JP2019019629A - 耐火壁構造及び耐火壁構造の施工方法 - Google Patents

耐火壁構造及び耐火壁構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】断熱材を有する耐火壁構造において、施工性を向上させる。【解決手段】耐火壁構造20は、鉄骨柱22及び鉄骨柱24と、ラチス材26と、断熱材28と、永久磁石32とを有する。鉄骨柱22及び鉄骨柱24は、建物10の外壁パネル16に対する屋内側で建物10の内外方向と交差する交差方向に並んで立設されている。ラチス材26は、内外方向に貫通した貫通部31を鉄骨柱22及び鉄骨柱24とで形成すると共に、鉄骨柱22と鉄骨柱24とを連結する。断熱材28は、外壁パネル16とラチス材26との間に配置され交差方向に延在される断熱部42と、断熱部42から外側へ延出され鉄骨柱22及び鉄骨柱24に取付けられる取付部44とを備え、貫通部31を通過可能に形成されている。永久磁石32は、鉄骨柱22及び鉄骨柱24に取付部44を取付ける。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火壁構造及び耐火壁構造の施工方法に関する。
特許文献1の耐火被覆構造では、外壁に近接している鉄骨柱にコ字状に折曲げられた耐火ボードが巻付けられ、鉄骨柱の三面が覆われている。
特開2015−63877号公報
一対の柱を連結するラチス材と外壁材との間に、吹付けを行わずに断熱材を設けた耐火壁構造がある。この耐火壁構造を施工する場合には、ラチス材で連結された一対の柱を立設した後で、断熱材をラチス材の屋外側に配置してから、外壁材を設ける施工方法が用いられている。しかし、この施工方法では、外壁材が設けられる前に断熱材を配置するので、外壁材の配置を考慮しながら断熱材を配置しなくてはならず、断熱材を配置する作業が煩雑になる。つまり、断熱材を有する耐火壁構造において、施工性を向上させるには、改善の余地がある。
本発明は、断熱材を有する耐火壁構造において、施工性を向上させることが目的である。
第1態様に係る耐火壁構造は、建物の外壁材に対する屋内側で該建物の内外方向と交差する交差方向に並んで立設された一対の鉄骨柱と、前記内外方向に貫通した貫通部を前記鉄骨柱とで形成すると共に、前記一対の鉄骨柱を連結するラチス材と、前記外壁材と前記ラチス材との間に配置され前記交差方向に延在される断熱部と、該断熱部から外側へ延出され前記一対の鉄骨柱に取付けられる取付部とを備え、前記貫通部を通過可能に形成された断熱材と、前記一対の鉄骨柱に前記取付部を取付ける取付手段と、を有する。
第1態様に係る耐火壁構造では、外壁材に対する屋内側で立設された一対の鉄骨柱が、ラチス材で連結されている。そして、ラチス材と鉄骨柱とで貫通部が形成されている。なお、ラチス材とは、柱や梁などの間にジグザグ状に渡された補強材のことを意味する。この状態において、断熱材が、ラチス材に対する屋内側から貫通部を通過して外壁材とラチス材との間に配置される。さらに、断熱材の取付部が、取付手段によって一対の鉄骨柱に取付けられる。このように、外壁材、一対の鉄骨柱及びラチス材が設けられた後で、ラチス材に対する屋内側から、ラチス材と外壁材との間に断熱材を取付ける作業を行える。このため、外壁材が配置される前に、外壁材の配置を考慮しながら断熱材の配置を行う必要がなくなる。つまり、断熱材の配置作業を屋内側から簡単に行うことができるので、断熱材を有する耐火壁構造において、施工性を向上させることができる。
第2態様に係る耐火壁構造には、前記外壁材、前記鉄骨柱及び前記断熱材に接触し、前記外壁材と前記鉄骨柱との間で断熱する補助断熱材が設けられている。
第2態様に係る耐火壁構造では、外壁材と鉄骨柱との間に補助断熱材が配置される。さらに、補助断熱材は、外壁材とラチス柱との間に配置された断熱材と接触する。これにより、外壁材と一対の鉄骨柱との間の空間に、断熱材及び補助断熱材が連続して配置されることになるので、補助断熱材を配置しない構成に比べて、耐火壁構造の断熱性能を高めることができる。
