JP2015071793A - 工作機械用樹脂摺動材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 潤滑油下で低摩擦性、耐摩耗性、耐クリープ性に優れ、かつ、高温多湿環境下においても、摺接する金属相手材を錆により黒色に変色させない樹脂摺動材を提供する。
【解決手段】 金属相手材と油潤滑下にて摺接し、PTFE樹脂を主成分とする工作機械用樹脂摺動材に、金属相手材の素材金属より標準単極電位が低く、かつ、銅−アルミニウム系の銅合金を除く金属の粉末を配合する。あるいは、この樹脂摺動材に、更に再生PTFE樹脂粉末を配合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、油潤滑下にて往復運動する工作機械のベッド部等の摺動面に使用される工作機械用樹脂摺動材に関するものである。
前記工作機械としては平面研削盤、円筒研削盤などがあるが、これら工作機械の前記ベッド部等の摺動面でスティックスリップが発生すると、製品の加工精度が低下する。そのため、摺動面には、安定した低摩擦性、かじり(機械の摺動部に引っかき傷がつくこと)や焼きつきの防止等を目的としてポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEとする)樹脂を主成分とするシート状の樹脂摺動材が接着されている。この樹脂摺動材は、耐摩耗性、耐クリープ性(圧縮により樹脂が縮んで元に戻らなくなることに対する耐性)および前記ベッド部等に接着する際の作業や加工が容易であるように、柔軟性に優れている必要がある。
さて、このPTFE樹脂を主成分とする樹脂摺動材については、特許文献1に記載がある。この特許文献1に開示されている樹脂摺動材は、PTFE樹脂を主成分とし、銅錫合金粉末(球状および不規則状の両方の粉末を含んでいる)およびPTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末を配合させたものである。この樹脂摺動材は、低摩擦性、耐摩耗性、耐クリープ性、柔軟性に優れている。
特開平11−293076号公報
しかし、上記の樹脂摺動材であると、これが摺接する工作機械のベッド部等の相手材が金属製である場合、梅雨などの高温多湿環境下において、錆により変色するという問題がある。具体的には、工作機械のベッド部がミーハナイト鋳鉄であれば黒色に変色する問題がある。また、錆が発生した摺動部は安定した低摩擦性が得られなくなるという問題がある。さらに、工作機械のベッド部に錆が生じれば、加工精度が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記の事情を鑑み、油潤滑下で低摩擦性、耐摩耗性、耐クリープ性に優れ、かつ、高温多湿環境下においても、摺接する金属相手材を錆により変色させない工作機械用樹脂摺動材を提供することを目的とする。
さて、上記の課題を解決するべく、本出願人が特許文献1に記載の従来技術において、工作機械の金属ベッド部が、錆により変色する現象について調査した。これにより、金属ベッド部が錆により変色する原因が、潤滑油の吸湿と、金属ベッド部と摺接する樹脂摺動材中の銅錫合金にあることが判明した。
これは、樹脂摺動材(PTFE樹脂+銅錫合金)とこれが摺接する金属相手材である金属ベッド部(鉄素材)との接触面には、潤滑油が介在しており、この潤滑油の中には吸湿性の高いものがあることが判明したことによる。これは、梅雨等の高温多湿環境下で吸湿した潤滑油が、樹脂摺動材と金属ベッド部との接触面に水分を供給する役割を担うことを意味する。
このように、種々の異なる金属を接触させ、この接触面に電解質溶液(水など)が介在

すると、接触金属のうち、標準単極電位が低い金属、即ちイオン化傾向が大きい金属から電解質溶液中に電子が放出されて接触金属間で酸化還元反応が起こる。この作用により、接触金属のうち、標準単極電位が低い方(電子を電解質溶液へ放出する方)が酸化されて腐食する。
つまり、特許文献1に記載の、標準単極電位が金属ベッド部の素材である鉄よりも高い金属のみを配合した樹脂摺動材(PTFE樹脂+銅錫合金)を用いた工作機械では、上記の現象により、金属ベッド部の方が酸化されて腐食(錆が発生)するため、変色するのである。
そこで、上記のような摺接する金属相手材の酸化による腐食を防止する樹脂摺動材、即ち摺接する金属相手材が錆により変色するのを防止するという前記の課題を解決するため、本発明の樹脂摺動材は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂に金属の粉末を配合し、前記金属の粉末は、前記金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低く、かつ、銅−アルミニウム系の銅合金を除く金属の粉末であることを特徴とする。
