JP4658269B2 - 摺動部材用銅合金 - Google Patents

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この発明は、摺動部材に用いる、鉛を主な成分として含まない銅合金に関する。
従来、軸受などの摺動部を有する摺動部材には、CAC603を初めとする、鉛を含む銅合金が使用されていた。このような銅合金では、鉛が摺動性に大きく寄与しており、良好な摺動特性が得られている。しかし、鉛は場合によっては人体への影響が大きい場合があるので、鉛の使用は出来る限り控える事が望ましく、多くの鉛フリー銅合金が摺動部材用に検討されている。
例えば、特許文献1には、固体潤滑剤であるMoSと、凝着性能を高める酸化モリブデンと、材料硬度を下げて摺動性を良好にする硫化銅を含み、スズを20%以下、リンを0.5%以下含む鉛フリーの銅合金が記載されている。ただし、MoSは固体潤滑剤としての性能が高いが、焼結などの作業時に酸化されることでMoOが生じて摺動特性が低下してしまう場合がある。
これに対して、メッキしたMoS粒子を用いて銅合金複合材を焼結することにより、焼結工程でのMoSの酸化を防いだ摺動材が特許文献2に記載されている。また、MoSやWSを含む銅合金にCuS、CuS,ZnS、AgS、KS、CaS、FeSなどを複合させることで、強度の低下を抑えつつ、潤滑性能を確保した摺動材が特許文献3に記載されている。
また、特許文献4には、Ni(5〜40%)−Mn(2〜20%)−S(0.5〜5%)−Cu合金に、Zn、Sn、P、Al、Si、Ti、Zr、Cr、Be、Feなどを選択して添加した、鉛フリーの摺動部材用銅合金が記載されている。さらに、特許文献5には、Ni(5〜40%)−Zr(2〜10%)−S(0.5〜5%)−Cu合金に、Zn、Sn、P、Al、Feなどを選択して添加した、鉛フリーの摺動部材用銅合金が記載されている。これらは、主にMnS又はZrSにより潤滑作用を発揮するとともに、Niを含有することでSを合金中に固溶させ、潤滑作用を発揮するMnS又はZrSを均一に分散させるものである。
さらにまた、特許文献6には、FeMoS合金焼結体とMoS化合物とを固体潤滑作用を示す物質として含有し、マトリックス材料としてCuの一部をスズとZnで置き換えることで低温度での焼結を行い、潤滑性に寄与するMoS相の生成が硫化鉄によって妨げられることを防ぐ、低摩擦合金用の粉末が記載されている。
一方、特許文献7には、Agを含有する銅合金に、固体潤滑剤となるMoS、WSとともにグラファイトを用いた銅合金系摺動材料が記載されている。
特開2006−37178号公報 特開2006−37179号公報 特開2006−37180号公報 特開2005−133130号公報 特開2005−220385号公報 特開2003−73758号公報 特許第3370789号公報
しかしながら、二硫化モリブデンは、製造中に酸化するだけでなく、完成した摺動材の摺動時にも酸化して硫黄を発生させ、周囲の金属を傷めてしまうので、特許文献1の摺動材だけでなく、特許文献2、3及び6の摺動材でも、摺動性能が徐々に低下する場合があり、出来るだけ含有しないことが望ましかった。
また、特許文献3や特許文献7に記載の材料のように、銀を含む材料であると、固体潤滑材料だけではなく、硫黄を多く含む潤滑油と併用しなければならなかった。
さらに、特許文献4及び5の合金では、含有するMnやZrが硫黄と硫化物を形成しやすく、この硫化物が浮上分離しやすいという問題点を有する。それを防ぐために多くのニッケルを添加しているが、ニッケルを含むことで硬度が上がりやすく、摺動部材としては適切な硬度を維持できなくなる場合があった。
また、グラファイトは銅合金に固溶せず、マトリックス中に保持される力が弱いので、特許文献7に記載の材料では、摺動中にグラファイト粒子が脱落するおそれがあった。
