JP3946863B2 - 摺動部材用樹脂組成物および摺動部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摺動部材用樹脂組成物および摺動部材に関し、特に油潤滑下にて往復運動する工作機械のベッド等の摺動面に使用される摺動部材用樹脂組成物および摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面研削盤、円筒研削盤等の工作機械のベット部などの摺動面でスティクスリップが発生すると製品の加工精度が低下するため、この摺動面には、安定した低摩擦、かじりや焼き付き防止等を目的としてポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する)樹脂組成物のシート材が接着されている。また、シート材には、摩耗、クリープ性に優れていることが求められている。
PTFE樹脂は、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ摺動開始時の動摩擦係数が他の樹脂材料に比較して小さいので、シート材の樹脂成分として多用されている。また、比較的劣っている耐摩耗性、耐クリープ性を改善するためにガラス繊維、ブロンズなどの無機充填材、芳香族ポリエステル、熱可塑性ポリイミドなどの有機充填材を加えたPTFE樹脂摺動部用材料も従来用いられている。
【0003】
PTFE樹脂にガラス繊維などの繊維状充填材を配合すると、補強効果により耐摩耗性、耐クリープ性は向上するが、摩擦係数が高くなる。また弾性率が高くなりシート材として工作機械のベット部などに接着する際の作業性が悪くなる。黒鉛、マイカ等の鱗片状充填材においても同様である。
このため、形状が比較的球状に近いポリオキシベンゾイルまたはポリフェニレンスルフィドの単独または混合物 10 〜 30 重量%と平均粒径 100〜1000μm のPTFE樹脂 90 〜 70 重量%とからなる工作機摺動部用材料が知られている(特開昭60−127933号)。
【0004】
一方、耐クリープ性を向上させるとともに、摺動面において荷重を受け持つ役割を十分果たすブロンズなどの無機充填材を充填したPTFE樹脂摺動部用材料が知られている。例えば低摩擦にするために多孔性のブロンズを用いることが知られている(特開昭63−391号)。
【0005】
低摩擦にする方法として、空孔率 5〜 30 %のPTFE樹脂とブロンズとを配合してなる弗素樹脂製品が知られ、その際に空孔を設ける手段として予め融点以上の温度で熱処理し微粉砕したPTFE樹脂粉末を添加することが知られている(特開昭52−85246号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、平面研削盤、円筒研削盤等の工作機械のベット部などの摺動面は、油潤滑下で低速往復運動をしており、安定した低摩擦特性を得るためには安定した油膜形成が必要となるが、繊維状充填材の配合では十分でないという問題がある。
形状が比較的球状に近いポリオキシベンゾイルまたはポリフェニレンスルフィドの単独または混合物を配合したPTFE樹脂組成物は、安定した油膜形成が可能となるが、有機充填材は粘弾性体であるため、荷重を受け持つ役割が不十分でかつ耐クリープ性への効果も少なく、配合量を多くするとシート材に割れがでるなどの問題がある。
また、多孔性ブロンズを用いる場合、荷重を受け持つ役割が十分となり耐摩耗性も向上するが、低摩擦特性を得るためにブロンズの配合量を多くすると、シート材の弾性率が高くなるという問題がある。
熱処理し微粉砕したPTFE樹脂粉末を添加して空孔を設ける場合、シート材の弾性率は低下するが、空孔により機械的強度、伸びのばらつきが大きくなり、また 1mm以下の厚みのシート材では強度不足により破断する等の問題がある。また、耐クリープ性、耐摩耗性も低下するという問題がある。
【0007】
