図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
(実施形態1)
<運転支援システム1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。図1に示す運転支援システム1は、自動車(以下、単に車両)で用いられるものであり、HMI(Human Machine Interface)システム2、ロケータ3、地図データベース(以下、地図DB)4、周辺監視センサ5、運転支援ECU6、車両状態センサ7、車両制御ECU8、及び空調システム9を含んでいる。HMIシステム2、ロケータ3、地図DB4、運転支援ECU6、車両状態センサ7、車両制御ECU8、及び空調システム9は、例えば車内LANに接続されているものとする。運転支援システム1を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
ロケータ3は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の人工衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ3は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、ロケータ3を搭載した自車の車両位置を逐次測位する。なお、車両位置の測位には、自車に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離を用いる構成としてもよい。
地図DB4は、例えば不揮発性メモリであって、リンクデータ,ノードデータ,道路形状,構造物等の地図データを格納している。地図データは、道路形状及び構造物の特徴点の点群からなる三次元地図を含む構成であってもよい。なお、地図データは、通信モジュールを用いて自車の外部から取得する構成としてもよい。
周辺監視センサ5は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ5は、例えば、自車周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等のセンサである。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として運転支援ECU6へ逐次出力する。ソナー、ミリ波レーダ、LIDAR等の探査波を送信するセンサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として運転支援ECU6へ逐次出力する。
運転支援ECU6は、自車の運転支援を行う電子制御装置である。運転支援ECU6は、ロケータ3から取得した自車の車両位置,地図DB4から取得した地図データ,周辺監視センサ5から取得したセンシング情報等から、自車の走行環境を認識する。また、運転支援ECU6は、認識した走行環境をもとに、車両制御ECU8との連携によって自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行うことにより、自車の運転支援を行う。運転支援の一例としては、自車を自車線内に維持して走行させる支援、自車を定速走行させる支援、障害物回避のために自動減速する支援等がある。また、運転支援として、自車の加速、制動、及び操舵を車両制御ECU8に自動で行わせることで、自動運転を行わせる構成としてもよい。なお、本実施形態では、自動運転を行う場合でも、予定している自動運転区間の走行の終了、認識される走行環境若しくは周辺監視センサ5でのセンシングの不具合等に応じて、手動運転への交代が可能であることが好ましい。
車両状態センサ7は、自車の走行状態,操作状態等を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ7としては、自車の車速を検出する車速センサ,自車のステアリングの操舵角を検出する操舵センサ,自車のアクセルペダルの開度を検出するアクセルポジションセンサ,自車のブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキストロークセンサ等がある。車両状態センサ7は、検出結果を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ7での検出結果は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
車両制御ECU8は、自車の加減速制御及び/又は操舵制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU8としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU8は、自車に搭載されたアクセルポジションセンサ,ブレーキストロークセンサ,舵角センサ,車速センサ等の各センサから出力される検出信号を取得し、電子制御スロットル,ブレーキアクチュエータ,EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力する。
空調システム9は、自車の乗員によって設定された空調関連の設定値等を含む空調要求情報をHCU20から取得し、車室内の温度、清浄、及び気流等を調整する車両用の冷暖房システムである。空調システム9は、空調制御ECU90、エアコンユニット91、及びアロマユニット92を備えている。
エアコンユニット91は、インストルメントパネル等に設けられた吹出口から車室内に供給される温風及び冷風を生成する。アロマユニット92は、芳香(アロマ)成分を含むエッセンシャルオイル等のアロマオイルを霧状にする。芳香成分としては、覚醒効果がある成分を用いるものとする。アロマユニット92によって霧状にされた芳香成分は、エアコンユニット91によって生成された気流と混ぜられて車室内へと供給される。このエアコンユニット91及びアロマユニット92も請求項のメイン刺激装置に相当する。
空調制御ECU90は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。空調制御ECU90は、車内LANと接続されており、HCU20から車内LANに出力された空調要求情報を受信する。空調制御ECU90は、エアコンユニット91及びアロマユニット92と接続されており、取得した空調要求情報に基づいて、エアコンユニット91及びアロマユニット92の作動を制御する。
HMIシステム2は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)20、DSM(Driver Status Monitor)21、生体センサ22、表示装置23、音声出力装置24、及び操作デバイス25を備えている。HMIシステム2は、運転手からの入力操作を受け付けたり、運転手に向けて情報を提示したり、運転手の状態を監視したりする。この運転手が請求項の対象者に相当する。
DSM21は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されている。DSM21は、近赤外カメラを自車の運転席側に向けた姿勢にて、例えばインスツルメントパネルの上面に配置される。DSM21は、近赤外光源によって近赤外光を照射された運転手の頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、例えば運転手の顔向き及び/又は視線方向を、撮像画像から検出する。
