JP6927445B1 - 低分子量ポリテトラフルオロエチレンの製造方法及び粉末 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本開示は、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が少ない新規な低分子量ポリテトラフルオロエチレンの粉末を提供することも目的とする。
また、本開示によれば、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が少ない新規な低分子量ポリテトラフルオロエチレンの粉末を提供することもできる。
本開示の製造方法によれば、炭素数4〜16のパーフルオロカルボン酸又はその塩を含むPTFEから、上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量が削減された低分子量PTFEを得ることができる。
上記特定の線量の放射線を照射することで、照射対象の上記PTFEに含まれる上記パーフルオロカルボン酸及びその塩が分解されると考えられる。また、実質的に酸素の不存在下で照射を行うので、照射により上記PTFEの一部が分解された場合に、上記パーフルオロカルボン酸又はその塩が新たに生成しにくいと考えられる。その結果、上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量が削減された低分子量PTFEが得られると考えられる。
また、本開示の製造方法では、高温での加熱が不要であるので、加熱設備を導入する必要がない。また、得られた低分子量PTFEを照射設備から加熱設備に移動させる等の工程も不要である。したがって、生産性を向上させることができ、製造コストを抑制することができる。
上記融解熱の減少率は、35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、27%以下であることが更に好ましく、また、−30%以上であってよく、−20%以上であってもよい。
上記融解熱の減少率は、示差走査熱量計(DSC、商品名:DSC7020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定することにより得られる値である。具体的には、PTFEを約10mg精秤し、専用のアルミパンに収納し、アルミパンを窒素雰囲気下200℃に昇温して5分保持し、更に10℃/分の速度で390℃に昇温(一回目昇温)して結晶を充分融解させ、融解熱を測定する。次いで390℃から10℃/分の速度で200℃に降温したのちに、10℃/分の速度で200℃から390℃に昇温(二回目昇温)して融解熱を測定する。一回目昇温時及び二回目昇温時の融解熱の測定値を用いて、下記式により融解熱の減少率を求める。
融解熱の減少率(%)=(一回目昇温時の融解熱−二回目昇温時の融解熱)/(一回目昇温時の融解熱)×100
上記高分子量PTFEは、標準比重(SSG)が2.130〜2.230であることが好ましい。上記標準比重(SSG)はASTM D 4895に準拠し、測定した値である。
上記PTFEは、また、テトラフルオロエチレン(TFE)の重合により、直接製造することもできる。この場合は、開始剤の選択や、重合温度や重合時間の調整により、融解熱の減少率を上記範囲内とすることができる。
PTFEの重合に上記パーフルオロカルボン酸又はその塩が使用されることがある。また、上述した高分子量PTFEの放射線分解を空気雰囲気下で行うと、通常、上記パーフルオロカルボン酸又はその塩が生成する。本開示の製造方法によれば、このような、何らかの理由で上記パーフルオロカルボン酸又はその塩を含んでいるPTFEを原料に用いる場合であっても、上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量が削減された低分子量PTFEを得ることができる。
上記PTFEにおいて、上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量(合計量)は、5質量ppb以上であってよく、10質量ppb超であってもよく、15質量ppb超であってもよく、20質量ppb超であってもよく、25質量ppb以上であってもよく、50質量ppb超であってもよく、100質量ppb超であってもよく、500質量ppb超であってもよく、1000質量ppb超であってもよく、2000質量ppb超であってもよく、3000質量ppb超であってもよく、10000質量ppb超であってもよい。
上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
上記パーフルオロオクタン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
上記パーフルオロスルホン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
上記線量は、吸収線量を意味する。
経済的には常温で照射することが好ましい。常温とは、照射発熱も含め、5〜60℃の温度範囲であってよく、10〜50℃であることが好ましく、10〜50℃未満であることがより好ましく、15〜45℃であることが更に好ましい。