近年、シート材に要求される特性として、シート材を工作機械のベット部に接着する際の作業性があり、柔らかく切削性のよいシート材が必要になっている。PTFE樹脂組成物の成形体を切削等の機械加工によりシート状に加工する際には、多かれ少なかれシート材にうねりが生じる。そのため、シート材が硬いと接着時に扱いにくくうねりを修正しにくいため、接着むらができ、摺動面に凹凸ができてしまう。ときには剥がれてしまう等の問題が生じる。また切削性が悪いと接着後にシート材を切削しベット端面に合わせる際の作業を行なうのが困難である。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、油潤滑下で低摩擦、耐摩耗性、耐クリープ性、低弾性および接着作業性に優れた摺動部材用樹脂組成物および摺動部材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の摺動部材用樹脂組成物は、PTFE樹脂 25 〜 90 体積部、 2〜150 μm の球状金属粉 5〜 40 体積部、PTFE樹脂単体または非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むPTFE樹脂を加圧および加熱して得られた成形体を粉砕した粉末 5〜 35 体積部からなることを特徴とする。
【0010】
また、PTFE樹脂単体または非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むPTFE樹脂を加圧および加熱して得られた成形体を粉砕した粉末の粒子径が 250μm 以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明の摺動部材は、工作機械の摺動面に油潤滑下で用いられるシート状の摺動部材であって、該摺動部材は上述の摺動部材用樹脂組成物をシート状に加工してなることを特徴とする。
【0012】
本発明の摺動部材用樹脂組成物において、金属粉は荷重を受け持ち、耐摩耗性、耐クリープ性を向上させ、シート材に加工した際に脱落しやすく潤滑油を保持する細穴ができやすい。
また、PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末は、成形時に加圧および加熱されているので、緻密で焼成時のガス発生もなく、PTFE樹脂との結着性も比較的優れている。また、PTFE樹脂との間に微細な空隙部が形成された状態になっていると考えられ、シート材の弾性率を適度に低下させ、配合量を増やしても機械的強度および伸びのばらつきが少なくなる。さらに耐クリープ性が向上する。また、比較的球状に近く、堅いのでシート材に加工した際に脱落しやすく潤滑油を保持する細穴ができやすく、金属粉との併用により、より低摩擦となる。
PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末は、いわゆるスクラップ粉末などを再利用することができるので、資源の有効活用ができ、なおかつ低コストの摺動部材用樹脂組成物が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係るPTFE樹脂は、PTFEの単独重合体からなる弗素樹脂であって、 310〜 390℃で軟化して圧縮成形および押出し成形は可能であっても通常の射出成形は不可能な樹脂であれば使用することができる。例えば、アルゴフロン(伊国モンテジソン社製)、テフロン(米国デュポン社製)、フルオン(英国アイ・シー・アイ社製)、ポリフロン(ダイキン工業社製)等の商標名で市販されている弗素樹脂を挙げることができる。また、本発明において、粉状のものが均質に混合しやすいため好ましい。
【0014】
本発明に係る金属粉は、摺動時の相手材となる材質、例えば工作機械等においては鋳鉄(モース硬度:4 )と同等以下の硬度を有する金属の粉末であることが相手材を損傷させる場合が少ないので好ましい。一方、硬度が低くなると耐摩耗性に劣るため、モース硬度 3〜4 程度の硬度を有する金属粉が好ましい。そのような金属粉としては、銅(モース硬度: 3.0)および銅合金粉末、ニッケル(モース硬度: 3.5)およびニッケル合金粉末等を挙げることができる。好ましい金属粉は、銅および銅合金粉末である。
特に銅−錫系、銅−アルミニウム系、銅−ケイ素系等の銅合金であるブロンズが硬さおよび球状化しやすい点で最も好ましい。ブロンズにおける銅の含有割合についても特に限定されるものでない。またブロンズ粉末の製造方法は、アトマイズ法、電解法、機械的粉砕法等の方法を採用することができる。
ブロンズ粉等の金属粉は形状が球状であることが好ましい。球状以外の不規則形状、角状等の場合には油を保持する穴ができにくく、充填材が様々な方向を向き安定した油膜形成ができない。また、シート材の弾性率が高くなってしまう。
【0015】
金属粉の粒径は 2〜150 μm 、好ましくは 2〜 75 μm である。金属粉、特にブロンズ粉は比重が大きいので、150 μm を越える大きさの粒径ではPTFE組成物中での均一分散が困難となり、耐摩耗性、耐クリープ性などの特性向上が望めなくなる。また、 2μm 未満でも均一分散が困難となる。
【0016】