DSM21は、運転手の目の開き具合等を撮像画像から抽出し、運転手の覚醒度を検知する。本実施形態では、一例として、DSM21において覚醒度を0~5の6段階に区分して検知する場合を例に挙げて説明を行う。6段階に区分される覚醒度は、覚醒度の高いものから順に、全く眠くなさそう(言い換えると覚醒状態である)「0」,やや眠そう「1」,眠そう「2」,かなり眠そう「3」,非常に眠そう「4」,眠っている(言い換えると睡眠状態である)眠気「5」とする。「0」は眠気がなく、「1」~「5」までは眠気があって、数値が大きくなるほど眠気の度合いが高い。DSM21は、検知した覚醒度をHCU20へ出力する。
また、DSM21では、顔画像から検出する顔部位の形状的な特徴,顔部位の経時的な変化等から、快不快といった眠気以外のドライバ状態を検知する構成としてもよい。さらに、DSM21では、顔部位の形状的な特徴,顔部位の経時的な変化等から、不快の度合いといったドライバ状態の度合いも検知することが好ましい。以降では、DSM21において不快の度合いを、不快の度合いが小さいものから順に不快レベル「1」~「5」の段階に区分して検知する場合を例に挙げて説明を行う。
生体センサ22は、運転手の心拍数、脈拍数、体温、及び/又は血圧等の生体情報を計測し、計測した生体情報を、HCU20へ逐次出力する。生体センサ22は、ステアリングホイール,運転席シート等に設けるといったように自車に設ける構成としてもよいし、運転手が装着するウェアラブルデバイスに設けられる構成としてもよい。運転手が装着するウェアラブルデバイスに生体センサ22が設けられている場合には、例えば無線通信を介して、生体センサ22での計測結果をHCU20が取得する構成とすればよい。
表示装置23としては、例えばコンビネーションメータ、CID(Center Information Display)、HUD(Head-Up Display)、LED、ナビゲーション装置のディスプレイ(以下、ナビ画面)等がある。この表示装置23が請求項のサブ刺激装置に相当する。コンビネーションメータは、運転席の前方に配置される。CIDは、車室内にてセンタクラスタの上方に配置される。コンビネーションメータは、HCU20から取得した画像データに基づいて、情報提示のための種々の画像を液晶ディスプレイの表示画面に表示する。HUDは、HCU20から取得した画像データに基づく画像の光を、ウインドシールドに規定された投影領域に投影する。ウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する運転手によって知覚される。運転手は、HUDによって投影された画像の虚像を、自車前方の外界風景と重ねて視認可能となる。LEDは、インストルメントパネル,運転席足元等に設けられ、HCU20によって発光が制御される。音声出力装置24としては、例えば音声を出力するオーディオスピーカ,音を出力するブザー等がある。この音声出力装置24も請求項のサブ刺激装置に相当する。
操作デバイス25は、運転手が操作するスイッチ群である。例えば、操作デバイス25としては、自車のステアリングのスポーク部に設けられたステアリングスイッチ,ディスプレイを有する表示装置23と一体となったタッチスイッチ等がある。本実施形態では、操作デバイス25に、覚醒を維持するための刺激(以下、覚醒刺激)の発生を運転手が要求するためのスイッチ(以下、刺激要求スイッチ)、及び運転手が不快状態にあることを伝えるためのスイッチ(不快スイッチ)が含まれるものとして以降の説明を行う。
HCU20は、プロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成され、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non- transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。HCU20が請求項の覚醒維持装置に相当する。なお、HCU20での処理の詳細については後述する。
<HCU20の概略構成>
続いて、図2を用いて、HCU20の概略構成について説明を行う。HCU20は、生体情報取得部201、負荷推定部202、トリガ検知部203、メイン刺激制御部206、及びサブ刺激制御部207を備えている。なお、HCU20が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、HCU20が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
生体情報取得部201は、生体センサ22で計測した生体情報を取得する。負荷推定部202は、自車の運転手の運転負荷を推定する。負荷推定部202は、運転負荷の度合いを2段階よりも多い区分に分けて推定する構成としてもよいが、以下では運転負荷が高いか否かの2段階に分けて推定する構成を例に挙げて説明を行う。ここで言うところの運転負荷とは、運転中にドライバが処理しなければならない作業による負荷を意味している。
例えば、負荷推定部202は、自車の走行環境に応じて運転負荷を推定する構成とすればよい。運転負荷の推定に用いる自車の走行環境は、例えば周辺監視センサ5のセンシング結果等から運転支援ECU6で認識したものを用いればよい。一例として、自車周辺の混雑の度合いが閾値以上の場合に、運転負荷が高いと推定すればよい。負荷推定部202は、例えば、自車周辺の混雑の度合いを、通信モジュールを介して取得する渋滞情報から特定すればよい。また、運転支援ECU6で認識した走行環境において自車周辺の車両台数が閾値以上の場合に、運転負荷が高いと推定してもよい。他にも、自車の進路上に自転車,歩行者が存在する場合に、運転負荷が高いと推定してもよいし、自車と自転車,歩行者等の注意対象物との距離が規定値以下の場合に、運転負荷が高いと推定してもよい。他にも、負荷推定部202は、自車の走行路の道路種別,道路形状等に応じて、運転負荷を推定してもよい。一例としては、自車が高速道路を走行している場合に運転負荷が高いと推定したり、自車がカーブ路を走行している場合に運転負荷が高いと推定したりしてもよい。
また、負荷推定部202は、自車の運転手の運転操作の煩雑さに応じて運転負荷を推定してもよい。自車の運転手の運転操作の煩雑さとしては、自車のアクセルペダル、ブレーキペダル、及びステアリングホイールの少なくともいずれかの操作情報の推移を用いればよい。例えば、アクセルポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、舵角センサ、及び車速センサの少なくともいずれかで検出される値の単位時間あたりの変化量が多くなるのに応じて、運転負荷を高く推定すればよい。
トリガ検知部203は、所定のトリガを検知する。トリガ検知部203は、図2に示すように、眠気検知部204及び不快検知部205を備えている。眠気検知部204は、自車の運転手の眠気を示すトリガを検知する。不快検知部205は、自車の運転手の不快を示すトリガを検知する。
例えば眠気検知部204は、DSM21で検知した覚醒度が閾値以上であった場合に、眠気を示すトリガとして検知する。なお、ここで言うところの閾値とは、運転手による運転操作を行う場合に、覚醒させる必要が生じる程度の眠気である覚醒度「2」としてもよいし、眠気がある覚醒度「1」としてもよい。他にも、眠気検知部204は、操作デバイス25のうちの刺激要求スイッチで操作を受け付けた場合に、眠気を示すトリガとして検知する構成としてもよい。刺激要求スイッチは、運転手が自らのタイミングで覚醒刺激を発生させたい場合に、運転手が操作を行うものとすればよい。眠気検知部204は、DSM21から覚醒度のレベルが取得できる場合のように、眠気の度合いの情報を取得できる場合には、眠気の度合いも検知することが好ましい。なお、眠気検知部204で検知する眠気を示すトリガは、後述の覚醒刺激を開始するトリガとなる。
