JP5697308B2 - 低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末及びその製造方法、低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末、並びに定着部材用塗料 - Google Patents

低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末及びその製造方法、低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末、並びに定着部材用塗料 Download PDF

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本発明は、低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末及びその製造方法、低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末、並びに定着部材用塗料に関する。
低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、例えば、インク、化粧品等の相手材に添加剤として混ぜることにより、相手材の表面における摩擦を減らし滑り性を向上する目的、塗料に混ぜて得られる塗膜表面の質感を向上する目的等で用いられてきた。また、低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、電子写真機器の定着部材用塗料に用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照。)。
低分子量ポリテトラフルオロエチレンとしては、乳化重合法により得たもの(例えば、特許文献5及び特許文献6参照。)、高分子量ポリテトラフルオロエチレンを熱分解することにより得たもの(例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10及び特許文献11参照。)、及び、高分子量ポリテトラフルオロエチレンの粉末やスクラップ等の成形体に放射線を照射することにより得たもの(例えば、特許文献12、特許文献13、特許文献14及び特許文献15参照。)が知られている。
低分子量ポリテトラフルオロエチレンは、工程簡便化、分子量分布の狭小化の点で、重合により直接得られ、好ましくは、低分子量化のための後工程を必要としないことが望ましい。重合により直接得られる方法として乳化重合法が知られている(例えば、特許文献6参照。)。
また、連鎖移動剤を用いて行う懸濁重合により、低分子量ポリテトラフルオロエチレンを得る方法も開示されている(例えば、特許文献16参照。)。
重合により得られた低分子量ポリテトラフルオロエチレンとしてはまた、比表面積が7〜20m/gの粉末が知られている(例えば、特許文献17参照。)。
更に、最近の研究結果等から、パーフルオロオクタン酸[PFOA]の環境への負荷に対する懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日EPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する化学的調査を強化すると発表した(例えば、非特許文献1参照)。
特開平5−45920号公報 特開2000−292957号公報 特開2000−275889号公報 特開2008−165018号公報 特開昭51−41085号公報 特開平7−165828号公報 特開昭49−39642号公報 特公平7−5744号公報 特公昭50−15506号公報 特開昭61−118331号公報 特開昭61−162503号公報 特公昭52−25419号公報 特公昭49−48671号公報 特表平2001−513529号公報 米国特許第3766031号明細書 国際公開第2004/076539号パンフレット 特開平10−1476176号公報
従来の低分子量ポリテトラフルオロエチレン、例えば、特許文献16等で製造される懸濁重合により得られるルブロンは、これまでも定着部材用塗料に用いられているが、粒径が大きく、必ずしも塗膜を形成する際のポリテトラフルオロエチレンとして最適というわけではなく、塗料の添加剤として用いたとしても、優れた平滑性を有する被膜が得られない場合がある等の点で、更なる改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、塗料の添加剤として用いることで、優れた平滑性を有する被膜を形成することができる低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末及びその製造方法、低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末、並びに定着部材用塗料を提供することにある。
本発明は、乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が3μm以下であり、粒子径が1μm以下の粉末を含み、340℃におけるフローテスター法を用いて測定される溶融粘度が2500Pa・s以下であり、懸濁重合により得られることを特徴とする低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末(以下、「低分子量PTFE粉末(A)」ともいう。)である。
