JP2009220479A - 成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム及び成形用積層体 - Google Patents

成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム及び成形用積層体 Download PDF

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Yosuke Takizawa
陽介 滝澤
Kunimitsu Shimizu
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Abstract

【課題】ポリエステルフィルムが高伸度であり、目的とする形態への熱成形が容易であり、かつ金属薄膜を設けても外観に優れる成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること。また、成形用加飾シートの成形時の表面保護フィルムとして用いると、成形体の外観を美麗に保つことができるため、加飾シートの表面保護フィルムとして好ましく用いられる成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】2層以上のポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外面に、有機化合物を共重合してなるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有する層を有する200℃でフィルム長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した後の厚み(d)に対するフィルムヘイズ(H)の比の増分が0.01〜0.2%/μmであり、かつ200℃におけるフィルム長手方向および幅方向の100%伸長時応力(F100値、単位:MPa)が下記式(1)を満たす成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
15≦F100MD+F100TD≦80 (1)
ただし、F100MD:フィルム長手方向の100%伸長時応力、F100TD:フィルム幅方向の100%伸長時応力。
【選択図】なし

Description

本発明はポリエステルフィルムに関し、特にフィルム表面に金属蒸着した後に成形加工される金属調成形部材や、成形用加飾シートの成形時の表面保護フィルムなどに好適に使用することができる、成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、建材、自動車部品や携帯電話や電機製品などにおいて樹脂を射出成形したものにメッキを施した金属調の外観を有する部材や、塗装を施し意匠性の高い部材が多数用いられている。しかしながら、環境問題への関心が高まるにつれて、樹脂にメッキをする際の薬液漕中のメッキ液が環境に及ぼす影響が問題視されつつあり、特にメッキ液の漏出防止への取組みが必要であり、さらにはメッキ液そのものを規制する動きも出つつある。
そのような中、メッキに代わる金属調成形部材として、ポリエステルフィルムに金属蒸着を施し、その後、成形加工する提案が近年なされてきている。無延伸ポリエステルフィルムに金属蒸着を施し、さらに他の樹脂シートと貼り合せて自動車用部品として用いる提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、この提案では無延伸フィルムを用いていることから、熱寸法安定性に問題があり、均一な金属蒸着を施すことが困難であり、さらには、成形後の部品の経時変化、耐薬品性などで課題を有している。また、二軸配向フィルムであっても、共重合ポリエステルを用い、融点の比較的低いフィルムを用いることで成型部材として用いる提案がなされている(たとえば、特許文献2、3参照)。しかしながら、これらで提案されているフィルムでは、共重合のため結晶性が低く抑えられているが故、熱成形時に球晶成長が顕著となり、成形前後でフィルムの白濁により、成形部材としての外観が損ねられるという問題がある。これらの課題を解決しうるフィルムとして、高融点であるポリエチレンテレフタレートを使用した易成形性フィルムの提案がなされている(たとえば、特許文献4参照)が、ここで提案されているフィルムでは変形時の応力が高すぎるため、目的とする部材にまで熱成形で成形加工することが困難である。
また、加飾シートを塗装代替として成形体に使用する動きもさかんである。加飾シートを用いて、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形などを行う方法が用いられている。しかし、この場合、加熱、型の突き上げ、真空引きなど過酷な成形工程において、表面に傷が入ったり、表面の光沢度が低下してしまうといった問題がある。このため、加熱成形可能なマスキングフィルムを積層する提案がされている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、この提案ではマスキングフィルムを加飾シート上に直接キャストする無配向ウレタンフィルムであり、フィルムの剛性が低すぎて、成形後の剥離性、成形後の加飾シートの表面状態が不十分である。
また、メタリック調易成形加飾シートとして、成形時の傷防止のために、マスク層を積層した成形用積層体が提案されている(例えば特許文献6参照)。ここでは、マスク層としてポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなどで高伸度のフィルムが提案されている。しかしながら、この提案では、成形時の応力が十分に低くないので、成形用積層体を成形する際に、成形追従性が不十分であり、また成形後の剥離性が悪いため、メタリック調易成形加飾シートの表面に保護フィルムの破片が残存してしまうといった問題があった。
特開2004−98485号公報 特開2006−241311号公報 特開2004−122669号公報 特開2002−347109号公報 特表2001−514984号公報 米国特許06/565955号公報
本発明の課題は上記した問題点を解消することにある。すなわち、均一な金属蒸着するに耐えられる耐熱性、寸法安定性を有し、かつ深絞りにも対応可能であり、かつ熱成形後に成形物の外観を損なわない透明性を有するフィルムを提供し、さらに、加飾シートの表面保護フィルムとして好適な成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を用いるものである。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、下記の特徴を有する成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムにおいて達成することができる。
すなわち、
(I)2層以上のポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外面に、有機化合物を共重合してなるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有する層を有する200℃でフィルム長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した後の厚み(d)に対するフィルムヘイズ(H)の比の増分が0.01〜0.2%/μmであり、かつ200℃におけるフィルム長手方向および幅方向の100%伸長時応力(F100値、単位:MPa)が下記式(1)を満たす成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
15≦F100MD+F100TD≦80 (1)
ただし、F100MD:フィルム長手方向の100%伸長時応力、F100TD:フィルム幅方向の100%伸長時応力。
(II)前記記載のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の平均粒径が0.01〜3μmである粒子を少なくとも1種類以上含むことを特徴とする(I)に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(III)フィルムを構成するポリエステル樹脂のグリコール残基成分の50〜90モル%がエチレングリコール残基、9〜40モル%が1,4−ブタンジオール残基、1〜10モル%がその他のグリコール残基成分である(I)または(II)に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(IV)前記その他のグリコール残基成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール残基成分を含むことを特徴とする(III)に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(V)ポリエステルフィルムのヘイズが0.1〜5%であることを特徴とする請求項(I)〜(IV)に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(VI)最外面のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有する層の表面における中心線面平均粗さ(SRa)が15nm以下、十点平均粗さ(SRz)が800nm以下である(I)〜(V)のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(VII)(I)〜(VI)のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属化合物を蒸着してなる成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(VIII)成形用加飾シートの表面に積層して用いる(I)〜(VI)のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
(IX)成形用加飾シートの表面に(I)〜(VI)のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを積層した成形用積層体。