また、不快検知部205は、DSM21で運転手の不快を検知した場合に、不快を示すトリガとして検知する。他にも、不快検知部205は、操作デバイス25のうちの不快スイッチで操作を受け付けた場合に、不快を示すトリガとして検知する。不快検知部205は、DSM21から不快のレベルが取得できる場合のように、不快の度合いの情報を取得できる場合には、不快の度合いも検知することが好ましい。なお、不快検知部205で検知する不快を示すトリガは、後述の心理誘導刺激を開始するトリガとなる。
なお、トリガ検知部203は、運転支援ECU6をモニタすることにより、自動運転の自動化レベルが運転手に監視義務のないレベルから運転手に監視義務のあるレベルに切り替わることを、レベルの切り替え前に、後述の覚醒刺激を開始するトリガとして検知する構成としてもよい。
メイン刺激制御部206は、眠気検知部204で眠気を示すトリガを検知した場合に、覚醒刺激を発生するメイン刺激装置から、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させる。メイン刺激装置としては、エアコンユニット91、及びアロマユニット92がある。メイン刺激制御部206は、エアコンユニット91及びアロマユニット92について、空調制御ECU90へ向けて空調要求情報を出力することにより作動を制御する。
なお、メイン刺激制御部206は、トリガ検知部203が、自動運転の自動化レベルが運転手に監視義務のないレベルから運転手に監視義務のあるレベルに切り替わることを所定のトリガとして検知した場合に、覚醒刺激を開始させる構成としてもよい。
エアコンユニット91から発生させる覚醒刺激は、一例として冷風とする。アロマユニット92から発生させる覚醒刺激は、一例として覚醒効果のある芳香とする。また、覚醒刺激の種類としては、刺激を行う人体の部位が異なる場合は異なる種類の覚醒刺激とする。例えば、首に向けての風と手に向けての風は、それぞれ異なる種類の覚醒刺激とする。つまり、覚醒刺激の種類には、風,芳香といった物理的に異なる種類だけでなく、刺激部位の違いも種類に含む。
また、メイン刺激制御部206は、図3に示すようにローテーション制御部261及びゆらぎ制御部266を備えている。図3に示すように、ローテーション制御部261は、順番制御部262、急峻さ制御部263、変更周期制御部264、及び強度差制御部265を備えており、ゆらぎ制御部266は、ゆらぎ周期制御部267及びゆらぎ幅制御部268を備えている。
ローテーション制御部261は、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度が順番に強くなるように覚醒刺激の強度を変更させる(つまり、ローテーションさせる)。また、ゆらぎ制御部266は、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる。ここで言うところのゆらぎとは、覚醒刺激の強度が、基準となる強度を中心に周期的に上下に変動する状態を示す。
また、メイン刺激制御部206は、眠気検知部204で眠気の度合いも検知した場合には、検知した眠気の度合いが高くなるのに応じて覚醒刺激の強度を強くさせることが好ましい。なお、ゆらぎ制御部266で生じさせるゆらぎについては、基準となる強度を、検知した眠気の度合いが高くなるのに応じて強くすればよい。覚醒刺激が風の場合には、風の温度を下げたり風量を上げたりすればよく、覚醒刺激が芳香の場合には、芳香成分の濃度を上げればよい。本実施形態では、覚醒刺激が、運転手のそれぞれ異なる部位に向けられる冷風である場合を例に挙げて以降の説明を行う。
なお、メイン刺激制御部206は、眠気の度合いが高くなるのに応じて覚醒刺激の強度を強くする場合に、生体情報取得部201で生体センサ22から取得した生体情報をもとに、覚醒刺激の強度を制限することが好ましい。一例としては、閾値を超える体温の低下,脈拍の低下,血圧の上昇等といった、閾値を超える生体情報が得られる場合に、覚醒刺激の強度を強くすることを中止する構成とすればよい。ここで言うところの閾値とは、標準的な生体情報の範囲内におさまった値であって、標準的な生体情報の範囲を超える前に覚醒刺激の強度を制限できるように設定することが好ましい。これによれば、覚醒刺激の強度が強すぎることによるドライバの体調の悪化を防ぐことができる。
ここで、図4を用いて、ローテーション制御部261での覚醒刺激の強度の制御について説明を行う。図4では、便宜上、覚醒刺激の種類は覚醒刺激A~Cの3種類である場合を例に挙げて説明を行う。図4のグラフの縦軸が強度を示しており、横軸が時間を示している。
図4に示すように、ローテーション制御部261は、複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションで順に強くしていく。つまり、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の発生態様を逐次変更させる。ローテーション制御部261では、ある種類の覚醒刺激の強度を強くしている場合には、他の種類の覚醒刺激の強度は弱くしている。図4では、覚醒刺激A,覚醒刺激B,覚醒刺激Cの順に強度を強くしていく場合の例を示している。
また、ローテーション制御部261は、順番制御部262、急峻さ制御部263、変更周期制御部264、及び強度差制御部265により、各メイン刺激装置で覚醒刺激の強度を強くするタイミング,強度の大きさ,強度の時間変化率(つまり、急峻さ)を制御し、切り替える。ローテーション制御部261は、この切り替えによっても、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の発生態様を変更させる。
順番制御部262は、各メイン刺激装置から覚醒刺激を発生させるローテーションの順番を制御する。一例として、順番制御部262は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているローテーションの順番についてのデフォルトの設定値に従い、ローテーションの順番を制御する構成とすればよい。
また、順番制御部262は、所定の条件を満たした場合に、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションで順番に強くしていく際の、この順番を切り替える。所定の条件の一例としては、メイン刺激制御部206で覚醒刺激を発生させたにもかかわらず、眠気検知部204で閾値以上の眠気を検知した場合等がある。なお、順番制御部262は、ローテーションの順番を、ランダムに切り替える構成としてもよいし、デフォルトの設定値と逆の順番に切り替える構成としてもよい。