そこでこの発明は、有害となりうる鉛や酸化による劣化を起こしうる二硫化モリブデンを使用せず、かつ、硬度を上げてしまうニッケルの添加が必要となるマンガンやジルコニウムを使用せず、さらに、グラファイトの脱落も起こさないようCを含まないで、高い摺動性を発揮する摺動材用銅合金を提供することを目的とする。
この発明は、鉄を0.3質量%以上6.0質量%以下、スズを3.0質量%以上16.0質量%以下、硫黄を0.3質量%以上3.0質量%以下含有し、残分が銅と残余成分である摺動部材用銅合金により、上記の課題を解決したのである。
上記の含有量を規定した元素以外の残余成分は、いずれも意図的に添加する原料としては使用せず、その含有量を不純物として含まれる不可避の含有率以下とする。これにより、鉛による害や、二硫化モリブデンに由来するモリブデン酸化物による金属の劣化も防ぐ。また、その他に、マンガン及びジルコニウムの含有量を不純物としての量以下にすることで、硬度を上昇させることになるニッケルを含有させる必要性を無くした。また、銀の含有量を不純物としての量以下にすることで、潤滑油を併用する必要を無くし、グラファイトの脱落を起こす炭素の含有量も不純物として含まれる程度以下とした。
この発明にかかる銅合金を用いて摺動部材を製造すると、鉛を主な成分として用いない、いわゆる鉛フリーの素材でありながら高い摺動特性を発揮する摺動部材を得ることができる。また、二硫化モリブデンを含有する摺動部材用銅合金において製造時及び使用時に起こりうる硫黄による摺動部材の劣化を回避できるので、耐久性の高い摺動部材を得ることができる。さらに、ニッケルの含有量が不純物として含まれる程度以下であるので、硬度が必要以上に高くなることを抑え、かつ、グラファイトを用いることによる脱落も起こらないので、好適な摺動部材として用いることができる。その他、不純物の含有量を抑えることで、不具合が生じる可能性を抑え、確実な摺動特性等を発揮させる。
(a)ファビリー試験の概念図(b)試験時の状況の断面図 実施例1〜8の試験後のシェアピンの外観写真 比較例1〜9の試験後のシェアピンの外観写真 参考例の試験後のシェアピンの外観写真 試験前のシェアピンの外観写真 チップオンディスク試験機の斜視図
以下、この発明にかかる摺動部材用銅合金について詳細に説明する。この摺動部材用銅合金は、スズ、鉄、硫黄を所定量含有し、残分が銅と不純物とからなる銅合金である。まず、この銅合金を構成する各々の元素について説明する。
上記銅合金は、スズを3.0質量%以上含むことが必要である。スズは銅合金のマトリックス強度を向上させ、耐摩耗性と耐食性を向上させ、かつ、摺動特性を良好に保つ効果があるが、3.0質量%未満であると、これらの効果が不十分となってしまう。一方で、スズの含有量は16.0質量%以下であることが必要である。16.0質量%を超えると、相手材を著しく摩耗させてしまい、良好な摺動特性が得られない可能性がある。
上記銅合金は、鉄を0.3質量%以上含むことが必要である。鉄は、後述する硫黄とともに、上記銅合金の摺動性を向上させるFe−S系化合物を形成する。必要な摺動性を確保するために必要な量のFe−S系化合物が形成されるには、少なくとも鉄が0.3質量%以上無ければならず、0.3質量%未満では必要な量のFe−S系化合物を得られなくなってしまい、摺動性が不十分となるおそれが高くなるためである。一方で、鉄の含有量は6.0質量%以下であることが必要である。鉄の含有量が6.0質量%を超えると、上記銅合金の硬度が上がりすぎてしまい、摺動部材として用いたときに、相手材を攻撃して摩耗させてしまうおそれが高くなるためである。
上記銅合金は、硫黄を0.3質量%以上含むことが必要である。硫黄は銅、鉄、又はそれらの両方と反応して硫化物を形成する。この硫化物は、グラファイトや二硫化モリブデンと同様に固体潤滑性を有しており、摩擦係数を低下させ、なじみを良好にし、摺動状態において良好な摺動特性を付与するものとなる。また、これらの硫化物があることにより、上記銅合金は切削の際に切り屑が寸断された短い切粉となるので、切削に用いる刃物に巻き付いたりするといったことが起こりにくく、切削性を向上させることもできる。硫黄が0.3質量%未満であると、これらの効果が得られないか、又は不十分となってしまう。一方で、3.0質量%を超えると硫黄が強度を低下させるおそれが高くなってしまうので、3.0質量%以下であることが必要である。さらに、Cu−Sの金属状態図から、十分な摺動性能を発揮させるためには、1.5質量%以下であると好ましい。
