以下、添付図面を参照して、X線診断装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係るX線診断装置は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るX線診断装置の全体構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、高電圧発生器11と、X線管12と、X線絞り13と、天板14と、Cアーム15と、X線検出器16と、Cアーム回転・移動機構17と、天板移動機構18と、Cアーム・天板機構制御回路19と、絞り制御回路20と、処理回路21と、入力回路22と、ディスプレイ23と、画像データ生成回路24と、記憶回路25と、画像処理回路26とを有する。
図1に示すX線診断装置100においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路25へ記憶されている。Cアーム・天板機構制御回路19、絞り制御回路20、処理回路21、画像データ生成回路24、及び、画像処理回路26は、記憶回路25からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
高電圧発生器11は、処理回路21による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管12に供給する。X線管12は、高電圧発生器11から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。
X線絞り13は、絞り制御回路20による制御の下、X線管12が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。例えば、X線絞り13は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。X線絞り13は、絞り制御回路20による制御の下、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線管12が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。また、X線絞り13は、線質を調整するための付加フィルタを備える。付加フィルタは、例えば、検査に応じて設定される。天板14は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置100に含まれない。
X線検出器16は、X線管12から照射され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器16は、マトリックス状に配列された検出素子を有する。各検出素子は、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を画像データ生成回路24に送信する。ここで、本実施形態に係るX線検出器16は、画素ピッチが異なる(画素サイズが異なる)複数の検出器を有し、被検体Pを透過したX線を複数の検出器でそれぞれ検出する。図2A及び図2Bは、第1の実施形態に係るX線検出器16の構成の一例を示す図である。ここで、図2A及び図2Bは、X線検出器16の縦断面図を示す。また、図2Bに示す画像は、概念図である。
例えば、X線検出器16は、図2Aに示すように、第1の光検出器16aと、第2の光検出器16bと、シンチレータ16cとを有する。第1の光検出器16aとシンチレータ16cとにより第1の検出器が構成され、第2の光検出器16bとシンチレータ16cとにより第2の検出器が構成される。
シンチレータ16cは、X線管12から照射されたX線を光に変換する。第1の光検出器16aは、例えば、アモルファスシリコンにより形成されたTFT(Thin Film Transistor)アレイを採用した2次元のイメージセンサを備え、シンチレータ16cによって変換された光を検出して電気信号を出力する。第2の光検出器16bは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを採用した2次元のイメージセンサを備え、シンチレータ16cによって変換された光を検出して電気信号を出力する。なお、以下では、第1の光検出器16aによって出力される電気信号を第1の電気信号と呼び、第2の光検出器16bによって出力される電気信号を第2の電気信号と呼ぶ。
このように、シンチレータ16cは、第1の光検出器16aと第2の光検出器16bとで共有される。言い換えると、X線検出器16は、X線管12から照射されたX線を光に変換するシンチレータ16cと、シンチレータ16cを共有し、シンチレータ16cによって変換された光を検出して電気信号を出力する第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bとを有する。そして、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bは、シンチレータ16cで変換された光を同時に検出した電気信号をそれぞれ出力する。すなわち、第1の光検出器16aは、X線管12から照射されたX線に基づく第1の信号を出力する。また、第2の光検出器16bは、第1の光検出器16aと並行して、X線に基づく第2の信号を出力する。
また、図2Aに示すように、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bは、画素の構成単位となる素子を複数有する。この素子それぞれは、X線の入射によって得られた蛍光像を電気信号に変換してフォトダイオード(PD:Photo Diode)に蓄積する。図2Aの例では、第1の光検出器16aが1列に8つの素子を有し、第2の光検出器16bが1列に8つの素子を有する場合を図示している。
ここで、第2の光検出器16bの各素子の画素サイズは、第1の光検出器16aの各素子の画素サイズよりも小さい。すなわち、第2の光検出器16bの各素子の画素ピッチは、第1の光検出器16aの各素子の画素ピッチよりも細かい。図2Aに示す例では、第1の光検出器16aの各素子の画素サイズは、第2の光検出器16bの素子2つ分の画素サイズに相当する。すなわち、X線検出器16のXY平面においては、第1の光検出器16aの1つの素子が、第2の光検出器16bの4つの素子に相当する。したがって、第2の光検出器16bは、第1の光検出器16aと比較して、解像度が高い。
