JP2019023999A - 鉛蓄電池用液口栓および鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用液口栓および鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】液面上昇に対する耐溢液性能と振動に対する耐溢液性能との両方を向上させる。【解決手段】鉛蓄電池用液口栓は、鉛蓄電池用液口栓であって、筒状部と、筒状部における筒軸方向の一方側を封止する頭部と、を含む液口栓本体を備え、頭部には、筒状部の内外を連通させる連通孔が形成されており、筒状部には、筒軸方向の他方側の端から一方側に延びている第1のスリットおよび第2のスリットが形成されており、第1のスリットは、第2のスリットよりも筒軸方向の一方側まで延びている。【選択図】図2

Description

本明細書に開示される技術は、鉛蓄電池用液口栓に関する。
鉛蓄電池は、例えば、自動車等の電動車両に搭載され、電動車両の動力源や電動車両に搭載された電装品への電力供給源として利用される。このような鉛蓄電池の中には、電解液を補充するための液口栓が設けられているものがある。液口栓は、電槽内に位置する筒状体と、筒状体の上端を封止する頭部とを備え、頭部には、鉛蓄電池の充電時に電槽内の極板で発生したガス(酸素ガスや水素ガス)を鉛蓄電池の外部に排出する排気孔が形成されていることが一般的である。
ところで、鉛蓄電池の充電時に極板で発生したガスが電解液中から離脱するまでの間、その発生したガスの体積分だけ電槽内における電解液の液面が上昇する。この液面上昇により、電解液の液面が筒状体の底部に到達すると、該底部の開口が電解液で閉塞される。すると、電槽内の電解液の液面の上側の気体が存在する空間と液口栓の筒状体内部とが連通していない状態となり、電槽内で発生したガスの排気経路が遮断される。ガスの排気経路が遮断されると、電槽内に滞留するガスの圧力によって、液口栓周囲の電解液が押し下げられ、押し下げられた電解液が液口栓の筒状体内部に入り込み、頭部の排気孔を介して鉛蓄電池の外部に溢れ出るおそれがある。このようなガス発生に伴う液面上昇による溢液を抑制するため、従来より、筒状体に、筒状体の底部から上側に向けて同じ位置まで延びている一対のスリットが形成されているとともに、スリットと頭部との間には貫通孔が形成された液口栓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−313317号公報
上述の従来の液口栓では、筒状体に一対のスリットと貫通孔とが形成されているため、電解液の液面が筒状体の底部に到達しても、スリットと貫通孔とを介して、ガスの排気経路が確保される。これにより、スリットおよび貫通孔を超える高さまで電解液の液面が上昇しない限り、ガスの排気経路が遮断されないため、液面上昇に対する耐溢液性能を向上させることができる。したがって、スリットや貫通孔が筒状体の高い位置まで形成され、ガスの排気経路が高い位置まで存在している程、液面上昇に対する耐溢液性能を向上させることができる。しかし、スリットや貫通孔が筒状体の高い位置まで形成されている程、スリットの上端や貫通孔の上端と液口栓の頭部の排気孔との間の距離が近づくため、振動によって電槽内の電解液が揺動した際、電解液が液口栓の頭部の排気孔を介して鉛蓄電池の外部に溢れ出やすくなる。以上のことから、従来の液口栓では、液面上昇に対する耐溢液性能と振動に対する耐溢液性能との両方を向上させることは困難であった。
本明細書では、液面上昇に対する耐溢液性能と振動に対する耐溢液性能との両方を向上させることが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される鉛蓄電池用液口栓は、鉛蓄電池用液口栓であって、筒状部と、前記筒状部における筒軸方向の一方側を封止する頭部と、を含む液口栓本体を備え、前記頭部には、前記筒状部の内外を連通させる連通孔が形成されており、前記筒状部には、前記筒軸方向の他方側の端から前記一方側に延びている第1のスリットおよび第2のスリットが形成されており、前記第1のスリットは、前記第2のスリットよりも前記頭部に近い位置まで延びている。
本実施形態における鉛蓄電池100のYZ断面構成を示す説明図である。 液口栓160のYZ断面構成を示す説明図である。 液口栓160を構成する液口栓本体200のY軸正方向視の側面構成を示す説明図である。 液口栓本体200のY軸負方向視の側面構成を示す説明図である。 サンプル1〜3の性能評価の結果を示す説明図である。 サンプル4〜7の性能評価の結果を示す説明図である。 変形例における液口栓本体200のY軸正方向視の側面構成を示す説明図である。
(1)本明細書に開示される鉛蓄電池用液口栓は、鉛蓄電池用液口栓であって、筒状部と、前記筒状部における筒軸方向の一方側を封止する頭部と、を含む液口栓本体を備え、前記頭部には、前記筒状部の内外を連通させる連通孔が形成されており、前記筒状部には、前記筒軸方向の他方側の端から前記一方側に延びている第1のスリットおよび第2のスリットが形成されており、前記第1のスリットは、前記第2のスリットよりも前記頭部に近い位置まで延びている。
本実施形態における鉛蓄電池用液口栓によれば、第1のスリットは、第2のスリットよりも頭部に近い位置まで延びている。すなわち、本液口栓が鉛蓄電池に装着された場合、第1のスリットが第2のスリットよりも高い位置まで延びている。このため、第1のスリットが第2のスリットと同じ低い位置までしか延びていない構成に比べて、ガスの排気経路が高い位置まで存在することになり、液面上昇に対する耐溢液性能を向上させることができる。
