JP2019023179A - 睡眠改善剤 - Google Patents

睡眠改善剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2019023179A
JP2019023179A JP2018063422A JP2018063422A JP2019023179A JP 2019023179 A JP2019023179 A JP 2019023179A JP 2018063422 A JP2018063422 A JP 2018063422A JP 2018063422 A JP2018063422 A JP 2018063422A JP 2019023179 A JP2019023179 A JP 2019023179A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sleep
sulfur
improving agent
containing amino
onion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018063422A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6976515B2 (ja
Inventor
奈々恵 永田
Nanae Nagata
奈々恵 永田
美希 牧田
Miki Makita
美希 牧田
洋介 菊池
Yosuke Kikuchi
洋介 菊池
福留 真一
Shinichi Fukutome
真一 福留
優也 中山
Yuya Nakayama
優也 中山
稲川 裕人
Hiroto Inagawa
裕人 稲川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Seifun Group Inc
Nisshin Pharma Inc
University of Tsukuba NUC
Original Assignee
Nisshin Seifun Group Inc
Nisshin Pharma Inc
University of Tsukuba NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Seifun Group Inc, Nisshin Pharma Inc, University of Tsukuba NUC filed Critical Nisshin Seifun Group Inc
Publication of JP2019023179A publication Critical patent/JP2019023179A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6976515B2 publication Critical patent/JP6976515B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Fodder In General (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract

