以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する遊技場A,B,Cは、全国に展開する多数の遊技場のうち3つを代表して表すものであり、当該遊技場A〜Cにおける遊技者の遊技状況を各々管理する管理装置6を備える共通のシステム(遊技場用管理システム100)が構築されていることから、以下では、遊技場Aの構成を中心に説明するものとする。
遊技場A内には、複数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3が夫々付設されている。遊技機1、計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4に接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
また、遊技場A内には、精算装置7や景品交換端末(以下、POS)8も設置されており、これら精算装置7やPOS8もLAN5を介して管理装置6と接続されている。精算装置7は、一般カードや会員カード(図3に符号9,10で示す)がカード挿入口7aに挿入されると、図示しないカードリーダライタでカード9,10を読取って入金残高を特定し、その入金残高に対応する紙幣や硬貨を返却口7bから払い戻す返却処理を行う。POS8は、付属するカード処理機8aでカード9,10を読取って遊技価値(持玉数・貯玉数)を特定し、その遊技価値に基づき景品交換処理を行う。尚、持玉とは当日中に計数した玉であり、貯玉とは前日以前に計数した玉である。
管理装置6は、遊技場A内の例えば事務所等に設置されており、モニタ6m、キーボード6k等が接続されている。管理装置6は、遊技機1、計数貸出ユニット2、遊技情報表示装置3等、上記した各種機器から出力される遊技データを入力することで、各種機器の稼働状況、遊技者が所持する遊技媒体(持玉数・貯玉数)、入金残高等を管理する。尚、図1では図示を省略したが、同図のパチンコ機の他、所謂スロットマシンも含めて例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
図2に示すように、遊技機1はCRパチンコ機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面11に、液晶表示部15、始動口16、大入賞口17を有する。また、遊技機1における上部受皿13の上面には、左右に並ぶ貸出ボタン13aと返却ボタン13bを有する。
遊技者が操作ハンドル12を操作すると、玉が盤面11に発射され、その玉が始動口16に入賞すると、その入賞に応じた数の玉を払出したり大当たり抽選を行ったりする。大当たり抽選では、液晶表示部15において所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口17を開放する。
遊技機1からは遊技の実行に応じて以下の信号が管理装置6側へ送信される。
・打込信号:遊技機1に対して打込まれた玉数(遊技媒体の数)を示す信号。
・払出信号:遊技機1から払い出された玉数を示す信号。
・大当たり信号:大当たり状態が発生したことを示す信号。
・スタート信号:大当たりの発生契機となる電動役物が作動(図柄変動)したことを示す信号。
計数貸出ユニット2は、各遊技機1と対応して設けられ、所謂各台計数機能を備える。具体的には図2に示すように、計数貸出ユニット2は、現在の運用状態(例えば正常状態、エラー状態等)を示す状態表示部21、紙幣が投入される紙幣投入口22、周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を含むカメラ23(図2では前面のカメラ窓23aのみ図示)、遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部24、1単位分(単位付与数)の玉を払い出すための払出ボタン25、払出された玉が通過する払出ノズル26、一般カード9或は会員カード10が挿入されるカード挿入口28、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿29等を備えている。