また、第1の光検出器16aは、第2の光検出器16bよりも視野サイズが広い。すなわち、第2の光検出器16bは、第1の光検出器16aにおける一部の検出領域と重複するサイズである。したがって、第2の光検出器16bは、第1の光検出器16aと重複する領域における高解像度のX線画像を収集する。例えば、図2Bに示すように、シンチレータ16cと第1の光検出器16aとで構成される第1の検出器では、視野サイズが広い第1のX線画像I1を収集する。一方、シンチレータ16cと第2の光検出器16bとで構成される第2の検出器では、第1のX線画像I1内の領域と重複し、第1のX線画像I1と比較して、視野サイズが狭く、且つ、高解像度の第2のX線画像I2を収集する。
ここで、X線診断装置100においては、X線絞り13が4枚の絞り羽根を有し、絞り制御回路20による制御の下、これらの絞り羽根がスライドされることで、X線の照射領域を調整することができる。例えば、X線診断装置100においては、X線絞り13における4枚の絞り羽根が、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bの各辺に平行にそれぞれ配置され、辺に沿ってスライドされることにより、X線の照射領域を調整する。
図1に戻って、Cアーム15は、X線管12、X線絞り13及びX線検出器16を保持する。Cアーム15は、支持部(図示を省略)に設けられたモータにより、天板14上に横臥する被検体Pの周りをプロペラのように高速回転する。ここで、Cアーム15は、直交する3軸であるXYZ軸に関してそれぞれ回転可能に支持され、図示しない駆動部によって各軸で個別に回転する。X線管12及びX線絞り13とX線検出器16とは、Cアーム15により被検体Pを挟んで対向するように配置される。なお、図1では、X線診断装置100がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
Cアーム回転・移動機構17は、Cアーム15を回転及び移動させるための機構である。また、Cアーム回転・移動機構17は、X線管12とX線検出器16との距離であるSID(Source Image receptor Distance)を変更することも可能である。また、Cアーム回転・移動機構17は、Cアーム15に保持されているX線検出器16を、回転させることも可能である。天板移動機構18は、天板14を移動させるための機構である。
Cアーム・天板機構制御回路19は、処理回路21による制御の下、Cアーム回転・移動機構17及び天板移動機構18を制御することで、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。例えば、Cアーム・天板機構制御回路19は、処理回路21による制御の下、Cアーム15を回転させながら所定のフレームレートで投影データを収集する回転撮影を制御する。絞り制御回路20は、処理回路21による制御の下、X線絞り13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射領域を制御する。
画像データ生成回路24は、X線検出器16によってX線から変換された電気信号を用いて投影データを生成し、生成した投影データを記憶回路25に格納する。具体的には、画像データ生成回路24は、第1の光検出器16aによって出力された第1の電気信号から第1の投影データを生成し、第2の光検出器16bによって出力された第2の電気信号から第2の投影データを生成し、生成した各投影データを記憶回路25に格納する。例えば、画像データ生成回路24は、X線検出器16から受信した第1の電気信号及び第2の電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換をそれぞれ行い、第1の電気信号に基づく第1の投影データと第2の電気信号に基づく第2の投影データをそれぞれ生成する。そして、画像データ生成回路24は、生成した第1の投影データ及び第2の投影データを記憶回路25に格納する。
記憶回路25は、画像データ生成回路24によって生成された投影データを受け付けて記憶する。例えば、記憶回路25は、第1の電気信号に基づく第1の投影データと第2の電気信号に基づく第2の投影データをそれぞれ記憶する。また、記憶回路25は、画像処理回路26によって生成されたX線画像や、ボリュームデータを記憶する。また、記憶回路25は、図1に示す各回路によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。一例を挙げると、記憶回路25は、処理回路21によって読み出されて実行される補正機能211に対応するプログラム及び制御機能212に対応するプログラムを記憶する。
画像処理回路26は、後述する処理回路21による制御のもと、記憶回路25が記憶する投影データに対して各種画像処理を行うことでX線画像を生成する。或いは、画像処理回路26は、後述する処理回路21による制御のもと、画像データ生成回路24から直接投影データを取得し、取得した投影データに対して各種画像処理を行うことでX線画像を生成する。例えば、画像処理回路26は、第1の電気信号に基づく第1の投影データに対して画像処理を行うことで第1のX線画像を生成する。また、画像処理回路26は、第2の電気信号に基づく第2の投影データに対して画像処理を行うことで第2のX線画像を生成する。なお、画像処理回路26は、画像処理後のX線画像を、記憶回路25に格納することも可能である。例えば、画像処理回路26は、移動平均(平滑化)フィルタ、ガウシアンフィルタ、メディアンフィルタ、リカーシブフィルタ、バンドパスフィルタなどの画像処理フィルタによる各種処理を実行して、処理後のX線画像を記憶回路に格納する。なお、本実施形態においては、画像データ生成回路24によって生成された投影データ、及び、画像処理回路26によって生成されたX線画像をまとめてX線画像データとも記載する。例えば、第1の投影データと第1のX線画像をまとめて第1のX線画像データと記載する。同様に、第2の投影データと第2のX線画像をまとめて第2のX線画像データと記載する。
また、画像処理回路26は、回転撮影によって収集された投影データから再構成データ(ボリュームデータ)を再構成する。例えば、画像処理回路26は、回転撮影によって収集された第1の投影データから第1の再構成データを再構成する。また、画像処理回路26は、回転撮影によって収集された第2の投影データから第2の再構成データを再構成する。そして、画像処理回路26は、再構成したボリュームデータを記憶回路25に格納する。さらに、画像処理回路26は、ボリュームデータから3次元画像を生成する。例えば、画像処理回路26は、ボリュームデータからボリュームレンダリング画像や、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像を生成する。そして、画像処理回路26は、生成した3次元画像を記憶回路25に格納する。