【課題】低コストで安全性が高く簡便に摂取できる、睡眠改善剤を提供する。【解決手段】スルフィニル基を有する含硫アミノ酸を含有する睡眠の質改善剤であり、スルフィニル基を有する含硫アミノ酸として、例えばタマネギ抽出物に含まれる、シクロアリイン、S−メチルシステインスルフォキシド、S−プロピルシステインスルフォキシド、S−アリル−L−システインスルフォキシド、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシドから選択される1種以上が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、スルフィニル基を有するアミノ酸を含有する睡眠改善剤に関する。
ヒトの睡眠は、急速眼球運動(Rapid Eye Movement, REM)を伴うレム(REM)睡眠と、これを伴わないノンレム(Non−REM)睡眠に分けられ、ヒトは睡眠中にレム睡眠とノンレム睡眠を一定の周期で反復している。レム睡眠では、身体は骨格筋が弛緩して休止した状態であるが、脳は覚醒して活動している状態であり、ヒトが夢を見るのはレム睡眠の時である。一方、ノンレム睡眠はぐっすり寝ている状態であり、脳も活動を休止して、多少の物音や軽くゆさぶられたくらいでは目が覚めない。ノンレム睡眠には1〜4のステージがあるとされており、睡眠の深いステージ(ステージ3〜4)にあるときには、デルタ波と呼ばれる低周波の脳波が高頻度で観測される。通常、入眠後しばらくしてノンレム睡眠に達し、やがて徐々に眠りが浅くなってレム睡眠になり、それ以後はノンレム睡眠とレム睡眠が交互に現れる。一晩の平均的な時間の睡眠では4〜6回のレム睡眠が現れるといわれており、夜間前半にはノンレム睡眠が多く、後半(明け方近く)にはレム睡眠が多くなる傾向がみられる。また、高齢者になると、ノンレム睡眠の時間が減少する傾向にあり、睡眠の質が低下することも報告されている。
良質な睡眠は、心身の休息に欠くことができないものであるだけでなく、記憶の再構成などにも深く関わっている。良質な睡眠のためには、就床から起床までの時間のうち、心身ともに覚醒している時間の割合が少ないこと、ノンレム睡眠の時間が長いこと、さらにそのなかでもデルタ波が観測されるような深い眠りの時間があること、が重要である。さらに、入眠後のノンレム睡眠からレム睡眠に至る最初の睡眠周期の時間は、脳神経細胞の修復などを担っているともいわれており、この時間が十分に確保されていることも、睡眠のリズム等の点から重要である。
日本人の平均睡眠時間は近年減少する傾向にあり、寝つきが悪い、眠りが浅くすぐ目が覚める、ぐっすり眠った気がせず朝起きても疲労感がある等、睡眠への不満を訴える人が増えている。これらの睡眠不足とそれに基づく疲労感は、仕事の効率低下を生み、不慮の事故に繋がるおそれさえある 。
このような症状を避けるため、睡眠薬や睡眠導入剤等の医薬品が利用される場合があるが、これらの医薬品は医師の処方箋が必要であり、また副作用の懸念もあって、手軽に安全に利用し難い面がある。また、医薬品の中には、ノンレム睡眠を減少させる医薬品もあり、使用の仕方によっては、かえって睡眠の質が低下することもある。
そこで、医薬品ではなく、日常に摂取できる食品の睡眠改善成分を利用するための研究も行われており、これまで酵母由来のアデノシン誘導体について、睡眠誘発や睡眠の質の改善の効果が評価されている。特許文献1は、S−アデノシルメチオニン含有酵母を有効成分とする睡眠改善剤に係るものである。S−アデノシルメチオニンは、アデノシンとメチオニンとがメチルスルホニウム結合をして連結してなる化合物であって、生体内のメチル化反応におけるメチル基供与体として働き、リン脂質代謝の促進、タンパクや核酸のメチル化などにおいて重要な役割を演じている。特許文献1では、S−アデノシルメチオニン自体は睡眠誘発効果を示さないにもかかわらず、S−アデノシルメチオニン含有酵母は睡眠誘発効果を発揮することが記載されている。特許文献2は、メチルチオアデノシン(MTA)またはその塩を有効成分とする睡眠改善剤に関するものであり、特にMTA含有酵母によるノンレム睡眠と深い眠りの促進及び自然睡眠の誘発に着目している。
一方、タマネギ抽出物等に含まれる含硫アミノ酸については、これまで、ヒトの健康面での効果、なかでも男性ホルモンの増加効果に着目した研究が多くされているが、睡眠誘発や睡眠改善の効果については確認されていない。特許文献3は、タマネギ又はその加工品を含有するステロイドホルモン増加剤に関するものであり、血漿中のステロイドホルモン、特に男性ホルモンであるテストステロンを増加させ、男性の性腺機能増進や男性ホルモンが有効とされる乳癌、子宮体癌、卵巣 癌、甲状腺癌等の予防治療に効果が期待されるとされている。特許文献4は、S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシドと亜鉛を含有する男性ホルモン増加剤に係るものであり、男性更年期症候群等の男性ホルモン低下に伴う症状の予防又は改善のために有効であるとされている。
特開2013−82641号公報 再公表WO2014/163152公報 特開平9−169661号公報 特開2016−150911号公報
本発明の課題は、低コストで安全性が高く簡便に摂取できる、睡眠改善剤を提供することである。
上記の課題は、スルフィニル基、すなわち(−S(=O)−)、を有する含硫アミノ酸を含有する睡眠改善剤によって解決することができる。睡眠改善剤は、より具体的には、睡眠の質改善剤、ノンレム睡眠促進剤、睡眠リズム改善剤である。
本発明のスルフィニル基を有する含硫アミノ酸は、睡眠の質及び睡眠リズムを改善し、ノンレム睡眠を促進する効果を示す。また本発明によれば、安全なネギ属植物に由来するスルフィニル基を有する含硫アミノ酸により効果が得られるため、簡便且つ安全性が高いため、継続して摂取することができる。
本発明には、以下の形態が含まれる。
