以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する3つの遊技場A,B,Cでは、各遊技者の遊技状況を管理する共通のシステム(遊技場用管理システム100)が構築されていることから、以下では、遊技場Aの構成を中心に説明する。
遊技場A内には、複数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3が夫々付設されている。遊技機1、計数貸出ユニット2及び遊技情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4に接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
また、遊技場A内には、精算装置7や景品交換端末(以下、POS)8も設置されており、これら精算装置7やPOS8もLAN5を介して管理装置6と接続されている。精算装置7は、一般カードや会員カード(図3に符号9,10で示す)がカード挿入口7aに挿入されると、図示しないカードリーダライタでカード9,10を読取って入金残高を特定し、その入金残高に対応する紙幣や硬貨を返却口7bから払い戻す返却処理を行う。POS8は、付属するカード処理機8aでカード9,10を読取って遊技価値(持玉数・貯玉数)を特定し、その遊技価値に基づき景品交換処理を行う。尚、持玉とは当日中に計数した玉であり、貯玉とは前日以前に計数した玉である。
管理装置6は、遊技場A内の例えば事務所等に設置されており、モニタ6m、キーボード6k等が接続されている。管理装置6は、遊技機1、計数貸出ユニット2、遊技情報表示装置3等、上記した各種機器から出力される遊技データを入力することで、各種機器の稼動状況、会員登録された会員毎の個人データ等を管理する。尚、図1では図示を省略したが、同図のパチンコ機の他、所謂スロットマシンも含めて例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
図2に示すように、遊技機1はCRパチンコ機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有するとともに、盤面11に、液晶表示部15、始動口16、大入賞口17を有する。また、遊技機1における上部受皿13の上面には、左右に並ぶ貸出ボタン13aと返却ボタン13bを有する。
遊技者が操作ハンドル12を操作すると、玉が盤面11に発射され、その玉が始動口16に入賞すると、その入賞に応じた数の玉を払出したり大当たり抽選を行ったりする。大当たり抽選では、液晶表示部15において所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口17を開放する。
遊技機1からは遊技の実行に応じて以下の信号が管理装置6側へ送信される。
・打込信号:遊技機1に対して打込まれた玉数(遊技媒体の数)を示す信号。
・払出信号:遊技機1から払い出された玉数を示す信号。
・大当たり信号:大当たり状態が発生したことを示す信号。
・スタート信号:大当たりの発生契機となる電動役物が作動(図柄変動)したことを示す信号。
計数貸出ユニット2は、各遊技機1に対応する位置に設けられ、所謂各台計数機能を備える。具体的には図2に示すように、計数貸出ユニット2は、現在の運用状態(例えば正常状態、エラー状態等)を示す状態表示部21、紙幣が投入される紙幣投入口22、周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を含むカメラ23(図2では前面のカメラ窓23aのみ図示)、遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部24、1単位分(単位付与数)の玉を払い出すための払出ボタン25、払出された玉が通過する払出ノズル26、一般カード9或は会員カード10が挿入されるカード挿入口28、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿29等を備えている。