急峻さ制御部263は、各メイン刺激装置から発生させる覚醒刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の強度変化の急峻さを制御する。一例として、急峻さ制御部263は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている覚醒刺激の強度を変化させる際の時間変化率のデフォルトの設定値に従い、ローテーションの順番を制御する構成とすればよい。また、急峻さ制御部263は、所定の条件を満たした場合に、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度変化の急峻さを切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部262で説明したものと同様とすればよい。強度変化の急峻さの切り替えは、急峻さが大きくなるように切り替える構成としてもよいし、急峻さが小さくなるように切り替える構成としてもよいし、急峻さをランダムに切り替える構成としてもよい。
変更周期制御部264は、各メイン刺激装置からそれぞれ発生させる覚醒刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の変更の周期(以下、変更周期)を制御する。一例として、変更周期制御部264は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている変更周期のデフォルトの設定値に従い、変更周期を制御する構成とすればよい。また、変更周期制御部264は、所定の条件を満たした場合に、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更周期を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部262で説明したものと同様とすればよい。変更周期の切り替えは、変更周期が短くなるように切り替える構成としてもよいし、変更周期が長くなるように切り替える構成としてもよいし、変更周期をランダムに切り替える構成としてもよい。
強度差制御部265は、各メイン刺激装置からそれぞれ発生させる覚醒刺激の強度をローテーションで強く変更していく際の、各々の覚醒刺激の上限と下限との強度差(以下、変更強度差)を制御する。変更強度差は、ローテーションで覚醒刺激の強度を強弱2つのパターンに変化させる際の、強度を強くしているときと強度を弱くしているときの強度差と言い換えることもできる。一例として、強度差制御部265は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている変更強度差のデフォルトの設定値に従い、変更強度差を制御する構成とすればよい。
また、強度差制御部265は、所定の条件を満たした場合に、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更強度差を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部262で説明したものと同様とすればよい。変更強度差の切り替えは、変更強度差が大きくなるように切り替える構成としてもよいし、変更強度差が小さくなるように切り替える構成としてもよいし、変更強度差をランダムに切り替える構成としてもよい。また、強度の上限のみを変化させることで変更強度差を切り替える構成としてもよいし、強度の下限のみを変化させることで変更強度差を切り替える構成としてもよいし、強度の上限と下限との両方を変化させることで変更強度差を切り替える構成としてもよい。
なお、急峻さ制御部263,変更周期制御部264,強度差制御部265によって制御する急峻さ,変更周期,変更強度差については、覚醒刺激の種類ごとに異なる値であってもよい。
続いて、図5を用いて、ゆらぎ制御部266での覚醒刺激の強度の制御について説明を行う。図5でも、便宜上、覚醒刺激の種類は覚醒刺激A~Cの3種類である場合を例に挙げて説明を行う。図5のグラフの縦軸が強度を示しており、横軸が時間を示している。
図5に示すように、ゆらぎ制御部266は、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる。つまり、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の発生態様を逐次変更させる。図5では、覚醒刺激A,覚醒刺激B,覚醒刺激Cのそれぞれについて、ローテーション制御部261での制御に用いる設定値に従った強度(図5中の破線参照)を基準として、この基準を中心に周期的に強度を上下に変動させる場合の例を示している。
ゆらぎ周期制御部267は、各メイン刺激装置からそれぞれ発生させる覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる際の、このゆらぎの周期を(以下、ゆらぎ周期)を制御する。一例として、ゆらぎ周期制御部267は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているゆらぎ周期のデフォルトの設定値に従い、ゆらぎ周期を制御する構成とすればよい。
また、ゆらぎ周期制御部267は、所定の条件を満たした場合に、各メイン刺激装置からそれぞれ発生させる覚醒刺激のゆらぎ周期を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部262で説明したものと同様とすればよい。ゆらぎ周期の切り替えは、ゆらぎ周期が短くなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ周期が長くなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ周期をランダムに切り替える構成としてもよい。
さらに、ゆらぎ周期制御部267は、ゆらぎ周期を切り替える場合に、切り替え後のゆらぎ周期と、変更周期制御部264で制御されている変更周期とを比較する。そして、ゆらぎ周期が変更周期以上であった場合には、切り替え後のゆらぎ周期を、変更周期よりも短いゆらぎ周期に変更する。つまり、ゆらぎ周期制御部267は、ゆらぎ周期を切り替える場合に、ゆらぎ周期が変更周期よりも短くなるようにゆらぎ周期を切り替える。これは、ゆらぎ周期が変更周期以上の長さとなった場合、変更周期制御部264での覚醒刺激の強度のローテーションとゆらぎ周期制御部267での覚醒刺激の強度のゆらぎとが、運転手に混同され、強度のローテーションとゆらぎとの相乗効果による覚醒状態の維持の効果が弱まるためである。
ゆらぎ幅制御部268は、各メイン刺激装置からそれぞれ発生させる覚醒刺激の各々の強度にゆらぎが生じるように覚醒刺激の強度を変更させる際の、このゆらぎにおける覚醒刺激の強度のゆらぎ幅を制御する。ゆらぎ幅は、ゆらぎにおける覚醒刺激の強度の上限と下限との強度差と言い換えることもできる。一例として、ゆらぎ幅制御部268は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されているゆらぎ幅のデフォルトの設定値に従い、ゆらぎ幅を制御する構成とすればよい。
また、ゆらぎ幅制御部268は、所定の条件を満たした場合に、各メイン刺激装置からそれぞれ発生させる覚醒刺激のゆらぎ幅を切り替える。所定の条件の一例については、順番制御部262で説明したものと同様とすればよい。ゆらぎ幅の切り替えは、ゆらぎ幅が大きくなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅が小さくなるように切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅をランダムに切り替える構成としてもよい。また、ゆらぎ幅の上限のみを変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅の下限のみを変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよいし、ゆらぎ幅の上限と下限との両方を変化させることでゆらぎ幅を切り替える構成としてもよい。
