以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る定量注出容器を示している。この定量注出容器は、非使用時には内部に液体(例えば育毛剤等の液剤)が充填された状態で保管され、使用時には内部の液体から計量された一定量の液体だけを注出(塗布)し得るようにしたものである。そして、この定量注出容器は、正立状態でキャップを外すだけで計量が行われ、そのまま倒立状態にすれば注出が可能になるものである。なお、内部に充填される液体に制限はなく、特に育毛剤等の高揮発性の液剤であっても、不都合を何ら生じさせることなく、液漏れのおそれのない確実な保管状態を維持しつつ、正確な計量と、容易かつ確実な注出とを図り得るものである。以下の説明では、図1に示す状態を正立状態といい、天地逆転させた状態を倒立状態という。軸Xは、定量注出容器の中心軸であり、上下方向に延びている。軸X方向の進退移動である「昇降」の内、「昇」とは軸Xに沿って図1の上方に移動することを、「降」とは同様に下方に移動することをいう。
定量注出容器は、次の構成要素を備えて構成されている。すなわち、定量注出容器は、液体を充填するための容器本体2と、この容器本体2の口部21の内側から軸Xに沿って内筒状に垂下されるパイプ部22と、容器本体2の口部21に対し軸X方向へ相対移動可能(軸X方向へ進退可能)に結合されるノズル部材3と、ノズル部材3に対し上から被せられて前記口部21に対し軸X方向へ相対移動不能に結合されるノズルカバー4と、ノズル部材3のノズル孔30を開閉するためのものであって上向きの付勢力によりノズル孔30を閉状態に維持するスプリングバルブ5と、ノズル部材3の内側部位に対し上端が結合される棒状の計量部材6と、ノズル部材3と係脱可能に係合された状態で容器本体2の上部に螺合されるキャップ7と、容器本体2の底部開口23を着脱可能に閉止するための底蓋8と、を備えて構成されている。ここで、ノズル部材3によって「可動部材」が構成されている。
定量注出容器は、以下の詳細な説明により明らかなように、キャップ7の開キャップ操作によりノズル部材3及びこれに連結された計量部材6が上方に従動し、これにより、計量部材6による計量と、計量された液体を容器本体2内の空間と遮断された状態のパイプ部22内への導出とが可能となっている。同様の機能は、ノズル部材3を直接的に引き上げることでも奏することが可能であり、キャップ7は必須の構成要素ではない。しかしながら、定量注出容器の使用のためにキャップ7を開キャップ操作するというユーザーにとって自然な操作により、計量部材6による計量が完了し即座に注出が可能となる点で、キャップ7の存在意義がある。なお、以上の各構成要素はいずれも合成樹脂成形により形成することができる。以下、各構成要素について詳細に説明する。
容器本体2は、軸Xに沿って延びる例えば円筒状に形成され、上端側の口部21が僅かに小径とされ、口部21の内側位置にパイプ部22が一体に形成され、下端側が開放されて下端開口23とされている。パイプ部22の下端は、容器本体2内の底部に結合された底蓋8との関係で所定の位置まで垂下されている。このパイプ部22の下端部には、隣接する上側部位よりも小径の内周面形状を有する小径筒部221が、下端開口から上側の所定範囲に亘り形成されている。小径筒部221の下端開口は後述の説明にて明らかなように、計量部材6の計量部62が下降状態又は上昇状態あるいは両状態間の途中段階のいずれの位置にあっても、計量部62を構成する一対の板状部621,622のいずれかによって閉止されている。このため、容器本体2内は、パイプ部22の外周側のドーナッツ環状の空間である貯留空間24と、下端開口において貯留空間24とは遮断された状態にあるパイプ部22内の空間である導出空間25とに仕切られることになる。貯留空間24は液体を貯留するための空間であり、導出空間25は計量された液体をノズル孔30まで導出するための空間である。
又、口部21を構成する小径筒壁の基部付近には、外周側に突出するフランジ状の係止凸縁211が形成されており、この係止凸縁211の下面に対し、ノズルカバー4の下端縁から内周側に突出した係止突起41が係合されている。又、係止突起41は口部21の段差部に上から当接した状態で係止凸縁211に係合され、これにより、ノズルカバー4は容器本体2に対し軸X方向に対し相対移動不能に結合されることになる。又、口部21の下側部位の周囲にはネジ26が形成され、このネジ26にキャップ7の下端部内周面のネジ71が螺合されて、キャップ7を着脱可能に閉キャップ状態にすることができる。キャップ7を閉キャップ状態にすることで、容器本体2と共に全体として円筒形の容器外観となる。なお、パイプ部22の部分を容器本体2とは別体に形成し、別体のパイプ部と容器本体との両者を互いに組み付けて一体化することができる。
ノズル部材3は、頂点にノズル孔30が形成された略半球形のノズル部31を備えている。そして、ノズル部31の基部には、外周側に拡がる段差面32が形成され、この段差面32の内側位置から下方に延びる中足部33と、段差面32の外側位置から下方に延びる外足部34とで構成された二重筒状の装着部が形成されている。中足部33は、その外周面が口部21の内周面に対し上から圧入気味に内挿され、これにより内外間のシールがなされるとともに、ノズル部材3の移動が確実に軸X方向への移動となるように支持している。又、外足部34は係止凸縁211の上面に上から突き当たって当接することで、ノズル部材3の容器本体2に対する特定の相対位置、つまりノズル部材3を所定の下降位置に位置決めし得るようになっている。ノズル部材3が下降位置に有る状態で、キャップ7は閉状態になるように、両者の位置関係が設定されている。ノズル部31の内面には少なくとも3つのリブ35,35,…(図2も併せて参照)が軸Xに対し放射方向に配置された状態で結合されている。各リブ35には、軸X方向に所定幅を有する係合溝351が形成され、これらリブ35,35,…の係合溝351,351,…内に計量部材6の頭部61の外周縁が挟み込まれている。これにより、計量部材6が軸Xに沿って延びた状態で、計量部材6とノズル部材3とが互いに一体に結合されている。