図3の機能ブロック図は、計数貸出ユニット2の構成を中心に示している。計数貸出ユニット2の制御部20は、CPU20a、ROM20b、RAM20c、I/O20d等を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。制御部20に接続された周辺部としては、上記した状態表示部21、液晶表示部24、払出ボタン25を含むとともに、管理装置6や遊技機1との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部20e、紙幣投入口22に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部22a、液晶表示部24上に設けられたタッチパネル24a、カード挿入口28に挿入されたカード9,10に記憶されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードRW(リーダライタ)28a、最大10枚の一般カード9をストック可能なカードストック部28b、払出ボタン25が操作されたときに、1度数分の玉を払出ノズル26から払い出す払出部25a、計数受皿29から流入する玉数を計数する計数部29a等を含む。これに対し、カメラ23は、制御部20に接続されることなく、図1に示すように4台ずつ画像処理装置30と接続されている。画像処理装置30は、LAN5を介して管理装置6に接続されている。
一般カード9は、当日限り有効なカードであり、ICチップ9aが内蔵されている。ICチップ9aには、カードを特定可能な一般IDが記憶されているとともに、計数貸出ユニット2に入金された入金残高や持玉数が記憶される。この一般カード9の持玉数は当日のみ有効で、入金残高は翌日以降も利用可能とされている。
会員カード10は、予め設定されている有効期限(例えば3年間)まで有効なカードであり、ICチップ10aが内蔵されている。ICチップ10aには、会員登録を行った遊技者を特定可能な会員IDが記憶されているとともに入金残高が記憶される。会員カード10に対応する持玉数や貯玉数は管理装置6の会員口座に記憶される。この会員カード10の持玉数、貯玉数、並びに入金残高は、翌日以降も利用可能とされている。
計数貸出ユニット2は、以下に示す機能を備えている。
(1)カード9,10の未挿入状態で紙幣投入口22へ投入された紙幣を受付けると(貨幣受付処理を行うと)、カードストック部28bに収納している一般カード9をカードRW28aへ繰り出して、その入金金額(1000円単位)を記憶するとともに、当該入金金額(入金残高)を液晶表示部24に表示する。このとき、1度数(500円)は、貸出単価が4円のパチンコ機では125玉であるから、入金残高に相当する度数を液晶表示部24に表示してもよい。
(2)遊技機1の貸出ボタン13aの操作(貸出操作)に応じて入金残高の範囲内で1度数に相当する玉を遊技機1内部の払出機構から貸し出す貸出処理を行う。
(3)遊技機1の下部受皿14から落下して計数受皿29で受けられた玉が計数部29aに流入することで玉を計数し、その計数した玉数である計数玉数を液晶表示部24に表示する。
(4)払出ボタン25の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員遊技者の場合)の範囲内で1度数ずつ前記払出機構から払い出す。
(5)遊技機1の返却ボタン13bの操作に応じて入金残高及び持玉数をカード挿入口28に挿入されている一般カード9に記憶して発行する。会員カード10が挿入されている場合は、入金残高を会員カード10に記憶して発行する。カード挿入口28に何れのカード9,10も挿入されていない場合は、カードストック部28bにストックしている一般カード9を図示しない記録媒体移動手段によりカードRW28aに繰出して、そのカード9に入金残高及び持玉数を記憶して発行する。
また、入金残高及び持玉数が何れも「0」となった場合は、カードRW28aにセットされた一般カード9を記録媒体移動手段によりカードストック部28bに回収する。尚、カードストック部28bのカード9が無くなったとき、状態表示部21において、エラー状態を表し、従業員によりカード9が挿入口28から補充されると正常状態に復帰する。
(6)一般カード9がカード挿入口28に挿入された場合は、一般カード9に記憶されている入金残高及び持玉数をカードRW28aにより読出して液晶表示部24に表示する。会員カード10が挿入された場合は、会員カード10に記憶されている入金残高を読出して液晶表示部24に表示するとともに持玉数を管理装置6から受信して表示し、又、暗証番号の入力を条件として貯玉数を管理装置6から受信して表示する。
計数貸出ユニット2の制御部20(以下、適宜「計数貸出ユニット2」と略す)は、上記した機能の他、以下の信号を管理装置6側へ送信する機能を有する。
・売上信号:玉の貸出しに伴い使用された金額(使用金額)を示す信号。
・貯玉払出信号:会員カード10で貯玉を使用する場合に、払い出された貯玉数を示す信号。
・カード発行信号:上記したカード9,10の発行処理(返却処理)を行う場合に、該当するカード9,10に記憶される入金残高や持玉数を示す信号。
計数貸出ユニット2のカメラ23は、所定周期毎に(例えば4秒毎に)撮像し、その撮像した画像を画像処理装置30に送信する。カメラ23の撮像視野は、遊技者が遊技機1に対して正対している状態で当該遊技者の顔を含む領域となるように設定されている。