図3の機能ブロック図は、計数貸出ユニット2の構成を中心に示している。計数貸出ユニット2の制御部20は、CPU20a、ROM20b、RAM20c、I/O20d等を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御部20に接続された周辺部としては、上記した状態表示部21、液晶表示部24、払出ボタン25を含むとともに、管理装置6や遊技機1との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部20e、紙幣投入口22に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部22a、液晶表示部24上に設けられたタッチパネル24a、カード挿入口28に挿入されたカード9,10に記憶されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードRW(リーダライタ)28a、最大10枚の一般カード9をストック可能なカードストック部28b、払出ボタン25が操作されたときに、1度数分の玉を払出ノズル26から払い出す払出部25a、計数受皿29から流入する玉数を計数する計数部29a等を含む。これに対し、カメラ23は、制御部20に接続されることなく、図1に示すように4台ずつ画像処理装置30と接続されている。画像処理装置30は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
一般カード9は、当日限り有効なカードであり、ICチップ9aが内蔵されている。ICチップ9aには、カードを特定可能な一般IDが記憶されているとともに、計数貸出ユニット2に入金された入金残高や持玉数が記憶される。この一般カード9の持玉数は当日のみ有効で、入金残高は翌日以降も利用可能とされている。
会員カード10は、予め設定されている有効期限(例えば3年間)まで有効なカードであり、ICチップ10aが内蔵されている。ICチップ10aには、会員登録を行った遊技者を特定可能な会員IDが記憶されているとともに入金残高が記憶される。会員カード10に対応する持玉数や貯玉数は管理装置6の会員口座に記憶される。この会員カード10の持玉数、貯玉数、並びに入金残高は、翌日以降も利用可能とされている。
計数貸出ユニット2は、以下に示す機能を備えている。
(1)カード9,10の未挿入状態で紙幣投入口22へ投入された紙幣を受付けると(貨幣受付処理を行うと)、カードストック部28bに収納している一般カード9をカードRW28aへ繰り出して、その入金金額(1000円単位)を記憶するとともに、当該入金金額(入金残高)を液晶表示部24に表示する。このとき、1度数(500円)は、貸出単価が4円のパチンコ機では125玉であるから、入金残高に相当する度数を液晶表示部24に表示してもよい。
(2)遊技機1の貸出ボタン13aの操作(貸出操作)に応じて入金残高の範囲内で1度数に相当する玉を遊技機1内部の払出機構から貸し出す貸出処理を行う。
(3)遊技機1の下部受皿14から落下して計数受皿29で受けられた玉が計数部29aに流入することで玉を計数し、その計数した玉数である計数玉数を液晶表示部24に表示する。
(4)払出ボタン25の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員の場合)の範囲内で1度数ずつ前記払出機構から払い出す。
(5)遊技機1の返却ボタン13bの操作に応じて入金残高及び持玉数をカード挿入口28に挿入されている一般カード9に記憶して発行する。会員カード10が挿入されている場合は、入金残高を会員カード10に記憶して発行する。カード挿入口28に何れのカード9,10も挿入されていない場合は、カードストック部28bにストックしている一般カード9を図示しない記録媒体移動手段によりカードRW28aに繰出して、そのカード9に入金残高及び持玉数を記憶して発行する。
また、入金残高及び持玉数が何れも「0」となった場合は、カードRW28aにセットされた一般カード9を記録媒体移動手段によりカードストック部28bに回収する。尚、カードストック部28bのカード9が無くなったとき、状態表示部21において、エラー状態を表し、従業員によりカード9が挿入口28から補充されると正常状態に復帰する。
(6)一般カード9がカード挿入口28に挿入された場合は、一般カード9に記憶されている入金残高及び持玉数をカードRW28aにより読出して液晶表示部24に表示する。会員カード10が挿入された場合は、会員カード10に記憶されている入金残高を読出して液晶表示部24に表示すると共に持玉数を管理装置6から受信して表示し、又、暗証番号の入力を条件として貯玉数を管理装置6から受信して表示する。
計数貸出ユニット2は、上記した機能の他、以下の信号を管理装置6側へ送信する機能を有する。
・売上信号:玉の貸出しに伴い使用された金額(使用金額)を示す信号。
・貯玉払出信号:会員カード10で貯玉を使用する場合に、払い出された貯玉数を示す信号。
・カード発行信号:上記したカード9,10の発行処理(返却処理)を行う場合に、該当するカード9,10に記憶される入金残高や持玉数を示す信号。
計数貸出ユニット2のカメラ23は、所定周期毎に(例えば4秒毎に)撮像し、その撮像した画像を画像処理装置30に送信する。カメラ23の撮像視野は、遊技者が遊技機1に対して正対している状態で当該遊技者の顔を含む領域となるように設定されている。
