以下、図面を参照しながら、医用画像診断装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線コンピュータ断層(Computed Tomography:CT)撮像装置1(以下、X線CT装置1という)の構成の一例を示す図である。X線CT装置1は、本実施形態における医用画像診断装置の一例である。
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のX線CT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
架台装置10及び寝台装置30は、コンソール装置40を介したユーザからの操作、或いは架台装置10、または寝台装置30に設けられた操作部を介したユーザからの操作に基づいて動作する。架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系を有する装置である。より具体的には、架台装置10は、X線管11(X線発生部)と、ウェッジ16と、コリメータ17と、X線検出器12と、X線高電圧装置14と、DAS(Data Acquisition System)18と、回転フレーム13と、制御装置15とを有する。架台装置10は、本実施形態における撮像部の一例である。あるいは、X線検出器12を、本実施形態における撮像部の一例としても良い。
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管11における管球焦点で発生したX線は、例えばコリメータ17を介してコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。例えば、X線管11には回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。なお、X線検出器12からDAS18へ出力される電気信号は、本実施形態における撮像部により得られた信号の一例である。
X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。複数の検出素子の各々は、X線の入射量を検出する。なお、X線CT装置1には、X線管11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。
図2は、本実施形態に係るX線検出器12をX線管11より見た場合における複数の検出素子121の配置の一例を示す図である。図2では説明のためにX線検出器12を平面として図示しているが、X線検出器12は、実際は、図1に示したように円弧状の曲面を有する。
図2に示すように、X線検出器12は、複数の検出素子121を含む検出素子列が体軸方向(スライス方向、列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。本実施形態では、図2のように、均等な大きさの複数の検出素子121がマトリックス状に配置されているものとする。なお、図2に示す検出素子121のチャネル方向および列方向への配列パターンは一例であり、これに限定されるものではない。
本実施形態のX線検出器12は、少なくとも、超高精細(Super High Resolution :SHR)モードと、通常(Normal Resolution :NR)モードの2種類のモードでX線の検出が可能であるものとする。通常モードとは、超高精細モードよりも、空間分解能が低いモードである。例えば、超高精細モードは通常モードの4倍の空間分解能を有するものとする。超高精細モードの空間分解能は、本実施形態における第一の分解能の一例である。また、通常モードの空間分解能は、本実施形態における第二の分解能の一例である。なお、上述した超高精細モードと通常モードの空間分解能の差は一例であり、4倍に限定されるものではない。
より具体的には、超高精細モードでの検出の場合は、X線検出器12の全ての検出素子121が個別にX線を検出する。また、通常モードの場合は、X線検出器12に配置された複数の検出素子121のうち、4分の3はX線を検出せず、残りの4分の1の検出素子121でX線を検出する。例えば、隣接する4つの検出素子121のうち、3つがX線を検出せず、残りの1つがX線を検出する。あるいは、通常モードの場合は、複数の検出素子121の検出結果が統合または平均化されても良い。超高精細モードと通常モードの切り替えは、例えば、コンソール装置40を介したユーザからの操作、あるいは架台装置10、または寝台装置30に設けられた操作部を介したユーザからの操作に基づいて実行される。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。本実施形態のX線検出器12は、エネルギー積分型(Energy Integrated)の収集方式を採用する。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。X線検出器12は、X線検出部の一例である。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸回りに回転可能に支持する。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13は、アルミニウム等の金属により形成された固定フレームに回転可能に支持される。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸回りに一定の角速度で回転する。
なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とに加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に支持する。このような回転フレーム13は、撮影空間をなす開口(ボア)が形成された略円筒形状の筐体に収容されている。開口の中心軸は、回転フレーム13の回転軸に一致する。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等のプロセッサにより実現されてもよい。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリにプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
また、制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現されてもよい。また、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線をX線照射範囲に絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
DAS18は、被検体Pに関する検出データを収集する。より詳細には、DAS18は、X線検出器12により検出された信号を収集する。図3は、第1の実施形態に係るDAS18の構成の一例を示す図である。本実施形態のDAS18は、増幅器181と、A/D(アナログ/デジタル)変換器182と、制御回路183とを備える。なお、図3に示す構成は概略であり、DAS18は、さらに他の構成要素を備えても良い。
本実施形態においては、DAS18に含まれる増幅器181およびA/D変換器182を、収集部の一例とする。あるいは、DAS18全体を収集部の一例としても良い。また、制御回路183を、転送部の一例とする。
増幅器181は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う。A/D変換器182は、増幅器181から出力された電気信号をデジタル信号に変換する。本実施形態においては、当該デジタル信号を、検出データという。
より詳細には、検出データは、例えば、サイノグラムデータである。サイノグラムデータは、検出素子121ごとの、被検体Pを通過したX線検出量を、ビュー方向ごとに時系列化したデータである。サイノグラムデータは、例えばビュー方向およびチャネル方向を軸とする2次元直交座標系によって定義される。ビュー方向は、X線照射方向ともいう。
図4は、第1の実施形態に係る、あるビュー方向におけるX線の検出データ501の一例を示す図である。図4に示す例では、X線検出器12において超高精細モードでX線の検出が実行されたものとする。この場合、あるビュー方向におけるX線の検出データ501は、X線検出器12の個々の検出素子121ごとのX線検出量を示す検出データ501が検出される。図4に示す検出データ501の個々のセルは、検出素子121と1対1で対応する。図4に示すような検出データ501をビュー方向に展開すると、サイノグラムデータとなる。
例えば、X線検出器12において超高精細モードでX線の検出が実行された場合、サイノグラムデータは、個々の検出素子121ごとのX線検出量を、ビュー方向ごとに時系列化したデータとなる。また、X線検出器12において通常モードでX線の検出が実行された場合、サイノグラムデータは、間引きまたは統合された検出素子121ごとのX線検出量を、ビュー方向ごとに時系列化したデータとなる。このため、超高精細モードで検出された場合のサイノグラムデータのデータ量は、通常モードで検出された場合のサイノグラムデータのデータ量よりも大きくなる。なお、サイノグラムデータは検出データの形式の一例であり、これに限定されるものではない。
制御回路183は、後述のコンソール装置40から送信された第一の領域を表す情報に基づいて、検出データを加工し、加工後の検出データをコンソール装置40へ転送する。制御回路183は、例えば、CPU、GPU、ASIC、プログラマブル論理デバイス等のプロセッサにより実現される。また、制御回路183は、プログラム等を記憶するメモリを備えても良い。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリにプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
