が逸脱すると認識した場合、運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定する。具体的に、レーンチェンジ意図判定部31は、案内経路上で自車両が左折すべき高速道路出口の手前(例えば50m手前)において、自車両が最も左の車線を走行中の場合には、先行車を追い越すために自車両が右側の車線にレーンチェンジすると高速道路出口へ向かって左折できないため、運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定する。これにより、ナビゲーションシステム5の案内に反してレーンチェンジを勧めるような減速開始タイミングの通知を行うことを避けることができる。
通知要否判定部25は、例えば、レーンチェンジ可否判定部30が自車両によるレーンチェンジは不能であると判定した場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。また、通知要否判定部25は、例えば、レーンチェンジ可否判定部30が自車両によるレーンチェンジは可能であると判定した場合であっても、レーンチェンジ意図判定部31が運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定したときには、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。
通知要否判定部25は、例えば、レーンチェンジ可否判定部30が自車両によるレーンチェンジが可能であると判定すると共に、レーンチェンジ意図判定部31が運転者のレーンチェンジの意図が有ると判定した場合、減速開始タイミングの通知が必要であると判定する。なお、通知要否判定部25は、必ずしも運転者のレーンチェンジの意図の有無の判定結果を用いて、減速開始タイミングの通知の要否を判定する必要はない。通知要否判定部25は、レーンチェンジ可否判定部30が自車両によるレーンチェンジが可能であると判定した場合、運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定することなく、減速開始タイミングの通知が必要であると判定してもよい。
その他、通知要否判定部25は、例えば、自車両が追従している先行車に対する減速開始タイミングを運転者に通知済みである場合、当該先行車に対する追従制御中の減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。これにより、運転者が自車両の減速を一度認めた先行車に対する追従制御中に減速開始タイミングの通知を繰り返すことを避けることができる。
具体的に、通知要否判定部25は、減速開始タイミングの通知後、ミリ波レーダ3の障害物情報又はステレオカメラ4の撮像情報に基づいて、自車両が追従している先行車の走行車線からの離脱(例えばレーンチェンジによる離脱、分岐路で走行車線とは別の車線に進行することによる離脱等)を認識する。通知要否判定部25は、例えば、減速開始タイミングの通知後、自車両が追従している先行車の走行車線からの離脱を認識しない場合、追従している先行車は通知済みの先行車であると判定する。通知要否判定部25は、例えば、減速開始タイミングの通知後、自車両が追従している先行車の走行車線からの離脱を認識した場合、追従している先行車は通知済みの先行車ではないと判定する。また、通知要否判定部25は、通信部10の車々間通信により先行車を個別に認識することで、自車両が追従している先行車が通知済みの先行車であるか否かを判定してもよい。
なお、通知要否判定部25は、自車両が追従している先行車が通知済みの先行車であっても、先行車と自車両との車間距離が離れて追従制御が解除された後、再び当該先行車に自車両が追い付いて追従制御を開始した場合には、減速開始タイミングの通知が必要であると判定してもよい。
通知態様設定部26は、減速開始タイミングの通知態様を設定する。通知態様設定部26は、例えば、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が必要であると判定した場合に、道路状況認識部20の認識した自車両の周囲の道路状況に基づいて、減速開始タイミングの通知態様を設定する。
通知態様設定部26は、例えば、自車両の周囲の道路状況に応じた刺激度の通知態様を設定する。具体的に、通知態様設定部26は、例えば、自車両の周囲の道路状況に基づいて運転者に対する通知の刺激度を演算し、演算した刺激度に基づいて通知態様を設定する。まず、刺激度の演算について説明する。