一方、従来の液口栓においては、上述したようにスリットが高い位置に形成されるほど、スリットの上端と頭部の連通孔との間の距離が近づくため、振動に対する耐溢液性能が低下しやすいと知見されていた。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、スリットが低い位置に形成されていても、振動に対する耐溢液性能を向上させることができないことがあることを突き止めた。本発明者らは、第1のスリットが第2のスリットと同じ低い位置までしか延びていない場合、振動によりスリットを介して筒状部内に侵入した電解液がスリットを介して電槽内(筒状部外)に抜け出しにくく、継続的な振動により筒状部内に侵入した電解液が蓄積されて、連通孔から溢液することを初めて知見した。さらに、上述した電解液の抜け出しやすさには、第1のスリットの上方の貫通孔の有無は影響しない。すなわち、第1のスリットの上方に貫通孔が独立に形成されても、電解液の抜け出しやすさが改善されないことも初めて知見した。
そこで、本液口栓では、第1のスリットを第2のスリットよりも一方側の高い位置まで延ばすことで、仮に、第1のスリットが第2のスリットと同じ低い位置までしか延びておらず、第1のスリットの上方に貫通孔が独立に形成された構成に比べて、筒状部からスリットを介して電解液を抜け出しやすくして、振動に対する耐溢液性能を向上させ、かつ、ガスの排気経路を高い位置まで存在させて、液面上昇に対する耐溢液性能を向上させた。加えて、仮に、第2のスリットが第1のスリットと同じ高さの位置に位置している構成に比べて、筒状部内に電解液を侵入しにくくして、振動に対する耐溢液性能を向上させた。以上により、本液口栓によれば、液面上昇に対する耐溢液性能と振動に対する耐溢液性能との両方を向上させることができる。
(2)上記鉛蓄電池用液口栓において、さらに、前記筒状部内に収容される防沫体を備え、前記防沫体は、前記筒軸方向に対して傾斜した第1の防沫板を有し、前記第1の防沫板は、少なくとも前記第1のスリットの直上に配置されている部分を含む構成としてもよい。本鉛蓄電池用液口栓によれば、振動により揺動した電解液が第1のスリットから筒状部内に侵入し、直接頭部の連通孔まで飛び散って、頭部から溢れ出るのを抑制することができる。なお、第1のスリットが第2のスリットよりも一方側の高い位置まで延びているため、筒状部に侵入した電解液は、スリットを介して抜け出しやすい。したがって、振動に対する耐溢液性能をさらに向上させることができる。
(3)上記鉛蓄電池用液口栓において、前記筒状部には、前記筒軸方向の他方端部において前記第1のスリットの幅を狭くする突出部が形成されている構成としてもよい。本鉛蓄電池用液口栓によれば、筒状部から防沫体が外れるのを抑制することができる。
(4)上記鉛蓄電池用液口栓において、前記筒状部内に収容される防沫体を備え、前記防沫体は、前記筒軸方向に対して傾斜した第2の防沫板を有し、前記第2の防沫板は、少なくとも前記第2のスリットの直上に配置されている部分を含む構成としてもよい。本鉛蓄電池用液口栓によれば、振動により揺動した電解液が第2のスリットから筒状部内に侵入し、直接頭部の連通孔まで飛び散って、頭部から溢れ出ることを抑制することができる。なお、第1のスリットが第2のスリットよりも一方側の高い位置まで延びているため、筒状部に侵入した電解液は、スリットを介して抜け出しやすい。したがって、振動に対する耐溢液性能をさらに向上させることができる。
(5)上記鉛蓄電池用液口栓において、前記第1のスリットの少なくとも一部と前記第2のスリットの少なくとも一部とは、前記筒状部の軸心を挟んで対向している構成としてもよい。本鉛蓄電池用液口栓によれば、第1のスリットが第2のスリットよりも高い位置まで延びており、筒状部内に電解液が比較的侵入しやすい構成においても、振動により第1のスリットから筒状部に侵入した電解液がその勢いのまま第2のスリットから抜け出やすい。したがって、振動に対する耐溢液性能をさらに向上させることができる。
(6)上記鉛蓄電池において、装着孔が形成された筐体と、前記筐体の前記装着孔に装着された(1)から(5)までのいずれかの鉛蓄電池用液口栓と、前記筐体内に収容された正極板および負極板と、を備える構成としてもよい。本鉛蓄電池によれば、液面上昇に対する耐溢液性能と振動に対する耐溢液性能との両方を向上させることができる。
A.実施形態:
A−1.全体構成:
(鉛蓄電池100の構成)
図1は、本実施形態における鉛蓄電池100のYZ断面構成を示す説明図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を「上方向」といい、Z軸負方向を「下方向」というものとするが、鉛蓄電池100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図2以降についても同様である。また、以下、正極側の構成要素の符号の末尾に「P」を付し、負極側の構成要素の符号の末尾に「N」を付すこととし、両者の構造が略同一である場合、負極側の構成要素の説明を省略することがある。
図1に示すように、鉛蓄電池100は、筐体101と極板群104とを備える。筐体101は、電槽102と蓋106とを含む。電槽102は、上面が開放した略直方体の容器であり、例えば合成樹脂により形成されている。筐体101の内部の収容空間Sは、隔壁(図示せず)によって所定方向(X軸方向)に並ぶ複数のセル室に仕切られており、各セル室には、電解液Uと極板群104とが収容されている。電解液Uは、例えば希硫酸である。以下、複数のセル室の並び方向(X軸方向)を、「セル並び方向」という。
(極板群104の構成)
極板群104は、複数の平板状の正極板110Pと、複数の平板状の負極板110Nと、正極板110Pと負極板110Nとの間に配置される複数のセパレータ120とを備える。各極板110P,110Nは、格子体に活物質が充填された導電性部材である。複数の正極板110Pは、正極側の集電部材112Pによって連結されており、複数の負極板110Nは、負極側の集電部材112Nによって連結されている。セル室間では、互いに極性が異なる集電部材112P,112N同士が接続部材130を介して接続されることによって、複数の極板群104が電気的に直列に接続されている。