画像処理装置30は、4台のカメラ23から送信される各画像を1秒間隔で取込み、その取込んだ画像を分析することにより、当該画像の中に遊技者の顔画像が存在するか否かを判定し、顔画像が存在すると判定すると、その顔画像を管理装置6に送信する。この点、カメラ23から送信される画像に遊技者が含まれていても、その遊技者が例えば不自然な方向を向く等して不自然な姿勢で遊技していれば、画像処理装置30により顔画像を認識できないため、その画像を管理装置6に送信しない場合がある。
尚、画像処理装置30から顔画像を受信した管理装置6は、同一人物判定及び要注意人物判定を行う。同一人物判定では、受信した顔画像に対して例えば特徴点の抽出等の画像処理を行い、当日の顔画像データベースに既に登録されている顔画像と照合して、同一人物か否かを判定する。照合した顔画像が未だ顔画像データベースに登録されていない顔画像(つまり新規の遊技者)であると判定すると、顔IDを付与して当日の顔画像データベースに登録するとともに、その顔IDを遊技データと対応付けて記憶する。一方、顔画像が既に顔画像データベースに登録されている顔画像(つまり既知の遊技者)であると判定すると、その顔IDに対応付けている遊技データを更新する。要注意人物判定では、その顔画像と、要注意データベースに登録されている顔画像とを照合し、同一人物の顔画像が要注意データベースに登録されているか否かを判定する。同一人物の顔画像が要注意データベースに登録されていると判定すると、要注意人物が来店した旨を例えばインカム装置(図示略)等により遊技場Aの従業員に報知する。
図3に示す管理装置6の制御部60(以下、適宜「管理装置6」と略す)は、マイクロコンピュータを主体に構成され、ROMやRAMといった記憶部60aや、I/O等を備えており、その記憶部60aに記憶された制御プログラムに従い動作する。また、管理装置6は、上記した遊技機1や計数貸出ユニット2から送信される各種の遊技信号に基づいて、以下の遊技データを含む各種の遊技データを管理する(後述の図8(b)等参照)。
・打込玉数:遊技機1に対して打込まれた玉数を示す遊技データ。
・払出玉数:遊技機1から払い出された玉数を示す遊技データ。
・大当たり回数:遊技機1で発生した大当たりの回数を示す遊技データ。
・スタート回数:遊技機1で実行された図柄変動の回数を示す遊技データ。
・稼動時間:遊技機1が稼動している時間を示す遊技データ。
そして、管理装置6は、図1に示す通信回線(インターネット、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)等)32に接続可能となっており、センターに設置されている管理サーバ31と通信回線32等を介して通信可能である。遊技場B、Cでも遊技場Aの同等の構成が実現されており、遊技場B、Cの管理装置6(図示略)についても、遊技場Aの管理装置6と同様、通信回線32に接続可能とされている。
また、図1の携帯端末33は、例えばスマートフォンといった携帯可能な通信端末であり、そのユーザと通信事業者との間で所定の契約を締結することにより通信事業者から提供される各種通信サービスを受けることが可能となる。携帯端末33は、CPU、ROM、RAM等を含む制御部、通信回線32に接続するデータ通信部、電話する際の送話音声を入力するマイクロホン、画面上でタッチ操作を受付ける(入力を受付けるタッチパネル)機能と各種情報を表示する機能とを有する液晶表示部33a等を備えている。
管理サーバ31は、通信回線32を介して、遊技場A~Cの管理装置6と通信可能に接続されている。管理サーバ31は、各遊技場A~Cにおける各種の遊技データを記憶するとともに、携帯端末33等のOS(Operating System)に対応する後述のアプリケーションソフトを記憶しており、管理サーバ31から携帯端末33へとアプリケーションソフトをダウンロードすることができる。また、管理サーバ31や遊技場A~Cの管理装置6は、会員のメールアドレスも記憶しており(図6(a)参照)、メールサーバとして機能する。
ところで、「従来技術」で述べたように、近年のギャンブル依存症の問題について、遊技場もその対策を講じようとしているところである。この点、遊技にのめり込んでいる遊技者に対して遊技を控えるように促し、その時点で一時的に遊技を終了したとしても、翌日以降の遊技で同様に遊技を抑えることができるか否かについては依然として不安が残るため、依存症対策としては限定的な効果しか期待できないという問題があった。