第3態様に係る耐火壁構造の前記取付手段は、前記一対の鉄骨柱とで前記取付部を挟むことで前記取付部を取付ける永久磁石を有する。
第3態様に係る耐火壁構造では、取付部が、永久磁石と鉄骨柱とで挟まれることで、永久磁石と鉄骨柱との引合う力によって、鉄骨柱に取付けられる。言い換えると、鉄骨柱に取付部を接触させた状態で永久磁石を取付部に近づけるだけで、永久磁石と鉄骨柱とが引合って取付部が取付けられるので、一対の鉄骨柱に断熱材を取付ける作業を簡単に行うことができる。なお、永久磁石とは、外部から磁場や電流の供給を受けずに、磁石としての性質を保持し続ける物体を意味する。
第4態様に係る耐火壁構造の施工方法は、第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の耐火壁構造の施工方法であって、前記断熱材を、前記ラチス材に対する屋内側から前記貫通部を通過させて前記外壁材と前記ラチス材との間に配置する第1工程と、前記外壁材と前記ラチス材との間に配置された前記断熱材の前記取付部を、前記取付手段を用いて前記一対の鉄骨柱に取付ける第2工程と、を有する。
第4態様に係る耐火壁構造の施工方法では、外壁材に対する屋内側で立設された一対の鉄骨柱が、ラチス材で連結されている。この状態において、断熱材が、ラチス材に対する屋内側から貫通部を通過されて外壁材とラチス材との間に配置される(第1工程)。さらに、断熱材の取付部が、取付手段によって一対の鉄骨柱に取付けられる(第2工程)。このように、外壁材、一対の鉄骨柱及びラチス材が設けられた後で、ラチス材に対する屋内側から、ラチス材と外壁材との間に断熱材を取付ける作業を行える。このため、外壁材が配置される前に、外壁材の配置を考慮しながら断熱材の配置を行う必要がなくなる。つまり、断熱材の配置作業を屋内側から簡単に行うことができるので、断熱材を有する耐火壁構造において、施工性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明に係る耐火壁構造及び耐火壁構造の施工方法では、断熱材を有する耐火壁構造において、施工性を向上させることができる。
本実施形態に係る耐火壁構造の構成図である。 本実施形態に係る耐火壁構造の正面図である。 本実施形態に係る断熱材の横断面図である。 本実施形態に係る鉄骨柱に断熱材を取付けた状態を示す説明図である。 (A)本実施形態に係る断熱材を取付ける前の鉄骨柱の周辺部を示す説明図であり、(B)本実施形態に係るラチス材の貫通部に断熱材を挿入する状態を示す説明図であり、(C)本実施形態に係る断熱材が鉄骨柱に取付けられた状態を示す説明図である。
本実施形態に係る耐火壁構造及び耐火壁構造の施工方法の一例について説明する。
〔全体構成〕
図1には、建物10に適用された耐火壁構造20が示されている。耐火壁構造20の詳細については後述する。なお、以後の説明では、建物10の桁方向をX方向、妻方向をY方向、上下方向(高さ方向)をZ方向と称する。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する。建物10は、一例として、基礎上に柱部12と図示しない梁部とを組み上げた鉄骨軸組構造の躯体と、Z方向に立設された外壁部14とを含んで構成されている。
図2に示す柱部12は、後述する鉄骨柱22及び鉄骨柱24を含んで構成されている。柱部12のZ方向の下端部は、基礎梁13に連結されている。柱部12のZ方向の上端部は、連結部材37を介して天井梁15に連結されている。なお、本実施形態では、Y方向が建物10の内外方向の一例として設定されており、X方向がY方向と交差(直交)する交差方向の一例として設定されている。
図1に示す外壁部14は、外壁材の一例としての複数の外壁パネル16で構成されている。それぞれの外壁パネル16は、X方向に所定の幅でZ方向の長さが建物10の階高に応じた長さとされており、図示しない外壁フレームに取付けられている。それぞれの外壁パネル16の目地18には、一例として、バッカー材19A及び耐火目地材19Bが設けられている。なお、図1に示す2箇所の目地18は、一例として、後述する鉄骨柱22及び鉄骨柱24とY方向に並んでいる。外壁パネル16には、一例として、軽量気泡コンクリートで構成されたALC外壁が用いられている。
