JP6794411B2 - 摺動部材 - Google Patents

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本発明は、例えば内燃機関や自動変速機に用いられる軸受や各種機械に用いられる軸受などの摺動部材に関するものである。詳細には、本発明は、鋼裏金層上に形成された摺動層を備える摺動部材に係るものである。
従来から内燃機関や自動変速機等の軸受部には、銅合金の摺動層および鋼裏金層からなる摺動部材を円筒形状や半円筒形状に成形したすべり軸受などの摺動部材が用いられている。摺動部材の使用時、例えばすべり軸受の場合には摺動層の摺動面と軸部材との間の隙間に油が供給されるが、油中に含まれる硫黄成分により摺動層である銅合金の摺動面が硫化腐食を起こしやすい。そのため、摺動層の銅合金に、耐食性を高めるためNiを含有させる提案がなされている(特許文献1、2参照)。
特表2012−509993号公報 特開2003−269456号公報
特許文献1、2のNiを含有する銅合金からなる摺動層は、摺動部材の使用時、摺動層の摺動面での銅合金の硫化腐食は起き難くなるが、摺動面から内部に向かって銅合金の結晶粒界に沿って粒界腐食が起こる。これは、結晶粒界に沿って硫化腐食が進行するために生じるものである。この粒界腐食が銅合金の結晶粒界に沿って進行して摺動層の内部に達すると、摺動時に、結晶粒界が腐食した部分から、銅合金の結晶粒が個々に、あるいは、複数の結晶粒が一塊となって脱落し、摺動層の摺動面と相手軸表面との間に入り、摺動層の摺動面が傷つき損傷する。
本発明は、このような従来技術の問題を解決して、耐食性(耐粒界腐食性)に優れ、銅合金の結晶粒の脱落による損傷が起き難い摺動部材の提供を目的とする。
本発明によれば、鋼裏金層と、鋼裏金層上に設けられ、摺動面を有し、複数の閉空孔を含む摺動層とを備えた摺動部材が提供される。摺動層は、1〜12質量%のSn、1〜15質量%のNi、0.01〜0.2質量%のPを含み、残部がCu及び不可避純物からなる銅合金部と、閉空孔を囲む銅合金部の内部表面を被覆する鉄リン酸化物膜とからなる。このように閉空孔は鉄リン酸化物膜により画定される。閉空孔は、銅合金部中に分散しており、摺動層中の閉空孔の体積割合は、摺動面に垂直方向の断面視にて0.1〜2体積%であり、閉空孔の平均径は1〜20μmである。
本発明の一具体例によれば、閉空孔は、4以下の平均アスペクト比を有することが好ましい。
本発明の一具体例によれば、鉄リン酸化物膜における、FeとPとOの組成の質量比は、Fe1−X−Yであり、ここでX=0.1〜0.3、Y=0.3〜0.5であることが好ましい。
本発明の一具体例によれば、銅合金部は、0.01〜5質量%のAl、0.01〜5質量%のSi、0.5〜10質量%のFe、0.1〜5質量%のMn、0.1〜30質量%のZn、0.1〜5質量%のSb、0.1〜5質量%のIn、0.1〜5質量%のAg、0.5〜25質量%のPb、0.5〜20質量%のBiから選ばれる1種以上をさらに含むことが好ましい。
本発明の一具体例によれば、摺動層は、Al、SiO、AlN、MoC、WC、FeP、FePのうちから選ばれる1種以上の硬質粒子を0.1〜10体積%をさらに含むことが好ましい。
発明の摺動部材の摺動層の摺動面に垂直方向の断面の模式図。 図1の摺動層の組織を示す図。 図2の摺動層の閉空孔の拡大図。 閉空孔のアスペクト比(X1)を説明する図。 従来の摺動部材に起こる結晶粒脱落の説明図。
図1に本発明による摺動部材1の一具体例の断面を模式的に示す。この摺動部材1は、鋼裏金層2上に摺動層3が設けられた構成となっている。鋼裏金層2とは反対側の摺動層3の表面が摺動面31を形成している。なお、摺動部材1は摺動層上に金属または合金からなる被覆層や、合成樹脂または合成樹脂を基とする被覆層を有してもよいが、被覆層の有無に関わらず本明細書では摺動層3の上記表面を摺動面31と称する。