(1)スルフィニル基を有する含硫アミノ酸を含有する睡眠改善剤。
(2)スルフィニル基を有する含硫アミノ酸がシクロアリイン、S−メチルシステインスルフォキシド、S−プロピルシステインスルフォキシド、S−アリル−L−システインスルフォキシド、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシドから選択される1種以上である、(1)の睡眠改善剤。
(3)スルフィニル基を有する含硫アミノ酸を1日摂取量として5〜1000mg含有する、(1)又は(2)の睡眠改善剤。
(4)スルフィニル基を有する含硫アミノ酸がタマネギ抽出物に含まれたものである、請求項(1)〜(3)のいずれかの睡眠改善剤。
(5)睡眠改善が睡眠の質の改善である(1)〜(4)のいずれかの睡眠改善剤。
(6)睡眠改善がノンレム睡眠の促進である(1)〜(4)のいずれかの睡眠改善剤。
(7)睡眠改善が睡眠リズムの改善である(1)〜(4)のいずれかの睡眠改善剤。
(8)女性を対象とすることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの睡眠改善剤。
本発明の有効成分であるスルフィニル基を有する含硫アミノ酸(以下、単に「含硫アミノ酸」と呼ぶ)は、前記したシクロアリインやシステインスルフォキシド、及びこれらの類縁体である。これらは合成品を用いてもよく、市販の試薬を用いてもよい。又は、上記含硫アミノ酸を含む動植物等の天然物から抽出、精製等して製造した含硫アミノ酸を含む組成物を用いることもできる。好ましくは、タマネギ等のネギ属植物から抽出された、シクロアリイン及びS−メチルシステインスルフォキシド(MCSO)、S−プロピルシステインスルフォキシド、S−アリル−L−システインスルフォキシド、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシド(PeCSO)から選択される含硫アミノ酸を含有する組成物を挙げることができる。
中でも、タマネギに多く含まれるPeCSO及びMCSOは効果が高いため、タマネギ由来の含硫アミノ酸組成物であるタマネギ抽出物が最も好ましい。しかし、タマネギには、PeCSO及びMCSOをスルフェン酸に変換する酵素であるC−Sリアーゼ(アリイナーゼ)が存在するため、抽出や調理などの操作により植物組織が破壊されると、当該酵素の作用により該植物中のPeCSO及びMCSOは失われる。そのため、従来の通常の方法で得られる上記植物の抽出物や上記植物を含む調理済み食品には、PeCSO及びMCSOはほとんど含まれていない。
したがって、タマネギからPeCSO及びMCSOを調製する場合、当該植物を切断処理する前に加熱処理してC−Sリアーゼを失活させた後に、抽出処理にかけることが好ましい。このような方法としては、例えば特許文献4に記載されている、タマネギからシステインスルフォキシドを調製する方法を採用することができる。より具体的には、切断処理していないネギ属植物を、圧力1〜5気圧、温度40〜150℃の条件で、5〜120分加熱処理することによって、植物中に含まれる含硫アミノ酸を分解するC−Sリアーゼを失活させる。次いで、得られたタマネギの加熱処理物をアルコール抽出及び減圧濃縮することにより、L−システインスルフォキシド誘導体を含む加熱処理後抽出物を得ることができる。
以下に、タマネギを例として、本方法の詳細な手順を説明する。
好ましくは、本発明で用いられるシステインスルフォキシド類、特にPeCSO及びMCSOは、(i)タマネギを加熱し、(ii)加熱されたタマネギをγ−グルタミル結合切断酵素で処理し、次いで(iii)得られた酵素処理物をイオン交換クロマトグラフィーに供することによって調製することができる。上記工程(i)〜(iii)は、酵素反応等のために必要とされない限り、酸性pH条件下で行われるのがPeCSO及びMCSOの変質を防ぐ上で好ましい。好ましいpHは、pH5.5以下、より好ましくはpH4.5以下である。
工程(i)では、タマネギを加熱する。該加熱により、タマネギ中に含まれるPeCSO及びMCSOを分解する酵素C−Sリアーゼを失活させる。上記加熱の条件は、目的のPeCSO及びMCSOを変質させることなくC−Sリアーゼを失活させることができる条件であれば、特に限定されないが、例えば、圧力1〜5気圧、温度40〜150℃で5〜120分間が好ましく、圧力1〜2気圧、温度が80〜120℃で15〜40分間がより好ましい。
タマネギは、切断、破砕、穿孔などによりその内部が空気中に露出すると、含まれるPeCSO及びMCSOが分解されて、その含有量が減少する。したがって、上記加熱は、好ましくは、細分されていないタマネギに対して行われる。ここで、「細分されていない」タマネギとは、切断、分断、破砕、穿孔、傷をつける等の加工がされていないか、又は当該加工がされているが、その加工により含硫アミノ酸含量が大きく減少していないもの、例えば、最終的な含硫アミノ酸の収量として無傷のタマネギに対して80%以上を達成できるものをいう。
工程(ii)は、上記工程(i)で加熱されたタマネギをγ−グルタミル結合切断酵素で処理する工程である。上記タマネギ中のPeCSO及びMCSOの一部はグルタミル体として存在するため、酵素処理により該グルタミル体からグルタミン酸を切断し、PeCSO及びMCSOを遊離させる。酵素反応を十分に進行させるためには、酵素処理の前に、上記工程(i)で加熱されたタマネギを切断、破砕、細断等しておくことが好ましい。細分されたタマネギは、さらに水、酸性水、アルカリ水等の水性液体で2〜20倍程度に希釈する。該水性液体のpHは、後で用いるγ−グルタミル結合切断酵素の至適pHやその付近のpHに調整する。