〔要部構成〕
次に、耐火壁構造20について説明する。
耐火壁構造20は、一例として、一対の鉄骨柱の一例としての鉄骨柱22及び鉄骨柱24と、ラチス材26と、断熱材28と、取付手段の一例としての永久磁石32とを有する。また、耐火壁構造20には、補助断熱材34、35と、耐火被覆材36と、石膏ボード38とが設けられている。なお、鉄骨柱22及び鉄骨柱24と、ラチス材26とを合わせて耐力壁21と称する。図1では、ラチス材26を簡略化して示している。
<鉄骨柱>
図1に示す鉄骨柱22及び鉄骨柱24は、外壁パネル16に対するY方向の屋内側で、X方向に所定の間隔(長さL1)をあけて並び、Z方向に立設されている。また、鉄骨柱22及び鉄骨柱24は、一例として、角形鋼で構成されており、それぞれ大きさ及び形状が同様とされている。鉄骨柱22及び鉄骨柱24と外壁パネル16とのY方向の間隔の長さをL2とする。
鉄骨柱22は、Y方向の屋外側(外壁パネル16側)の側面22Aと、屋内側の側面22Bと、X方向の一方側(鉄骨柱24と対向する側)の側面22Cと、他方側(鉄骨柱24側とは反対側)の側面22Dとを有する。側面22Aから側面22BまでのY方向の長さをL3とする。また、側面22Cから側面22DまでのX方向の長さをL4とする。
鉄骨柱24は、Y方向の屋外側(外壁パネル16側)の側面24Aと、屋内側の側面24Bと、X方向の一方側(鉄骨柱22側とは反対側)の側面24Cと、他方側(鉄骨柱22と対向する側)の側面24Dとを有する。側面24Aから側面24BまでのY方向の長さはL3とされている。また、側面24Cから側面24DまでのX方向の長さはL4とされている。なお、鉄骨柱22と鉄骨柱24との間隔(長さL1)は、側面22Cから側面24DまでのX方向の長さを意味する。
図2に示す鉄骨柱22及び鉄骨柱24のZ方向の上端部には、既述のように、連結部材37が設けられている。連結部材37は、図示しないボルト及びナットにより、建物10の天井梁15に締結固定されている。また、鉄骨柱22及び鉄骨柱24のZ方向の下端部は、既述のように、建物10の基礎梁13に設けられた図示しないアンカーにボルトを用いて締結固定されている。
<ラチス材>
図2に示すラチス材26は、一例として、丸鋼を曲げ加工することで形成されている。ラチス材26の形状は、Y方向から見た場合に、Z方向に連続する台形波状とされている。具体的には、ラチス材26は、鉄骨柱22側でZ方向に延びる複数の直線部26Aと、鉄骨柱24側でZ方向に延びる複数の直線部26Bと、直線部26A、26Bの端部に連続し直線部26A、26Bに対して斜め方向に延びる複数の傾斜部26Cとを有する。直線部26Bは、直線部26AよりもZ方向に短い。
直線部26Aには、ラチスコマ27が設けられている。ラチスコマ27は、一例として、X方向を板厚方向とする金属板状に形成されており、直線部26AのZ方向の中央部に対して鉄骨柱22側に配置されている。ラチスコマ27のZ方向の長さは、直線部26AのZ方向の長さよりも短い。ここで、ラチスコマ27が側面22Cに接合され、直線部26Bが側面24Dに接合されることにより、ラチス材26が鉄骨柱22と鉄骨柱24とをX方向に連結している。
ラチス材26と鉄骨柱22とで囲まれた空間部、及びラチス材26と鉄骨柱24とで囲まれた空間部を貫通部31と称する。言い換えると、ラチス材26は、貫通部31を有する。貫通部31は、Y方向から見た場合に台形状の孔部として視認される部位である。また、貫通部31は、ラチス材26をY方向に貫通した部位である。
