JP2019014866A - ポリエステル樹脂及び成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、次の(1)〜(2)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、グリコール成分中に1,4−シクロヘキサンジメタノールを2〜10モル%、かつジエチレングリコールを1.5〜5.0モル%含有する共重合ポリエステル樹脂であって、極限粘度が0.50以上であり、下記条件で測定した際のバーフローによる射出流動長が100〜200mmの範囲であり、融点が210〜246℃であることを特徴とするポリエステル樹脂。
条件:成形機 FANUC社製 ROBOSHOT S−2000i100Bを用い、幅20mm、厚み2mm、最大流動長750mmの専用金型を用い、金型温度を20℃として、押し出し機の設定温度250℃、射出圧力50MPa、射出速度50mm/sで溶融し、流動させる。
(2)(1)記載のポリエステル樹脂を含む成形品。
そして、本発明の成形品は、本発明のポリエステル樹脂から得られるものであるため、透明性に優れた外観を有しており、種々の用途に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂(以下、本発明の樹脂と略することがある)は成形用に好適なものであり、中でも、射出成形でプリフォーム形成し、これを延伸ブロー成形する延伸ブロー成形法に好適なものである。
まず、共重合成分である1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は、グリコール成分の2〜10モル%であり、中でも3〜8モル%であることが好ましい。さらに、共重合成分であるジエチレングリコールの含有量は、グリコール成分の1.5〜5.0モル%であり、中でも2〜4モル%であることが好ましい。
1,4−シクロヘキサンジメタノールとジエチレングリコールを適量共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、後述するバーフローによる射出流動長を特定の範囲のものにすることができる。
これら3種類の成分以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。
また、ポリエステル樹脂の熱分解による着色を抑制するために酢酸コバルト等のコバルト化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物等の添加剤やフェノール系酸化防止剤、ホスフェート系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などの酸化防止剤を用いることができ、これらは単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
極限粘度が0.50未満の場合は、射出成形が困難になり、プリフォームの金型離れが悪くなる。また、冷却サイクルが長くなるため、成形性に劣るものとなり、得られる成形品は透明性に劣るものとなる。一方、極限粘度が0.90を超える場合は、射出成形時の射出圧力を高圧にする必要があるため、コストがかかるとともに、得られる成形品は白化が生じたものとなる。
融点が210℃未満である場合や融点がない場合は、樹脂は結晶性に劣るものとなるため、得られる成形品の耐熱性が劣るものとなる。
融点が246℃を超えると樹脂の結晶性が高くなり、得られる成形品は白化が生じやすくなる。
また、上記のように、本発明の樹脂は融点を有するものであり、すなわち、結晶性のものであるため、100〜130℃程度で乾燥を行うことができる。このため、樹脂中の水分率を低く保つことができ、成形時の金型の汚れを防ぐことができ、生産性が向上する。
本発明の樹脂は上記のバーフローによる射出流動長の範囲を満足するものであるため、射出成形にてプリフォームを作製する際の流動性が良好となり、射出圧力を高くすることなく、成形可能となる。そして、プリフォームの白化やゲート部での白化を防ぐことができる。さらに、冷却サイクルを短くすることができ、かつプリフォームの金型離れもよく、成形性にも優れている。
また、樹脂の流動性が良好であることにより、得られる成形品の表面に樹脂の流れが不均一であることにより生じる波紋が生じることなく、優れた透明性と外観を有する成形品(ボトル)を得ることができる。
一方、バーフローによる射出流動長が200mmを超える場合は、結晶性に劣る樹脂であったり、低粘度の樹脂であるため、射出成形時の金型離れが悪く、成形性に劣るものとなる。
さらに、得られたエステル化反応物を用いて溶融重合を行なう前に、エチレングリコールを添加し、解重合を行って、ポリエステル樹脂中のジエチレングリコールの含有量を1.5〜5.0モル%にすることが必要である。このとき、エステル化反応物の解重合終了後であって、溶融重合前の反応物の全ジオール(エチレングリコールを含む)成分と全酸成分のモル比(G/A)(全ジオール/全酸成分)が1.3〜2.0となるようにすることが必要であり、中でもG/Aを1.5〜1.8とすることが好ましい。
このような解重合工程を経ることにより、上記したような本発明で規定するバーフローによる射出流動長を満足する樹脂を得ることができる。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)共重合成分の共重合量、解重合反応後であって溶融重合前の反応物のG/A(全ジオール成分と全酸成分のモル比)
得られたポリエステル樹脂または解重合反応後であって溶融重合前に取り出した反応物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製JNM−ECZ−400R型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量や、G/Aを求めた。
(c)融点
得られたポリエステル樹脂を、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲25℃〜280℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量8mgで測定した。
(d)流動長
得られたポリエステル樹脂を、成形機 FANUC社製 ROBOSHOT S−2000i100Bを用いて、溶融し、流動させて、バーフロー流動長(mm)を測定した。このとき、幅20mm、厚み2mm、最大流動長750mmの専用金型を用い、金型温度を20℃として、押し出し機の設定温度250℃、射出圧力50MPa、射出速度50mm/sとした際の得られた成形品の長さから、流動長を求めた。
(e)白化
得られた成形品(サンプル数100本)を目視にて観察し、白化しているものが生じた成形品の個数で以下のように3段階で評価した。
1本以内であるものを○
2〜4本を△
5本以上を×
(f)斑
