以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する3つの遊技場A,B,Cでは、各遊技者の遊技状況を管理する共通のシステム(遊技場用管理システム100)が構築されていることから、以下では、遊技場Aの構成を中心に説明する。
遊技場A内には、複数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3が夫々付設されている。遊技機1、計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4に接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
また、遊技場A内には、精算装置7や景品交換端末(以下、POS)8も設置されており、これら精算装置7やPOS8もLAN5を介して管理装置6と接続されている。精算装置7は、一般カードや会員カード(図3に符号9,10で示す)がカード挿入口7aに挿入されると、図示しないカードリーダライタでカード9,10を読取って入金残高を特定し、その入金残高に対応する紙幣や硬貨を返却口7bから払い戻す返却処理を行う。POS8は、付属するカード処理機8aでカード9,10を読取って遊技価値(持玉数・貯玉数)を特定し、その遊技価値に基づき景品交換処理を行う。尚、持玉とは当日中に計数した玉であり、貯玉とは前日以前に計数した玉である。
管理装置6は、遊技場A内の例えば事務所等に設置されており、モニタ6m、キーボード6k等が接続されている。管理装置6は、遊技機1、計数貸出ユニット2、遊技情報表示装置3等、上記した各種機器から出力される遊技データを入力することで、各種機器の稼動状況、会員登録された会員毎の個人データ等を管理する。尚、図1では図示を省略したが、同図のパチンコ機の他、所謂スロットマシンも含めて例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
図2に示すように、遊技機1はCRパチンコ機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面11に、液晶表示部15、始動口16、大入賞口17を有する。また、遊技機1における上部受皿13の上面には、左右に並ぶ貸出ボタン13aと返却ボタン13bを有する。
遊技者が操作ハンドル12を操作すると、玉が盤面11に発射され、その玉が始動口16に入賞すると、その入賞に応じた数の玉を払出したり大当たり抽選を行ったりする。大当たり抽選では、液晶表示部15において所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口17を開放する。
遊技機1からは遊技の実行に応じて以下の信号が管理装置6側へ送信される。
・打込信号:遊技機1に対して打込まれた玉数(遊技媒体の数)を示す信号。
・払出信号:遊技機1から払い出された玉数を示す信号。
・大当たり信号:大当たり状態が発生したことを示す信号。
・スタート信号:大当たりの発生契機となる電動役物が作動(図柄変動)したことを示す信号。
計数貸出ユニット2は、各遊技機1に対応する位置に設けられ、所謂各台計数機能を備える。具体的には図2に示すように、計数貸出ユニット2は、現在の運用状態(例えば正常状態、エラー状態等)を示す状態表示部21、紙幣が投入される紙幣投入口22、周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を含むカメラ23(図2では前面のカメラ窓23aのみ図示)、遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部24、1単位分(単位付与数)の玉を払い出すための払出ボタン25、払出された玉が通過する払出ノズル26、一般カード9或は会員カード10が挿入されるカード挿入口28、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿29等を備えている。
