JP2016159537A - 成型用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】成型性、寸法安定性に優れ、成型部材に使用可能な成型用二軸配向ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】A/B/A構成のフィルムで、A層、B層が、ポリエステルを主成分とし、1,4CHDMの構造単位をA層は1〜5モル%、B層は5〜10モル%有し、A層のフィルム全体に対する厚み比が0.1〜0.6、(1)3m×3mのフィルムから、JIS−K7127−2000によりフィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmに10点切り出し、チャック間距離50mm、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張破断試験を行い、前記10点の25℃での強度の最大差が30MPa以下、(2)10点の伸度の最大差が20%以下、(3)JIS−K7136−2000によりフィルムの入射角0度の分光透過率からヘイズをHz=(拡散透過率/全透過率)×100で算出し、10点の最大差が0.2%以下で、ヘイズが2.0%以下。
【選択図】なし
【解決手段】A/B/A構成のフィルムで、A層、B層が、ポリエステルを主成分とし、1,4CHDMの構造単位をA層は1〜5モル%、B層は5〜10モル%有し、A層のフィルム全体に対する厚み比が0.1〜0.6、(1)3m×3mのフィルムから、JIS−K7127−2000によりフィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmに10点切り出し、チャック間距離50mm、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張破断試験を行い、前記10点の25℃での強度の最大差が30MPa以下、(2)10点の伸度の最大差が20%以下、(3)JIS−K7136−2000によりフィルムの入射角0度の分光透過率からヘイズをHz=(拡散透過率/全透過率)×100で算出し、10点の最大差が0.2%以下で、ヘイズが2.0%以下。
【選択図】なし
Description
本発明は成型用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品、モバイル機器、家電やパソコンなどの成型部材の加飾で、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の導入が進んでいる。係る加飾方法に使用される成型用フィルムとして、いくつかの提案がされている。
例えば、特許文献1において、常温での特定の成型応力を規定した成型用ポリエステルフィルムが提案されている。
特許文献2において、特定温度での成型応力、貯蔵弾性率を規定した成型用ポリエステルフィルムが提案されている。
特許文献3において、広い温度範囲での貯蔵弾性率を規定した成型用ポリエステルフィルムが提案されている。
特許文献4において、加熱時にドローダウンし難く、真空成形に適したポリカーボネート樹脂よりなる真空成形用フィルムが提案されている。
特許文献1記載のフィルムは、成型性が必ずしも十分ではなく、また加工工程での寸法安定性に関しても考慮されている設計ではなかった。
特許文献2記載のフィルムは、フィルムの加工温度である80℃付近での寸法安定性が十分ではなく、加工適性に劣っていた。
特許文献3記載のフィルムは、広い温度範囲での低い貯蔵弾性率を示すため、成型性には優れるものの、寸法安定性が満足な特性を示すものでは無かった。
特許文献4記載のフィルムは、成型性には優れるものの、ポリカーボネート樹脂よりなるフィルムであるため、耐疲労性に劣っていた。
そこで本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解決し、成型性、寸法安定性に優れており、成型加工を施して、様々な成型部材へ好適に使用することのできる成型用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
そこで本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解決し、成型性、寸法安定性に優れており、成型加工を施して、様々な成型部材へ好適に使用することのできる成型用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、A層、B層、A層の順の3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、A層およびB層が、いずれもポリエステル樹脂を主成分とし、かつ、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を含有し、A層は、A層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を1モル%以上5モル%未満有し、
B層は、B層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を5モル%以上10モル%未満有し、
A層のフィルム全体厚みに対する積層比が0.1以上0.6以下であり、
下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする成型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(1):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する25℃における幅方向の引張破断強度の最大差が30MPa以下
(2):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する引張破断伸度の最大差が20%以下
(3):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7136−2000に準拠して、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、それぞれ10点の拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)を求め、下記式から算出したヘイズ(Hz)の前記10点に関するヘイズにおけるヘイズの最大差が0.2%以下であり、ヘイズが2.0%以下
・Hz=(Td/Tt)×100
B層は、B層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を5モル%以上10モル%未満有し、
A層のフィルム全体厚みに対する積層比が0.1以上0.6以下であり、
下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする成型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(1):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する25℃における幅方向の引張破断強度の最大差が30MPa以下
(2):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する引張破断伸度の最大差が20%以下
(3):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7136−2000に準拠して、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、それぞれ10点の拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)を求め、下記式から算出したヘイズ(Hz)の前記10点に関するヘイズにおけるヘイズの最大差が0.2%以下であり、ヘイズが2.0%以下
・Hz=(Td/Tt)×100