(X)成形用加飾シートの表面に前記成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを積層してなる成形用積層体を成形し、該成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを剥離した後のフィルム表面と成形前のフィルム表面における光沢度の差の絶対値が100以下である(I)〜(VI)のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明によれば、熱成形による成形加工が容易であり、金属化合物からなる薄膜をフィルム表面に形成することで金属調の成形部品などに好適に用いることができる。また、熱成形加工時において融点が高いため、耐熱性に優れている。本発明のポリエステルフィルムを成形用加飾シートの成形時の表面保護フィルムとして用いると、成形後の成形部材の外観を美麗に保つことができる。本発明のポリエステルフィルムは、好ましくは、加飾シートの表面保護フィルムとして用いられる。本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを用いて作製された成形部材は、表面のキズ、光沢度の低下が少なく、表面性状に優れるものであった。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂とは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称であって、通常ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。ここでジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。
また、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールなどを挙げることができる。
本発明で用いられるポリエステルを構成する成分としては、上記したジカルボン酸成分およびグリコール成分が好ましく用いられる。さらに、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレンジカルボキシレートなどの単一のジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリエステルがより好ましく用いられる。さらに、本発明のポリエステルフィルムを回収した回収原料を、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムに0.1〜50重量%の範囲内で混合して用いることは、生産性と経済性の観点から好ましい。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、外観の観点から少なくとも一方の最外面に有機粒子を共重合してなる、ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有する層を含む2層以上の構成が必要である。成形性、外観および取り扱い性を満たすためにA/Bの2層積層、A/B/C、A/B/Aの3層積層、さらに4層以上積層する積層構成を取っても良い。単層構成では、粒子がフィルム全体に添加されるため要求される外観を満たすことが難しいため好ましくない。
例えば、フィルムの巻き取り性を付与するために、ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を添加するが、透明性を保つためにはできるだけ粒子の添加量を少なくすることが好ましいため、2層構成の場合は、片方の層のみに粒子を添加することが好ましい。この場合、少なくともフィルムの片面に滑り性を付与することができ、取り扱い性と透明性を両立させることができる。さらに3層構成の場合は、表層のみに粒子を添加することで、優れた取り扱い性を付与することができ、透明性も保持することができる。
また、このような積層フィルムとする場合において、各々の層の組成が大きく異なり、示差走査熱量計(DSC)における降温時の再結晶化ピークがダブルピーク以上となった場合、積層層間で寸法安定性が異なる。このため、熱成形時の加熱により層間にズレが発生し、層間剥離が起こりやすくなる場合があるため、使用するポリエステル樹脂の種類は各々の層で類似組成であることが好ましく、同一組成で、粒子濃度のみ異なるものであれば最も好ましい。
ここで、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、融点が240〜260℃であることが好ましい。融点が240℃以下では耐熱性に劣り、熱成形などを行うフィルムの二次加工時にフィルムの白化が認められる場合がある。逆に融点が260℃を越えると、融点が高くなりすぎるために、フィルムを二次加工する際の変形応力が高すぎて複雑な形状への成形加工が困難となる場合や、金属蒸着した際の金属薄膜層との密着性に劣る場合がある。耐熱性、蒸着適性の双方の観点からは、融点が240〜257.5℃であればより好ましく、240〜255℃であれば特に好ましい。ここで、ポリエステルフィルムの融点としては示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度20℃/分で測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク温度である。異なる組成のポリエステル樹脂をブレンドして使用し、フィルムとした場合には複数の融解に伴う吸熱ピークが現れる場合があるが、その場合、最も高温に現われる吸熱ピーク温度を本発明のポリエステルフィルムの融点とする。ポリエステルフィルムの融点を掛かる温度範囲とする方法としては、フィルム製膜時に使用するポリエステル樹脂段階において、融点を240〜260℃の範囲としておくことが好ましく、また、異なる組成のポリエステル樹脂を用いる場合でも、融点が240℃以上であるポリエステル樹脂を使用し、また、融点が低いポリエステル樹脂をブレンドして使用する場合においても、溶融混練時の樹脂間でのエステル交換反応による融点降下を抑制するために、予め樹脂中に残存している触媒を失活させたり、触媒能を低減させるためにリン化合物を添加する。また、残存触媒量の低いポリエステル樹脂を準備するなどをすることで、融点を240〜260℃の範囲にすることができる。
積層フィルムとする場合、表層の層厚みは成形性および成形後の外観から0.1〜10μmであることが好ましい。表層厚みが0.1未満であると、表層部分が破断しやすくなり、層界面での剥離のきっかけができやすくなり、成形後の界面剥離が発生する場合があるため好ましくない。一方、表層厚みが10μmを越えると、取り扱い性を付与するために添加した粒子濃度が高くなり、透明性が悪化する場合があるため好ましくない。表層厚みとしては0.2〜8μmであればより好ましく、0.5〜5μmであれば特に好ましい。また、A/B/Cの3層積層の場合は、経済性の観点から、A層とC層の積層厚みは同一であることが好ましく、これら表層の厚みが内層の厚みより薄いことが好ましい。
本発明に用いるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は粒子を構成する主要組成がスチレンまたはその誘導体である粒子であり、粒子を構成するモノマーが、分子中に1個の脂肪族不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)と、架橋成分として分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有するジビニル化合物(B)と少なくとも1種の有機化合物(C)によって構成される。ここで化合物(A)の主要部分にスチレンまたはその誘導体、化合物(B)の主要部分にジビニルベンゼンまたはその誘導体を用いることによって本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を得ることができる。有機化合物(C)は、粒子の屈折率を制御し、透明性を向上させる点から、屈折率が1.50以下であることが好ましく、さらに1.45以下であることが好ましい。化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類、アクリルアルデヒド等のアルデヒド類、メタクリル酸メチル等のエステル類が挙げられる。中でも透明性及び粒子凝集抑制の観点から、特にエステル化合物が好ましく、メタクリル酸メチルが好適に用いられる。本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は良好な透明性を得るために屈折率を1.60以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.59以下、より好ましくは1.58以下である。屈折率が1.60より大きい粒子を用いた場合、フィルムに成形した場合に良好な透明性が得られない。さらに、平均粒径は0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.05〜2μmである。また、ここで言う平均粒径とは体積平均粒径のことである。平均粒径が0.01μm未満ではフィルムにした場合、滑り性が低下してくるため好ましくない。また平均粒径が3μmを越えるとボイドの発生、粗大突起に起因するフィルム表面の散乱の増加等によりフィルムの透明性が減少するため好ましくない。
また、本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は、熱天秤による熱分解温度(10%減量温度)が360℃以上の耐熱性を有する粒子であることが好ましい。すなわち、ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子が易滑剤として作用を発揮するためには、ポリエステル重合時、または溶融成形温度で融解しない耐熱性が必要である。好ましくは熱分解温度が380℃以上、より好ましくは400℃以上である。熱分解温度が360℃未満ではポリエステル重合時、または溶融成形時に粒子が凝集し易滑剤として使用できない。ここで、10%減量温度とは、理学電気TAS−100にて窒素雰囲気下、アルミニウムパンに10mgの試料を計量し、昇温速度20℃/分での熱天秤減量曲線を測定した。試料の質量が10%減少したときの温度をいう。
本発明に用いるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は透明性、易滑性の点から粒子形状が球状で均一な粒度分布のものが好ましい。均一な粒度分布を持つジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の製造方法としてはソープフリー乳化重合によりシード粒子を合成し、膨潤助剤を用いて膨潤させ、重合性モノマーを吸収して重合させる方法が特に好ましい。重合性モノマーを吸収させる方法としては、シード粒子を合成した水溶性分散体に対してこれらを一括添加する方法、重合を行いながら分割してまたは連続的に投入する方法があるが、本発明では、一括添加する方法が好ましい。重合性モノマーを分割して、または連続添加した場合、共重合成分が架橋粒子にランダムに重合され、透明性発現の効果が低減することがある。
また本発明に用いるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は、ポリエステルとの親和性をさらに高めるため、表面処理により各種官能基を導入することができる。例えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基、スルホン酸基等を挙げることができ、カルボキシル基を導入するにはメタクリル酸、水酸基にはアクリル系モノマー、アミド基にはメタクリルアミド、スルホン酸基にはスチレンスルホン酸を用いるのが好適であるが特に限定はされない。