そこで、本実施形態の遊技場用管理システム100では、遊技者自身が作成した遊技の計画を示す遊技計画データと、実際の遊技における遊技データを示す遊技実績データとを活用して、遊技者の依存症対策への取り組みを継続的に支援する構成としている。係る遊技場用管理システム100の構成について、「1.計数貸出ユニットでの遊技制限の設定と警告処理」、「2.管理装置での遊技データの管理」の順に、図4以降の図面も参照しながら説明する。
<1.計数貸出ユニットでの遊技制限の設定と警告処理>
遊技者は予め遊技場Aで会員登録を済ませており、自身が所持する会員カード10を、計数貸出ユニット2のカード挿入口28へ挿入して、対応する遊技機1で遊技を行うものとする。
この場合、計数貸出ユニット2は、液晶表示部24に図4に示す画面41を表示させる。この画面41には、種別(貸出単価)・単位付与数を表す欄41a、挿入中のカード9,10の種別(会員・一般)を表す欄41b、後述する「本日の遊技計画」や各種案内を表す案内表示領域41c、入金残高及び持玉数を表す欄41dが設けられている。
また、この場合、遊技者は画面41のタッチ操作により、図示しないメニュー画面を表示させ、そのメニュー画面で「遊技制限」をタッチ操作により選択すると、計数貸出ユニット2は、図5に示す画面51に遷移する。尚、図5の画面51~54は、液晶表示部24における案内表示領域41c部分の画面遷移を示すものとする。
同図5の画面51には、「遊技制限」ボタン51aが設けられるとともに、「終了」ボタン51bが設けられている。「遊技制限」ボタン51aは、遊技制限の有無を設定するためのボタンであり、計数貸出ユニット2は、「遊技制限」ボタン51aがタッチ操作されると次の画面52に遷移し、「終了」ボタン51bがタッチ操作されるとメニュー画面に復帰する。
図5の画面52では、使用金額の上限値を表示する欄52aと、「完了」ボタン52b及び「戻る」ボタン52cとが設けられている。この場合、計数貸出ユニット2は、液晶表示部24における画面52の表示領域41c以外の表示領域にテンキー(図示略)を表示させ、使用金額の上限値を、そのテンキーのタッチ操作に応じて受付ける。このとき、計数貸出ユニット2は、遊技制限条件として使用金額の上限値を、所定値(例えば10000円)以上の範囲内で、任意に設定することが可能である。計数貸出ユニット2は、使用金額の上限値を受付けた後「完了」ボタン52bがタッチ操作されると次の画面53に遷移し、「戻る」ボタン52cがタッチ操作されると前の画面51に復帰する。
図5に示す次の画面53では、受付けた使用金額の上限値を表示する欄53aと、「確認」ボタン53bとが設けられている。計数貸出ユニット2は、遊技者により「確認」ボタン53bがタッチ操作されると、設定された遊技制限条件(つまり遊技制限の有無及び使用金額の上限値)を会員IDとともに管理装置6に送信して、メニュー画面に復帰する。このように、計数貸出ユニット2におけるタッチパネル24a及び制御部20は、遊技者が自身の遊技データに対して、遊技を制限するための遊技制限条件を設定する設定手段に相当する。
また、管理装置6は、計数貸出ユニット2から受信した遊技制限条件を、会員IDと対応付けて自身の記憶部60aに記憶する(図6(b)参照)。つまり、管理装置6は、計数貸出ユニット2における「遊技制限」ボタン51aの操作入力に応じて遊技制限の有無を記憶するとともに、使用金額の上限値の表示欄52aでの操作入力に応じて使用金額の上限値を記憶する。尚、後述する会員登録時の自己申告、或いは当該遊技者が計数貸出ユニット2の画面51~53での操作入力を再度行うことにより、管理装置6にて管理する遊技制限に係る情報を、登録或は上書き更新することができる。
この後、管理装置6により、遊技者の実際の使用金額が前記上限値に達した(遊技データが予め設定された遊技制限条件を満たした)と判定したときに、遊技機1での遊技の続行を制限(抑制)するように、対応する計数貸出ユニット2にて警告を発する。
具体的には、計数貸出ユニット2おいて使用金額の上限値を30000円に設定した遊技者が、遊技の進行に伴い紙幣投入口22へ30000円分の紙幣を順次投入して、その分の玉数を前記貸出処理により消費した(貸出金額が3万円に達した)ものとする。このとき、管理装置6は、遊技機側からの遊技信号に基づき、遊技者の合計使用金額が上限値たる30000円に達したと判定すると、計数貸出ユニット2において、当該貸出操作が行われた時点で、当該遊技者に対して警告を発する警告処理を実行させる。
警告処理は、図5の画面54で示すように、上限値の使用金額「30000円」と併せて、その上限値に達した旨並びに遊技の終了を促す旨を、警告メッセージとして表す表示制御処理である。警告処理は、同画面54の「確認」ボタン54aのタッチ操作により終了する(メニュー画面に復帰する)。