本発明は、上記低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を250℃以上、340℃未満で加熱する加熱処理を経て得られるものであることを特徴とする低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末である。
本発明は、連鎖移動剤を用いて懸濁重合により上記低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を製造することよりなる低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末製造方法であって、乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が0.5〜20μmである低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を微粉砕する工程を含む低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末製造方法である。
本発明は、上記低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末、又は、上記低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末を含むことを特徴とする定着部材用塗料である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末(A)は、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(以下、「低分子量PTFE」ともいう。)から得られるものである。
上記低分子量PTFEは、数平均分子量が60万以下であるものである。60万を超えると、フィブリル化特性が発現し、凝集しやすいので、微分散性に劣る場合がある。上記低分子量PTFEの数平均分子量は、上記範囲内であれば好ましい下限を例えば1万とすることができる。1万未満であると、高温での揮発性が高く、焼き付けを必要とする塗料等の耐熱塗料には適さない場合がある。
上記低分子量PTFEの数平均分子量は、フローテスター法を用いて測定し得られた溶融粘度から、それぞれ算出した値である。
上記低分子量PTFEは、数平均分子量が60万以下であるものであれば、低分子量PTFEの後述の重合方法により得られたもの、高分子量ポリテトラフルオロエチレンを熱分解することにより得られたもの、高分子量ポリテトラフルオロエチレンに放射線を照射することにより得られたもの、の何れであってもよい。
上記低分子量PTFEは、テトラフルオロエチレンホモポリマー〔TFEホモポリマー〕及び/又は変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕である。
本明細書において、上記「TFEホモポリマー及び/又は変性PTFE」とは、TFEホモポリマーからなり変性PTFEを含まないもの、変性PTFEからなりTFEホモポリマーを含まないもの、又は、TFEホモポリマーと変性PTFEとからなるものの何れかを意味する。
上記「低分子量PTFE」なる用語における「ポリテトラフルオロエチレン」は、一般には上記TFEホモポリマーを表すことがあるが、本明細書において、上記「低分子量PTFE」がTFEホモポリマー及び/又は変性PTFEであることから明らかであるように、TFEホモポリマーに限る趣旨ではなく、上記「低分子量PTFE」という1つの用語の一部分であるにすぎない。上記「低分子量PTFE」は、1つの用語として全体で、TFEホモポリマー及び/又は変性PTFEを表す。
上記TFEホモポリマーは、モノマーとしてテトラフルオロエチレン〔TFE〕のみを重合することにより得られるものである。
上記変性PTFEは、TFE及び変性剤から得られる重合体を意味する。
上記変性PTFEにおける変性剤としてはTFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロペン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のクロロフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン等の水素含有フルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル等が挙げられる。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式(I)
CF=CF−ORf (I)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(I)において、Rfが炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表すものであるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられるが、パーフルオロプロピル基が好ましい。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、また、上記一般式(I)において、Rfが炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基、下記式
Figure 0005697308
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される有機基、下記式
Figure 0005697308