又、リブ35,35,…の軸Xを挟んで相対向する内側端面に対し、スプリングバルブ5の基端側の環状の台座51がアンダーカット嵌合により軸X方向への相対移動不能に内嵌されている。そして、スプリングバルブ5の先端側の凸状の軸部52(図3(a)参照)が弾性腕部53からの弾性付勢力を受けて、ノズル孔30に対し下から上に内嵌されて先端の一部をノズル孔30から突出した状態にされている。この状態では、軸部52の下側位置から周囲に拡がる弁部54(図4も併せて参照)が、ノズル孔30下側の内周面により構成される座面に対し上向きに押し付けられて密接し、これにより、ノズル孔30を閉止状態に維持するようになっている。図3(a)及び図4中の符号521は凹溝であり、軸部52の周囲に少なくとも1つ(図例では3つ)形成され、ノズル孔30から突出した軸部52が押されると弁部54がノズル部31内の座面から離れ(図3(b)参照)、ノズル孔30は開放状態となり、これにより、凹溝521を通してノズル部材3内及びパイプ部22内の空間と外部とが互いに連通するようになっている。
ノズルカバー4は、ドーナツ環状の下向き面4Aと、その外周囲から下方に延びる筒部42とを備えている。下向き面4Aは、ノズル部材3が後述の如く下降位置から上方に吊り上げられた際にノズル部材3の段差面32に当たってノズル部材3の上昇を所定の上昇位置で停止させるというストッパの役割を果たすためのものである。そのために、ノズルカバー4は、筒部42の下端縁の係止突起41により容器本体2に結合されて、軸X方向(上下方向)に相対移動不能に固定されている。
計量部材6は、上端側において外周側に張り出した頭部61と、下端側において外周側にのみ開口した計量部62と、頭部61及び計量部62を互いに連結するための棒状の軸部63とを備えて構成されている。計量部62は、図5にも示すように、軸X方向(上下方向)に互いに所定間隔を隔てた状態で軸部63から外周側に張り出した一対の板状部621,622により構成され、この一対の板状部621,622の間の空間によって計量空間が形成されており、上下の板状部621,622間は外周方向に開放されて側方開口624とされている。両板状部621,622は、両者間において軸Xを中心にして放射状に延びるリブ623,623,…により互いに連結されて、両者間の間隔が常に同一になるように補強されている。そして、この上下の板状部621,622の両外周面は、軸Xに直交する平面における投影形状が互いに同一とされている。しかも、板状部621,622の両外周面は、パイプ部22の下端部に形成された小径筒部221の内周面形状と同一で、かつ、小径筒部221内を軸X方向に摺動可能となるように形成されている。つまり、板状部621,622の各外周面は、小径筒部221の内周面に密接しつつ、軸X方向に摺動可能に形成されている。
キャップ7は、その下端部の内周面にネジ部71と、ノズル部材3に対し係脱可能に係止する係合部72と、支持足部73とを備えている。すなわち、ノズル部材3の頭頂部(図3(a)参照)には、ノズル孔30を構成する孔縁部の外周部に小径の首部36が形成される一方、キャップ7の天頂部内面には下方に突出する環状の係合部72が形成されている。この係合部72の先端に内向きの係合爪721が形成され、この係合爪721が首部36を挟み込んで係合することで、キャップ7とノズル部材3とが互いに着脱可能に連結されるようになっている。この係合爪721が首部36に係合することで、キャップ7の昇降に伴いノズル部材3及び計量部材6が引き上げられたり、あるいは、押し下げられたりというように昇降し、そして、係合爪721による係合が解除されることで、キャップ7とノズル部材3とが分離されることになる。又、係合部72の内周側位置には環状の支持足部73が形成されており、係合爪721が首部36に嵌まり込んだ状態で、前記首部36が形成された孔縁部の上面に当接するようになっている。
そして、キャップ7はネジ71,26の螺合により容器本体2の上部を閉止状態に覆うことが可能であり、キャップ7の開閉はキャップ7を回転操作することで行われる。そして、キャップ7を回転操作するとネジ71,26の螺合に基づきキャップ7が昇降することになる。ネジ71,26によりキャップ7を最下段位置まで締め込んだ状態(閉キャップ状態)で、ノズル部材3及び計量部材6は所定の下降状態(図6(a)に示す状態)に位置付けられる一方、緩める方向に回転操作してネジ71,26の互いの係合が外れることになる最上段位置まで開キャップ操作した状態(開放端状態)で、ノズル部材3及び計量部材6は所定の上昇状態(図6(c)に示す状態)に位置付けられるようになっている。
キャップ7が閉キャップ状態となって、ノズル部材3及び計量部材6が下降状態(図6(a)参照)にあるときは、計量部62を構成する下側の板状部622が底蓋8の凹部821に着底するとともに、上側の板状部621の外周面がパイプ部22の小径筒部221の下端部内周面に密接して小径筒部221の下端開口を閉止した状態となっている。計量部62がこのような下降状態にあると、計量部62の側方開口624は貯留空間24と連通されており、上下の板状部621,622間には貯留空間24内と同様に液体が充満されることになる。
キャップ7が開放端状態まで開キャップ操作されて、ノズル部材3及び計量部材6が上方に引き上げられた上昇状態(図6(c)参照)にあるときには、上側の板状部621が小径筒部221よりも上側に位置するとともに、下側の板状部622の外周面が小径筒部221の内周面に密接して小径筒部221の下端開口を閉止した状態となっている。計量部62がこのような上昇状態にあると、上側の板状部621はその外周面が小径筒部621との密接状態を脱しているため、側方開口624が導出空間25に臨んで連通することになる。
