以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
図1に示す本発明の一実施の形態である定量注出容器1は、液状の薬剤を内容物として収容し、当該内容物を使用者の皮膚等の被塗布面に一定量ずつ小分けに注出させる用途に用いられるものである。
この定量注出容器1は容器本体10、注出キャップ20、中栓部材30、可動栓体40、可動筒体50、付勢部材60及びオーバーキャップ70を有している。
容器本体10は胴部11と口部12とを備えたボトル形状に形成されており、その内部は内容物を収容する収容部13となっている。胴部11は有底筒状の形態を有し、容器本体10は、正立姿勢においては、胴部11の底部分を下側とし、口部12を上側とした姿勢となる。口部12は胴部11よりも小径の円筒状に形成されて収容部13に連なっており、胴部11の上端部(図1中上側となる端部)に肩部14を介して一体に連結されている。
容器本体10としては、例えばガラス瓶や合成樹脂製ボトルを用いることができるが、内容物を収容する収容部と当該収容部に連なる口部とを有するものであれば、ボトル形状以外の種々の形状ないし材質のものを用いることができる。
注出キャップ20は、合成樹脂製となっており、本体筒部21と、この本体筒部21に対して図1中で下方側に一体且つ同軸に設けられる装着筒部22と、本体筒部21に対して図1中で上方側に一体且つ同軸に設けられる注出筒部23とを有している。注出キャップ20の外形は、装着筒部22が本体筒部21よりも大径の円筒状に形成され、注出筒部23が本体筒部21よりも小径の円筒状に形成された段付き筒状となっている。
装着筒部22の内周面には当該内周面から径方向内側に向けて突出する爪部22aが一体に設けられている。一方、口部12の先端部は、その外径が他の部分よりも小さい小径形状に形成され、その外周面には径方向外側に向けて突出する環状の係止凸部12aが一体に設けられている。注出キャップ20は、装着筒部22が口部12の小径形状の先端部の外側に嵌め合わされるとともに爪部22aが係止凸部12aにアンダーカット係合することにより、口部12に抜け止め保持された状態で装着されている。
なお、注出キャップ20は、爪部22aと係止凸部12aとのアンダーカット係合に替えて、例えば、ねじ結合等の他の手段によって口部12に装着する構成とすることもできる。
本体筒部21は口部12と同軸に配置されて当該口部12に対して図中上方に突出しており、その内側に容器本体10の収容部13に連なる空間を形成している。注出筒部23は内容物を外部に注出する部分であり、容器本体10の収容部13に収容された内容物は口部12と本体筒部21の内側を通って注出筒部23から外部に注出されることになる。
中栓部材30は口部12の開口に装着され、注出キャップ20との間に計量室Rを区画形成している。
例えば合成樹脂製とされる中栓部材30は固定部31と中栓本体部32とを備えている。固定部31は円環状に形成されており、その外周面において装着筒部22の内周面に嵌合するとともに注出キャップ20の本体筒部21の下端と口部12の先端との間に挟持されている。このように、中栓部材30は固定部31において口部12に固定されている。また、固定部31の上面には環状溝31aが設けられており、注出キャップ20の本体筒部21の下端部分がこの環状溝31aに液密に嵌合することにより、注出キャップ20と中栓部材30との組合せ部分からの内容物の漏れ出しが防止されるようになっている。
中栓本体部32は、固定部31から下方側に向けて一体に延びる段付きの有底筒状に形成され、口部12の開口を覆っている。つまり、この中栓本体部32により、注出キャップ20の内部が容器本体10の収容部13に対して仕切られて計量室Rが区画形成されている。
段付きに形成された中栓本体部32の下側部分はシール筒部32aとなっている。このシール筒部32aは、注出筒部23や口部12と同軸の有底円筒状に形成されている。シール筒部32aの下端側には、それぞれ当該シール筒部32aの側壁から底壁に亘って開口する一対の流出孔33が設けられている。容器本体10の収容部13に収容された内容物は、これらの流出孔33を通して計量室Rの内部に流入することができる。
なお、図示する場合では、中栓本体部32に一対の流出孔33を設けるようにしているが、内容物が流通できる少なくとも1つの流出孔33が設けられていれば、その個数ないし形状は種々変更可能である。