図2に図1に示す摺動層3の組織を示す。摺動層3は、銅合金部4と、銅合金部4中に多数の閉空孔5が分散した組織になっている。この閉空孔5は、主に、銅合金の結晶粒41どうしの間の結晶粒界42に分散した銅合金部4の空隙として存在している。この空隙は、その周囲を取り囲む銅合金部4の表面43(以下、「内部表面」という)により画定され、銅合金部4の内部表面43は鉄リン酸化物膜6により被覆されている(図3参照)。閉空孔5は鉄リン酸化物膜6の表面61により画定される。すなわち、鉄リン酸化物膜6は、銅合金部4(の内部表面43)と閉空孔5との間に存在する。各閉空孔5は、周囲を銅合金部4により囲まれており、摺動層3の表面に通じてはいない。各閉空孔5は、互いに分離して、銅合金部4に分散している。
鋼裏金層2は、例えば、炭素の含有量が0.07〜0.35質量%である亜共析鋼である。なお、鋼裏金層2は、0.07〜0.35質量%の炭素を含有し、さらに、0.4質量%以下のSi、1質量%以下のMn、0.04質量%以下のP、0.05質量%以下のSのいずれか一種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる組成であってもよい。
銅合金部4の組成は、1〜12質量%のSn、1〜15質量%のNi、0.01〜0.2質量%のPを含み残部Cu及び不可避純物からなるものでよい。
銅合金部4の組成中のSn成分は、銅合金部4自体の強度を高めるが、含有量が1質量%未満では、この効果が不十分であり、また、含有量が12質量%を超えると、銅合金部4が脆くなる。Ni成分は、銅合金部4の耐食性を高める成分として作用するが、含有量が1質量%未満では、この効果が不十分であり、また、含有量が15質量%を超えると、銅合金部4が脆くなる。銅合金部4のP成分は、銅合金部4自体の強度を高めるが、含有量が0.01質量%未満では、この効果が不十分であり、また、含有量が0.2質量%を超えると、銅合金が脆くなる。銅合金部4のP成分の含有量は、0.05質量%以上、0.15質量%以下であることが、より好ましい。このNi成分、P成分は、後述する閉空孔5と接する銅合金部4の表面の鉄リン酸化物膜6の形成に影響する。
なお、銅合金部4は、上記組成にさらに0.01〜5質量%のAl、0.01〜5質量%のSi、0.5〜10質量%のFe、0.1〜5質量%のMn、0.1〜30質量%のZn、0.1〜5質量%のSb、0.1〜5質量%のIn、0.1〜5質量%のAg、0.5〜25質量%のPb、0.5〜20質量%のBiから選ばれる1種以上を含むことができる。これら選択成分のうち、Bi成分、Pb成分を除く成分は、銅合金部4の強度を高め、Bi成分およびPb成分は、銅合金部4の潤滑性を高める成分である。これら選択成分を2種以上含有する場合でも、選択成分の合計の含有量は40質量%以下とすることが好ましい。また、銅合金部4は、原材料として用いる銅合金(粉末)の製造時より含まれる不可避不純物も含有してもよい。
摺動層3は、さらに、Al、SiO、AlN、MoC、WC、FeP、FePから選ばれる1種以上の硬質粒子を0.1〜10体積%を含むことができる。これら硬質粒子は、摺動層3の銅合金部4の素地に分散して摺動層3の耐摩耗性を高めるが、含有量が0.1体積%未満の場合には、その効果が不十分であり、また、10体積%を超える場合には、摺動層3が脆くなる。
閉空孔5の総体積は、摺動層3の体積に対して0.1〜2%とすることが好ましい。閉空孔5の体積割合が0.1%未満であると耐食性を高める効果が不十分となり、2%を超えると摺動層3の強度が低くなる。また、上記作用を奏するには、閉空孔5の平均粒径は、1〜20μmとすることが好ましく、さらに2〜15μmとすることがより好ましい。