酵素処理に使用されるγ−グルタミル結合切断酵素としては、例えば、γ−グルタミナーゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、γ−グルタミルペプチダーゼ等が挙げられる。これらの酵素は、動物、植物、微生物等から抽出されたものであっても、又は市販品であってもよい。市販品としては、天野エンザイム社のグルタミナーゼSD-C100S等が挙げられる。酵素処理の条件は、酵素の至適条件、又は用いるネギ属植物の種類、用いる部位、大きさや細分の状態等によって適宜設定すればよい。一般的には、酵素の添加量は、タマネギの全量に対して0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%である。反応条件は、酵素の至適pHで、温度15〜65℃で1〜24時間程度、好ましくは35〜60℃で2〜6時間程度であり得る。上記酵素処理の終了後は、加熱又はpH調整等により、γ−グルタミル結合切断酵素を失活させておくことが好ましい。必要に応じて、上記酵素処理で得られた反応物を濾過、遠心、圧搾等にかけ、PeCSO及びMCSOを含む溶液を分離してもよい。さらに得られた溶液を濃縮してもよい。
工程(iii)では、上記工程(ii)の酵素処理で得られた反応物を、イオン交換クロマトグラフィーに供する。当該イオン交換クロマトグラフィーのためのイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂であればよいが、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。当該イオン交換樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、ダイヤイオン(登録商標)UBK−550、ダイヤイオン(登録商標)SK1B(三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)IR120B、アンバーライト(登録商標)200C、ダウエックス(登録商標)MSC−1(The Dow Chemical Company)、デュオライトC26(Rohm and Haas)、LEWATIT(登録商標)SP−112(LANXESS Distribution GmbH)等が好適に使用され得る。イオン交換クロマトグラフィーは、通常の手順に従って行えばよい。イオン交換クロマトグラフィーで得られたPeCSO及びMCSOを含む溶出液は、そのまま本発明に利用してもよいが、濃縮又はさらに脱塩処理を行うと、PeCSO及びMCSOの純度が高まるため好ましい。
上述の方法により、タマネギから、PeCSO及びMCSOを高含有する画分を得ることができる。得られた画分は、そのまま乾燥して本発明の睡眠改善剤に含有させることができる。さらに必要に応じ、上記乾燥に加えて又は代えて、凍結乾燥、固形化、顆粒化、粉末化、造粒化、錠剤化などの処理を施してもよい。
本発明の睡眠改善剤における含硫アミノ酸の含有量は、PeCSO及びMCSOの含有量として、成人1日あたりの摂取量を基準として、好ましくは5〜1000mg、より好ましくは6〜200mg、さらに、好ましくは7〜50mg、最も好ましくは9〜30mgである。具体的には、本発明の睡眠改善剤が顆粒や錠剤などの形態である場合、含硫アミノ酸の含有量は、例えばPeCSO及びMCSOの含有量として0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明の睡眠改善剤は、睡眠改善のための、医薬、飲食品、飼料等であり得る。本発明の睡眠改善剤は、ヒト又は非ヒト哺乳動物に適用され得る。非ヒト哺乳動物としては、愛玩動物や家畜動物、及び飼育施設等で飼育されている動物が挙げられる。本発明の睡眠改善剤は、食品又は飼料に含有させることもできる。食品や飼料として使用する場合には、PeCSO及びMCSOの含有量として1日あたりの摂取量が上記の範囲となるように含有させるのが好ましいが、長期間の摂取の場合も考慮して、1日あたりの摂取量5mg未満になるような含有量であってもかまわない。
本発明で被験者の就床中の脳波を測定することによって睡眠の評価を行った。睡眠の質は、ノンレム睡眠中に現れる低周波の脳波(デルタ波)の量を示すデルタパワー値により評価される。ノンレム睡眠量は睡眠中のノンレム睡眠時間の長さにより評価される。睡眠リズムは、最初の睡眠サイクル(入眠−ノンレム睡眠−レム睡眠)の時間の長さにより評価される。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例)タマネギ抽出物の製造
タマネギ(北もみじ2000)5000gを洗浄、脱皮した後に、切断せず丸ごと95℃の湯浴中にて20分間加熱処理した。加熱処理後のタマネギを、ミキサー(Oster社製)を用いて破砕し、ここにタマネギ1g当たり1mLの水を添加し分散させた。得られた分散液に、グルタミナーゼ(グルタミナーゼSD-C100S;天野エンザイム製)を液中のタマネギの全量に対して0.025質量%の量で添加し、60℃にて2時間反応させ、反応終了後90℃で15分間加熱して酵素を失活させた。得られた反応液を6000rpm、30分間遠心分離し、吸引ろ過し、その後凍結乾燥して、含硫アミノ酸約3質量%を含むタマネギ粗加熱処理後抽出物約500gを得た。
上記タマネギ粗加熱処理後抽出物に蒸留水を添加して30%(w/v)水溶液を得た。この水溶液1000mLを試料溶液として、塩酸により再生した強酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学製)500mLに通液した。次いで、蒸留水3000mLによりカラム内に残留した試料溶液を洗い出した。その後、5%水酸化ナトリウム溶液(pH=14)1000mLをカラムに通液し、イオン交換樹脂に吸着した含硫アミノ酸を溶出させた。さらに蒸留水2000mLを添加し、カラム内に残留した液を溶出させた。水酸化ナトリウム溶液により溶出した溶出液と蒸留水により溶出した溶出液とを合一し、エバポレーター(東京理科機械製)により濃縮後、脱塩処理を行い、さらに凍結乾燥して、賦形剤を添加し、含硫アミノ酸を含有する粉末状のタマネギ抽出物を得た。この粉末は、PeCSOを約2.2質量%、MCSOを約0.72質量%、シクロアリインを約3.8質量%含有していた。