可動栓体40は、略円筒状に形成される栓体本体部41と、この栓体本体部41の下端から下方に向けて突出する円筒状のスカート部42及びスカート部42の内側において栓体本体部41の下端から下方に向けて突出する円筒状のガイド部43とが、互いに同軸且つ一体に形成された外形略円筒状に形成されている。可動栓体40は例えば合成樹脂製とすることができるが、金属等の他の材質で形成することもできる。なお、図1においては、便宜上、可動栓体40を半断面で示している。
可動栓体40は、注出筒部23の内側と計量室Rの内部とに跨って配置されている。すなわち、可動栓体40は、計量室Rの内部(注出キャップ20の内側)に注出筒部23と同軸に配置されるとともに、その栓体本体部41の先端側(図1中における上端側)の部分は注出筒部23の内側に配置されて注出筒部23から外部に突出している。なお、可動栓体40の注出筒部23の内側に配置される先端側部分は、注出筒部23の内径よりも小径に形成されており、可動栓体40の外周面と注出筒部23の内周面との間には所定の間隔が空けられている。また、可動栓体40は、中栓部材30に設けられた流出孔33を開放して収容部13に収容された内容物を計量室Rに充填可能とする計量位置(図3(a)に示す位置)と、流出孔33を閉塞するとともに計量室Rの内部の内容物を外部に注出可能とする注出位置(図1、図3(b)及び図3(c)に示す位置)との間で、注出筒部23の軸方向に沿って移動自在となっている。
なお、本実施の形態においては、栓体本体部41の先端を、可動栓体40の軸方向の移動位置に拘わらず、常に注出筒部23の先端から外部に突出させるように構成しているが、これに限らず、可動栓体40が注出位置となったときに栓体本体部41の先端を注出筒部23の先端と同一位置に位置させる構成とすることもできる。なお、可動栓体40の先端を常に注出筒部23の先端から突出させた構成とした場合には、可動栓体40をより安定的に注出位置にまで移動させることができる。
中栓部材30にはシール筒部32aの底壁内面から上方に向けて注出筒部23や口部12と同軸に突出する支持突起34が一体に設けられており、ガイド部43が支持突起34の外側に該支持突起34に対して軸方向に移動自在に係合している。このように、可動栓体40を、支持突起34に支持されつつ当該支持突起34に案内されて注出筒部23の軸方向に沿って移動する構成とすることにより、可動栓体40をより確実に計量位置と注出位置との間で移動させることができる。なお、本実施の形態では、支持突起34を円柱状に形成し、円筒状に形成したガイド部43を支持突起34の外側に係合させるようにしているが、支持突起34を円筒状に形成し、円柱状に形成したガイド部43を支持突起34の内側に係合させる構成とすることもできる。
可動栓体40のスカート部42の外径はシール筒部32aの内径よりも僅かに小さく形成されており、またスカート部42の下端には下方に向けて徐々に拡径する環状の傘状シール44が一体に設けられている。
可動栓体40が計量位置となると、傘状シール44がシール筒部32aに対して上方に離れて流出孔33が計量室Rに対して開放される。したがって、可動栓体40を計量位置とし、定量注出容器1を胴部11に対して口部12が下方側となる倒立姿勢とすることにより、容器本体10の収容部13に収容されている内容物を、流出孔33を通して計量室Rに充填ないし流入させることができる。
一方、可動栓体40が注出位置となると、傘状シール44が中栓部材30のシール筒部32aの内周面に弾性的に当接して流出孔33が可動栓体40により計量室Rに対して閉塞された状態とされる。したがって、定量注出容器1を倒立姿勢としたまま可動栓体40を注出位置とすることにより、容器本体10の収容部13に収容されている内容物がさらに計量室Rの内部に充填されてくることを防止することができる。これにより、過度の量の内容物を注出させることなく、計量室Rの内部の計量された一定量の内容物のみを、注出筒部23から外部に小分けに注出させることができる。なお、可動栓体40は、そのガイド部43の下端が、支持突起34の根元に設けられたリブ状部分に当接することにより、その注出位置の側のストローク端が規定されるようになっている。