本開示の製造方法によれば、このような比較的低い温度での処理で、上記パーフルオロカルボン酸及びその塩を充分に低減することができる。
上記酸素濃度は、工程を実施する空間内の気相部分をガスクロマトグラフィーにて分析する方法、酸素濃度計を用いる方法、又は、上記空間内に設置した酸素検知剤の色調を調べる方法により測定できる。
上記酸素の含有量は、ガスクロマトグラフィーでの分析の他、酸素濃度計や酸素検知紙により確認できる。
上記ハロゲン化ポリマーには、フッ素原子以外のハロゲン原子とともに、フッ素原子を有するポリマーも包含される。
上記ハロゲン化ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等の、塩素原子を有するポリマーが挙げられる。
実質的に上記ハロゲン化ポリマーが不存在であるとは、上記ハロゲン化ポリマーの存在量が、上記PTFEに対し、0.001質量%未満であることを意味する。上記存在量は、0.0001質量%以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、検出限界未満の量であってよい。
上記炭化水素としては、例えば、炭素数が1〜20の飽和炭化水素が挙げられる。
上記クロロ化炭化水素としては、例えば、炭素数が1〜18の飽和炭化水素のクロロ化物が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、炭素数が1〜12の一価の飽和アルコールが挙げられる。
上記カルボン酸としては、例えば、炭素数が1〜13の飽和モノカルボン酸が挙げられる。
実質的に上記化合物が不存在であるとは、上記化合物の存在量(合計量)が、上記PTFEに対し、0.001質量%未満であることを意味する。上記存在量は、0.0001質量%以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、検出限界未満の量であってよい。
PFC削減率は、工程(1)の放射線照射前のPTFE及び工程(1)で得られた低分子量PTFEにおけるPFCの含有量を液体クロマトグラフィーにより測定し、それらの測定値を用いて下記式により求める。
PFC削減率(質量%)=(照射前のPTFEにおけるPFCの含有量−得られた低分子量PTFEにおけるPFCの含有量)/(照射前のPTFEにおけるPFCの含有量)×100
PFOA削減率は、工程(1)の放射線照射前のPTFE及び工程(1)で得られた低分子量PTFEにおけるPFOAの含有量を液体クロマトグラフィーにより測定し、それらの測定値を用いて下記式により求める。
PFOA削減率(質量%)=(照射前のPTFEにおけるPFOAの含有量−得られた低分子量PTFEにおけるPFOAの含有量)/(照射前のPTFEにおけるPFOAの含有量)×100
上記パーフルオロカルボン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
上記パーフルオロオクタン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
上記パーフルオロスルホン酸及びその塩の量は、液体クロマトグラフィーにより測定できる。
上記低分子量PTFEは、上記パーフルオロスルホン酸及びその塩の含有量が、照射対象の上記PTFEよりも少ないものであってよい。
CF2=CF−ORf (1)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
工程(1)における放射線の照射が終了してから、上記低分子量PTFEを空気に曝露するまでの時間は、例えば、1日未満であってよく、10時間未満であってもよく、1時間未満であってもよく、10分未満であってもよく、5分未満であってもよい。
また、上記PTFE及び上記低分子量PTFEを上記温度下に、30分以上置かないことが好ましく、10分以上置かないことも好ましく、10秒以上置かないことも好ましい。
低分子量PTFE粉末としては、比表面積が0.5m2/g以上、7.0m2/g未満の比表面積の低いタイプと、比表面積が7.0m2/g以上、20m2/g以下の比表面積の高いタイプがそれぞれ求められている。
比表面積の低いタイプの低分子量PTFE粉末は、例えば塗料等のマトリクス材料に容易に分散する利点がある一方、マトリクス材料への分散粒径が大きく、微分散に劣る。
比表面積の低いタイプの低分子量PTFE粉末の比表面積は、1.0m2/g以上が好ましく、5.0m2/g以下が好ましく、3.0m2/g以下がより好ましい。マトリクス材料としては、プラスチック、インクの他、塗料等も好適に用いられる。
比表面積の高いタイプの低分子量PTFE粉末は、例えば塗料等のマトリクス材料に分散させた場合、マトリクス材料への分散粒径が小さく、塗膜表面の質感を向上させる等、表面を改質する効果が高く、吸油量も多くなるが、マトリクス材料への分散に必要な時間が長い等容易に分散しないおそれがあり、また、塗料等の粘度が上昇するおそれもある。