第一の領域は、超高精細画像として画像化される対象となる3次元の空間領域である。本実施形態では、第一の領域は、後述する位置決め画像上でユーザによって設定される。また、撮像範囲に含まれる空間領域のうち、第一の領域以外を、第二の領域という。第二の領域は、第一の領域よりも低い解像度で画像化される。撮像範囲は、被検体Pを撮像する範囲であるため、本実施形態においては、第一の領域および第二の領域は、それぞれ、撮像範囲に含まれる被検体Pの一部である。第一の領域と第二の領域の詳細については、コンソール装置40の説明の際に述べる。
本実施形態において、X線の検出データ501のうち、被検体Pの第一の領域に対応する検出データを、第一の検出データという。また、被検体Pの第二の領域に対応する検出データを、第二の検出データという。
より詳細には、制御回路183は、第一の領域を表す情報に基づいて、ビュー方向ごとに、第一の領域を通過したX線を検出する検出素子121と、第二の領域を通過したX線を検出する検出素子121とを特定する。制御回路183は、特定結果に基づいて、各ビュー方向において第二の領域に対応する検出素子121によって検出された第二の検出データを加工する。より詳細には、制御回路183は、被検体Pの第二の領域に対応する検出データ(加工前の第二の検出データ)を、間引きまたはスタックすることにより、第一の分解能から第二の分解能に加工する。
本実施形態における検出データ501の加工は、検出データ501のうちの一部を、間引きまたはスタックすることでデータ量を減少させることをいう。換言すれば、本実施形態における検出データ501の加工は、X線検出12からDAS18が取得した検出データ501から、当該の検出データ501一部の空間分解能を低くした検出データを生成することである。
図5は、第1の実施形態に係る検出データの間引きについて説明する図である。図5に示す検出データ502では、図4に示したあるビュー方向におけるX線の検出データ501のうち、斜線で塗りつぶされたセルとして図示したデータが間引きされている。間引きされるデータは、DAS18からコンソール装置40への転送対象から除外され、廃棄される。つまり、斜線で塗りつぶされたセルに対応する検出素子121で検出されたX線照射量の検出結果は、コンソール装置40に転送されない。
図5に示す例では、検出データ502のうち、第一の検出データ51に含まれるデータは、間引きされていないため、全てのデータがコンソール装置40への転送対象となる。このため、第一の検出データ51は、加工前と同様に、超高精細な空間分解能、つまり第一の分解能を有する。
また、検出データ502のうち、第一の検出データ51に含まれないデータを、第二の検出データ52という。図5に示す例では、第二の検出データ52に含まれるデータは、4分の3が間引きされている。例えば、図5に示す隣接する4つのセルで表されたデータ50a~50dのうち、データ50aはコンソール装置40への転送対象となるが、データ50b~50dはコンソール装置40への転送対象外となる。この場合、第二の検出データ52については、上述のX線検出器12が通常モードでX線を検出した場合と同等の分解能、つまり第二の分解能を有するデータとなる。
すなわち、X線CT装置1が、超高精細モードでスキャンを実行した場合においても、DAS18の制御回路183は、第二の領域に対応する第二の検出データ52については、通常モードでスキャンを実行した場合と同等の空間分解能まで低下させる。これに対して、第一の領域に対応する第一の検出データ51については、DAS18の制御回路183は、超高精細モードでスキャンされた場合における空間分解能をそのまま維持させる。これにより、第一の検出データ51は、第一の分解能を有し、DAS18の制御回路183によって加工された第二の検出データ52は、第一の分解能よりも低い第二の分解能を有する。
なお、本実施形態においては、DAS18の制御回路183が間引きまたはスタックした後の第二の検出データ52の空間分解能が、X線CT装置1が通常モードでスキャンを実行した場合における空間分解能と同等である場合を例として説明しているが、DAS18の制御回路183が間引きまたはスタックした後の第二の検出データ52の空間分解能は、これに限定されるものではない。例えば、制御回路183が間引きまたはスタックした後の第二の検出データ52の空間分解能は、X線CT装置1が通常モードでスキャンを実行した場合における空間分解能よりもさらに低くても良い。あるいは、制御回路183が間引きまたはスタックした後の第二の検出データ52の空間分解能は、X線CT装置1が超高精細モードでスキャンを実行した場合における空間分解能よりも低いものであれば、X線CT装置1が通常モードでスキャンを実行した場合における空間分解能よりも高くても良い。
以下、隣接する4つのセルで表されるデータ50a~50dを検出データセットと呼ぶ。検出データセットに含まれるセルの数は4つに限定されるものではない。
なお、図5では、第二の検出データ52に含まれる4分の3のデータを間引きしているが、間引きの割合はこれに限定されるものではない。本実施形態において、間引きとは、隣接する複数の検出素子121のうちの少なくとも一つ以上の検出素子121で検出されたX線の検出量を転送対象から除外することである。例えば、検出データセットのうち、2分の1のデータが間引きされるものとしても良いし、4分の1のデータが間引きされるものとしても良い。
図5ではあるビュー方向におけるX線の検出データ502を例としたが、制御回路183は、ビュー方向ごとのX線の検出データのそれぞれで、第二の領域に対応する検出データを間引きする。
本実施形態において、第一の検出データ51は、後述する位置決め画像上でユーザによって設定された第一の領域が投影された検出データである。また、第二の検出データ52は、第二の領域が投影された検出データである。第一の領域は、撮像範囲に含まれる3次元空間領域の一部である。また、第二の領域は、撮像範囲に含まれる3次元空間領域のうち、第一の領域以外の領域である。
第一の検出データ51と第二の検出データ52とは、例えば、ビュー方向ごとの検出データ502における体軸方向およびチャネル方向の座標で特性される。すなわち、検出領域情報は、サイノグラムデータのうち、第一の領域から収集された第一の検出データ51のビュー方向、体軸方向、およびチャネル方向における範囲を示す。なお、検出領域情報は第一の検出データ51と第二の検出データ52とを区別可能であれば良く、定義内容はこれに限定されるものではない。
なお、図5では、検出データ502のうち第二の検出データ52を間引きした例を説明したが、制御回路183は、間引き以外の手法で第二の検出データ52のデータ量を減少させても良い。例えば、制御回路183は、第二の検出データ52の各検出データセットに含まれる複数のセルの各々のX線検出量を合算した合計値を、コンソール装置40への転送対象としても良い。検出データセットに4つのセルが含まれる場合、4つの検出素子121で検出されたX線検出量が、1つに合計されることとなる。
あるいは、制御回路183は、第二の検出データ52の各検出データセットに含まれる複数のセルの各々のX線検出量の平均値を、コンソール装置40への転送対象としても良い。複数のセルのX線検出量の合算または複数のセルのX線検出量の平均値の算出は、本実施形態におけるスタックの一例である。なお、スタックする単位は4つのセルに限定されるものではなく、例えば2つのセルごとにX線検出量をスタックしても良い。
制御回路183は、検出領域情報と、第一の検出データ51と、加工後の第二の検出データ52とを関連付けてコンソール装置40へ転送する。例えば、制御回路183は、第一の検出データ51と、加工後の第二の検出データ52とを統合したデータを加工済み検出データとし、当該加工済み検出データに検出領域情報を対応付けてコンソール装置40へ転送する。
検出領域情報と、第一の検出データ51と、加工後の第二の検出データ52とがDAS18からコンソール装置40へ転送される際には、これらのデータは、例えば発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
図1に戻り、寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、天板支持フレーム34とを備えている。基台31は、天板支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動させるモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動装置32は、コンソール装置40による制御、または制御装置15による制御に従い、天板33を移動する。天板支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、天板支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、架台装置10の制御、および架台装置10によるスキャン結果に基づくCT画像データの生成等を実行する装置である。コンソール装置40は、メモリ41(記憶部)と、ディスプレイ42(表示部)と、入力インターフェース43(入力部)と、処理回路44(処理部)とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。また、メモリ41は、本実施形態に係る制御プログラムを記憶する。メモリ41は、プリスキャンにより生成されたボリュームデータを記憶する。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、制御機能441、前処理機能442、および再構成処理機能443を実行する。ここで、例えば、図1に示す処理回路44の構成要素である制御機能441、前処理機能442、および再構成処理機能443が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41内に記録されている。処理回路44は、例えば、プロセッサであり、メモリ41から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、図1の処理回路44内に示された各機能を有することとなる。