得られた成形品(サンプル数100本)を目視にて観察し、成形品表面に樹脂の波紋が生じた成形品の個数で以下のように3段階で評価した。
1本以内であるものを○
2〜4本を△
5本以上を×
(g)離形性
延伸ブロー成形体の作製において、連続して8時間成形を行った際に、プリフォームの成形時に金型からの離形性が悪く、操業を中断した回数で以下のように3段階で評価した。
中断回数0回を○
中断回数1〜2回を△
中断回数3回以上を×
〔ポリエステル樹脂〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)、シクロヘキサンジメタノールを、全酸成分(A)と全グリコール(ジエチレングリコール以外)成分(G)の仕込み量の比(モル比)である(G/A)を1.16となるように仕込み、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間としてエステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。エステル化反応物のグリコール成分と酸成分のモル比(G/A)は1.13であった。
次に、得られたエステル化反応物55.5質量部を重合反応器に仕込み、EG2.8質量部を加え、温度280℃で1時間の解重合反応を行った。解重合反応終了後の反応物のG/A(全ジオール/全酸成分)は、1.6であった。
続いて、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、トリエチルフォスフェート0.016質量部、酢酸コバルト0.004質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、極限粘度0.66のポリエステル樹脂を得た。
〔ブロー成形体〕
得られたポリエステル樹脂を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を250〜280℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50HT)を用いてプリフォームを成形し、次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形(ホットパリソン法を採用)し、胴部の平均肉厚300μm、内容積150ミリリットルの延伸ブロー成形体を作製した。
各種のグリコール成分の共重合量を表1に示すように変更し、また、解重合反応終了後の反応物のG/Aや極限粘度が表1の値となるように、解重合反応時のEGの添加量や溶融重合の重合時間を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にして延伸ブロー成形体を作製した。
実施例1で得られたポリエステル樹脂を、結晶化装置に連続的に供給し150℃で結晶化をさせた後、乾燥機にて160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り190℃まで加熱を行った。この後、固相重合機へ供給し、窒素ガス下にて190℃で50時間固相重合を行い、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にして延伸ブロー成形体を作製した。
実施例1と同様にしてエステル化反応を行い得られたエステル化反応物に、解重合反応を行うことなく、溶融重合を行った以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にして延伸ブロー成形体を作製した。
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物60.3質量部を重合反応器に仕込み、続いて、1,4−シクロヘキサンジメタノール3.9質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、添加剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバスペシャリティーズ社製イルガノックス−1010)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、極限粘度は、0.72の共重合ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を用い、実施例1と同様にして延伸ブロー成形体を作製した。
比較例2では、得られたポリエステル樹脂はジエチレングリコールの含有量が多く、バーフローによる流動長が長いものであったため、プリフォーム成形時の金型からの離形性に劣るものであった。
比較例3では、得られたポリエステル樹脂の極限粘度が低く、バーフローによる流動長が長かったため、プリフォーム成形時の金型からの離形性が悪く、得られた成形品は、白化や波紋が生じたものであった。
比較例4では、エチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合量が多く非晶性のポリエステル樹脂となったため、プリフォーム成形時の金型からの離形性が悪く、得られた成形品は波紋が生じたものであった。
比較例5では、エチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合量が少ないため、得られたポリエステル樹脂はバーフローによる流動長が短いものとなったため、得られた成形品は、白化や波紋が生じたものであった。
比較例6では、解重合反応を行わず溶融重合を行い、また、ジエチレングリコールの共重合量が少ないものであったため、得られたポリエステル樹脂はバーフローによる流動長が短いものとなり、得られた成形品は、白化や波紋が生じたものであった。
比較例7では、解重合反応を行わず溶融重合を行ったため、得られたポリエステル樹脂はバーフローによる流動長が短いものとなり、得られた成形品は、白化や波紋が生じたものであった。
Claims (2)
- エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、グリコール成分中に1,4−シクロヘキサンジメタノールを2〜10モル%、かつジエチレングリコールを1.5〜5.0モル%含有する共重合ポリエステル樹脂であって、極限粘度が0.50以上であり、下記条件で測定した際のバーフローによる射出流動長が100〜200mmの範囲であり、融点が210〜246℃であることを特徴とするポリエステル樹脂。
条件:成形機FANUC社製 ROBOSHOT S−2000i100Bを用い、幅20mm、厚み2mm、最大流動長750mmの専用金型を用い、金型温度を20℃として、押し出し機の設定温度250℃、射出圧力50MPa、射出速度50mm/sで溶融し、流動させる。 - 請求項1記載のポリエステル樹脂を含む成形品。
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