上記銅合金は、上記の元素と残分である銅以外に、その他の残余成分を含んでいても良い。この残余成分としては、微少成分ながら上記銅合金の有効な性質を阻害することなくさらに有益な効果を付与するために意図的に含めても良い成分や、不可避的に含まれてしまう不純物であって、上記銅合金の特性を阻害しない程度に含まれるものなどがある。
上記銅合金は、上記残余成分として、リンを0.01質量%以上含んでいてもよい。リンは、脱酸剤として作用し、ガス欠陥等の発生を抑制し、銅合金の健全性を高める効果がある。ただし、0.01質量%未満であるとその効果が不十分になってしまう。一方で、リンの含有量は0.3質量%以下である必要がある。0.3質量%を超えてリンが存在すると、鉄との間にFe−P化合物を形成して、銅合金全体の硬度が増加しすぎてしまい、耐焼き付き性が低下してしまうためである。
上記の不純物は、環境に配慮してリサイクル材料を用いる場合や、上記銅合金の調製や摺動部材の鋳造において設備を共有する場合に、不可避的に含まれてしまう成分である。もちろん、物性上はこの不純物の含有量は少ないほど好ましく、無いことがより好ましいが、ゼロにすることは困難である。
上記不純物として上記銅合金に含まれる鉛の量は、0.25質量%以下であると好ましい。鉛は人体に与える影響が無視できない場合があるので、上記銅合金に含まれる鉛の量は少ないほど好ましく、検出限界未満であるとより好ましい。0.25質量%を超えると、摺動部材を切削する際に出る切削分の処理や、上記銅合金を再利用するにあたっても、鉛の存在を無視できなくなるおそれがある。
また、上記不純物として上記銅合金に含まれるモリブデンの量は、0.01質量%以下であると好ましく、検出限界未満であるとより好ましい。モリブデンが上記銅合金に硫黄と結合した二硫化モリブデンとして含まれていると、上記銅合金の調製時や、摺動部材の製造時、及び摺動部材の使用時に、二硫化モリブデンが酸化されて意図せぬ硫黄分が生じてしまい、上記銅合金を侵すおそれがあるためである。
上記銅合金では、従来の銅合金において鉛や二硫化モリブデンを用いることで発揮していた摺動特性を、銅及び鉄と硫黄との化合物や、スズを含有することにより補っている。
この他、上記不純物として上記銅合金に含まれうる元素としては、ニッケル、銀、炭素、ジルコニウム、マンガン、ビスマス、インジウム、セレン、アルミニウム、酸素、ホウ素、タングステン、亜鉛、アンチモン、シリコンなどが挙げられるが、これらの含有量はいずれも0.01質量%未満であると好ましく、検出限界未満であるとより好ましい。これらの中でも特に、ニッケルが多いと上記銅合金の硬度が上がってしまい、銀が多いと上記銅合金だけでは固体潤滑剤として不十分で潤滑油と併用する必要が生じてしまい、炭素が多いと上記銅合金から脱落するおそれがある。
なお、この発明において規定するそれぞれの成分の質量混合比は、製造段階での原料の混合比ではなく、原料を溶融して得られた合金における成分の質量混合比である。
上記の銅合金の残分は銅である。上記の元素成分を含む合金は、一般的な銅合金の製造方法で得ることができ、この銅合金からなる摺動部材は、一般的な鋳造法や粉末冶金法により製造することが出来る。
この発明にかかる銅合金を用いた摺動部材は、構成する銅合金が、鉛や二硫化モリブデンを含有する従来の銅合金と比べても十分な摺動特性、耐摩耗性を発揮するものとなる。具体的には、図1に記載のように、S45C鉄鋼製のシェアピンを、この発明にかかる銅合金製の摺動部材となるVブロックで挟んで荷重をかけ、シェアピンを回転させるファビリー試験を行っても、焼き付けによりシェアピンが折れたり、凝着したりすることがない程度に、摺動特性や耐摩耗性を発揮するものである。このような摺動部材としては、例えば軸受などが挙げられる。