ラチス材26では、直線部26A、26Bと傾斜部26Cとが交わる部位である屈曲部が塑性ヒンジ部とされている。この塑性ヒンジ部は、地震力などの外力が作用した場合に曲げ変形して振動エネルギーを吸収するエネルギー吸収部に相当し、荷重により断面が降伏することで塑性ヒンジが形成される部位である。また、ラチス材26では、ラチスコマ27が設けられていることで、塑性ヒンジ部の曲げ変形領域が確保されている。
<耐火被覆材>
図1に示す耐火被覆材36は、一例として、ロックウールを含んで構成されている。また、耐火被覆材36は、Z方向から見た場合に、Y方向の屋外側に向けて開口するU字状に配置されている。さらに、耐火被覆材36は、Z方向に沿って、重ならずに接触した状態で複数並べられている。加えて、耐火被覆材36は、外壁パネル16と共に、鉄骨柱22、鉄骨柱24及びラチス材26(補助断熱材34、35及び断熱材28を含む)を囲んでいる。そして、耐火被覆材36の一部は、図示しない溶接ピンを用いて鉄骨柱22及び鉄骨柱24にスタッド溶接により固定されると共に、図示しないビスを用いて外壁パネル16に固定されている。
具体的には、耐火被覆材36は、Z方向から見た場合に、X方向に延びる第1耐火部36Aと、第1耐火部36AのX方向の両端部から屋外側に延びる第2耐火部36Bと、第2耐火部36Bの屋外側の端部からX方向の外側に延びる第3耐火部36Cとを有する。第1耐火部36Aは、鉄骨柱22から鉄骨柱24まで延びており、鉄骨柱22、ラチス材26及び鉄骨柱24をY方向の屋内側から覆っている。第2耐火部36Bは、第1耐火部36Aから外壁パネル16までY方向に延びており、側面22D及び側面24CをX方向に覆っている。第3耐火部36Cは、外壁パネル16の屋内側の側面に接触すると共にX方向に延びている。また、第3耐火部36Cは、外壁パネル16に図示しないビスにより固定されている。
<石膏ボード>
図1に示すように、第1耐火部36Aに対するY方向の屋内側には、石膏ボード38が設けられている。石膏ボード38は、Y方向を厚さ方向として(X−Z面に沿って)配置されている。石膏ボード38のX方向の長さは、一例として、第1耐火部36AのX方向の長さよりも長い。石膏ボード38は、図示しない軽鉄下地に固定されている。
<断熱材>
図1に示すように、断熱材28は、Y方向における外壁パネル16とラチス材26との間で、かつX方向における補助断熱材34と補助断熱材35との間に配置されている。また、図2に示すように、断熱材28は、一例として、Y方向から見た場合に、Z方向に沿って直立するように、Z方向に重ならずに接触した状態で複数並べられている。なお、Z方向に隣合う2つの断熱材28をY方向から見た場合に、上側の断熱材28の下面と下側の断熱材28の上面とが接触する境界面を表す境界線Kは、一例として、X方向に沿って延びている。また、境界線Kは、一例として、ラチス材26のそれぞれのラチスコマ27の位置に合わせて配置されている。
図3に示すように、断熱材28は、建物10(図1参照)に配置された状態でX方向に延在される断熱部42と、断熱部42からX方向の外側へ延出された取付部44とを有する。また、断熱材28は、既述の貫通部31(図2参照)を屋内側から屋外側へY方向に通過可能となるように、全体の大きさ、形状及び材質(変形のしやすさ)が予め設定されている。
(断熱部)
断熱部42は、一例として、Z方向から見た場合に、X方向を長手方向としY方向を短手方向とする略矩形筒状の断面を有する袋体42Aと、袋体42Aの内側に充填されたグラスウール42Bとを有する。袋体42Aは、一例として、ポリエチレン製フィルムで構成されており、グラスウール42Bの充填後に封止されている。また、袋体42AのY方向一方側(屋外側)には、Y方向に貫通した通気用の貫通孔43が複数形成されている。グラスウール42Bは、弾性を有している。これにより、断熱部42は、貫通部31(図2参照)を通過する際の変形が許容されている。なお、グラスウール42Bは、各図において、模式的に示されている。
袋体42A内にグラスウール42Bが充填された状態において、断熱部42のX方向の長さをL5とし、断熱部42のY方向の長さをL6とする。長さL5は、既述の長さL1(図1参照)よりも短い。長さL5は、一例として、既述の長さL2と同程度の長さとされている。