また、計数貸出ユニット2は、使用金額が上限値に達した後、例えば10000円毎に警告処理を実行する。つまり、遊技者が設定した最初に警告処理を行う上限値を「α」万円、警告処理の実行回数を「n」回とした場合、警告処理が実行される使用金額(複数の上限値「β」万円)は、次式(1)で表される。
β=α+(n-1) … (1)
このように、計数貸出ユニット2及び管理装置6は遊技制限手段に相当し、警告処理により遊技者に対する依存症対策として、遊技の続行を制限するよう働きかけるものであるが、実際にその時点で遊技を続行するか否かは、遊技者の意思に委ねられている。それ故、遊技者としては、警告処理の後、返却ボタン13bの操作により会員カード10を挿入口28から排出させて遊技を終了するケースや、そのまま遊技を続行するケースも想定される。
本実施形態では、遊技者自身の遊技の計画を示す遊技計画データを、図1に示す携帯端末33で作成して登録することができるものとし、又、上記した遊技制限の有無や使用金額の上限値の設定を、携帯端末33でも行うことができるものとする。
具体的には、遊技者が所有する携帯端末33において、遊技場用管理システム100が提供する依存症対策のサービスを利用するために、管理サーバ31から当該端末33へアプリケーションソフトをダウンロードして、アカウント情報(アカウントIDやパスワード、メールアドレス等)を登録しておく。また、携帯端末33は、登録されたアカウント情報の認証を条件としてアプリケーションソフトを実行することで、その液晶表示部33aにおいて、遊技者を特定するための識別情報(氏名等)を入力する画面の他、遊技制限の有無や使用金額の上限値を設定するための画面(例えば図5の画面51~53と同様の画面)、並びに作成する遊技の計画を入力するための画面(後述する図7(a)の「来店予定」~「使用金額」等の入力画面)の表示が可能に構成されている。
こうした携帯端末33の画面において、前記タッチパネルのタッチ操作により、識別情報を入力(対象者を特定)した上で、遊技制限の有無や使用金額の上限値の設定を設定し、或いは遊技の計画を作成する。これにより、設定され或いは作成された情報が携帯端末33から送信されると、管理装置6は、管理サーバ31を介して当該端末33から受信した識別情報に基づき、該当する対象者について係る情報を登録する。
<2.管理装置での遊技データの管理>
図6~図8は、管理装置6において管理される遊技データであって、モニタ6mへの表示出力並びに図示しない印刷装置への印刷出力が可能なデータを示している。
ここで、図6(a)は、一の遊技者の会員属性データを示している。会員属性データは、会員登録を行った遊技者の「氏名」「性別」「年齢」「職業」「住所」「メールアドレス(同図で携帯メアドと略す携帯端末33の電子メールアドレス)」が、その会員IDたる「会員No.」と対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶されている。こうした会員属性データは、例えば遊技場Aで予め会員登録を行うときに遊技者が記入した会員登録用紙(つまり図示しない用紙での自己申告)をもとに、管理装置6に対して入力される。尚、図示は省略するが、会員属性データには、前記アカウント情報として登録されるアカウントIDやパスワードを含めることができる(会員IDと対応付けることができる)。
図6(b)は、依存症対策対象者データの一部を示している。同図(b)に示すように、依存症対策対象者データは、例えば30000円等の使用金額の上限値で表された「遊技制限条件」と対象者の「登録日」とが、会員IDと対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶されている。この依存症対策対象者データへの会員IDの登録、つまり遊技制限の有無の登録は、会員登録時に依存症対策を希望する旨の自己申告を受付けたとき、或いは上記した計数貸出ユニット2や携帯端末33での操作入力を受信したときに、管理装置6(設定手段)にて行われる。
そして、図7(a)は、一の遊技者の遊技計画データを示している。遊技計画データは、遊技者自身が作成した遊技の計画を示し、その遊技者の会員IDと対応付けて管理装置6の記憶部60a(遊技計画記憶手段)に記憶されている。同図(a)に例示するように、遊技計画データは、一週間分の「来店予定」「来店時刻」「遊技時間」「使用金額」を含む。