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の含有量は、含有される層を構成するポリエステル組成物に対して、粒子凝集抑制の観点から、0.001〜10重量%が好ましく、0.002〜2重量%であれば特に好ましい。
また、本発明に用いるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は、ポリエステルに種々の方法によって添加、混合できる。ポリエステルの製造段階に添加しても良いし、一軸、二軸などのエクストルーダーあるいはベント機構を有するエクストルーダーを用いて溶融状態にあるポリマーに添加混合しても良い。ポリエステルの製造段階に添加する場合はポリエステル重合開始前から重合反応中の段階で添加するのが粒子分散性の点で特に好ましい。ポリエステル樹脂組成物を製造する前駆段階または重縮合段階における粒子の添加は、エチレングリコールのスラリーとして添加するのが好ましい。そのスラリー濃度としては0.5〜20重量%程度が適当である。
エチレングリコール等の分散媒への分散法は例えば高速分散機、サンドミル、ロールシール等を用いてもよい。
また分散時にはリン酸、亜リン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン原子含有化合物、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシルアミンなどの窒素原子含有化合物、アルカリ化合物、陽イオン、陰イオン、両性もしくは非イオン性などの界面活性剤あるいは水溶性高分子等の分散剤を使用するとスラリーおよびポリマー中のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の分散性がさらに向上し、特に好ましい。
さらにポリエステルの製造時に通常用いられるリチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン等の化合物の金属化合物触媒、着色防止剤としてのリン化合物、ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子以外の粒子として、従来公知の例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、リン酸カルシウム、カオリン、シリカアルミナ、炭酸カルシウムなどの無機粒子、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属とリンとを構成成分の一部としポリエステル重合反応系内で析出してくるいわゆる内部粒子、またはホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などからなる有機高分子微粒子も必要に応じて適宜添加できる。
また本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは成形後も成形部材としての光沢、外観を保持する観点から、200℃でフィルムの長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した後の厚み(d)に対するフィルムヘイズ(H)の比の増分が0.01〜0.2%/μmであることが必要である。好ましくは0.01〜0.15%/μmであり、より好ましくは0.01〜0.1%/μmである。ここで、フィルム長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸すると、面の展開率は約200%となるので、長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した際のヘイズの増分が0.01〜0.2%/μmである場合、成形部材としての外観変化が少なく、実用上問題なく使用することができる。
200℃でフィルムの長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した後のフィルムヘイズの増分を掛かる範囲とする方法としては特に限定されるものではないが、成形加工によるヘイズ変化は、200℃での球晶成長による白化、フィルム変形に伴い添加粒子周囲や結晶粒界でのボイド発生などが考えられる。従って、粒子添加量の低減、熱結晶化し難いポリエステル樹脂の添加、もしくは結晶核剤を添加することで予め微結晶をフィルム中に多数存在させ、球晶が可視光を散乱できる大きさにまで成長させない方法などを挙げることができる。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、熱成形などのフィルム二次加工性の観点から、200℃におけるフィルム長手方向および幅方向の100%伸長時応力(F100値、単位:MPa)が下記式(1)を満足することが必要である。
15≦F100MD+F100TD≦80 (1)
ただし、F100MD:フィルム長手方向の100%伸長時応力、F100TD:フィルム幅方向の100%伸長時応力。
式(1)において、15MPa未満となると、蒸着工程や成形加工での予熱工程でフィルム移送のための張力に耐えることができず、フィルムが変形、場合によっては破断してしまう場合があり、成形部材としての商品価値を喪失してしまう場合がある。逆に80MPaを越えると、熱成形時に変形が不十分であり、成形金型への追従が甘く成形部材としての使用に耐えないものとなってしまう。ここで、200℃における(F100MD+F100TD)は、取り扱い性、成形性の観点から15〜70MPaであれば好ましく、15〜60MPaであればより好ましい。
ここで本発明における200℃におけるフィルムの100%伸長時応力(F100値)について説明する。試験長50mmの短形型に切り出したフィルムサンプルを200℃に設定した恒温層中で90秒間の予熱後、300mm/分のひずみ速度で引張試験を行った際の100%伸長時の応力である。
本発明のポリエステルフィルムは、成形性の観点からフィルムを構成するポリエステル樹脂を構成するグリコール残基成分の50〜90モル%がエチレングリコール残基、9〜40モル%が1,4−ブタンジオール残基、1〜10モル%がその他のグリコール残基成分であることが好ましい。1,4−ブタンジオール残基の含有量は15〜35モル%であればより好ましく、また、その他のグリコール残基成分は1〜5モル%であればより好ましい。
ここで、各グリコール残基成分は、ポリエステルの中で共重合されて存在させても良いが、共重合を行うと融点が低下し、耐熱性が劣化するなど好ましくない場合があるので、それぞれのグリコール残基成分を単独で有する数種のポリエステル樹脂をブレンドしてフィルム中に含有させても良いし、ブレンドと共重合を併用しても良い。また、その他のグリコール残基成分としては特に限定されるものではないが、ジエチレングリコール残基、1,4−シクロへキサンジメタノール残基、ネオペンチルグリコール残基、1,3−プロパンジオール残基などを好ましく挙げることができる。また、その他のグリコール残基成分として複数のグリコール残基成分を含んでも良い。
さらに、成形性の観点から本発明のポリエステフィルムには、フィルムを構成するポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸残基成分の95〜100モル%がテレフタル酸残基であり、0〜5モル%がその他のジカルボン酸残基成分であることが好ましい。その他のジカルボン酸残基成分が0〜3モル%、テレフタル酸残基が97〜100モル%であればより好ましい。なお、ジカルボン酸残基成分はジカルボン酸を出発成分としても、ジカルボン酸エステル誘導体を出発成分としても良い。
ここで、テレフタル酸残基とその他のジカルボン酸残基はポリエステル中に共重合されて存在しても良いが、共重合を行うと融点低下が起こることから、耐熱性の観点からは別々のポリエステル樹脂中に存在し、そのポリエステル樹脂をブレンドすることでフィルム中に含有させる方法が好ましい。また、共重合とブレンドを併用しても良い。その他のジカルボン酸残基成分としては特に限定されるものではないが、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体としては上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどを好ましく挙げることができる。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、取り扱い性、成形部材としての外観、光沢の点でフィルムのヘイズが0.1〜5%であることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜4%であり、0.2〜3%であれば特に好ましい。ここで、フィルムのヘイズとはフィルムの表面ヘイズと内部ヘイズを合計した全ヘイズのことであり、全ヘイズが0.1%未満であれば、フィルム表面が平滑すぎて滑らず、フィルムを搬送する工程において表面傷が発生する場合がある。また、ヘイズが5%を越えると、金属蒸着を行ってもフィルムを通して見ると白濁して見えてしまい、光沢が低く、外観が損なわれる可能性がある。フィルムヘイズを掛かる好ましい範囲とする方法としては、フィルムの取り扱い性を損ねない範囲において粒子含有量を低減する方法などを挙げることができるが、本発明のポリエステルフィルムでは、既に記載のように具体的には0.1〜10μm程度として、最外面層にのみ粒子を添加し、もう一方の層には粒子を添加しない方法を用いることは好ましいことである。また、掛かる積層フィルムにおいて、内部ヘイズを低減し、表面ヘイズはUV吸収剤などの耐候性を有するコーティング層や接着剤を積層、塗布することで低減すれば光沢の高い、外観の極めて優れた成形部材として使用することができる。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、取り扱い性、成形部材としての外観、光沢の点でフィルム表面における中心線面平均粗さ(SRa)が15nm以下、十点平均粗さ(SRz)が800nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、SRaが13nm以下、SRzが750nm以下であり、SRaが10nm以下、SRzが700nmであれば特に好ましい。SRa、SRzが掛かる範囲であれば、成形部材としての光沢感、高級感に優れるため好ましい。また、成形用加飾シートの保護フィルムとして用いる場合においても掛かる範囲にSRa、SRzであれば、フィルムの平滑性を転写でき、成形部材表面の光沢感を増すことができるため好ましい。
フィルム最外面のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有した層表面におけるSRa、SRzは、最外層中に添加するジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の粒径、添加量により調整することができる。また、測定には小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元粗さ計(ET−4000A)を使用して測定した値である。