そして、キャップ7が閉キャップ状態から開放端状態までの間の操作途中段階、つまり、計量部62が下降状態と、上昇状態との中間状態にあるときには(図6(b)参照)、上側の板状部621がその外周面を小径筒部221の内周面に密接させた状態を維持しつつ昇降する一方、上側の板状部621が小径筒部221よりも上側の大径部に移動して密接状態を脱する際には、その密接状態を脱する前に、下側の板状部622が小径筒部221の下端開口から内周面に内嵌し、その外周面が小径筒部221の内周面に密接することになる。以上より、パイプ部22の下端開口は、計量部62の上下の板状部621,622のいずれか一方もしくは双方が小径筒部221に密接することで、常に閉止状態に維持され、常に貯留空間24と導出空間25とは互いに遮断されている。ここで、小径筒部221がパイプ部22の「小径部」を構成し、上側の板状部621が「閉塞部」を構成する。
又、底蓋8は、容器本体2の下端開口23から底部内周面に圧入される中足部81と、蓋壁部82とを備えて構成されている。蓋壁部82にはその中央位置に凹部821が形成されている。この凹部821は、計量部62の下側の板状部622が上から入り込み得るよう板状部622とほぼ同じ平面形状で、かつ、上下の板状部621,622の内高さよりも低い深さを有している。そして、凹部821と、パイプ部22の計量筒部221との位置関係が、計量部62の上下の板状部621,622と関係において定められている。
すなわち、図6(a)に詳細を示すように、計量部材6が下降状態にあるときに、下側の板状部622が凹部821内に収容(好ましくは凹部821の底部に着底)され、かつ、上側の板状部621の外周面が計量筒部221の内周面に内嵌されてパイプ部22内が貯留空間24と遮断された状態で、側方開口624が凹部821の上端と小径筒部221の下端との間の隙間241を通して容器本体2の貯留空間24と連通することになるように設定される。
以上の定量注出容器は、次のようにして組み付けられ、液体が充填される。ノズル部材3のノズル孔30に対しスプリングバルブ5の栓部52を内側から挿入して閉止した状態で台座51を嵌め込み、次いで、計量部材6の頭部61をリブ35,35,…の係合溝351,351,…に嵌め込んで、ノズル部材3,スプリングバルブ5及び計量部材6を組み付ける。この組み付けた状態の計量部材6を計量部62から容器本体2内に挿入し、計量部62を小径筒部221に対し押し込んで下側板状部622だけが突き出た状態にするとともに、ノズル部材3の中足部33を口部21の内周面に圧入させる。そして、ノズルカバー4を容器本体2に結合させ、キャップ7を螺合させて閉キャップ状態にする。最後に、天地を逆転させた状態で、容器本体2の底の下端開口23から貯留空間24に対し薬液等の液体を所定量充填し、この後、底蓋8を嵌め込んで容器本体2の底を閉止すれば、定量注出容器は使用可能となる。
続いて、この定量注出容器の使用方法について、図7を参照しつつ説明すると、まず、閉キャップ状態のキャップ7を捻り回転させて開キャップ操作を行う(図7の左端部分の図参照)。すると、キャップ7の上昇に伴い、係合部72により係合されているノズル部材3及び計量部材6が引き上げられて上昇することになる。この際、下降状態にあった計量部62の下側板状部622が上昇して小径筒部221の内周面に密接するようになると(図7の左右中央部分の図参照、併せて図6(b)も参照)、上下の板状部621,622間の側方開口624が計量筒部221の内周面により閉鎖され、これにより、上下の板状部621,622間の容積分(例えば5ml)に相当する液体が計量されることになる。そして、キャップ7を開放端状態まで開キャップ操作すると上昇状態に至り(図7の右端部分の図参照、併せて図6(c)も参照)、上側板状部621が計量筒部221よりも上方に移動して側方開口624が導出空間25と連通することになる。
次に、開放端状態のキャップ7を例えばこじたり引き抜いたりして係合部72を首部36から外し(図8の左側部分の図参照)、キャップ7を容器本体2から取り外して分離する。そして、天地を逆転させて倒立状態にし、その状態で栓部52を患部(例えば頭皮)Hに押し付ける。これにより、スプリングバルブ5の弾性腕部53,53,…が撓んで栓部52が後退し(図3(b)を併せて参照)、ノズル孔30が凹溝521を通して開状態になるため、計量部62から導出空間25を通してノズル部3先端に至った液体が凹溝521を通して頭皮Hに注出され、液体Qを頭皮に塗布することができるようになる。一方、導出空間25内は外部の空気と置換されて空になる。つまり、頭皮H等に栓部52を押し付けることにより、計量部62により計量された液体をノズル孔30から注出させることができるようになる。
使用後は、定量注出容器を正立状態に戻してキャップ7を被せ、少し押し込むことにより、係合部72の係合爪721がノズル部材3の首部36に嵌まり込むと同時に、支持足部73がノズル部材3に対し上から当接する。そして、キャップ7を閉方向に閉止状態までねじ込んで行くと、それに伴うキャップ7の降下により、ノズル部材3及び計量部材6が押し下げられて計量部62は元の下降状態に戻ることになる。
以上の定量注出容器によれば、液体を貯留した容器本体2内から所定量だけ注出したい場合であっても、キャップ7を開キャップ操作するだけで、所定量の液体の正確な計量と、その計量された液体の確実な取り出し(注出)とを行うことができるようになる。つまり、キャップ7の開キャップ操作は、通常、キャップ付き容器であれば必ず必要になる操作であり、かかるキャップ7の開キャップ操作を行うだけで、計量と注出とを正確にかつ確実に行うことができるようになり、他の特別な操作を不要にすることができる。