さらに、ゆらぎ幅制御部268は、ゆらぎ幅を切り替える場合に、切り替え後のゆらぎ幅と、強度差制御部265で制御されている変更強度差とを比較する。そして、ゆらぎ幅が変更強度差以上であった場合には、切り替え後のゆらぎ幅を、変更強度差よりも強度の上限と下限との差が小さいゆらぎ幅に変更する。つまり、ゆらぎ幅制御部268は、ゆらぎ幅を切り替える場合に、ゆらぎ幅が変更強度差よりも小さくなるようにゆらぎ幅を切り替える。これは、ゆらぎ幅が変更強度差以上の大きさとなった場合、強度差制御部265での覚醒刺激の強度のローテーションとゆらぎ幅制御部268での覚醒刺激の強度のゆらぎとが、運転手に混同され、強度のローテーションとゆらぎとの相乗効果による覚醒状態の維持の効果が弱まるためである。
サブ刺激制御部207は、メイン刺激制御部206で覚醒刺激を発生させている期間において、不快検知部205で不快を示すトリガを検知した場合に、運転手の心理状態を誘導するための心理誘導刺激を発生するサブ刺激装置から、心理誘導刺激を発生させる。サブ刺激装置としては、表示装置23及び音声出力装置24がある。なお、不快検知部205は、メイン刺激制御部206で覚醒刺激を発生させていない期間においては、不快を検知しない構成とすることが好ましい。これによれば、覚醒刺激に対して運転手が不快な状態となった場合に絞って、精度よく心理的誘導刺激を行うことが可能になる。
例えば心理誘導刺激としては、運転手の心理状態を快方向に誘導すると推定される刺激を用いればよい。これによれば、覚醒刺激に対して運転手が不快な状態となった場合でも、心理的誘導刺激によって運転手の心理状態を快方向に誘導し、運転手の不快感を抑えることが可能になる。他にも、心理誘導刺激としては、覚醒刺激による身体的な感覚と相反する感覚を運転手に想起させると推定される刺激を用いてもよい。これによれば、運転手を不快な状態にしている覚醒刺激による身体的な感覚と相反する感覚を運転手に想起させることにより、覚醒刺激による不快感を低減することが可能になる。
また、心理誘導刺激としては、運転手の心理状態を快方向に誘導すると推定されるとともに、覚醒刺激による身体的な感覚と相反する感覚を運転手に想起させると推定される刺激を用いてもよい。なお、「想起させる」とは、「イメージさせる」,「思い起こさせる」と言い換えることもできる。心理誘導刺激は、覚醒刺激による覚醒効果を低減しにくいように、覚醒刺激とは刺激の種類が物理的に異なる刺激を用いるものとする。
以降では、心理誘導刺激として、覚醒刺激による身体的な感覚と相反する感覚を運転手に想起させると推定される刺激を用いる場合を例に挙げて説明を行う。本実施形態の例では、覚醒刺激は運転手のそれぞれ異なる部位に向けられた冷風であるので、心理誘導刺激は、冷たいという感覚と相反する暖かいという感覚を運転手に想起させると推定される刺激となる。
表示装置23から発生させる心理誘導刺激は、一例として、LEDでの暖色系の色の発光、及びコンビネーションメータ,CID,ナビ画面等での南国若しくは夏の画像の表示とする。音声出力装置24から発生させる心理誘導刺激は、一例として、スピーカからの自然音の出力、及び夏をテーマとした楽曲の出力とする。
また、サブ刺激制御部207は、不快検知部205で不快の度合いも検知した場合には、検知した不快の度合いが高くなるのに応じて心理誘導刺激の強度を強くさせることが好ましい。なお、サブ刺激制御部207は、心理誘導刺激の強度を強くさせるだけでなく、心理誘導刺激の種類も変える構成としてもよい。
さらに、サブ刺激制御部207は、自車の周辺環境条件に応じて、その周辺環境条件によって心理誘導の効果が弱まると推定される種類の心理誘導刺激を行わないようにすることが好ましい。例えば、トンネル内でオレンジ色のライトが点灯している場合のように、暖色系の色の光が自車に照射されている環境下(以下、暖色光照射)では、LEDでの暖色系の色の発光を行わないようにすればよい。暖色光照射の有無の判定は、運転支援ECU6で認識した走行環境がトンネル内か否かによって行ってもよいし、周辺監視カメラの画像を画像認識することによって行ってもよい。また、サブ刺激制御部207は、自車の周辺環境条件として、負荷推定部202で運転負荷が高いと推定している場合には、心理誘導刺激を行わないようにすることが好ましい。これによれば、運転負荷が高く運転手が運転に集中すべき場合には、心理誘導刺激による不快な状態の解消よりも、不快な状態であっても覚醒度を高く保つことを優先して、運転手を運転に集中しやすくできる。
以降では、サブ刺激制御部207は、不快の度合い及び周辺環境条件に応じて、用いる心理誘導刺激を選定し、心理誘導刺激を発生させる場合を例に挙げて以降の説明を行う。サブ刺激制御部207は、HCU20の不揮発性メモリに予め記憶されている、不快の度合い及び周辺環境条件と、心理誘導刺激の種類、強度、用いるサブ刺激装置、及び刺激の提示方法との対応関係を参照し、不快の度合い及び周辺環境条件に応じて、用いる心理誘導刺激を選定する構成とすればよい。
ここで、図6を用いて、サブ刺激制御部207での、不快の度合い及び周辺環境条件に応じた心理誘導刺激の選定の一例について説明する。不快の度合いは、前述した不快レベル「1」~「5」までとする。図6では、便宜上、選定の一部の例についてのみ示している。
不快レベル「1」であって、周辺環境条件が暖色光照射「なし」及び運転負荷「低」を満たす場合には、表示装置23のうちのメータ周辺のLEDに、弱い発光強度の桃色の発光を定常的に行わせるという心理誘導刺激を選定する。メータ周辺のLEDは、運転手にとって周辺視野にあたり、このLEDの発光は間接的にドライバの視野に入ってくる間接光となる。桃色の発光は、暖色系の色の発光であるので、暖かいという感覚を運転手に想起させる。
不快レベル「1」であって、運転負荷「低」を満たす場合には、音声出力装置24のうちのスピーカに、弱い音量の鳥のさえずりといった自然音を、ラジオ若しくはナビゲーション装置の音声が出力されている場合でも重畳して出力させるという心理誘導刺激を選定する。鳥のさえずりといった自然音は、吹き出し口からの冷風の風切り音を軽減することに加え、晴天をイメージさせることで暖かいという感覚を運転手に想起させる。
不快レベル「2」であって、周辺環境条件が暖色光照射「なし」及び運転負荷「低」を満たす場合には、表示装置23のうちのメータ周辺のLED及び/又は運転席足元のLEDに、中程度の発光強度の赤色の発光を、強度をゆらがせながら行わせるという心理誘導刺激を選定する。運転席足元のLEDの発光は間接的にドライバの視野に入ってくる間接光となる。赤色の発光は、暖色系の色の発光であるので、暖かいという感覚を運転手に想起させる。さらに、赤色の発光をゆらがせることによって、炎をイメージさせることで暖かいという感覚を運転手に想起させる。
不快レベル「3」であって、周辺環境条件が自車での楽曲再生中「なし」及び運転負荷「低」を満たす場合には、音声出力装置24のうちのスピーカに、中程度の音量の夏をテーマにした楽曲を、ナビゲーション装置の音声が出力されている場合でも重畳して出力させるという心理誘導刺激を選定する。夏をテーマとした楽曲は、暖かいという感覚を運転手に想起させるとともに、吹き出し口からの冷風の風切り音を軽減することでも、暖かいという感覚を運転手に想起させる。