次に本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムの具体的な製造方法について記載する。まず、本発明のフィルムで用いるポリエステル樹脂については、上市されているポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂を購入しそのまま用いることができるが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合、以下のように重合することができる。
テレフタル酸ジメチル、およびエチレングリコールの混合物に、酢酸マグネシウムと三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行う。ついで、該エステル交換反応生成物に、リン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行する。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリエチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。粒子を添加する場合は、エチレングリコールに粒子を分散させたスラリーを所定の粒子濃度となるように重合反応釜に添加して、重合を行うことが好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造は、たとえば以下のように行うことができる。テレフタル酸、および1,4−ブタンジオールの混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチルと、モノヒドロキシブチルスズオキサイドとを添加しエステル化反応を行う。ついで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチルを添加して、減圧下で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。
以上のようにして得られたポリエステル樹脂を用いて本発明のフィルムを製造する際の好ましい方法について、具体的に記述する。まず、使用するポリエステル樹脂を混合する場合は所定の割合となるように計量し混合する。ついで、窒素雰囲気、真空雰囲気などで、たとえば150℃5時間の乾燥を行い、ポリエステル樹脂中の水分率を好ましくは50ppm以下とする。
その後、押出機に供給し溶融押出する。なお、ベント式二軸押出機を用いて溶融押出を行う場合は樹脂の乾燥工程を省略してもよい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。また、例えば2層以上の積層フィルムとする場合は、A層を構成するポリエステル組成物、B層を構成するポリエステル組成物を個別の押出機に供給し溶融押出する。なお、ベント式二軸押出機を用いて溶融押出を行う場合は樹脂の乾燥工程を省略してもよい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、例えばTダイ上部に設置したフィードブロックやマルチマニホールドにてA/B、またはA/B/A型の3層積層フィルムとなるように積層し、その後Tダイより冷却ドラム上に吐出する。その際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
ついで、かかる未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行なう。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、2.5〜3.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍、特に好ましくは3〜3.4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、ガラス転移点〜(ガラス転移点+50℃)の温度が採用されるが、さらに好ましくは90〜130℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を100〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行なってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なう。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、200〜240℃の熱処理温度とするのが好ましい。フィルムの透明性、寸法安定性の点からは210〜235℃であればより好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、コーティング層を設けることもできる。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムにコーティング層を設ける場合には、フィルム製造工程内のインラインで設ける方法が好ましく、例えば、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましい。その際、コーティング層厚みとしては0.01〜0.5μmとすることが好ましい。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは成形部材として用いることを目的としていることから、成形後のフィルム厚みが10μm未満となると形状保持の点に劣る場合があることから、成形前のフィルム厚みとしては10〜250μmであることが好ましい。フィルム厚みが250μmを越えると、いくら熱成形時の変形応力を低減しても、実際に掛かる荷重が大きくなってしまうために、偏変形する場合があったり、成形加工のための昇温に時間が掛かるため生産性が低下する場合がある。さらに好ましいフィルム厚みとしては12〜188μmであり、12〜100μmであると特に好ましい。
さらに、本発明のポリエステルフィルムに、易接着処理剤、帯電防止剤、水蒸気・ガスバリア剤(ポリ塩化ビニリデンなど)、離型剤、粘着剤、接着剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、マット化剤、顔料、染料などのコーティングや印刷を行なってもよく、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、パラジウムなどの金属やその化合物を遮光、水蒸気・ガスバリア、表面導電性、赤外線反射などの目的で真空蒸着してもよく、その目的、方法についてはこれらに限定されない。コーティングであれば、フィルムの少なくとも片面にコーティングを施すことも好ましく、例えば、延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコ−ティングが挙げられる。その具体的な手法としては、例えば、1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、通常離型層であるシリコ−ン層との接着を向上させる為の接着性、帯電防止性、滑り性、耐ブロッキング性、離型性等の付与を目的として、水系エマルジョンや水系スラリ−等のコ−ティングを付与する方法が挙げられる。また、これらのコ−ティングをインラインでなく、製膜後のオフラインで塗布してもよい。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの少なくとも片面に金属化合物を蒸着して使用することが好ましい。金属化合物を蒸着して使用することで、外観が金属調となり、現在メッキした樹脂が用いられている成形部品の代替品として好ましく用いることができる。掛かる融点範囲の金属を使用することで、ポリエステルフィルムが成形可能温度領域で、蒸着した金属層も成形加工が可能であり、成形による蒸着層欠点の発生を抑制しやすくなるので好ましい。好ましい金属化合物の融点としては150〜400℃であり、より好ましくは150〜300℃である。融点が150〜400℃である金属化合物としては特に限定されるものではないが、インジウム(157℃)やスズ(232℃)が好ましく、特にインジウムを好ましく用いることができる。
また、蒸着簿膜の作製方法としては、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。また、ポリエステルフィルムと蒸着層との密着性を向上させるために、フィルムの表面をあらかじめコロナ放電処理やアンカーコート剤を塗布するなどの方法により前処理しておくことが望ましい。また、蒸着膜の厚みとしては、1〜500nmであれば好ましく、3〜300nmであればより好ましい。生産性の点からは3〜200nmであることが好ましい。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、成形加工後屋外環境で使用される際の品質保持の観点からフィルムの少なくとも片面に耐候性コーティング層を設けることが好ましい。コーティング層を設ける方法としては上述の製膜工程内でのインラインコーティングだけでなく、オフラインコーティングを用いても良い、コーティング層厚みが1μm以上必要な場合などはオフラインでコーティングを実施する方が生産上好ましい。耐候性コーティング層に用いる塗剤としては特に限定されるものではないが、塗布のために使用する溶媒として水を用いることが可能な組成物であることが好ましい。
また、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、成形用加飾シートの表面に積層して用いられることが好ましい。成形用加飾シートの表面に積層した後に、それらを一体として成形することで、加飾シートの成形後の表面のキズや光沢度低下を抑制することができる。ここで述べる成形用加飾シートとは、成形加工によって樹脂成形体となるシートであり、表面に着色、模様などの意匠を施されたものである。また、成形用加飾シートの製造時には、有機溶剤を使用しない。成形用加飾シートを成形加工することによって樹脂成形体を得、これを自動車部品や携帯電話部品として用いることができ、同時に意匠性を付与することも可能である。
成形用加飾シートの構成としては、上記の通り、基材シートに加飾層が積層された構成であり、また、加飾層の上に耐候性や、耐傷性などを付与するためにクリア層を積層することは好ましい態様である。また、基材シートの上に直接クリア層を積層する構成体も、十分に加飾シートとしての価値が生まれるため、好ましい構成である。
成形用加飾シートの基材としては特に限定されないが、樹脂シート、金属板、紙、木材などが挙げられる。中でも、成形性の点で樹脂シートが好ましく用いられ、高成形性の点で、熱可塑性樹脂シートが好ましく用いられる。
ここで、熱可塑性樹脂シートとしては、熱成形が可能な重合体シートであれば特に限定されないが、アクリル系シート、ABS(Acrylnitrile−butadiene−styrene)シート、ポリスチレンシート、AS(Acrylnitrile−styrene)シート、TPO(Thermo Plastic Olefin elastomer)シート、TPU(Thermo Plastic Uretane elastomer)などが好ましく用いられる。該シートの厚みとしては、50μm〜2000μm、より好ましくは100μm〜1500μm、さらに好ましくは150〜1000μmである。
