JP7261422B2 - 低分子量ポリテトラフルオロエチレンの製造方法、及び、粉末 - Google Patents
低分子量ポリテトラフルオロエチレンの製造方法、及び、粉末 Download PDFInfo
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Description
パーフルオロオクタン酸及びその塩のいずれをも実質的に含まず、
上記低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、1×102~7×105Pa・sの380℃における溶融粘度を有し、電子スピン共鳴法で測定して得られる一次微分型スペクトルにおいて、g値が2.014~2.016の範囲における負の信号の最大強度P1と、g値が2.006~2.008の範囲における負の信号の最大強度P2との比(P1/P2)が3.30以下であり、かつ、P2と、正の信号の最大強度P0との比(P2/P0)が0.260~0.450である粉末にも関する。
従来の照射条件で高分子量PTFEに放射線を照射した場合、炭素数が8のパーフルオロオクタン酸又はその塩が25ppb以上生成してしまう。
本開示の製造方法では、実質的に酸素の不存在下で高分子量PTFEに放射線を照射することから、パーフルオロオクタン酸及びその塩が生成しにくい。また、通常、酸素不存在下で照射を行うと低分子量PTFEを得ることが容易ではないが、本開示の製造方法においては、特定の線量で照射を行うことで、酸素不存在下であっても、低分子量PTFEを得ることができる。
また、本開示の製造方法によれば、炭素数4~14のパーフルオロカルボン酸及びその塩も生成しにくい。
また、本開示の製造方法は、照射によって生じた上記パーフルオロカルボン酸及びその塩を分解するための追加の工程、例えば熱処理工程等も必要としない。
また、本開示の製造方法によれば、炭素数4~14のパーフルオロスルホン酸及びその塩も生成しにくい。
また、本開示の製造方法によれば、加熱しても着色しにくい(白色度が高く、黄色味が少ない)低分子量PTFEを製造することができる。
また、本開示の製造方法によれば、マトリクス材料(特に、ポリカーボネート等の樹脂)に添加した場合に、引張強度に優れた製品を与えることができる低分子量PTFEを製造することができる。
上記線量としては、300kGy以上が好ましく、350kGy以上がより好ましく、400kGy以上が更に好ましい。また、1000kGyが好ましく、700kGy以下がより好ましく、650kGy以下が更に好ましい。
上記線量は、吸収線量を意味する。
上記酸素濃度は、工程を実施する空間内の気相部分をガスクロマトグラフィーにて分析する方法、酸素濃度計を用いる方法、又は、上記空間内に設置した酸素検知剤の色調を調べる方法により測定できる。
上記酸素の含有量は、ガスクロマトグラフィーでの分析の他、酸素濃度計や酸素検知紙により確認できる。
上記ハロゲン化ポリマーには、フッ素原子以外のハロゲン原子とともに、フッ素原子を有するポリマーも包含される。
上記ハロゲン化ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等の、塩素原子を有するポリマーが挙げられる。
実質的に上記ハロゲン化ポリマーが不存在であるとは、上記ハロゲン化ポリマーの存在量が、上記高分子量PTFEに対し、0.001質量%未満であることを意味する。上記存在量は、0.0001質量%以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、検出限界未満の量であってよい。
上記炭化水素としては、例えば、炭素数が1~20の飽和炭化水素が挙げられる。
上記クロロ化炭化水素としては、例えば、炭素数が1~18の飽和炭化水素のクロロ化物が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、炭素数が1~12の一価の飽和アルコールが挙げられる。
上記カルボン酸としては、例えば、炭素数が1~13の飽和モノカルボン酸が挙げられる。
実質的に上記化合物が不存在であるとは、上記化合物の存在量(合計量)が、上記高分子量PTFEに対し、0.001質量%未満であることを意味する。上記存在量は、0.0001質量%以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、検出限界未満の量であってよい。
上記一次融点としては、300℃以上が好ましく、310℃以上がより好ましく、320℃以上が更に好ましい。