遊技者は遊技の計画を立てるとき、携帯端末33における前記アプリケーションソフトの遊技計画作成機能により、その表示部33aの入力画面で、該当する「計画期間」の各項目(同図(a)の各欄)を入力することができる。即ち、「2017/4/10~2017/4/16」の計画期間において、遊技者が遊技場Aへの「来店予定」があるとき、携帯端末33の入力画面で、その予定している日付に「○」印を付すとともに、予め「来店時刻」と「遊技時間」と「使用金額」とを夫々入力する一方、「来店予定」がない日付に「×」を付すと、他の項目はブランク「-」となる。尚、前記遊技制限条件が設定されている場合、「使用金額」は、その上限値の範囲内で設定可能とされている。また、携帯端末33で作成された1週間分の遊技計画データは、上記したように管理装置6側へ送信されて記憶される。
こうして、管理装置6は、遊技者が作成した遊技の計画を管理することができ、当該遊技者の会員カード10が計数貸出ユニット2の挿入口28へ挿入されたとき、その計数貸出ユニット2に、該当する遊技計画データを送信することで、当該遊技者の「本日の遊技計画」の欄41e(図4参照)を表示させる。「本日の遊技計画」は、当日に予定されている(該当する日付に入力されている)「遊技時間」と「使用金額」が表示されるため、遊技者は、これを目安に遊技を行うことができる。
図7(b)は、一の遊技者の遊技実績データを示している。遊技実績データは、遊技計画データに対応する1週間分の実績となるデータを管理装置6により集計し、記憶したものであり、「計画期間」における「来店」の有無、実際の「来店時刻」「遊技時間」「使用金額」「収支」等が、その遊技者の会員IDと対応付けて記憶部60aに記憶されている。
このうち「来店」の項目では、遊技者の来店の実績がある時これを「○」で表し、来店の実績がない時これを「×」で表している。また、「収支」の項目では、「計画期間」における日付毎に集計した遊技者の収支金額(持玉×交換単価-売上額)を表している。このように、遊技実績データは、実際の遊技における遊技データを示し、記憶部60aは、遊技実績データを記憶する遊技実績記憶手段に相当する。
また、管理装置6は判定手段として、遊技実績データを遊技計画データと比較することにより、遊技者が計画通りの遊技を行っているか否かを判定するようになっており(後述の図9参照)、その判定結果を、図7(b)の「計画達成」の項目で表す。具体的には、同図(b)に示すように、来店予定がないのに来店した「2017/4/11」の日付には、「計画達成」ができなかったものと判定して「×」で表す。また、「2017/4/13」の日付には、予定していた遊技時間「4:00」を超えて遊技がなされているため、「計画達成」ができなかったものと判定して「×」で表す。これに対し、遊技者が計画通りの遊技を行っていると判定した場合には、「計画達成」として「○」で表すとともに、「×」の項目の表示態様(例えば網掛け表示)とは異なる表示態様で区別する。
図8(a)~(d)は、上記した遊技計画データや遊技実績データとは別に、管理装置6で集計・記憶される各種の遊技データを示している。
このうち図8(a)は、一の遊技者の会員所有価値データを示している。会員所有価値データは、会員が所有する「入金残高」「持玉数」「貯玉数」が、その遊技者の会員IDと対応付けて管理装置6の記憶部60aに記憶される。管理装置6は、会員カード10を使用した遊技者の遊技に応じて、前記売上信号やカード発行信号等に基づき会員所有価値データを更新する。こうして、管理装置6は、会員所有価値データについて、対象者としての登録の有無にかかわりなく集計・記憶する一方、依存症対策対象者データの「遊技制限条件」や「登録日」に係る情報に基づき、その遊技制限に関する各種のデータを集計・記憶する。
例えば、図8(b)は遊技者の遊技状況を示す遊技データであって、会員登録された全ての遊技者の遊技データが会員遊技履歴データとして集計され、記憶される。会員遊技履歴データは、遊技者が遊技を行った「遊技機No.」での「使用金額」「打込玉数」「払出玉数」「大当たり回数」「持玉数」について、その遊技機1での「遊技開始」と「遊技終了」の時間(遊技時間)に対応付けて記憶部60aに記憶される。また、会員遊技履歴データは、警告処理の実行の有無を示す「遊技制限」フラグのデータを含む。
同図(b)に例示するように、遊技者は「遊技機No.123」にて「10:15」から「12:23」までの遊技中に紙幣投入口22へ3000円分の紙幣を順次投入し、その分の玉数を貸出処理により消費した後、1240の持玉数を獲得した状態で台移動している。このように、遊技機No.123で警告処理を実行していない場合、管理装置6は、その遊技機No.123での「遊技終了」の際に、遊技制限フラグ「0」を対応付けた会員遊技履歴データとして記憶する。