比表面積の高いタイプの低分子量PTFE粉末の比表面積は、8.0m2/g以上が好ましく、25m2/g以下が好ましく、20m2/g以下がより好ましい。マトリクス材料としては、オイル、グリース、塗料の他、プラスチック等も好適に用いられる。
上記カルボキシ基の数は、下記方法により測定することができる。この測定方法による検出限界は0.5個である。
(測定方法)
特開平4−20507号公報記載の末端基の分析方法に準拠し、以下の測定を行う。
低分子量PTFE粉末をハンドプレスにて予備成形し、およそ0.1mm厚みのフィルムを作製する。作製したフィルムについて赤外吸収スペクトル分析する。PTFEにフッ素ガスを接触させて作製した末端を完全フッ素化したPTFEの赤外吸収スペクトル分析も行い、両者の差スペクトルから次式により末端カルボキシ基の個数を算出する。
末端カルボキシ基の個数(炭素数106個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚み(mm)
カルボキシ基の吸収周波数は3560cm−1、補正係数は440とする。
上記一次融点としては、300℃以上が好ましく、310℃以上がより好ましく、320℃以上が更に好ましい。
上記一次融点は、未焼成の高分子量PTFEを示差走査熱量計で測定した場合に、結晶融解曲線上に現れる吸熱カーブの最大ピーク温度を意味する。上記吸熱カーブは、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分の条件で昇温させて得られたものである。
上記比重は、水中置換法により測定することができる。
この場合、工程(M2)で得られたPTFEを、工程(1)における上記PTFEとして使用することができる。
上記放射線分解又は熱分解は、いかなる雰囲気中で実施してもよく、例えば、空気中、不活性ガス中、真空中等で実施できる。低コストで実施できる観点からは、空気中での実施が好ましく、炭素数4〜16のパーフルオロカルボン酸及びその塩を生成させにくい観点からは、実質的に酸素不存在下での実施が好ましい。但し、本開示の製造方法は、上記工程(1)を含むので、上記放射線分解又は熱分解を実質的に酸素不存在下で実施することは必須でない。酸素の存在下(例えば空気中)で実施してもよい。
なお、上述した、上記PTFEを、実質的に酸素の不存在下で密閉容器に投入する工程も行う場合は、工程(M1)及び(M2)を、上記投入工程の前に実施することが好ましい。
放射線照射を酸素の存在下で行う等の従来法によって得られる低分子量PTFEは、上記の特定の信号を示さない。従来法で得られる低分子量PTFE中に含まれるラジカルの構造や割合は、本開示の粉末における低分子量PTFEとは相違すると推定される。
測定条件は、以下のとおりである。
装置:日本電子株式会社(JEOL)製、JES−FR30EX
測定温度:23±3℃
マイクロ波周波数:9.42GHz
マイクロ波出力:0.4mW
中心磁場:347.548mT
掃引幅:±25mT
掃引時間:60s
時定数:0.03s
磁場変調幅:0.32mT
スキャン回数:1回
変調周波数:100kHz
マーカー:Mn2+
上記補正信号強度は、下記式:
補正信号強度(mg−1)=Int.[PTFE]/Int.[Mn2+]/サンプル質量(mg)
(式中、Int.[PTFE]はサンプルの補正前の信号強度、Int.[Mn2+]はマーカーの信号強度)で定義される。
本明細書では、特に断りのない限り、PTFEのESRスペクトルの信号について単に強度というときは、上記補正信号強度を指すものとする。
ESR信号のg値は、下記式:
g=hν/βH
(式中、hはプランク定数、νは測定電磁波の周波数、βはボーア磁子、Hは信号が得られる磁場強度)で定義される。
上記g値としては、マーカーとして用いたMn2+の6本のピークのうち、低磁場側から3本目及び4本目のピークに対応する既知のg値2.034及び1.981を基準として補正した値を用いる。
上記ESRスペクトルのベースラインがずれる場合は、g値が2.05及び1.98付近の信号強度がおよそ0となるようにベースライン補正を行う。
上記ESRスペクトルにおいて、正の信号とは、上記スペクトルの正の領域(ベースラインの上側)に現れる信号を意味し、負の信号とは、上記スペクトルの負の領域(ベースラインの下側)に現れる信号を意味する。
上記g値が2.020の信号及びg値が2.023の信号は、正の信号であってよい。また、P1及びP2は、上記信号の強度の絶対値であってよい。
下記式:
上記融解熱の減少率が40%以下である、低分子量化されたPTFEは、ラジカル1及びラジカル2を含む。
その後、実質的に酸素不存在下で照射を行うと(工程(1))、ラジカル2の一部は照射によって分解されてラジカル1に変化するため、ラジカル1の割合が多くなる傾向にある。
他方、上記照射を空気中で行うと、ラジカル1及びラジカル2が生成するため、ラジカル1の割合は多くならない。
上記差P1−P2が−0.07以上であることは、低分子量PTFE中のラジカル1とラジカル2の存在量の差がある程度以上あること、言い換えると、ラジカル2に対しラジカル1の量が多いことを意味する。