加えて、非使用時、つまりキャップ7が容器本体2に被せられた閉止状態においては、計量部材6が下降状態にされて計量部62が小径筒部221を閉止しているため、導出空間25を貯留空間24と互いに遮断させることができる。又、計量部材6が上昇状態に至る過程や、キャップ7が取り外されて上昇状態にされた状態においても、計量部62が小径筒部221の閉止状態を維持することができ、これにより、確実に導出空間25を貯留空間24と互いに遮断させることができる。以上により、下降又は上昇状態の如何を問わず、又、定量注出容器が正立状態ではなくて横倒し等の状態に置かれたとしても、容器本体2内に収容・貯留された液体を密封状態に維持することができ、液漏れ等の発生を回避することができる。しかも、キャップ7が外された開キャップ状態であれば、開キャップ操作により既に計量可能状態に変換されており、一定量の液体を注出・塗布し得る状態になっていることが外見を見るだけでユーザーは把握することができる。
<第2実施形態>
図9及び図10は本発明の第2実施形態に係る定量注出容器を示している。この定量注出容器は、第1実施形態のものと同様に、非使用時には内部に液体(例えば育毛剤等の液剤)が充填された状態で保管され、使用時には内部の液体から計量された一定量の液体だけを注出(塗布)し得るようにしたものである。そして、この定量注出容器は、第1実施形態と同様に、正立状態でキャップを外すだけで計量が行われ、そのまま倒立状態にすれば注出が可能になるものである。ただ、第2実施形態の定量注出容器は、内部の計量に係る部材が螺旋状に回転案内されて昇降する点で、回転することなく引き上げ・押し下げにより昇降する第1実施形態と異なる。
なお、内部に充填される液体に制限はなく、特に育毛剤等の高揮発性の液剤であっても、不都合を何ら生じさせることなく、液漏れのおそれのない確実な保管状態を維持しつつ、正確な計量と、容易かつ確実な注出とを図り得るものである点も、第1実施形態と同様である。以下の説明では、図9に示す状態を正立状態といい、天地逆転させた状態を倒立状態という。軸Xは、定量注出容器の中心軸であり、上下方向に延びている。軸X方向の進退移動である「昇降」の内、「昇」とは軸Xに沿って図9の上方に移動することを、「降」とは同様に下方に移動することをいう。
この第2実施形態の定量注出容器は、次の構成要素を備えて構成されている。すなわち、定量注出容器は、液体を充填するための容器本体12と、この容器本体12の口部121の内側から軸Xに沿って内筒状に垂下されるパイプ部13と、容器本体12の口部121に対し軸X方向への相対移動が不能に結合されるノズル部材14と、ノズル部材14のノズル孔140を開閉するためのものであって上向きの付勢力によりノズル孔140を閉状態に維持するスプリングバルブ15と、下端に計量部161を有し軸X方向に延びる棒状の計量部材16と、この計量部材16の頭部163と連結されて計量部材16を昇降作動させるための昇降作動部材17と、ノズル部材14を上から覆い得るように容器本体12の上部に対し着脱可能に螺合されるキャップ18と、容器本体12の底部開口122を着脱可能に閉止するとともに容器本体12の底を形成するための底蓋19と、を備えて構成されている。ここで、昇降作動部材17が「可動部材」を構成する。
定量注出容器は、以下の詳細な説明により明らかなように、キャップ18の開キャップ操作に基づきノズル部材14が回転作動され、ノズル部材14の回転作動に伴い昇降作動部材17が上昇案内され、昇降作動部材17の上昇に伴い計量部材16も上昇作動し、これにより、計量部材16による計量と、容器本体12内の空間と遮断された状態のパイプ部13内への計量液体の導出とが可能となっている。同様の機能は、ノズル部材14を直接的に回転操作することでも奏することが可能であり、キャップ18は必須の構成要素ではない。しかしながら、定量注出容器の使用のためにキャップ18を開キャップ操作するというユーザーにとって自然な操作により、計量部材16による計量が完了し即座に注出が可能となる点で、キャップ18の存在意義がある。なお、以上の各構成要素はいずれも合成樹脂成形により形成することができる。以下、各構成要素について詳細に説明する。
容器本体12は、軸Xに沿って延びる例えば円筒状に形成され、上端側の口部121が僅かに小径とされ、口部121の内側に差し込まれたパイプ部13が下方に垂下するように固定されている。パイプ部13の上端には外周側に拡がるフランジ131が形成され、このフランジ131が口部121の基部の内周フランジ123に対し例えばアンダーカット嵌合により密接状態に固定されている。これにより、上下方向への相対移動が阻止され、かつ、シールが施されるようになっている。このパイプ部13の下端は、容器本体12内の底部に結合された底蓋8との関係で所定の位置まで垂下されている。
そして、パイプ部13の下端部には、軸X方向に所定の長さを有しかつ所定の内径に設定された内筒状の小径筒部132が形成される一方、計量部材16の軸部162の下端部には、外周側に膨出して他の部位よりも大径の膨出部164が形成されている。そして、小径筒部132は、膨出部164の外周面との密接又はその密接が外れることで、小径筒部132の開口が閉止状態又は開放状態に切換可能となっている。このようなパイプ部13と膨出部164との存在によって、容器本体12内は、パイプ部13の外周側のドーナッツ環状の空間である貯留空間124と、下端開口において貯留空間124とは遮断された状態にあるパイプ部13内の空間である導出空間125とに仕切られることになる。ここで、貯留空間124は液体を貯留するための空間であり、導出空間125は計量された液体を導出するための空間である。ここで、小径筒部132がパイプ部13の「小径部」を構成し、膨出部164が「閉塞部」を構成する。なお、膨出部164の下側は、上側部位の軸部162と同径の軸部としてもよいが、後述の上昇状態において計量部161内と導出空間との連通のための開口断面積をより大きくする上で小径軸部とすることが好ましい。
又、口部121を構成する小径筒壁の基部付近には、外周側に突出するフランジ状の係止凸縁126が形成されており、この係止凸縁126の下面に対しノズル部材14の下端縁から内周側に突出した係止突起141が係合され、軸X回りに摺動することによりノズル部材14は回転可能とされている。又、ノズル部材14の下端は口部121の基部の段差部に上から近接した状態に配置されており、これにより、ノズル部材14は容器本体2に対し軸X方向に対し相対移動不能に結合されることになる。