(蓋106の構成)
蓋106は、下面が開放した略矩形の部材であり、電槽102の上端開口部に対応したサイズであり、例えば合成樹脂により形成されている。蓋106が電槽102の上端開口部に嵌められて、蓋106と電槽102とが例えば熱溶着されることによって、各セル室が密閉状態になっている。
蓋106には、正極側の端子部150Pと、負極側の端子部(図示せず)とが設けられている。正極側の端子部150Pと負極側の端子部とは、上述したセル並び方向(X軸方向)の両端付近にそれぞれ配置されている。正極側の端子部150Pと負極側の端子部とは、構成が略同一であるため、以下、正極側の端子部150Pを例にとって構成を説明する。
正極側の端子部150Pは、ブッシング152Pと、極柱154Pとを含む。ブッシング152Pは、上下方向に貫通する孔が形成された略円筒状の導電性部材であり、例えば鉛合金等の金属により形成されている。ブッシング152Pの下側部分は、インサート成形により蓋106に埋設されており、ブッシング152Pの上側部分は蓋106の上面から上方に突出している。なお、ブッシング152Pの先端部分は、負荷等(図示せず)に接続される正極側の外部接続端子として機能する。極柱154Pは、略円柱形の導電性部材であり、例えば鉛合金等の金属により形成されている。極柱154Pは、ブッシング152Pの孔に挿入されている。極柱154Pの上端部は、ブッシング152Pの上端部と略同じ位置に配置されており、極柱154Pの下端部は、ブッシング152Pの下端部より下方に突出し、さらに、蓋106の下面より下方に突出している。極柱154Pの上端部は、ブッシング152Pに対して溶接により接合されており、極柱154Pの下端部は、上述の正極側の集電部材112Pに接合されている。
また、蓋106における各セル室の直上には、蓋106を上下方向に貫通する装着孔106Aが形成されている。装着孔106Aには液口栓160が装着されている。なお、本実施形態の鉛蓄電池100は、液口栓160の上面が蓋106の上面と略面一になっている、いわゆるフラットタイプの鉛蓄電池である。液口栓160は、特許請求の範囲における鉛蓄電池用液口栓に相当する。
(液口栓160の構成)
図2は、液口栓160のYZ断面構成を示す説明図であり、図3は、液口栓160を構成する液口栓本体200のY軸正方向視の側面構成を示す説明図であり、図4は、液口栓本体200のY軸負方向視の側面構成を示す説明図である。液口栓160は、液口栓本体200と防沫体300とを備える。
図2から図4に示すように、液口栓本体200は、筒状部210と、頭部220とを含む。筒状部210は、上下方向(Z軸方向)に延びる円筒状である。筒状部210は、下端が開放している。頭部220は、円形平板状であり、筒状部210の上側を封止するように配置されている。頭部220には、該頭部220を上下に貫通し、筐体101の内部の収容空間Sと筐体101の外部とを連通させる連通孔222が形成されている(図2参照)。頭部220の外径は、筒状部210の外径より大きく、頭部220の周縁部が全周にわたって筒状部210より外周側に張り出している。筒状部210と頭部220とは、例えば樹脂により一体的に形成されている。なお、上下方向は、特許請求の範囲における筒軸方向に相当し、筒状部210の上側は、特許請求の範囲における筒状部における筒軸方向の一方側に相当する。
筒状部210には、該筒状部210の下端から上端側に向かって延びている第1のスリット211と第2のスリット212とが形成されている。第1のスリット211は、第2のスリット212よりも、頭部220に近い位置(上側の位置)、すなわち高い位置まで延びている。換言すれば、第1のスリット211の上端211Uは、第2のスリット212の上端212Uよりも、高い位置、すなわち頭部220に近い位置に位置している。具体的には、第1のスリット211は、液口栓160の上下方向の中央位置より高い位置まで延びており、第2のスリット212は、液口栓160の該中央位置より低い位置まで延びている。また、第1のスリット211と第2のスリット212とは、いずれも、上下方向に沿って直線状に延びている。また、第1のスリット211における筒状部210の周方向の幅(以下、単に「第1のスリット211のスリット幅D1」という)は、該第1のスリット211の上下方向の全長にわたって略均一である。また、第2のスリット212における上記周方向の幅(以下、単に「第2のスリット212のスリット幅D2」という)は、該第2のスリット212の上下方向の全長にわたって略均一である。また、第1のスリット211のスリット幅D1と第2のスリット212のスリット幅D2とは略同一である。また、第1のスリット211と第2のスリット212とは、筒状部210の中心軸Lを挟んで対向している。なお、筒状部210の外周面のうち、第1のスリット211よりも上側の位置には、蓋106の装着孔106Aに螺合可能なネジ山216が形成されている。中心軸Lは、特許請求の範囲における筒状部の軸心に相当する。
図2に示すように、防沫体300は、筒状部210内に収容されている。防沫体300は、底部310と支柱部320と複数の防沫板330とを有する。防沫体300が複数の防沫板330を有することにより、筒状部210内におけるガスの排気経路が迷路状になっている。これにより、液口栓160では、電槽102内で発生したガスを比較的容易に通すが、電解液Uが頭部220の連通孔222から容易に漏れ出ることが抑制されている。
具体的には、底部310と支柱部320と複数の防沫板330とは、例えば樹脂により一体的に形成されている。底部310は、円形板状であり、筒状部210の下側の開放端を封止するように配置されている。なお、底部310の外周面に一対の凸部310Aが形成されており、一方の凸部310Aは第1のスリット211の下端側に圧入されており、他方の凸部310Aは第2のスリット212の下端側に圧入されている。これにより、防沫体300は、筒状部210内に収容された状態で筒状部210に対して係止されている。支柱部320は、上下方向に延びている棒状体であり、下端が底部310の上面中央部に結合されている。