図3の機能ブロック図は、計数貸出ユニット2の構成を中心に示している。計数貸出ユニット2の制御部20は、CPU20a、ROM20b、RAM20c、I/O20d等を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御部20に接続された周辺部としては、上記した状態表示部21、液晶表示部24、払出ボタン25を含むとともに、管理装置6や遊技機1との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部20e、紙幣投入口22に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部22a、液晶表示部24上に設けられたタッチパネル24a、カード挿入口28に挿入されたカード9,10に記憶されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードRW(リーダライタ)28a、最大10枚の一般カード9をストック可能なカードストック部28b、払出ボタン25が操作されたときに、1度数分の玉を払出ノズル26から払い出す払出部25a、計数受皿29から流入する玉数を計数する計数部29a等を含む。これに対し、カメラ23は、制御部20に接続されることなく、図1に示すように4台ずつ画像処理装置30と接続されている。画像処理装置30は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
一般カード9は、当日限り有効なカードであり、ICチップ9aが内蔵されている。ICチップ9aには、カードを特定可能な一般IDが記憶されているとともに、計数貸出ユニット2に入金された入金残高や持玉数が記憶される。この一般カード9の持玉数は当日のみ有効で、入金残高は翌日以降も利用可能とされている。
会員カード10は、予め設定されている有効期限(例えば3年間)まで有効なカードであり、ICチップ10aが内蔵されている。ICチップ10aには、会員登録を行った遊技者を特定可能な会員IDが記憶されているとともに入金残高が記憶される。会員カード10に対応する持玉数や貯玉数は管理装置6の会員口座に記憶される。この会員カード10の持玉数、貯玉数、並びに入金残高は、翌日以降も利用可能とされている。
計数貸出ユニット2は、以下に示す機能を備えている。
(1)カード9,10の未挿入状態で紙幣投入口22へ投入された紙幣を受付けると(貨幣受付処理を行うと)、カードストック部28bに収納している一般カード9をカードRW28aへ繰り出して、その入金金額(1000円単位)を記憶するとともに、当該入金金額(入金残高)を液晶表示部24に表示する。このとき、1度数(500円)は、貸出単価が4円のパチンコ機では125玉であるから、入金残高に相当する度数を液晶表示部24に表示してもよい。
(2)遊技機1の貸出ボタン13aの操作(貸出操作)に応じて入金残高の範囲内で1度数に相当する玉を遊技機1内部の払出機構から貸し出す貸出処理を行う。
(3)遊技機1の下部受皿14から落下して計数受皿29で受けられた玉が計数部29aに流入することで玉を計数し、その計数した玉数である計数玉数を液晶表示部24に表示する。
(4)払出ボタン25の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員遊技者の場合)の範囲内で1度数ずつ前記払出機構から払い出す。
(5)遊技機1の返却ボタン13bの操作に応じて入金残高及び持玉数をカード挿入口28に挿入されている一般カード9に記憶して発行する。会員カード10が挿入されている場合は、入金残高を会員カード10に記憶して発行する。カード挿入口28に何れのカード9,10も挿入されていない場合は、カードストック部28bにストックしている一般カード9を図示しない記録媒体移動手段によりカードRW28aに繰出して、そのカード9に入金残高及び持玉数を記憶して発行する。
また、入金残高及び持玉数が何れも「0」となった場合は、カードRW28aにセットされた一般カード9を記録媒体移動手段によりカードストック部28bに回収する。尚、カードストック部28bのカード9が無くなったとき、状態表示部21において、エラー状態を表し、従業員によりカード9が挿入口28から補充されると正常状態に復帰する。
(6)一般カード9がカード挿入口28に挿入された場合は、一般カード9に記憶されている入金残高及び持玉数をカードRW28aにより読出して液晶表示部24に表示する。会員カード10が挿入された場合は、会員カード10に記憶されている入金残高を読出して液晶表示部24に表示すると共に持玉数を管理装置6から受信して表示し、又、暗証番号の入力を条件として貯玉数を管理装置6から受信して表示する。
計数貸出ユニット2の制御部20(以下、適宜「計数貸出ユニット2」と略す)は、上記した機能の他、以下の信号を管理装置6側へ送信する機能を有する。
・売上信号:玉の貸出しに伴い使用された金額(使用金額)を示す信号。
・貯玉払出信号:会員カード10で貯玉を使用する場合に、払い出された貯玉数を示す信号。
・カード発行信号:上記したカード9,10の発行処理(返却処理)を行う場合に、該当するカード9,10に記憶される入金残高や持玉数を示す信号。