また、遊技者は、台移動した「遊技機No.125」にて「12:28」から遊技を開始し、先ずは遊技機No.123で獲得した1240の持玉数を全て消費した後、紙幣投入口22へ27000円分の紙幣を順次投入して、その分の玉数を貸出処理により消費している。これにより、使用金額が上限値の30000円に達し、計数貸出ユニット2で警告処理が実行された場合、管理装置6は、遊技制限フラグ「1」を対応付けた会員遊技履歴データとして記憶するとともに、新規レコードを作成する。
更に、遊技者は同遊技機No.125にて、最初に警告処理が実行された後も遊技を続行しており、「16:27」に追加の10000円分の玉数を貸出処理により消費しているため、2回目の警告処理が実行されている(同図(b)の遊技制限フラグ「1」参照)。
図8(c)は、図8(b)の会員遊技履歴データを営業日単位で集計した会員遊技集計データを示している。管理装置6は、会員遊技集計データについて、当該営業日における「使用金額」「打込玉数」「払出玉数」「大当たり回数」の夫々の集計値を求めるとともに、「遊技制限」フラグの履歴に基づき警告処理の実行回数の集計値を求めて記憶部60aに記憶する。
図8(d)は、全会員遊技制限設定データを示している。管理装置6は、全会員遊技制限設定データについて、遊技場Aで会員登録された「全会員数」のうち、「遊技制限」有りとして設定した人数と、その人数の全会員数に占める「遊技制限割合」と、使用金額の上限値として設定された値の平均を表す「平均上限」とを夫々営業日単位で求めて記憶部60aに記憶する。
続いて、上記構成の作用について、図9も参照しながら説明する。ここで、図9は、管理装置6の制御部60が実行する遊技実績データに係る処理の流れを示している。
制御部60は、例えば閉店後の本日締め処理時に「来店」「来店時刻」「遊技時間」「使用金額」の各項目(図7(b)参照)を遊技実績データとして集計したとき、対応する遊技者の遊技計画データを記憶部60aから読込む(S1)。次いで、制御部60は、遊技実績データと遊技計画データとの各項目を照合して比較する(S2)。
そして、制御部60は、両データの比較結果に基づいて、遊技者が計画通りの遊技を行っているか否かを判定する(S3)。具体的には図7(a)と(b)とに例示したように、「来店」~「使用金額」の各項目について何れも予定された範囲で遊技を行っていると判定したとき(S3:YES)、その日付の「計画達成」を「○」で表すとともに各項目と併せて「収支」を表す通知用データを作成して記憶する(S4)。これに対し、「来店」~「使用金額」の各項目のうちの何れか一つでも予定された範囲にないと判定したとき(S3:NO)、その日付の計画未達成を「×」と網掛け表示で表すとともに各項目と併せて「収支」を表す通知用データを作成して記憶する(S6)。
こうして、制御部60は、図7(b)のように表す通知用データを、管理サーバ31を介して該当する遊技者の携帯端末33に送信(通知)する(S5)。この通知により、携帯端末33の表示部33aにおいて、遊技実績データとその遊技計画の達成・未達成を表すデータとを閲覧可能な画面を表示して報知することができる。この通知は、上記した遊技実績データを集計した時点、つまり計画期間の各日付において行うものであるが、1週間の計画期間が経過した時点で、その1週間分のデータをまとめて通知するように構成してもよい。このように、携帯端末33及び管理装置6は、遊技計画に係る判定結果を遊技者へ報知するための報知手段に相当する。
尚、本実施形態の遊技場用管理システム100について、遊技場Aで会員登録した遊技者を中心に説明したが、他の遊技場B,Cで会員登録した遊技者も遊技場Aと同様、遊技実績データを遊技計画データとの比較により判定する等して、携帯端末33により、係る判定結果を遊技者へ報知することができる。
以上に説明したように本実施形態の遊技場用管理システム100では、遊技者自らが遊技計画を作成し、その遊技計画通りに遊技をしているのか否かを都度、端末33等で明確に確認することができるので、遊技者は計画的に遊技を行う習慣を身につけることが可能となって、必然的に依存症からの回復が期待される。また、遊技計画の作成・実行と並行して遊技者自らが予め設定した条件に基づく遊技制限を計数貸出ユニット2にて実行することにより、さらに効果的な依存症対策を実現することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせたりしてもよい。
携帯端末33にダウンロードしたアプリケーションソフトの機能を用いて遊技計画を作成するようにしたが、遊技計画を作成する手段はこれに限定されない。遊技場側が予め用意した所定の用紙に遊技計画を記入し、その用紙を遊技場へ提出するようにしてもよい。この場合、用紙に記入された遊技計画は、管理装置6において入力されることにより、遊技計画データとして記憶することができる。或いは、遊技者が操作可能な端末装置を遊技場内に設置し、その端末装置で所定の操作を行うことにより遊技計画を作成可能としてもよい。