(取付部)
取付部44は、一例として、Z方向から見た場合に、断熱部42のX方向の両端部における屋内側(貫通孔43側とは反対側)の端部である隅部45から、X方向の外側に向けて延出されている。また、取付部44は、一例として、袋体42Aと同様に、屈曲可能なポリエチレン製フィルムで構成されており、袋体42Aと一体化されている。取付部44のうち、X方向の一方側(ラチスコマ27(図1参照)が配置されていない側)を第1取付部46と称し、X方向の他方側(ラチスコマ27が配置されている側)を第2取付部47と称して区別する。
第1取付部46は、Y方向を厚さ方向としX方向に延びる板状に形成されている。第1取付部46のX方向の長さ(断熱部42から延出されている長さ)をL7とする。長さL7は、断熱部42を外壁パネル16とラチス材26との間(図1参照)に配置した場合に、第1取付部46の少なくとも一部が、側面22C(図1参照)と接触可能となる長さに設定されている。
第2取付部47は、Y方向を厚さ方向としX方向に延びる板状に形成されている。第2取付部47のX方向の長さ(断熱部42から延出されている長さ)をL8とする。長さL8は、断熱部42を外壁パネル16とラチス材26との間(図1参照)に配置した場合に、第2取付部47の少なくとも一部が、側面24D(図1参照)と接触可能となる長さに設定されている。また、長さL8は、長さL7よりも短い。
図4に示すように、断熱部42は、Z方向に長い略直方体状に形成されている。断熱部42及び取付部44のZ方向の長さは、一例として、Z方向の下側のラチスコマ27の中央から上側のラチスコマ27の中央までの長さとほぼ等しい長さに設定されている(図2参照)。なお、第1取付部46のZ方向の下端部には、ラチスコマ27を避けるための切欠部48が形成されている。ここで、断熱材28がラチス材26よりも屋外側に配置された状態において、第1取付部46が鉄骨柱22に取付けられ、第2取付部47が鉄骨柱24に取付けられるようになっている。
<永久磁石>
図4に示すように、永久磁石32は、一例として、円板状に形成されている。永久磁石32の直径の長さは、一例として、既述の長さL8(図3参照)よりも短い長さでかつ長さL8の半分以上の長さとなるように設定されている。ここで、第1取付部46は、複数(図示は2個)の永久磁石32を用いて、側面22Cにおけるラチス材26よりも屋外側の部位に、側面22Cと密着するように取付けられている。第2取付部47は、複数(図示は2個)の永久磁石32を用いて、側面24Dにおけるラチス材26よりも屋外側の部位に、側面24Dと密着するように取付けられている。
<補助断熱材>
図1に示す補助断熱材34及び補助断熱材35は、一例として、それぞれ不燃製の繊維系断熱材の集合体であるロックウールを含んで構成されており、袋詰めされて略直方体状(マット状)に形成されている。本実施形態では、一例として、Z方向から見た場合に、補助断熱材34のX方向の長さL9が、補助断熱材35のX方向の長さL10よりも長い。なお、図示は省略するが、補助断熱材34及び補助断熱材35は、それぞれZ方向に、重ならずに接触した状態で複数並べられている。
補助断熱材34は、外壁パネル16と鉄骨柱22との間に配置されており、一例として、外壁パネル16、鉄骨柱22、断熱材28及び耐火被覆材36に接触している。これにより、補助断熱材34は、外壁パネル16と鉄骨柱22との間で断熱するようになっている。また、補助断熱材34のX方向の長さL9は、一例として、鉄骨柱22の長さL4よりも長い。補助断熱材34におけるX方向の他方側(断熱材28側とは反対側)の側面34Aは、Z方向から見た場合に、鉄骨柱22の側面22DとY方向にほぼ揃えられている。つまり、補助断熱材34は、Z方向から見た場合に、鉄骨柱22に対して断熱材28側に突出された状態で、断熱材28と接触している。