本発明に係るPTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末は、少なくとも一回加圧および加熱された成形体を粉砕した粉末である。加圧および加熱条件は、PTFE樹脂組成物を圧縮成形する条件と略同様であり、特に限定されるものではない。成形体を粉砕した粉末は、成形体を旋削等の機械加工したときにでる屑、成形体をシート材に加工したときの廃材、シート材から製品をパンチ抜きしたときの残材等いずれでもよく、これらをジェット粉砕機等を用いて粉砕して使用することができる。
なお、成形体を粉砕した粉末として市販品を使用することができる。市販品としては、再生テフロンKT300H、KT300M、KT400M等(いずれも喜多村社製)を挙げることができる。
【0017】
PTFE樹脂組成物は、PTFE樹脂単体、あるいは非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むPTFE樹脂である。ここで、非熱可塑性ポリイミド樹脂とは、圧縮成形は可能であっても通常の射出成形は不可能な芳香族ポリイミド樹脂をいう。具体的には、レンジング社製P84、宇部興産社製UIP−S、UIP−R、東レ社製TI−3000等を挙げることができる。非熱可塑性ポリイミド樹脂の配合割合は、PTFE樹脂組成物として成形可能となる範囲であれば使用することができる。成形可能な好ましい範囲としてはPTFE樹脂 100体積部に対して 3〜 50 体積部である。非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むPTFE樹脂は、PTFE樹脂単体よりも耐クリープ性がよいため好ましい。
【0018】
成形体を粉砕した粉末の粒径は、250 μm 以下、好ましくは 100μm 以下となるように粉砕することが好ましい。250 μm を越える大きさでは、PTFE中での均一分散が困難で、座孔ができることによる成形体の密度の低下により、機械的強度、伸びのばらつきが大きく、耐摩耗性、耐クリープ性なども低下するため好ましくない。なお、粒径が 5μm 未満になるとシート材の弾性率を低下させる効果、低摩擦化させる効果に乏しくなるため 5μm 以上の粒径が好ましい。
【0019】
本発明の摺動部材用樹脂組成物における配合割合について説明する。なお、体積部は、比重を乗ずることにより重量部に容易に換算できる。
PTFE樹脂は 25 〜 90 体積部、好ましくは 40 〜 80 体積部である。金属粉は 5〜 40 体積部、好ましくは 10 〜 30 体積部である。PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末は 5〜 35 体積部、好ましくは 10 〜 30 体積部である。
金属粉が 5体積部未満であると、摺動部材用樹脂組成物の耐摩耗性、耐クリープ性を改善することが困難であり、また 40 体積部を越えると、成形性、シート材としたときの作業性が低下するおそれがある。
また、成形体を粉砕した粉末が 5体積部未満では、目的とする所定の摩擦特性、柔らかなシート材が得られず、 40 体積部を越えると、摺動部材の密度の低下により、機械的強度、伸びのばらつきが大きく、耐摩耗性、耐クリープ性等も低下する。
【0020】
なお、本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボン、酸化鉄、酸化クロム、コバルトブルーなどの顔料を添加することができる。
【0021】
本発明の摺動部材は、上述の摺動部材用樹脂組成物を成形後、シート状に加工することにより得られる。樹脂組成物における原材料の混合手段は、特に限定されるものではなく、例えばヘンシェルミキサー、ボールミキサー、レディゲミキサー等の混合機を用いて乾式混合することができる。
成形方法は、一般にPTFE樹脂組成物に用いられる方法を用いることができる。例えば、フリーベーキング法、加熱加圧しながら回分式に圧縮成形するホットモールディング法、ラム押出し成形法等を挙げることができる。なお、成形時の雰囲気は、空気、窒素、または、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガス中のいずれであってもよい。
フリーベーキング法について説明すれば、PTFE樹脂組成物粉末を金型に入れて 40 〜100MPaの圧力を加えて予備成形した後、金型から取り出した圧縮成形体を 360〜 380℃で焼成することにより、成形体が得られる。