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、成型温度領域での成型応力を低くすることができ、真空成型、圧空成型、真空圧空成型や、射出樹脂圧で成型されるインモールド成型、インサート成型などといった様々な成型方法で成型が可能であり、また、加工温度領域での寸法安定性に優れるため、コーティング、ラミネート、印刷、インサート成型の前工程(フィルム単独での成型)などといった加工工程で寸法変化による不具合が無く加工でき、例えば、建材、自動車部品、モバイル機器、家電やパソコンなどの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とグリコールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができる。
本発明では、成型性、寸法安定性、耐疲労性、外観、経済性の点から、ポリエステルを構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’−O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体についての単位(構造単位)の意味についても同様である。
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’−O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体についての単位(構造単位)の意味についても同様である。
本発明に用いるポリエステルを与える、グリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としては例えば、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、複雑形状に成型したときに均一な成型性を有するという観点から3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する幅方向の引張破断強度の最大差が30MPa以下であることが重要である。幅方向の引張破断強度の最大差が30MPaより高いと成型時にフィルムの肉厚にムラができ、フィルム破れの原因になる。
また、成型性の点から150℃におけるフィルム幅方向の100%伸長時強度(F100値)がそれぞれ10MPa以上70MPa以下であることが必要である。成型部材の成型方法としては、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型、プラグアシスト成型といった加熱成型方法が挙げられるが、何れの成型方法も赤外線ヒーターなどによる予熱工程でフィルムの温度を高い状態とした後に成型される工程を有する。このため、高温での成型強度を低くすることで、複雑な形状に成型することが可能となる。これらの理由により、150℃における100%伸長時強度(F100値)が10MPa以上70MPa以下とすることが重要である。F100値が10MPa未満であると、成型加工での予熱工程でフィルム移送のための張力に耐えることができず、フィルムが変形、場合によっては破断してしまう場合があり、成型用途への使用に耐えないフィルムとなってしまう。逆に70MPaを超える場合は、熱成型時に変形が不十分であり、複雑な形状への成型が困難となってしまう。取扱い性、成型性の点で、150℃におけるフィルム幅方向の100%伸長時強度(F100値)は15MPa以上50MPa以下であればさらに好ましく、15MPa以上45MPa以下であれば最も好ましい。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、複雑形状に成型したときに均一な成型性を有するという観点から3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する幅方向の引張破断強度の最大差が30MPa以下であることが重要である。幅方向の引張破断強度の最大差が30MPaより高いと成型時にフィルムの肉厚にムラができ、フィルム破れの原因になる。
また、成型性の点から150℃におけるフィルム幅方向の100%伸長時強度(F100値)がそれぞれ10MPa以上70MPa以下であることが必要である。成型部材の成型方法としては、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型、プラグアシスト成型といった加熱成型方法が挙げられるが、何れの成型方法も赤外線ヒーターなどによる予熱工程でフィルムの温度を高い状態とした後に成型される工程を有する。このため、高温での成型強度を低くすることで、複雑な形状に成型することが可能となる。これらの理由により、150℃における100%伸長時強度(F100値)が10MPa以上70MPa以下とすることが重要である。F100値が10MPa未満であると、成型加工での予熱工程でフィルム移送のための張力に耐えることができず、フィルムが変形、場合によっては破断してしまう場合があり、成型用途への使用に耐えないフィルムとなってしまう。逆に70MPaを超える場合は、熱成型時に変形が不十分であり、複雑な形状への成型が困難となってしまう。取扱い性、成型性の点で、150℃におけるフィルム幅方向の100%伸長時強度(F100値)は15MPa以上50MPa以下であればさらに好ましく、15MPa以上45MPa以下であれば最も好ましい。
また、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、より複雑な形状へ成型したときに、均一な成型性を有するという観点から3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する幅方向の引張破断伸度の最大差が20%以下であることが重要である。幅方向の引張破断強度の最大差が20%より高いと成型時にフィルムの肉厚にムラができ、フィルム破れの原因になる。また、150℃におけるフィルム幅方向の破断伸度がそれぞれ100%以上500%以下であることが好ましい。複雑な形状に成型する場合でも高い成型加工倍率に追随でき、また、経済性や耐熱性においても優れたものとできる。成型性、経済性の点で、フィルム幅方向の伸度は100%以上400%以下であればさらに好ましく、120%以上300%以下であれば最も好ましい。また、特に寸法安定性が必要な用途で用いられる場合は、フィルム幅方向の破断伸度が120%以上200%以下であることが好ましい。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、A層とB層を有するポリエステルフィルムであって、それぞれの層に機能を付与する事が出来る点からA層/B層/A層の3層構成からなる形態であることが重要である。A層により寸法安定性を付与し、B層で成型性を付与することで、本発明の目的である寸法安定性と成型性を両立することが可能となる。3層からなる積層ポリエステルフィルムは、全ての層が口金から溶融押出される共押出法により押し出されたものを、縦方向および横方向に二軸延伸、熱固定させることで得ることができる。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、A層のフィルム全体厚みに対する積層比が0.1以上0.6以下であることが重要である。積層比が0.1未満の場合、A層の厚みが薄くなりすぎて、寸法安定性の低下や積層厚みムラが生じる場合が有るため好ましくない。積層比が0.6を超える場合、成型性が悪化する場合が有るため好ましくない。成型性、寸法安定性の観点から、A層のフィルム全体厚みに対する積層比が0.2以上0.4以下であればさらに好ましい。
上記の積層厚み比は、詳細は後述するが、A層およびB層を構成する2種類のポリエステル樹脂原料を押出すときの吐出量を調整することにより達成することができる。吐出量は押出機のスクリューの回転数、ギヤポンプを使用する場合はギヤポンプの回転数、押出温度、ポリエステル原料の粘度などにより適宜調整できる。フィルムの積層比は、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などで500倍以上10,000倍以下の倍率で観察することによって、積層各層の厚みを測定し、積層比を求めることができる。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム全体厚みが25μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上300μm以下である。フィルム全体厚みが25μm未満の場合、加工時の取り扱い性や成型時の形状保持性が悪化するため好ましくない。フィルム全体厚みが500μmを超える場合、成型性の悪化や原料コストが増加するため好ましくない。