上記差P1−P2が−0.07以上である低分子量PTFEは、例えば上述した本開示の製造方法により製造することができることから、本開示の粉末は、従来公知の低分子量PTFE粉末と比較して安価に製造することができる。上記差P1−P2が−0.07未満であると、製造コストが増大するおそれがある。
上記差P1−P2は、0.00超であることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることが更に好ましい。上記差P1−P2は、また、0.10以下であってよく、0.05以下であることがより好ましい。
上述した工程(1)を実施することにより、上記差P1−P2を上記範囲内にすることができる。
示差走査熱量計(DSC、商品名:DSC7020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。具体的には、PTFEを約10mg精秤し、専用のアルミパンに収納し、アルミパンを窒素雰囲気下200℃に昇温して5分保持し、更に10℃/分の速度で390℃に昇温(一回目昇温)して結晶を充分融解させ、融解熱を測定した。次いで390℃から10℃/分の速度で200℃に降温したのちに、10℃/分の速度で200℃から390℃に昇温(二回目昇温)して融解熱を測定した。一回目昇温時及び二回目昇温時の融解熱の測定値を用いて、下記式により融解熱の減少率を求めた。
融解熱の減少率(%)=(一回目昇温時の融解熱−二回目昇温時の融解熱)/(一回目昇温時の融解熱)×100
ASTM D 1238に準拠し、フローテスター(島津製作所社製)及び2φ−8Lのダイを用い、予め380℃で5分間加熱しておいた2gの試料を0.7MPaの荷重にて上記温度に保って測定を行った。
装置:日本電子株式会社(JEOL)製、JES−FR30EX
測定温度:23±3℃
マイクロ波周波数:9.42GHz
マイクロ波出力:0.4mW
中心磁場:347.548mT
掃引幅:±25mT
掃引時間:60s
時定数:0.03s
磁場変調幅:0.32mT
スキャン回数:1回
変調周波数:100kHz
マーカー:Mn2+
液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC−MS ACQUITY UPLC/TQD)を用い、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量の測定を行った。測定粉末1gにアセトニトリル5mlを加え、60分間の超音波処理を行い、パーフルオロオクタン酸を抽出した。得られた液相について、MRM(Multiple Reaction Monitoring)法を用いて測定した。移動相としてアセトニトリル(A)と酢酸アンモニウム水溶液(20mmol/L)(B)を、濃度勾配(A/B=40/60−2min−80/20−1min)で送液した。分離カラム(ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm)を使用し、カラム温度は40℃、注入量は5μLとした。イオン化法はESI(Electrospray ionization) Negativeを使用し、コーン電圧は25Vに設定し、プリカーサーイオン分子量/プロダクトイオン分子量は413/369を測定した。パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量は外部標準法を用い、算出した。この測定における検出限界は5ppbである。
液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC−MS ACQUITY UPLC/TQD)を用い、炭素数4〜16のパーフルオロカルボン酸及びその塩を測定した。溶液はパーフルオロオクタン酸の測定にて抽出した液相を使用し、MRM法を用いて測定した。測定条件はパーフルオロオクタン酸の測定条件から、濃度勾配を変更し(A/B=10/90−1.5min−90/10−3.5min)、プリカーサーイオン分子量/プロダクトイオン分子量は、パーフルオロブタン酸(炭素数4)は213/169、パーフルオロペンタン酸(炭素数5)は263/219、パーフルオロヘキサン酸(炭素数6)は313/269、パーフルオロヘプタン酸(炭素数7)は363/319、パーフルオロオクタン酸(炭素数8)は413/369、パーフルオロノナン酸(炭素数9)は463/419、パーフルオロデカン酸(炭素数10)は513/469、パーフルオロウンデカン酸(炭素数11)は563/519、パーフルオロドデカン酸(炭素数12)は613/569、パーフルオロトリデカン酸(炭素数13)は663/619、パーフルオロテトラデカン酸(炭素数14)は713/669、パーフルオロペンタデカン酸(炭素数15)は763/719、パーフルオロヘキサデカン酸(炭素数16)は813/769を測定した。
炭素数4〜16のパーフルオロカルボン酸及びその塩の合計量は、上記測定より得られたパーフルオロオクタン酸の含有量(X)から下記式を用いて算出した。この測定における検出限界は5ppbである。
(AC4+AC5+AC6+AC7+AC8+AC9+AC10+AC11+AC12+AC13+AC14+AC15+AC16)/AC8×X