シート状に加工する方法としては、直接シート材を成形することも可能であるが、上述の方法で得られた成形体を切削加工することが好ましい。
【0022】
本発明の摺動部材は、油潤滑下で使用される工作機械の摺動面に好適に使用することができる。
工作機械としては、旋盤、研削盤、フライス盤、中ぐり盤、NC旋盤、NC研削盤、NC中ぐり盤、NCフライス盤、MC、専用工作機械(特定の製品を加工対象とする工作機械)、ボール盤、平削り盤、形削り盤、立ち削り盤、ブローチ盤、表面仕上げ盤、歯車研削盤、歯車仕上げ盤等を挙げることができる。
これらの中でもベッド部等の摺動面を有する旋盤、研削盤、フライス盤、中ぐり盤、NC旋盤、NC研削盤、NC中ぐり盤、NCフライス盤、MC、専用工作機械(特定の製品を加工対象とする工作機械)が好ましい。
【0023】
【実施例】
実施例および比較例に用いる原材料を一括して以下に示す。なお、原材料に括弧書きした番号は表中の原材料と一致している。
(1)PTFE樹脂(PTFE):三井・デュポンフロロケミカル社製;7−J、7−Jの比重は 2.15 である。
(2)ブロンズ(BRO1):福田金属箔粉工業社製;Bro−At100、BRO1は形状が球状で、組成は銅−錫系で、粒径は 149μm 以下で、比重は 8.76 である。
(3)ブロンズ(BRO2):福田金属箔粉工業社製;Bro−At350、BRO2は形状が球状で、組成は銅−錫系で、粒径は 44 μm 以下で、比重は 8.76 である。
(4)ブロンズ(BRO3):福田金属箔粉工業社製;Bro−At−W350、BRO4は形状が不規則形状で、組成は銅−錫系で、粒径は 44 μm 以下で、比重は 8.76 である。
(5)PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末(PTFE−S1):非熱可塑性ポリイミド樹脂 25 体積部を含むPTFE樹脂スクラップ粉末で、粒径は 246μm 以下で、比重は 1.98 である。
(6)PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末(PTFE−S2):喜多村社製;KT300M、PTFE−S2はPTFE樹脂単体スクラップ粉末で、粒径は 100μm 以下で、比重は 2.15 である。
(7)芳香族系ポリエステル樹脂(OBP):住友化学社製;スミカスーパー101S、スミカスーパー101Sの比重は 1.45 である。
【0024】
実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例7
表1および表2に示した配合割合で原材料をヘンシェルミキサー乾式混合機にてドライブレンドし、プレス機を用いて 50MPaの圧力を加え、外径φ 122mm、内径φ 64 mm、高さ 100mmの円筒素形材、および直径φ 30 mm、高さ 100mmの円柱素形材をそれぞれ予備成形し、 370℃で 4時間焼成した。
焼成された円筒素形材を用いて、スカイビング加工にて厚さ 1mmのシート材を得た。このシート材より、縦30mm、横30mmの摩擦摩耗試験片と引張り試験片をパンチにて打ち抜いた。
また、焼成された円柱素形材を用いて、切削加工により縦 12.7mm 、横 12.7mm 、高さ 12.7mm の圧縮クリープ用の試験片を作製した。
【0025】
上述の試験片を用いて動摩擦係数、比摩耗量、圧縮クリープ性、引張り強度、伸び率、シート材の柔らかさを以下に示す方法で測定評価した。結果をそれぞれ表1および表2に示す。
動摩擦係数および比摩耗量は、往復動型試験機を用い、試験条件は油(昭和シェル石油社製トナオイル)潤滑下、高周波焼き入れしたミーハナイト鋳鉄(FC35)に摺接させ、滑り速度 30/min 、荷重 0.5MPa 、ストローク±100mm で 100時間供試した。そして、試験終了直前の動摩擦係数および樹脂試験片の比摩耗量(×10-8mm3/(N・m))を測定した。
【0026】
圧縮クリープ試験は、ASTM−D621に準拠し、常温で面圧 13.7 MPa で圧縮し、 24 時間後の圧縮クリープ変形率(%)を測定した。
引張り強度および伸び率は、ASTM−D1708に準拠し、引張り強度および破断伸び率を測定した。
シート材の柔らかさは、シート材を工作機械のベット部に接着する際に、接着むらが発生しない柔らかさを良好(○)と、良好とは言えないが問題となる接着むらが発生しない場合を普通(△)と、シート材が硬く接着むらが発生するおそれが強い場合を不良(×)と評価した。
【0027】
比較例8および比較例9