計数貸出ユニット2のカメラ23は、所定周期毎に(例えば4秒毎に)撮像し、その撮像した画像を画像処理装置30に送信する。カメラ23の撮像視野は、遊技者が遊技機1に対して正対している状態で当該遊技者の顔を含む領域となるように設定されている。
画像処理装置30は、4台のカメラ23から送信される各画像を1秒間隔で取込み、その取込んだ画像を分析することにより、当該画像の中に遊技者の顔画像が存在するか否かを判定し、顔画像が存在すると判定すると、その顔画像を管理装置6に送信する。この点、カメラ23から送信される画像に遊技者が含まれていても、その遊技者が例えば不自然な方向を向く等して不自然な姿勢で遊技していれば、画像処理装置30により顔画像を認識できないため、その画像を管理装置6に送信しない場合がある。
尚、画像処理装置30から顔画像を受信した管理装置6は、同一人物判定及び要注意人物判定を行う。同一人物判定では、受信した顔画像に対して例えば特徴点の抽出等の画像処理を行い、当日の顔画像データベースに既に登録されている顔画像と照合して、同一人物か否かを判定する。照合した顔画像が未だ顔画像データベースに登録されていない顔画像(つまり新規の遊技者)であると判定すると、顔IDを付与して当日の顔画像データベースに登録するとともに、その顔IDを遊技データと対応付けて記憶する。一方、顔画像が既に顔画像データベースに登録されている顔画像(つまり既知の遊技者)であると判定すると、その顔IDに対応付けている遊技データを更新する。要注意人物判定では、その顔画像と、要注意データベースに登録されている顔画像とを照合し、同一人物の顔画像が要注意データベースに登録されているか否かを判定する。同一人物の顔画像が要注意データベースに登録されていると判定すると、要注意人物が来店した旨を例えばインカム装置(図示略)等により遊技場Aの従業員に報知する。
図3に示す管理装置6の制御部60(以下、適宜「管理装置6」と略す)は、マイクロコンピュータを主体に構成され、ROMやRAMといった記憶部60aや、I/O等を備えており、その記憶部60aに記憶された制御プログラムに従い動作する。また、管理装置6は、上記した遊技機1や計数貸出ユニット2から送信される各種の遊技信号に基づいて、以下の遊技データを含む各種の遊技データを管理する(後述の図8(a)等参照)。
・打込玉数:遊技機1に対して打込まれた玉数。
・払出玉数:遊技機1から払い出された玉数。
・大当たり回数:遊技機1で発生した大当たりの回数。
・稼動時間:遊技機1が稼動している時間。
そして、管理装置6は、図1に示す通信回線(インターネット、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)等)32に接続可能となっており、センターに設置されている管理サーバ31と通信回線32等を介して通信可能である。遊技場B、Cでも遊技場Aの同等の構成が実現されており、遊技場B、Cの管理装置6(図示略)についても、遊技場Aの管理装置6と同様、通信回線32に接続可能とされている。
また、図1の携帯端末33は、例えばスマートフォンといった携帯可能な通信端末であり、そのユーザと通信事業者との間で所定の契約を締結することにより通信事業者から提供される各種通信サービスを受けることが可能となる。携帯端末33は、CPU、ROM、RAM等を含む制御部、通信回線32に接続するデータ通信部、電話する際の送話音声を入力するマイクロホン、画面上でタッチ操作を受付ける(入力を受付けるタッチパネル)機能と各種情報を表示する機能とを有する液晶表示部33a等を備えている。
管理サーバ31は、通信回線32を介して、遊技場A〜Cの管理装置6と通信可能に接続されている。管理サーバ31は、各遊技場A〜Cにおける各種の遊技データを記憶するとともに、携帯端末33等のOS(Operating System)に対応する後述のアプリケーションソフトを記憶しており、管理サーバ31から携帯端末33へとアプリケーションソフトをダウンロードすることができる。また、管理サーバ31や遊技場A〜Cの管理装置6は、会員のメールアドレス(図7(a)参照)も記憶しており、メールサーバとして機能する。
ところで、「従来技術」で述べたように、近年のギャンブル依存症の問題について、遊技場もその対策を講じようとしているところである。
この点、遊技者自らが遊技を制限するための条件を設定し、自身の遊技状況がその条件に該当する場合に遊技を停止させ、或は警告するシステムがあったとしても、係るシステムを利用した取り組みのなかで、実際に依存症の程度が改善されているのかどうかを遊技者自身が実感することができず、遊技者の取り組み意欲を高く維持するのが難しいであろうことが予想される。