画像処理装置30は、4台のカメラ23から送信される各画像を1秒間隔で取込み、その取込んだ画像を分析することにより、当該画像の中に遊技者の顔画像が存在するか否かを判定し、顔画像が存在すると判定すると、その顔画像を管理装置6に送信する。この点、カメラ23から送信される画像に遊技者が含まれていても、その遊技者が例えば不自然な方向を向く等して不自然な姿勢で遊技していれば、画像処理装置30により顔画像を認識できないため、その画像を管理装置6に送信しない場合がある。
尚、画像処理装置30から顔画像を受信した管理装置6は、同一人物判定及び要注意人物判定を行う。同一人物判定では、受信した顔画像に対して例えば特徴点の抽出等の画像処理を行い、当日の顔画像データベースに既に登録されている顔画像と照合して、同一人物か否かを判定する。照合した顔画像が未だ顔画像データベースに登録されていない顔画像(つまり新規の遊技者)であると判定すると、顔IDを付与して当日の顔画像データベースに登録するとともに、その顔IDを遊技データと対応付けて記憶する。一方、顔画像が既に顔画像データベースに登録されている顔画像(つまり既知の遊技者)であると判定すると、その顔IDに対応付けている遊技データを更新する。要注意人物判定では、その顔画像と、要注意データベースに登録されている顔画像とを照合し、同一人物の顔画像が要注意データベースに登録されているか否かを判定する。同一人物の顔画像が要注意データベースに登録されていると判定すると、要注意人物が来店した旨を例えばインカム装置(図示略)等により遊技場Aの従業員に報知する。
図3に示す管理装置6の制御部60(以下、適宜「管理装置6」と略す)は、マイクロコンピュータを主体に構成され、ROMやRAMといった記憶部60aや、I/O等を備えており、その記憶部60aに記憶された制御プログラムに従い動作する。また、管理装置6は、上記した遊技機1や計数貸出ユニット2から送信される各種の遊技信号に基づいて、以下の遊技データを含む各種の遊技データを管理する(図7(a)等参照)。
・打込玉数:遊技機1に対して打込まれた玉数。
・払出玉数:遊技機1から払い出された玉数。
・大当たり回数:遊技機1で発生した大当たりの回数。
・スタート回数:遊技機1で実行された図柄変動の回数。
・稼動時間:遊技機1が稼動している時間。
そして、管理装置6は、図1に示す公衆通信回線(インターネット、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)等)32に接続可能となっており、センターに設置されている管理サーバ31と公衆通信回線32等を介して通信可能である。遊技場B、Cでも遊技場Aの同等の構成が実現されており、遊技場B、Cの管理装置6(図示略)についても、遊技場Aの管理装置6と同様、公衆通信回線32に接続可能とされている。
また、図1の携帯端末装置33は、そのユーザ(遊技者)が所持し、例えばスマートフォンといった携帯可能な通信端末である。詳しい図示は省略するが、携帯端末装置33は、CPUや記憶部等を含む制御部、公衆通信回線32に接続するデータ通信部、電話する際の送話音声を入力するマイクロホン、画面上でタッチ操作を受付ける(入力を受付けるタッチパネル)機能と各種情報を表示する機能とを有する液晶表示部33a等を備えている。
管理サーバ31は、複数の遊技場A〜Cに設置された管理装置6と公衆通信回線32を通じて通信可能であり、又、携帯端末装置33と公衆通信回線32を通じて通信可能である。詳しい図示は省略するが、管理サーバ31は、CPUや記憶部等を含む制御部、外部の装置(遊技場A〜Cの管理装置6や携帯端末装置33等)との間で各種情報を送受信するI/F部等を備えている。管理サーバ31は、自身の記憶部に各遊技場A〜Cにおける各種の遊技データを記憶するとともに、携帯端末装置33等のOS(Operating System)に対応する後述のアプリケーションソフトを記憶しており、管理サーバ31から携帯端末装置33へとアプリケーションソフトをダウンロードすることができる。また、管理サーバ31や遊技場A〜Cの管理装置6は、会員のメールアドレス(図6(a)参照)も記憶しており、メールサーバとして機能する。
ところで、「従来技術」で述べたように、近年のギャンブル依存症の問題について、各遊技場もその対策を講じようとしているところであるが、係る依存症対策への意識の高さは遊技場毎に様々であり、必ずしも全ての遊技場が高い意識で取り組んでいるとは言えないという実情があった。