上記の樹脂摺動材では、金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低く、かつ、銅−アルミニウム系の銅合金を除く金属の粉末を、PTFE樹脂を主成分とする樹脂摺動材に配合させる。これにより、梅雨時期などに、潤滑油が水分(電解質溶液)を含んで、金属相手材と樹脂摺動材との間で前記した酸化還元反応が生じても、樹脂摺動材の金属の粉末が電子を水分中に放出して酸化される。これにより、金属相手材は酸化されず、腐食が防止される。
また、前記金属の粉末は金属相手材の荷重を受けるため、樹脂摺動材の変形を抑える役割を果たし、耐摩耗性、耐クリープ性を向上させる。また、樹脂摺動材をシート等に加工した際に、金属の粉末が脱落して樹脂摺動材中に空孔ができ、この空孔に潤滑油が入り込んで樹脂摺動材の潤滑を保持する。
上記の本発明の樹脂摺動材では、前記金属の粉末を5〜40体積%とし、より好ましくは、10〜30体積%とする。
この理由は、金属の粉末が5体積%未満であると、樹脂摺動材の耐摩耗性、耐クリープ性が低下し、また、40体積%を超えると、機械的強度、樹脂摺動材の延びのばらつきが大きくなり、ビレット等の成形体にクラックが入るなどして成形性が阻害されるためである。
また、上記の本発明の樹脂摺動材に、前記金属の粉末に加えて、再生PTFE樹脂粉末を配合することができる。
この樹脂摺動材では、樹脂摺動材中に再生PTFE樹脂粉末を配合する。これにより、再生PTFE樹脂粉末を含まない樹脂摺動材と比較すると、より優れた低摩擦性、耐摩耗性、柔軟性を備えたものとなる。
上記の再生PTFE樹脂粉末を配合した本発明の樹脂摺動材では、再生PTFE樹脂粉末の配合割合は5〜35体積%とし、より好ましくは10〜30体積%とする。
これは、再生PTFE樹脂粉末が5体積%未満であると、樹脂摺動材の低摩擦性、柔軟性が低下し、また、35体積%を超えると、樹脂摺動材の密度の低下により機械的強度、伸びのばらつきが大きくなり、耐摩耗性、耐クリープ性が低下するためである。
本発明の樹脂摺動材は、これが摺接する金属相手材の素材金属を鉄とし、この樹脂摺動材に配合する金属の粉末を亜鉛とするのが好ましい。
この樹脂摺動材では、鉄素材の金属相手材と樹脂摺動材との接触面に介在する潤滑油が水分などを含んでも、樹脂摺動材に配合する亜鉛が潤滑油中の水分に電子を放出して酸化されるため、鉄素材の金属相手材は酸化されず、腐食が防止される。この結果、鉄素材の金属相手材が錆により変色するのを防止することができる。
本発明の樹脂摺動材に配合する金属の粉末には、単体金属の粉末だけでなく、合金粉末も使用することが可能である。この場合は、合金粉末に少なくとも金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低い金属を配合させる必要がある。
前記合金粉末には、金属相手材の金属よりも標準単極電位が低い金属と高い金属の両方を混合させたものを使用することができる。
また、この樹脂摺動材では、金属相手材の素材金属を鉄とし、樹脂摺動材に配合する金属の粉末を亜鉛を含む亜鉛合金粉末とすると好ましい。
この樹脂摺動材では、鉄素材の金属相手材と樹脂摺動材との接触面に介在する潤滑油が水分などを含んでも、亜鉛合金粉末中の亜鉛が潤滑油中の水分に電子を放出して酸化するため、鉄素材の金属相手材は酸化されず、腐食が防止される。この結果、鉄素材の金属相手材が錆により変色するのを防止することができる。
さらに、本発明の樹脂摺動材では、金属の粉末に前記の亜鉛合金粉末を使用する場合、銅が配合された亜鉛合金粉末であることが好ましい。
この樹脂摺動材では、合金粉末に配合される銅は延性に富むため、かじり(引っかき傷がつくこと)や焼き付けが起こりにくい特性を持つ。また、合金粉末中の亜鉛は相手部材の素材である鉄よりも標準単極電位が低い。このため、水分存在下で酸化されて表面に酸化物の不動態膜を形成する。この不働態膜は合金粉末中の銅を保護して酸化を防止し、これに伴う変色を防止する。従って、この樹脂摺動材は、相手部材の錆による変色を防ぎ、かつ、自身の酸化による変色も起こりにくい特性をもつ。
本発明の樹脂摺動材では、PTFE樹脂を主成分とし、この樹脂摺動材と摺接する金属相手材の素材金属よりも低い標準単極電位を有する金属の粉末を配合するため、低摩擦性、耐摩耗性、耐クリープ性に優れている。また、高温多湿環境下において、摺接する金属相手材の酸化による腐食を防止して、変色するのを防止することができる。