可動筒体50は合成樹脂材料により円筒状に形成され、注出筒部23と可動栓体40との間に配置されている。図示する場合では、可動筒体50の内径寸法は可動栓体40の外径寸法よりも僅かに大きくされ、可動筒体50の外径寸法は注出筒部23の内径寸法よりも僅かに小さくされている。すなわち、可動筒体50の径方向厚み寸法は、可動栓体40の外周面と注出筒部23の内周面との径方向の間隔よりも僅かに小さくされている。これにより、可動筒体50の内周面と可動栓体40の外周面との間、及び、可動筒体50の外周面と注出筒部23の内周面との間には、それぞれ計量室Rの内部に充填されている内容物を注出可能な隙間が設けられている。
なお、本実施の形態においては、可動筒体50の内周面と可動栓体40の外周面との間、及び、可動筒体50の外周面と注出筒部23の内周面との間のそれぞれに隙間を設けるようにしているが、これに限らず、注出筒部23の内側に計量室Rの内部に充填されている内容物を注出可能な隙間が設けられれば、可動筒体50の内周面と可動栓体40の外周面との間、及び、可動筒体50の外周面と注出筒部23の内周面との間の少なくとも何れか一方にのみ隙間を設けるようにしてもよい。
可動筒体50は、その先端(図1中で上端)が注出筒部23から外部に突出する突出位置(図1に示す位置)と、当該突出位置から注出筒部23の側つまり計量室Rの内部に向けて押し込まれた押込み位置(図3(b)に示す位置)との間で注出筒部23の軸方向に移動自在となっている。なお、可動筒体50の基端部分(図1中で下端部分)には、拡径形状のストッパ部51が一体に設けられており、このストッパ部51が注出筒部23の計量室Rの側の端部に当接することにより、可動筒体50の突出位置の側に向けたストローク位置が規定されるようになっている。
なお、本実施の形態においては、可動筒体50の先端を、可動筒体50の軸方向の移動位置に拘わらず、常に注出筒部23の先端から外部に突出させるように構成しているが、これに限らず、可動筒体50が押込み位置となったときにその先端を注出筒部23の先端と同一位置に位置させる構成とすることもできる。なお、可動筒体50の先端を注出筒部23の先端から常に突出させた構成とした場合には、可動筒体50をより安定的に押込み位置にまで移動させることができる。
可動筒体50は、付勢部材60によって押込み位置の側から突出位置の側に向けて付勢され、通常状態においては突出位置に位置するようになっている。
本実施の形態においては、付勢部材60は、合成樹脂材料により可動筒体50の軸心を中心とした螺旋状に形成され、その軸方向の一端側(図1中で上端側)において可動筒体50のストッパ部51に一体に連結されている。すなわち、付勢部材60は可動筒体50と一体に形成されている。また、付勢部材60の軸方向の他端側(図1中で下端側)には筒状の固定部61が一体に設けられている。固定部61は中栓本体部32の段差部分に軸方向から当接するとともに当該中栓本体部32の内面に嵌合されている。これにより、付勢部材60は計量室Rの内部で位置決め固定されている。
なお、本実施の形態においては、付勢部材60を、合成樹脂材料により可動筒体50と一体に形成するようにしているが、これに限らず、付勢部材60を可動筒体50とは別体に構成することもできる。この場合、付勢部材60を、例えば金属製や樹脂製のスプリングで構成し、可動筒体50と中栓本体部32との間に位置するように計量室Rの内部に配置した構成とすることができる。
オーバーキャップ70は、例えば樹脂材料により有頂筒状に形成されている。オーバーキャップ70の周壁内周面には雌ねじ71が設けられ、この雌ねじ71が口部12の外周面に設けられた雄ねじ12bにねじ結合することにより、オーバーキャップ70は口部12に着脱自在に装着されて注出キャップ20を覆っている。
オーバーキャップ70の頂壁の内面には係合部72が一体に設けられている。係合部72は筒状に形成され、オーバーキャップ70の頂壁の内面から下方に向けて突出している。また、係合部72の先端側の外周面には環状の係止凹溝72aが設けられ、この係止凹溝72aに対応して栓体本体部41の先端側の内周面には被係止凸部45が一体に形成されている。
オーバーキャップ70が口部12に装着された状態では、被係止凸部45が係止凹溝72aに着脱自在にアンダーカット係合し、注出位置にある可動栓体40がオーバーキャップ70に着脱自在に保持された状態とされる。また、オーバーキャップ70の頂壁の内面に設けられた閉塞筒73によって注出筒部23の開口が閉塞される。