そこで、本実施形態の遊技場用管理システムは、遊技場A〜Cの場内管理装置としての管理装置6において、来場した全ての遊技者数と、依存症と判定された依存症遊技者数とを算出し、集中管理装置としての管理サーバ31において、各遊技場A〜Cの管理装置6から受信した前記全ての遊技者数及び依存症遊技者数に基づき、各遊技場A〜Cにおける依存症遊技者数の割合を比較することが可能な比較データを作成するように構成されている。この遊技場用管理システムの構成に関して、「1.依存症対策としての計数貸出ユニットでの警告処理」「2.管理装置での遊技データの管理」「3.管理サーバでの遊技データの管理」「4.携帯端末装置での比較データの表示」の順に、図4以降の図面も参照しながら説明する。
<1.依存症対策としての計数貸出ユニットでの警告処理>
遊技者は予め遊技場Aで会員登録を済ませており、自身が所持する会員カード10を、計数貸出ユニット2のカード挿入口28へ挿入して、対応する遊技機1で遊技を行うものとする。
この場合、計数貸出ユニット2の制御部20(以下、適宜「計数貸出ユニット2」と略す)は、液晶表示部24に図4に示す画面41を表示させる。この画面41には、種別(貸出単価)・単位付与数を表す欄41a、挿入中のカード9,10の種別(会員・一般)を表す欄41b、案内表示領域41c、入金残高及び持玉数を表す欄41dが設けられている。
また、この場合、遊技者は画面41のタッチ操作により、図示しないメニュー画面を表示させ、そのメニュー画面で「遊技制限」をタッチ操作により選択すると、計数貸出ユニット2は、図5に示す画面51に遷移する。尚、図5の画面51〜54は、液晶表示部24における案内表示領域41c部分の画面遷移を示すものとする。
同図5の画面51には、「遊技制限」ボタン51aと「終了」ボタン51bが設けられている。これらボタン51a,51bは、遊技制限の有無を設定するためのものであり、計数貸出ユニット2は、「遊技制限」ボタン51aがタッチ操作されると、次の画面52に遷移し、「終了」ボタン51bがタッチ操作されるとメニュー画面に復帰する。
図5の画面52では、使用金額の上限値を表示する欄52aと、「完了」ボタン52b及び「戻る」ボタン52cとが設けられている。この場合、計数貸出ユニット2は、液晶表示部24における画面52の表示領域41c以外の表示領域にテンキー(図示略)を表示させ、使用金額の上限値を、そのテンキーのタッチ操作に応じて受付ける。このとき、計数貸出ユニット2は、遊技制限条件として使用金額の上限値を、所定値(例えば10000円)以上の範囲内で、任意に設定することが可能である。計数貸出ユニット2は、使用金額の上限値を受付けた後「完了」ボタン52bがタッチ操作されると次の画面53に遷移し、「戻る」ボタン52cがタッチ操作されると前の画面51に復帰する。
図5に示す次の画面53では、受付けた使用金額の上限値を表示する欄53aと、「確認」ボタン53bとが設けられている。計数貸出ユニット2は、遊技者により「確認」ボタン53bがタッチ操作されると、設定された遊技制限に係る情報(つまり遊技制限の有無及び使用金額の上限値)を会員IDとともに管理装置6に送信して、メニュー画面に復帰する。
また、管理装置6は、計数貸出ユニット2から受信した遊技制限に係る情報を、会員IDと対応付けて自身の記憶部60aに記憶する。尚、後述する会員登録時の自己申告、或は当該遊技者により計数貸出ユニット2の画面51〜53での操作入力を再度行うことにより、管理装置6にて管理する遊技制限に係る情報を、登録或は上書き更新することができる。
この後、管理装置6により、遊技者の実際の使用金額が予め設定された上限値に達したと判定したときに、遊技機1での遊技の続行を制限(抑制)するように、対応する計数貸出ユニット2にて警告を発する。
具体的には、計数貸出ユニット2おいて使用金額の上限値を30000円に設定した遊技者が、遊技の進行に伴い紙幣投入口22へ30000円分の紙幣を順次投入して、その分の玉数を前記貸出処理により消費した(貸出金額が3万円に達した)ものとする。このとき、管理装置6は、遊技機側からの遊技信号に基づき、遊技者の合計使用金額が上限値たる30000円に達したと判定すると、計数貸出ユニット2において、当該貸出操作が行われた時点で、当該制限遊技者に対して警告を発する警告処理を実行させる。
警告処理は、図5の画面54で示すように、上限値の使用金額「30000円」と併せて、その上限値に達した旨並びに遊技の終了を促す旨を、警告メッセージとして表す表示制御処理であり、同画面54の「確認」ボタン54aのタッチ操作により、メニュー画面に復帰する(警告処理を終了する)。
この警告処理は、警告メッセージにより遊技者に対する依存症対策として、遊技の続行を抑制するよう働きかけるものであるが、実際にその時点で遊技を続行するか否かは、制限遊技者の意思に委ねられる。それ故、制限遊技者としては、警告処理の後、返却ボタン13bの操作により会員カード10を挿入口28から排出させて遊技を終了するケースや、そのまま遊技を続行するケースも想定される。