(実施例1)
1日摂取量3粒当たり含硫アミノ酸を30mg含むように、製造例のタマネギ抽出物を配合し、賦形剤等を添加後、打錠機を用いて打錠し、錠剤を製造した。その後、コーティングすることによって外観、風味、性状に区別がつかないことを確認し、盲検化して試験に用いた。
(比較例1)
タマネギ抽出物の代わりに賦形剤を配合し、その他原材料が同一の錠剤をプラセボ錠剤として製造した。また、実施例1と同様にして、コーティングすることによって外観、風味、性状に区別がつかないことを確認し、盲検化して試験に用いた。
(試験例1)マウス行動量の測定
C57BL/6系統のマウス(8週齢の雄性)を日本エスエルシー株式会社から購入した。全てのマウスをプラスチックケージの中で、明期12時間、暗期12時間の明暗サイクル下(7時点灯、19時消灯)で飼育した。試験開始1週間前から個別ケージで馴化を行い、試験に供した(n=4)。飼料はマウス・ラット・ハムスター用であるMF(オリエンタル酵母社製)を15kGyで滅菌して使用した。
行動量は,動物から放出される赤外線を検出するセンサー(Biotex Japan社)とソフトウェアBiotex 16CH Act Monitor BAI2216(Biotex Japan社)を用いて1分毎の行動量を48時間記録した。試験日は、飼育ケージの電気が消灯する直前に、製造例で得られたタマネギ抽出物(含硫アミノ酸、6質量%)で2000mg/kgとなるように調製した水溶液250μLをマウスに強制経口投与し、引き続きロコモーターで行動量を測定した。試験前日の19時から7時の12時間の累積行動量に対し、投与後の19時から7時までの累積行動量の百分率(%)を算出した。
Figure 2019023179
(試験例2)ノンレム睡眠量の測定(マウス)
C57BL/6系統のマウス(9週齢の雄性)を日本エスエルシー株式会社から購入した。全てのマウスをプラスチックケージの中で、明期12時間、暗期12時間の明暗サイクル下(7時点灯、19時消灯)で飼育した。すべてのマウスに対して脳波測定用の電極埋め込み手術を実施し、4日間馴化飼育した。脳波を安定的に計測できることを確認できた個体について群分けを行い、専用個別ケージで1週間馴化飼育した(n=5〜7)。
群分け後から行動量、筋電位、脳波を継続的に計測し、データを解析してノンレム睡眠期(デルタ波)、レム睡眠期(シータ波)、覚醒期(筋電位)の長さを算出した。解析にはSleepSign (キッセイコムテック社製)を用いた。
同一マウスに対し、製造例で得たタマネギ抽出物の溶液250μL(50、100、200、400mg/kg)(含硫アミノ酸量、それぞれ、3,6,12、24mg/kgに相当)を強制単回経口投与し、投与後累積12時間の脳波解析を行った。それぞれ水投与時に対してノンレム睡眠が増加するか評価した。
Figure 2019023179
なお、試験例2の同様の試験を、睡眠に関する受容体であるアデノシンA1受容体のノックアウトマウスと同じくヒスタミンH1の受容体ノックアウトマウスを用いて実施したところ、溶媒投与時の12時間累積ノンレム睡眠量とタマネギ抽出物12時間累積ノンレム睡眠量の間に有意差が観察されなかった。このことは、本発明の含硫アミノ酸の睡眠改
善効果が睡眠に関する受容体への作用に起因している可能性を示唆している。
(試験例3)ヒトを対象とした試験
あらかじめピッツバーグ睡眠質問票で調査し、比較的睡眠状態が良くない30歳以上50歳未満の健康な男女10名を被験者とした。試験はプラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー試験とし、割付を行い、実施例1の錠剤(または比較例1のプラセボ錠)を5日間摂取後、2日間の休止期間を経て、最初に実施例1の錠剤を摂取したグループはプラセボ錠(最初にプラセボ錠を摂取したグループは実施例1の錠剤)を5日間摂取した。
被験者は夕食後に、いずれかの錠剤を1日3粒毎日水又はぬるま湯と共に摂取し、2電極方式の携帯型脳波測定器を装着し、就床中の脳波を測定した。
脳波はスリープウェル(株)に依頼して解析した。脳波解析は、スリープスコープ睡眠脳波解析プログラム(管理医療機器 脳波計用プログラム 11467032)を用いた。本解析では、睡眠の深さの指標であるデルタパワー値に着目した。入眠するとまずノンレム睡眠が出現した後にレム睡眠が出現する。入眠直後からレム睡眠が出現するまでのデルタパワー値を、睡眠初期のデルタパワー値とした。なお、デルタパワー値は、睡眠中の脳波に出現するデルタ波の量を定量して得られた。
脳波は個人差があるため、摂取期間中5日間のうち3日分の計測データの平均値を算出し、被験者ごとの相対的デルタパワー値(%)を下式により算出した。
相対的デルタパワー値(%)=(実施例1の錠剤摂取後の睡眠初期デルタパワー値の平均値)/(プラセボ錠摂取後の睡眠初期デルタパワー値の平均値)×100
ノンレム睡眠時間は、睡眠中の脳波をスリープスコープで測定し、スリープスコープ睡眠脳波解析プログラムで解析し、ノンレム睡眠と判定された時間を合計して求めた。
第一睡眠周期は、就床後、入眠してからノンレム睡眠に達し、その後レム睡眠に達しレム睡眠が終了するまで(入眠〜ノンレム睡眠〜レム睡眠)の時間である。一般に、この時間が90分に近いほど、睡眠リズムが良いといわれている。
Figure 2019023179
上記の評価項目において、実施例1の錠剤を摂取した被験者は、比較例1のプラセボ錠を摂取した被験者に比べて、睡眠が改善された。睡眠リズムの改善に寄与する第一睡眠周期の時間の確保は、特に女性について、より顕著な改善がみられた。