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される有機基を表すものであるパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)若しくはパーフルオロ(アルキルポリオキシアルキレンビニルエーテル)等が挙げられる。
上記変性PTFEにおける変性剤としては、パーフルオロビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレンが好ましく、パーフルオロビニルエーテルとしてはPAVEが好ましい。
上記変性PTFEにおいて上記変性剤が上記変性剤とTFEとの全体量に占める割合(質量%)としては、例えば、上記変性剤として上記パーフルオロビニルエーテルを用いる場合、通常、1質量%以下が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。
上記変性PTFEとしては、例えば、数平均分子量、共重合組成等が異なるものを1種又は2種以上用いてよく、上記TFEホモポリマーとしては、例えば、数平均分子量が異なるものを1種又は2種以上用いてもよい。
上記低分子量PTFEの重合方法としては特に限定されず、例えば、乳化重合、懸濁重合等が挙げられる。
上記低分子量PTFEの重合には、連鎖移動剤を用いてもよい。上記連鎖移動剤を用いることにより、得られる低分子量PTFEの分子量を調整することができ、相手材への添加剤として分散性を向上することができる。
上記連鎖移動剤としては、水素、低級飽和炭化水素又は低級アルコールであれば特に限定されない。上記低級飽和炭化水素としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭素数1〜6の直鎖状又は環状アルカン等が挙げられ、上記低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3のアルコール等が挙げられる。
上記低分子量PTFEの重合に際して、上記低分子量PTFEの分子鎖末端には、後述の重合開始剤、上記連鎖移動剤の化学構造に由来する不安定末端基が生じていてもよい。上記不安定末端基としては特に限定されず、例えば、−CHOH、−COOH、−COOCH等が挙げられる。
上記低分子量PTFEは、不安定末端基の安定化を行ったものであってもよい。上記不安定末端基の安定化の方法としては特に限定されず、例えば、フッ素含有ガスに曝露することにより末端をトリフルオロメチル基〔−CF〕に変化させる方法等が挙げられる。
上記低分子量PTFEはまた、末端アミド化を行ったものであってもよい。
上記末端アミド化の方法としては特に限定されず、例えば、特開平4−20507号公報に開示されているように、上述のフッ素含有ガスに曝露する等して得られたフルオロカルボニル基〔−COF〕をアンモニアガスと接触させる方法等が挙げられる。
上記低分子量PTFEが上述の不安定末端基の安定化又は末端アミド化を行ったものであると、得られる本発明の低分子量PTFE粉末は、インク、塗料、化粧品等の相手材に対する添加剤として用いる場合に相手材となじみやすく分散性を向上することができる。
上記低分子量PTFE粉末(A)は、低分子量PTFEからなる粉末状固体である。
上記低分子量PTFE粉末(A)は、比表面積が7m/g未満、340℃におけるフローテスター法を用いて測定される溶融粘度が2500Pa・s以下であることが好ましい。本明細書において、上記範囲内の比表面積と溶融粘度とを有する低分子量PTFE粉末(A)を、以下、「低分子量PTFE粉末(B)」という。
上記低分子量PTFE粉末(B)は、比表面積が比較的小さく、粉末の舞い立ちやホッパーへの付着を低減することができる。上記低分子量PTFE粉末(B)の比表面積の好ましい上限は、6m/g、より好ましい上限は5m/gであり、好ましい下限は、1m/gである。
本明細書において、比表面積は、BET法に従い、表面分析計を用いて測定し得られた値である。
上記低分子量PTFE粉末(B)は、340℃における溶融粘度が上記範囲内であるので、低分子量PTFEの数平均分子量がおよそ100000以下であるものである。上記数平均分子量は、例えば、40000以下にすることもできる。
本明細書において、溶融粘度は、ASTM D 1238に準拠し、340℃におけるフローテスター法で測定し得られた値である。
上記低分子量PTFE粉末(B)は、上記範囲内の溶融粘度を有するとともに、上記範囲内の比表面積を有し、かつ、懸濁重合により得られたものであることが好ましい。
なお、本明細書において、(A)、(B)又は後述の(C)を付さずに単に「低分子量PTFE粉末」というときは、上記低分子量PTFE粉末(A)、低分子量PTFE粉末(B)及び後述の低分子量PTFE粉末(C)と、これら以外の低分子量PTFE粉末とを区別することなく、上記低分子量PTFE粉末(A)、低分子量PTFE粉末(B)及び低分子量PTFE粉末(C)を含み得る低分子量PTFE粉末全体についていうものである。
また、本明細書において、単に「低分子量PTFE粉末」という場合は、平均粒子径が0.5〜20μmの低分子量PTFE粉末を意味する。
本明細書において、上記低分子量PTFE粉末の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定法を用いて粒度分布を測定し、得られた粒度分布積算の50%に対応する粒子径に等しいとして算出された値である。
上記低分子量PTFE粉末(A)は、340℃におけるフローテスター法を用いて測定される溶融粘度が2500Pa・s以下であることが好ましい。本明細書において、上記範囲内の溶融粘度を有する低分子量PTFE粉末(A)を、以下、「低分子量PTFE粉末(C)」という。