補助断熱材35は、外壁パネル16と鉄骨柱24との間に配置されており、一例として、外壁パネル16、鉄骨柱24、断熱材28及び耐火被覆材36に接触している。これにより、補助断熱材35は、外壁パネル16と鉄骨柱24との間で断熱するようになっている。また、補助断熱材35のX方向の長さL10は、一例として、鉄骨柱24の長さL4とほぼ同程度の長さとされている。補助断熱材35におけるX方向の一方側(断熱材28側とは反対側)の側面35Aは、Z方向から見た場合に、鉄骨柱24の側面24CとY方向にほぼ揃えられている。補助断熱材35におけるX方向の他方側(断熱材28側)の側面35Bは、Z方向から見た場合に、鉄骨柱24の側面24DとY方向にほぼ揃えられている。
〔作用〕
次に、本実施形態の作用について説明する。
図5(A)に示すように、ラチス材26により連結された鉄骨柱22及び鉄骨柱24が、Z方向に沿って立設される。また、外壁パネル16が、図示しない外壁フレームに取付けられることで、鉄骨柱22、ラチス材26及び鉄骨柱24に対する屋外側にZ方向に沿って配設される。これにより、鉄骨柱22、ラチス材26及び鉄骨柱24と、外壁パネル16との間に空間部29が形成される。さらに、補助断熱材34及び補助断熱材35が、X方向の外側から外壁パネル16と鉄骨柱22との間、及び外壁パネル16と鉄骨柱24との間に挿入されることで、配置される。
続いて、図5(B)に示すように、断熱材28が、ラチス材26に対する屋内側から貫通部31を通過して、外壁パネル16(図5(A)参照)とラチス材26との間(空間部29)に配置される(第1工程の一例)。
続いて、図5(C)に示すように、断熱材28の第1取付部46が、永久磁石32を用いて鉄骨柱22の側面22Cに取付けられ、第2取付部47が、永久磁石32を用いて鉄骨柱24の側面24Dに取付けられる(第2工程の一例)。これらの工程は、複数の断熱材28のそれぞれについて行われる。
続いて、図1に示すように、鉄骨柱22、24、ラチス材26、補助断熱材34、35及び断熱材28が、耐火被覆材36により屋内側から覆われる。耐火被覆材36の一部は、図示しない溶接ピンを用いて鉄骨柱22及び鉄骨柱24にスタッド溶接される。そして、耐火被覆材36のX方向の両端部(第3耐火部36C)が、外壁パネル16の屋内側に図示しないビスにより固定される。このようにして、耐火壁構造20が出来上がる。なお、耐火被覆材36を設けた後で、耐火被覆材36に対する屋内側に石膏ボード38が設けられる。
以上、説明したように、耐火壁構造20及び耐火壁構造20の施工方法では、外壁パネル16、鉄骨柱22、24及びラチス材26が設けられた後で、ラチス材26に対する屋内側から、ラチス材26と外壁パネル16との間に断熱材28を取付ける作業を行える。このため、外壁パネル16が配置される前に、外壁パネル16の配置を考慮しながら断熱材28の配置を行う必要がなくなる。つまり、断熱材28の配置作業をラチス材26に対する屋内側から簡単に行うことができるので、断熱材28を有する耐火壁構造において、施工性を向上させることができる。
また、耐火壁構造20では、外壁パネル16と鉄骨柱22、24との間に補助断熱材34、35が配置される。さらに、補助断熱材34、35は、外壁パネル16とラチス材26との間に配置された断熱材28と接触する。これにより、外壁パネル16と鉄骨柱22、24との間の空間に、断熱材28及び補助断熱材34、35が、X方向に沿って連続して配置されることになるので、補助断熱材34、35を配置しない構成に比べて、耐火壁構造20の断熱性能を高めることができる。
さらに、耐火壁構造20では、取付部44が、永久磁石32と、鉄骨柱22、24とで挟まれることで、永久磁石32と鉄骨柱22、24との引合う力(磁力)によって、鉄骨柱22、24に取付けられる。言い換えると、鉄骨柱22、24に取付部44を接触させた状態で、永久磁石32を取付部44に近づけるだけで、永久磁石32と鉄骨柱22、24とが引合って、取付部44が取付けられる。これにより、鉄骨柱22、24に断熱材28を取付ける作業を簡単に行うことができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