この発明にかかる摺動部材用銅合金について、具体的な実施例を挙げる。まず、用いる銅合金の組成について説明する。
<鋳造合金について>
(実施例1〜8、比較例1〜9)
錫、硫黄、鉄を表1に記載の質量%だけ含み、その他の成分としてリンを表1に記載の質量%だけ含み、残分が銅からなり、鉛、モリブデン、ニッケル、マンガン、シリコンが検出限界未満である銅合金を調整し、この銅合金を用いて供試材を作製した。
さらに、参考例1として、従来から用いられている鉛入りの銅合金であるCAC603に該当する、スズ9.73質量%、鉛9.21質量%、リン0.004質量%、残分が銅からなる銅合金を用い、これを基準材として摩耗や変色が許容範囲であるか否かの評価における比較対象とした。
それぞれの銅合金について、以下の試験を行った。なお、前記の成分量は、鋳造前の原料比ではなく、下記のVブロックの製造後に分析した分析値である。
それぞれの成分の含有率の分析は、スズ、鉄、シリコンについてはICP発光分光分析法により行い、硫黄の含有率の分析は高周波燃焼赤外線吸収法により行い、リンの含有率はモリブドバナドりん酸吸光光度法により行い、鉛、モリブデン、ニッケル、マンガンについては、ICP発光分光分析法により行った。なお、ICP発光分光分析法にあたっては、ICP分析装置として、サーモエレクトロン社製:IRIS Advantage RP CID 検出器を用いた。
(ファビリー試験)
試験体のVブロック11、11’と相手材となるシェアピン12とが図1に記載の配置となるファビリー摩耗試験機(東京熱処理工業(株)製:FL−2、最大荷重3トン(29.4kN))を用いて測定を行った。試験体となる、それぞれの合金製であるVブロック11,11’は、直径12mm、高さ9.7mmの円柱の一方の底面に、最大深さが3.7mm、底部の角度が90度である溝が刻まれたものである。このVブロックを二つ(11,11’)用意し、相手材となるシェアピン12(S45C製、直径6.5mm)をVブロック11,11’の溝で挟んで荷重をかけて、シェアピン12を300rpmで回転させた。
Vブロック11,11’によりシェアピン12を挟む加重は、10kg(98N)ごとに段階的に上昇させていき、それぞれの荷重での保持時間は5分間とした。接触部分には潤滑油を介することなく、乾式で摺動させ、トルクの値を、電圧値として試験機から2秒間隔で出力させた。
それぞれの試験は、焼き付き状態が生じたと考えられるトルクの急激な上昇や、試料の摩耗による空転を生じたと考えられるトルクの0値が観測された場合に終了するものとした。それぞれの例において、終了時点におけるシェアピンの状態を観察して評価した。グルービング状の摩耗が無視できる程度であるものを○、摩耗が確認できるが許容範囲であるものを△、摩耗による傷が問題となる程度以上に刻まれているものを×と評価した。また、熱変色が許容範囲であるものを○、許容範囲を超えるものを×とした。
試験したもののうち、トルクの0値を示したものは、摩耗限界に達したものとして不的確とした(比較例1〜3)。また、試験後の相手材であるシェアピンにグルービング状の摩耗が見られるものと、熱による変色が見られるものは、摺動材として不的確とし、比較例4〜9とした。なお、その判定結果を表1に示す。それ以外の、摩耗限界とならず、かつトルクの急激な上昇を検知しないものは実施例とした。実施例におけるシェアピンの外観を図2に、比較例1〜9の外観を図3に、参考例1のシェアピンの外観を図4に、対比のための試験前のシェアピンの外観を図5に示す。
<焼結合金について>
(実施例9、10、参考例)
SPHC鋼板からなる裏金(厚さ4.5mm)に、表2に記載の成分比である銅合金粉末を散布厚が約2mmとなるように散布し、還元雰囲気中、800〜860℃の環境で焼結、圧延を行って約5.5mmに調製した。この圧延板を、1.665cm×0.4cmの試験片に加工した、