通知態様設定部26は、例えば、先行車に対する自車両の接近速度に基づいて、刺激度を演算する。通知態様設定部26は、先行車に対する自車両の接近速度が大きいほど、刺激度を高い値に演算してもよい。これにより、先行車が低速であり、追従制御による自車両の速度の低下が大きい場合に、減速開始タイミングの通知を十分な刺激度で運転者に通知することができる。或いは、通知態様設定部26は、先行車に対する自車両の接近速度が予め設定された接近速度閾値以上である場合に、刺激度の加算を行う態様であってもよい。接近速度閾値とは、刺激度の加算の要否の判定を適切に行うために予め設定された閾値である。接近速度閾値は、例えば3km/hとすることができる。接近速度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。また、刺激度の加算値も、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
また、通知態様設定部26は、自車両の周囲の混雑度合いに基づいて、刺激度を演算してもよい。自車両の周囲の混雑度合いとは、例えば、自車両から予め設定された混雑認識距離(例えば150m)内に位置する車両の台数である。通知態様設定部26は、例えば、自車両の周囲の混雑度合いが高いほど、刺激度を低い値に演算する。これにより、混雑度合いが高く、レーンチェンジを行いにくい状況下で刺激度の高い通知を行うことにより運転者が煩わしさを感じることを抑制できる。或いは、通知態様設定部26は、自車両の周囲の混雑度合いが予め設定された混雑度合い閾値以上である場合に、刺激度の減算を行う態様であってもよい。混雑度合い閾値とは、刺激度の減算の要否の判定を適切に行うために予め設定された閾値である。混雑度合い閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。また、刺激度の減算値も、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
また、通知態様設定部26は、運転履歴記憶部22に記憶された自車両の運転履歴に基づいて、刺激度を演算してもよい。通知態様設定部26は、例えば、運転者が追従制御による減速を許容せずにレーンチェンジを行った頻度が高いほど刺激度を高い値に演算する。これにより、レーンチェンジの必要性を伝える減速開始タイミングの通知を運転者の嗜好に応じた適切な刺激度で行うことができる。レーンチェンジの頻度は、例えば、自車両の走行開始から現在までにレーンチェンジを行った回数とすることができる。或いは、レーンチェンジの頻度は、過去の運転履歴において、自車両が先行車に追い付いた状況で運転者がレーンチェンジを行った割合としてもよい。或いは、通知態様設定部26は、運転者のレーンチェンジの頻度が予め設定された頻度閾値以上である場合、刺激度の加算を行ってもよい。頻度閾値は、刺激度の加算の要否の判定を適切に行うために予め設定された閾値である。頻度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
また、通知態様設定部26は、運転操作検出部21の検出した運転者の運転操作情報に基づいて、減速開始タイミングの通知の刺激度を演算してもよい。通知態様設定部26は、例えば、隣接車線の方向に対する運転者のウインカ操作を認識した場合、刺激度の加算を行う。或いは、通知態様設定部26は、例えば、先行車に対する運転者のブレーキ操作を認識した場合、刺激度の減算を行う。通知態様設定部26は、例えば、隣接車線に自車両を寄せる運転者の操舵を認識した場合、刺激度の加算を行う。通知態様設定部26は、例えば、運転者が隣接車線を映すサイドミラーを注視していると認識した場合、刺激度の加算を行う。その他、通知態様設定部26は、運転者の運転履歴から運転者のレーンチェンジ前操作を抽出し、運転者の運転操作情報に基づいて運転者がレーンチェンジ前操作を行ったと認識した場合、刺激度の加算を行ってもよい。
また、通知態様設定部26は、覚醒度認識部23の認識した運転者の覚醒度に基づいて、減速開始タイミングの通知の刺激度を演算してもよい。通知態様設定部26は、例えば、運転者の覚醒度が低いほど、刺激度を高い値に演算する。これにより、覚醒度の低い運転者に対して、十分な刺激度の通知を行うことができる。或いは、通知態様設定部26は、運転者の覚醒度が予め設定された第2覚醒度閾値未満である場合に、刺激度の加算を行ってもよい。第2覚醒度閾値は、刺激度の加算の要否を適切に判定するために予め設定された閾値である。第2覚醒度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