また、クリア層として使用される樹脂は、高透明樹脂であれば特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく使用される。中でも、耐候性の点で、フッ素系樹脂を含有していることが好ましい。また、これら樹脂の混合物でもよい。例えば、ポリメタクリル酸メチルに分散させたポリフッ化ビニリデン分散液が好ましく使用される。また、クリア層の積層厚みは、耐候性、取扱い性の観点から、10〜100μmであることが好ましく、15〜80μmであればさらに好ましく、20〜60μmであれば最も好ましい。
成形用加飾シートに用いられる加飾層は、着色、凹凸、柄模様、木目調、金属調、パール調などの装飾を付加させるための層である。成形用加飾シートが用いられ、最終的に成形体が製造された場合に、成形体を装飾するものとなる。印刷物や樹脂に着色剤を配合した層、金属蒸着層が挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、加飾層の形成方法としては特に限定されないが、例えば、印刷、コート、転写、金属蒸着などによって形成することができる。特に好ましい加飾層の形成方法としては、樹脂に着色剤を分散させたものをキャリアフィルム等にコートし、それを基材に転写させる方法が挙げられる。このときに使用される樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。使用される着色剤としては特に限定されないが、分散性などを考慮して、染料、無機顔料、有機顔料などから適宜選択される。分散樹脂としては、クリア層と同様に例えば、ポリメタクリル酸メチルに分散させたポリフッ化ビニリデン分散液が好ましく使用される。
また、金属蒸着の場合、蒸着簿膜の作製方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。なお、ポリエステルフィルムと蒸着層との密着性を向上させるために、蒸着面をあらかじめコロナ放電処理やアンカーコート剤を塗布するなどの方法により前処理しておくことが望ましい。使用される金属としては成形追従性の点から融点が150〜400℃である金属化合物を蒸着して使用することが好ましい。該融点範囲の金属を使用することで、ポリエステルフィルムが成形可能温度領域で、蒸着した金属層も成形加工が可能であり、成形による蒸着層欠点の発生を抑制しやすくなるので好ましい。より好ましい金属化合物の融点としては150〜300℃である。融点が150〜400℃である金属化合物としては特に限定されるものではないが、インジウム(157℃)やスズ(232℃)が好ましく、特にインジウムを好ましく用いることができる。加飾層の積層厚みは、0.001〜100μmであることが好ましく、0.01〜80μmであればさらに好ましく、0.02〜60μmであれば最も好ましい。
クリア層の設置方法は特に限定されないが、キャリアフィルムを使用して、熱可塑性樹脂シート(基材)に転写させる方法が好ましい。キャリアフィルム上に、クリア層樹脂を積層し、乾燥させた後、熱可塑性樹脂シート(基材)に転写させることができる。さらに、加飾層を設置させる場合は、クリア層の上に加飾層を積層させた後に、熱可塑性樹脂シート(基材)に加飾層/クリア層を転写させることができる。ここで使用するキャリアフィルムは特に限定されないが、クリア層、またはクリア層/加飾層を積層させる際、乾燥させるために100〜200℃程度の熱をかける場合があるので、耐熱性に優れるフィルムであることが好ましい。耐熱性、経済性の観点からはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、またはそれらに共重合成分を含んだ共重合ポリエステルフィルムが好ましく使用される。
また、熱可塑性樹脂シート(基材)との接着性を高めるために、クリア層または、加飾層に、接着層を設けることが好ましい。接着層としては特に限定されないが、ウレタン系、アクリル系、塩化ポリプロピレン系樹脂に、架橋剤を添加したものが好ましく使用される。架橋剤としてはエポキシ系が接着性の点から好ましく使用される。さらに、クリア層または、加飾層と接着層との密着力を高めるために、アクリル系樹脂などのプライマー層を設置することも好ましいことである。
以上のような構成で、成形用加飾シートに本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを積層させた、成形用積層体を製造する方法について、具体的に記述する。本発明はこれに限定されるものではない。
ポリメタクリル酸メチルに分散させたポリフッ化ビニリデン分散液をダイコートによりポリエチレンテレフタレートキャリアフィルム上にダイコートさせ、クリア層を積層し、乾燥させる。さらに、その上にポリメタクリル酸メチルに分散させた、ポリフッ化ビニリデン分散液に、着色剤を分散させたものをダイコート法により積層させ、乾燥させることによって、キャリアフィルム/クリア層/加飾層の構成体を作製する。該構成体の加飾層の上に、プライマー層としてアクリル系ポリマーを積層し、さらに接着層としてウレタン樹脂/エポキシ系架橋剤を積層する。このような方法で得られた、キャリアフィルム/クリア層/加飾層/プライマー層/接着層構成体を、表面にコロナ処理を施したTPOシートに、接着層を介して接着させる。その後、キャリアフィルムを剥離させて、TPOシート/接着層/加飾層/クリア層といった構成の成形用加飾シートとなる。さらに、この成形用加飾シートに、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを加熱圧着させることで積層させ、成形用加飾シートに成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを積層した成形用積層体が作製される。
上記の通り作製された成形用積層体を成形し、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを剥離した後のフィルム剥離面と成形前のフィルム表面における光沢度の差の絶対値が100以下であることが好ましい。光沢度の差の絶対値が100以下であれば、成形前後での目視による光沢判定において大きな差は見られず、成形前に設計した光沢感を保持することができるため好ましい。より好ましくは光沢度の差の絶対値が90以下であり、80以下であれば最も好ましい。
また、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは、成形体から剥離した後に回収して再び使用してもよい。さらに、回収フィルムを溶融させ、再びペレット化して回収原料として製膜用原料として使用することは、経済的、環境的にも非常に優れることである。
次に、この成形用積層体の成形方法について、具体的に説明するが、成形方法はこれに限定されるものではない。
成形用積層体を150〜400℃の遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度が30〜200℃の温度になるように加熱し、金型を突き上げ、真空引きすることによって、所望の形に成形する。倍率の厳しい成形の場合は、シートにさらに圧空をかけて、成形することで、より深い成形が可能となる。このように成形された成形用積層体はトリミングを行い保護フィルムとして本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムが積層された成形体となる。またこの成形体は、このまま使用してもよいが、成形品としての強度を付与させるために、金型を押し当てて凹んだ部分にTPO樹脂をインジェクションしてもよい。このようにして、成形された成形体から成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを剥離することで、成形部材が完成する。
このようにして得られた成形部材は、光沢度が高く、表面にキズや、歪み、うねり状などの欠点がほとんど観察されず、非常に優れた外観を示すため、建材、自動車部品や携帯電話や電機製品などの部品として好ましく使用される。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは優れた成形加工性を有し、真空、圧空成形などの熱成形において金型に追従した成形部品を容易に作成することができる。このため、成形前に予め金属蒸着を施すことで、メッキ調の外観を有する成形部品として自動車部材や家電用品などの部品として好適に使用することができ、さらに加飾シートの成形時の表面保護フィルムとして使用することで、成形部品の外観が美麗なものとなるため、完成した成形体は、建材、自動車部品や携帯電話や電機製品などの部品として好ましく使用される。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)融点
試料約10mgをPERKIN−ELMER社製DSC7を用いて、温度30〜300℃、昇温速度20℃/分の条件下で測定を行い、融解熱量の吸熱ピーク温度を融点とした。吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側の吸熱ピークのピーク温度を融点とした。
(2)フィルムヘイズ
JIS K 7105(1985年)に基づいて、ヘイズメーター(スガ試験器社製HZ−2)を用いて測定した。また、液体測定用石英セルにフィルムを入れ、流動パラフィンを充填し測定を行うことで、フィルム表面ヘイズを除いた内部ヘイズを測定した。全ヘイズから内部ヘイズを引くことで表面ヘイズを算出した。測定は任意の3ヶ所で行い、その平均値を採用した。
(3)フィルム厚み
フィルムサンプルをSD型レバー式試料裁断機SDL−100((株)ダンベル社製)
を用いて100mm×100mmの大きさにカットし、10枚準備し、校正されたデジタルマイクロメータ(M−30,ソニー・プレシジョン・テクノロジー(株)製)にて1枚につき8点の厚みを測定し、各サンプル毎に平均厚みを算出した。
(4)200℃でフィルム長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した後のヘイズの増分
200℃に加熱したフィルムストレッチャー((株)東洋精機製作所製)に長手方向×幅方向に90×90mmの大きさに切り出したフィルムをセットし10秒間の予熱後、どちらの方向にも1.4倍ずつ同時に5000%/分の速度で同時二軸延伸を行い変形させた。変形後のフィルムを上記(2)と同様の方法でヘイズを測定し、延伸前のヘイズとの比較を行った。
(5)100%伸長時の応力