そこで、本実施形態の遊技場用管理システム100では、管理装置6において、予め依存症対策の対象者として認定された遊技者を登録し、その対象者として登録される前と後とで、遊技データがどの程度変化しているのかを判定した結果を、当該遊技者に通知する構成としている。この遊技場用管理システム100の構成について、「1.計数貸出ユニットでの遊技制限の設定と警告処理」、「2.管理装置での遊技データの管理」の順に、図4以降の図面も参照しながら説明する。
<1.計数貸出ユニットでの遊技制限の設定と警告処理>
遊技者は予め遊技場Aで会員登録を済ませており、自身が所持する会員カード10を、計数貸出ユニット2のカード挿入口28へ挿入して、対応する遊技機1で遊技を行うものとする。
この場合、計数貸出ユニット2は、液晶表示部24に図4に示す画面41を表示させる。この画面41には、種別(貸出単価)・単位付与数を表す欄41a、挿入中のカード9,10の種別(会員・一般)を表す欄41b、案内表示領域41c、入金残高及び持玉数を表す欄41dが設けられている。
また、この場合、遊技者は画面41のタッチ操作により、図示しないメニュー画面を表示させ、そのメニュー画面で「遊技制限」をタッチ操作により選択すると、計数貸出ユニット2は、図5に示す画面51に遷移する。尚、図5の画面51〜54は、液晶表示部24における案内表示領域41c部分の画面遷移を示すものとする。
同図5の画面51には、「遊技制限」ボタン51a及び「回復度確認」ボタン51bが設けられるとともに、「終了」ボタン51cが設けられている。「遊技制限」ボタン51aは、遊技制限の有無を設定するためのボタンであり、計数貸出ユニット2は、「遊技制限」ボタン51aがタッチ操作されると、次の画面52に遷移する。尚、「終了」ボタン51cがタッチ操作されるとメニュー画面に復帰し、「回復度確認」ボタン51bがタッチ操作されると、図6の遷移画面61で依存症対策の効果を確認できるが、詳しくは後述する。
図5の画面52では、使用金額の上限値を表示する欄52aと、「完了」ボタン52b及び「戻る」ボタン52cとが設けられている。この場合、計数貸出ユニット2は、液晶表示部24における画面52の表示領域41c以外の表示領域にテンキー(図示略)を表示させ、使用金額の上限値を、そのテンキーのタッチ操作に応じて受付ける。このとき、計数貸出ユニット2は、遊技制限条件として使用金額の上限値を、所定値(例えば10000円)以上の範囲内で、任意に設定することが可能である。計数貸出ユニット2は、使用金額の上限値を受付けた後「完了」ボタン52bがタッチ操作されると次の画面53に遷移し、「戻る」ボタン52cがタッチ操作されると前の画面51に復帰する。
図5に示す次の画面53では、受付けた使用金額の上限値を表示する欄53aと、「確認」ボタン53bとが設けられている。計数貸出ユニット2は、遊技者により「確認」ボタン53bがタッチ操作されると、設定された遊技制限に係る情報(つまり遊技制限の有無及び使用金額の上限値)を会員IDとともに管理装置6に送信して、メニュー画面に復帰する。このように、計数貸出ユニット2におけるタッチパネル24a及び制御部20は、遊技者のタッチ操作に応じて遊技制限条件を設定可能な遊技制限条件設定手段に相当する。
また、管理装置6は、計数貸出ユニット2から受信した遊技制限に係る情報を、会員IDと対応付けて自身の記憶部60aに記憶する(図7(b)参照)。つまり、管理装置6は、計数貸出ユニット2における「遊技制限」ボタン51aの操作入力に応じて遊技制限の有無を記憶するとともに、使用金額の上限値の表示欄52aでの操作入力に応じて使用金額の上限値を記憶する。尚、後述する会員登録時の自己申告、或は当該遊技者が計数貸出ユニット2の画面51〜53での操作入力を再度行うことにより、管理装置6にて管理する遊技制限に係る情報を、登録或は上書き更新することができる。
この後、管理装置6により、遊技者の実際の使用金額が前記上限値に達した(遊技データが予め設定された遊技制限条件を満たした)と判定したときに、遊技機1での遊技の続行を抑制するように、対応する計数貸出ユニット2にて警告を発する。
具体的には、計数貸出ユニット2おいて使用金額の上限値を30000円に設定した遊技者が、遊技の進行に伴い紙幣投入口22へ30000円分の紙幣を順次投入して、その分の玉数を前記貸出処理により消費した(貸出金額が3万円に達した)ものとする。このとき、管理装置6は、遊技機側からの遊技信号に基づき、遊技者の合計使用金額が上限値たる30000円に達したと判定すると、計数貸出ユニット2(警告手段)において、当該貸出操作が行われた時点で、当該遊技者に対して警告を発する警告処理を実行させる。