Claims (8)

  1. スルフィニル基を有する含硫アミノ酸を含有する睡眠改善剤。
  2. スルフィニル基を有する含硫アミノ酸がシクロアリイン、S−メチルシステインスルフォキシド、S−プロピルシステインスルフォキシド、S−アリル−L−システインスルフォキシド、S−1−プロぺニル−L−システインスルフォキシドから選択される1種以上である、請求項1記載の睡眠改善剤。
  3. スルフィニル基を有する含硫アミノ酸を1日摂取量として5〜1000mg含有する、請求項1又は2記載の睡眠改善剤。
  4. スルフィニル基を有する含硫アミノ酸がタマネギ抽出物に含まれたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
  5. 睡眠改善が睡眠の質の改善である請求項1〜4のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
  6. 睡眠改善がノンレム睡眠の促進である請求項1〜4のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
  7. 睡眠改善が睡眠リズムの改善である請求項1〜4のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
  8. 女性を対象とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
JP2018063422A 2017-07-21 2018-03-29 睡眠改善剤 Active JP6976515B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017141672 2017-07-21
JP2017141672 2017-07-21

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019023179A true JP2019023179A (ja) 2019-02-14
JP6976515B2 JP6976515B2 (ja) 2021-12-08

Family

ID=65368317

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018063422A Active JP6976515B2 (ja) 2017-07-21 2018-03-29 睡眠改善剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6976515B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021210565A1 (ja) 2020-04-14 2021-10-21 日本ケミファ株式会社 睡眠の質の改善剤