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの短形に切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mm、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め200℃に設定した恒温層中にフィルムサンプルをセットし、90秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが100%伸長したとき(チャック間距離が100mmとなったとき)のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を100%伸長時応力(F100値)とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値を測定値とした。
(6)粒子の平均粒径
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理する。SEMの倍率は10000倍で観察し、観察箇所をかえて粒子数5000個以上で粒径とその体積分率から、次式で体積平均径dを得る。粒径の異なる2種類以上の粒子を含有している場合には、それぞれの粒子について同様の測定を行い、粒径を求めた。
d=Σ(di・Nvi)
ここで、diは粒径、Nviはその体積分率である。
粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、粒径により、3000〜20000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて500視野以上測定し、上記式から体積平均径dを求める。
平均粒径は粒子の電子顕微鏡写真によって測定した50体積%の点にあたる粒子の等価球直径により求めた。等価球直径とは粒子と同じ体積を有する球の直径である。
(7)粒子の熱分解温度
理学電気TAS−100にて窒素雰囲気下、アルミニウムパンに10mgの試料を計量し、昇温速度20℃/分での熱天秤減量曲線を測定した。試料の質量が10%減少したときの温度、10%減量温度を熱分解温度とした。
(8)ポリエステルの組成
樹脂またはフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPとクロロホルムの混合溶媒に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により組成を算出した。
(9)固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの固有粘度は、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
(10)SRa値、SRz値
小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元粗さ計(ET−4000A)を使用して測定した。
SRa値: JIS Raに相当する中心線面平均粗さ。
SRz値: JIS Rzに相当する十点平均粗さ。
粗さ曲面から基準面積分だけを抜き取った部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算したもの。
試験片は測定表面にAl蒸着を施した。測定方向は幅方向とし、カットオフ値は0.08mm、測定長は0.1〜0.25mm、送りピッチは0.2μm、測定スピードは20μm/s、測定本数は100本とした。単位はnmとした。
(11)金属調外観
フィルムの片面にプラズマ処理(電極:ステンレス、パワー:0.5kW、雰囲気:酸素)を行い、連続して、インジウムをターゲットにスパッタ処理を行い、インジウム層厚みが100〜120nmの蒸着層を形成した金属調フィルムを作製した。該金属調フィルムをA4サイズにカットし、フィルムを10枚並べて、非金属層側から肉眼で観察し、以下の基準で判定を行った。
S級:均一で金属光沢がある外観であった。
A級:観察する角度によっては、光沢が喪失されていた。
B級:表面が一部粗れており、光沢が若干喪失されていたが、問題のないレベルであった。
C級:表面が熱負けで粗れてしまい、金属光沢が認められなかった。
(12)保護フィルムとしての特性
ポリメタクリル酸メチルに10質量%分散させたポリフッ化ビニリデン分散液を50μmのポリエチレンテレフタレートキャリアフィルム上にダイコートさせ、クリア層を積層し、200℃で、10秒乾燥させた。さらに、クリア層の上に、プライマー層としてアクリル系ポリマー(Dupon社製68070)をトルエンに30質量%分散させ、グラビアコーターにてコートし、さらに接着層として東洋モートン(株)製の接着剤AD503と硬化剤CAT10と酢酸エチルを20:1:20(重量比)で混合した接着剤を塗布した。このような方法で得られた、キャリアを、TPOシートの表面にコロナ処理を施した後に、接着層を介して接着させ、キャリアフィルムを剥離させて、TPOシート/接着層/クリア層といった構成の加飾シートとした。さらに、この加飾シートに、本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを加熱圧着(150℃、0.3MPa、10m/min)させることで積層させ、成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを用いた成形用積層体を作製した。該成形用積層体を、400℃の遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度が150℃の温度になるように加熱し、40℃に加熱した円筒形金型(底面直径50mm)に沿って真空成形を行った。その後、成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを剥離させ、成形部材を作製し、金型に沿って成形できた状態を成形度合い(絞り比:成形高さ/底面直径)を評価した。さらに、JIS−Z−8741(1997年)に規定された方法に従って、デジタル変角光沢度計UGV−5D(スガ試験機(株)製)を用いて、成形前のフィルム表面と成形後の剥離面の光沢度を測定し、成形前後での光沢度差を評価した。なお、測定条件は入射角をフィルム面に対して60°、受光角を60°とし、入射受光方向はフィルム巾方向とした。なお、光沢度の測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた平均値を採用した。以上、成形度合い、成形前後の光沢度から保護フィルムとしての特性を以下の基準で評価した。
S級:絞り比0.7で成形でき、成形前のフィルム表面と成形後の筒側面剥離フィルム表面の光沢度の差の絶対値が80未満であった。
A級:絞り比0.7で成形でき、成形前のフィルム表面と成形後の筒側面剥離フィルム表面の光沢度の差の絶対値が80〜100であった。
B級:破れが発生し、絞り比0.7で成形できなかった。
[製造例]
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA:)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール67質量部の混合物にテレフタル酸ジメチルに対して酢酸マグネシウム0.08質量部、三酸化アンチモン0.022質量部を加え、徐々に昇温し、最終的に220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。次いで、リン酸85重量%水溶液0.019質量部を添加し、徐々に昇温、減圧し、最終的に290℃、0.5mmHgまで昇温、減圧し、極限粘度が0.65となるまで重縮合反応を行い、副生したジエチレングリコール量2重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
(ポリエステルB:)
テレフタル酸100質量部、および1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を、窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、常法によりエステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.84のポリブチレンテレフタレート樹脂を作製した。その後、140℃、窒素雰囲気下で結晶化を行い、ついで窒素雰囲気下で200℃、6時間の固相重合を行い、固有粘度1.22のポリブチレンテレフタレート樹脂とした。これを、ポリエステルBとした。
(ポリエステルC)
ポリエステルAの重合においてテレフタル酸ジメチル100質量部の代わりに、テレフタル酸ジメチル95質量部、およびイソフタル酸ジメチル5質量部を用いてポリエステルAと同様の方法で重合を行い、イソフタル酸5モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点246℃、ジエチレングリコール量1.8モル%)を作製した。これを、ポリエステルCとした。
(ポリエステルD:)
ポリエステルAの重合においてテレフタル酸ジメチル100質量部の代わりに、テレフタル酸ジメチル85質量部、およびイソフタル酸ジメチル15質量部を用いてポリエステルAと同様の方法で重合を行い、イソフタル酸15モル%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点228℃、ジエチレングリコール量1.8モル%)を作製した。これを、ポリエステルDとした。
(ポリエステルE:)
テレフタル酸ジメチルを100質量部、エチレングリコール60質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール20質量部の混合物に、酢酸マンガンを0.04質量部を加え、徐々に昇温し、最終的には220℃メタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。次いで、リン酸85%水溶液0.045質量部、二酸化ゲルマニウム0.01質量部を添加して、徐々に昇温、減圧し、最終的に275℃、1hPaまで昇温、減圧し、極限粘度が0.67となるまで重合反応を行い、その後ストランド状に吐出、冷却し、カッティングして1,4−シクロヘキサンジメタノールを8モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。該ポリマーを3mm径の立方体に切断し、回転型真空重合装置を用いて、1hPaの減圧下、225℃で極限粘度が0.8になるまで固相重合を行い、これをポリエステルEとした。
(ポリエステルF:)
ポリエステルBの重合においてテレフタル酸100質量部の替わりに、テレフタル酸90質量部、およびイソフタル酸10質量部を用いてポリエステルBと同様の方法で重合を行い、イソフタル酸10モル%共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(融点210℃)を作製した。これを、ポリエステルFとした。
(粒子マスター:A)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール70質量部の混合物に酢酸マンガン0.04質量部を加え、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながら、エステル交換反応を行った。次いで、リン酸85%水溶液0.025質量部、三酸化アンチモン0.02質量部を添加した。さらに、熱分解温度400℃、体積平均粒子径0.8μmのジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子のエチレングリコールスラリーを粒子濃度が1重量%となるように添加して、徐々に昇温、減圧し、最終的に290℃、1hPaまで昇温、減圧し、固有粘度が0.63dl/gとなるまで重縮合反応を行い、その後ストランド状に吐出、冷却し、カッティングして、屈折率1.60の粒子マスターチップを得た。