制御機能441は、本実施形態における制御部の一例である。また、前処理機能442および再構成処理機能443は、本実施形態における生成部の一例である。
なお、図1においては、制御機能441、前処理機能442、および再構成処理機能443の各処理機能が単一の処理回路44によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路44は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路44が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、各種処理を制御する。具体的には、制御機能441は、架台装置10で行なわれるCTスキャンを制御する。例えば、制御機能441は、X線高電圧装置14、X線検出器12、制御装置15、DAS18及び寝台駆動装置32の動作を制御することで、架台装置10における被検体Pを通過したX線の収集処理を制御する。一例を挙げると、制御機能441は、位置決め画像を収集する位置決めスキャンおよび診断に用いる画像を収集する撮影(本スキャン)における投影データの収集処理をそれぞれ制御する。
また、制御機能441は、メモリ41が記憶する各種画像データに基づく画像などをディスプレイ42に表示させる。例えば、制御機能441は、位置決め画像をディスプレイ42に表示させる。本実施形態においては、ユーザは、位置決め画像上で、撮像範囲と、撮像範囲内において第一の分解能で画像化する第一の領域を指定する。
図6は、第1の実施形態に係る位置決め画像600の一例を示す図である。位置決め画像600は、例えば被検体Pが正面方向から描出されたスキャノ画像であるが、これに限定されるものではない。図6に示す例では、ユーザによって撮像範囲70が指定される。撮像範囲70は、例えば、位置決め後の本スキャンにおいてボリューム画像データとして撮像される空間領域範囲を表す。ボリューム画像データは、複数の断層画像データ(断層像群)を含む。なお、図6に示すXYZ方向は、図1で説明したX線CT装置1のXYZ方向に対応する。なお、位置決め画像600は、参照画像ともいう。
さらに、ユーザによって、撮像範囲70内における第一の領域71が指定される。第一の領域71は、当該位置決め画像600で行われた位置決め後に実行される本スキャンにおいて、第一の分解能で画像化される領域である。ユーザは、病変部位など、超高精細画像で表示されることを所望する領域を、第一の領域71として指定する。
また、撮像範囲70内における第一の領域71以外の領域は、第二の領域72となる。第二の領域72は、当該位置決め画像600で行われた位置決め後に実行される本スキャンにおいて、第一の分解能よりも低い第二の分解能で画像化される領域である。本実施形態においては、本スキャンにおいて、X線検出器12は超高精細モードでX線照射量を検出するが、上述のように、DAS18において第二の領域72が投影された第二の検出データ52のデータ量が削減される。このため、ユーザが第一の領域71として指定しなかった領域、つまり第二の領域72については、通常モードと同等の分解能で画像化される。
制御機能441は、位置決め画像600上でユーザによって指定された撮像範囲70および第一の領域71の範囲を、入力インターフェース43を介して受け付ける。
なお、図6では1つの第一の領域71のみが指定されているが、複数の第一の領域71がユーザによって指定されても良い。また、図6に示す位置決め画像600は被検体Pを正面方向から描出した画像であるが、位置決め画像600の態様、および第一の領域71の指定手段はこれに限定されるものではない。また、異なる方向から被検体Pが描出された複数の画像上で、撮像範囲70および第一の領域71がユーザによって指定されても良い。
また、図6に示す撮像範囲70および第一の領域71の指定の形式は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、撮像範囲70は、断層画像データとして撮像されるスライス位置であっても良い。以下、本実施形態においてCT画像データという場合、特に指定しない限りは、ボリューム画像データと断層画像データのいずれを指しても良い。
制御機能441は、ユーザによって位置決め画像600上で指定された撮像範囲70に基づいて、架台装置10で行なわれる本スキャンの実行を制御する。また、制御機能441は、ユーザによって指定された第一の領域71を表す情報を、DAS18に送信する。第一の領域71を表す情報は、例えば撮影空間における3次元の空間座標等である。
なお、位置決め画像600は、例えば、本スキャンよりも低い空間分解能のスキャンによって撮像されても良い。例えば、位置決め画像600の撮像は、通常モードで実行され、本スキャンは超高精細モードで実行されても良い。また、前回の本スキャンで撮像された画像が、次の本スキャン用の位置決め画像600として使用されても良い。
また、制御機能441は、本スキャン実行後、DAS18から転送された検出領域情報と、後述の前処理機能442および再構成処理機能443によって生成されたCT画像データとに基づいて、第一の画像領域を示す画像領域情報を生成する。
画像領域情報は、例えば、CT画像データにおいて第一の画像領域に含まれる画素の座標を示す情報である。
第一の画像領域は、CT画像データにおいて、第一の検出データ51から生成された画像領域を示す。換言すれば、第一の画像領域は、CT画像データにおいて、第一の領域71が描出された領域である。第一の画像領域は、例えばCT画像データ上の第一の検出データ51から生成された画素の座標を示す情報である。第一の画像領域は、例えば、DICOM規格に準拠した付帯情報としてCT画像データに関連付けられる。
なお、本実施形態においては、空間領域である第一の領域から検出された第一の検出データを示す情報を検出領域情報、画像データにおける平面領域である第一の画像領域を示す情報を画像領域情報として区別しているが、これらを総称して領域情報と称しても良い。
また、制御機能441は、本スキャン実行後、後述の前処理機能442および再構成処理機能443によって生成された画像データに、画像領域情報を関連付けてメモリ41に記憶させる。また、制御機能441は、生成された画像データに領域情報を関連付けてX線CT装置1以外の外部の情報処理装置に記憶させても良い。外部の情報処理装置は、例えばPACS(Picture Archiving and Communication System)等の画像保管装置である。
本実施形態の前処理機能442および再構成処理機能443は、DAS18より転送された検出領域情報、第一の検出データ51、および第二の検出データ52に基づいて、第一の領域71に対応する第一の画像領域は第一の解像度を有し、第二の領域72が描出された第二の画像領域は第一の解像度よりも低い第二の解像度を有するCT画像データを生成する。
第一の解像度は、第一の分解能の検出データが画像化されたCT画像データの解像度である。第二の解像度は、第二の分解能の検出データが画像化されたCT画像データの解像度である。つまり、本実施形態においては、第一の分解能は、超高精細モードの空間分解能に対応する解像度である。また、本実施形態においては、第二の解像度は、通常モードの空間分解能に対応する解像度である。
具体的には、前処理機能442は、DAS18から転送された加工済み検出データ503に対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータを生データ(検出データ)、前処理後のデータを投影データと称する。なお、前処理機能442は、加工済み検出データ503に含まれる第一の検出データ51と第二の検出データ52に同様の前処理を施しても良いし、検出領域情報に基づいて第一の検出データ51と第二の検出データ52を区別し、それぞれに異なる前処理を施しても良い。
また、再構成処理機能443は、前処理機能442によって生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。
当該CT画像データにおいては、第一の領域71が第一の解像度で画像化される。当該第一の領域71が画像化される領域が、上述の第一の画像領域である。また、当該CT画像データにおいては、第二の領域72が第一の解像度よりも低い第二の解像度で画像化される。当該第二の領域72が画像化される領域が、上述の第二の画像領域である。
当該CT画像データは、本実施形態における画像データおよび被検体データの一例である。第一の検出データ51および第二の検出データ52は、X線検出器12からDAS18へ出力される電気信号から生成されているため、換言すれば、前処理機能442および再構成処理機能443は、撮像部により得られた信号に基づいて、第一の領域71を第一の解像度で画像化し、第二の領域72が第一の解像度よりも低い第二の解像度で画像化されるためのCT画像データを生成する。
また、再構成処理機能443は、当該CT画像データを制御機能441に送出する。上述のように、制御機能441は、当該CT画像データと画像領域情報とを関連付けてメモリ41に記憶させる。なお、画像領域情報の生成、およびCT画像データと画像領域情報とを関連付けてメモリ41に記憶させる処理は、再構成処理機能443が実行しても良い。