上記低分子量PTFE粉末(C)は、懸濁重合により容易に得ることができる。本発明の低分子量PTFE粉末(C)を得るための懸濁重合としては後述の本発明の低分子量PTFE粉末製造方法を用いることが好ましい。
上記低分子量PTFE粉末(C)は、上記範囲内の溶融粘度を有するとともに、比表面積が7m/g未満であるものが好ましい。上記低分子量PTFE粉末(C)の比表面積のより好ましい上限は、6m/gであり、更に好ましい上限は、5m/gであり、より好ましい下限は、1m/gである。
上記低分子量PTFE粉末(C)は、上記範囲内の溶融粘度を有するとともに、上記低分子量PTFE粉末(B)と同様の範囲内の比表面積を有し、かつ、懸濁重合により得られたものであることが好ましい。懸濁重合を用いて製造することにより上記範囲内の溶融粘度と上記範囲内の比表面積とを併有する低分子量PTFE粉末を容易に得ることができる。
上記低分子量PTFE粉末(A)は、乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が3μm以下であり、粒子径が1μm以下である粉末を含む。粒子径の小さい粉末であることで、例えば、塗料の添加剤として用いた場合等に、より優れた表面平滑性を有する塗膜を形成することができる。
上記低分子量PTFE粉末(A)の50%平均粒子径としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下であることがより好ましい。
上記低分子量PTFE粉末(A)は、懸濁重合により得られることが好ましい。すなわち、本発明は、乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が3μm以下であり、粒子径が1μm以下の粉末を含み、340℃におけるフローテスター法を用いて測定される溶融粘度が2500Pa・s以下であり、懸濁重合により得られる低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末でもある。
本発明は、微粉砕された低分子量PTFE粉末でもある。
上記微粉砕の方法としては特に限定されないが、粉砕機で粉砕する方法が挙げられる。また、必要に応じて、低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末に放射線を照射した後、粉砕機により粉砕する方法も好ましい方法の一つである。
粉砕機には、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミルなどの衝撃式や、回転刃と外周ステーターが凹凸による剪断力で粉砕するカッターミル等の摩砕式などがある。粉砕温度は−200〜100℃であることが好ましい。冷凍粉砕では通常−200〜−100℃であるが、室温(10〜30℃)で粉砕してもよい。冷凍粉砕では一般に液体窒素を使用するが、設備が膨大で粉砕コストも高くなる。工程が簡素となる点、粉砕コストを抑えることができる点で、室温(10℃)〜100℃、好ましくは、室温付近の温度(10℃〜30℃)で粉砕することが適当である。
上記放射線としては、γ線、電子線、X線等が挙げられるが、例えば、γ線、電子線が好ましい。放射線の照射量としては、10kGy以上であることが好ましい。より好ましくは、100kGy以上である。放射線の照射量の上限は特に限定されないが、例えば、1000kGyである。
上記微粉砕の後、微粒子や繊維状粒子を気流分級により除去した後に、さらに分級により粗粒子を除去してもよい。
気流分級においては、粉砕された粒子が減圧空気により円柱状の分級室に送られ、室内の旋回気流により分散され、遠心力によって微粒子が分級される。微粒子は中央部からサイクロンおよびバグフィルターへ回収される。分級室内には、粉砕粒子と空気が均一に旋回運動を行うために円錐状のコーンまたはローターなどの回転体が設置されている。
分級コーンを使用する場合には、分級点の調節は二次エアーの風量と分級コーン間の隙間を調節することにより行う。ローターを使用する場合には、ローターの回転数により分級室内の風量を調節する。
粗粒子の除去方法としては、メッシュによる気流分級、振動篩または超音波篩などが挙げられるが、気流分級が好ましい。
本発明の低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末(以下、「低分子量PTFEゲル化粉末」という。)は、上記低分子量PTFE粉末(A)を250℃以上、340℃未満で加熱する加熱処理を経て得られるものである。
上記加熱処理において、好ましい温度の下限は300℃であり、好ましい温度の上限は、低分子量PTFEの融点、例えば330℃である。
本発明の低分子量PTFEゲル化粉末は、低分子量PTFE粉末(A)の全ての粒子について完全に行われた「完全ゲル化」と、一部の粒子若しくは一粒子の一部について行われた「半ゲル化」との何れの状態にあるものであってもよい。
上記加熱処理により、上記低分子量PTFE粉末(A)の粒子同士が点接触によって融着し、全体としては弱い結合力で一体に結合した塊状体を形成する。
上記加熱処理により、また、上記低分子量PTFE粉末(A)の個々の粒子内でポリマー鎖が運動量を増して相互に絡み合う結果、個々の粒子はサイズが小さくかつ密な構造となって収縮する傾向にある。上記加熱処理によって得られた個々の粒子の見掛密度は、加熱処理前の粉末である上記低分子量PTFE粉末(A)に比べて一般に高くなるので、粉末の舞い立ちが少なく、粉末流動性が向上することによりホッパーへの充填性を向上させることができる。