不快レベル「3」であって、周辺環境条件が暖色光照射「なし」及び運転負荷「低」を満たす場合には、表示装置23のうちのコンビネーションメータ、CID、及び/又はナビ画面に、中程度の明るさの南国の画像を、画面の余白、背景、若しくは枠等に、静止画像表示若しくは動画像表示させるという心理誘導刺激を選定する。南国の画像は、暖かいという感覚を運転手に想起させる。
不快レベル「4」であって、周辺環境条件が暖色光照射「なし」及び運転負荷「低」を満たす場合には、表示装置23のうちのコンビネーションメータ、CID、及び/又はナビ画面に、強程度の明るさの南国の画像を、余白、背景、若しくは枠等に、静止画像強若しくは動画像表示させるという心理誘導刺激を選定する。さらに、音声出力装置24のうちのスピーカに、南国の画像に合わせた強い音量の自然音を、ラジオ若しくはナビゲーション装置の音声が出力されている場合でも重畳して出力させるという心理誘導刺激を選定する。南国の画像は、暖かいという感覚を運転手に想起させ、自然音は、吹き出し口からの冷風の風切り音を軽減することに加え、南国のイメージを増強させることで暖かいという感覚を運転手に想起させる。
<HCU20での覚醒刺激関連処理>
続いて、図7のフローチャートを用いて、HCU20での覚醒刺激を発生させる制御に関連する処理(以下、覚醒刺激関連処理)の流れの一例について説明を行う。図7のフローチャートは、例えば、自車のイグニッション電源がオンになったときにHCU20の電源もオンになり開始する構成とすればよい。
まず、ステップS1では、眠気検知部204が、眠気を示すトリガを検知した場合(S1でYES)には、ステップS3に移る。一方、眠気を示すトリガを検知していない場合(S1でNO)には、ステップS2に移る。ステップS2では、覚醒刺激関連処理の終了タイミングであった場合(S2でYES)には、覚醒刺激関連処理を終了する。一方、覚醒刺激関連処理の終了タイミングでなかった場合(S2でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。覚醒刺激関連処理の終了タイミングの一例としては、自車のイグニッション電源がオフになったこと,運転手の監視義務のない自動化レベルの自動運転に切り替わったこと等がある。
ステップS3では、メイン刺激制御部206が、メイン刺激装置から複数種類の覚醒刺激を同時に発生させる。ステップS4では、ローテーション制御部261が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションさせる。つまり、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激にローテーションを付加する。また、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,変更強度差については、デフォルトの設定値に従って順番制御部262、急峻さ制御部263、変更周期制御部264、及び強度差制御部265で制御される。
ステップS5では、ゆらぎ制御部266が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる。つまり、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激にゆらぎを付加する。また、覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅については、デフォルトの設定値に従ってゆらぎ周期制御部267及びゆらぎ幅制御部268で制御される。
ステップS6では、不快検知部205が、不快を示すトリガを検知した場合(S6でYES)には、ステップS7に移る。一方、不快を示すトリガを検知していない場合(S6でNO)には、ステップS9に移る。ステップS7では、サブ刺激制御部207が、前述したように、不快検知部205で検知した不快の度合い、及び自車の周辺環境条件に応じて、用いる心理誘導刺激を選定する。ステップS8では、サブ刺激制御部207が、S7で選定した心理誘導刺激を発生させる。つまり、心理誘導刺激を開始させる。これによって、覚醒刺激を発生させているのに重ねて心理誘導刺激を発生させることになる。
ステップS9では、眠気検知部204が、眠気を示すトリガを再度検知した場合(S9でYES)には、ステップS10に移る。つまり、これまでの覚醒刺激では覚醒効果が乏しかった場合には、S10に移る。一方、眠気検知部204が、眠気を示すトリガを検知していない場合(S9でNO)には、S2に移る。つまり、覚醒刺激によって運転手が覚醒状態となった場合には、S2に移る。なお、S9の処理は、S3での覚醒刺激の開始から一定時間以上経過したことを条件として行われる構成としてもよい。ここで言うところの一定時間とは、任意に設定可能な時間とすればよい。
ステップS10では、順番制御部262が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のそれぞれの強度をローテーションで順番に強くしていく際のこの順番を、それまでの順番から切り替える。ステップS11では、変更周期制御部264が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更周期を、それまでの変更周期から切り替える。覚醒効果を高めるためには、変更周期が短くなるように切り替えることが好ましい。
ステップS12では、強度差制御部265が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の変更強度差を、それまでの変更強度差から切り替える。覚醒効果を高めるためには、変更強度差が大きくなるように切り替えることが好ましい。ステップS13では、急峻さ制御部263が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激の強度変化の急峻さを、それまでの急峻さから切り替える。覚醒効果を高めるためには、急峻さが増すように切り替えることが好ましい。
ステップS14では、ゆらぎ幅制御部268が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のゆらぎ幅を、それまでのゆらぎ幅から切り替える。覚醒効果を高めるためには、ゆらぎ幅が大きくなるように切り替えることが好ましい。
ステップS15では、ゆらぎ幅制御部268が、S14で切り替え後のゆらぎ幅と、強度差制御部265で制御されている現在の変更強度差とを比較する。そして、ゆらぎ幅が変更強度差未満であった場合(S15でYES)には、ステップS17に移る。一方、ゆらぎ幅が変更強度差以上であった場合(S15でNO)には、ステップS16に移る。ステップS16では、ゆらぎ幅制御部268が、S14で切り替え後のゆらぎ幅を、S14で切り替え前のゆらぎ幅とは異なるようにしつつ、現在の変更強度差よりも小さくなるように変更する。
ステップS17では、ゆらぎ周期制御部267が、メイン刺激装置から発生させる複数種類の覚醒刺激のゆらぎ周期を、それまでのゆらぎ周期から切り替える。覚醒効果を高めるためには、ゆらぎ周期が短くなるように切り替えることが好ましい。
ステップS18では、ゆらぎ周期制御部267が、S17で切り替え後のゆらぎ周期と、変更周期制御部264で制御されている現在の変更周期とを比較する。そして、ゆらぎ周期が変更周期未満であった場合(S18でYES)には、ステップS20に移る。一方、ゆらぎ周期が変更周期以上であった場合(S18でNO)には、ステップS19に移る。ステップS19では、ゆらぎ周期制御部267が、S17で切り替え後のゆらぎ周期を、S17で切り替え前のゆらぎ周期とは異なるようにしつつ、現在の変更周期よりも短くなるように変更する。