そこで、本実施形態では、遊技者の使用金額として例えば上記した3万円以降、1万円使用する毎に繰返し画面51での警告処理を実行すべく、管理装置6において、遊技場の管理者により予め設定入力された複数の前記上限値を、自身の記憶部60aに記憶している。この例において、一の遊技者に対して最初に警告処理を行う上限値の3万円を「α」万円、警告処理の実行回数を「n」回とした場合、警告処理が実行される使用金額(複数の上限値「β」万円)は、次式(1)で表される。
β=α+(n−1) …(1)
<2.管理装置での遊技データの管理>
図6〜図8は、管理装置6において管理される遊技データであって、モニタ6mへの表示出力並びに図示しない印刷装置への印刷出力が可能なデータを示している。
このうち、図6(a)は、一の遊技者の会員属性データを示している。会員属性データは、会員登録を行った遊技者の「氏名」「性別」「年齢」「職業」「住所」「メールアドレス(同図で携帯メアドと略す携帯端末装置の電子メールアドレス)」が、その会員IDたる「会員No.」と対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶されている。また、会員属性データは、「依存症」であるか否かを示す依存症フラグのデータを含み、会員IDと対応付けて記憶されることで、「依存症」の遊技者(同図のフラグ「1」参照)と、依存症でない遊技者との区別が可能である。
こうした会員属性データは、例えば遊技場で予め会員登録を行うときに遊技者が記入した会員登録用紙(つまり図示しない用紙での自己申告であって「依存症」に関する情報を除く)をもとに、管理装置6に対して入力される。
これに対し、「依存症」に関する情報については、判定手段としての管理装置6により、依存症に該当するか否かを判定するための判定条件が設定されている。例えば、管理装置6において、計数貸出ユニット2における表示部24での警告処理の実行回数が所定数(例えば一の遊技者の一ヵ月間の累計実行回数が5回)に達することを判定条件として設定可能であり、その判定条件の設定入力は、予め遊技場の管理者によるキーボード6k等での操作入力で行う(デフォルト値としての設定であってもよい)。
そして、管理装置6は遊技データ算出手段として、依存症に関する各遊技者の遊技状況を示す累計実行回数(遊技データ)を求めるべく、警告処理の実行回数を累計して算出(集計)し、その累計実行回数が5回に達することで判定条件を充足する場合に、当該遊技者を依存症であると判定すると(判定処理を実行すると)、該当する会員属性データについて依存症フラグ「1」を記憶する(図6(a)参照)。
図6(b)は、一の遊技者の会員所有価値データを示している。会員所有価値データは、会員が所有する「入金残高」「持玉数」「貯玉数」が、その遊技者の会員IDと対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶される。管理装置6は、会員カード10を使用した遊技者の遊技に応じて、前記売上信号やカード発行信号等に基づき会員所有価値データを更新する。
このように、管理装置6は、会員属性データとしての前記累計実行回数や、会員所有価値データとしての前記入金残高等を含む各種の遊技データについて集計・管理する。
例えば、図7(a)は遊技者の遊技状況を示す遊技データであって、会員登録された全ての遊技者の遊技データが会員遊技履歴データとして集計され、記憶される。会員遊技履歴データは、遊技者が遊技を行った「遊技機No.」と対応づけて記憶される「使用金額」「打込玉数」「払出玉数」「大当たり回数」「持玉数」、並びにその遊技機1での「遊技開始」と「遊技終了」の時間(遊技時間)を含む。また、会員遊技履歴データは、警告処理の実行の有無を示す「警告」フラグのデータを含む。
同図(a)に例示するように、遊技者は「遊技機No.123」にて「10:15」から「12:23」までの遊技中に紙幣投入口22へ3千円分の紙幣を順次投入し、その分の玉数を貸出処理により消費した後、1240の持玉数を獲得した状態で台移動している。このように、遊技機No.123で警告処理を実行していない場合、管理装置6は、その遊技機No.123での「遊技終了」の際に、警告フラグ「0」を対応付けた会員遊技履歴データとして記憶する。
また、遊技者は、台移動した「遊技機No.125」にて「12:28」から遊技を開始し、先ずは遊技機No.123で獲得した1240の持玉数を全て消費した後、紙幣投入口22へ27000円分の紙幣を順次投入して、その分の玉数を貸出処理により消費している。これにより、使用金額が上限値の3万円に達し、計数貸出ユニット2で警告処理が実行された場合、管理装置6は、警告フラグ「1」を対応付けた会員遊技履歴データとして記憶するとともに、新規レコードを作成する。