耐火壁構造20において、補助断熱材34、35を設けずに、断熱材28の一部を外壁パネル16と鉄骨柱22、24との間に押込むように構成してもよい。また、鉄骨柱22、ラチス材26及び鉄骨柱24を単位ユニットとして、この単位ユニットをX方向に2つ以上設けて、それぞれの単位ユニット毎に断熱材28を配置してもよい。さらに、耐火壁構造20において、外壁パネル16、鉄骨柱22、ラチス材26及び鉄骨柱24が並ぶ方向は、X方向に限らず、Y方向であってもよい。
断熱材28は、グラスウールを有するものに限らず、貫通部31を通過可能に変形する他の断熱材を用いることができる。例えば、軟質ウレタンフォーム等の弾性を有する断熱材を用いてもよい。また、断熱材28は、ラチスコマ27の配置に合わせて境界線Kが配置されるものに限らず、ラチスコマ27とは異なる場所に境界線Kが配置されていてもよい。
取付部44は、鉄骨柱22及び鉄骨柱24の互いにX方向に対向する側面22Cと側面24Dとに取付けられるものに限らず、鉄骨柱22及び鉄骨柱24の他の部位に取付けられるものであってもよい。例えば、取付部44は、側面22Aと側面24Aとに取付けられるものであってもよい。
取付手段は、永久磁石32のように、磁力を用いた手段に限らない。例えば、取付部44に孔を形成しておき、鉄骨柱22及び鉄骨柱24に形成されたフック状の部位に、この孔の周縁部を引掛けることで取付けてもよい。永久磁石32は、円板状のものに限らず、棒状や矩形板状など、他の形状のものであってもよい。また、取付手段の他の例として、気密テープ(粘着テープ)を用いて、断熱材28の取付部44を鉄骨柱22及び鉄骨柱24に取付けてもよい。
耐火被覆材36は、ロックウールを含んで構成されるものに限らず、例えば、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)で構成されていてもよい。また、耐火被覆材36は、一体化されたものに限らず、複数の耐火被覆材で構成されていてもよい。
外壁パネル16は、ALC外壁に限らず、公知の各種のコンクリート系パネルで構成されていてもよい。
10 建物
16 外壁パネル(外壁材の一例)
20 耐火壁構造
22 鉄骨柱(一対の鉄骨柱の一例)
24 鉄骨柱(一対の鉄骨柱の一例)
26 ラチス材
28 断熱材
31 貫通部
32 永久磁石(取付手段の一例)
34 補助断熱材
35 補助断熱材
42 断熱部
44 取付部

Claims (4)

  1. 建物の外壁材に対する屋内側で該建物の内外方向と交差する交差方向に並んで立設された一対の鉄骨柱と、
    前記内外方向に貫通した貫通部を前記鉄骨柱とで形成すると共に、前記一対の鉄骨柱を連結するラチス材と、
    前記外壁材と前記ラチス材との間に配置され前記交差方向に延在される断熱部と、該断熱部から外側へ延出され前記一対の鉄骨柱に取付けられる取付部とを備え、前記貫通部を通過可能に形成された断熱材と、
    前記一対の鉄骨柱に前記取付部を取付ける取付手段と、
    を有する耐火壁構造。
  2. 前記外壁材、前記鉄骨柱及び前記断熱材に接触し、前記外壁材と前記鉄骨柱との間で断熱する補助断熱材が設けられた請求項1に記載の耐火壁構造。
  3. 前記取付手段は、前記一対の鉄骨柱とで前記取付部を挟むことで前記取付部を取付ける永久磁石を有する請求項1又は請求項2に記載の耐火壁構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の耐火壁構造の施工方法であって、
    前記断熱材を、前記ラチス材に対する屋内側から前記貫通部を通過させて前記外壁材と前記ラチス材との間に配置する第1工程と、
    前記外壁材と前記ラチス材との間に配置された前記断熱材の前記取付部を、前記取付手段を用いて前記一対の鉄骨柱に取付ける第2工程と、
    を有する耐火壁構造の施工方法。
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