複数の防沫板330は、一対の上側防沫板340と、一対の下側防沫板350とを有する。各上側防沫板340は、略半円平板状であり、支柱部320の外周面から斜め上方に向かって延びるように配置されている。また、各上側防沫板340における下端340D(支柱部320との連結部位)は、第1のスリット211の上端211Uより低い位置に配置され、各上側防沫板340における上端340Uは、第1のスリット211の上端211Uよりも高い位置に配置されている。一方の上側防沫板340(図2の左側)は、第1のスリット211と支柱部320との間に配置されており、該一方の上側防沫板340の上端340Uは、筒状部210の内周壁のうちの第1のスリット211の真上の部分に対向している。他方の上側防沫板340(図2の右側)は、第2のスリット212と支柱部320との間に配置されており、該他方の上側防沫板340の上端340Uは、筒状部210の内周壁のうちの第2のスリット212の真上の部分に対向している。なお、各上側防沫板340の上端340Uは、筒状部210の内周壁に接触している。上側防沫板340は、特許請求の範囲における第1の防沫板に相当する。
各下側防沫板350は、略半円平板状であり、支柱部320の外周面から斜め上方に向かって延びるように配置されている。各下側防沫板350は、各上側防沫板340よりも下側に配置されている。また、各下側防沫板350における下端350D(支柱部320との連結部位)は、第2のスリット212の上端212Uより低い位置に配置され、各下側防沫板350における上端350Uは、第1のスリット211の上端211Uよりも低く、かつ、第2のスリット212の上端212Uよりも高い位置に配置されている。一方の下側防沫板350(図2の左側)は、第1のスリット211と支柱部320との間に配置されており、該一方の下側防沫板350の上端350Uは、筒状部210の内周壁のうちの第1のスリット211が形成された部分に対向している。他方の下側防沫板350(図2の右側)は、第2のスリット212と支柱部320との間に配置されており、該他方の下側防沫板350の上端350Uは、筒状部210の内周壁のうちの第2のスリット212の真上の部分に対向している。なお、他方の下側防沫板350の上端350Uは、筒状部210の内周壁に接触している。下側防沫板350は、特許請求の範囲における第2の防沫板に相当する。
なお、図2に示すように、筒状部210内において、頭部220と防沫体300との間には、円盤状のフィルタ360が配置されている。このフィルタ360は、例えば、頭部220の連通孔222から排出された水素ガスに引火し、筐体101内の水素ガスに引火して爆発することを防止する防爆フィルタである。
A−2.本実施形態の効果:
本実施形態の液口栓160によれば、第1のスリット211は、第2のスリット212よりも筒状部210における高い位置まで延びている(図2〜図4参照)。このため、第1のスリット211が第2のスリット212と同じ低い位置までしか延びていない構成に比べて、ガスの排気経路が高い位置まで存在することになり、液面上昇に対する耐溢液性能を向上させることができる。また、液口栓160では、第1のスリット211を第2のスリット212よりも高い位置まで延びていることにより、仮に、第1のスリット211が第2のスリット212と同じ低い位置までしか延びておらず、第1のスリットの上方に貫通孔が独立に形成された構成に比べて、筒状部210から第1のスリット211を介して電解液Uを抜け出しやすくして、振動に対する耐溢液性能を向上させ、かつ、ガスの排気経路を高い位置まで存在させて、液面上昇に対する耐溢液性能を向上させた。加えて、仮に、第2のスリット212が第1のスリット211と同じ高さの位置に位置している構成に比べて、筒状部210内に電解液Uを侵入しにくくして、振動に対する耐溢液性能を向上させた。以上により、液口栓160によれば、液面上昇に対する耐溢液性能と振動に対する耐溢液性能との両方を向上させることができる。
また、液口栓160によれば、上側防沫板340は、少なくとも第1のスリット211の直上に配置されている部分を含む。これにより、振動により揺動した電解液Uが第1のスリット211から筒状部210内に侵入し、直接、頭部220の連通孔222まで飛び散って、頭部220から溢れ出るのを抑制することができる。また、下側防沫板350は、少なくとも第2のスリット212の直上に配置されている部分を含む。これにより、振動により揺動した電解液Uが第2のスリット212から筒状部210内に侵入し、直接、頭部220の連通孔222まで飛び散って、頭部220から溢れ出るのを抑制することができる。なお、第1のスリット211が第2のスリット212よりも高い位置まで延びているため、筒状部210に侵入した電解液Uは、第1のスリット211を介して抜け出しやすい。したがって、振動に対する耐溢液性能をさらに向上させることができる。
また、液口栓160によれば、第1のスリット211と第2のスリット212とが、筒状部210の中心軸Lを挟んで対向している。これにより、第1のスリット211が第2のスリット212よりも高い位置まで延びており、筒状部210内に電解液Uが比較的侵入しやすい構成においても、振動により第1のスリット211から筒状部210内に侵入した電解液Uがその勢いのまま第2のスリット212から抜け出やすい。したがって、振動に対する耐溢液性能をさらに向上させることができる。
また、上述したように、鉛蓄電池100は、筒状部210と連通孔222との距離が比較的に短いフラットタイプである。本実施形態によれば、このようなフラットタイプの鉛蓄電池用液口栓であっても、液面上昇による溢液の抑制と振動による溢液の抑制との両方を向上させることができる。
A−3.性能評価:
筒状部の構成が互いに異なる液口栓を備える鉛蓄電池のサンプル1〜7について、性能評価を行った。なお、後述するように、サンプル1は、上述した本実施形態の液口栓160を備える鉛蓄電池100と同一の構成であり、サンプル2〜7は、サンプル1に対して、筒状部の構成のみ異なり、その他の構成は共通である。ただし、以下では、サンプル2〜7の筒状部も、便宜上、「筒状部210」というものとする。
(評価方法)
本性能評価では、サンプル1〜7のそれぞれについて、静止試験と振動試験とを行った。静止試験は、液面上昇に対する耐溢液性能を評価するための試験である。具体的には、静止試験では、各サンプルの電池温度を60(℃)とし、定電圧14.4(V)で充電を開始し、その充電状態で4時間放置する。この充電過程において、極板群104で発生したガスGが電解液U中から離脱するまでの間、その発生したガスGの体積分だけ電槽102内における電解液Uの液面が上昇する。そして、電槽102内の電解液Uが頭部220の連通孔222を介して筐体101の外部に漏れ出ることを防止できる液面高さの限界値(以下、「限界高さ」という)を測定する。液面高さは、電槽102の底面からの高さであるものとする。本評価では、限界高さが、液面高さの基準値(例えば電槽102において充填可能な電解液Uの液面高さの上限値であるアッパーレベル)より所定値(4(mm))だけ高い高さ以上であることを条件に、合格(○)と判定する。例えば、限界高さがアッパーレベルより所定値だけ高ければ、仮に電解液Uがアッパーレベルまで供給されたとしても、電解液Uが液口栓160の連通孔222を介して鉛蓄電池100の外部に溢れ出る可能性が低く、液面上昇に対する耐溢液性能に優れているからである。一方、本評価では、該条件を満たさない場合、不合格(×)と判定する。
振動試験は、振動に対する耐溢液性能を評価するための試験である。具体的には、振動試験では、各サンプルを各定電圧14.4(V)で充電を開始し、周波数10(Hz)、10(min)間だけ振動させる。振動方向は、上下方向(Z方向)と、セル室の並び方向(X方向)と、上下方向とセルの並び方向との両方に直交する方向(Y方向 以下、「極板方向」という)との3方向とする。なお、電槽102の収容空間Sについて、セル室の並び方向の幅は、極板方向の幅より狭いものとする。そして、3方向それぞれについて振動加速度を0.5(G)ずつ上げていく。そして、電槽102内の電解液Uが頭部220の連通孔222を介して筐体101の外部に漏れ出ることを防止できる振動加速度の限界値(以下、「限界加速度」という)を測定する。本評価では、上下方向の限界加速度が5(G)以上であり、セル室の並び方向の限界加速度が3(G)以上であり、かつ、極板方向の限界加速度が5(G)以上であることを条件に、合格(○)と判定する。例えば、各方向において、限界加速度が、車両の走行時に想定される振動加速度以上であれば、車両の走行時において、電解液Uが液口栓160の連通孔222を介して鉛蓄電池100の外部に溢れ出る可能性が低く、振動に対する耐溢液性能に優れているからである。一方、本評価では、該条件を満たさない場合、不合格(×)と判定する。
(評価結果)
図5は、サンプル1〜3の性能評価の結果を示す説明図であり、図6は、サンプル4〜7の性能評価の結果を示す説明図である。図5および図6の上段には、各サンプルにおける液口栓本体200の模式図が示されており、液口栓本体200以外の構成は省略されている。該模式図中の実線矢印は、電解液Uの流れを意味し、点線矢印は、筐体101内に発生したガスGの流れを意味する。また、図5中の「SL」は、紙面左側に位置する左側スリットを意味し、「SR」は紙面右側に位置する右側スリットを意味する。図5中の「高」は、上述した第1のスリット211と同様、筒状部210における高い位置まで延びているスリットを意味し、「低」は、上述した第2のスリット212と同様、筒状部210における低い位置まで延びているスリットを意味する。また、筐体101の収容空間Sにおいて、電解液Uの液面U1よりも上側の空間のうち、筒状部210の外周側の空間を「外周側空間S1」といい、筒状部210の内周側の空間を「内周側空間S2」という。
サンプル1は、上述した本実施形態の液口栓160を備える鉛蓄電池100である。具体的には、サンプル1では、左側スリットSLの高さ(上下方向の寸法)は18(mm)であり、右側スリットSRの高さは9.6(mm)であり、左側スリットSLの幅(筒状部210の周方向の寸法)と右側スリットSRの幅とは、いずれも2.5(mm)である。なお、サンプル2〜5,7に形成されたスリット(左側スリットSL、右側スリットSR)の幅も、サンプル1と同様、2.5(mm)であるものとする。サンプル1では、振動試験および静止試験のいずれも合格(○)と判定され、総合評価が合格(○)と評価された。サンプル1では、左側スリットSLと右側スリットSRとの両方が形成されている。このため、右側スリットSRの上端付近までの高さ(以下、「低範囲LH」という)では、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から各スリットSL,SRを介して筒状部210内に侵入するが、再び、各スリットSL,SRを介して筒状部210の外に抜け出しやすい。次に、右側スリットSRの上端と左側スリットSLの上端との間の高さ(以下、「高範囲HH」という)では、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から左側スリットSLのみを介して筒状部210外に侵入し、侵入した電解液Uの一部が、右側スリットSRの真上の内壁面に突き当って左斜め上方に跳ね返る。しかし、左側スリットSLは、右側スリットSRの上端より高い位置まで延びているため、跳ね返った電解液Uは、左側スリットSLを介して、筒状部210の外に抜け出しやすい。したがって、継続的な振動により揺動した電解液Uが筒状部210内に蓄積されることが起こりにくい。このため、振動試験において、振動に対する耐溢液性能が高いと評価されたと考えられる。一方、左側スリットSLは、右側スリットSRの上端より高い位置まで延びているため、電解液Uの液面U1の高さが図5に示す位置であっても、左側スリットSLによって、外周側空間S1と頭部220の連通孔222との間のガスGの排気経路が十分に確保される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が高いと評価されたと考えられる。
