JP2019019335A - 低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低分子量ポリテトラフルオロエチレンを含む粉末であって、前記低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、1×102〜7×105Pa・sの380℃における複素粘度と、分子鎖末端に主鎖炭素数106個あたり5個以下のカルボキシル基と、炭化水素、クロロ化炭化水素、アルコール及びカルボン酸(但し、炭素数が8以上、14以下のパーフルオロカルボン酸を除く)からなる群より選択される少なくとも1種に基づく構造とを有しており、炭素数が8以上、14以下のパーフルオロカルボン酸及びその塩のいずれをも実質的に含まないことを特徴とする粉末(但し、特定の方法により得られるものを除く。)。
【選択図】なし
Description
上記酸素の含有量は、酸素検知紙により確認できる。
上記酸素濃度は、上記密閉容器内に設置した酸素検知剤の色調を調べることにより測定できる。
上記一次融点としては、300℃以上が好ましく、310℃以上がより好ましく、320℃以上が更に好ましい。
上記一次融点は、未焼成のPTFEを示差走査熱量計で測定した場合に、結晶融解曲線上に現れる吸熱カーブの最大ピーク温度を意味する。上記吸熱カーブは、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分の条件で昇温させて得られたものである。
上記比重は、水中置換法により測定することができる。
本発明の製造方法は、工程(3)の後に、更に、上記成形品を粉砕して、上記PTFEの粉末を得る工程を含むこともできる。上記成形品を粗く粉砕してから、更に小さく粉砕してもよい。
低分子量PTFE粉末としては、比表面積が0.5m2/g以上、7.0m2/g未満の比表面積の低いタイプと、比表面積が7.0m2/g以上、20m2/g以下の比表面積の高いタイプがそれぞれ求められている。
比表面積の低いタイプの低分子量PTFE粉末は、例えば塗料等のマトリクス材料に容易に分散する利点がある一方、マトリクス材料への分散粒径が大きく、微分散に劣る。
比表面積の低いタイプの低分子量PTFE粉末の比表面積は、1.0m2/g以上が好ましく、5.0m2/g以下が好ましく、3.0m2/g以下がより好ましい。マトリクス材料としては、プラスチック、インクの他、塗料等も好適に用いられる。
比表面積の高いタイプの低分子量PTFE粉末は、例えば塗料等のマトリクス材料に分散させた場合、マトリクス材料への分散粒径が小さく、塗膜表面の質感を向上させる等、表面を改質する効果が高く、吸油量も多くなるが、マトリクス材料への分散に必要な時間が長い等容易に分散しないおそれがあり、また、塗料等の粘度が上昇するおそれもある。
比表面積の高いタイプの低分子量PTFE粉末の比表面積は、8.0m2/g以上が好ましく、15m2/g以下が好ましく、13m2/g以下がより好ましい。マトリクス材料としては、オイル、グリース、塗料の他、プラスチック等も好適に用いられる。
上記カルボキシル基の数は、後述の実施例で採用した方法により測定した値である。この測定方法による検出限界は0.5個である。
上記カルボキシル基は、例えば、上記PTFEに酸素存在下で上記放射線を照射することにより、上記低分子量PTFEの分子鎖末端に生じる。
CF2=CF−ORf (1)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
内径8mmの円筒状の金型に約0.3gの粉末状のPTFEを充填し、加圧することで、試料としての円盤状の成形体(直径8mm、厚み約3mm)を得た。
上記試料をAnton Paar社の「レオメーターMCR500」の直径10mmのパラレルプレート試験台に挟んだ。試料を挟んだまま、380℃で5分間維持した。その後、プレート間距離を1.5mmに調整し、測定時の変形量15%、剪断速度が0.01(1/s)の振動モードで、380℃における複素粘度を測定した。
なお、パラレルプレートの場合、測定時の変形量とは、試料厚みに対するパラレルプレートの最外周の振動振幅の比率である。
特開平4−20507号公報記載の末端基の分析方法に準拠し、以下の測定を行った。
低分子量PTFE粉末をハンドプレスにて予備成形し、およそ0.1mm厚みのフィルムを作製した。作製したフィルムについて赤外吸収スペクトル分析した。PTFEにフッ素ガスを接触させて作製した末端を完全フッ素化PTFEの赤外吸収スペクトル分析も行い、両者の差スペクトルから次式により末端カルボキシル基の個数を算出した。
末端カルボキシル基の個数(炭素数106個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚み(mm)
カルボキシル基の吸収周波数は3560cm−1、補正係数は440とする。
液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC−MS ACQUITY UPLC/TQD)を用い、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量の測定を行った。測定粉末1gにアセトニトリル5mlを加え、60分間の超音波処理を行い、パーフルオロオクタン酸を抽出した。得られた液相について、MRM(Multiple Reaction Monitoring)法を用いて測定した。移動相としてアセトニトリル(A)と酢酸アンモニウム水溶液(20mmol/L)(B)を、濃度勾配(A/B=40/60−2min−80/20−1min)で送液した。分離カラム(ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm)を使用し、カラム温度は40℃、注入量は5μLとした。イオン化法はESI(Electrospray ionization) Negativeを使用し、コーン電圧は25Vに設定し、プリカーサーイオン分子量/プロダクトイオン分子量は413/369を測定した。パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量は外部標準法を用い、算出した。この測定における検出限界は5ppbである。