更に、遊技者は同遊技機No.125にて、最初に警告処理が実行された後も遊技を続行しており、「16:27」に追加の1万円分の玉数を貸出処理により消費しているため、2回目の警告処理が実行されている(同図(a)の警告フラグ「1」参照)。
図7(b)は、図7(a)の会員遊技履歴データを営業日単位で集計した会員遊技集計データを示している。管理装置6は、会員遊技集計データについて、当該営業日における「使用金額」「打込玉数」「払出玉数」「大当たり回数」の夫々の集計値を求めるとともに、「警告」フラグの履歴に基づき警告処理の実行回数の集計値を求める。この集計値は、上記した累計実行回数の算出時に累計される。
そして、管理装置6は、図8(a)に示す機種別依存症遊技者数データを集計して記憶する。機種別依存症遊技者数データは、遊技機1の「機種」に関する情報と、その機種別に集計した「遊技者数」並びに「依存症遊技者数」とを含む。詳細には、管理装置6は、前記遊技機No.毎に(台番毎に)、当該遊技場に新規に導入開始された営業日、その遊技機1の「機種No.」、「機種名」、当該機種のスペック(所謂マックス、ミドル、ライトといったタイプ)、貸出単価等を予め登録した全台番テーブルを記憶している。
このため、管理装置6では、図8(a)に示す「営業期間(集計期間)」として、キーボード6k等での操作入力により1日〜1年の間で任意の期間が入力されると、その期間における遊技データや全台番テーブルを照合することにより、同図(a)の「機種No.」「機種名」、及び設置「台数」を表すとともに、当該機種別に、実際に遊技を行った「遊技者数」を集計して、表すことができる。また、管理装置6は、同図(a)に示す「依存症遊技者数」について、依存症フラグの履歴を含む遊技データに基づき、実際に遊技を行った「遊技者数」のうち依存症遊技者と判定された遊技者の数を、遊技機1の機種別に集計して表すことができる。
更に、管理装置6は、実際に遊技を行った「遊技者数」に占める「依存症遊技者数」の割合たる「依存症率」を遊技機1の機種別に求め、これを「危険度」で表す。同図(a)の例において、危険度「小」は依存症率が0%以上10%未満のグループ、「中」は依存症率が10以上30%未満のグループ、「大」は依存症率が30以上のグループ、として3グループに分類している。これにより、同図(a)の営業日において、「AAAA」の機種で遊技した遊技者23名のうち、依存症遊技者数が2名、その割合が8.7%であり、「AAAA」は依存症の危険性が低いグループに分類される機種であることが分かる。一方、「BBBB」の機種で遊技した遊技者17名のうち、依存症遊技者数が11名、その割合が64.7%であり、「BBBB」の機種は依存症の危険性が高いグループに分類される遊技機1であることが分かる。
図8(b)は、全店依存症遊技者数データを示している。全店依存症遊技者数データは、「全会員数」「遊技会員数」「依存症遊技者数」「依存症率」「実依存症率」を含み、管理装置6において集計・記憶される。ここで「全会員数」は、集計日において会員登録されている全ての遊技者数を表し、「遊技会員数」は、全会員数の中で直近1ヵ月以内に遊技した実績のある遊技者数を表す。また「依存症遊技者数」は、集計日において依存症フラグが記録されている遊技者数を表し、「依存症率」及び「実依存症率」は、以下の式(2)及び式(3)で表される。
依存症率=依存症遊技者数/全会員数 …(2)
実依存症率=依存症遊技者数/遊技会員数 …(3)
こうして、管理装置6は、来場した全ての遊技者数を「全会員数」について集計するとともに、依存症と判定された「依存症遊技者数」を集計することで、それらの数を算出する遊技者数算出手段として機能する。
<3.管理サーバでの遊技データの管理>
図9(a)は、管理サーバ31において管理される遊技場属性データを、一部の遊技場について示している。遊技場属性データは、各遊技場の「所在地」「電話番号」並びにパチンコ機やスロットマシンの「台数」を含み、遊技場を特定可能な「遊技場ID」と対応付けて管理サーバ31の記憶部に記憶している。
図9(b)は、管理サーバ31において管理される依存症関連データを、一部の遊技場について示している。依存症関連データは、各遊技場の「全会員数」「遊技会員数」「依存症遊技者数」「依存症率」「実依存症率」を含み、「遊技場ID」と対応付けて管理サーバ31の記憶部に記憶している。
また、図9(a)(b)では図示を省略したが、管理サーバ31は、遊技場IDを「0001」〜「0003」とする遊技場以外にも全国の遊技場の管理装置6から送信される、全会員数や依存症遊技者数等のデータを、各遊技場を特定する属性データとともに受信して管理する。つまり、管理サーバ31は、自身31の前記I/F部を受信手段として、遊技場A〜Cを含む多数の遊技場の管理装置6から前記遊技者数算出手段により算出された全ての遊技者数及び依存症遊技者数を含む依存症に係るデータを受信する。