サンプル2は、サンプル1に対して、左側スリットSLだけでなく、右側スリットSRも筒状部210における高い位置(18(mm))まで延びている点で相違する。サンプル2では、振動試験で不合格(×)と判定され、静止試験で合格(○)と判定され、総合評価が不合格(×)と評価された。サンプル2では、左側スリットSLおよび右側スリットSRの両方が筒状部210における高い位置まで延びている。このため、低範囲LHだけでなく高範囲HHでも、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から各スリットSL,SRを介して筒状部210内に侵入するが、再び、各スリットSL,SRを介して筒状部210の外に抜け出しやすい。しかし、サンプル2では、サンプル1とは異なり、高範囲HHにおいて、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の左右両側から筒状部210内に侵入するため、サンプル1に比べて、多量の電解液Uが頭部220の連通孔222に向かって侵入して蓄積されやすい。このため、振動試験において、振動に対する耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。一方、左側スリットSLおよび右側スリットSRの両方が筒状部210における高い位置まで延びているため、サンプル1と同様、ガスGの排気経路が十分に確保される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が高いと評価されたと考えられる。
サンプル3は、サンプル1に対して、右側スリットSRだけでなく、左側スリットSLも筒状部210における低い位置(9.6(mm))まで延びている点で相違する。サンプル3では、振動試験で不合格(×)と判定され、静止試験で不合格(×)と判定され、総合評価が不合格(×)と評価された。サンプル3では、左側スリットSLおよび右側スリットSRの両方が筒状部210における低い位置まで延びている。このため、サンプル1と同様、低範囲LHでは、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から各スリットSL,SRを介して筒状部210内に侵入するが、再び、各スリットSL,SRを介して筒状部210の外に抜け出しやすい。次に、高範囲HHでは、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から筒状部210内に侵入しにくいが、その反面、筒状部210内に侵入した電解液Uは筒状部210の外に抜け出しにくい。したがって、サンプル3では、サンプル1に比べて、電解液Uが頭部220の連通孔222に向かって侵入して蓄積されやすい。このため、振動試験において、振動に対する耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。一方、電解液Uの液面U1の高さが図5に示す位置である場合、外周側空間S1と内周側空間S2とが筒状部210によって完全に分断されるため、ガスGの排気経路が遮断される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。
サンプル4は、サンプル1に対して、右側スリットSRが無い点で相違する。サンプル4では、振動試験で不合格(×)と判定され、静止試験で合格(○)と判定され、総合評価が不合格(×)と評価された。サンプル4では、右側スリットSRが無いため、高範囲HHだけでなく、低範囲LHでも、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から左側スリットSLのみを介して筒状部210内に侵入し、侵入した電解液Uの一部が、筒状部210の右側の内壁面に突き当って左斜め上方に跳ね返り、跳ね返った電解液Uは、左側スリットSLを介して、筒状部210の外に抜け出る。しかし、サンプル4では、スリットの無い右側の内壁面によって低範囲LHと高範囲HHとの両方において多量の電解液Uが跳ね返されるため、サンプル1に比べて、多量の電解液Uが頭部220の連通孔222に向かって侵入して蓄積されやすい。このため、振動試験において、振動に対する耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。一方、サンプル4では、サンプル1と同様、左側スリットSLによって、ガスGの排気経路が十分に確保される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が高いと評価されたと考えられる。
サンプル5は、サンプル1に対して、左側スリットSLが無い点で相違する。サンプル5では、振動試験および静止試験の両方で不合格(×)と判定され、総合評価が不合格(×)と評価された。サンプル5では、左側スリットSLが無いため、低範囲LHでは、振動により揺動した電解液Uは、筒状部210の外から右側スリットSRのみを介して筒状部210内に侵入し、侵入した電解液Uの一部が、筒状部210の左側の内壁面に突き当って右斜め上方に跳ね返る。しかし、右側スリットSRは筒状部210における低い位置までしか延びていないため、跳ね返った電解液Uは、右側スリットSRの真上の内壁面の存在によって筒状部210の外に抜け出しにくい。したがって、サンプル5では、サンプル1に比べて、電解液Uが頭部220の連通孔222に向かって侵入して蓄積されやすい。このため、振動試験において、振動に対する耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。一方、電解液Uの液面U1の高さが図5に示す位置である場合、サンプル3と同様、外周側空間S1と内周側空間S2とが筒状部210によって完全に分断されるため、ガスGの排気経路が遮断される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。