また、再構成処理機能443は、生成したCT画像データに画像処理を施すことで、CT画像データの画質を向上させる。例えば、再構成処理機能443は、学習済みモデルを用いて、CT画像データのノイズの低減、および補間を行う。本実施形態においては、画像処理前のCT画像データを初期CT画像データ、画像処理後のCT画像データを処理済みCT画像データという。なお、初期CT画像データと処理済みCT画像データとを特に区別しない場合には、単にCT画像データという。CT画像データは、本実施形態における画像データの一例である。また、処理済みCT画像データは、本実施形態における被処理画像データの一例である。
図7は、第1の実施形態に係る画像処理の流れの一例を示す図である。なお、図7では、撮像された領域を説明するために、位置決め画像600に類似の平面画像を用いて図示するが、実際には、被検体Pを撮像したCT画像データは、ボリューム画像(断層像群)データまたは断層画像データである。
図7の一番上の段に示すように、本スキャンの実行後、加工済み検出データ503および検出領域情報61がDAS18からコンソール装置40に転送される。図7に示す加工済み検出データ503は、DAS18の制御回路183によって加工されたサイノグラムデータであり、第一の分解能を有する第一の検出データ51と、第二の分解能を有する第二の検出データ52とを含む。
前処理機能442が加工済み検出データ503に前処理を施した後、再構成処理機能443は、図7の上から2番目の段に示すように、前処理後の加工済み検出データ503に基づいて、初期CT画像データ800を生成する。初期CT画像データ800は、第一の解像度である第一の画像領域81と、第二の解像度である第二の画像領域82とを含む。また、制御機能441または再構成処理機能443によって、初期CT画像データ800には画像領域情報62が対応付けられる。
再構成処理機能443は、図7の上から3~4番目の段に示すように、初期CT画像データ800のうち第一の画像領域81を、第一の学習済みモデル91に入力する。また、再構成処理機能443は、初期CT画像データ800のうち第二の画像領域82を、第二の学習済みモデル92に入力する。
第一の学習済みモデル91は、第一の解像度のCT画像データと、ノイズ除去処理後のCT画像データとを対応付けて学習したモデルである。図7の上から3~5番目の段に示すように、第一の学習済みモデル91は、第一の画像領域81が入力された場合に、入力された第一の画像領域81のノイズが低減された第一の処理済みCT画像データ811を出力する。第一の処理済みCT画像データ811は、第一の被処理画像データの一例である。
また、第二の学習済みモデル92は、第一の学習済みモデル91とは異なるモデルである。例えば、本実施形態の第二の学習済みモデル92は、第二の解像度のCT画像データと、ノイズ除去処理および補間処理後のCT画像データとを対応付けて学習したモデルである。図7の上から3~5番目の段に示すように、第二の学習済みモデル92は、第二の画像領域82が入力された場合に、入力された第二の画像領域82に対してノイズ低減処理および補間処理が施された第二の処理済みCT画像データ821を出力する。第二の処理済みCT画像データ821は、第二の被処理画像データの一例である。
第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、例えば、ニューラルネットワーク等のディープラーニング(深層学習)によって生成された学習済みモデルとする。ディープラーニングの手法としては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)などの多層のニューラルネットワークを適用することができるが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態における第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、これらの学習済みモデルが出力した成果物に対してユーザがフィードバックを与えることにより、学習済みモデルの内部アルゴリズムを更に更新する「自己学習するモデル」を含む。
第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、例えば、再構成処理機能443に組み込まれているものとする。あるいは、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、メモリ41に記憶されていても良い。この場合、再構成処理機能443は、メモリ41から第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92を読み出して実行しても良い。また、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、X線CT装置1の外部に設けられた記憶装置に記憶されていても良い。
なお、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92の機能は、ノイズの低減および補間処理に限定されるものではなく、画質の向上に関するその他の画像処理の機能を有しても良い。
再構成処理機能443は、図7の下から1~2番目の段に示すように、第一の処理済みCT画像データ811と、第二の処理済みCT画像データ821とを合成する。再構成処理機能443は、合成後の処理済みCT画像データ801を、画像領域情報62と関連付けてメモリ41に記憶させる。なお、再構成処理機能443は、処理済みCT画像データ801と画像領域情報62とを関連付けて制御機能441に送出し、制御機能441が処理済みCT画像データ801を、画像領域情報62と関連付けてメモリ41に記憶させても良い。
次に、以上のように構成された本実施形態におけるX線CT装置1で実行される撮像処理の流れについて説明する。
図8は、第1の実施形態に係る撮像処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、このシーケンス図においては、X線管11、ウェッジ16、コリメータ17、X線高電圧装置14、回転フレーム13と、制御装置15および寝台駆動装置32の動作については図示を省略する。
まず、コンソール装置40の処理回路44の制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから位置決めスキャンの開始操作を受け付ける(S1)。この場合、制御機能441は、架台装置10および寝台駆動装置32を制御して、位置決めスキャンを実行させる。
そして、X線検出器12は、位置決めスキャンにおけるX線の検出結果をDAS18へと出力する(S2)。X線の検出結果は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線のX線量に対応した電気信号である。
DAS18は、X線検出器12により検出された電気信号を収集する。DAS18は、収集した電気信号の増幅、およびデジタル信号に変換したデータを、位置決め画像用検出データとしてコンソール装置40に転送する(S3)。なお、位置決めスキャンにおいては、DAS18の制御回路183は、検出データの間引きまたはスタックは行わない。
そして、コンソール装置40の処理回路44の前処理機能442および再構成処理機能443は、DAS18から転送された検出データから、位置決め画像データを生成する(S4)。
そして、コンソール装置40の処理回路44の制御機能441は、位置決め画像データに基づく位置決め画像600を、ディスプレイ42に表示させる(S5)。
ユーザは、位置決め画像600上で撮像範囲70、および第一の領域71を指定する。制御機能441は、入力インターフェース43を介して、ユーザによる撮像範囲70、および第一の領域71の指定を受け付ける(S6)。なお、この際、制御機能441は、入力インターフェース43を介して、その他の撮像条件等について、ユーザによる入力を受け付けても良い。
そして、制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから本スキャンの開始操作を受け付ける(S7)。
制御機能441は、DAS18に、ユーザによる第一の領域71の指定結果を表す情報を送信する(S8)。また、制御機能441は、架台装置10および寝台駆動装置32を制御して、本スキャンを実行させる。本実施形態においては、本スキャンは、第一の分解能の超高精細モードで実行されるものとする。
そして、X線検出器12は、本スキャンにおけるX線の検出結果をDAS18へと出力する(S9)。
DAS18の制御回路183は、S8でコンソール装置40から送信された第一の領域71の指定結果を表す情報に基づいて、ビュー方向ごとに、第一の領域を通過したX線を検出する検出素子121と、第二の領域を通過したX線を検出する検出素子121とを特定する。制御回路183は、特定結果に基づいて、各ビュー方向において第二の領域に対応する検出素子121によって検出された検出データを、間引きまたはスタックすることにより加工し、第二の検出データ52を生成する(S10)。
また、制御回路183は、第一の検出データ51と第二の検出データ52とを区別可能な検出領域情報61を生成する(S11)。
DAS18の制御回路183は、本スキャンの加工済み検出データ503と検出領域情報61とを関連付けて、コンソール装置40に転送する(S12)。加工済み検出データ503は、第一の検出データ51と、第二の検出データ52とを含む。
そして、コンソール装置40の処理回路44の前処理機能442は、DAS18から転送された加工済み検出データ503に前処理を施す(S13)。
そして、コンソール装置40の処理回路44の再構成処理機能443は、前処理後の加工済み検出データ503に対して再構成処理を実行してCT画像データを生成する(S14)。
より詳細には、図7で説明したように、再構成処理機能443は、前処理後の加工済み検出データ503に基づいて、初期CT画像データ800を生成する。また、再構成処理機能443または制御機能441は、初期CT画像データ800と検出領域情報61とに基づいて、画像領域情報62を生成する。