入力回路22は、所定の領域(例えば、関心部位などの注目領域)などの設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等や、X線の照射などを行うためのフットスイッチ等によって実現される。入力回路22は、処理回路21に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路21へと出力する。ディスプレイ23は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像処理回路26によって生成された種々の画像や、処理回路21による制御のもと生成されたX線画像を表示する。
処理回路21は、X線診断装置100全体の動作を制御する。具体的には、処理回路21は、装置全体を制御するための制御機能212に対応するプログラムを記憶回路25から読み出して実行することにより、種々の処理を実行する。例えば、制御機能212は、入力回路22から出力された操作者の指示に従って高電圧発生器11を制御し、X線管12に供給する高電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やON/OFFを制御する。また、例えば、制御機能212は、操作者の指示に従ってCアーム・天板機構制御回路19を制御し、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。また、例えば、制御機能212は、操作者の指示に従って絞り制御回路20を制御し、X線絞り13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射領域を制御する。
また、制御機能212は、操作者の指示に従って、画像データ生成回路24による画像データ生成処理や、画像処理回路26による画像処理、あるいは解析処理などを制御する。また、制御機能212は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや記憶回路25が記憶する画像などを、ディスプレイ23に表示するように制御する。また、例えば、補正機能211は、画像処理回路26による画像処理フィルタによる補正処理などを制御する。
図1に示すように、第1の実施形態に係る処理回路21は、上述した補正機能211及び制御機能212を実行するが、これらの詳細については後述する。なお、補正機能211は、特許請求の範囲における補正部の一例である。また、制御機能212は、特許請求の範囲における制御部の一例である。
以上、X線診断装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係るX線診断装置100は、画質を向上させることを可能にする。具体的には、X線診断装置100は、画素サイズが異なる第1の光検出器16aと第2の光検出器16bとを用いたX線画像の収集において、一方の光検出器によって収集されたX線画像を、他方の光検出器によって収集されたX線画像を用いて補正することで画質を向上させる。以下、第1の実施形態では、第2の光検出器16bによって収集される第2のX線画像を、第1の光検出器16aによって収集した第1のX線画像で補正することで、被曝線量の増加を抑止しつつ、第2のX線画像の画質を向上させる場合について説明する。
上述したように、第1の光検出器16aと第2の光検出器16bとを有するX線検出器16では、X線管12から照射されたX線がシンチレータ16cによって光に変換され、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bが、シンチレータ16cで変換された光をそれぞれ同時に検出して、電気信号をそれぞれ出力する。すなわち、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bによってそれぞれ検出される光は、X線管12から照射された1回のX線照射に基づくものである。
ここで、X線画像では、入射するX線の量が変わらない場合、光検出器の画素サイズが小さくなればなる程、1画素の信号に寄与するX線の光子数が少なくなるため、ノイズが増加する。例えば、X線検出器16では、画素サイズが小さい第2の光検出器16bの各画素に入射する光子数が、第1の光検出器16aの各画素に入射する光子数よりも少なくなるため、第1のX線画像と比較して第2のX線画像のノイズが多くなる。したがって、第1の光検出器16aによって収集される第1のX線画像が所望の信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)となるようにX線量を制御すると、第2の光検出器16bによって収集される第2のX線画像のSNRが、所望のSNRよりも低くなる。
これに対して、第2の光検出器16bによって収集される第2のX線画像が所望のSNRとなるようにX線量を制御すると、第1の光検出器16aにおいては必要十分以上のX線量となるため、被検体Pの被曝線量を低減できる余地を残すこととなる。
そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、第1のX線画像が所望のSNRとなるようにX線を制御しつつ、第2のX線画像に対して第1のX線画像を用いた補正処理を行うことで、被曝線量の増加を抑止しつつ、第2のX線画像の画質を向上させる。以下、第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理の一例を説明する。
第1の実施形態に係る補正機能211は、第1の光検出器16aから出力された第1の信号から生成された第1のX線画像データ及び第2の光検出器16bから出力された第2の信号から生成された第2のX線画像データにおいて、一方のX線画像データを用いて他方のX線画像データを補正する。具体的には、補正機能211は、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データについて、一方のX線画像データを用いて他方のX線画像データを補正するように、画像処理回路26を制御する。以下、画像処理回路26に対する補正機能211の制御について説明する。
例えば、補正機能211は、第1の光検出器16aから出力された第1の電気信号から生成された第1のX線画像データを、第2の光検出器16bから出力された第2の電気信号から生成された第2のX線画像データを用いて補正する。例えば、補正機能211は、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データのそれぞれに対して、補正後の第1のX線画像データの画像特性に応じた重み付けを行い、重み付け後の各X線画像データを加算することで、第1のX線画像データを補正する。すなわち、補正機能211は、各検出器から収集されるX線画像データ間での加算平均処理を、画像処理回路26に実行させる。