警告処理は、図5の画面54で示すように、上限値の使用金額「30000円」と併せて、その上限値に達した旨並びに遊技の終了を促す旨を、警告メッセージとして表す表示制御処理である。このように、液晶表示部24は、当該計数貸出ユニット2により設定された遊技制限条件を画面53,54に表示する遊技制限条件表示手段、及び警告処理の実行に応じて遊技者に対する警告メッセージを画面54に表示可能な警告表示手段として機能する。尚、警告処理は、同画面54の「確認」ボタン54aのタッチ操作により終了する(メニュー画面に復帰する)。
また、計数貸出ユニット2は、使用金額が上限値に達した後、例えば10000円毎に警告処理を実行する。つまり、遊技者が設定した最初に警告処理を行う上限値を「α」万円、警告処理の実行回数を「n」回とした場合、警告処理が実行される使用金額(複数の上限値「β」万円)は、次式(1)で表される。
β=α+(n−1) … (1)
このように、警告処理は、警告メッセージにより遊技者に対する依存症対策として、遊技の続行を抑制するよう働きかけるものであるが、実際にその時点で遊技を続行するか否かは、遊技者の意思に委ねられている。それ故、遊技者としては、警告処理の後、返却ボタン13bの操作により会員カード10を挿入口28から排出させて遊技を終了するケースや、そのまま遊技を続行するケースも想定される。
本実施形態では、上記した遊技制限の有無や使用金額の上限値の設定を、図1に示す携帯端末33でも行うことができるものとする。具体的には、遊技者が所有する携帯端末33において、遊技場用管理システム100が提供する依存症対策のサービスを利用するために、管理サーバ31から当該端末33へアプリケーションソフトをダウンロードして、アカウント情報(アカウントIDやパスワード、メールアドレス等)を登録しておく。また、携帯端末33は、登録されたアカウント情報の認証を条件としてアプリケーションソフトを実行することで、その液晶表示部33aにおいて、遊技者を特定するための識別情報(氏名等)を入力する画面の他、遊技制限の有無や使用金額の上限値を設定するための画面(例えば図5の画面51〜53と同様の画面)の表示が可能に構成されている。
こうした携帯端末33の画面において、前記タッチパネルのタッチ操作により、識別情報を入力(対象者を特定)した上で、遊技制限の有無や使用金額の上限値を設定する。これにより、設定された情報が携帯端末33から送信されると、管理装置6は、管理サーバ31を介して当該端末33から受信した識別情報に基づき、該当する対象者について設定された情報を登録する。尚、携帯端末33は、遊技者自身の端末33に限らず、その遊技者にかかわる者(対象者の家族や知人等)の端末33でも、前記アプリケーションソフトを利用する(アカウント情報を登録しておく)ことで、対象者の遊技制限に係る情報を設定することができる。
<2.管理装置での遊技データの管理>
図7〜図9は、管理装置6において管理される遊技データであって、モニタ6mへの表示出力並びに図示しない印刷装置への印刷出力が可能なデータを示している。
ここで、図7(a)は、一の遊技者の会員属性データを示している。会員属性データは、会員登録を行った遊技者の「氏名」「性別」「年齢」「職業」「住所」「メールアドレス(同図で携帯メアドと略す携帯端末33の電子メールアドレス)」が、その会員IDたる「会員No.」と対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶されている。こうした会員属性データは、例えば遊技場Aで予め会員登録を行うときに遊技者が記入した会員登録用紙(つまり図示しない用紙での自己申告)をもとに、管理装置6に対して入力される。尚、図示は省略するが、会員属性データには、前記アカウント情報として登録されるアカウントIDやパスワードを含めることができる(会員IDと対応付けることができる)。
図7(b)は、依存症対策対象者データの一部を示している。同図(b)に示すように、依存症対策対象者データは、例えば30000円等の使用金額の上限値で表された「遊技制限条件」と、対象者の「登録日」が、会員IDと対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶されている。この依存症対策対象者データへの会員IDの登録、つまり遊技制限の有無の登録は、会員登録時に依存症対策を希望する旨の自己申告を受付けたとき、或は上記した計数貸出ユニット2や携帯端末33での操作入力を受信したときに、管理装置6にて行われる。