そして、管理サーバ31は、全国の遊技場から受信したデータに含まれる「全会員数(全ての遊技者数)」「遊技会員数」及び「依存症遊技者数」並びに遊技場属性データに基づいて、各遊技場における依存症遊技者数の割合(依存症率、実依存症率)を比較することが可能な図9(c)の依存症ランキングデータを作成する。
依存症ランキングデータは、依存症率や実依存症率の低い遊技場を、その低いホールから順に順位を付けてホールの所在地とともにランキング形式で表す。つまり、管理サーバ31は、各遊技場における全ての遊技者数に対する依存症遊技者数の割合を算出して図9(b)の依存症関連データを作成するとともに、その割合が小さい順に各遊技場を並べた図9(c)のランキングデータを比較データとして作成する。
尚、図9(c)では、説明の便宜上、10位までの全国ランキングを表しているが、多数の遊技場(データを送信した全遊技場)を対象として、夫々の「ホール名」と所在地を表す「都道府県」を、「依存症率」や実依存症率(同図(c)では省略)による全国順位を付した一覧表示、並びに、後述する図10の画面102のような都道府県別ランキングによる都道府県別順位を付した一覧表示が可能とされている。
こうして、遊技場用管理システム100では、管理サーバ31にて依存症関連データ等を遊技場IDと対応付けて管理しているため、その管理対象となった各遊技場の管理装置6は、管理サーバ31にアクセスして(自遊技場について作成された比較データ等を読み出して)、依存症ランキングデータや当該ランキングデータとは別の自遊技場の順位等のデータを、モニタ6mに表示出力したり、前記印刷装置に印刷出力することが可能である。
<4.携帯端末装置での比較データの表示>
上記した遊技場用管理システム100が提供する依存症対策のサービスを利用するために、管理サーバ31から携帯端末装置33へアプリケーションソフトをダウンロードしておく。これにより、携帯端末装置33は、登録されたアカウントID等の認証を条件としてアプリケーションソフトを実行することで、液晶表示部33aに依存症対策のトップ画面(図示略)を表示させ、そのトップ画面から図10に示す画面101へと遷移させることができる。
図10の画面101は、携帯端末装置33に表示される依存症ランキングデータに係るメニュー画面を表す。メニュー画面101には、「全国ランキング」ボタン101a、「都道府県別ランキング」ボタン101bが設けられている。メニュー画面101の下部には、元のメニュー画面に戻る「戻る」ボタン101cが設けられている。メニュー画面101で「全国ランキング」ボタン101aがタッチ操作されると全国ランキング画面(図9(c)参照)に遷移する。また、メニュー画面101で「都道府県別ランキング」ボタン101bがタッチ操作されると、都道府県を選択するための画面(図示略)に遷移し、その画面で何れかの都道府県がタッチ操作により選択されると、同図10で下側の都道府件別ランキング画面102に遷移する。
都道府件別ランキング画面102には、選択した都道府県における「依存症率」でのランキングを該当する「ホール名」とともに表す欄102aと、「実依存症率ランキング」ボタン102b及び「戻る」ボタン102cとが設けられている。「実依存症率ランキング」ボタン102bがタッチ操作されると、当該都道府県における「実依存症率」でのランキングを該当するホール名とともに表す画面(図示略)に遷移し、「戻る」ボタン102cがタッチ操作されると、メニュー画面101に戻る。
このように、携帯端末装置33は、管理サーバ31が作成した依存症ランキングデータを読み出して液晶表示部33aでの表示出力が可能に構成されており、遊技者は、その画面102等でホールのランキングを閲覧することで依存症遊技者が少ないホール、即ち依存症対策への取組が優れているホールを客観的に把握することが可能となり、遊技場を選択する際の判断材料の一つとすることができる。
以上に説明したように本実施形態の遊技場用管理システム100では、各遊技場における依存症遊技者数の割合が客観的な数値である、依存症率や実依存症率といった比較可能な比較データに基づいて評価されるため、各遊技場の管理者に対して依存症対策への意識付けをすることができる。また、遊技者が比較データを携帯端末装置33等で閲覧することによって、依存症対策への取組姿勢が優れている遊技場を認識することが可能となり、遊技場を選択する際の判断材料の一つになる。さらに、上記比較データを遊技場の監督官庁へ提出することにより、各遊技場における依存症対策への取組状況を監督官庁側で把握できるように便宜を図ることもできる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせたりしてもよい。