この状態からオーバーキャップ70が口部12から取り外されると、可動栓体40は係合部72に保持されてオーバーキャップ70とともに上方に引き上げられ、図2に示すように、注出位置から計量位置にまで移動する。このような構成により、オーバーキャップ70を口部12から取り外すだけの簡単な操作で、可動栓体40を注出位置から計量位置に容易に移動させることができる。なお、可動栓体40は、そのスカート部42の上端部分が、注出筒部23の下端に当接した状態の可動筒体50のストッパ部51の内面に当接することにより、その計量位置の側のストローク端が規定されるようになっている。また、可動栓体40が注出位置から計量位置にまで移動した状態からさらにオーバーキャップ70を上方に引き上げることで、被係止凸部45と係止凹溝72aとの係合を解除して、オーバーキャップ70を容器本体10から取り外すことができる。
次に、図2、図3を参照しつつ、このような構成の定量注出容器1から一定量の内容物を小分けに注出して被塗布面Sに塗布する手順について説明する。
定量注出容器1を使用する際には、まず、容器本体10の口部12からオーバーキャップ70を取り外す。オーバーキャップ70を口部12から取り外すと、図2に示すように、可動栓体40はオーバーキャップ70によって上方に引き上げられて計量位置とされる。可動栓体40が計量位置となると、可動栓体40の傘状シール44がシール筒部32aから離れて流出孔33が開放されて容器本体10の収容部13が計量室Rに連通される。
図2に示すように、可動栓体40が計量位置にあるときには、突出位置にある可動筒体50の先端は、注出筒部23の先端と可動栓体40の先端との間に位置するようになっている。これにより、可動筒体50の軸方向への移動ストロークが過度に大きくなることを防止して、この定量注出容器1を小型化することができる。なお、可動栓体40が計量位置にあるときに、突出位置にある可動筒体50の先端が可動栓体40の先端と同等または先端よりも上方に位置する構成としてもよい。
次に、図3(a)に示すように、定量注出容器1を胴部11に対して口部12が下方側となる倒立姿勢とする。これにより、容器本体10の収容部13に収容されている液状の内容物が流出孔33を通して計量室Rに充填される。このとき、可動栓体40のスカート部42の端部が注出筒部23の端部に当接した状態の可動筒体50のストッパ部51の内面に当接することにより注出筒部23と可動栓体40との隙間が閉塞されているので、計量室Rに充填された液状の内容物が注出筒部23と可動栓体40との隙間から外部に流出することはない。また、仮に注出筒部23と可動栓体40との間に隙間が生じたとしても、計量室Rに充填された液状の内容物は、その表面張力により当該隙間に保持されて外部に流出することはない。
なお、計量室Rに内容物が満量まで充填されたことを容易に確認できるようにするために、注出キャップ20を透明な材質で形成することもできる。
計量室Rが満量に満たされるまで当該計量室Rに内容物が充填されると、次に、定量注出容器1を倒立姿勢としたまま可動栓体40の先端を被塗布面Sに押し付け、その押付け力により、図3(b)に示すように、可動栓体40を計量位置から注出位置にまで移動させる。可動栓体40が注出位置にまで移動すると、流出孔33が閉塞され、計量室Rの内部に所定量の内容物が収容される。
また、可動栓体40を計量位置から注出位置にまで移動させると、その移動途中において可動筒体50の先端も被塗布面Sに押し付けられることになる。したがって、可動栓体40を被塗布面Sに押し付けて計量位置から注出位置にまで移動させることにより、可動筒体50をも付勢部材60を弾性変形させながら突出位置から押込み位置にまで移動させることができる。
次に、図3(c)に示すように、注出位置にある可動栓体40を被塗布面Sから引き離すと、可動栓体40は注出位置となったまま、可動筒体50が付勢部材60の付勢力によって押込み位置から突出位置にまで移動する。これにより、注出筒部23と可動栓体40との隙間の表面張力によって計量室Rの内部に保持されていた液状の内容物が、可動筒体50が当該隙間で移動することによって注出筒部23と可動栓体40との間から外部に向けて注出される。また、この状態から、可動筒体50の先端を被塗布面Sに押し付けて、図3(b)に示すように、当該可動筒体50を押込み位置にまで移動させると、その移動によっても、計量室Rの内部に保持されていた液状の内容物が注出筒部23と可動栓体40との間から外部に向けて注出される。