初期CT画像データ800は、第一の解像度である第一の画像領域81と、第二の解像度である第二の画像領域82とを含む。そして、再構成処理機能443は、初期CT画像データ800のうち第一の画像領域81を、第一の学習済みモデル91に入力し、初期CT画像データ800のうち第二の画像領域82を、第二の学習済みモデル92に入力する。
そして、再構成処理機能443は、第一の学習済みモデル91から出力された第一の処理済みCT画像データ811と、第二の学習済みモデル92から出力された第二の処理済みCT画像データ821とを合成する。再構成処理機能443または制御機能441は、合成後の処理済みCT画像データ801と画像領域情報62とを関連付けてメモリ41に記憶させる。また、再構成処理機能443または制御機能441は、初期CT画像データ800と検出領域情報61とを関連付けてメモリ41に記憶させても良い。
そして、制御機能441は、処理済みCT画像データ801を、ディスプレイ42に表示させる(S15)。なお、制御機能441は、初期CT画像データ800についても、ディスプレイ42に表示させても良い。
このように、本実施形態のX線CT装置1のDAS18は、第一の分解能で被検体Pから検出された検出データのうち、第一の領域71が投影された第一の検出データ51は第一の分解能、第二の領域72が投影された第二の検出データ52は第一の分解能よりも低い第二の分解能で、コンソール装置40に転送する。より具体的には、実施形態では、X線CT装置1が超高精細モードでスキャンを実行した場合に、DAS18は、検出データの一部のみ超高精細の空間分解能を保持し、残りは超高精細の空間分解能よりも低い空間分解能でコンソール装置40に転送する。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、検出データの全てを第一の分解能のまま転送する場合と比較して、転送処理に係る時間を短縮することが可能となる。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、CT画像データの生成までの時間を短縮することができ、撮像ワークフローを改善することができる。また、一般に、DAS18からコンソール装置40へのデータ転送中は、次のスキャンの実行ができないため、転送処理に係る時間を短縮することにより、スキャンとスキャンの時間間隔を短縮することができることからも、撮像ワークフローを改善することができる。
特に、本実施形態のように、第一の分解能が超高精細モードの空間分解能である場合、通常モードと比較して検出データ量が増大するため、本実施形態のX線CT装置1のように一部の検出データの空間分解能を下げることで、データ転送時間の長期化を低減することができる。また、X線検出器12の多列化によって検出データ全体が増加しても、本実施形態の構成を適用することにより、検出データの全てを第一の分解能のまま転送する場合と比較して、転送処理に係る時間を短縮することができる。
また、本実施形態のX線CT装置1のDAS18は、第一の検出データ51と第二の検出データ52とを区別可能な検出領域情報61を、第一の検出データ51および第二の検出データ52と関連付けて転送するため、コンソール装置40が第一の検出データ51および第二の検出データ52からCT画像データを生成する際に、分解の異なる検出データを区別して処理を実行することができる。
また、本実施形態のX線CT装置1では、第二の領域72から収集された第二の検出データ52を、間引きまたはスタックすることにより、第一の分解能から第二の分解能に加工する。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、X線検出器12に検出された時点では全ての検出データが第1の分解能でも、第二の領域72から収集された第二の検出データ52のみ、分解能を低下させることにより、転送対象のデータ量を減少させることができる。
また、本実施形態のX線CT装置1では、コンソール装置40は、DAS18より転送された検出領域情報61、第一の検出データ51、および第二の検出データ52に基づいて、第一の解像度の第一の画像領域81と、第一の解像度よりも低い第二の解像度の第二の画像領域82とを有するCT画像データを生成することができる。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、DAS18からコンソール装置40に転送される検出データ全体のデータ量を減少させつつ、例えば診断のために高い解像度が求められる画像領域については高い解像度を維持することができる。
また、本実施形態のX線CT装置1では、生成したCT画像データに、第一の画像領域81を示す画像領域情報62を関連付けてメモリ41に記憶させる。このため、例えばX線CT装置1またはその他の情報処理装置がCT画像データをさらに画像処理する場合に、第一の画像領域81と第二の画像領域82とで異なる処理を施すことができる。
また、本実施形態のX線CT装置1では、第一の領域71は、本スキャンの前に撮像された位置決め画像600上でユーザによって指定される。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、ユーザが所望する領域を高い解像度で画像化することができる。
また、本実施形態のX線CT装置1では、生成したCT画像データのうち第一の画像領域81を第一の学習済みモデル91に入力し、第二の画像領域82を第二の学習済みモデル92に入力し、第一の学習済みモデル91から出力された第一の処理済みCT画像データ811と、第二の学習済みモデル92から出力された第二の処理済みCT画像データ821とを合成する。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、画像領域情報62によって第一の画像領域81と第二の画像領域82とを区別できるため、1つのCT画像データ内において画像領域ごとに解像度が異なる場合でも、各解像度に適した学習済みモデルを適用することができる。
なお、本実施形態においては、再構成処理機能443は、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92を用いてCT画像データの画質を向上させる処理を実行するものとしたが、当該処理を実行しなくとも良い。例えば、再構成処理機能443は、初期CT画像データ800を画像領域情報62と関連付けてメモリ41に記憶させた後、処理を終了しても良い。
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、X線CT装置1は、入射されたX線のネルギー積分型のX線検出器12を備えるものとしたが、X線の検出方式はこれに限定されるものではない。
例えば、X線CT装置1は、フォトンカウンティングCT装置であるものとする。また、本実施形態のX線検出器12は、光子計数型X線検出器である。
また、本実施形態のDAS18は、光子計数型のX線検出器12の検出信号を用いた計数処理の結果である検出データを生成する。計数処理の結果は、エネルギービンごとのX線の光子数を割り当てたデータである。例えば、DAS18は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子、フォトン)を計数し、当該計数した光子のエネルギーを弁別して計数処理の結果とする。
より詳細には、本実施形態のDAS18の制御回路183は、計数回路としての機能を備える。本実施形態においては、制御回路183は、計数部ともいう。制御回路183は、各検出素子121が出力した個々の電荷を弁別することで、各検出素子121に入射したX線光子の数を計数する。また、制御回路183は、個々の電荷の大きさに基づく演算処理を行なうことで、計数したX線光子のエネルギーを計測する。なお、制御回路183とは別に、計数回路がDAS18に設けられてもよい。
本実施形態の検出データは、被検体Pを透過したX線光子の、エネルギービンごとの計数結果である。また、本実施形態における第一の検出データ51は、第一の領域71において被検体Pを透過したX線光子の、エネルギービンごとの計数結果である。
また、制御回路183は、第二の領域72において被検体Pを透過したX線光子の個々のエネルギービンごとの計数結果を、複数のエネルギービン単位で合算することにより、データ量を減少させる。換言すれば、制御回路183は、複数のエネルギービンに対応する計数結果を1つに合算する。つまり、本実施形態において、第二の検出データ52は、被検体Pを透過したX線光子の複数のエネルギービンに対応する計数結果が合算された結果である。なお、制御回路183は、第1の実施形態と同様に、コンソール装置40から送信された第一の領域71を表す情報に基づいて、第一の領域71と第二の領域72とを特定する。なお、データ量を減少させる手法はこれに限定されない。例えば、制御回路183は、第二の領域72において被検体Pを透過したX線光子の、複数のエネルギービンの各々に対応する計数結果のうち、1つのエネルギービンに対応する計数結果のみを保持しても良い。この場合、保持対象のエネルギービン以外に対応する計数結果は、転送対象から除外される。この場合、第二の検出データ52は、被検体Pを透過したX線光子の複数のエネルギービンに対応する計数結果から、1つのエネルギービンに対応する計数結果が抽出された結果である。
このため、制御回路183によって合算処理が行われた第二の検出データ52は、第一の検出データ51よりもエネルギー弁別の精度が低くなる。第一の検出データ51におけるエネルギー弁別の分解能は、本実施形態における第一の分解能の一例である。また、第二の検出データ52におけるエネルギー弁別の分解能は、本実施形態における第二の分解能の一例である。
制御回路183が合算するエネルギービンの単位は特に限定されるものではないが、例えば、制御回路183は、隣接する3つのエネルギービンに対応する計数結果を、1つに合算しても良い。