また、通知態様設定部26は、運転集中度認識部24の認識した運転者の運転集中度に基づいて、減速開始タイミングの通知の刺激度を演算してもよい。通知態様設定部26は、例えば、運転者の運転集中度が低いほど、刺激度を高い値に演算する。これにより、運転集中度の低い運転者に対して、十分な刺激度の通知を行うことができる。通知態様設定部26は、運転者の運転集中度が予め設定された第2運転集中度閾値未満である場合に、刺激度の加算を行ってもよい。第2運転集中度閾値は、刺激度の加算の要否を適切に判定するために予め設定された閾値である。第2運転集中度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
通知態様設定部26は、音による通知の態様として、例えば、刺激度が高いほど音量の大きい警報音又は音声を設定する。通知態様設定部26は、音による通知の態様として、刺激度が高いほど繰り返し周波数の高い警報音(繰り返し周期の早い警報音)を設定してもよい。同様に、通知態様設定部26は、表示による通知の態様として、例えば、刺激度が高いほど輝度の高い表示を設定する。通知態様設定部26は、表示による通知の態様として、刺激度が高いほど色彩を赤色に近づける表示を設定してもよい。通知態様設定部26は、表示による通知の態様として、刺激度が高いほど大きな表示(サイズが拡張された表示)を設定してもよい。また、通知態様設定部26は、振動による通知の態様として、例えば、刺激度が高いほど振幅の高い振動を設定する。通知態様設定部26は、振動による通知の態様として、刺激度が高いほど周波数の高い振動(周期の早い振動)を設定してもよい。
なお、通知態様設定部26は、必ずしも刺激度を演算する必要はない。通知態様設定部26は、例えば、自車両の周囲の道路状況と道路状況に応じた刺激度の通知態様とを関連付けたマップデータを参照することにより、道路状況から当該通知態様を設定してもよい。また、運転支援システム1は、必ずしも自車両の周囲の道路状況に基づいて通知態様の設定を行う必要はない。運転支援システム1は、自車両の周囲の道路状況に関わらず、予め設定された通知態様(例えば運転者が予め設定した通知態様)による減速開始タイミングの通知を行ってもよい。
通知時期設定部27は、運転者に対して減速開始タイミングの通知時期を設定する。通知時期設定部27は、例えば、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が必要であると判定した場合に、覚醒度認識部23の認識した運転者の覚醒度に基づいて、減速開始タイミングの通知時期を設定する。
通知時期設定部27は、例えば、運転者の覚醒度が低いほど、減速開始タイミングの通知時期を早い時期に設定する。これにより、覚醒度の低い運転者が通知を受けて運転操作を開始するまでの遅れ時間を考慮した減速開始タイミングの通知を行うことができる。通知時期設定部27は、例えば、運転者の覚醒度が予め設定された覚醒度閾値未満である場合に、運転者の覚醒度が覚醒度閾値以上である場合と比べて、一定時間早い通知時期を設定してもよい。一定時間早い通知時期とは、例えば、先行車に対する自車両のTTCを基準として通知時期を設定している場合において、TTCが1秒加算された通知時期である。
また、通知時期設定部27は、運転集中度認識部24の認識した運転者の運転集中度に基づいて、減速開始タイミングの通知時期を設定してもよい。通知時期設定部27は、例えば、運転者の運転集中度が低いほど、減速開始タイミングの通知時期を早い時期に設定する。これにより、運転集中度の低い運転者が通知を受けて運転操作を開始するまでの遅れ時間を考慮した減速開始タイミングの通知を行うことができる。通知時期設定部27は、運転者の運転集中度が予め設定された運転集中度閾値未満である場合に、運転者の運転集中度が運転集中度閾値以上である場合と比べて、一定時間早い通知時期を設定してもよい。
また、通知時期設定部27は、上述した刺激度に応じた通知時期を設定してもよい。通知時期設定部27は、例えば、刺激度が高いほど、減速開始タイミングの通知時期を早い時期に設定する。或いは、通知時期設定部27は、予め定められた刺激度閾値以上である場合に、刺激度閾値未満である場合と比べて、一定時間早い通知時期を設定してもよい。刺激度閾値は、刺激度を利用した通知時期の設定の観点から予め設定された閾値である。刺激度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。また、通知時期設定部27は、通知態様設定部26が刺激度を演算しない場合には刺激度の演算を行ってもよい。
なお、通知時期設定部27は、刺激度を演算することなく、自車両の周囲の道路状況と道路状況に応じた刺激度の通知時期とを関連付けたマップデータを参照することで、道路状況から当該通知時期を設定してもよい。また、運転支援システム1は、必ずしも運転者の覚醒度に基づいて通知時期の設定を行う必要はない。運転支援システム1は、運転者の覚醒度に関わらず、予め設定された通知時期(例えば運転者が予め設定した通知態様)に減速開始タイミングの通知を行ってもよい。