ここで、補正機能211は、各検出器から収集されるX線画像データ間での加算平均処理だけではなく、時間方向のX線画像データ間での加算平均処理、及び、空間方向での加算平均処理を組み合わせて実行させることができる。以下、これらの加算平均処理を組み合わせて実行する場合について、一例を挙げて説明する。図3は、第1の実施形態に係る補正機能211による補正処理の一例を説明するための図である。ここで、図3においては、横方向に時間軸を示し、上段に第1の光検出器16aへの経時的なX線パルスを示し、下段に第2の光検出器16bへの経時的なX線パルスを示す。また、図3におけるX線パルスを示す矩形は、面積がX線量を示す。なお、図3では、画素サイズが大きい第1の光検出器16aにおいて適切なSNRが得られるようにX線量が制御されている場合を示す。すなわち、図3においては、画素サイズが小さい第2の光検出器16bによって収集される第2のX線画像は、ノイズの多い画像となる。
例えば、図3に示すように、所定の周波数でX線管12からX線パルスが照射され、各検出器によってX線が検出されると、各X線パルスに基づくX線画像データがそれぞれ生成される。例えば、画像データ生成回路24は、シンチレータ16cと第1の光検出器16aとで構成される第1の検出器によって経時的に検出された各X線パルスに基づく第1の投影データをそれぞれ生成する。そして、画像処理回路26は、画像データ生成回路24によって生成された第1の投影データから第1のX線画像をそれぞれ生成する。例えば、画像処理回路26は、図3に示すように、各X線パルスに基づく第1のX線画像Lt-2〜Lt+1を順次生成する。
同様に、画像データ生成回路24は、シンチレータ16cと第2の光検出器16bとで構成される第2の検出器によって経時的に検出された各X線パルスに基づく第2の投影データをそれぞれ生成する。そして、画像処理回路26は、画像データ生成回路24によって生成された第2の投影データから第2のX線画像をそれぞれ生成する。例えば、画像処理回路26は、図3に示すように、各X線パルスに基づく第2のX線画像St-2〜St+1を順次生成する。
補正機能211は、まず、経時的に収集された複数の第1のX線画像と、経時的に収集された複数の第2のX線画像との加算平均処理を行うことで、各検出器から収集されるX線画像データ間での加算平均処理と、時間方向のX線画像データ間での加算平均処理とを実行する。その後、補正機能211は、上記加算平均処理によって生成された補正後のX線画像に対して空間方向での加算平均処理を行う。
例えば、補正機能211は、図3に示すように、第2のX線画像Stのノイズを低減する加算平均処理に、第1のX線画像Lt-1と、第1のX線画像Ltと、第2のX線画像St-1とを用いる。すなわち、補正機能211は、第2のX線画像St、第2のX線画像St-1、第1のX線画像Lt-1、及び、第1のX線画像Ltに対して重み付けを行って加算することで、第2のX線画像Stを補正する。
例えば、補正機能211は、以下の式(1)に示す加算平均処理を実行する。ここで、式(1)における「S’」は、補正後のX線画像を示す。また、式(1)における「W(s,t)」は、第2のX線画像Stに対する重みを示し、「W(s,t-1)」は、第2のX線画像St-1に対する重みを示す。また、式(1)における「W(L,t)」は、第1のX線画像Ltに対する重みを示し、「W(L,t-1)」は、第1のX線画像Lt-1に対する重みを示す。
すなわち、補正機能211は、式(1)に示すように、各X線画像に対応する重みを各X線画像に乗算し、重みを乗算した各X線画像を加算する補正処理を実行する。ここで、上記補正処理にて用いられる重みは、例えば、以下の式(2)に示すように、重みの合計が「1」となるように設定される。
上述したように、補正機能211は、各X線画像に重みをかけて加算する補正処理を実行する。ここで、補正機能211は、補正対象のX線画像データの補正後の画像特性に応じた重み付けを行う。例えば、補正機能211は、第2のX線画像Stの補正後の画像特性に応じた重みを決定して、決定した重みを各X線画像に乗算する。一例を挙げると、補正機能211は、補正後の第2のX線画像Stの空間分解能、SNR、動きぼけなどに応じて重みを決定する。以下、これらの画像特性に応じた重みの決定の例を説明する。
まず、空間分解能を重視する場合、補正機能211は、画素サイズが大きい光検出器によって収集されたX線画像に対する重みが小さくなるように重みを決定する。すなわち、補正機能211は、第2のX線画像Stを補正対象とする場合に、第1のX線画像に対して相対的に低い重み付けを行うことで、補正後の第2のX線画像が相対的に高い空間分解能を有するように補正する。
画素サイズが小さい第2の光検出器16bによって収集される第2のX線画像は、第1の光検出器16aによって収集される第1のX線画像と比較して高解像度である。従って、加算平均処理に用いる第1のX線画像の重みを小さくすることで、補正後の第2のX線画像の空間分解能の低下を抑止することができる。例えば、補正機能211は、「W(s,t)」及び「W(s,t-1)」と比較して、「W(L,t)」及び「W(L,t-1)」をより小さくするように制御する。
次に、SNRを重視する場合、補正機能211は、画素サイズが大きい光検出器によって収集されたX線画像に対する重みが大きくなるように重みを決定する。すなわち、補正機能211は、第2のX線画像Stを補正対象とする場合に、第1のX線画像に対して相対的に高い重み付けを行うことで、補正後の第2のX線画像が相対的に高いSNRを有するように補正する。
上述したように、画素サイズが大きい第1のX線画像が適切なSNRとなるように収集されているため、第2のX線画像はSNRが低くなっている。従って、加算平均処理に用いる第1のX線画像の重みを大きくすることで、補正後の第2のX線画像のSNRを改善することができる。例えば、補正機能211は、「W(s,t)」及び「W(s,t-1)」と比較して、「W(L,t)」及び「W(L,t-1)」をより大きくするように制御する。
次に、動きボケを低減する場合、補正機能211は、時系列的に過去のX線画像に対する重みが小さくなるように重みを決定する。すなわち、補正機能211は、経時的な複数の第1のX線画像及び経時的な複数の第2のX線画像のうち、補正対象となるX線画像よりも時系列的に過去となるX線画像データに対して相対的に低い重み付けを行うことで、補正後のX線画像に含まれる動きぼけが相対的に低くなるように補正する。
時間方向の複数のX線画像を用いて加算平均処理を行う場合、補正後のX線画像に動きボケが含まれる場合がある。従って、加算平均処理に用いる過去のX線画像の重みを小さくすることで、補正後の第2のX線画像の動きボケを低減することができる。例えば、補正機能211は、「W(s,t)」及び「W(L,t)」と比較して、「W(s,t-1)」及び「W(L,t-1)」をより大きくするように制御する。