上記加熱処理によって得られた塊状体に対しては、所望の大きさに粉砕処理を行ってもよい。上記粉砕処理は、上記低分子量PTFEゲル化粉末の個々の粒子に分かれるように行うことが好ましい。また、粉砕処理は、上述した微粉砕の方法によって行ってもよい。
本発明の低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末製造方法(以下、「低分子量PTFE粉末製造方法」という。)は、連鎖移動剤を用いて懸濁重合により上述の低分子量PTFE粉末(A)を製造することよりなるものである。
本発明の低分子量PTFE粉末製造方法は、懸濁重合を採用しており、乳化重合法により製造される場合に比べて、凝析が不要である点で優れている。本発明の低分子量PTFE粉末製造方法は、上述の本発明の低分子量PTFE粉末(C)の製造に好適であるが、上述の低分子量PTFE粉末(B)の製造にも好適である。
上記連鎖移動剤は、上述した低分子量ポリテトラフルオロエチレンの重合に関する記載において説明したものと同様のものである。
上記連鎖移動剤は、重合開始時の気相部分の重合単量体100モル%に対して、0.01〜0.5モル%の量で使用することが好ましい。なお、気相部分の重合単量体とは、例えば、重合槽内に仕込まれた気相の重合単量体である。
上記懸濁重合は、液温40℃以上、100℃未満において行う場合、用いる重合開始剤は、過硫酸塩又は亜硫酸塩と、有機過酸化物とを含むものであることが好ましい。
上記重合開始剤としては、上記「過硫酸塩及び亜硫酸塩」をグループaといい、上記「有機過酸化物」をグループbというとして、グループaとグループbとからそれぞれ少なくとも1種類ずつ選び用いるのであれば、重合開始作用を有するその他の試薬を用いてもよい。上記過硫酸塩及び上記亜硫酸塩は、半減期が短く重合開始時から重合開始剤として作用するのに対し、上記有機過酸化物は、半減期が比較的長く、重合開始剤として上記過硫酸塩及び亜硫酸塩よりも遅く作用し始める。従って両者を組み合わせることにより、分子量分布を小さくシャープにすることができる。
上記過硫酸塩としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられ、上記亜硫酸塩としては特に限定されず、例えば、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム等が挙げられ、上記有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル、二コハク酸パーオキシド、二グルタル酸パーオキシド等が挙げられる。
なお、上述した重合開始剤のほかに、後述のレドックス触媒を用いてもよい。
上記「液温」は、重合反応液の温度である。
上記懸濁重合は、液温5℃以上、40℃未満において行う場合、用いる重合開始剤は、過硫酸塩若しくは亜硫酸塩及び/又は有機過酸化物と、レドックス触媒とを含むものであることが好ましい。レドックス触媒を含むことにより5℃以上、40℃未満のような低温でも反応を進行させることができる。
上記「過硫酸塩若しくは亜硫酸塩及び/又は有機過酸化物と、レドックス触媒」は、過硫酸塩とレドックス触媒、亜硫酸塩とレドックス触媒、有機過酸化物とレドックス触媒、過硫酸塩と有機過酸化物とレドックス触媒、亜硫酸塩と有機過酸化物とレドックス触媒の5通りのうち何れの組み合わせであってもよい。
上記過硫酸塩、亜硫酸塩、有機過酸化物及びレドックス触媒は、それぞれ2種以上用いてもよい。
上記過硫酸塩、亜硫酸塩及び有機過酸化物としては上述したものを用いることができる。
上記レドックス触媒としては特に限定されず、例えば、金属カルボニル−四塩化炭素混合物、過酸化物−鉄(II)化合物の混合物等が挙げられる。
本発明の低分子量PTFE粉末製造方法は、乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が0.5〜20μmである低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を微粉砕する工程を含むものである。上記低分子量PTFE粉末を微粉砕することにより、塗料等に好適に用いることができる。低分子量PTFE粉末を微粉砕する方法としては、上述と同様の方法が挙げられる。
上記低分子量PTFE粉末(A)、又は、上記低分子量PTFEゲル化粉末を含む添加剤を調製することもできる。
上記添加剤は、上記低分子量PTFE粉末(A)そのもの、又は、上記低分子量PTFEゲル化粉末そのものであってもよいし、例えば、これらに加えてワックス等を添加した複合添加剤であってもよい。上記ワックスを添加してなる複合添加剤は、例えば、インク用途に用いられる。
上記添加剤は、目的に応じて各種相手材に配合され、上記相手材としては、例えば、ポリオキシベンゾイルポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチックその他の成形材料;インク;塗料等が挙げられる。
上記添加剤の用途としては特に限定されず、例えば、インク、ニス、ペンキ等の塗料やファンデーション等の化粧品の滑り性向上等の目的に用いることができる。また、家具の表層シート、自動車のダッシュボード、家電製品のカバー等のエンジニアリングプラスチック成形品の質感を向上させる用途、軽荷重軸受、歯車、カム、プッシュホンのボタン、映写機、カメラ部品、摺動材等の機械的摩擦を生じる機械部品の滑り性や耐摩耗性を向上させる用途、ワックス等の撥油性又は撥水性を向上させる用途、エンジニアリングプラスチックの加工助剤等にも好適である。