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999061015A1 (fr) * 1998-05-22 1999-12-02 Nippon Shinyaku Co., Ltd. Compositions destinees a diminuer l'activite mtp
JP2005278635A (ja) * 2004-03-01 2005-10-13 Aomori Prefecture 加工ニンニク、およびその処理方法
JP2007210918A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Tokai Univ テストステロン増加剤、ネギ属植物処理物、およびこれらを含有する食品添加物
JP2013082641A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Lion Corp 睡眠の質改善剤
JP2014094901A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 Nisshin Pharma Inc ストレス改善用組成物
JP2018150283A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 日清ファルマ株式会社 Qol改善剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999061015A1 (fr) * 1998-05-22 1999-12-02 Nippon Shinyaku Co., Ltd. Compositions destinees a diminuer l'activite mtp
JP2005278635A (ja) * 2004-03-01 2005-10-13 Aomori Prefecture 加工ニンニク、およびその処理方法
JP2007210918A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Tokai Univ テストステロン増加剤、ネギ属植物処理物、およびこれらを含有する食品添加物
JP2013082641A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Lion Corp 睡眠の質改善剤
JP2014094901A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 Nisshin Pharma Inc ストレス改善用組成物
JP2018150283A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 日清ファルマ株式会社 Qol改善剤

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN. PHARMACOL. THER., vol. 41, no. 3, JPN6021028819, 2013, pages 281 - 287, ISSN: 0004556402 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021210565A1 (ja) 2020-04-14 2021-10-21 日本ケミファ株式会社 睡眠の質の改善剤
KR20230005819A (ko) 2020-04-14 2023-01-10 닛뽕 케미파 가부시키가이샤 수면의 질의 개선제

Also Published As

Publication number Publication date
JP6976515B2 (ja) 2021-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20070219121A1 (en) Vasodilator pharmaceutical preparation and health food composition
JP5921664B2 (ja) 皮膚の乾燥予防または改善用経口剤
JP6046451B2 (ja) ストレス改善用組成物
JP4917584B2 (ja) 可溶化蜂の子処理物、その製造方法、抗酸化剤、ace阻害剤、血圧降下剤、皮膚繊維芽細胞増殖促進剤、疲労回復剤、血流改善剤、並びに可溶化蜂の子処理物を含有する医薬品、化粧品又は飲食品
JP5250302B2 (ja) 血糖上昇抑制剤
JP6976515B2 (ja) 睡眠改善剤
TW201803582A (zh) 滋養強壯劑
JP2010143892A (ja) 骨強度改善剤及び皮膚コラーゲン量改善剤、並びにこれらのうち少なくともいずれか一つを有する経口摂取組成物、医薬部外品。
JP6885757B2 (ja) Qol改善剤
CN110123989A (zh) 一种莪术精油的应用
JP2008137941A (ja) 睡眠改善用組成物
JP6416010B2 (ja) 含硫アミノ酸及び亜鉛含有組成物
JP2012031153A (ja) 脂肪燃焼促進剤
JP6964416B2 (ja) プロゲステロン産生促進剤
JP5312780B2 (ja) 血中アンモニア濃度を低下させる飲食物および医薬組成物
TW201639586A (zh) 紐西蘭鮑(paua)水溶性萃取物
JP2008169140A (ja) 経口育毛剤及び育毛用経口組成物
JP2009298702A (ja) 経口用組成物
JP6483244B2 (ja) 蜂の子を含有する滋養強壮剤
JP7345771B2 (ja) 糖尿病によって誘発される知覚過敏または知覚異常の予防又は治療用組成物
US20210161190A1 (en) Core body temperature reducing agent, food product, and sleep improving agent
JP5565016B2 (ja) 低体温改善用組成物及び冷え性改善用組成物
JP7261590B2 (ja) 神経機能再生促進剤
WO2022224776A1 (ja) 脂質減少促進剤
JP7116960B2 (ja) ゲノム安定性増強剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210922

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211019

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6976515

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150