実施例9の銅合金粉末は、銅以外の含有量について表2に示す値を目標値とし、アトマイズ法にて作製した100メッシュ以下の合金粉末である。得られた焼結、圧延後の実際の合金からサンプルを得て分析した分析値を併せて表2に記載する。
また、実施例10の銅合金粉末は、二段階を経て製造した。まず、スズ33%、残分銅となるようにアトマイズ法により100メッシュ以下の合金粉末を作製した。次に、この合金粉末94gに対して実施例9の銅合金粉末1000gを混合し、全体として銅以外の含有量が表2に示す値を目標値とし銅合金粉末を得た。その得られた焼結、圧延後の実際の合金からサンプルを得て分析した分析値を併せて表2に記載する。
なお、表2に記載の参考例2の組成は、アトマイズ法にて作製した100メッシュ以下の合金粉末の分析値であり、これは従来から用いられている鉛入りの銅合金であるCAC603に該当する。
試験機として、図6に記載のTRAS型チップオンディスク試験機(高千穂精機(株)製:TRAS−300特型)を使用した。その具体的な構成は、以下の通りである。チップ試験片22は、試料片押え23によってソケット24に固定されて、上方からスプライン軸25により試料ディスク21に押し付けられている。スプライン軸25の上方には、押し付け荷重計測用の圧縮型ロードセル26が設けられ、さらにその上方には、シリンダーベース27を介して、空圧シリンダー28が設けられてあり、この空圧シリンダー28からスプライン軸25を介して荷重がかけられる。また、空圧シリンダー28の上部には監視用圧力計29が設けてある。一方、試料ディスク21は、それが載せられた回転軸30の回転により回転する。なお、回転軸30の下にはラジアルスラスト軸受31が設けてある。
この試験機の、S45C鉄鋼製の試料ディスク21(直径139mm、孔径105mm、厚さ6mm)のディスク表面に、参考例2、実施例9及び10のそれぞれの銅合金からなる、上記の加工したチップ試験片22を載せ、ディスクを回転させるとともに、チップ試験片22にかける荷重を0,10,20,30,……,240,250,260kgfのように、10kgfごとにステップ的に上昇させていった。このとき面圧は、1ステップあたり、10kg/(1.665×0.4)cm≒15(kg/cm)上昇する。
保持時間はそれぞれのステップで2分間である。回転速度は80rpm(0.5m/s)と、800rpm(5.0m/s)との二つの条件で測定した。試験機のディスク及びチップ試験片22は、流量200cc/minで流れるオイル(昭和シェル石油(株)製:リムラD20W)に浸漬させており、試験環境の温度は80±5℃を維持させた。
上記の状況で、焼き付けが起こる目安として、周速0.5m/sでは平均摩擦係数が0.1を超えたときの荷重を、周速5.0m/sでは平均摩擦係数が0.07を超えたときの荷重を算出した。それぞれの周速における試験結果を、それぞれの参考例2及び実施例9,10のa,bとして表2に示す。また、荷重の値とチップ試験片の面積からPV値を算出して、同様に表2に示す。いずれの実施例も、平均摩擦係数が指定値を超えるまでの荷重は参考例2よりも高い値となり、良好な摺動特性が得られた。また、実施例9よりも実施例10の方が良好な摺動特性が得られた。
11 Vブロック
12 シェアピン
21 試料ディスク
22 チップ試験片
23 試料片押さえ
24 ソケット
25 スプライン軸
26 圧縮型ロードセル
27 シリンダーベース
28 空圧シリンダー
29 監視用圧力計
30 回転軸
31 ラジアルスラスト軸受

Claims (2)

  1. 鉄を0.3質量%以上6.0質量%以下、スズを3.0質量%以上16.0質量%以下、硫黄を0.3質量%以上3.0質量%以下、リンを0.01質量%以上0.3質量%以下含有し、残分が銅と不可避的不純物である摺動部材用銅合金。
  2. 請求項1に記載の摺動部材用銅合金を用いた摺動部材。
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