摺動層3の体積に対する閉空孔5の総体積の割合の測定方法を具体的に説明する。
上記の摺動層3の摺動面31に垂直方向の断面の複数箇所(例えば5箇所)を、電子顕微鏡を用いて電子像を例えば200倍で撮影し、得られた電子像を一般的な画像解析手法(解析ソフト:Image−Pro Plus(Version4.5);(株)プラネトロン製)を用いて、画像中の摺動層3(銅合金部4および閉空孔5)の面積の合計(A1)に対する閉空孔5の合計の面積(A2)の比(A2/A1)から求める。なお、この面積の比の値は、摺動層中に含まれる閉空孔5の体積割合に相当する。
閉空孔5の平均粒径は、上記の手法で得られた電子像を上記の像解析手法を用い画像中の複数個(例えば30個)の閉空孔5の面積を測定し、それを円と想定した場合の平均直径(円相当径)に換算して求める。
ただし、上記の電子像の撮影倍率は、200倍に限定されないで、他の倍率に変更することができる。
閉空孔5と銅合金部4との間には、鉄リン酸化物膜6が形成されている。閉空孔5の周囲の銅合金部4の表面を覆うように鉄リン酸化物膜6が形成され、閉空孔5は、鉄リン酸化物膜6により閉ざされている。
なお、閉空孔5部の鉄リン酸化物膜6の形成は、摺動部材1の摺動層3の摺動面31に垂直方向の断面を、EPMA(電子線マイクロアナライザー)を用い、複数の閉空孔5部の面分析を行い閉空孔5の表面の全体に、Fe元素、P元素、O元素が検出されることで確認できる。
なお、摺動層3の断面組織中に含まれる閉空孔5のうち、体積割合で10%以下の閉空孔5は、銅合金部4との間に鉄リン酸化物膜6が形成されないことは許容される。
また、鉄リン酸化物膜における、Fe元素とP元素とO元素の質量比は、Fe1−X−Yで表現した場合にX=0.1〜0.3、Y=0.3〜0.5であることが好ましい(数値は質量比である)。
鉄リン酸化物膜6におけるFeとPとOの組成の質量比は、EPMAを用い、倍率5000倍で上記断面組織中の摺動層3の厚さ方向の中央部付近の複数の閉空孔5部の鉄リン酸化膜6の定量分析を行うことで確認できる。定量分析における検出元素としてFe、PおよびOを選択し、これら元素の特性X線強度をZAF補正計算法により質量濃度に変換し、このFe、PおよびOの質量濃度から算出した組成の質量比の値を算術平均することで確認できる。なお、定量分析のおける倍率は5000倍に限定されないで、例えば5000倍を超える倍率でおこなってもよい。
なお、鉄リン酸化物膜6は、上記組成に銅合金に含まれる成分(P元素は除く)を20質量%以下、含む組成であることは許容される。
閉空孔5の平均アスペクト比は、5以下であることが好ましい。閉空孔5の平均アスペクト比は、5を超えると、摺動層3の強度が低くなることがある。さらに、閉空孔5の平均アスペクト比は、4以下であることが好ましい。閉空孔5の平均アスペクト比4以下であると、平均アスペクト比が4を超える場合よりも、摺動層の強度が高くなる。
閉空孔5の平均アスペクト比の測定は、上記の手法で得られた電子像を、上記の像解析手法を用いる。上記電子像中の各閉空孔5において、その閉空孔内に存在する最大長さの線分を長軸として、長軸と直交する方向での最大長さの線分を短軸とする。そして、各閉空孔5の長軸の長さL1と短軸の長さS1の比(長軸の長さL1/短軸の長さS1)を求め、それらの平均を算出して、平均アスペクト比とする(図4参照)。
図5を用いて従来のNiを含む銅合金からなる摺動層13を有する摺動部材に生じる粒界腐食を説明する。従来の摺動部材は、摺動時、油中に含まれる硫黄成分により、摺動層13の摺動面131に露出する銅合金の結晶粒界142を起点とし、摺動層131から内部に向かって銅合金の結晶粒界142に沿って腐食(硫化腐食)が進行する粒界腐食が起こる。摺動層の内部、特に摺動面付近では、銅合金結晶141の結晶粒界142に沿って腐食生成物(CuS)7がネットワークを形成する。