このように、定量注出容器1を倒立姿勢とした状態で、可動筒体50を被塗布面Sに繰り返し押し付けて突出位置と押込み位置との間で軸方向に往復動させることにより、計量室Rで計量された液状の内容物を注出筒部23と可動栓体40との間から外部に向けて注出させることができる。すなわち、定量注出容器1を倒立姿勢としても、計量室Rに収容された液状の内容物は、その表面張力により注出筒部23と可動栓体40との隙間に保持されて当該隙間から外部に流出しないが、注出筒部23と可動栓体40との間で可動筒体50を軸方向に往復動させることにより当該表面張力を減少させて注出筒部23と可動栓体40との隙間からの内容物を注出させることができる。
このとき、可動筒体50を被塗布面Sに押し付けると、可動筒体50は付勢部材60の付勢力に抗して突出位置から押込み位置に向けて移動することになるので、可動筒体50の被塗布面Sに向けた押し付け力が付勢部材60の弾性変形によって緩和されることになる。これにより、被塗布面Sに繰り返し押し付けられる可動筒体50が被塗布面Sに与える刺激を低減させて、その塗布感を高めることができる。
内容物の塗布の終了後は、定量注出容器1を正立姿勢に戻し、オーバーキャップ70を口部12に装着することにより、係合部72の係止凹溝72aを可動栓体40の被係止凸部45に係合させつつ注出筒部23の開口を閉塞筒73によって閉塞することができる。
図4は本発明の他の実施の形態である定量注出容器の要部を拡大して示す断面図であり、図5は図4に示す定量注出容器のオーバーキャップを取り外した状態の半断面図である。また、図6(a)は図5に示す定量注出容器を倒立姿勢として計量室に内容物を充填させた状態を示す半断面図であり、図6(b)は図6(a)に示す状態から可動栓体の先端及び可動筒体の先端を被塗布面に押し付けて内容物を注出させている状態を示す半断面図であり、図6(c)は図6(b)の状態から可動栓体及び可動筒体を被塗布面から離した状態を示す半断面図である。なお、図4〜図6においては前述した部材に対応する部材には適宜同一の符号を付してある。
図1に示す実施の形態では、円筒状の可動筒体50と螺旋状の付勢部材60とを合成樹脂材料により一体に形成するようにしている。これに対して、図4に示す実施の形態においては、円筒状の可動筒体50と、この可動筒体50と同軸の円筒状に形成された付勢部材60とを合成ゴムやエラストマー等の弾性体により一体に形成するようにしている。
より具体的には、付勢部材60は可動栓体40の栓体本体部41の外側に被せられるとともに、その基端部において可動栓体40のスカート部42の上端面に当接している。これにより、付勢部材60は、可動栓体40に軸方向に位置決めされた状態で装着されるとともに、可動筒体50から基端部の側に向けた軸方向荷重が加えられると、栓体本体部41の表面から離れて湾曲するように弾性変形して当該可動筒体50を突出位置に向けて付勢する。
なお、可動筒体50の突出位置の側のストローク端を規定するストッパ部51は付勢部材60の基端部における外周面に一体に設けられている。
一方、可動筒体50は、注出筒部23と可動栓体40との間から注出筒部23の外部に突出している。可動筒体50の先端部分には内向きに曲げられた内向き突起52が一体に設けられている。
このような構成の定量注出容器1においても、オーバーキャップ70を口部12から取り外すことにより、図5に示すように、可動栓体40はオーバーキャップ70によって上方に引き上げられて計量位置とされる。可動栓体40が計量位置となると、可動栓体40の傘状シール44がシール筒部32aから離れて流出孔33が開放されて容器本体10の収容部13が計量室Rに連通される。
次に、図6(a)に示すように、定量注出容器1を胴部11に対して口部12が下方側となる倒立姿勢とする。これにより、容器本体10の収容部13に収容されている液状の内容物が流出孔33を通して計量室Rに充填される。このとき、可動栓体40のスカート部42の端部が注出筒部23の端部に当接した状態の可動筒体50のストッパ部51に当接することにより注出筒部23と可動栓体40との隙間が閉塞されているので、計量室Rに充填された液状の内容物が注出筒部23と可動栓体40との隙間から外部に流出することはない。また、仮に注出筒部23と可動栓体40との間に隙間が生じたとしても、計量室Rに充填された液状の内容物は、その表面張力により当該隙間に保持されて外部に流出することはない。