さらに、本発明を工作機械用摺動材に適用すると、梅雨時などに潤滑油が給水した状態となっても、摺接する工作機械のベッド部等が酸化により腐食して、錆により変色するのが防止される。この結果、工作機械における製品の加工精度を高度に維持させることが可能となる。
本発明を使用した工作機械の作業台の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の樹脂摺動材の使用例について述べる。図1に、本発明のPTFE樹脂を主成分とする樹脂摺動材を使用した工作機械の作業台の一例(断面図)を示す。この作業台は樹脂摺動材1、テーブル2、ベッド部3で主要部が構成され、ベッド部3上をテーブル2がスライドする。このテーブル2のベッド部3と接触する接触面4には、図中散点模様で示すPTFE樹脂を主成分とするシート状の樹脂摺動材1が接着される。
さて、本発明の第1の実施形態は、PTFE樹脂を主成分とする樹脂摺動材に、この樹脂摺動材が摺接する金属相手材の素材金属よりも低い標準単極電位、即ちイオン化傾向が金属相手材の素材金属よりも大きい金属の粉末を配合する。
前記樹脂摺動材の、主成分であるPTFE樹脂や金属の粉末等の原材料の配合手段は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、レディゲミキサー等の混合機を用いて乾式混合することにより行うことができる。
また、前記樹脂摺動材に配合する金属の粉末は、単体の金属、あるいは合金粉末を使用することができる。
単体金属を使用する場合、標準単極電位が摺接する金属相手材の素材金属よりも高い金属を併用しても良い。この場合、標準単極電位が摺接する金属相手材の素材金属よりも低い金属を高い金属よりも多く配合する必要がある。また、合金粉末を使用する場合、標準単極電位が摺接する金属相手材の素材金属よりも低い金属と高い金属を混合したものを使用することができる。この場合、標準単極電位が摺接する金属相手材の素材金属よりも低い金属の配合率は、不純物程度でないことが必要であり、合金粉末の1体積%以上とする。
金属の粉末の粒径は250μm以下(60メッシュパス)であり、好ましくは、150μm以下(100メッシュパス)とされる。これは、金属の粉末の粒径が250μmを超えると、均一分散が困難となり、耐摩耗性、耐クリープ性などの特性の向上が望めなくなるためである。
金属の粉末は、樹脂摺動材が摺接する金属相手材の素材が鉄であれば、この鉄よりも標準単極電位が小さい金属、即ちイオン化傾向が大きい以下の金属を配合する必要がある。
リチウム(Li)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)
具体的には、亜鉛粉末、アルミニウム粉末、マグネシウム粉末、マンガン粉末、クロム粉末、銅−鉄−マンガン合金粉末、銅−亜鉛合金粉末、銅−亜鉛−ニッケル合金粉末、銅−マンガン合金粉末、ステンレス鋼粉末などである。
上記の金属の粉末の内、特に銅と亜鉛を含む合金の粉末(銅−亜鉛合金粉末、銅−亜鉛−ニッケル合金粉末)は、以下の理由から好ましい。
上記合金粉末に混合される銅は延性に富むため、かじりや焼き付けが起こりにくい特性を持つ。また、合金粉末中の亜鉛は金属相手材の素材である鉄よりも標準単極電位が低く、水分存在下で酸化されて表面に酸化物の不働態膜を形成する。この不働態膜は合金粉末中の銅を保護して酸化を防止し、銅の変色、即ち樹脂摺動材の変色を防止することができる。
さて、本実施形態の樹脂摺動材の主成分であるPTFE樹脂は、PTFEの単独重合体からなるフッ素樹脂であって、310〜390℃で軟化する。このため、本実施形態の樹脂摺動材は通常の射出成形では成形することができず、圧縮成形および押出し成形により成形する。
具体的には、例えば、フリーベーキング法、加熱加圧しながら回分式(一定量の原材料を機械に投入し、連続的に製造すること)に圧縮成形するホットモールディング法、ラム押出し成形法等がある。
上記成形法における成形時の雰囲気は、空気、窒素、または、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガス中のいずれであってもよい。
例えば、樹脂摺動材の成形時に、フリーベーキング法を採用した場合を説明する。この成形方法は、PTFE樹脂および各配合物を均一に混合した混合粉末を金型に入れて40〜100MPaの圧力を加えて予備成形した後、金型から取り出した圧縮成形体を360〜380℃で焼成して、成形体を得る。