上記一次融点は、未焼成の高分子量PTFEを示差走査熱量計で測定した場合に、結晶融解曲線上に現れる吸熱カーブの最大ピーク温度を意味する。上記吸熱カーブは、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分の条件で昇温させて得られたものである。
上記比重は、水中置換法により測定することができる。
また、工程(1)における照射の開始以降、上記高分子量PTFE及び上記低分子量PTFEを上記温度下に、30分以上置かないことが好ましく、10秒以上置かないことも好ましい。
上記溶融粘度は、1.5×103Pa・s以上であることが好ましく、また、3.0×105Pa・s以下であることが好ましく、1.0×105Pa・s以下であることがより好ましく、9.0×104Pa・s以下であることが更に好ましい。
上記パーフルオロオクタン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
また、上記高分子量PTFEは、PTFEファインパウダー又はPTFEモールディングパウダーであってもよい。上記PTFEファインパウダーは、テトラフルオロエチレン(TFE)を乳化重合することによりPTFE水性分散液を得た後、PTFE水性分散液中のPTFE一次粒子を凝集させて得られるパウダー(二次粒子)である。また、上記PTFEモールディングパウダーは、TFEを懸濁重合することにより得られるパウダーである。上記切削屑は、より具体的には、上記モールディングパウダーを切削加工した場合に生じる切削屑である。上記切削加工は、上記モールディングパウダーの成形加工の際に、公知の方法にて行うことができる。なお、上記切削屑は、公知の方法にて洗浄、粗粉砕したものであってもよい。上記PTFEファインパウダー及び上記PTFEモールディングパウダーは、いずれも、重合により得た粒子を公知の方法により造粒して得られたものであってもよい。上記高分子量PTFEがPTFEファインパウダーであると、上記低分子量PTFEの粉末を容易に得ることができる。
低分子量PTFE粉末としては、比表面積が0.5m2/g以上、7.0m2/g未満の比表面積の低いタイプと、比表面積が7.0m2/g以上、20m2/g以下の比表面積の高いタイプがそれぞれ求められている。
比表面積の低いタイプの低分子量PTFE粉末は、例えば塗料等のマトリクス材料に容易に分散する利点がある一方、マトリクス材料への分散粒径が大きく、微分散に劣る。
比表面積の低いタイプの低分子量PTFE粉末の比表面積は、1.0m2/g以上が好ましく、5.0m2/g以下が好ましく、3.0m2/g以下がより好ましい。マトリクス材料としては、プラスチック、インクの他、塗料等も好適に用いられる。
比表面積の高いタイプの低分子量PTFE粉末は、例えば塗料等のマトリクス材料に分散させた場合、マトリクス材料への分散粒径が小さく、塗膜表面の質感を向上させる等、表面を改質する効果が高く、吸油量も多くなるが、マトリクス材料への分散に必要な時間が長い等容易に分散しないおそれがあり、また、塗料等の粘度が上昇するおそれもある。
比表面積の高いタイプの低分子量PTFE粉末の比表面積は、8.0m2/g以上が好ましく、25m2/g以下が好ましく、20m2/g以下がより好ましい。マトリクス材料としては、オイル、グリース、塗料の他、プラスチック等も好適に用いられる。
上記カルボキシ基の数は、下記方法により測定した値である。この測定方法による検出限界は0.5個である。
(測定方法)
特開平4-20507号公報記載の末端基の分析方法に準拠し、以下の測定を行う。
低分子量PTFE粉末をハンドプレスにて予備成形し、およそ0.1mm厚みのフィルムを作製する。作製したフィルムについて赤外吸収スペクトル分析する。PTFEにフッ素ガスを接触させて作製した末端を完全フッ素化したPTFEの赤外吸収スペクトル分析も行い、両者の差スペクトルから次式により末端カルボキシ基の個数を算出する。
末端カルボキシ基の個数(炭素数106個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚み(mm)
カルボキシ基の吸収周波数は3560cm-1、補正係数は440とする。
CF2=CF-ORf (1)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
また、本開示の粉末は、マトリクス材料(特に、ポリカーボネート等の樹脂)に添加した場合に、引張強度に優れた製品を与えることができる。