サンプル6は、サンプル1に対して、左側スリットSLおよび右側スリットSRの両方が無い点で相違する。サンプル6では、振動試験および静止試験の両方で不合格(×)と判定され、総合評価が不合格(×)と評価された。サンプル6では、左側スリットSLおよび右側スリットSRの両方が無いため、サンプル1に比べて、筒状部210内に侵入した電解液Uが筒状部210の外に抜け出しにくく、頭部220の連通孔222に向かって蓄積されやすい。このため、振動試験において、振動に対する耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。一方、電解液Uの液面高さが図5に示す位置である場合、サンプル3,5と同様、外周側空間S1と内周側空間S2とが筒状部210によって完全に分断されるため、ガスGの排気経路が遮断される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。
サンプル7は、サンプル3に対して、左側スリットSLと頭部220との間にガス排気用の貫通孔Vが形成されている点で相違する。サンプル7では、振動試験で不合格(×)と判定され、静止試験で合格(○)と判定され、総合評価が不合格(×)と評価された。サンプル7では、電解液Uの液面U1の高さが図5に示す位置である場合でも、貫通孔Vによって、ガスGの排気経路が確保される。このため、静止試験において、液面上昇による耐溢液性能が高いと評価されたと考えられる。一方、貫通孔Vの開口面積は、サンプル1の左側スリットSLの開口面積に比べて小さい。また、貫通孔Vは、右側スリットSRとは独立に形成されている。このため、振動によって、筒状部210の外から各スリットSL,SRを介して筒状部210内に侵入した電解液Uは、貫通孔Vから抜け出しにくい。すなわち、継続的な振動によって、筒状部210内に侵入する電解液Uの量に対して、筒状部210内から貫通孔Vを介して筒状部210の外に抜け出る電解液Uの量が極めて少ない。このため、貫通孔Vが形成されているにもかかわらず、振動試験において、振動による耐溢液性能が低いと評価されたと考えられる。従来、一般的には、スリットが筒状部における高い位置まで延びている程、振動に対する耐溢液性能が低くなると考えられていた。しかし、サンプル1とサンプル3,7との評価結果によれば、一対のスリットの一方が筒状部における高い位置まで延びており、他方が低い位置まで延びている構成とすると、却って、振動に対する耐溢液性能が向上することが分かる。また、スリットより高い位置に貫通孔を形成しても、液面上昇による耐溢液性能の向上には貢献するが、振動に対する耐溢液性能の向上にはあまり貢献しないことがわかる。
なお、図5および図6の評価結果は、自動車用バッテリの一般的なサイズ(セル並び方向の幅が100(cm)〜200(cm))の鉛蓄電池では共通であった。したがって、このようなサイズの鉛蓄電池に対して本発明を適用することが特に有効である。また、第1のスリット211(高い方のスリット)の高さが16(mm)〜18(mm)、第2のスリット212(低い方のスリット)の高さが8.5(mm)〜10.5(mm)、スリット幅が2(mm)〜3(mm)の範囲内においても、図5および図6と同様の評価結果が得られた。したがって、このようなスリットの高さおよび幅の液口栓を備える鉛蓄電池に対して本発明を適用することが特に有効である。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、第1のスリット211と第2のスリット212とは、いずれも、筒軸方向(上下方向)に略平行に直線状に延びているとしたが、これに限らない。要するに特許請求の範囲における「前記筒軸方向の他方側の端から前記一方側に延びている」には、例えば、第1のスリット211と第2のスリット212との少なくとも一方が、筒軸方向に対して傾斜した部分を含んでいる形態も含まれる。
また、上記実施形態では、第1のスリット211と第2のスリット212とが、筒状部210の中心軸Lを挟んで対向しているとしたが、これに限らず、例えば、第1のスリット211の一部と第2のスリット212の一部だけが、筒状部210の中心軸Lを挟んで対向しているとしてもよい。なお、筒状部210内の電解液Uを筒状部210外に抜け出やすくするため、第1のスリット211と第2のスリット212との筒状部210の周方向における離間距離は、筒状部210の周長のサンプル4分のサンプル1以上であることが好ましい。また、上記実施形態において、筒状部210に3つ以上のスリットが形成されているとしてもよい。この場合、3つ以上のスリットのうち、少なくとも2つのスリットについて、上端の位置が互いに異なれば、本発明の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、第2のスリット212の上下方向の長さは、第1のスリット211の上下方向の長さの半分より長いとしたが、これに限らず、第2のスリット212の長さは、第1のスリット211の長さの半分以下であるとしてもよい。
また、上記実施形態では、第1のスリット211のスリット幅D1と第2のスリット212のスリット幅D2とは互いに同じであるとしたが、これに限らず、第1のスリット211のスリット幅D1が第2のスリット212のスリット幅D2より広くしてもよいし、逆に、第1のスリット211のスリット幅D1が第2のスリット212のスリット幅D2より狭くてもよい。なお、ここでいう「第1のスリット211のスリット幅D1」は、第1のスリット211の上下方向の複数箇所におけるスリット幅の平均値である。第2のスリット212のスリット幅D2についても同様である。