計量室Rが満量に満たされるまで当該計量室Rに内容物が充填されると、次に、定量注出容器1を倒立姿勢としたまま可動筒体50の先端を被塗布面Sに押し付ける。可動筒体50が被塗布面Sに押し付けられると、その軸方向荷重によって付勢部材60が弾性変形し、可動筒体50の先端に設けられた内向き突起52が可動栓体40の先端面に当接する。そして、この状態でさらに可動筒体50の先端を被塗布面Sに押し付けることにより、図6(b)に示すように、可動栓体40を計量位置から注出位置にまで移動させる。可動栓体40が注出位置にまで移動すると、流出孔33が閉塞され、計量室Rの内部に所定量の内容物が収容される。このとき、可動筒体50は、注出筒部23から外部に向けて突出するが、可動栓体40の先端に対する位置が突出位置となっていたときよりも注出筒部23の側に押し込まれた押込み位置となっている。
次に、図6(c)に示すように、押込み位置にある可動筒体50を被塗布面Sから引き離すと、可動栓体40は注出位置となったまま、可動筒体50が付勢部材60の付勢力によって押込み位置から突出位置にまで移動し、その内向き突起52が可動栓体40の先端から離れる。これにより、注出筒部23と可動栓体40との隙間の表面張力によって計量室Rの内部に保持されていた液状の内容物が、可動筒体50が当該隙間で移動することによって注出筒部23と可動栓体40との間から外部に向けて注出される。また、この状態から、可動筒体50の先端を被塗布面Sに向けて繰り返し押し付けることにより、図6(b)に示す状態と図6(c)に示す状態とを繰り返して計量室Rの内部に保持されていた液状の内容物を注出筒部23と可動栓体40との間から外部に向けて注出させることができる。
また、可動筒体50を被塗布面Sに押し付けると、可動筒体50は付勢部材60の付勢力に抗して突出位置から押込み位置に向けて移動することになるので、可動筒体50の被塗布面Sに向けた押し付け力が付勢部材60の弾性変形によって緩和されることになる。これにより、被塗布面Sに繰り返し押し付けられる可動筒体50が被塗布面Sに与える刺激を低減させて、その塗布感を高めることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態では、定量注出容器1を、液状の薬剤を内容物として収容し、当該内容物を使用者の皮膚等の被塗布面Sに一定量ずつ小分けに注出させる用途に用いられるものとして例示したが、具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧液、洗剤などの他の内容物を収容する用途に用いることもできる。
また、前記実施の形態では、付勢部材60は、合成樹脂製の可動筒体50と一体に形成される螺旋状の構成または弾性体により可動筒体50と一体に形成された筒状の構成とされているが、可動筒体50を押込み位置から突出位置に付勢することができれば、その材質や構成は種々変更可能である。
さらに、可動栓体40は、オーバーキャップ70の係合部72に係合してオーバーキャップ70の取り外しにより注出位置から計量位置に移動される構成とされているが、これに限らず、オーバーキャップ70を取り外した後、手動で注出位置から計量位置に切り替えられる構成とすることもできる。
さらに、可動筒体50は円筒状に形成されるに限らず、例えば、一対の半円筒状のものを組み合わせた構成のもの、横断面がC字形状のものや円筒状部分の先端に横断面がC字形状の部分を一体に設けたもの、あるいは周方向に並ぶ複数の切り欠きを備えた間欠円筒状のものや円筒状部分の先端に間欠円筒状の部分を一体に設けたもの等とすることができる。また、可動筒体50を、横断面がC字形状のもの、あるいは周方向に並ぶ複数の切り欠きを備えた間欠円筒状のもの等とした場合には、可動筒体50を可動栓体40の外周面及び注出筒部23の内周面の少なくとも何れか一方との間に隙間を有した構成とすることなく、当該隙間を設けない構成とすることもできる。
さらに、図4に示す実施の形態においては、可動筒体50に内向き突起52を設けた構成としているが、可動筒体50に内向き突起52aを設けない構成とすることもできる。この場合、可動栓体40は、可動筒体50が被塗布面Sに押し付けられて注出筒部23の内側に押し込まれたときに被塗布面Sに当接して計量位置から注出位置に向けて移動することになる。