上述したように、補正機能211は、補正後のX線画像の画質特性に応じて重みを決定し、決定した重みを用いた加算平均処理を実行する。ここで、第1の光検出器16aと第2の光検出器16bとは、画素サイズが異なる。そこで、補正機能211は、上述した加算平均処理を行う画素を対応付けるために、加算平均処理に先立って、第1のX線画像と第2のX線画像との画素サイズを合せる補正を行う。
具体的には、補正機能211は、第1の光検出器16aにおける画素サイズと第2の光検出器16bにおける画素サイズのうち、小さい画素サイズに合うように第1のX線画像又は第2のX線画像を補正した後、一方のX線画像を用いて他方のX線画像を補正する。すなわち、補正機能211は、第2のX線画像の画素サイズに合うように第1のX線画像を補正した後、上述した加算平均処理を行う。
図4は、第1の実施形態に係る補正機能211による画素サイズの補正の一例を説明するための図である。ここで、図4においては、第1の光検出器16aの画素と、第2の光検出器16bの画素を、それぞれ格子状に示す。例えば、第1の実施形態に係るX線検出器16においては、図4に示すように、第1の光検出器16aの1つの画素が、第2の光検出器16bの4つの画素に相当する。そこで、補正機能211は、第2の光検出器16bの画素サイズに合うように、第1の光検出器16aから収集された第1のX線画像のアップサンプリングを実行する。
例えば、補正機能211は、第1のX線画像に対してアップサンプリングを実行する際のリサンプリング手法として、バイキュービック法や、バイリニア法、ニアレストネイバー法などを用い、第1のX線画像の各画素に対する補間処理を実行する。これにより、補正機能211は、第1のX線画像の各画素と第2のX線画像の各画素とを対応させ、対応させた画素間で上述した加算平均処理を実行する。なお、補正機能211は、上記した画素のリサンプリングを実行したのち、さらに超解像等の分解能補正を実施する場合であってもよい。例えば、補正機能211は、第1のX線画像に対してリサンプリングを実行して、リサンプリング後の第1のX線画像に対して分解能補正を実行する。その後、補正機能211は、分解能補正後の第1のX線画像を用いて上述した加算平均処理を実行する。
上述したように、各検出器から収集されるX線画像データ間での加算平均処理と、時間方向のX線画像データ間での加算平均処理とを実行すると、補正機能211は、上述した加算平均処理によって生成された補正後のX線画像データに対して空間方向での加算平均処理を行う。例えば、補正機能211は、補正後の第2のX線画像Stにおける画素ごとに、周辺画素との類似度に基づく加算平均処理を実行する。
一例を挙げると、補正機能211は、加算平均処理の対象となる対象画素と周辺画素との類似度に基づいて、各周辺画素の画素値の重みを決定する。そして、補正機能211は、決定した重みを各周辺画素にかけて加算した値を対象画素の画素値とする加算平均処理を実行する。ここで、補正機能211は、対象画素と周辺画素との類似度が大きい場合には、周辺画素の重みを大きくする。これにより、補正機能211は、補正後の第2のX線画像のノイズをさらに低減することができる。
図1に戻って、制御機能212は、補正機能211によって加算平均処理が実行されたX線画像をディスプレイ23に表示させる。例えば、制御機能212は、補正後の第2のX線画像Stをディスプレイ23に表示させる。ここで、制御機能212は、補正後の第2のX線画像Stとともに、第1のX線画像を並列表示させることもできる。
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図5は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すステップS101、105は、処理回路21が記憶回路25から制御機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS102〜104は、処理回路21が記憶回路25から補正機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。
ステップS101では、処理回路21が、第1のX線画像及び第2のX線画像をそれぞれ収集する。ステップS102では、処理回路21が、小さい画素サイズに合うように、大きい画素に対してリサンプリングを実行する。ステップS103では、処理回路21が、補正後の画像特性に応じた重みを決定する。
ステップS104では、処理回路21が、決定した重みで各X線画像に対して重み付けを実行して、加算する。ステップS105では、処理回路21が、補正したX線画像をディスプレイ23に表示させる。
上述したように、第1の実施形態によれば、第1の光検出器16aは、X線管12から照射されたX線に基づく第1の電気信号を出力する。第2の光検出器16bは、第1の光検出器16aと並行して、X線に基づく第2の電気信号を出力する。補正機能211は、第1の光検出器16aから出力された第1の電気信号から生成された第1のX線画像データ及び第2の光検出器16bから出力された第2の電気信号から生成された第2のX線画像データにおいて、一方のX線画像データを用いて他方のX線画像データを補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、同時に収集した画像データ間で補正処理を実行することができ、画質を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、補正機能211は、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データのそれぞれに対して、補正対象のX線画像データの補正後の画像特性に応じた重み付けを行い、重み付け後の各X線画像データを加算することで、補正対象のX線画像データを補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、所望の画像特性を有するX線画像に補正することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bは、X線管12から経時的に照射されたX線に基づいて、第1の電気信号及び第2の電気信号をそれぞれ経時的に出力する。