液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC−MS ACQUITY UPLC/TQD)を用い、炭素数が8以上14以下のパーフルオロカルボン酸及びその塩を測定した。溶液はパーフルオロオクタン酸の測定にて抽出した液相を使用し、MRM法を用いて測定した。測定条件はパーフルオロオクタン酸の測定条件から、濃度勾配を変更し(A/B=10/90−1.5min−90/10−3.5min)、プリカーサーイオン分子量/プロダクトイオン分子量は、パーフルオロオクタン酸(炭素数8)は413/369、パーフルオロノナン酸(炭素数9)は463/419、パーフルオロデカン酸(炭素数10)は513/469を測定した。炭素数8以上14以下のパーフルオロカルボン酸の合計量は、上記測定より得られたパーフルオロオクタン酸の含有量(X)から下記式を用いて算出した。この測定における検出限界は5ppbである。
(AC8+AC9+AC10)/AC8 × X
AC8:パーフルオロオクタン酸のピーク面積
AC9:パーフルオロノナン酸のピーク面積
AC10:パーフルオロデカン酸のピーク面積
X:MRM法を用いた測定結果から外部標準法を用いて算出したパーフルオロオクタン酸の含有量
密閉容器内に同封した酸素検知紙の色調が青色から桃色に変化することで、酸素濃度が0.1体積%以下(酸素不在)であることを確認した。
バリアナイロン製の袋にPTFEファインパウダー(ASTM D 4895に準拠し、測定した標準比重:2.175)を100g計量し、添加剤としてエタノール2.34gを添加した。
更に、酸素吸着剤として鉄系自力反応型酸素吸着剤(三菱ガス化学社製の酸素検知紙一体型タイプエージレス)を同封し、バリアナイロン製の袋をヒートシールにて、密封した。酸素検知紙により酸素不在であることを確認した後に、袋内のPTFEファインパウダーに室温にてコバルト−60γ線を150kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
添加剤として、エタノールの代わりにn−ヘキサン1.95gを添加した以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末について、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表1に示す。
添加剤として、エタノールの代わりに3−メチルペンタン1.98gを添加した以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末について、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表1に示す。
エタノールを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末について、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様のバリアナイロン製の袋に、実施例1と同じPTFEファインパウダーのみを100g計量し、ヒートシールを用いて、密封した。
袋内のPTFEファインパウダーに室温にてコバルト−60γ線を150kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末について、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1と同様のバリアナイロン製の袋に、実施例1と同じPTFEファインパウダーを100g計量し、添加剤としてエタノール2.34gを添加した。次いで、袋内を窒素ガスで10回置換し、袋内を窒素雰囲気にした後、ヒートシールを用いて、密封した。置換に用いた不活性ガス中の酸素濃度は50ppmであった。
袋内に予め設置しておいた酸素検知紙により、袋内が酸素不在であることを確認した後に、袋内のPTFEファインパウダーに室温にてコバルト−60γ線を150kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末について、実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表1に示す。
国際公開第2009/020187号の実施例2に従い、連鎖移動剤存在下で乳化重合を行い、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末について、赤外分光法にて末端カルボキシル基数を求めたところ、主鎖炭素数106個あたり7個であった。
連鎖移動剤として添加したエタンの量を0.22gとした以外は、特開平8−339809号公報の調製例2に従い、連鎖移動剤存在下で乳化重合を行い、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末について、赤外分光法にて末端カルボキシル基数を求めたところ、主鎖炭素数106個あたり15個であった。
PFC:炭素数が8以上、14以下のパーフルオロカルボン酸及びその塩
PFOA:パーフルオロオクタン酸及びその塩
Claims (2)
- 低分子量ポリテトラフルオロエチレンを含む粉末であって、
前記低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、
1×102〜7×105Pa・sの380℃における複素粘度と、分子鎖末端に主鎖炭素数106個あたり5個以下のカルボキシル基と、炭化水素、クロロ化炭化水素、アルコール及びカルボン酸(但し、炭素数が8以上、14以下のパーフルオロカルボン酸を除く)からなる群より選択される少なくとも1種に基づく構造とを有しており、
炭素数が8以上、14以下のパーフルオロカルボン酸及びその塩のいずれをも実質的に含まない
ことを特徴とする粉末(但し、テトラフルオロエチレンモノマーを、アセトン単独又はアセトンを主として含む混合溶媒中に、前記モノマー濃度が40容量%以下になるように加えて反応系を造り、酸素を完全に近い状態に除去した後、−130℃〜室温の温度に保持しながらイオン放射線を2Mrad以下照射して、数平均分子量が7,000〜200,000で粒径が5ミクロンより小さいポリテトラフルオロエチレン微粉末を製造する方法により得られるものを除く。)。 - 前記パーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量が25ppb未満である請求項1記載の粉末。
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