上述したハロゲン化ポリマー、アルコール等の化合物の存在下に高分子量PTFEに放射線を照射して得られる低分子量PTFEや、酸素の存在下に高分子量PTFEに放射線を照射して得られる低分子量PTFEは、上記の特定の信号を示さない。これらの製法で得られる低分子量PTFE中に含まれるラジカルの構造や割合は、本開示の粉末における低分子量PTFEとは相違すると推定される。
測定条件は、以下のとおりである。
装置:日本電子株式会社(JEOL)製、JES-FR30EX
測定温度:23±3℃
マイクロ波周波数:9.42GHz
マイクロ波出力:0.4mW
中心磁場:347.548mT
掃引幅:±25mT
掃引時間:60s
時定数:0.03s
磁場変調幅:0.32mT
スキャン回数:1回
変調周波数:100kHz
マーカー:Mn2+
上記補正信号強度は、下記式:
補正信号強度(mg-1)=Int.[PTFE]/Int.[Mn2+]/サンプル質量(mg)
(式中、Int.[PTFE]はサンプルの補正前の信号強度、Int.[Mn2+]はマーカーの信号強度)で定義される。
本明細書では、特に断りのない限り、PTFEのESRスペクトルの信号について単に強度というときは、上記補正信号強度を指すものとする。
ESR信号のg値は、下記式:
g=hν/βH
(式中、hはプランク定数、νは測定電磁波の周波数、βはボーア磁子、Hは信号が得られる磁場強度)で定義される。
上記g値としては、マーカーとして用いたMn2+の6本のピークのうち、低磁場側から3本目及び4本目のピークに対応する既知のg値2.034及び1.981を基準として補正した値を用いる。
上記ESRスペクトルのベースラインがずれる場合は、g値が2.05及び1.98付近の信号強度がおよそ0となるようにベースライン補正を行う。
上記ESRスペクトルにおいて、正の信号とは、上記スペクトルの正の領域(ベースラインの上側)に現れる信号を意味し、負の信号とは、上記スペクトルの負の領域(ベースラインの下側)に現れる信号を意味する。
ここで、上記最大強度とは、上記範囲における負の信号の強度の絶対値の最大値を意味する。P1及びP2を有する信号は、それぞれ、範囲1及び範囲2における極小点に対応する信号であってよい。
下記式:
実質的に酸素不存在下で照射を行うと、下記式:
他方、酸素存在下の照射では、ラジカル1及びラジカル2が生成するが、ラジカル2の一部は照射によって分解されてラジカル1に変化するため、ラジカル1の割合が比較的多くなる傾向にある。
上記比P1/P2は、3.25以下であることが好ましく、また、0.80以上であることが好ましく、1.00以上であることがより好ましく、1.10以上であることが更に好ましい。
実質的に酸素の不存在下で高分子量PTFEに放射線を照射することにより、上記比P1/P2を3.30以下にすることができる。
ここで、上記P0は、正の信号の強度の絶対値の最大値を意味する。上記P0を有する信号は、上記ESRスペクトルの正の領域における極大点に対応する信号であってよい。
上記比P2/P0は、0.265以上であることが好ましい。
実質的に酸素の不存在下で高分子量PTFEに放射線を照射することにより、上記比P2/P0を0.260以上にすることができる。
上記比P2/P0は、0.400以下であることが好ましい。
実質的にハロゲン化ポリマー、アルコール等の化合物の不存在下であっても、高分子量PTFEに放射線を照射することにより、上記比P2/P0を0.450以下にすることができる。
上記比P1/P0が上記範囲内であることは、低分子量PTFE全体に対し、ラジカル1が特定の水準の量存在することを意味する。
実質的に酸素の不存在下で高分子量PTFEに放射線を照射したり、実質的にハロゲン化ポリマー、アルコール等の化合物の不存在下で高分子量PTFEに放射線を照射したりすることにより、上記比P1/P0を上記範囲内にすることができる。
上記P0を有する正の信号に対応するこれらのg値は、PTFEに特有の値である。
ASTM D 1238に準拠し、フローテスター(島津製作所社製)及び2φ-8Lのダイを用い、予め380℃で5分間加熱しておいた2gの試料を0.7MPaの荷重にて上記温度に保って測定を行った。
装置:日本電子株式会社(JEOL)製、JES-FR30EX
測定温度:23±3℃
マイクロ波周波数:9.42GHz
マイクロ波出力:0.4mW
中心磁場:347.548mT
掃引幅:±25mT
掃引時間:60s
時定数:0.03s
磁場変調幅:0.32mT
スキャン回数:1回
変調周波数:100kHz
マーカー:Mn2+