通知実行部28は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が必要であると判定した場合に、運転者に対して減速開始タイミングの通知を実行する。通知実行部28は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が不要であると判定した場合に、減速開始タイミングの通知を実行しない。通知実行部28は、表示部13、音出力部14、及び振動部15のうち少なくとも一つに制御信号を送信することにより減速開始タイミングの通知を行う。通知実行部28は、例えば、通知態様設定部26の設定した通知態様に基づいて制御信号を送信することにより、当該通知態様に応じた減速開始タイミングの通知を実行する。通知実行部28は、例えば、通知時期設定部27の設定した通知時期に基づいて制御信号を送信することにより、当該通知時期における減速開始タイミングの通知を実行する。
車速制御部29は、自車両の車速制御としてACCを実行する。車速制御部29は、エンジン制御部11及びブレーキ制御部12に制御信号を送信することで、ACCを実行する。車速制御部29は、例えば、先行車に対するACCの追従制御中に、先行車と自車両とのTTCが予め設定された減速開始閾値未満に至った場合、追従制御による自車両の減速を行う。減速開始閾値とは、減速開始タイミングの通知後、追従制御による自車両の減速開始を適切に判定するために予め設定された閾値である。減速開始閾値は、例えば9秒とすることができる。なお、TTCに代えて、THW又は車間距離を用いてもよい。車速制御部29は、周知の技術により、ACCの追従制御による自車両の減速を行う。
[運転支援システムによる運転支援方法]
以下、本実施形態に係る運転支援システム1による運転支援方法について図面を参照して説明する。本実施形態では、減速開始タイミングの通知態様として、一度だけの警報音の出力のように通知が継続しない単発通知の通知態様を設定した場合について説明する。通知が継続する継続通知の通知態様を設定した場合については後述する。
図2は、本実施形態に係る運転支援システム1による運転支援方法を示すフローチャートである。運転支援システム1は、例えば、先行車に対する追従制御による自車両の減速が必要と判定した場合に、図2に示すフローチャートの制御を開始する。図2に示されるように、運転支援システム1の運転支援ECU2は、ステップS101として通知要否判定部25による減速開始タイミングの通知の要否の判定を行う(通知要否判定ステップ)。通知要否判定部25は、道路状況認識部20の認識した自車両の周囲の道路状況に基づいて、減速開始タイミングの通知の要否を判定する。なお、道路状況認識部20は、例えば、図2に示すフローチャートとは別に、自車両の周囲の道路状況の認識を予め設定された道路環境サンプリング周期毎に繰り返している(道路状況認識ステップ)。
通知要否判定部25は、例えば、自車両によるレーンチェンジが不能であると判定した場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。通知要否判定部25は、例えば、自車両によるレーンチェンジが可能であると判定した場合、減速開始タイミングの通知が必要であると判定する。また、通知要否判定部25は、レーンチェンジ意図判定部31において自車両の運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定した場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定してもよい。通知要否判定部25は、自車両によるレーンチェンジが可能であると判定した場合であって、レーンチェンジ意図判定部31において自車両の運転者のレーンチェンジの意図が有ると判定したとき、減速開始タイミングの通知が必要であると判定してもよい。なお、レーンチェンジ意図判定部31は、例えば、図2に示すフローチャートとは別に、運転者のレーンチェンジの意図の有無の判定を予め設定された意図判定周期毎に繰り返している(レーンチェンジ意図判定ステップ)。
運転支援システム1は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が不要であると判定した場合(ステップS101:No)、ステップS104に移行する。運転支援システム1は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が必要であると判定した場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