PTFE粉末を予め電気炉にて 370℃で 4時間熱処理して、その後粉砕した。この熱処理粉砕したPTFE粉末を用いて表2に示した配合割合以外は実施例1と同一の条件方法で試験片を作製し、実施例1と同一の測定評価を行なった。結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003946863
【表2】
Figure 0003946863
【0029】
表1に示す各実施例は、表2に示す各比較例に比較して、シート材の柔らかさに優れ、油中で安定した低摩擦特性、耐摩耗性を示した。また、シート材として引張り強度、伸びに問題がなく、優れた耐クリープ性を示した。
一方、表2に示す各比較例は、各実施例と比較すると摺動部材用樹脂組成物および摺動部材として劣っていた。例えば、PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末を含有するが、所定の球状金属粉を含有しない比較例3は、動摩擦係数が高く、シート材が硬かった。また、球状金属粉およびPTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末を過剰に配合した比較例6および比較例7は、耐摩耗性、引張り強度、伸び率が劣っていた。
PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末の代わりに、熱処理粉砕したPTFE粉末を配合した比較例8および比較例9は、柔らかいシート材となったが、耐摩耗性、耐クリープ性に劣っていた。
PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末が配合されておらず、球状金属粉のみが配合されている比較例2、および不規則形状の金属粉が配合された比較例1は、柔らかいシート材が得られず、耐摩耗性が劣っていた。
また、PTFE樹脂組成物の成形体を粉砕した粉末の代わりに芳香族系ポリエステル樹脂が配合された比較例4および比較例5は、耐クリープ性、引張り強度、伸び率が劣っていた。
【0030】
【発明の効果】
本発明の摺動部材用樹脂組成物は、PTFE樹脂 25 〜 90 体積部、 2〜150 μm の球状金属粉 5〜 40 体積部、PTFE樹脂単体または非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むPTFE樹脂を加圧および加熱して得られた成形体を粉砕した粉末 5〜 35 体積部からなるので、油潤滑下にて往復運動する工作機械の摺動面に使用されると、低摩擦特性で、耐摩耗性、耐クリープ性に優れ、シート状に加工したときに非常に柔らかい成形体が得られる。
【0031】
また、PTFE樹脂単体または非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むPTFE樹脂を加圧および加熱して得られた成形体を粉砕した粉末の粒子径が 250μm 以下であるので、上述の特性がより向上する。また資源の再利用化ができる。
【0032】
本発明の摺動部材は、工作機械の摺動面に油潤滑下で用いられるシート状の摺動部材であって、上述の摺動部材用樹脂組成物をシート状に加工してなるので、工作機械のベット面に接着するときに扱い易く、接着むらができない。その結果、スティクスリップ等の発生が抑えられ、製品の加工精度が向上する。

Claims (3)

  1. ポリテトラフルオロエチレン樹脂 25 〜 90 体積部、 2〜150 μm の球状金属粉 5〜 40 体積部、ポリテトラフルオロエチレン樹脂単体または非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むポリテトラフルオロエチレン樹脂を加圧および加熱して得られた成形体を粉砕した粉末 5〜 35 体積部からなる摺動部材用樹脂組成物。
  2. 前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂単体または非熱可塑性ポリイミド樹脂を含むポリテトラフルオロエチレン樹脂を加圧および加熱して得られた成形体を粉砕した粉末の粒子径が 250μm 以下であることを特徴とする請求項1記載の摺動部材用樹脂組成物。
  3. 工作機械の摺動面に油潤滑下で用いられるシート状の摺動部材であって、該摺動部材は請求項1または請求項2記載の摺動部材用樹脂組成物をシート状に加工してなることを特徴とする摺動部材。
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