また、上記添加剤は、電子写真機器(レーザープリンターやコピー機等)の定着部材用の塗料にも好適に用いる事が出来る。例えばコピーロールの非粘着性・摺動性の向上、感光体用塗料に配合して感光体表面の非粘着性・クリーニング性を向上させ、結果的に画質欠陥の発生を抑制できる。また、トナーに配合する事で電荷調整剤、流動性向上剤、スペーサー等の効果を発生し、結果的に画質欠陥の発生を抑制できる。
すなわち、本発明は、上記低分子量PTFE粉末(A)、又は、本発明の低分子量PTFEゲル化粉末を含む定着部材用塗料でもある。本発明の定着部材用塗料は、PTFEの分子量が低いため、光沢度及び透明性に優れるものである。分子量と、光沢及び透明性との関係は従来知られておらず、低分子量のPTFEを添加剤として用いることも本発明の技術的意義の一つである。
また、本発明の定着部材用塗料は、粒子径の小さい低分子量PTFE粉末を含むことから、形成される被膜においてブツの発生を抑制することができる。更に、実用レベルにおいて充分な耐久性も有する。
上記定着部材用塗料は、上記低分子量PTFE粉末(A)及び低分子量PTFEゲル化粉末は、乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が3μm以下であり、粒子径が1μm以下である粉末を含むものであることが好ましい。これによれば、より優れた表面平滑性を有する塗膜を得ることができる。
上記定着部材用塗料は、上記低分子量PTFE粉末(A)及び/又は低分子量PTFEゲル化粉末と、水及び/又は有機溶剤とを含有することが好ましい。
上記定着部材用塗料が有機溶剤と、低分子量PTFE粉末(A)及び/又は低分子量PTFEゲル化粉末とを含有する場合、上記有機溶剤は、樹脂を含有することが好ましい。上記樹脂としては、上記定着部材用塗料を塗布することで得られる被膜の特性に応じて適宜選択すればよいが、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。
上記有機溶剤は使用する樹脂を溶解させることができる有機溶剤であれば特に限定されないが、例えば、アルコール、ケトン、エーテル等の極性溶媒、トルエン、ベンゼン等の非極性溶媒を用いることができる。
上記定着部材用塗料は、樹脂と有機溶剤との合計100質量%に対して、上記低分子量PTFE粉末(A)及び/又は低分子量PTFEゲル化粉末を、1〜30質量%含有することが好ましい。なお、低分子量PTFE粉末(A)及び上記低分子量PTFEゲル化粉末を併用する場合には、その合計量が上記範囲であればよい。30質量%を超えると、分散安定性が低下するおそれがあり、1質量%未満であると、非粘着性の効果が充分に得られないおそれがある。より好ましい上限は、25質量%である。より好ましい下限は、2質量%である。
上記定着部材用塗料が、上記低分子量PTFE粉末(A)及び/又は上記低分子量PTFEゲル化粉末と、水とを含有する場合、水は水溶性有機溶剤を含有してもよい。上記水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール、ケトン、エーテル等の極性溶媒が挙げられる。
上記水が水溶性有機溶剤を含有する場合、水溶性有機溶剤と水との質量比は所望する塗料の特性を考慮して適宜選択すればよい。
上記定着部材用塗料が水を含有する場合、又は、水が水溶性有機溶剤を含有する場合、定着部材用塗料中の水の含有量、水溶性有機溶剤と水との質量比は所望する塗料の特性を考慮して適宜選択すればよい。
上記定着部材用塗料が水を含有する場合、上記定着部材用塗料は、界面活性剤を含む低分子量ポリテトラフルオロエチレン水性分散液であることも好ましい。低分子量ポリテトラフルオロエチレン水性分散液の形態としては、懸濁重合等により生成され、乾燥等を行っていない重合上がりの形態であってもよいし、重合上がりの分散液を乾燥等により粉末として取り出した後、再度水に分散された形態であってもよい。
上記定着部材は、少なくとも基材と、本発明の定着部材用塗料により形成された被膜とを有する。上記定着部材は、少なくとも基材と定着部材用塗料により形成された被膜を有していれば、必要に応じて他の層(例えば、基材と上記被膜との間に設ける弾性層など)を有していてもよい。上記定着部材としては、電子写真機器用の定着ロール、定着ベルト又は定着フィルムや、加圧用ロール、加圧用ベルト又は加圧用フィルム等が挙げられるが、特に限定されるものではない。例えば、オフィスオートメーション機器(以下、「OA機器」ともいう。)全般における定着部材であってもよい。上記OA機器としては、印刷機、複写機等の画像形成装置が挙げられる。上記定着部材としては、OA機器用ロール、OA機器用ベルト又はOA機器用フィルム等が挙げられる。
上記OA機器用ロール、OA機器用ベルト又はOA機器用フィルムとしては、例えば定着用ロール、定着用ベルト又は定着用フィルムや、加圧用ロール、加圧用ベルト又は加圧用フィルム等が挙げられる。
上記定着部材用塗料は、上述の低分子量PTFE粉末を液状媒体に分散させた塗料を、基材に塗布することで、定着部材を形成するためのものであることが好ましい。本発明は、上記低分子量PTFE粉末(A)及び/又は低分子量PTFEゲル化粉末を含有する分散液を基材に塗布する工程を含む、定着部材の製造方法でもある。
上記基材としては、用途に応じて適したものであれば、制限なく適用することができるが、例えば、高分子フィルム、金属フィルム、セラミックスフィルム、ガラス繊維フィルムあるいはこれらいずれか2種以上を複合して得られた複合化フィルム等を使用することができる。