ステップS102において、運転支援システム1は、通知態様設定部26による減速開始タイミングの通知態様の設定及び通知時期設定部27による減速開始タイミングの通知時期の設定を行う(通知態様設定ステップ及び通知時期設定ステップ)。
通知態様設定部26は、例えば、自車両の周囲の道路状況に基づいて運転者に与える刺激度を演算し、演算した刺激度に基づいて通知態様を設定する。通知時期設定部27は、例えば、運転者の覚醒度に基づいて通知時期を設定する。なお、覚醒度認識部23は、例えば、図2に示すフローチャートとは別に、運転者の覚醒度の認識を予め設定された覚醒度サンプリング周期毎に繰り返している(覚醒度認識ステップ)。覚醒度認識部23は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が不要であると判定した場合に、運転者の覚醒度を認識する態様であってもよい。運転支援システム1は、通知態様設定部26による通知態様の設定及び通知時期設定部27による通知時期の設定が行われた場合、ステップS103に移行する。
ステップS103において、運転支援システム1は、通知実行部28による減速開始タイミングの通知を行う(通知実行ステップ)。通知実行部28は、表示部13、音出力部14、及び振動部15のうち少なくとも一つに制御信号を送信することにより減速開始タイミングの通知を行う。通知実行部28は、例えば、通知態様設定部26の設定した通知態様に応じて、通知時期設定部27の設定した通知時期に減速開始タイミングの通知を実行する。運転支援システム1は、通知実行部28による減速開始タイミングの通知後、ステップS104に移行する。
ステップS104において、運転支援システム1は、車速制御部29により、ACCの追従制御による自車両の減速を行う。車速制御部29は、例えば、先行車に対する自車両のTTCが予め設定された減速開始閾値未満に至った場合、エンジン制御部11及びブレーキ制御部12に制御信号を送信することで、追従制御による自車両の減速を行う。
以上、本実施形態の運転支援システム1による運転支援方法について説明したが、運転支援方法は上述した内容に限られない。例えば、運転支援システム1は、ステップS102において、必ずしも通知態様及び通知時期の両方を設定する必要はなく、通知態様及び通知時期の一方のみを設定してもよい。また、運転支援システム1は、必ずしも減速開始タイミングの通知ごとに通知態様及び通知時期を設定する必要はなく、ステップS102を行わなくてもよい。
また、運転支援システム1は、ステップS101において減速開始タイミングの通知が必要と判定した場合であっても、必ずしも減速開始タイミングの通知を行う必要はない。具体的に、運転支援システム1は、減速開始タイミングの通知が必要と判定した場合であっても、先行車の急加速等によって追従制御による自車両の減速が不要となったとき(例えば先行車と自車両とのTTCが40秒以上になったとき)には、減速開始タイミングの通知を行わなくてもよい。また、運転支援システム1は、ステップS103において減速開始タイミングの通知を行った場合であっても、ステップS104において、必ずしも追従制御による自車両の減速を行う必要はない。例えば、運転支援システム1は、ステップS103において減速開始タイミングの通知を行った場合であっても、先行車の急加速等によって追従制御による自車両の減速が不要となったときには、追従制御による自車両の減速を行わなくてよい。
更に、運転支援システム1は、例えば、隣接車線を走行する他車両がレーンチェンジにより自車両の直前に急に現れた場合等、自車両の減速を避けられないときには、減速開始タイミングの通知を行うこと無く、追従制御による自車両の減速を行ってもよい。具体的に、運転支援システム1は、減速開始タイミングの通知を行う前に、先行車と自車両とのTTCが3秒未満になった場合には、減速開始タイミングの通知を行うことなく、自車両の減速を行ってもよい。
[運転支援システムの作用効果]
以上説明した本実施形態に係る運転支援システム1によれば、自車両の周囲の道路状況に基づいて追従制御による減速開始タイミングの通知の要否を判定するので、運転者に対する不要な減速開始タイミングの通知を避けることができる。具体的に、この運転支援システム1では、例えば走行車線が単一車線の場合等、自車両のレーンチェンジが不能であると判定されるときには、追従制御による減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。従って、この運転支援システム1によれば、レーンチェンジによって自車両より低速の先行車に起因する自車両の減速を回避できない場合にまで、減速開始タイミングの通知を行うことが避けられるので、運転者に対する不要な減速開始タイミングの通知を避けることができる。