あるいは、制御回路183は、第二の領域72において被検体Pを透過したX線光子のエネルギービンごとの計数結果の一部を間引きしても良い。例えば、制御回路183は、隣接する3つのエネルギービンごとの計数結果のうち、中央のエネルギービンに対応する計数結果のみを残して、残りの2つのエネルギービンに対応する計数結果を間引きしても良い。この場合、制御回路183は、間引きした計数結果をコンソール装置40への転送対象から除外することにより、第二の検出データ52のデータ量を減少させることができる。
制御回路183が計数結果の合算または間引きをすることは、本実施形態における検出データの加工の一例である。
また、本実施形態のDAS18の制御回路183は、第一の検出データ51と第二の検出データ52とを、検出領域情報61に関連付けてコンソール装置40に転送する。
本実施形態のコンソール装置40は、第1の実施形態と同様に、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。また、コンソール装置40の処理回路44は、第1の実施形態と同様に、制御機能441、前処理機能442、および再構成処理機能443を備える。
フォトンカウンティングCT装置で得られる計数結果から生成された投影データには、被検体Pを透過することで減弱されたX線のエネルギーの情報が含まれている。このため、本実施形態の再構成処理機能443は、例えば、特定のエネルギー成分のCT画像データを再構成することができる。また、再構成処理機能443は、例えば、複数のエネルギー成分それぞれのCT画像データを再構成することができる。また、再構成処理機能443は、例えば、各エネルギー成分のCT画像データの各画素にエネルギー成分に応じた色調を割り当て、エネルギー成分に応じて色分けされた複数のCT画像データを重畳した画像データを生成することができる。また、再構成処理機能443は、例えば、物質固有のK吸収端を利用して、当該物質の同定が可能となる画像データを生成することができる。再構成処理機能443が生成する他の画像データとしては、単色X線画像データや密度画像データ、実効原子番号画像データ等が挙げられる。
例えば、本実施形態の再構成処理機能443は、第一の検出データ51に基づく第一の画像領域81が、第二の検出データ52に基づく第二の画像領域82よりも、細かい単位で弁別されたエネルギー成分ごとに応じて色分けされた画像データを生成しても良い。
本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様の機能を備える。
このように、本実施形態において、第一の検出データ51は、第一の領域71において被検体Pを透過したX線光子のエネルギービンごとの計数結果である。また、第二の検出データ52は、第二の領域72において被検体Pを透過したX線光子の、複数のエネルギービンに対応する計数結果が合算された結果、または、被検体Pを透過したX線光子の複数のエネルギービンに対応する計数結果から、1つのエネルギービンに対応する計数結果が抽出された結果である。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、全ての検出データを第一の検出データ51と同様のエネルギービン単位の計数結果として転送する場合と比較して、転送対象のデータ量を低減することで、転送処理に係る時間を短縮することが可能となる。このため、本実施形態によれば、X線CT装置1がフォトンカウンティングCT装置である場合においても、撮像ワークフローを改善することができる。
(第3の実施形態)
上述の第2の実施形態では、X線検出器12は、光子計数型X線検出器であるものとしたが、この第3の実施形態では、X線検出器12は、エネルギー積分型のX線検出器と、光子計数型X線検出器の両方の機能を備えるものとする。
例えば、本実施形態のX線検出器12は、第1の実施形態における通常モード相当の空間分解能のエネルギー積分型のX線検出機能を備える。また、本実施形態のX線検出器12は、第2の実施形態と同様の光子計数型の検出機能を備える。
本実施形態のX線CT装置1は、エネルギー積分型のX線検出と、光子計数型X線検出の両方の機能を備える。このようなX線CT装置1は、エネルギー積分型と光子計数型のハイブリッド型のX線CT装置という。
また、本実施形態の検出データは、検出素子121ごとのX線検出量と、X線光子のエネルギービンごとの計数結果の両方を含むものとする。
本実施形態のDAS18の制御回路183は、第一の領域71においては、第2の実施形態と同様に、被検体Pを透過したX線光子の、エネルギービンごとの計数結果を、コンソール装置40への転送対象とする。また、制御回路183は、第二の領域72においては、エネルギービンごとの計数結果はコンソール装置40への転送対象から除外する。制御回路183は、第二の領域72においては、X線検出器12に配置された検出素子121ごとの、被検体Pを通過したX線の検出量を、コンソール装置40への転送対象とする。
つまり、本実施形態において、本実施形態における第一の検出データ51は、第2の実施形態と同様に、第一の領域71において被検体Pを透過したX線光子の、エネルギービンごとの計数結果である。また、第二の検出データ52は、第二の領域72において被検体Pを透過したX線の検出量である。
第一の検出データ51におけるエネルギー弁別の精度は、本実施形態における第一の分解能の一例である。また、第二の検出データ52におけるX線検出の分解能は、本実施形態における第二の分解能の一例である。
制御回路183が第二の領域72におけるエネルギービンごとの計数結果をコンソール装置40への転送対象から除外することは、本実施形態における検出データの加工の一例である。一般に、エネルギービンごとの計数結果は、通常モード相当の分解能のエネルギー積分型のX線検出結果よりも、データ量が多くなる。このため、制御回路183が第二の領域72におけるエネルギービンごとの計数結果をコンソール装置40への転送対象から除外することで、撮像範囲70全体のエネルギービンごとの計数結果を転送する場合と比較して、転送されるデータ量を減少させることができる。
なお、制御回路183は、第1の実施形態と同様に、コンソール装置40から送信された第一の領域71を表す情報に基づいて、第一の領域71と第二の領域72とを特定する。
本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様の機能を備える。
このように、本実施形態において、第一の検出データ51は、第一の領域71において被検体Pを透過したX線光子のエネルギービンごとの計数結果である。また、第二の検出データ52は、第二の領域72において被検体Pを透過したX線の検出量である。このため、本実施形態のX線CT装置1によれば、全ての検出データをエネルギービン単位の計数結果として転送する場合と比較して、転送対象のデータ量を低減することで、転送処理に係る時間を短縮することが可能となる。このため、本実施形態によれば、エネルギー積分型のX線検出と光子計数型X線検出の両方の機能を備えるX線CT装置1においても、撮像ワークフローを改善することができる。
なお、制御回路183は、第一の領域71における検出素子121ごとの被検体Pを通過したX線の検出量もコンソール装置40への転送対象としても良い。
また、本実施形態では、1つのDAS18が処理を実行するように記載したが、X線CT装置1は、エネルギー積分型の収集を行うDASと、光子計数型の収集を行うDASをそれぞれ備えても良い。
(変形例1)
なお、上述の第1の実施形態では、X線検出器12は、均等な大きさの複数の検出素子121がマトリックス状に配置されているものとしたが、検出素子121の大きさはこれに限定されるものではない。
図9は、変形例1に係るX線検出器12の一部の拡大図の一例である。図9では、チャネル方向に配置された複数の列の一部のみを、例として図示している。図9に示すように、本変形例のX線検出器12は、第一の分解能でX線を検出する第一の検出素子群120aと、第二の分解能でX線を検出する第二の検出素子群120bとを備える。
第一の検出素子群120aは、例えば、第1の実施形態と同様の大きさの複数の検出素子121aを含む。また、第二の検出素子群120bは、例えば、検出素子121aよりも大きな複数の検出素子121bを含む。また、第一の検出素子群120aでは、超高精細な空間分解能でX線の検出が可能である。また、第二の検出素子群120bでは、第一の検出素子群120aよりも低い分解能でX線を検出する。例えば、第二の検出素子群120bの空間分解能は、第1実施形態における通常モードでのX線検出の空間分解能に相当する。
なお、図9に示す検出素子121aと検出素子121bの大きさの差異、および第一の検出素子群120aと第二の検出素子群120bの配置は一例であり、これらに限定されるものではない。また、第一の検出素子群120aと第二の検出素子群120bの差異は、検出素子121の大きさの違いではなく、配置の密度の違いであっても良い。例えば、第二の検出素子群120bにおいては、第一の検出素子群120aよりも検出素子121が疎に配置されても良い。
本変形例のX線CT装置1においては、第一の検出素子群120aは超高精細な空間分解能を有するが、第二の検出素子群120bは超高精細な空間分解能よりも低い空間分解能を有する。このため、本変形例において、第一の領域71は、第一の検出素子群120aによる検出対象領域に含まれる。
例えば、本変形例のコンソール装置40の処理回路44の制御機能441は、位置決め画像600上でユーザが第一の領域71を指定する際に、第一の検出素子群120aによる検出対象領域内のみが指定可能となるように、指定可能な範囲を制限しても良い。
本変形例のコンソール装置40の処理回路44の制御機能441は、第一の検出素子群120aによって第一の領域71に対応する第一の検出データ51が取得されるように、寝台装置30および架台装置10を制御する。