上記高分子フィルムとしては、耐熱性樹脂材料が望ましい。耐熱性樹脂材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。また、内部に粒状、針状、繊維状等のカーボンブラック、グラファイト、アルミナ、シリコーン、カーバイド、ボロンナイトライド等の熱伝導性向上剤を添加してもよく、必要に応じて導電化剤、帯電防止剤、剥離剤、補強剤等の添加剤を添加してもよい。また前記耐熱性樹脂の外周面にニッケルや銅などの金属やシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを積層することも可能である。
金属フィルムとしては、SUSやニッケルあるいは銅などが挙げられる。また金属フィルムの外周面に耐熱性樹脂やシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性エラストマーあるいは他の金属材料を積層することも可能である。
上記基材には、グラファイト、金属粉末等の導電性粉末、導電性を有する有機化合物、耐摩耗性を向上するための硫酸バリウム、マイカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ケイ酸塩化合物等の無機化合物の粉末を配合されていてもよい。
上記低分子量PTFE粉末(A)、又は、上記低分子量PTFEゲル化粉末は、成形品を得るための成形材料として用いることも可能である。上記成形品は、フィラー及び/又はオイルを含むものであってもよい。上記フィラーとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシベンゾイルポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチック;炭素繊維;ガラス繊維;青銅粉末;黒鉛粉末;炭酸カルシウム;硫酸カルシウム;二硫化モリブデン;クロライト、タルク、雲母等のケイ酸塩鉱物;金属酸化物;軟質金属粉末等が挙げられる。
本発明の低分子量PTFE粉末、低分子量PTFEゲル化粉末及び低分子量PTFE粉末は、上述の構成よりなるので、塗料の添加剤等として好適であり、被膜形成時のブツの発生を抑制し、該被膜の表面平滑性を優れたものとすることができる。当該塗料は、定着部材用塗料として用いる場合に、特に優れた効果を発揮する。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔低分子量PTFE粉末の重合〕
重合例1
攪拌コーン翼を備えた150Lステンレス製重合槽に脱イオン水70Lを仕込み密閉した。槽内の空気を除去した後、100gのエタンを仕込んだ。槽内圧力0.5MPaまでTFEモノマーを仕込み、85℃まで昇温した。槽内温度が85℃に達したら、再度TFEモノマーを追加し0.8MPaに圧力調整した。重合開始剤として250ppm/HOの過硫酸アンモニウムと250ppm/HOの二コハク酸パーオキサイドとを水溶液の状態で仕込むとすぐ槽内のTFEモノマーの消費が始まった。重合中、槽内圧力0.7MPaまで消費されたら、TFEを0.85MPaまで追加仕込みする操作を繰り返し、TFE供給量が12kgになった時点で重合反応を終了し、槽内圧力を常圧まで開放した。重合反応開始後槽内温度は終始84.5〜85.5℃に保った。槽内を室温まで冷却した後、得られた粒子を脱イオン水で水洗したうえで濾別し、170℃の熱風循環式乾燥機にて12時間乾燥することにより低分子量PTFE粉末を得た。
重合例2
エタンの仕込み量を140gにすること以外は、重合例1と同様にして低分子量PTFE粉末を得た。
重合例3
エタンの仕込み量を160gにすること以外は、重合例1と同様にして低分子量PTFE粉末を得た。
重合例4
エタンの仕込み量を200gにすること以外は、重合例1と同様にして低分子量PTFE粉末を得た。
重合例5
エタンの仕込み量を60gにすること以外は、重合例1と同様にして低分子量PTFE粉末を得た。
重合例6
エタンの仕込み量を75gにすること以外は、重合例1と同様にして低分子量PTFE粉末を得た。
得られた低分子量PTFE粉末に対し、以下の物性評価を行った。
見掛密度
JIS K 6891−5.3に準拠して測定した。
平均粒子径及び粒度分布
レーザー回折式粒度分布測定装置(日本電子社製)を用い、カスケードは使用せず、圧力0.1MPa、測定時間3秒で粒度分布を測定し、得られた粒度分布積算の50%に対応する粒子径に等しいとした。
高温揮発率
アルミニウム製カップ(容量50ml、上部径61mm、下部径42mm、深さ33mm)に試料10g(下記式において、Aグラムと表す)を入れ、あらかじめ加熱温度に調整した熱風循環式電気炉で300±2℃の窒素雰囲気中、1時間保持した後質量を測定し、下記式
高温揮発率(質量%)=〔{A−熱処理後の質量(g)}×100〕/A
によって高温揮発率を算出した。
溶融粘度
フローテスター(島津製作所製)にて2φ−8Lのダイを用い、あらかじめ温度340℃で5分間熱しておいた2gの試料を0.7MPaの荷重にて340℃で測定した。
比表面積
BET法により、表面分析計(商品名:MONOSORB、QUANTA CHROME社製)を用いて測定した。なお、キャリアガスとして窒素30%、ヘリウム70%の混合ガスを用い、冷却は液体窒素によって行った。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005697308
表1から、連鎖移動剤であるエタンの添加量を増やすと、溶融粘度が小さくなることがわかった。
〔低分子量PTFE粉末のゲル化〕
ゲル化実験例1
重合例2で得られた乾燥した低分子量PTFE粉末をステンレストレーに20mmの厚みを超えないように展開し、あらかじめ250℃に昇温しておいた熱風循環式電気炉に入れ30分間熱処理を行った。30分経過後、直ちにトレーを室内に出し放冷し、低分子量PTFEゲル化粉末を得た。