補正機能211は、経時的に出力された第1の電気信号から生成された経時的な複数の第1のX線画像データと、経時的に出力された第2の電気信号から生成された経時的な複数の第2のX線画像データとに対して、補正対象となるX線画像データの補正後の画像特性に応じた重み付けをそれぞれ行い、重み付け後の各X線画像データを加算することで、補正対象となるX線画像データを補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、経時的に収集されたX線画像を加算平均処理に用いることができ、より画質を向上させたX線画像に補正することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、補正機能211は、第2のX線画像データを補正対象とする場合に、第1のX線画像データに対して相対的に低い重み付けを行うことで、補正後の第2のX線画像データが相対的に高い空間分解能を有するように補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、空間分解能を重視したX線画像に補正することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、補正機能211は、第2のX線画像データを補正対象とする場合に、第1のX線画像データに対して相対的に高い重み付けを行うことで、補正後の第2のX線画像データが相対的に高い信号対雑音比を有するように補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、SNRを重視したX線画像に補正することを可能にする。例えば、第1の光検出器16aに適したX線量で常に撮影する場合、第2の光検出器16bによって収集される第2のX線画像は相対的にノイズが多い画像になってしまうが、各検出器によって収集されたX線画像を用いることで、効果的にSNRを向上させた画像を提供することができる。このことから、副次的な効果として、第2の光検出器16bに適したX線量を照射させる必要がないため、常に第2の光検出器16bに適したX線量で撮影した場合と比較して、被検体の被曝線量を低減することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、補正機能211は、経時的な複数の第1のX線画像データ及び経時的な複数の第2のX線画像データのうち、補正対象となるX線画像データよりも時系列的に過去となるX線画像データに対して相対的に低い重み付けを行うことで、補正後のX線画像データに含まれる動きぼけが相対的に低くなるように補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、動きボケを低減したX線画像に補正することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、補正機能211は、第1の光検出器16aにおける画素サイズと第2の光検出器16bにおける画素サイズのうち、小さい画素サイズに合うように第1のX線画像データを補正した後、第1のX線画像データを用いて第2のX線画像データを補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、画素サイズが異なるX線画像間でも正確に加算平均処理を行うことを可能にする。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るX線診断装置100の構成は、基本的には、図1に示したX線診断装置100の構成と同じである。そのため、以下では、第1の実施形態に係るX線診断装置100と異なる点を中心に説明することとし、図1に示した構成要素と同様の役割を果たす構成要素については同じ符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
上述した第1の実施形態では、第1の光検出器16aに適したX線量でX線パルスを照射する場合について説明した。第2の実施形態では、第1の光検出器16aに適したX線量のX線パルスと、第2の光検出器16bに適したX線量のX線パルスとを交互に照射する場合について説明する。
第2の実施形態に係る第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bは、X線管12から経時的に照射された線量の異なる複数のX線に基づいて、第1の電気信号及び第2の電気信号をそれぞれ経時的に出力する。例えば、制御機能212は、第1の光検出器16aに適したX線量のX線パルスと、第2の光検出器16bに適したX線量のX線パルスとを交互に照射するように、高電圧発生器11を制御する。第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bは、第1の光検出器16aに適したX線量のX線パルスに基づく電気信号と、第2の光検出器16bに適したX線量のX線パルスに基づく電気信号をそれぞれ交互に出力する。
第2の実施形態に係る補正機能211は、経時的に出力された第1の電気信号から生成された経時的な複数の第1のX線画像データ、および、経時的に出力された第2の電気信号から生成された経時的な複数の第2のX線画像データのうち、相対的に線量が多いX線に基づくX線画像データに対して高い重み付けを行うことで、補正後のX線画像データが相対的に高い信号対雑音比を有するように補正する。
図6A及び図6Bは、第2の実施形態に係る補正機能211による補正処理の一例を説明するための図である。ここで、図6A及び図6Bにおいては、横方向に時間軸を示し、各図の上段に第1の光検出器16aへの経時的なX線パルスを示し、各図の下段に第2の光検出器16bへの経時的なX線パルスを示す。また、図6A及び図6BにおけるX線パルスを示す矩形は、面積がX線量を示す。
また、図6Aにおいては、画素サイズが大きい第1の光検出器16aに適したX線量のX線パルスに基づくX線画像が補正対象となる場合を示す。すなわち、時間「t」の時に、第1の光検出器16aに適したX線量のX線パルスが照射されている場合を示す。また、図6Bにおいては、画素サイズが小さい第2の光検出器16bに適したX線量のX線パルスに基づくX線画像が補正対象となる場合を示す。すなわち、時間「t」の時に、第2の光検出器16bに適したX線量のX線パルスが照射されている場合を示す。
例えば、補正機能211は、上述した式(1)における重み「W(s,t)」、「W(s,t-1)」、「W(L,t)」、「W(L,t-1)」を、照射されたX線の線量に応じて決定し、決定した重みを用いて式(1)に示す加算平均処理を実行する。
一例を挙げると、図6Aに示すように、第2のX線画像Stが補正対象であり、時間「t」の時に第1の光検出器16aに適したX線量のX線パルスが照射されている場合、補正機能211は、多い線量で収集されたX線画像である第1のX線画像Lt-1の重み「W(L,t-1)」と第2のX線画像St-1の重み「W(s,t-1)」を相対的に上げるように制御する。
一方、図6Bに示すように、第2のX線画像Stが補正対象であり、時間「t」の時に第2の光検出器16bに適したX線量のX線パルスが照射されている場合、補正機能211は、多い線量で収集されたX線画像である第1のX線画像Ltの重み「W(L,t)」と第2のX線画像Stの重み「W(s,t)」を相対的に上げるように制御する。