(変形例2)
上述の各実施形態では、第一の領域71は、位置決め画像600上でユーザの操作によって指定されるものとしたが、指定の際に使用される画像は位置決め画像600に限定されるものではない。
例えば、第一の領域71は、本スキャンで収集された検出データから生成されたリアルタイム画像上で、ユーザの操作によって指定されても良い。リアルタイム画像は、本変形例における指定用画像の一例である。本変形例においては、本スキャンの実行後に、第一の領域71がユーザによって指定される。なお、位置決め画像600と指定用画像とを総称して、参照画像と称しても良い。
本変形例のDAS18の制御回路183は、例えば、本スキャンにおいて第1の分解能で収集された検出データを、間引きまたはスタックしてデータ量を減少させる。この場合の間引きまたはスタック後の検出データの分解能は、第2の分解能と同様でも良いし、第2の分解能よりも低くても良い。なお、制御回路183は、この時点においては、間引きまたはスタックする前の検出データを削除せずに保持する。制御回路183は、データ量を減少させた検出データを、コンソール装置40に転送する。転送処理は、本スキャンの実行中に開始しても良いし、本スキャンの実行終了後に開始しても良い。
本変形例のコンソール装置40の処理回路44の前処理機能442および再構成処理機能443は、DAS18から転送された検出データに基づいて、リアルタイム画像データを生成する。また、制御機能441は、リアルタイム画像データに基づくリアルタイム画像を、ディスプレイ42に表示させる。
制御機能441は、リアルタイム画像上でユーザによって指定された第一の領域71を表す情報を、DAS18に送信する。
DAS18の制御回路183は、コンソール装置40から送信された第一の領域71を表す情報に基づいて、例えば第1の実施形態と同様に、第一の領域71に対応する第一の検出データ51を特定する。そして、制御回路183は、第1の分解能の第一の検出データ51と、間引きまたはスタックによって第2の分解能に加工した第二の検出データ52と、検出領域情報61とをコンソール装置40に転送する。
なお、リアルタイム画像の生成用に転送した検出データが第2の分解能相当の場合には、DAS18の制御回路183は、第二の検出データ52を転送しなくとも良い。
本変形例のX線CT装置1によれば、ユーザが本スキャンの結果を確認した上で、第一の領域71を指定することができる。
(変形例3)
また、第一の領域71は、必ずしもユーザによって指定されなくとも良い。例えば、第一の領域71は、スキャンプロトコルに予め対応付けられて、メモリ41等に記憶されていても良い。また、この場合、スキャンプロトコルに対応付けられた第一の領域71が、位置決め画像上に、表示されても良い。
図10は、変形例3に係る位置決め画像600aの一例を示す図である。図10に示す例では、心臓を撮像するためのスキャンプロトコルがユーザによって選択されているものとする。この場合、例えば、撮像範囲70aの中心に位置する直径180mmの円形の範囲が第一の領域71aとなり、その他の領域が第二の領域72aとなる。
図10に示す第一の領域71aは一例であり、これに限定されるものではない。また、スキャンプロトコルごとに、第一の領域71aは異なるものとする。また、ユーザは、位置決め画像600a上で、第一の領域71aを変更する操作を入力可能とする。
なお、図10では、位置決め画像600aとして被検体Pのアキシャル断層画像が表示されているが、第1の実施形態と同様に、被検体Pが正面方向から描出されたスキャノ画像が位置決め画像600aとして表示されても良い。
本変形例のコンソール装置40の処理回路44の制御機能441は、ユーザによって第一の領域71aの位置または大きさが変更された場合、変更後の第一の領域71aを表す情報を、DAS18に送信する。
本変形例のX線CT装置1によれば、スキャンプロトコルに応じて適切な第一の領域71aが定められるため、ユーザによる第一の領域71aの指定の作業を支援することができる。
(変形例4)
また、上述の各実施形態では、図7で説明したように、再構成処理機能443は、加工済み検出データ503から再構成した初期CT画像データ800を、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92に入力している。しかしながら、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92への入力データはこれに限定されるものではない。
例えば、第一の検出データ51と、第二の検出データ52を、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92にそれぞれ入力する構成を採用しても良い。この場合、第一の学習済みモデル91は、第一の分解能の検出データと、ノイズ除去処理後のCT画像データとを対応付けて学習したモデルである。また、この場合、第二の学習済みモデル92は、第二の分解能の検出データと、ノイズ除去処理および補間処理後のCT画像データとを対応付けて学習したモデルである。
また、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、前処理が施された後の第一の検出データ51と、第二の検出データ52とがそれぞれ入力されるものとしても良いし、前処理についても第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92が施すものとしても良い。
(変形例5)
また、また、上述の各実施形態では、図7で説明したように、初期CT画像データ800を第一の画像領域81と第二の画像領域82とに分け、第一の画像領域81は第一の学習済みモデル91、第二の画像領域82は第二の学習済みモデル92にそれぞれ入力していた。本変形例では、初期CT画像データ800を第一の画像領域81と第二の画像領域82とに分けずに、第一の学習済みモデル91と第二の学習済みモデル92に入力しても良い。
例えば、再構成処理機能443は、第一の画像領域81と第二の画像領域82とを含む初期CT画像データ800全体を、第一の学習済みモデル91に入力する。第一の学習済みモデル91は、ノイズが低減された第一の処理済みCT画像データ811を出力する。
また、再構成処理機能443は、第一の画像領域81と第二の画像領域82とを含む初期CT画像データ800全体を、第二の学習済みモデル92に入力する。第二の学習済みモデル92は、ノイズの低減および補間処理が施された第二の処理済みCT画像データ821を出力する。
本変形例の第一の学習済みモデル91は、例えば、第一の解像度のCT画像データと、ノイズ除去処理後のCT画像データとを対応付けて学習したモデルである。また、本変形例の第二の学習済みモデル92は、第二の解像度のCT画像データと、ノイズ除去処理および補間処理後のCT画像データとを対応付けて学習したモデルである。
再構成処理機能443は、第一の処理済みCT画像データ811と、第二の処理済みCT画像データ821とを、画像領域情報62に基づく重み付けに応じて合成する。
例えば、再構成処理機能443は、画像領域情報62に基づいて、第一の画像領域81の範囲を特定し、該範囲は第一の処理済みCT画像データ811の重み係数が、第二の処理済みCT画像データ821の重み係数よりも高くなるように、第一の処理済みCT画像データ811と、第二の処理済みCT画像データ821との各画素に重み係数を設定する。
例えば、再構成処理機能443は、第一の処理済みCT画像データ811において、第一の画像領域81の中心に位置する画素の重み係数が最も高く、該中心から離れるに従って重み係数が低くなるように設定する。
また、再構成処理機能443は、第二の処理済みCT画像データ821において、第一の画像領域81から離れた画素ほど重み係数が高く、第一の画像領域81に近づくにつれて重み係数が低くなるように設定する。
再構成処理機能443は、例えば、画素ごとに第一の処理済みCT画像データ811の重み係数と第二の処理済みCT画像データ821の重み係数を比較し、重み係数が高い方の処理済みCT画像データの画素を、選択する。再構成処理機能443は、選択した画素を結合して1つのCT画像データを生成する。
このように、本変形例のX線CT装置1では、第一の処理済みCT画像データ811と、第二の処理済みCT画像データ821とを、画像領域情報62に基づく重み付けに応じて合成することで、第一の処理済みCT画像データ811と第二の処理済みCT画像データ821との境目を滑らかに接続して合成することができる。
なお、上述の重み付けの基準は一例であり、これに限定されるものではない。
(変形例6)
また、上述の各実施形態においては、第一の画像領域81と第二の画像領域82とで異なる処理が行われる例として、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92を用いたCT画像データの画質向上の処理について説明したが、これらに限定されるものではない。
例えば、再構成処理機能443は、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法を実行する場合においても、画像領域情報62に基づいて、第一の画像領域81と第二の画像領域82とで異なる処理を実行しても良い。
また、再構成処理機能443は、第1の分解能を有する第一の検出データ51のみを、拡大再構成の対象としても良い。拡大再構成とは、CT画像データのうち詳細に読影すべき領域(バリエリア)に対応するCT画像データのみを再構成する処理である。