また、この運転支援システム1によれば、例えば、運転者による自車両のウインカ操作の有無又は運転者のよそ見状態等に基づいて運転者のレーンチェンジの意図の有無を判定し、運転者のレーンチェンジの意図が無いと判定された場合に減速開始タイミングの通知が不要であると判定することで、運転者が追従制御による減速を回避するためのレーンチェンジの意図が無い場合に不要な減速開始タイミングを通知することを避けることができる。
更に、この運転支援システム1によれば、例えば、自車両の周囲の道路状況に応じた刺激度の通知態様を設定することで、例えば先行車に対する自車両の接近速度が速い場合等に警報音の音量等の刺激度が大きい通知態様を設定することにより運転者に通知を認識させやすくすることができ、道路状況に応じた適切な刺激度の通知態様で減速開始タイミングの通知を行うことができる。
また、この運転支援システム1によれば、例えば、運転者によるステアリングホイールの操舵トルク又は運転者の眼の開眼の状況等に基づいて運転者の覚醒度を認識し、認識した運転者の覚醒度に基づいて設定した通知時期に減速開始タイミングの通知を行うことで、運転者が睡眠不足等で覚醒度が低い場合に減速開始タイミングの通知時期を早めにすることで、運転者の覚醒度に応じた適切な通知時期による減速開始タイミングの通知を行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、下記の変形例を採用することも可能である。以下、変形例について説明する。
〈減速開始タイミングの通知の要否判定の変形例〉
図1に示す通知要否判定部25における減速開始タイミングの通知の要否判定の変形例について説明する。この変形例において、通知要否判定部25は、道路状況認識部20の認識した自車両の周囲の道路状況に基づいて減速開始タイミングの通知の必要度を演算する。減速開始タイミングの通知の必要度は、先行車に対する追従制御による減速を避けるために自車両がレーンチェンジを行う必要性の度合いである。通知要否判定部25は、演算した必要度に基づいて減速開始タイミングの通知の要否を判定する。
通知要否判定部25は、例えば、先行車に対する自車両の接近速度に基づいて、必要度を演算する。通知要否判定部25は、先行車に対する自車両の接近速度が大きいほど、必要度を高い値に演算してもよい。或いは、通知要否判定部25は、先行車に対する自車両の接近速度が予め設定された接近速度閾値以上である場合に、必要度の加算を行ってもよい。また、通知要否判定部25は、自車両の周囲の混雑度合いに基づいて、必要度を演算してもよい。通知要否判定部25は、自車両の周囲の混雑度合いが高いほど、必要度を低い値に演算してもよい。或いは、通知要否判定部25は、自車両の周囲の混雑度合いが予め設定された混雑度合い閾値以上である場合に、必要度の減算を行ってもよい。
通知要否判定部25は、例えば、運転履歴記憶部22に記憶された自車両の運転履歴に基づいて、必要度を演算する。通知要否判定部25は、運転者が追従制御による自車両の減速を許容せずにレーンチェンジを行った頻度が高いほど必要度を高い値に演算してもよい。或いは、通知要否判定部25は、運転者のレーンチェンジの頻度が予め設定された頻度閾値以上である場合、必要度の加算を行ってもよい。接近速度閾値、混雑度合い閾値、及び頻度閾値は、刺激度の演算の場合と同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。
通知要否判定部25は、例えば、運転操作検出部21の検出した運転者の運転操作情報に基づいて、減速開始タイミングの通知の必要度を演算する。通知要否判定部25は、隣接車線の方向に対する運転者のウインカ操作を認識した場合、必要度の加算を行ってもよい。通知要否判定部25は、先行車に対する運転者のブレーキ操作を認識した場合、必要度の減算を行ってもよい。通知要否判定部25は、隣接車線に自車両を寄せる運転者の操舵を認識した場合、必要度の加算を行ってもよい。通知要否判定部25は、運転者が隣接車線を映すサイドミラーを注視していると認識した場合、必要度の加算を行ってもよい。必要度の加算値及び減算値は、認識した状況に応じた固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
通知要否判定部25は、例えば、ナビゲーションシステム5の案内経路情報に基づいて、減速開始タイミングの通知の必要度を演算する。通知要否判定部25は、レーンチェンジにより自車両が案内経路から逸脱すると認識した場合、必要度の減算を行ってもよい。