本発明の第2の実施形態は、PTFE樹脂を主成分とし、金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低い金属の粉末を配合した本発明の樹脂摺動材に、再生PTFE樹脂粉末を配合する。上記の原材料の配合方法については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
この実施形態で使用する再生PTFE樹脂粉末は、熱処理粉末、γ線または電子線などを照射したPTFE樹脂粉末である。
この再生PTFE樹脂粉末としては、例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプである。
市販の再生PTFE樹脂粉末としては、旭硝子社製:フルオンL150J、L169J、L170J、L172J、L173J、ダイキン工業社製:ルブロンL−5、ヘキスト社製:ホスタフロンTF9205、TF9207、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−400Hなどが挙げられる。
再生PTFE樹脂粉末の粒径は、250μm以下、好ましくは100μm以下である。これは、250μmを超える大きさでは、均一分散が困難であるためである。再生PTFE樹脂粉末が均一に分散されなければ、空孔ができて成形体の密度が低下し、機械的強度、伸びのばらつきが大きくなり、耐摩耗性、耐クリープ性なども低下する。
なお、本実施形態の樹脂摺動材の成形方法については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
前記の第1および第2の実施形態の樹脂摺動材では、本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボン、酸化鉄、酸化クロム、コバルトブルーなどの顔料を添加することが可能である。
また、前記の第1および第2の実施形態の樹脂摺動材では、図1に示すように、工作機械等に使用するためにシート状に加工する場合、前記の樹脂摺動材の成形時に直接シート状に成形する方法がある。しかし、これとは逆に、得られた樹脂摺動材の成形体を切削加工することが好ましい。
本発明の樹脂摺動材は、油潤滑下で使用される工作機械の摺動面に好適に使用することができる。工作機械としては、旋盤、研削盤、フライス盤、中ぐり盤、NC旋盤、NC研削盤、NC中ぐり盤、NCフライス盤、マシニングセンタ、専用工作機械(特定の製品を加工対象とする工作機械)、ボール盤、平削り盤、形削り盤、立ち削り盤、ブローチ盤、表面仕上げ盤、歯車研削盤、歯車仕上げ盤等を挙げることができる。これらの中でもベッド部等の摺動面を有する旋盤、研削盤、フライス盤、中ぐり盤、NC旋盤、NC研削盤、NC中ぐり盤、NCフライス盤、マシニングセンタ、専用工作機械に使用することが好ましい。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、これらに限らず、特許請求の範囲に記載の意味および内容の全ての事項を含む。
以下に実施例および比較例に用いる原材料を一括して示す。なお、原材料に括弧書きした番号は表中の原材料と一致している。
(1)PTFE樹脂(PTFE):
旭硝子社製;G163,比重2.15
(2)銅亜鉛合金(Cu−Zn):
福田金属箔粉工業社製;Bra−At(Zn20)−100、
組成;Cu−Zn(Cu:Zn=80%:20%)
粒径150μm以下、比重8.59
(3)銅ニッケル亜鉛合金(Cu−Ni−Zn):
福田金属箔粉工業社製;NS−At2種−100、
組成;Cu−Ni−Zn(Cu:Ni:Zn=64:18:18)、
粒径150μm以下、比重8.61
(4)銅マンガン合金(Cu−Mn):
福田金属箔粉工業社製;Cu−Mn(33)−100、
組成;Cu−Mn(Cu:Mn=67:33)、
粒径150μm以下、比重8.45
(5)銅錫合金(Cu−Sn):
福田金属箔粉工業社製;Bro−At100、
組成;Cu−Sn(Cu:Sn=90:10)、
粒径150μm以下、比重8.76
(6)再生PTFE(PTFE−S):
喜多村社製;KT300M、
粒径100μm以下、比重2.15
実施例1〜8および比較例1は、表1に示した配合割合で原材料をヘンシェルミキサー乾式混合機にてドライブレンドし、プレス機を用いて50Mpaの圧力を加え、外径φ122m、内径φ64mm、高さ100mmの円筒素形材、および直径φ30mm、高さ100mmの円柱素形材をそれぞれ予備成形し、370℃で4時間焼成した。焼成された円筒素形材から、スカイビング加工にて厚さ1mmのシート材を得た。このシート材より、φ30mmの錆試験片、縦30mm、横30mmの摩擦摩耗試験片をパンチにて打ち抜いた。また、焼成された円柱素形材を用いて、切削加工により一辺12.7mmの正方形の圧縮クリープ用試験片を作製した。