次に、図7を用いて、第2の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図7は、第2の実施形態に係るX線診断装置100の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すステップS201、205は、処理回路21が記憶回路25から制御機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、ステップS202〜204は、処理回路21が記憶回路25から補正機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。
ステップS201では、処理回路21が、第1のX線画像及び第2のX線画像を、X線の線量を変化させながら、経時的にそれぞれ収集する。ステップS202では、処理回路21が、小さい画素サイズに合うように、大きい画素に対してリサンプリングを実行する。ステップS203では、処理回路21が、線量が高いX線画像に対する重み付けが相対的に高くなるように、重みを決定する。
ステップS204では、処理回路21が、決定した重みで各X線画像に対して重み付けを実行して、加算する。ステップS205では、処理回路21が、補正したX線画像をディスプレイ23に表示させる。
上述したように、第2の実施形態によれば、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bは、X線管12から経時的に照射された線量の異なる複数のX線に基づいて、第1の電気信号及び第2の電気信号をそれぞれ経時的に出力する。補正機能211は、経時的に出力された第1の電気信号から生成された経時的な複数の第1のX線画像、および、経時的に出力された第2の電気信号から生成された経時的な複数の第2のX線画像のうち、相対的に線量が多いX線に基づくX線画像に対して高い重み付けを行うことで、補正後のX線画像データが相対的に高い信号対雑音比を有するように補正する。従って、第2の実施形態に係るX線診断装置100は、ノイズの少ないX線画像の重みを上げることができ、SNRを改善して画質を向上させることを可能にする。
このように、第2の実施形態に係るX線診断装置100では、第2の光検出器16bへの入射線量が相対的に足りない場合(第1の光検出器16aへのX線量が最適な場合)に、第2の光検出器16bへの適切な線量を入射させたときの両検出器の画像を用いることで、SNRを効果的に向上させた画像を提供できる。また、例えば、各光検出器に適切なX線量を交互に照射することで、常に第2の光検出器16bに適切な線量で照射した場合と比較して、被検体の被曝線量を低減することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るX線診断装置100の構成は、基本的には、図1に示したX線診断装置100の構成と同じである。そのため、以下では、第1の実施形態に係るX線診断装置100と異なる点を中心に説明することとし、図1に示した構成要素と同様の役割を果たす構成要素については同じ符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
第3の実施形態では、第1の光検出器16aによって収集した第1のX線画像から散乱線画像を生成して散乱線補正を行う場合について説明する。散乱線はコントラストの低下につながるため、通常、空間フィルタを用いた方法等により散乱線成分が推定され、散乱線成分が除去される。ここで、X線検出器16のように、広い視野の第1の光検出器16aと狭い視野の第2の光検出器16bとを有する場合、狭い視野の第2の光検出器16bには、視野外から散乱線に基づく光子が混入することとなる。しかしながら、上述した空間フィルタを用いた方式では、このような視野外からの散乱線成分を、第2の光検出器16bによって収集した第2のX線画像データのみから精度よく推定することが困難である。
そこで、第3の実施形態に係るX線診断装置100では、補正機能211が、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bのうち、視野が広い第1の光検出器16aによって出力された電気信号から生成された第1のX線画像データに基づいて散乱線画像データを生成し、生成した散乱線画像データを用いて、視野が狭い第2の光検出器16bによって出力された電気信号から生成された第2のX線画像データの散乱線補正を行う。換言すると、補正機能211は、第1の光検出器16aによって収集された第1のX線画像データを用いて散乱線成分を推定し、第2のX線画像データの散乱線補正を実行する。
図8は、第3の実施形態に係る補正機能211による散乱線補正の一例を説明するための図である。なお、図8において示す各画像は、概念図である。例えば、補正機能211は、図8に示すように、第1の光検出器16aによって収集された第1のX線画像I1を用いて、散乱線成分を示す散乱線画像を生成し、第2の光検出器16bによって収集された第2のX線画像I2から散乱線画像を差分することで、散乱線補正画像I6を生成する。
ここで、補正機能211は、散乱線画像の生成時間を短縮するために、視野が広い第1の光検出器16aによって出力された信号から生成された第1のX線画像I1から視野が狭い第2の光検出器16bの視野よりも少し広い領域を抽出し、抽出した領域を用いて散乱線画像を生成する。例えば、補正機能211は、図8に示すように、第1のX線画像I1から第2の光検出器16bの視野よりも少し広い領域を切り出し、切り出した領域の散乱線画像I3を生成する。そして、補正機能211は、散乱線画像I3において、第2のX線画像I2に対応する領域の散乱線画像I4を切り出す。その後、補正機能211は、第2のX線画像I2から散乱線画像I4を差分することで、第2のX線画像I2の散乱線補正を実行する。
なお、第1のX線画像I1に対しても散乱線補正を行う場合には、補正機能211は、第1のX線画像I1を用いて散乱線画像を生成し、第1のX線画像I1から散乱線画像を差分することで、第1のX線画像I1の散乱線補正を実行する。ここで、第1のX線画像I1を用いて散乱線画像を生成した場合、補正機能211は、生成した散乱線画像から第2のX線画像I2に対応する領域を切り出して、第2のX線画像I2の散乱線補正を実行する場合であってもよい。すなわち、補正機能211は、第1のX線画像I1から第2の光検出器16bの視野よりも少し広い領域の切り出しを行わずに、散乱線画像を生成する場合であってもよい。