例えば、第1の実施形態のように、エネルギー積分型のX線CT装置1においては、再構成処理機能443は、超高精細な空間分解能を有する第一の検出データ51のみを、拡大再構成の対象とし、第二の検出データ52は拡大再構成の対象としない。また、第2の実施形態のように、X線CT装置1がフォトンカウンティングCT装置である場合には、再構成処理機能443は、エネルギー弁別の分解能が高い第一の検出データ51のみを、拡大再構成の対象とし、エネルギー弁別の分解能が低い第二の検出データ52は拡大再構成の対象としない。また、第3の実施形態のように、X線CT装置1がフォトンカウンティングとエネルギー積分型のハイブリッドである場合には、再構成処理機能443は、エネルギー弁別された情報を含む第一の検出データ51のみを拡大再構成の対象とし、エネルギー積分型で収集された第二の検出データ52は拡大再構成の対象としない。
また、第2の実施形態または第3の実施形態のように、第一の検出データ51がエネルギー弁別された情報を含む場合には、再構成処理機能443は、第一の検出データ51に対してiodine map(ヨードマップ)、またはVNC(virtual non-contrast)画像を生成しても良い。なお、iodine mapの生成またはVNC画像の生成は、再構成処理機能443とは異なるアプリケーションによって実行されても良い。
また、再構成処理機能443または制御機能441は、画像領域情報62に基づいて、処理済みCT画像データ801または初期CT画像データ800から第一の画像領域81を抜き出し、別画像として保存しても良い。例えば、第一の画像領域81のみが含まれる画像データが、処理済みCT画像データ801または初期CT画像データ800とは異なるシリーズとして、PACSに記憶されても良い。この場合、第一の画像領域81のみが含まれる画像データが、処理済みCT画像データ801または初期CT画像データ800よりも優先的に表示対象となっても良い。
(変形例7)
また、上述の各実施形態においては、処理済みCT画像データ801および初期CT画像データ800は解像度の異なる第一の画像領域81と第二の画像領域82を有するものとしたが、CT画像データの形式はこれに限定されるものではない。
例えば、前処理機能442および再構成処理機能443は、DAS18から転送された加工済み検出データ503から、第2の解像度のCT画像データを生成する。当該CT画像データは、撮像範囲70全体を描出する。
また、前処理機能442および再構成処理機能443は、DAS18から転送された加工済み検出データ503に含まれる第一の検出データ51から、第一の解像度のCT画像データを生成する。当該CT画像データは、第一の領域71のみを描出する。
再構成処理機能443または制御機能441は、第一の解像度のCT画像データと、第二の解像度のCT画像データとを、それぞれ別個のシリーズとしてPACS等に保管する。本変形例では、1つのCT画像データ上に第一の解像度と第二の解像度が混在しないため、CT画像が表示された際の外見上の整合性をとることができる。
(変形例8)
また、CT画像データがボリューム画像データである場合、再構成処理機能443は、第一の画像領域81に相当する第一の解像度のCT画像データに対して、MPR(Multi Planar Reconstruction)を適用して3種類(アキシャル、コロナル、サジタル)の断面画像データを生成しても良い。この場合、制御機能441は、生成された3種類の断面画像データをディスプレイ42に表示させる。
(変形例9)
また、第一の解像度の第一の画像領域81と第二の解像度の第二の画像領域82とが混在した処理済みCT画像データ801または初期CT画像データ800は、PCAS上では第二の解像度のCT画像データとして管理されても良い。
また、制御機能441は、CT画像をディスプレイ42に表示させる際に、第一の解像度と第二の解像度とが混在したCT画像データを最初に表示させ、ユーザの操作に応じて、第一の画像領域81に相当する第一の解像度のCT画像データをディスプレイ42に表示させても良い。第一の解像度のCT画像データは、拡大再構成されたCT画像データでも良い。
また、制御機能441は、第一の解像度のCT画像データを、第一の解像度と第二の解像度とが混在したCT画像データの一部分をルーペで拡大したように、対応付けて表示させても良い。
(変形例10)
解像度に応じて、CT画像データの保存先が異なっても良い。例えば、制御機能441は、画像領域情報62に基づいて、処理済みCT画像データ801または初期CT画像データ800から第一の画像領域81を抜き出して、処理済みCT画像データ801または初期CT画像データ800とは異なる保存先に保存しても良い。異なる保存先は、例えば、高精細画像データ専用の保存サーバ装置である。また、当該処理は制御機能441ではなく、保存サーバ装置が実行しても良い。
(変形例11)
また、上述の各実施形態において第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92の機能として説明した処理が、他の手法によって実現されても良い。例えば、数式モデル、ルックアップテーブル、またはデータベース等の技術が、CT画像データの画質向上のために使用されても良い。
(変形例12)
上述の各実施形態において、X線CT装置1が実行する処理として説明した処理の一部が、X線CT装置1以外の、他の情報処理装置で実行されても良い。
例えば、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92を用いたCT画像データの画質向上の処理は、X線CT装置1以外の、他の情報処理装置で実行されても良い。他の情報処理装置は、例えば、X線CT装置1とネットワークを介して接続したワークステーションでも良いし、その他のPC(Personal Computer)、またはサーバ装置であっても良い。
なお、上述の各実施形態では、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92は、学習済みの状態であるものとして説明したが、X線CT装置1のコンソール装置40の処理回路44が、第一の学習済みモデル91および第二の学習済みモデル92を生成する学習機能を備えても良い。
(変形例13)
なお、上述の各実施形態では、第二の検出データ52は、第一の領域71に対応する検出データを含まないものとして説明したが、第二の検出データ52は、第一の領域71と第二の領域72に対応する、撮像範囲70全体を対象とした検出データであっても良い。
(変形例14)
なお、上述の各実施形態では、X線CT装置1は、超高精細モードと通常モードの2種段階のモードでスキャンを実行可能であるものとしたが、モードの種類はこれに限定されるものではない。例えば、X線CT装置1は、超高精細モードと、高精細モードと、通常モードの3段階のモードを有しても良い。
また、X線CT装置1は、複数のモードを有さなくとも良い。例えば、X線CT装置1は、常に超高精細な空間分解能でスキャンを実行するものとしても良い。あるいは、通常モード相当の空間分解能の性能しかないX線CT装置1に、上述の各実施形態の構成を適用しても良い。この場合、第一の分解能は通常モード相当の空間分解能となる。また、第二の分解能は、通常モード相当の空間分解能よりも低い空間分解能となる。
また、上述の各実施形態では、第1の分解能は超高精細モードに相当するものとしたが、高精細モードに相当するものとしても良い。
(変形例15)
また、上述の第1の実施形態では、DAS18が間引きまたはスタックした後の第二の検出データ52は、X線CT装置1が通常モードでスキャンを実行した場合と同程度の空間分解能であるものとしたが、加工後の第二の検出データ52とX線CT装置1が通常モードでスキャンした場合の空間分解は異なっても良い。
また、DAS18による検出データの間引きまたはスタックによるデータ量の削減の程度が、複数の段階に分かれていても良い。例えば、第一の領域71以外の領域が、ユーザによる指定等によって第二の領域72と第三の領域とに分けられても良い。この場合、DAS18の制御回路183は、第一の領域71以外の領域に対応する検出データを、第二の領域72に対応する第二の検出データと、第三の領域に対応する第三の検出データとに分けて加工する。この場合、例えば、第一の領域71に対応する第一の検出データ51は、第1の実施形態と同様に、第一の分解能を有する。また、本変形例のDAS18の制御回路183によって加工された第二の検出データは、第一の分解能よりも低い第二の分解能を有する。また、本変形例のDAS18の制御回路183によって加工された第三の検出データは、第二の分解能よりもさらに低い第三の分解能を有する。
(変形例16)
なお、上述の各実施形態では、CT画像データを被検体データの一例としたが、検出データを被検体データの一例としても良い。
また、上述の各実施形態では、前処理機能442および再構成処理機能443を生成部の一例としたが、DAS18の制御回路183を生成部の一例としても良い。また、DAS18全体を、生成部の一例としても良い。この場合、DAS18は、X線検出器12からDAS18へ出力される電気信号に基づいて、第一の領域71を第一の解像度で画像化し、第二の領域72が第一の解像度よりも低い第二の解像度で画像化されるための第一の検出データ51および第二の検出データ52を生成する。
(変形例17)
また、上述の各実施形態では、DAS18全体、または、DAS18に含まれる増幅器181およびA/D変換器182を、収集部の一例としたが、X線検出器12を収集部と称しても良い。この場合、DAS18全体を転送部の一例としても良い。
(変形例18)
なお、上述の各実施形態では、X線CT装置1を医用画像診断装置の一例として説明したが、上述の各実施形態の構成をX線CT装置1以外のモダリティに適用しても良い。
また、上述の各実施形態では、X線CT装置1の機能として説明した機能の一部が、他の情報処理装置やクラウド環境で実行されても良い。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、撮像ワークフローを改善することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。