通知要否判定部25は、例えば、隣接車線に他車両が存在する場合、自車両に対する隣接車線の他車両のTTCに基づいて、必要度を演算する。通知要否判定部25は、自車両に対する隣接車線の他車両のTTCが短いほど、必要度を低い値に演算してもよい。或いは、通知要否判定部25は、自車両に対する隣接車線の他車両のTTCが予め設定されたTTC閾値未満である場合、必要度の減算を行ってもよい。TTC閾値は、必要度の減算の要否を適切に判定するために予め設定された閾値である。TTC閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。また、TTCに代えて、THW又は車間距離を用いてもよい。
また、通知要否判定部25は、例えば、自車両に後続車が存在する場合、自車両に対する後続車の接近速度に基づいて、必要度を演算する。通知要否判定部25は、自車両に対する後続車の接近速度が大きいほど、必要度を低い値に演算してもよい。或いは、通知要否判定部25は、後続車の接近速度が予め設定された後続車接近速度閾値以上である場合、必要度の減算を行ってもよい。後続車接近速度閾値は、必要度の減算の要否を適切に判定するために予め設定された閾値である。後続車接近速度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。
その他、通知要否判定部25は、ミリ波レーダ3等のセンサの信頼度を必要度の演算に利用してもよい。通知要否判定部25は、例えば、自車両のワイパーの駆動に基づいて雨天時であると認識した場合には、ミリ波レーダ3の信頼度が低下しているおそれがあるため、必要度の演算におけるミリ波レーダ3の障害物情報の重み付け(影響)を小さくする。
通知要否判定部25は、演算した必要度が予め設定された必要度閾値以上である場合、減速開始タイミングの通知が必要であると判定する。必要度閾値とは、減速開始タイミングの通知の要否を適切に判定するために予め設定された閾値である。必要度閾値は、固定値であってもよく、変動する値であってもよい。通知要否判定部25は、演算した必要度が必要度閾値未満である場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。
なお、通知要否判定部25は、レーンチェンジ可否判定部30により自車両のレーンチェンジが不能であると判定された場合には、必要度を必要度閾値未満の値にする。或いは、通知要否判定部25は、レーンチェンジ可否判定部30により自車両のレーンチェンジが不能であると判定された場合には、必要度に関わらず、減速開始タイミングの通知が不要であると判定してもよい。
この変形例において、通知態様設定部26は、通知要否判定部25の演算した必要度を刺激度と見なして、刺激度に応じた通知態様を設定してもよい。同様に、通知時期設定部27は、通知要否判定部25の演算した必要度を刺激度と見なして、刺激度に応じた通知時期を設定してもよい。通知態様設定部26及び通知時期設定部27は、通知要否判定部25の演算した必要度とは別に、刺激度を演算してもよい。
〈運転支援システムによる運転支援方法の変形例〉
次に、運転支援システム1による運転支援方法の変形例について説明する。変形例に係る運転支援システム1は、運転支援ECU2の通知要否判定部25における通知の要否の判定の前に、減速開始タイミングの通知の必要度を演算する。
図3は、運転支援システム1による運転支援方法の変形例を示すフローチャートである。運転支援システム1は、例えば、先行車に対する追従制御による自車両の減速が必要と判定した場合に、図3に示すフローチャートの制御を開始する。図3に示されるように、この変形例において、運転支援ECU2は、ステップS201として通知要否判定部25による必要度の演算を行う。通知要否判定部25は、例えば、自車両の周囲の道路状況に基づいて、必要度を演算する。更に、通知要否判定部25は、レーンチェンジ意図判定部31による運転者のレーンチェンジの意図の有無の判定結果に基づいて、必要度を演算してもよい。通知要否判定部25は、運転者の覚醒度及び運転者の運転集中度に基づいて、必要度を演算してもよい。通知要否判定部25は、必要度を演算した場合、ステップS202に移行する。なお、道路状況認識ステップ、レーンチェンジ意図判定ステップ、及び覚醒度認識ステップは、例えば、上述した実施形態と同様にすることができる。