体積平均粒子径0.8μmのジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を得る方法としては、ソープフリー乳化重合によりシード粒子を合成し、膨潤助剤を用いて膨潤させ、重合性モノマーを吸収させ重合する方法を用いた。
(粒子マスター:B)
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子にメタクリル酸メチル10量部を添加し耐熱温度365℃となるように調整したエチレングリコールスラリーを添加した以外は、粒子マスターAと同じ方法で調整した。得られた粒子マスターチップの屈折率は1.59であった。
(粒子マスター:C)
体積平均粒子径0.45μmのジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子のエチレングリコールスラリーを添加すること以外は、粒子マスターAと同じ方法で調整した。
(粒子マスター:D)
熱分解温度450℃、体積平均粒子径2.2μmの凝集粒子のエチレングリコールスラリーを粒子濃度が2重量%となるように添加すること以外は、粒子マスターAと同じ方法で調整した。
Figure 2009220479
なお、表中の略号は以下の通り。
EG:エチレングリコール残基成分
BD:1,4−ブタンジオール残基成分
TPA:テレフタル酸残基成分
DEG:ジエチレングリコール残基成分
CHDM:1,4−シクロへキサンジメタノール残基成分
IPA:イソフタル酸残基成分
(実施例)
以下に本発明の実施例と比較例を示す。
(実施例1)
B層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルE、粒子マスターAを重量比で38:20:40:2の割合で混合して使用した。また、A層を構成するポリエステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルE、粒子マスターAを重量比で39:20:40:1の割合で混合して使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて160℃で4時間乾燥し、それぞれ、単軸押出機に供給、275℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層A/層B(積層厚み比23:2)となるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に2層シートとして吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度103℃で長手方向に3.2倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度75℃、延伸温度105℃で幅方向に3.2倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度215℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(実施例2)
A層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルEを重量比で35:30:35の割合で混合して使用した。一方、B層を構成するポリステル組成物としては、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルE、粒子マスターAを重量比で29:30:35:6の割合で混合して使用した。各々混合したポリステル組成物を個別に真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、270℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層B/層A/層B(積層厚み比1.5:22:1.5)となるように積層した後、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度97℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度70℃、延伸温度100℃で幅方向に3.1倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に2.5%のリラックスを掛けながら温度230℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(実施例3)
A層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルEを重量比で35:30:35の割合で混合して使用した。一方、B層を構成するポリステル組成物としては、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルE、粒子マスターBを重量比で29:30:35:6の割合で混合して使用した。各々混合したポリステル組成物を個別に真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、270℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層B/層A/層B(積層厚み比1.5:22:1.5)となるように積層した後、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度97℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度70℃、延伸温度100℃で幅方向に3.1倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に2.5%のリラックスを掛けながら温度230℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(実施例4)
A層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルEを重量比で32:28:40の割合で混合して使用した。一方、B層を構成するポリステル組成物としては、ポリエステルA、ポリエステルE、粒子マスターA、粒子マスターCを重量比で33:55:2:10の割合で混合して使用した。各々混合したポリステル組成物を個別に真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、275℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層A/層B(積層厚み比45:5)となるように積層した後、Tダイより23℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度100℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度70℃、延伸温度105℃で幅方向に3.1倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に5%のリラックスを掛けながら温度225℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み50μmの二軸配向フィルムを得た。
(実施例5)
B層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルF、粒子マスターAを重量比で68:30:2の割合で混合して使用した。また、A層を構成するポリエステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルF、粒子マスターAを重量比で69:30:1の割合で混合して使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて160℃で4時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、270℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層A/層B(積層厚み比23:2)となるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に2層シートとして吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度95℃で長手方向に3.2倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度75℃、延伸温度90℃で幅方向に3.2倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に5%のリラックスを掛けながら温度230℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(実施例6)
A層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルB、ポリエステルEを重量比で20:80の割合で混合して使用した。一方、B層を構成するポリステル組成物としては、ポリエステルB、ポリエステルE、粒子マスターA、粒子マスターCを重量比で20:68:2:10の割合で混合して使用した。各々混合したポリステル組成物を個別に真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、270℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層B/層A/層B(積層厚み比2:21:2)となるように積層した後、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度100℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度70℃、延伸温度102℃で幅方向に3.2倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度233℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(実施例7)