この場合、管理装置6は、対象者として認定された特定の遊技者を登録する登録手段として機能し、計数貸出ユニット2等での操作入力に応じて、当該遊技者の会員IDを照合し、その会員IDを登録していることを条件に、依存症対策対象者データに登録する。或は、会員登録時の自己申告の内容が所定条件を満たすことを条件に、依存症対策対象者データに登録する。このように、「対象者としての認定」は、管理装置6による所定条件を満たすか否かの自動的な判定(認定)の他、遊技場Aの従業員等による人為的な認定を含む。
また、図7(b)の「遊技制限条件」は、会員登録時の自己申告、或は計数貸出ユニット2等での操作入力に応じて、受付けられた使用金額の上限値である。
図7(c)は、一の遊技者の会員所有価値データを示している。会員所有価値データは、会員が所有する「入金残高」「持玉数」「貯玉数」が、その遊技者の会員IDと対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶される。管理装置6は、会員カード10を使用した遊技者の遊技に応じて、前記売上信号やカード発行信号等に基づき会員所有価値データを更新する。こうして、管理装置6は集計手段として、会員所有価値データを含む各種の遊技データについて、対象者としての登録の有無にかかわりなく集計・記憶する一方、依存症対策対象者データの「遊技制限条件」や「登録日」に係る情報に基づき、その遊技制限に関する各種のデータを集計・記憶する。
例えば、図8(a)は遊技者の遊技状況を示す遊技データであって、会員登録された全ての遊技者の遊技データが会員遊技履歴データとして集計され、記憶される。会員遊技履歴データは、遊技者が遊技を行った「遊技機No.」での「使用金額」「打込玉数」「払出玉数」「大当たり回数」「持玉数」について、その遊技機1での「遊技開始」と「遊技終了」の時間(遊技時間)に対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶される。また、会員遊技履歴データは、警告処理の実行の有無を示す「遊技制限」フラグのデータを含む。
同図(a)に例示するように、遊技者は「遊技機No.123」にて「10:15」から「12:23」までの遊技中に紙幣投入口22へ3000円分の紙幣を順次投入し、その分の玉数を貸出処理により消費した後、1240の持玉数を獲得した状態で台移動している。このように、遊技機No.123で警告処理を実行していない場合、管理装置6は、その遊技機No.123での「遊技終了」の際に、遊技制限フラグ「0」を対応付けた会員遊技履歴データとして記憶する。
また、遊技者は、台移動した「遊技機No.125」にて「12:28」から遊技を開始し、先ずは遊技機No.123で獲得した1240の持玉数を全て消費した後、紙幣投入口22へ27000円分の紙幣を順次投入して、その分の玉数を貸出処理により消費している。これにより、使用金額が上限値の30000円に達し、計数貸出ユニット2で警告処理が実行された場合、管理装置6は、遊技制限フラグ「1」を対応付けた会員遊技履歴データとして記憶するとともに、新規レコードを作成する。
更に、遊技者は同遊技機No.125にて、最初に警告処理が実行された後も遊技を続行しており、「16:27」に追加の10000円分の玉数を貸出処理により消費しているため、2回目の警告処理が実行されている(同図(a)の遊技制限フラグ「1」参照)。
図8(b)は、図8(a)の会員遊技履歴データを営業日単位で集計した会員遊技集計データを示している。管理装置6は、会員遊技集計データについて、当該営業日における「使用金額」「打込玉数」「払出玉数」「大当たり回数」の夫々の集計値を求めるとともに、「遊技制限」フラグの履歴に基づき警告処理の実行回数の集計値を求める。
そして、図9(a)は、会員遊技期間比較データを示している。会員遊技期間比較データは、対象者として登録された遊技者の遊技データを、当該登録前の期間と当該登録以後の期間とに区分して集計したデータである。具体的には、管理装置6は、依存症対策として対象者を登録した日(図7(b)の「登録日」参照)を基準に、その登録日前の1ヵ月間の遊技データと、登録日以後の1ヵ月目、2ヵ月目、…の遊技データとを集計して、比較可能にモニタ6mに表示出力する。
それ故、同図9(a)の例では、対象者の登録日「2017/3/1」前の集計期間(1)と、「2017/3/1」以後の集計期間(2)及び(3)とに区分し、その「遊技制限」の有無と併せて、当該遊技場Aでの対象者の「遊技日数」「遊技時間」「使用金額」「平均金額」「収支」「回復度」を表している。