ステップS20では、覚醒刺激関連処理の終了タイミングであった場合(S20でYES)には、メイン刺激装置からの覚醒刺激の発生を終了させ、覚醒刺激関連処理を終了する。一方、覚醒刺激関連処理の終了タイミングでなかった場合(S20でNO)には、S6に戻って処理を繰り返す。
なお、図7のフローチャートでは、S9で眠気検知部204が眠気を示すトリガを検知した場合に、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,変更強度差、並びに覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅といった覚醒刺激の発生態様の全てを切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激の発生態様を1種類ずつ切り替えながら、その都度、眠気検知部204が眠気を示すトリガを検知したかをメイン刺激制御部206が判断し、眠気を示すトリガの検知が続く場合に、切り替える覚醒刺激の発生態様の種類を逐一増やしていく構成としてもよい。
サブ刺激制御部207は、不快検知部205で不快を示すトリガを検知しなくなった場合に、心理誘導刺激を終了させる構成とすればよい。また、S9で眠気を示すトリガを再度検知した場合に、サブ刺激制御部207が心理誘導刺激の強度を低下させたり、心理誘導刺激を終了させたりする構成としてもよい。特に、S10~S19の処理を経たにも関わらず、眠気検知部204が眠気を示すトリガを検知した場合に、サブ刺激制御部207が心理誘導刺激の強度を低下させたり、心理誘導刺激を終了させたりする構成としてもよい。
また、図7のフローチャートにおけるS15及びS16の処理を省略する構成としてもよいし、S18及びS19の処理を省略する構成としてもよい。他にも、S10~S14,S17の処理の全部若しくは一部を省略する構成としてもよい。
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、前述したように、サブ刺激制御部207で発生される心理誘導刺激によって、運転手の不快感を抑えることが可能になる。また、心理誘導刺激は、心理状態を誘導するためのものであって、覚醒刺激とは刺激の種類が物理的に異なるものであるので、運転手の覚醒状態への影響を抑えつつ、運転手の不快感を抑えることが可能になる。サブ刺激制御部207は、メイン刺激制御部206で覚醒刺激を発生させているのに重ねて、この心理誘導刺激を発生させるので、覚醒刺激による覚醒効果の低減を抑えつつ、運転手の心理状態を快方向に誘導することが可能になる。従って、覚醒刺激によって対象者が不快な状態となる場合であっても、心理誘導刺激によって不快感を抑えつつ、覚醒刺激による覚醒効果をより長い時間継続させることが可能になる。
また、実施形態1の構成によれば、不快検知部205で不快を示すトリガを検知した場合にサブ刺激制御部207が心理誘導刺激を発生させるので、ドライバが不快な状態になる前から心理誘導刺激を発生し続ける場合に比べ、心理誘導刺激への慣れが生じにくく、心理誘導刺激による不快感の低減の効果をより高めることが可能になる。他にも、サブ刺激制御部207は、不快検知部205で運転手の不快の度合いも検知できる場合には、この不快の度合いが高くなるのに応じて心理誘導刺激の強度を強くさせるので、不快の度合いが高くなるほど不快感の低減の効果を高め、不快感を抑える効果を高めることができる。
さらに、実施形態1の構成によれば、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させるので、単一の刺激を発生させる場合に比べて運転手が刺激に慣れにくい。また、複数種類の覚醒刺激の強度をローテーションさせたり、ゆらぎを生じさせたりするので、それぞれの覚醒刺激についての慣れも生じにくい。さらに、覚醒刺激による覚醒効果が薄れた場合に、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番,強度変化の急峻さ,変更周期,変更強度差、並びに覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期,ゆらぎ幅を、切り替えるので、覚醒刺激についての慣れが非常に生じにくくなる。特に、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番の切り替えは、運転手が認識しやすいと考えられることから、運転手が違和感を生じやすく、特に覚醒刺激への慣れが生じにくくなると考えられる。以上のように、本実施形態の構成によれば、覚醒刺激への慣れがより生じにくくなるため、運転手の覚醒効果をより長い時間継続させることが可能になる。
また、実施形態1の構成によれば、眠気検知部204で眠気を示すトリガを検知した場合に覚醒刺激を発生させるため、常に覚醒刺激を発生させ続ける構成に比べ、運転手が覚醒刺激を与えられる機会が少なく、覚醒刺激への慣れが生じにくい。
(実施形態2)
前述の実施形態では、ローテーション制御部261が、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番、強度変化の急峻さ、変更周期、及び変更強度差を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激の強度をローテーションさせる際の順番、強度変化の急峻さ、変更周期、及び変更強度差のうちの一部のみを切り替える構成としてもよい。
(実施形態3)
前述の実施形態では、ゆらぎ制御部266が、覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期及びゆらぎ幅を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激の強度にゆらぎを生じさせる際のゆらぎ周期及びゆらぎ幅のうちのいずれかのみを切り替える構成としてもよい。
(実施形態4)
前述の実施形態では、メイン刺激制御部206がローテーション制御部261とゆらぎ制御部266とを備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、メイン刺激制御部206がローテーション制御部261とゆらぎ制御部266とのいずれか一方のみを備える構成としてもよい。
(実施形態5)
前述の実施形態では、複数種類の覚醒刺激を同時に発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、複数種類の覚醒刺激のうちの一部の覚醒刺激の強度が0になるタイミングが存在する構成としてもよい。つまり、複数種類の覚醒刺激の少なくとも一部を同時に発生させる構成としてもよいし、複数種類の覚醒刺激の全てを異なるタイミングで順番に発生させる構成としてもよい。
(実施形態6)