B層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルB、ポリエステルC、粒子マスターAを重量比で20:78:2の割合で混合して使用した。また、A層を構成するポリエステル組成物としてポリエステルB、ポリエステルCを重量比で20:80の割合で混合して使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、275℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層A/層B(積層厚み比15:5)となるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に2層シートとして吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度98℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度70℃、延伸温度100℃で幅方向に3.2倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度210℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み20μmの二軸配向フィルムを得た。
(比較例1)
ポリエステルフィルムを構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、粒子マスターDを重量比99:1で使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、275℃で溶融し、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度110℃で長手方向に3.3倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度100℃、延伸温度110℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に5%のリラックスを掛けながら温度225℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(比較例2)
ポリエステルフィルムを構成するポリステル組成物として、ポリエステルD、粒子マスターAを重要比98:2で使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、275℃で溶融し、Tダイより23℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度90℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度90℃、延伸温度110℃で幅方向に3.2倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に3%のリラックスを掛けながら温度190℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み15μmの二軸配向フィルムを得た。
(比較例3)
ポリエステルフィルムを構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルB、粒子マスターDを質量比76:20:4で混合して使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、275℃で溶融し、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度90℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度90℃、延伸温度110℃で幅方向に3.1倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に5%のリラックスを掛けながら温度210℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(比較例4)
ポリエステルフィルムを構成するポリステル組成物として、ポリエステルB、ポリエステルD、粒子マスターDを質量比60:38:2で混合して使用した。混合したポリステル組成物を真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、270℃で溶融し、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度70℃で長手方向に3.5倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度105℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に5%のリラックスを掛けながら温度210℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
(比較例5)
A層を構成するポリステル組成物として、ポリエステルA、ポリエステルD、粒子マスターAを重量比で79:20:1の割合で混合して使用した。一方、B層を構成するポリステル組成物としては、ポリエステルA、粒子マスターAを重量比で98:2の割合で混合して使用した。各々混合したポリステル組成物を個別に真空乾燥機にて150℃で5時間乾燥し、別々の単軸押出機に供給、275℃で溶融し、別々の経路にてフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて層A/層B(積層厚み比23:2)となるように積層した後、Tダイより23℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、最終的にフィルム温度100℃で長手方向に3.2倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて予熱温度70℃、延伸温度105℃で幅方向に3.1倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に5%のリラックスを掛けながら温度225℃で2秒間の熱処理を行いフィルム厚み25μmの二軸配向フィルムを得た。
Figure 2009220479
Figure 2009220479
なお、表中の略号は以下の通り。
MD:フィルム長手方向
TD:フィルム幅方向
EG:エチレングリコール残基成分
BD:1,4−ブタンジオール残基成分
TPA:テレフタル酸残基成分
各実施例、比較例のフィルムの物性および評価結果を表2および表3に示す。表より本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム(実施例1〜7)は成形性および金属薄膜を設けた際の外観および、保護フィルムとしての特性に優れており、成形部材用フィルムとして好適に使用することが可能である。一方、比較例1〜4のフィルムでは、成形性、外観、保護フィルムとしての特性の少なくとも一つがBもしくはC評価であり、劣っていた。
本発明の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムは優れた成形加工性を有し、真空、圧空成形などの熱成形において金型に追従した成形部品を容易に作成することができ、さらに成形前に予め金属蒸着を施すことで、メッキ調の外観を有する成形部品として自動車部材や家電用品などの部品として好適に使用することができる。さらに、成形用加飾シートの成形時の表面保護フィルムとして用いると、成形体の外観を美麗に保つことができるため、加飾シートの表面保護フィルムとして好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. 2層以上のポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の最外面に、有機化合物を共重合してなるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有する層を有する200℃でフィルム長手方向および幅方向に各々1.4倍延伸した後の厚み(d)に対するフィルムヘイズ(H)の比の増分が0.01〜0.2%/μmであり、かつ200℃におけるフィルム長手方向および幅方向の100%伸長時応力(F100値、単位:MPa)が下記式(1)を満たす成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
    15≦F100MD+F100TD≦80 (1)
    ただし、F100MD:フィルム長手方向の100%伸長時応力、F100TD:フィルム幅方向の100%伸長時応力。
  2. 前記ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の平均粒径が0.01〜3μmである請求項1に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. フィルムを構成するポリエステル樹脂のグリコール残基成分の50〜90モル%がエチレングリコール残基、9〜40モル%が1,4−ブタンジオール残基、1〜10モル%がその他のグリコール残基成分である請求項1または2に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記その他のグリコール残基成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール残基成分を含む請求項3に記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ヘイズが0.1〜5%である請求項1〜4いずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 最外面のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有する層の表面における中心線面平均粗さ(SRa)が15nm以下、十点平均粗さ(SRz)が800nm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属化合物を蒸着してなる成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 成形用加飾シートの表面に積層して用いる請求項1〜6のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 成形用加飾シートの表面に前記成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを積層してなる成形用積層体を成形し、該成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを剥離した後のフィルム表面と成形前のフィルム表面における光沢度の差の絶対値が100以下である請求項1〜6のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルム。
  10. 成形用加飾シートの表面に請求項1〜6のいずれかに記載の成形部材用二軸配向ポリエステルフィルムを積層した成形用積層体。
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