AC4:パーフルオロブタン酸のピーク面積
AC5:パーフルオロペンタン酸のピーク面積
AC6:パーフルオロヘキサン酸のピーク面積
AC7:パーフルオロヘプタン酸のピーク面積
AC8:パーフルオロオクタン酸のピーク面積
AC9:パーフルオロノナン酸のピーク面積
AC10:パーフルオロデカン酸のピーク面積
AC11:パーフルオロウンデカン酸のピーク面積
AC12:パーフルオロドデカン酸のピーク面積
AC13:パーフルオロトリデカン酸のピーク面積
AC14:パーフルオロテトラデカン酸のピーク面積
AC15:パーフルオロペンタデカン酸のピーク面積
AC16:パーフルオロヘキサデカン酸のピーク面積
X:MRM法を用いた測定結果から外部標準法を用いて算出したパーフルオロオクタン酸の含有量
放射線照射前のPTFE及び得られた低分子量PTFEにおけるPFCの含有量を上記の方法により測定し、それらの測定値を用いて下記式により求めた。
PFC削減率(質量%)=(照射前のPTFEにおけるPFCの含有量−得られた低分子量PTFEにおけるPFCの含有量)/(照射前のPTFEにおけるPFCの含有量)×100
密閉容器内の気層部分をガスクロマトグラフィーにて分析することにより測定した。更に、密閉容器内に同封した酸素検知紙の色調が青色から桃色に変化することで、酸素濃度が0.1体積%以下(酸素不在)であることを確認した。
バリアナイロン製の袋にPTFEマイクロパウダー(PTFE−MP)(1)(融解熱の減少率:10.7%、PFOA量:155質量ppb、PFC量:1008質量ppb)を50g計量した。
更に、酸素吸着剤として鉄系自力反応型酸素吸着剤(三菱ガス化学社製エージレスZP−100)を同封し、バリアナイロン製の袋をヒートシールにて、密封した。袋内に予め設置しておいた酸素検知紙により酸素不在であることを確認した後に、袋内のPTFEマイクロパウダーに20〜45℃の雰囲気温度にてコバルト−60γ線を10kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。なお、照射時の雰囲気温度は、照射発熱も含めた温度である(以下の実施例及び比較例も同様)。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を測定した。上記各種物性の測定は、照射終了後、ただちに袋を開封し、粉末を空気中に30分程度保持してから実施した。結果を表1に示す。
コバルト−60γ線を100kGy照射したこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
コバルト−60γ線を400kGy照射したこと以外は実施例1と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
PTFEマイクロパウダー(1)の代わりに、表1に示す融解熱の減少率、PFOA量及びPFC量を有するPTFEマイクロパウダー(2)〜(7)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
バリアナイロン製の袋にPTFEマイクロパウダー(1)を50g計量した。次いで、ヒートシールを用いて、密封した。袋内のPTFEマイクロパウダーに20〜45℃の雰囲気温度にてコバルト−60γ線を100kGy照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
PTFEマイクロパウダー(1)に放射線を照射せずに、各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
アルミ製のカップにPTFEマイクロパウダー(1)を50g計量し、熱風循環式電気炉(エスペック社製高温恒温器STPH−202M)を使用して、100℃で3時間、熱処理した。得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
熱処理条件を100℃で0.5時間としたこと以外は比較例3と同様にして、低分子量PTFE粉末を得た。得られた低分子量PTFE粉末の各種物性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
Claims (2)
- 炭素数4〜16のパーフルオロカルボン酸又はその塩を含み、示差走査熱量測定における一回目昇温から二回目昇温の融解熱の減少率が40%以下であるポリテトラフルオロエチレンに、実質的に酸素の不存在下、100℃未満の温度で5〜1000kGyの放射線を照射することにより、前記パーフルオロカルボン酸及びその塩の含有量が削減された、380℃における溶融粘度が1.0×102〜7.0×105Pa・sである低分子量ポリテトラフルオロエチレンを得る工程(1)を含む、低分子量ポリテトラフルオロエチレンの製造方法。
- 前記ポリテトラフルオロエチレン及び前記低分子量ポリテトラフルオロエチレンがいずれも粉末である請求項1記載の製造方法。
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