このうち、「使用金額」は、各集計期間(1)〜(3)での合計使用金額、「平均金額」は、「使用金額」を「遊技日数」で除した値である平均使用金額(使用金額/遊技日数)に相当する。「収支」は、各集計期間(1)〜(3)での対象者の収支金額(持玉×交換単価−売上額)に相当する。
また、「回復度」は、登録日以後の集計期間(2)(3)での「平均金額」について夫々、登録日前の集計期間(1)での「平均金額」で除した値(登録日以後平均金額/登録日前平均金額)である。このように、回復度は、管理装置6による集計結果に基づいて、対象者として登録される前と後とで、「平均金額」の変化を割合で求めた演算値であり、管理装置6によって遊技データがどの程度変化しているのかを演算により判定した結果を表す。同図9(a)では、登録日以後の集計期間(2)(3)の平均金額について夫々、登録日前の集計期間(1)の平均金額よりも低くなっている。このため、集計期間(2)(3)の回復度についても夫々、1未満の値(0.75及び0.74)になっており、依存症対策の効果が表れているといえる。
更に、管理装置6は、図9(b)に示す全会員遊技制限設定データを集計して記憶する。全会員遊技制限設定データは、遊技場Aで会員登録された「全会員数」のうち、「遊技制限」有りとして設定した人数と、その人数の全会員数に占める「遊技制限割合」と、使用金額の上限値として設定された値の平均を表す「平均上限」とを含む。
そして、本実施形態の管理装置6は、判定手段として判定した上記の判定結果を、対象者として登録された遊技者に通知する。具体的には、同対象者の会員カード10が挿入された計数貸出ユニット2おいて、図5の液晶表示部24の画面51で「回復度確認」ボタン51bがタッチ操作されると、管理装置6から通知される判定結果を表す、図6の画面61を表示させる。
図6の画面61では、図9(a)の回復度を百分率で表した「依存度」について(つまり登録日前の集計期間(1)の平均金額の大きさを100とみて)、各集計期間(1)〜(3)の推移を、その推移の傾向に応じたメッセージと併せて表示するとともに、「確認」ボタン61aを表示する。この画面61において、遊技者は、対象者として依存症対策の取り組みを開始する前の期間(1)と後の期間(2)(3)の依存度の比較により、その対策の効果を具体的な数値で客観的に把握することができる。尚、この画面61は、「確認」ボタン61aのタッチ操作により、前記メニュー画面に復帰する。
係る判定結果の通知は、計数貸出ユニット2の他、携帯端末33でも行われる。例えば、管理装置6は、登録日以後の1ヵ月目、2ヵ月目、…というように定期的に(或は、より短い所定期間毎に)、管理サーバ31を介して、回復度を含む依存症対策に関する情報を対象者の携帯端末33に送信する。また、管理装置6において、対象者の家族等の前記アカウント情報が登録されている場合には、対象者の家族等の携帯端末33にも、依存症対策に関する情報を送信することができる。
これにより、携帯端末33において、その表示部33aに図5の画面51や図6の画面61と同様の画面を表示させ、対象者やその家族等に対して、依存症対策の効果を表す依存度の数値や、その依存度に応じたメッセージを通知することができる。このように、携帯端末33、管理装置6、及び計数貸出ユニット2は、係る判定結果を通知する通知手段に相当し、その通知先の「遊技者」には、その遊技者(対象者)にかかわる者(家族等)も含めて把握することができる。
尚、本実施形態の遊技場用管理システム100について、遊技場Aで会員登録した遊技者を中心に説明したが、他の遊技場B,Cで会員登録した遊技者も遊技場Aと同様、対象者の遊技データを、登録日を境に区分して集計する等して、計数貸出ユニット2や携帯端末33により、依存症対策に関する情報の通知ができることは勿論である。
以上に説明したように本実施形態の遊技場用管理システム100では、依存症対策に取り組んでいる遊技者に対して、その取り組みの効果が実際にどの程度現れているのかを、計数貸出ユニット2の画面61や携帯端末33の画面で通知するようにしたので、遊技者がその効果を実感することが可能となり、取り組み意欲を高く維持することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせたりしてもよい。
管理装置6は、図9(a)に示す「遊技時間」、「使用金額」、「収支」金額を含む会員遊技比較データを集計する構成としたが、遊技データとして少なくとも、これら遊技時間、使用金額、収支金額のうち何れか1つを集計する構成にしてもよい。