ゲル化実験例2
熱風循環式電気炉の温度を300℃にする以外はゲル化実験例1と同様にして低分子量PTFEゲル化粉末を得た。
ゲル化実験例3
熱風循環式電気炉の温度を320℃にする以外はゲル化実験例1と同様にして低分子量PTFEゲル化粉末を得た。
ゲル化実験例4
熱風循環式電気炉の温度を330℃にする以外はゲル化実験例1と同様にして低分子量PTFEゲル化粉末を得た。
ゲル化実験例5
熱風循環式電気炉の温度を340℃にする以外はゲル化実験例1と同様にして低分子量PTFEゲル化粉末を得た。
ゲル化実験例6
熱風循環式電気炉の温度を200℃にする以外はゲル化実験例1と同様にして低分子量PTFEゲル化粉末を得た。
得られた低分子量PTFEゲル化粉末に対し、上述の見掛密度、平均粒子径及び溶融粘度の測定に加えて、以下の物性測定を行った。
融解熱量
示差走査型熱量計(商品名:DSC−50、島津製作所製)を用いて融解ピークの面積を測定した。
粉末の舞い立ち官能試験
以下のように目視観測で評価した。
◎…全く舞い立ちが観測されなかった
〇…殆ど舞い立ちが観測されなかった
△…若干量舞い立ちが観測された
×…大量の舞い立ちが観測された
以上の結果を表2に示す。
Figure 0005697308
表2から、ゲル化実験例では、ゲル化の温度が高いほど見掛密度及び平均粒子径が大きくなり、粉末の舞い立ちが抑制されることがわかった。
粉砕例1
重合例5で得られたPTFEを粉砕機にて微粉砕し、50%平均粒子径が2.0μmの粉末を得た。また、得られた粉末中には、粒子径が1μm以下の粉末を含んでいた。
粉砕機は、分級機50ATPを備えたホソカワミクロン製エアージェットミル100AFGを用いた。分級機50ATPの分級ロータは約22000rpmで回転させた。
粉砕例2
200kGyのγ線を照射した重合例5で得られたPTFEを、粉砕例1と同条件にて粉砕したところ1.2μmの粉末を得た。また、得られた粉末中には、粒子径が1μm以下の粉末を含んでいた。
粉砕例3
重合例4で得られたPTFEを粉砕例1と同条件にて微粉砕し、1.2μmの粉末を得た。また、得られた粉末中には、粒子径が1μm以下の粉末を含んでいた。
粉砕例1〜3で得られた粉末について表3に示す。
Figure 0005697308
塗料化試験1
粉砕例1で得られたPTFEを配合した塗料を作成し、ガラス板に塗布し自然乾燥した。乾燥後に、塗膜面の任意の場所25cm内にある目視可能なブツの数を数えたところ、一つも無かった。なお、塗料化及び塗布は以下の方法にて行った。
MEKで溶解したROHM&HAAS社製のAcryloid A−11を用い、樹脂濃度は25質量%とした。PTFEは、MEKと樹脂の合計質量に対して10質量%配合して塗料とした。
分散はサンドミルを用い、2時間分散した。なお分散中も塗料は18〜28℃に調整した。塗布は、1millのアプリケータにて手動で塗布し自然乾燥した。
塗料化試験2
粉砕例2で得られたPTFEを使用した以外は、塗料化試験1と同様の方法で行った。ブツは無かった。
塗料化試験3
粉砕例3で得られたPTFEを使用した以外は、塗料化試験1と同様の方法で行った。ブツは無かった。
塗料化比較例1
PTFEにルブロン L−2(ダイキン工業株式会社製)を使用した以外は、塗料化試験1と同様の方法で行った。なお、L−2の50%平均粒子径は、3.5μmである。4個のブツがあった。
以上の結果を下記表4に示す。
Figure 0005697308
本発明の低分子量PTFE粉末は、上述の構成よりなるので、優れた平滑性を有する被膜を形成するための塗料に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が3μm以下であり、粒子径が1μm以下の粉末を含み、340℃におけるフローテスター法を用いて測定される溶融粘度が2500Pa・s以下であり、懸濁重合により得られ、微粉砕されたものである
    ことを特徴とする低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末。
  2. 請求項1載の低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を250℃以上、340℃未満で加熱する加熱処理を経て得られるものである
    ことを特徴とする低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末。
  3. 連鎖移動剤を用いて懸濁重合により請求項1載の低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を製造することよりなる低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末製造方法であって、
    乾式レーザーで測定される50%平均粒子径が0.5〜20μmである低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末を微粉砕する工程を含む
    ことを特徴とする低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末製造方法。
  4. 請求項1載の低分子量ポリテトラフルオロエチレン粉末、又は、請求項記載の低分子量ポリテトラフルオロエチレンゲル化粉末を含む
    ことを特徴とする定着部材用塗料。
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