遊技計画は、一度に1週間分作成するようにしたが、これに限定されるものではなく、一度に作成する遊技計画の期間は何日分であってもよい。
遊技計画記憶手段や遊技実績記憶手段は、管理装置6の内蔵する記憶部60aに限らず、管理サーバ31の記憶部等、外部の記憶手段で構成してもよい。また、判定手段や報知手段も、管理装置6や携帯端末33に限らず、例えば管理サーバ31等の他の装置を判定手段とし、これによる判定結果を、通信端末を利用して遊技者へ報知するようにしてもよい。
会員遊技集計データ、全会員遊技制限集計データは営業日単位で集計したが、集計期間はこれに限定されない。例えば、1週間単位、1ヵ月単位、1年単位等、適宜の期間を対象として集計することが可能である。
遊技制限有無の設定は、遊技者自らの意思で行うようにしたが、その意思と無関係に、遊技場側が特定の遊技者に対して遊技制限有りの設定を行うことができる構成としてもよい。この場合、遊技者の遊技状況が予め定められた状況となったときに自動で遊技制限有りを設定するのが望ましい。具体的には、例えば1日の使用金額の合計が3日連続で3万円に達したとき、その遊技者に対して管理装置6により遊技制限有りを自動的に設定し、図5の画面54で警告メッセージを表示する構成にしてもよい。
遊技制限条件として、使用金額の上限値を設定するようにしたが、遊技制限条件の内容はこれに限定されるものではなく、依存症とみなすための条件であれば、どのような条件を設定してもよい。例えば、遊技時間の長さや収支金額について、所定範囲を画する閾値を遊技制限条件として設定することが可能である。また、一種類の遊技制限条件に限らず、二種類以上の遊技制限条件を設定してもよい。
遊技制限の警告処理として、計数貸出ユニット2の表示部24に警告メッセージ等を表示するようにしたが、これに限定されない。例えば、係る警告メッセージに代えて、管理装置6により遊技制限条件を満たしたことを検知したとき、その旨をインカム装置を介して従業員に報知する処理を行い、従業員から遊技者に対して声掛けをするという運用も可能である。つまり、遊技制限の処理としては、音声で警告するための報知手段を採用してもよいし、遊技の続行を不可能又は困難な状態にする手段(例えば計数貸出ユニット2にて会員カード10を用いた新たな貸出処理を禁止する遊技制限手段)を採用する等、適宜変更することができる。
管理装置6側で算出する遊技データの種類は本実施形態に限定されるものではなく、遊技機1や計数貸出ユニット2等から受信する各種の遊技信号に基づいて、様々な種類の遊技データを求めることが可能である。
計数貸出ユニット2にて、現に会員カード10を使用しているときの遊技データを、実際の遊技における遊技データ(遊技実績データを含む同会員の遊技データ)として記憶するようにしたが、会員カード10を使用せずに遊技しているときの遊技データであっても、前記顔IDにより同一会員として判別できる場合には、同会員の遊技データとして記憶するようにしてもよい。或は、会員カード10を挿入口28へ挿入しない限り遊技を行うことができない完全カード式遊技機を採用してもよい。この場合には、全ての遊技者を会員カード10により完全に識別することが可能となり、その全ての遊技データを遊技実績データとして扱うことができる。
カメラ23を計数貸出ユニット2と一体的に設けたが、カメラ23の位置は遊技者の顔が撮像可能な位置であればどこの位置でもよく、計数貸出ユニット2と一体である必要も無い。また、計数貸出ユニット2や管理装置6等は、上記した設定手段、遊技制限手段として機能するものであるが、例えば当該ユニット2とは別体の装置(遊技情報表示装置3等)の表示手段を利用して遊技制限を行う等、各手段について、同様の機能を有する他の装置に代替してもよい。
中継装置4を2台の遊技機1に対して1台ずつ設けるようにしたが、中継装置4と遊技機1との対応関係はこれに限定されない。中継装置4と遊技機1との台数の比は、3対1や4対1であってもよい。画像処理装置30についても同様に、4台のカメラ23に対して1台ずつの対応関係に限定されるものではない。
遊技機1は、遊技媒体を払い出さず、電子データとして加算記憶する封入式遊技機であってもよい。また、パチンコ機に限らず、例えばスロットマシンであってもよい。
上記した各数値は例示であり、例えば前記上限値の所定値(閾値)を貸出単価に応じた適宜の値に設定する等、どのような数値を採用してもよいことは勿論である。また、上記した記載中における「記憶」「記録」及び「登録」について、例えば管理装置6の記憶部60a等への「記憶」を「登録」と称する等、それらの意味を同じくするものとして把握することができる。