会員遊技比較データの集計期間は、図9(a)の区分による期間(1)〜(3)とし、会員遊技集計データや全会員遊技制限集計データの集計期間は、営業日単位によるものとしたが、それら集計期間乃至区分の期間はこれに限定されない。例えば、1週間単位、1ヵ月単位、1年単位等、適宜の期間を対象として集計乃至区分することが可能である。
遊技制限の有無の設定は、遊技者自らの意思(或は遊技者の家族等の意思)で行うようにしたが、その意思と無関係に、遊技場側が特定の遊技者に対して遊技制限有りの設定を行うことができる構成としてもよい。
この場合、遊技者の遊技状況が予め定められた状況となったときに自動で遊技制限有りを設定するのが望ましい。具体的には、例えば1日の使用金額の合計が3日連続で3万円に達したとき、その遊技者に対して管理装置6により遊技制限有りを自動的に設定し、図5の画面54で警告メッセージを表示する構成にしてもよい。
遊技制限条件として、使用金額の上限値を設定するようにしたが、遊技制限条件の内容はこれに限定されるものではなく、依存症とみなすための条件であれば、どのような条件を設定してもよい。例えば、遊技時間の長さや収支金額について、所定範囲を画する閾値を遊技制限条件として設定することが可能である。また、1種類の遊技制限条件に限らず、2種類以上の遊技制限条件を設定してもよい。
遊技制限の警告処理として、計数貸出ユニット2の表示部24に警告メッセージ等を表示するようにしたが、これに限定されない。例えば、係る警告メッセージに代えて、管理装置6により遊技制限条件を満たしたことを検知したとき、その旨をインカム装置を介して従業員に報知する処理を行い、従業員から遊技者に対して声掛けをするという運用も可能である。つまり、遊技制限の処理としては、音声で警告するための報知手段を採用してもよいし、遊技の続行を不可能又は困難な状態にする手段(例えば計数貸出ユニット2にて会員カード10を用いた新たな貸出処理を禁止する遊技制限手段)を採用する等、適宜変更することができる。
管理装置6側で算出する遊技データの種類は本実施形態に限定されるものではなく、遊技機1や計数貸出ユニット2等から受信する各種の遊技信号に基づいて、様々な種類の遊技データを求めることが可能である。
計数貸出ユニット2にて、現に会員カード10を使用しているときの遊技データを、依存症対策のデータとして記憶するようにしたが、会員カード10を使用せずに遊技しているときの遊技データであっても、前記顔IDにより同一会員として判別できる場合には、依存症対策のデータ(同会員の遊技データ)として記憶するようにしてもよい。或は、会員カード10を挿入口28へ挿入しない限り遊技を行うことができない完全カード式遊技機を採用してもよい。この場合には、全ての遊技者を会員カード10により完全に識別することが可能となり、その全ての遊技データを依存症対策のデータとして扱うことができる。
このように、管理装置6は、各種の遊技データを扱うことができるのであるから、対象者として登録する前と後とで程度の変化を判定する遊技データは、図9(a)の平均金額に限らず、その平均金額以外の遊技データ(例えば遊技時間等、対象者の依存度を推知しうる遊技データ)であってもよい。
カメラ23を計数貸出ユニット2と一体的に設けたが、カメラ23の位置は遊技者の顔が撮像可能な位置であればどこの位置でもよく、計数貸出ユニット2と一体である必要も無い。また、計数貸出ユニット2の液晶表示部24やタッチパネル24aは、各遊技機1と対応する位置に設けられ、上記した遊技制限条件設定手段、遊技制限条件表示手段、或は警告表示手段として機能するものであるが、こうした各手段は、当該ユニット2とは別体の装置(遊技情報表示装置3等)の表示手段を利用する等、同様の機能を有する他の装置に代替してもよい。
中継装置4を2台の遊技機1に対して1台ずつ設けるようにしたが、中継装置4と遊技機1との対応関係はこれに限定されない。中継装置4と遊技機1との台数の比は、3対1や4対1であってもよい。画像処理装置30についても同様に、4台のカメラ23に対して1台ずつの対応関係に限定されるものではない。
遊技機1は、遊技媒体を払い出さず、電子データとして加算記憶する封入式遊技機であってもよい。また、パチンコ機に限らず、例えばスロットマシンであってもよい。
上記した各数値は例示であり、例えば前記上限値の所定値(閾値)を貸出単価に応じた適宜の値に設定する等、どのような数値を採用してもよいことは勿論である。また、上記した記載中における「記憶」「記録」及び「登録」について、例えば管理装置6の記憶部60a等への「記憶」を「登録」と称する等、それらの意味を同じくするものとして把握することができる。