ここで、上述したように散乱線補正を実行すると、各X線画像における信号成分も減少する可能性があり、SNRが低下する場合もある。したがって、散乱線補正を実行した後の各X線画像に対して、第1の実施形態及び第2の実施形態にて説明した加算平均処理を実行することで、散乱線補正によって低下したSNRを改善させることが可能である。
第3の実施形態に係る制御機能212は、加算平均処理が実行された後のX線画像以外にも、散乱線補正後のX線画像をディスプレイ23に表示させることも可能である。例えば、制御機能212は、図8に示す第1のX線画像I1と散乱線補正画像I6とをディスプレイ23に並列表示させることができる。また、制御機能212は、散乱線補正後の第1のX線画像と、散乱線補正画像I6とをディスプレイ23に並列表示させることもできる。
次に、図9及び10を用いて、第3の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図9及び図10は、第3の実施形態に係るX線診断装置100の処理手順を示すフローチャートである。ここで、図10は、図9におけるステップS302の処理に対応する。図9に示すステップS301、302、306は、処理回路21が記憶回路25から制御機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、図9に示すステップS303〜305は、処理回路21が記憶回路25から補正機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、図10に示すステップS3021〜3024は、処理回路21が記憶回路25から補正機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。また、図10に示すステップS3025は、処理回路21が記憶回路25から制御機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。
図9におけるステップS301では、処理回路21が、第1のX線画像及び第2のX線画像をそれぞれ収集する。ステップS302では、処理回路21が、第1のX線画像及び第2のX線画像における散乱線補正を実行する。ステップS303では、処理回路21が、小さい画素サイズに合うように、大きい画素に対してリサンプリングを実行する。ステップS304では、処理回路21が、補正後の画像特性に応じた重みを決定する。
ステップS305では、処理回路21が、決定した重みで各X線画像に対して重み付けを実行して、加算する。ステップS306では、処理回路21が、補正したX線画像をディスプレイ23に表示させる。
図10におけるステップS3021では、処理回路21が、視野が狭い第2の光検出器16bにおける視野サイズよりも大きくなるように、切り出しサイズを決定する。ステップS3022では、処理回路21が、視野が広い第1の光検出器16aによって収集された第1のX線画像から、決定した切り出しサイズで画像を抽出する。ステップS3023では、処理回路21が、切り出した画像から散乱線画像を生成する。
ステップS3024では、処理回路21が、各光検出器によって収集されたX線画像から散乱線画像をそれぞれ差分することで、散乱線補正を実行する。ステップS3025では、処理回路21が、散乱線補正後の散乱線補正画像をディスプレイ23に表示させる。
上述したように、第3の実施形態によれば、補正機能211は、第1の光検出器16a及び第2の光検出器16bのうち、視野が広い第1の光検出器16aによって出力された電気信号から生成されたX線画像データに基づいて散乱線画像データを生成し、生成した散乱線画像データを用いて、視野が狭い第2の光検出器16bによって出力された電気信号から生成された第2のX線画像データの散乱線補正を行う。従って、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、より精度の高い散乱線画像を生成することができ、第2のX線画像データの散乱線補正を精度よく行うことを可能にする。
また、第3の実施形態によれば、補正機能211は、視野が広い第1の光検出器16aによって出力された電気信号から生成された第1のX線画像データから視野が狭い第2の光検出器16bの視野よりも広い領域を抽出し、抽出した領域を用いて散乱線画像データを生成する。従って、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、散乱線補正に係る時間を短縮することを可能にする。
また、第3の実施形態によれば、制御機能212は、視野が広い第1の光検出器16aによって出力された電気信号から生成された第1のX線画像データに基づく表示画像と、散乱線補正後の第2のX線画像データに基づく表示画像とを並列表示させる。従って、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、第1のX線画像及び第2のX線画像を画質を向上させて表示させることを可能にする。
(第4の実施形態)
さて、これまで第1〜第3の実施形態について説明したが、上述した第1〜第3の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1〜第3の実施形態では、画素サイズが小さい第2のX線画像データが補正対象となる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、画素サイズが大きい第1のX線画像データが補正対象となる場合であってもよい。X線検出器16のように、シンチレータ16cを共有して、第1の光検出器16aと第2の光検出器16bがそれぞれ光を検出する場合、シンチレータ16cで変換された光がシンチレータ16cの両面に向かうため、通常のX線検出器と比較して、各光検出器で検出される光子量が減少する。すなわち、第1の光検出器16aにて検出される光子量も減少しており、通常のX線検出器と比較してSNRが低下する場合がある。
そこで、補正機能211は、第1のX線画像データを補正対象として、上述した加算平均処理を実行する。ここで、第1のX線画像データが補正対象となる場合も第1の実施形態と同様に、補正機能211は、補正後の第1のX線画像データの画像特性に応じて加算平均処理における重みを決定する。
また、第1〜第3の実施形態では、時間「t」と時間「t−1」のX線画像を用いた加算平均処理について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、加算平均処理に用いられるX線画像の数は任意である。
上述した第1〜第3の実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明したとおり、少なくとも一つの実施形態によれば、画質を向上させることを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。