又、口部121の外周面には1又は複数本(図例では2本)の螺旋状の案内溝127,127(図11も併せて参照)が形成されている。この案内溝127,127に対し昇降作動部材17の凸部171が摺動可能に内嵌されており、昇降作動部材17が軸X回りに回転されると、凸部171が螺旋状の案内溝127に沿って移動案内されることにより、昇降作動部材17が昇降作動されるようになっている。案内溝127の頂端は上向きに屈曲して口部121の端面に開口されており、この開口から凸部171を上から嵌め込むことで、昇降作動部材17の容器本体12への組み付けが可能となっている。
加えて、口部121の下側の容器本体12の外周面にも、1又は複数本(図例では2本)の螺旋状の案内溝128,128が形成されている。この案内溝128,128に対しキャップ18の凸部181が摺動可能に内嵌されており、閉止状態のキャップ18を軸X回りに回転させると、凸部181が案内溝128に沿って移動案内されて、キャップ18が上昇することになる。各案内溝128の頂端も上向きに屈曲して内周フランジ123の外周縁において開口されており、この開口から凸部181が上に抜け出すことで、キャップ18を容器本体12から外して分離させることができるようになっている。逆操作を行うことで、キャップ18を再び閉止状態に戻すことができる。
ノズル部材14は、頂点にノズル孔140が形成された略半球形のノズル部142と、ノズル孔140の下側位置からノズル部142内を垂下する所定径の中筒部143と、ノズル部142の基部から外周側に拡がる段差部144と、段差部144の外周端から下方に垂下するカバー部145とを備えて構成されている。このカバー部145の下端縁に対し前記係止突起141が内向きに形成されており、この係止突起141が前述の如く係止凸縁126に摺動可能に係合することで、ノズル部材14が軸X方向(上下方向)に対し定位置において軸X回りに回転可能に保持されることになる。
カバー部145の内周面には1又は2以上(図例では2つ)の縦リブ146,146が周方向に180度離れた各位置に形成されるとともに、外周面には1又2以上(図例では2つ)の縦凹溝147,147が同様に周方向に180度離れた各位置に形成されている。縦リブ146は、昇降作動部材17の縦凹溝175に対し上から嵌め込まれ、これにより、ノズル部材14からの回転力を昇降作動部材17に伝達可能となっている。又、縦凹溝147には、キャップ18の縦リブ182が上から嵌め込まれ、これにより、キャップ18からの回転力をノズル部材14に伝達可能となっている。要するに、キャップ18を回転操作することで、ノズル部材14を介して昇降作動部材17を回転作動させることができ、この回転作動により、昇降作動部材17自身と、昇降作動部材17に連結された計量部材16との全体を一体に昇降させることができるようになっている。
ノズル孔140を開閉させるためのスプリングバルブ15は、第1実施形態のスプリングバルブ5(図4参照)と同様に、基端側の環状の台座151と、先端側の凸状の軸部152(図12(a),(b)も併せて参照)と、両者を連結する弾性腕部153と、軸部152の下側位置から周囲に拡がる弁部154を備えて構成されたものである。第2実施形態では、台座151がノズル部材14の中筒部143の内周面に対しアンダーカット嵌合により軸X方向への相対移動不能に内嵌されている。そして、軸部152(図12(a)参照)が弾性腕部153からの弾性付勢力を受けて、ノズル孔140に対し下から上に内嵌されて先端の一部をノズル孔140から突出した状態にされている。併せて、この弾性付勢力によって、弁部154が、ノズル孔140下側の内周面により構成される座面に対し上向きに押し付けられて密接し、これにより、ノズル孔140を閉止状態に維持するようになっている。
この状態では、閉止状態のキャップ18の頂壁内面から下向きに、前記軸部152の突出量よりも大きく突出された環状の保護筒183が軸部152を内部に囲み、その保護筒183の下端がノズル部142の頂部に当接するようになっている。これにより、軸部152に対し意図しない外力が作用するのを阻止し、軸部152によるノズル孔140の閉止状態の維持を確実に図り得るようになっている。又、図12(a),(b)の図中の符号155は凹溝であり、軸部152の周囲に少なくとも1つ(図例では3つ)形成され、ノズル孔140から突出した軸部152が押されると弁部154が前記座面から離れ(図12(b)参照)、ノズル孔140は開放状態となり、これにより、各凹溝155を通して中筒部143内,昇降作動部材17の後述の内筒部173内及びパイプ部13内の各空間と、外部とが互いに連通するようになっている。
昇降作動部材17は、外筒部172と、内筒部173と、上端で両者を連結するドーナッツ環状の上端面174とを備えて一体に形成されている。内筒部173の下端部は、外筒部172よりも下方に延び、パイプ部13の上端部の大径部133内に上から内嵌されている。この大径部133の内周面には内筒部173の下端縁が軸X回りに摺動回転可能に密接され、これにより、シールされるようになっている。そして、内筒部173の内周面にはストッパ176が内向きに突出するように形成されるとともに、所定間隔下方位置に係合部177が形成されている。この係合部177に対し計量部材16の後述の頭部163を下から押圧気味に乗り越えさせてストッパ176まで押し入れることで頭部163がストッパ176及び係合部177の間に挟み込まれて固定され、これにより、計量部材16は軸X方向への相対移動が阻止された状態で昇降作動部材17と連結されるようになっている。