結晶粒界142の全部または大部分が腐食すると、銅合金結晶粒141どうしの間の結合が弱まり、銅合金結晶粒141が個々に、あるいは、複数の銅合金結晶粒141が一塊となり、摺動層13の摺動面131と相手軸8表面との間に脱落し、摺動層13の摺動面131が傷つき損傷する。
Niを含有する銅合金の粒界腐食の機構は、明らかになっていないが、この粒界腐食による生成物は、硫化銅(CuS)であり、油中に含まれるS成分と銅合金の結晶粒界142および結晶粒界142に近接する銅合金結晶粒141のCu成分とが反応したものと考えられる。
他方、本発明の摺動部材1の摺動層3は、銅合金部4中に、主に銅合金の結晶粒41どうしの間の結晶粒界42部に多数の閉空孔5が分散した組織になっている。各閉空孔5は、銅合金部4との間に形成された鉄リン酸化物膜6により囲まれて互いに分離独立した、閉ざされた空間を有する空孔(隙間)である。この閉空孔5の空孔部の鉄リン酸化物膜6は、硫化腐食を生じにくい。
このため、発明の摺動部材1は、摺動時、摺動層3の摺動面に露出する銅合金の結晶粒界42を起点として油中に含まれるS成分による腐食が摺動層3の内部に向かって銅合金の結晶粒界42に沿って進行しても、銅合金の結晶粒界42に存在する閉空孔5に達すると、閉空孔5の空孔部51の表面の鉄リン酸化物膜6により、腐食の進行が停止し、銅合金の結晶粒界42へのさらなる拡散が抑制される。このため、摺動層3の内部に粒界腐食部7のネットワークが形成され難く、摺動時に摺動層3の銅合金の結晶粒41の脱落が防がれる。
以下に、本実施形態に係る摺動部材の作製方法について説明する。
まず、摺動層の上記組成の銅合金の粉末を準備する。また、摺動層に上記硬質粒子を含有させる場合は、銅合金粉末と硬質粒子との混合粉を作製する。
準備した銅合金粉末または混合粉を、鋼(例えば亜共析鋼)板上に散布した後、粉末散布層を加圧することなく、焼結炉を用いて850〜980℃の還元雰囲気で1次焼結を行い、鋼板上に空孔率が27〜38体積%の多孔質銅合金層を形成し、80〜350℃まで冷却した後、大気雰囲気中で室温まで冷却する。この工程により、多孔質銅合金層の銅合金の表面に厚さが10〜120nmの銅酸化膜(CuO)を形成する。1次焼結後の多孔質銅合金層は、各空孔がネットワークを形成した組織である。
代替の方法としては、1次焼結の冷却工程にて還元雰囲気で部材を室温まで冷却したのち、大気雰囲気中で部材を80〜350℃の温度に加熱し、多孔質銅合金層の銅合金の表面に銅酸化膜(CuO)を形成してもよい。
次に、多孔質銅合金層を空孔率が0.1〜2.5体積%となるように空孔を減少させるための1次圧延を行う。1次圧延後の銅合金層は、銅合金中に平均径が1〜20μmの閉空孔が分散した組織となる。
次に、圧延された部材は、焼結炉を用いて850〜980℃の還元雰囲気で2次焼結を行い、銅合金層をさらに焼結した後、室温まで冷却する。2次焼結での炉内の還元雰囲気の温度は、銅合金の固相線温度を超え液相線温度よりも低くする。1次圧延にて銅合金層を適度に緻密化しているため、銅合金層の内部の上記銅酸化膜(CuO)は、この2次焼結での還元雰囲気により還元されることはない。
この2次焼結にて、閉空孔と接する銅合金部の表面に鉄リン酸化物膜が形成される。この生成過程は不明であるが、次のように考える。
2次焼結の昇温の過程で、部材の温度が、銅合金の固相線温度に超えてから最大温度に達するまでの間は、銅合金の一部が液相となる。この液相は、1次焼結後の多孔質銅合金層の表面であった部分で発生し、この液相に銅酸化膜の酸素成分が拡散する。次に、この銅合金の液相中のNi、P成分の一部が、鋼裏金層の表面に拡散し、鋼裏金層のFe成分が銅合金の液相中に拡散する。