前述の実施形態では、覚醒刺激として、風,芳香を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。覚醒刺激として、風,芳香以外にも、発光,音,振動等を用いる構成としてもよい。発光については、表示装置23のうちのLED等から、覚醒効果があると考えられる波長の発光を行わせる構成とすればよい。この場合、表示装置23がメイン刺激装置に相当する。音については、音声出力装置24のうちのスピーカ,ブザー等が、アラーム音,ブザー音を出力させる構成とすればよい。この場合には、音声出力装置24がメイン刺激装置に相当する。振動については、例えばステアリングホイール,運転席のシート等の自車の運転手が接触する箇所に設けられた振動子を振動させる構成とすればよい。この場合には、振動子がメイン刺激装置に相当する。なお、覚醒刺激として発光を用いる場合には、心理誘導刺激として発光を用いないものとし、覚醒刺激として音を用いる場合には、心理誘導刺激として音を用いないものとする。
(実施形態7)
前述の実施形態では、メイン刺激制御部206が複数種類の覚醒刺激を発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、メイン刺激制御部206が1種類の覚醒刺激しか発生させない構成としてもよい。
(実施形態8)
前述の実施形態では、不快検知部205で検知した不快の度合いが高くなるのに応じてサブ刺激制御部207が心理誘導刺激の強度を強くする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、サブ刺激制御部207は、不快検知部205で不快を示すトリガを検知した場合に、不快の度合いにかかわらず、一定の強度の心理誘導刺激を定常的に発生させる構成としてもよい。
(実施形態9)
前述の実施形態では、不快検知部205で不快を示すトリガを検知した場合にサブ刺激制御部207が心理誘導刺激を発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、不快検知部205で不快を示すトリガを検知したか否かにかかわらず、メイン刺激制御部206で覚醒刺激を発生しているのに重ねて、サブ刺激制御部207が心理誘導刺激を発生させる構成としてもよい。
(実施形態10)
前述の実施形態では、眠気検知部204で検知した眠気の度合いが高くなるのに応じてメイン刺激制御部206が覚醒刺激の基準となる強度を強くする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、メイン刺激制御部206は、眠気の度合いにかかわらず、覚醒刺激の基準となる強度は一定とする構成としてもよい。
(実施形態11)
前述の実施形態では、心理誘導刺激として、発光,音を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。心理誘導刺激として、例えば芳香等を用いる構成としてもよい。心理誘導刺激として芳香を用いる場合には、例えば運転手をリラックスさせる効果があると推定される芳香を用いればよい。なお、心理誘導刺激として芳香を用いる場合には覚醒刺激としては芳香を用いないものとする。
(実施形態12)
前述の実施形態では、サブ刺激制御部207が複数種類の心理誘導刺激を発生させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、サブ刺激制御部207が1種類の心理誘導刺激しか発生させない構成としてもよい。
(実施形態13)
前述の実施形態では、覚醒刺激が冷風である場合に対する心理誘導刺激を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。覚醒刺激が冷風以外の発光,音,振動等であった場合でも、心理誘導刺激として、覚醒刺激とは刺激の種類が物理的に異なる、運転手の心理状態を快方向に誘導すると推定される刺激を用いればよい。この心理誘導刺激は、心理状態を誘導するためのものであって、覚醒刺激とは刺激の種類が物理的に異なるものであるので、対象者の覚醒状態への影響を抑えつつ、対象者の心理状態を快方向に誘導することが可能になる。よって、覚醒刺激によって対象者が不快な状態となる場合であっても、心理誘導刺激によって不快感を抑えつつ、覚醒刺激による覚醒効果をより長い時間継続させることが可能になる。
(実施形態14)
前述の実施形態では、DSM21で検知した運転手の眠気が閾値以上であったことを眠気検知部204が眠気を示すトリガとして検知する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、生体センサ22で計測した計測結果から検知した運転手の眠気が閾値以上であったことを眠気検知部204が眠気を示すトリガとして検知する構成としてもよい。生体センサ22で計測した計測結果からの眠気の検知は、例えばHCU20で行う構成とすればよい。
眠気の検知に用いる生体センサ22及び計測結果の一例としては、脳波計で計測する脳波、心拍計で計測する心拍数,心拍ゆらぎ、脈波計で計測する脈波、皮膚電気活動計で計測する皮膚コンダクタンス等がある。また、計測結果からの眠気の検知方法については、公知の方法を用いればよい。
他にも、車両状態センサ7,周辺監視センサ5で検出した情報から検知した運転手の眠気が閾値以上であったことを眠気検知部204がトリガとして検知する構成としてもよい。車両状態センサ7で検出した情報からの眠気の検知は、例えばHCU20で行う構成とすればよい。眠気の検知に用いるセンサ及び情報の一例としては、舵角センサで検出する操舵角、周辺監視カメラで検出した走行区画線等がある。例えば、周辺監視カメラで逐次検出する走行区画線の位置から求められる自車の横揺れから眠気を検知したり、舵角センサで逐次検出する操舵角から求められるステアリング操作のばらつき量から眠気を検知したりすればよい。
(実施形態15)
前述の実施形態では、DSM21で運転手の不快を検知したことを不快検知部205が不快を示すトリガとして検知する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、生体センサ22で計測した計測結果から運転手の不快を検知したことを、不快検知部205がトリガとして検知する構成としてもよい。生体センサ22で計測した計測結果からの不快の検知は、例えばHCU20で行う構成とすればよい。不快の検知に用いる生体センサ22及び計測結果の一例としては、脳波計で計測する脳波、脈波計で計測する脈波等がある。また、計測結果からの不快の検知方法については、公知の方法を用いればよい。
(実施形態16)
前述の実施形態では、覚醒刺激関連処理をHCU20が担う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、覚醒刺激関連処理をHCU20と他のECUとで担う構成としてもよいし、覚醒刺激関連処理を他のECUが担う構成としてもよい。例えば、覚醒刺激関連処理のうちのメイン刺激制御部206に関する処理については空調制御ECU90が担い、覚醒刺激関連処理のうちのサブ刺激制御部207に関する処理についてはHCU20及び/又はメータECUが担うといった構成としてもよい。
(実施形態17)
前述の実施形態では、運転支援システム1が自動車で用いられる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。運転支援システム1は種々の移動体で用いることが可能であり、例えば、鉄道車両,原動機付自転車等の自動車以外の車両で用いられる構成としてもよいし、航空機,船舶等の車両以外の移動体で用いる構成としてもよい。また、本発明は、移動体以外の家屋,施設等の室内で用いる構成としてもよい。この場合、この室内における覚醒状態の維持の対象者が請求項の対象者に相当する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。