そして、計量部材16は、下端側の計量部161と、この計量部161に下端が連結されてパイプ部13内を軸Xに沿って上方に延びる軸部162とを備えて棒状に構成されている。軸部162の上端には外周側に張り出した頭部163が形成され、この頭部163には1以上(図例では2つ)の連通孔165が貫通形成されている。前述の如く頭部163によって計量部材16が昇降作動部材17と互いに連結される一方、連通孔165によって導出空間125と、昇降作動部材17の内筒部173内及びノズル部材14の中筒部143内とが互いに連通されて一つの空間を構成している。
計量部161は、図13に詳細を示すように、上方に開口し所定容積の計量空間を内部に有するカップ状の容器であり、軸部162の下端、詳しくは膨出部164の下側に延びる小径軸部に連結されている。この連結は、計量部161の内底面から立ち上がるように形成された係合筒部166と、前記小径軸部に形成された係合部167とにより行われる。例えば、係合筒部166の内面を軸X方向に凹凸状に形成する一方、係合部167の外面をその係合筒部166の内面に対応した凹凸状に形成し、この係合部167を係合筒部166内に圧入することで、係合部167と係合筒部166とは互いに係合されて連結される。
又、計量部161の上端開口縁168の内周面が、パイプ部13の下端部外周面に対し密接状態で外嵌可能であり、かつ、その密接状態を維持しつつ軸X回りや軸X方向に摺動可能に形成されている。そして、計量部161は、キャップ18が閉キャップ状態(図9に示す状態)にあるとき、パイプ部13の下端から下方に離れて底蓋19の凹部形成部191の凹部193内に着底した下降状態に位置付けられるようになっている。この下降状態では、その上端開口縁168により構成される開口が貯留空間124に臨んで開放される一方、小径筒部132の内周面に膨出部164の外周面が密接し、これにより、パイプ部13の下端開口が閉止されて導出空間125が貯留空間124と遮断されるようになっている。
底蓋19は、中央位置に凹部193を有し周縁部194が容器本体12の底部開口から底部内周面に押し込まれる凹部形成部191と、この凹部形成部191の凹部193を外から覆って蓋をするための底壁部192とを備えて構成されている。凹部193は、その上端開口の近傍位置にパイプ部13の下端が位置し、このパイプ部13の下端と所定の間隔を隔てた位置になるように配置される。すなわち、計量部161が凹部193の底に着底した下降状態において、パイプ部193内の計量部161の上端開口と、パイプ部13の下端との間に、貯留空間124と連通する隙間が少なくとも形成されるように、位置設定される。なお、凹部形成部191と、底壁部192とを、互いに一体に形成するようにしてもよい。
以上の定量注出容器は、次のようにして組み付けられ、液体が充填される。すなわち、容器本体12の口部121からパイプ部13を差し入れて固定する一方、昇降作動部材17の内筒部172内に計量部材16の軸部162の頭部163を下から押し込むことで昇降作動部材17と軸部162とを互いに連結する。連結した状態の昇降作動部材17及び軸部162を前記パイプ部13内に上から差し入れて、昇降作動部材17の外筒部172の凸部171,171を案内溝127,127に嵌め込んだ後に終端まで捩り回転させることで、内筒部173をパイプ部13の大径部133内に捩り旋回方向に摺動させて配置させる。次いで、その昇降作動部材17の上からノズル部材14を被せて、係止突起141を容器本体12の係止凸縁126に係合させる。その際に、ノズル部材14の縦リブ146を昇降作動部材17の縦凹溝175内に上から差し込んだ状態にする。
さらに、このノズル部材14の上からキャップ18を被せる。その際に、キャップ18の凸部181を容器本体12の案内溝128に嵌め込むとともに、縦リブ182をカバー部145の縦凹溝147内に上から差し込み、その後に、キャップ18を案内溝128の終端まで捩り回転させることで閉キャップ状態にする。そして、天地を逆転させた状態で、容器本体12の下端開口122側から計量部材16の軸部162の下端に対し計量部161を係合により固定する。この天地を逆転させた状態で、容器本体12の下端開口122から貯留空間124に対し薬液等の液体を所定量充填し、この後、底蓋19を嵌め込んで容器本体12の底を閉止すれば、定量注出容器は使用可能となる。
次に、キャップ18の開閉操作に伴う昇降作動部材17及び計量部材16の下降状態と上昇状態との間の昇降作動と、この昇降作動に伴う、計量部161、膨出部164及び小径筒部132の位置変換との関係について、使用方法と共に詳細に説明する。
キャップ18が図9に示す如く閉キャップ状態にあると、昇降作動部材17及び計量部材16が下降状態にあり、膨出部164(図13(a)参照)が小径筒部132の内周面に密接して導出空間125と貯留空間124とが互いに遮断されているとともに、計量部161の上端開口が貯留空間124と連通して計量部161の内部には液体が充満している。
この閉キャップ状態から、まず、キャップ18を軸X回りに捩り回転させて開キャップ操作を行う(図14の左端部分の図参照)。すると、キャップ18は、凸部181が案内溝128に沿って摺動することにより、回転しながら上昇することになる。この回転力が縦凹溝147に内嵌した縦リブ182によりノズル部材14に伝達され、これにより、ノズル部材14はキャップ18と共回りすることになる。同時に、ノズル部材14の回転に伴い、その回転力が縦凹溝175に内嵌した縦リブ146により昇降作動部材17に伝達され、これにより、凸部171が案内溝127に沿って摺動することで昇降作動部材17も回転しながら上昇することになる。この昇降作動部材17の上昇に伴い、計量部161を含む計量部材16も同時に上昇することになる(図14の中央部分の図参照)。下降状態にあった計量部161が上昇し始めると、その上端開口縁168がパイプ部13の下端部に近付いていき、その外周面に密接することになる(図13(b)参照)。この段階では、計量部161内が貯留空間124と遮断され、貯留空間124内の液体から計量部161の内容積に対応する量の液体が分離されることに、つまり計量されることになる。