また、上記実施形態では、第1のスリット211は、スリット幅が該第1のスリット211の上下方向の全長にわたって同じであるとしたが、これに限らず、例えば、スリット幅が頭部に近づくに連れて小さくなっているとしてもよいし、スリット幅が頭部に近づくに連れて大きくなっているとしてもよい。
また、上記実施形態では、鉛蓄電池100は、フラットタイプの鉛蓄電池であるとしたが、これに限らず、例えば、液口栓160が筐体101の上面から上方に突出する摘まみ部を含む、いわゆる摘まみタイプの鉛蓄電池であるとしてもよい。
また、上記実施形態において、筒状部210は、円筒状に限らず、例えば、角筒状などでもよい。
また、上記実施形態においては、例えば、第1のスリット211が第2のスリット212と同じ低い位置までしか延びていない構成に比べて、搬送などにおける振動時に防沫体300が筒状部210から外れやすくなることがわかった。本発明者らは、第1のスリット211を一方側の高い位置まで延ばしたとしても、第2のスリット212が低い位置までしか延びていないため、筒状部210による防沫体300の保持力はさほど低下しないと考えていた。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、第2のスリット212の高さによらず、最も高い位置まで延びている第1のスリット211の上端211Uの位置が高くなったことで、第1のスリット211の下端部の防沫体300を圧入して保持する力点から、第1のスリット211の上端211Uの支点までの距離が長くなると、防沫体300が外れやすくなることを知見した。
そこで、図7に示すように、筒状部210の下端部において第1のスリット211の幅方向中央に向かって突出し、第1のスリット211の下端部におけるスリットの幅を狭くする突出部250を設けてもよい。これによると、第1のスリット211の下端部の防沫体300を圧入して保持する力が向上し、第1のスリット211が第2のスリット212と同じ低い位置までしか延びていない構成と同等に、筒状部210から防沫体300が外れるのを抑制することができた。なお、図7には、第1のスリット211の下端部において互いに対向する一対の突出部250が設けられた構成が例示されているが、これに限らず、例えば、一対の突出部250のどちらか一方だけが設けられた構成であってもよい。
100:鉛蓄電池 101:筐体 102:電槽 104:極板群 106:蓋 106A:装着孔 110N:負極板 110P:正極板 112P,112N:集電部材 120:セパレータ 130:接続部材 150P:端子部 152P:ブッシング 154P:極柱 160:液口栓 200:液口栓本体 210:筒状部 211:第1のスリット 211U:第1のスリットの上端 212:第2のスリット 212U:第2のスリットの上端 216:ネジ山 220:頭部 222:連通孔 250:突出部 300:防沫体 310:底部 310A:凸部 320:支柱部 330:防沫板 340:上側防沫板 340D:上側防沫板の下端 340U:上側防沫板の上端 350:下側防沫板 350D:下側防沫板の下端 350U:下側防沫板の上端 360:フィルタ D1:第1のスリットのスリット幅 D2:第2のスリットのスリット幅 G:ガス HH:高範囲 L:中心軸 LH:低範囲 S1:外周側空間 S2:内周側空間 S:収容空間 SL:左側スリット SR:右側スリット U1:液面 U:電解液 V:貫通孔

Claims (6)

  1. 鉛蓄電池用液口栓であって、
    筒状部と、前記筒状部における筒軸方向の一方側を封止する頭部と、を含む液口栓本体を備え、
    前記頭部には、前記筒状部の内外を連通させる連通孔が形成されており、
    前記筒状部には、前記筒軸方向の他方側の端から前記一方側に延びている第1のスリットおよび第2のスリットが形成されており、
    前記第1のスリットは、前記第2のスリットよりも前記頭部に近い位置まで延びている、鉛蓄電池用液口栓。
  2. 請求項1に記載の鉛蓄電池用液口栓であって、さらに、
    前記筒状部内に収容される防沫体を備え、
    前記防沫体は、前記筒軸方向に対して傾斜した第1の防沫板を有し、
    前記第1の防沫板は、少なくとも前記第1のスリットの直上に配置されている部分を含む、鉛蓄電池用液口栓。
  3. 請求項2に記載の鉛蓄電池用液口栓であって、
    前記筒状部には、前記筒軸方向の他方端部において前記第1のスリットの幅を狭くする突出部が形成されている、鉛蓄電池用液口栓。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の鉛蓄電池用液口栓であって、
    前記筒状部内に収容される防沫体を備え、
    前記防沫体は、前記筒軸方向に対して傾斜した第2の防沫板を有し、
    前記第2の防沫板は、少なくとも前記第2のスリットの直上に配置されている部分を含む、鉛蓄電池用液口栓。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の鉛蓄電池用液口栓であって、
    前記第1のスリットの少なくとも一部と前記第2のスリットの少なくとも一部とは、前記筒状部の軸心を挟んで対向している、鉛蓄電池用液口栓。
  6. 装着孔が形成された筐体と、
    前記筐体の前記装着孔に装着された請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の鉛蓄電池用液口栓と、
    前記筐体内に収容された正極板および負極板と、を備える鉛蓄電池。
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