液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC-MS ACQUITY UPLC/TQD)を用い、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量の測定を行った。測定粉末1gにアセトニトリル5mlを加え、60分間の超音波処理を行い、パーフルオロオクタン酸を抽出した。得られた液相について、MRM(Multiple Reaction Monitoring)法を用いて測定した。移動相としてアセトニトリル(A)と酢酸アンモニウム水溶液(20mmol/L)(B)を、濃度勾配(A/B=40/60-2min-80/20-1min)で送液した。分離カラム(ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm)を使用し、カラム温度は40℃、注入量は5μLとした。イオン化法はESI(Electrospray ionization) Negativeを使用し、コーン電圧は25Vに設定し、プリカーサーイオン分子量/プロダクトイオン分子量は413/369を測定した。パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量は外部標準法を用い、算出した。この測定における検出限界は5ppbである。
密閉容器内の気層部分をガスクロマトグラフィーにて分析することにより測定した。更に、密閉容器内に同封した酸素検知紙の色調が青色から桃色に変化することで、酸素濃度が0.1体積%以下(酸素不在)であることを確認した。
バリアナイロン製の袋にPTFEファインパウダー(ASTM D 4895に準拠し、測定した標準比重:2.175、PFOAの濃度は検出限界未満である)を50g計量した。
更に、酸素吸着剤として鉄系自力反応型酸素吸着剤(三菱ガス化学社製エージレスZP-100)を同封し、バリアナイロン製の袋をヒートシールにて、密封した。袋内に予め設置しておいた酸素検知紙により酸素不在であることを確認した後に、袋内のPTFEファインパウダーに20~45℃の雰囲気温度にてコバルト-60γ線を300kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。なお、照射時の雰囲気温度は、照射発熱も含めた温度である(以下の実施例及び比較例も同様)。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を測定した。上記各種物性の測定は、照射終了後、袋を開封し、粉末を空気中に30分程度保持してから実施した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図2に示す。
コバルト-60γ線を400kGy照射したこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図3に示す。
コバルト-60γ線を500kGy照射したこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図4に示す。
コバルト-60γ線を300kGy照射する際の袋内の酸素濃度を0.2体積%としたこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
コバルト-60γ線を400kGy照射したこと以外は実施例4と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
コバルト-60γ線を200kGy照射したこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図5に示す。
バリアナイロン製の袋にPTFEファインパウダー(ASTM D 4895に準拠し、測定した標準比重:2.175、PFOAの濃度は検出限界未満である)を50g計量した。次いで、袋内を窒素ガスで10回置換した後、空気(酸素:窒素=21:79(体積%))で5回置換し、袋内を空気雰囲気にした後、ヒートシールを用いて、密封した。袋内のPTFEファインパウダーに20~45℃の雰囲気温度にてコバルト-60γ線を300kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図6に示す。
コバルト-60γ線を400kGy照射したこと以外は比較例2と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図7に示す。