昇降作動部材17及び計量部材16がさらに上昇して、キャップ18の凸部181が案内溝128の頂端位置まで案内されて、昇降作動部材17及び計量部材16が上昇状態まで上昇すると(図14の右端部分の図参照)、計量部161の上端開口縁168の内周面がパイプ部13の下端部外周面に密接した状態を維持しつつ上方にさらに摺動する一方、それまで小径筒部132の内周面に密接していた膨出部164が小径筒部132よりも上方に脱することになる(図13(c)参照)。これにより、計量部161内は小径筒部132を通して導出空間125と互いに連通することになる。なお、この上昇状態においては、昇降作動部材17の上端面174がノズル部材14の段差部144の下面と近接する位置まで上昇するようになっており、不用意な上昇作動力が作用したとしても、ノズル部材14の段差部144がストッパの役割を果たし、位置昇降作動部材17の上端面174がノズル部材14の段差部144の下面に突き当たることで、上昇状態からより上方への移動が規制されている。
そして、案内溝128の頂端位置まで上昇した凸部181を上方に引き抜くことで(図15の左側部分の図参照)、キャップ18を容器本体12から分離し、キャップ18を取り外した容器本体12を天地逆転して倒立状態にする。これにより、計量部161内に計量された液体が導出空間125に導出され、ついで、頭部163の連通孔165を通してノズル部材14の中筒部143内まで落下することになる。この倒立状態で、栓部152を患部(例えば頭皮)Hに押し付ける。これにより、スプリングバルブ15の弾性腕部153,…が撓んで栓部152が後退し(図12(b)も併せて参照)、ノズル孔140が凹溝155を通して開状態になるため、中筒部143に至った液体が凹溝155を通して頭皮Hに注出され、液体Qを頭皮に塗布することができるようになる。
使用後は、定量注出容器を正立状態に戻してキャップ18を被せ、その縦リブ182がノズル部材14の縦凹溝147に嵌めて、凸部181を容器本体12の案内溝128の頂端入口に合わせてキャップ18を押し回しすることにより、キャップ18は前記の開キャップ操作とは逆回転方向に捩り回転して元の閉止状態に至る。これにより、昇降作動部材17及び計量部材16も共回りして下降状態に戻ることになる。
以上の定量注出容器によれば、液体を貯留した容器本体12内から所定量だけ注出したい場合、閉止状態のキャップ18を開方向に回転操作するだけで、所定量の液体の正確な計量と、その計量された液体の確実な取り出し(注出)とを行うことができるようになる。つまり、キャップ18の開キャップ操作は、通常、キャップ付き容器であれば必ず必要になる操作であり、かかるキャップ18の開キャップ操作を行うだけで、計量と注出とを正確でかつ確実に行うことができるようになり、他の特別な操作を不要にすることができる。
又、キャップ18の昇降作動機構として凸部181と螺旋状の案内溝128の組み合わせ、あるいは、昇降作動部材17の昇降作動機構として、凸部171と螺旋状の案内溝127の組み合わせを採用することで、通常の螺合結合(例えば螺ネジによる螺合)を採用する場合と比べ、同じ回転操作による昇降量を大幅に大きくすることができ、簡易な操作で確実な作動を得ることができる。
加えて、非使用時、つまりキャップ18が容器本体12に被せられた閉キャップ状態においては、計量部材16が下降状態にされて膨出部164が小径筒部132と密接することで、導出空間125を貯留空間124と互いに遮断させることができる。又、計量部材16が上昇状態に至る過程や、キャップ18が取り外された上昇状態においても、計量部161の上端開口縁168の内周面がパイプ部13の外周面に密接することで、導出空間125は貯留空間124と互いに遮断させることができる。以上により、下降又は上昇状態の如何を問わず、又、定量注出容器が正立状態ではなくて横倒し等の状態に置かれたとしても、容器本体12内に収容・貯留された液体を密封状態に維持することができ、液漏れ等の発生を回避することができる。しかも、キャップ18が外された開キャップ状態であれば、開キャップ操作により既に計量可能状態に変換されており、一定量の液体を注出・塗布し得る状態になっていることが外見を見るだけでユーザーは把握することができる。
<第3実施形態>
図16及び図17は本発明の第3実施形態に係る定量注出容器を示している。この定量注出容器は、その構成において、第2実施形態と軌を一にするものである。すなわち、この第3実施形態は、カップ状の計量部161を備えた計量部材16aがパイプ部13aに対し昇降することで、計量部161による所定量の液体の計量、計量液体の貯留空間124に貯留された液体からの分離、及び、取り出しのために計量液体の導出空間125への連通切換が可能となる点、並びに、そのための昇降をキャップ18の捩り回転による開キャップ操作/閉キャップ操作(開閉操作)により実現させる点等の基本的な技術的事項において、第2実施形態と同じである。以下、第2実施形態と対比しつつ第2実施形態と異なる点を中心に説明し、第2実施形態と同様構成要素については第2実施形態と同じ符号を付して重複する詳細説明を省略する。
まず、第3実施形態の計量部材16aの軸部162aは、第2実施形態の如き膨出部164を備えず、その下端部の係合部167の近傍位置まで同じ外径で延設されている。この軸部162aの下端には、小径の小径軸部169(接続軸)が連設されているとともに、続いて係合部167が連設されている。一方、パイプ部13aの下端部には、第2実施形態の小径筒部132の代わりに、軸部162aの下端部外周面に対し軸部162aの軸X回りや軸X方向への摺動を許容しつつシールし得る程度に密接する小径開口部132aが形成されている。そして、小径開口部132aは、その内周縁が軸部162aの下端部の外周面と密接又はその密接が外れることで、小径開口部132aの開口が閉止状態又は開放状態に切換可能となっている。小径開口部132aがパイプ部13aの「小径部」を構成し、前記の軸部162aが「閉塞部」を構成する。