ステップS202において、通知要否判定部25は、演算した必要度に基づいて、減速開始タイミングの通知の要否を判定する(通知要否判定ステップ)。通知要否判定部25は、例えば、演算した必要度が予め設定された必要度閾値以上である場合、減速開始タイミングの通知が必要であると判定する。通知要否判定部25は、例えば、演算した必要度が必要度閾値未満である場合、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。通知要否判定部25は、レーンチェンジ可否判定部30により自車両のレーンチェンジが不能であると判定された場合には、必要度に関わらず、減速開始タイミングの通知が不要であると判定する。運転支援システム1は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が不要であると判定した場合(ステップS202:No)、ステップS205に移行する。運転支援システム1は、通知要否判定部25が減速開始タイミングの通知が必要であると判定した場合(ステップS202:Yes)、ステップS203に移行する。以下、変形例に係るステップS203、S204、S205は、本実施形態の説明において記載したステップS102、S103、S104と同様の処理であるため詳細な説明は省略する。
ステップS203において、運転支援システム1は、通知態様設定部26による減速開始タイミングの通知態様の設定及び通知時期設定部27による減速開始タイミングの通知時期の設定を行う(通知態様設定ステップ及び通知時期設定ステップ)。この変形例において、通知態様設定部26は、通知要否判定部25の演算した必要度に応じた通知態様を設定してもよい。同様に、通知時期設定部27は、必要度に応じた通知時期を設定してもよい。運転支援システム1は、通知態様及び通知時期を設定した場合、ステップS204に移行する。
ステップS204において、運転支援システム1は、通知実行部28による減速開始タイミングの通知を行う(通知実行ステップ)。その後、ステップS205において、運転支援システム1は、車速制御部29により、ACCの追従制御による自車両の減速を行う。
〈通知態様が継続通知の場合の制御〉
続いて、減速開始タイミングの通知態様が継続通知の場合の運転支援システム1の制御について説明する。継続通知とは、例えば、表示による通知の態様において減速開始タイミングまでの猶予をゲージ又はカウントダウンとして表示部13に表示する通知態様である。継続通知は、音による通知の態様において警報音又は音声を継続して(繰り返し)音出力部14から出力する通知態様であってもよい。継続通知は、振動による通知の態様において、振動部15により運転席のシートを継続して振動させる通知態様であってもよい。継続通知は、表示による通知の態様、音による通知の態様、及び振動による通知の態様のうち二つ以上を組み合わせた通知態様であってもよい。また、運転支援システム1は、減速開始タイミングの通知として、一度だけの警報音の出力のように通知が継続しない単発通知と継続通知とを併用してもよい。
運転支援システム1は、継続通知を行う場合、図2のステップS103又は図3のステップS204において継続通知が開始される。すなわち、図2のステップS103又は図3のステップS204において、減速開始タイミングの通知に代えて、減速開始タイミングの継続通知状態への切り替えを行う。継続通知状態とは、例えば、表示部13に減速開始タイミングまでの猶予を示すゲージが表示された状態である。この場合において、通知時期設定部27の設定する通知時期は、継続通知状態への切替時期となる。
ここで、図4は、継続通知状態から非通知状態への切り替えの制御を示すフローチャートである。図4に示されるように、運転支援システム1は、減速開始タイミングの継続通知状態となった場合、ステップS301として、予め設定された非通知状態切り替え条件を満たすか否かを判定する。非通知状態切替条件とは、減速開始タイミングの継続通知状態から非通知状態への切り替えを適切に判定するために予め設定された条件である。非通知状態切替条件は、例えば、自車両が減速開始タイミングに至った場合(実際に自車両の減速が開始された場合)に満たされる。また、非通知状態切替条件は、先行車と自車両とのTTCが予め設定された接近閾値(例えば3秒)未満になった場合に満たされてもよい。これにより、先行車に自車両が急速に近づき過ぎて自車両の減速を避けられない場合にまで、継続通知を続けることが避けられる。また、非通知状態切替条件は、先行車と自車両とのTTCが予め設定された離間閾値(例えば40秒)未満になった場合に満たされてもよい。これにより、先行車と自車両が離間して自車両の減速が不要となった場合にまで、減速開始タイミングの継続通知を続けることが避けられる。なお、TTCに代えて、THW又は車間距離を用いてもよい。
運転支援システム1は、非通知状態切替条件が満たされないと判定した場合(S301:No)、処理を終了する。その後、再びステップS301を繰り返す。運転支援システム1は、非通知状態切替条件が満たされたと判定した場合(S301:No)、ステップS302に移行する。
ステップS302において、運転支援システム1は、減速開始タイミングの継続通知状態を非通知状態に切り替える。運転支援システム1は、例えば、非通知状態として、表示部13の表示停止、音出力部14の出力停止、振動部15の振動停止を行う。