この酸素成分およびFe成分が拡散した銅合金の液相は、1次圧延にて形成された銅合金の表面どうしの間の僅かな隙間を毛細間現象により流動し、摺動層の表面(摺動面)に近い付近にまで達するが、流動する際に、銅合金の液相中の酸素成分およびFe成分濃度が均一化すると考えられる。
部材が焼結温度(最大温度)に達する頃には、上記の1次圧延にて形成された銅酸化膜が形成された銅合金どうしの間の僅かな隙間は、焼結により無くなる。このため、銅合金の液相は、主に閉空孔部に移動すると考えられる。
部材が焼結温度(最大温度)に達した後の冷却の過程で、Fe成分、酸素成分を含む銅合金の液相は、主に閉空孔5と接する銅合金部4の表面で固化するが、その固化が完全に完了する前に液相中に鉄リン酸化物が晶出し、または、完全に固化した後に鉄リン酸化物が析出し、閉空孔5と接する銅合金部4の表面に鉄リン酸化物膜6が形成されると考えられる。
なお、摺動層の銅合金の結晶41中や結晶粒界42にも、僅かに鉄リン酸化物や鉄リン化合物が確認されることもある。
本発明の摺動部材は、内燃機関や自動変速機に用いられる軸受に限定されないで、各種機械に用いられる軸受に適用できる。また、軸受の形状は、円筒形状や半円筒形状に限定されないで、例えば、軸部材の軸線方向負荷を支承する円環形状や半円環形状のスラスト軸受や、自動変速機のクラッチ部(ワンウェイクラッチ)に用いられる略コ字状断面を有する円環形状のエンドプレート等にも適用できる。
なお、本発明の摺動部材は、摺動層および/または裏金層の表面にSn、Bi、Pbまたは、これら金属を基とする合金からなる被覆層や、合成樹脂または合成樹脂を基とする被覆層を有してもよい。

Claims (5)

  1. 鋼裏金層と、
    前記鋼裏金層上に設けられ、摺動面を有し、複数の閉空孔を含む摺動層と
    を備えた摺動部材であって、
    前記摺動層は、
    1〜12質量%のSn、1〜15質量%のNi、0.01〜0.2質量%のPを含み、残部がCu及び不可避純物からなる銅合金部と
    前記閉空孔を囲む前記銅合金部の内部表面を被覆して前記閉空孔を画定する鉄リン酸化物膜とからなり、
    前記閉空孔は、前記銅合金部中に分散し、前記摺動層中の前記閉空孔の体積割合は、前記摺動面に垂直方向の断面視にて0.1〜2体積%であり、前記閉空孔の平均径は1〜20μmである、摺動部材。
  2. 前記閉空孔は、4以下の平均アスペクト比を有する、請求項1に記載された摺動部材。
  3. 前記鉄リン酸化物膜におけるFeとPとOの質量比は、Fe1−X−Yであり、
    ここでX=0.1〜0.3、Y=0.3〜0.5である、請求項1または請求項2に記載された摺動部材。
  4. 前記銅合金部は、0.01〜5質量%のAl、0.01〜5質量%のSi、0.5〜10質量%のFe、0.1〜5質量%のMn、0.1〜30質量%のZn、0.1〜5質量%のSb、0.1〜5質量%のIn、0.1〜5質量%のAg、0.5〜25質量%のPb、0.5〜20質量%のBiから選ばれる1種以上をさらに含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された摺動部材。
  5. 前記摺動層は、Al、SiO、AlN、MoC、WC、FeP、FePのうちから選ばれる1種以上の硬質粒子を0.1〜10体積%をさらに含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された摺動部材。
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