次に、第2実施形態のノズル部材14が容器本体12に対し軸X方向に対し定位置で回転可能に連結されており昇降することはないのに対し、第3実施形態のノズル部材14aは、キャップ18の回転により共回り回転し、この回転によって自身も昇降作動部材17aと共に昇降作動するようになっている。すなわち、昇降作動部材17aは、第2実施形態と同様に、凸部171,171が案内溝127,127に内嵌されて、軸X回りの回転力を受けて昇降作動されるようになっている。そして、ノズル部材14aの段差部144の下面を昇降作動部材17aの上端面174に当接させた状態で係止突起141が前記の凸部171,171の下面に対し係合されて、ノズル部材14aが昇降作動部材17aと一体に作動するように結合されている。このため、凸部171,171が案内溝127,127に沿って捩り回転案内されることで、ノズル部材14aも昇降作動部材17aに伴って昇降することになる。この昇降作動部材17aが「可動部材」を構成する。
なお、第3実施形態の昇降作動部材17aは、外筒部172と、内筒部173と、上端で両者を連結するドーナッツ環状の上端面174と、上端面174の外周側から上方に立ち上がる上外筒部178と、内周側から上方に立ち上がる上内筒部179とを備えて一体に形成されている。そして、上外筒部178がノズル部材14aのノズル部142の内周面に圧入状態で内嵌される一方、上内筒部179に対しスプリングバルブ15の台座151が上から圧入状態で外嵌されている。又、内筒部173の下端部は、内部に計量部材16aの頭部163を内嵌させて軸X方向に対し相対移動不能に結合させた状態で、パイプ部13aの上端部を構成する大径部133内に上から軸X方向に摺動可能に圧入されている。
以上により、キャップ18が閉キャップ状態にされて昇降作動部材17a及び計量部材16aが下降状態にあるときから、開キャップ操作によりキャップ18が軸X回りに回転されると(図17の左端部分の図参照)、凸部181,181が案内溝128,128に沿って案内されることにより上昇していき、その際に、縦凹溝147,147に内嵌した縦リブ182,182によりノズル部材14aに伝達されることになる。この回転力伝達により、ノズル部材14aがキャップ18と共回りし、同時に、そのノズル部材14aの回転が縦凹溝175,175に内嵌した縦リブ146,146により昇降作動部材17aに伝達されることになる。この回転力伝達により、凸部171,171が案内溝127,127に沿って案内されて上昇していくことになるため、昇降作動部材17aは、ノズル部材14a及び計量部材16aと共に上昇作動されることになる(図17の中央部分の図参照)。そして、キャップ18の凸部181が案内溝128の頂端位置まで案内されて、昇降作動部材17a及び計量部材16aが上昇状態まで上昇すると(図17の右端部分の図参照)、凸部181を上方に引き抜くことで、キャップ18は容器本体12aから分離可能となる。
このような上昇作動の各過程において、計量部161は次のような状態変化を示すことになる。すなわち、下降状態では、計量部161は貯留空間124に臨んで開放され計量部161の内部には液体が充満している(図17の左端部分の図参照)。この下降状態から計量部材16aが上昇していくと、上端開口縁168がパイプ部13aの下端部に近付いていき、その外周面に密接することになる(図17の中央部分の図参照)。これにより、計量部161内は貯留空間124と遮断され、貯留空間124内の液体から計量部161の内容積に対応する量の液体が分離されて計量されることになる。
そして、計量部161がさらに上昇して上昇状態まで至ると(図17の右端部分の図参照)、計量部161の上端開口縁168の内周面がパイプ部13aの下端部外周面に密接した状態を維持しつつ上方にさらに摺動する一方、それまで小径開口部132aの内周面に密接していた軸部162aが小径開口部132aよりも上方に脱して、小径開口部132aには小径軸部169が位置することになる。これにより、計量部161内は、小径開口部132aと小径軸部169との間の隙間を通して導出空間125と互いに連通することになる。このため、第2実施形態の図15を用いて説明したと同様に、キャップ18を取り外して容器本体12aを倒立状態にした上で、塗布対象(例えば頭部)に対し栓部152を押し当てれば、計量部161により計量された所定量の液体の注出が可能となる。
なお、第2実施形態では凹部形成部191と底壁部192とで2つの部材で構成していた底蓋19を、第3実施形態では両者を一体もので構成した底蓋19aを用いている。
<他の実施形態>
本発明は前記の第2,第3の実施形態に限らず、種々の形態を含むものである。すなわち、前記各実施形態において、キャップ18を省略して定量注出容器を構成することができる。すなわち、キャップ18が無くても、ノズル部材14,14aを直接に回転操作すれば、計量部材16,16aの昇降作動は可能であり、キャップ18の存在による作用効果以外の作用効果として前記実施形態と同様のものを得ることができる。なお、キャップ18無しで構成する場合、ノズル孔140から突出する栓部152を遮蔽して保護するためだけの保護カバーを着脱可能に外嵌させるようにすることができる。
又、第2実施形態又は第3実施形態において、その計量部161に代えて第1実施形態の計量部62を採用することができる。この場合には、第2実施形態又は第3実施形態のパイプ部13,13aの下端部には、小径筒部132又は小径開口部132aに代えて第1実施形態の小径筒部221を形成すればよい。あるいは、逆に、第1実施形態において、その計量部62に代えて第2実施形態又は第3実施形態の計量部161を採用することができる。この場合には、第1実施形態のパイプ部22の下端部には、小径筒部221に代えて、第2実施形態の小径筒部132又は第3実施形態の小径開口部132aを形成すればよい。