比較データとしてランキング形式のデータを作成したが、これに限定されるものでなはく、各遊技場の依存症遊技者数の割合を比較可能なデータであればどのようなデータを作成してもよい。例えば、管理サーバ31等の集中管理装置おいて、依存症率及び実依存症率の全国平均値、都道府県別平均値を算出するとともに、各遊技場の偏差値を算出して一覧にしたデータを作成してもよい。
依存症ランキングデータは、上記した実施形態に限定されず、様々な種類のランキングデータとして作成し、出力することができる。例えば、集中管理装置おいて、依存症遊技者数のランキング、依存症遊技者数の増加率ランキング、依存症遊技者数の減少率ランキング等を作成することができる。また、各々のランキングの並び順は、数値が大きい順、小さい順の何れであってもよいし、ベストランキング及びワーストランキングの両方を作成してもよい。
会員遊技集計データは、営業日単位で集計したが、集計期間はこれに限定されない。例えば、1週間単位、1カ月単位、1年単位など、適宜の期間を対象として集計することが可能である。
遊技制限有無の設定は、遊技者自らの意思で行うようにしたが、遊技者の意思と無関係に遊技場側(遊技者以外の第3者)が特定の遊技者に対して遊技制限有りの設定を行うことができる構成としてもよい。
この場合、遊技者の遊技状況が予め定められた状況となったときに自動で遊技制限有りを設定するのが望ましい。具体的には、例えば1日の使用金額の合計が3日連続で3万円に達したとき、その遊技者に対して管理装置6により遊技制限有りを自動的に設定し、図5の画面54で警告メッセージを表示する構成にしてもよい。
遊技制限条件として、使用金額の上限値を設定するようにしたが、遊技制限条件の内容はこれに限定されるものではなく、依存症とみなすための条件であれば、どのような条件を設定してもよい。例えば、図7(a)の会員遊技履歴データ等から算出される遊技時間の長さや収支金額について、所定範囲を画する閾値を遊技制限条件として設定することが可能である。また、1種類の遊技制限条件に限らず、2種類以上の遊技制限条件を設定し、そのうちの1種類又は全種類の遊技制限条件を満たしたときに、遊技の続行を制限する構成にしてもよい。
遊技制限の警告処理として、計数貸出ユニット2の表示部24に警告メッセージ等を表示するようにしたが、これに限定されない。例えば、遊技制限に係る警告メッセージに代えて、管理装置6により遊技制限条件を満たしたことを検知したとき、その旨を前記インカム装置を介して従業員に報知する処理を行い、従業員から制限遊技者に対して声掛けをするという運用も可能である。つまり、遊技制限に関するメッセージを伝える手段は、表示部24での表示手段に限らず、音声での報知手段で構成する等、適宜変更してもよい。
管理装置6側で算出する遊技データの種類は本実施形態に限定されるものではなく、遊技機1や計数貸出ユニット2等から受信する各種の遊技信号に基づいて、様々な種類の遊技データを求めることが可能である。
計数貸出ユニット2にて、現に会員カード10を使用しているときの遊技データを、依存症対策のデータとして記憶するようにしたが、会員カード10を使用せずに遊技しているときの遊技データであっても、前記顔IDにより同一会員として判別できる場合には、依存症対策のデータ(同会員の遊技データ)として記憶するようにしてもよい。或は、会員カード10を挿入口28へ挿入しない限り遊技を行うことができない完全カード式遊技機を採用してもよい。この場合には、全ての遊技者を会員カード10により完全に識別することが可能となり、その全ての遊技データを遊技履歴データとして扱うことができる。
カメラ23を計数貸出ユニット2と一休的に設けたが、カメラ23の位置は遊技者の顔が撮像可能な位置であればどこの位置でもよく、計数貸出ユニット2と一体である必要も無い。
中継装置4を2台の遊技機1に対して1台ずつ設けるようにしたが、遊技機1と中継装置4との対応関係はこれに限定されない。遊技機1と中継装置4との台数の比は、3対1や4対1であってもよい。画像処理装置30についても同様に、4台のカメラ23に対して1台ずつの対応関係に限定されるものではない。
遊技機1は、遊技媒体を払い出さず、電子データとして加算記憶する封入式遊技機であってもよい。また、パチンコ機に限らず、例えばスロットマシンであってもよい。
上記した各数値は例示であり、どのような数値を採用してもよい。また、上記した記載中における「記憶」「記録」及び「登録」について、例えば管理装置6の記憶部60a等への「記憶」を「登録」と称する等、それらの意味を同じくするものとして把握することができる。