上記の試験片を用いて、高温多湿環境下での金属相手材の錆の有無、動摩擦係数、比摩耗量、圧縮クリープ性を以下に示す方法で測定した。この結果を次の表1に示す。
Figure 2015071793
金属相手材の錆の有無は、ミーハナイト鋳鉄(FC350)に、水10%混合した潤滑油(出光ダフニーマルチウェイ)を滴下し、その上にφ30mm試験片を載せ、500g負荷の状態で、40℃高温槽に100時間放置した。100時間後における金属相手材の錆の有無を、全く変色がなかった(錆なし):○、黒色変化あり(錆あり):×で評価した。
動摩擦係数および比摩耗量の測定には、往復動型試験機を用いた。試験条件は潤滑油(昭和シェル石油社製トナオイル)潤滑下、高周波焼き入れしたミーハナイト鋳鉄(FC350)に摺接させ、滑り速度30m/min、面圧0.5Mpa、ストローク±100mmで100時間供試した。そして、試験終了直前の動摩擦係数および樹脂試験片の比摩耗量(×10-3mm3/(N・m))を測定した。
圧縮クリープ試験は、ASTM−D621に準拠し、常温で面圧13.7Mpaで圧縮し、24時間後の圧縮クリープ変形率(%)を測定した。
さて、表1では、動摩擦係数、比摩耗量および圧縮クリープ量(横方向)は全て数値が低いほど好ましく、それぞれ数値が低いほど、低摩擦性、耐摩耗性、耐クリープ性があることを意味する。
表1に明示されるように、実施例1〜7は、金属相手材の変色が全く認められず、錆の発生は無かった。実施例8は、金属相手材の変色は認められたが、問題視する程度ではなかったため、錆の発生は無かったと評価した。また、各実施例は、油中で安定した低摩擦性、耐摩耗性、優れた耐クリープ性を示した。
一方、比較例1は、金属相手材が黒色に変色しており、錆が発生していた。
以上、表1に示した結果から、PTFE樹脂を主成分とする樹脂摺動材に、金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低い金属の粉末を混合すると、低摩擦性、耐摩耗性、柔軟性に優れた樹脂摺動材となることがわかる。また、高温多湿環境下において、樹脂摺動材中の金属の粉末が酸化されることで、樹脂摺動材が摺接する金属相手材の酸化による錆の発生を抑えて黒色に変色するのを防止することがわかる。
さらに、PTFE樹脂を主成分とする樹脂摺動材に、金属の粉末に加えて再生PTFE樹脂粉末を配合すると、低摩擦性、耐摩耗性、柔軟性のより優れた樹脂摺動材となることがわかる。
1 樹脂摺動材
2 テーブル
3 ベッド部
4 摺動面

Claims (8)

  1. 金属相手材と油潤滑下にて摺接し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂に金属の粉末を配合した工作機械用樹脂摺動材において、
    前記金属の粉末は、前記金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低く、かつ、銅−アルミニウム系の銅合金を除く金属の粉末であることを特徴とする工作機械用樹脂摺動材。
  2. 前記金属の粉末を5〜40体積%、残部をポリテトラフルオロエチレン樹脂としたことを特徴とする請求項1記載の工作機械用樹脂摺動材。
  3. 前記金属の粉末に加えて、再生ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を配合させたことを特徴とする請求項1記載の工作機械用樹脂摺動材。
  4. 前記金属の粉末を5〜40体積%、前記再生ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を5〜35体積%、残部をポリテトラフルオロエチレン樹脂としたことを特徴とする請求項3記載の工作機械用樹脂摺動材。
  5. 前記金属相手材の素材金属を鉄とし、前記金属の粉末をアルミニウム、マンガン、亜鉛、又はクロムとしたことを特徴とする請求項1〜請求項4何れか記載の工作機械用樹脂摺動材。
  6. 前記金属の粉末を合金粉末とし、この合金粉末は少なくとも金属相手材の素材金属よりも標準単極電位が低い金属が配合されていることを特徴とする請求項1〜4何れか記載の工作機械用樹脂摺動材。
  7. 前記金属相手材の素材金属を鉄とし、前記金属の粉末を亜鉛合金粉末としたことを特徴とする請求項6記載の工作機械用樹脂摺動材。
  8. 前記亜鉛合金粉末は銅が配合されていることを特徴とする請求項7記載の工作機械用樹脂摺動材。
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