コバルト-60γ線を500kGy照射したこと以外は比較例2と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図8に示す。
バリアナイロン製の袋にPTFEファインパウダー(ASTM D 4895に準拠し、測定した標準比重:2.175、PFOAの濃度は検出限界未満である)を45g計量し、ハロゲン化ポリマーとしてPCTFE(ダイキン工業社製PCTFE M-400H)5gを添加した。次いで、袋内を窒素ガスで10回置換し、袋内を窒素雰囲気にした後、ヒートシールを用いて、密封した。置換後の密閉袋内の酸素濃度は50ppmであった。
更に、袋内に予め設置しておいた酸素検知紙により、袋内が酸素不在であることを確認した後に、袋内のPTFEファインパウダーに20~45℃の雰囲気温度にてコバルト-60γ線を200kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
また、ESR測定により得られた一次微分型スペクトルを図9に示す。
実施例1、3及び比較例5で得られた低分子量PTFE粉末について、色差計(日本電色工業社製、ZE 6000、光源:C光源)を用いてb値及びZ値を測定した。
また、実施例1、3及び比較例5で得られた低分子量PTFE粉末をアルミカップに1g入れ、150℃で15時間加熱した。その後冷却して1日放置した粉末について、上記と同様にb値及びZ値を測定した。
結果を表2に示す。
b値が大きいほど黄色味が強いことを示し、Z値が大きいほど白色度が高いことを示す。
実施例1、3及び比較例5で得られた低分子量PTFE粉末300gとポリカーボネート(PC)2700gとを混合し、260℃で二軸押出機にて混練し、低分子量PTFEを10質量%含有するPCペレットを得た。上記PCペレットを120℃で15時間加熱して乾燥後、280℃で射出成型機にてプレートを作製した。
上記プレートについて、実施例4と同様に色差計を用いてb値及びZ値を測定した。
また、上記プレートについて、オートグラフ(島津製作所製)により引張強度を測定した。
結果を表3に示す。
表中、b値は加熱前の低分子量PTFE粉末のb値(実施例6、7及び比較例6で測定した値)との差を示している。
PC製品において、黄色味や白色度の変化は意匠性の観点から好ましくなく、強度低下は耐久性の観点から好ましくない。
Claims (8)
- 実質的に酸素の不存在下で、高分子量ポリテトラフルオロエチレンに320℃以下の温度で250kGy以上の放射線を照射して、380℃における溶融粘度が1.0×102~7.0×105Pa・sである低分子量ポリテトラフルオロエチレンを得る工程(1)を含む低分子量ポリテトラフルオロエチレンの製造方法。
- 前記高分子量ポリテトラフルオロエチレンは、標準比重が2.130~2.230である請求項1記載の製造方法。
- 前記高分子量ポリテトラフルオロエチレン及び前記低分子量ポリテトラフルオロエチレンがいずれも粉末である請求項1又は2記載の製造方法。
- 工程(1)の前に、更に、前記高分子量ポリテトラフルオロエチレンを、その一次融点以上に加熱することにより成形品を得る工程(3)を含み、前記成形品は、比重が1.0g/cm3以上である請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1~4のいずれかに記載の製造方法により得られる低分子量ポリテトラフルオロエチレン。
- 低分子量ポリテトラフルオロエチレンを含む粉末であって、
パーフルオロオクタン酸及びその塩のいずれをも実質的に含まず、
前記低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、1×102~7×105Pa・sの380℃における溶融粘度を有し、電子スピン共鳴法で測定して得られる一次微分型スペクトルにおいて、g値が2.014~2.016の範囲における負の信号の最大強度P1と、g値が2.006~2.008の範囲における負の信号の最大強度P2との比(P1/P2)が3.30以下であり、かつ、P2と、正の信号の最大強度P0との比(P2/P0)が0.260~0.450である粉末。 - パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が25質量ppb未満である請求項6記載の粉末。
- 比表面積が0.5~20m2/gである請求項6又は7記載の粉末。
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