本発明において、A層としては、寸法安定性の観点からA層中にエチレングリコール由来の構造単位を90モル%以上99モル%未満含有せしめ、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を1モル%以上5モル%未満含有せしめることが重要である。A層中にエチレングリコール由来の構造単位を95モル%以上99モル%未満含有せしめ、かつ1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を1モル%以上4モル%未満含有せしめることが特に好ましい。また、A層中にテレフタル酸由来の構造単位を、ジカルボン酸(ジカルボン酸エステルを含む)に由来の構造単位に対して、95モル%以上100モル%未満含有することが好ましい。
また、B層としては、成型性の観点からB層中にエチレングリコール由来の構造単位を80モル%以上99モル%未満含有せしめ、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を5モル%以上10モル%未満含有せしめることが重要である。B層の融点、密度をかかる範囲とするためには、B層中にエチレングリコール由来の構造単位を90モル%以上95モル%未満含有せしめ、かつ、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を5モル%以上10モル%未満含有せしめることが特に好ましい。また、B層中にテレフタル酸由来の構造単位を、ジカルボン酸(ジカルボン酸エステルを含む)に由来の構造単位に対して、95モル%以上100モル%未満含有することが好ましい。
また、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、成型後の外観の観点から3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7136−2000に準拠して、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、それぞれ10点の拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)を求め、下記式から算出したヘイズ(Hz)の前記10点に関するヘイズにおけるヘイズの最大差が0.2%以下、ヘイズが2.0%以下であることが重要である。ヘイズが2.0%より大きい場合、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムが白っぽくなり、外観が損なわれ、最大差が0.2%より高いと色ムラになる。ヘイズの測定はJIS−K−7136に基づき拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)から求めた値である。
また、JIS−Z−8722−2000に準拠して、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球を使用)を用いて、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、三刺激値X、Y、Zを求め、光源C、視野角2度で算出した色調b値が−1.5以上1.5以下であることが好ましい。色調b値が−1.5より小さい場合、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムを用いた成型体の見た目が青っぽくなり、外観が損なわれる。一方、色調b値が1.5より大きい場合は、見た目が黄っぽくなり、外観が低下してしまう。より好ましくは、色調b値は0以上1.5以下であり、0以上1.2以下であれば最も好ましい。
また、JIS−Z−8722−2000に準拠して、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球を使用)を用いて、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、三刺激値X、Y、Zを求め、光源C、視野角2度で算出した色調b値が−1.5以上1.5以下であることが好ましい。色調b値が−1.5より小さい場合、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムを用いた成型体の見た目が青っぽくなり、外観が損なわれる。一方、色調b値が1.5より大きい場合は、見た目が黄っぽくなり、外観が低下してしまう。より好ましくは、色調b値は0以上1.5以下であり、0以上1.2以下であれば最も好ましい。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、層間密着性の観点からB層全体を100質量%とした時に下記条件を満たすポリエステル樹脂ペレットを10質量%以上30質量%以下で含むことが好ましい。更に好ましくはエステル樹脂ペレットを10質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
条件:ポリエステル樹脂ペレット100質量%において、ポリエチレンテレフタレート樹脂が70質量%以上90質量%以下であり、アクリル・ウレタン共重合樹脂が0.05質量%以上0.2質量%以下、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂が10質量%以上30質量%以下であるポリエステル樹脂ペレット。
条件:ポリエステル樹脂ペレット100質量%において、ポリエチレンテレフタレート樹脂が70質量%以上90質量%以下であり、アクリル・ウレタン共重合樹脂が0.05質量%以上0.2質量%以下、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂が10質量%以上30質量%以下であるポリエステル樹脂ペレット。
A層とB層を有する積層ポリエステルフィルムとするには、まず、A層に使用するポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)と1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(b)を所定の割合で計量する。また、B層に使用するポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(c)と1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(d)を所定の割合で計量する。
そして、混合したポリエステル樹脂をベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は275℃以上295℃以下に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点からガラス転移点−20℃の範囲にして、押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが必要である。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向、幅方向のそれぞれの方向に、好ましくは、3.0倍以上4.2倍、さらに好ましくは3.0倍以上4.0倍以下、特に好ましくは3.0倍以上3.8倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また延伸温度は、長手方向は70℃以上120℃以下、幅方向は、100℃以上140℃以下とすることが好ましい。また、延伸は各方向に対して複数回行っても良い。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、好ましくは200℃以上240℃以下であり、より好ましくは、210℃〜235℃である。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、印刷層や接着剤、蒸着層、ハードコート層、耐候層といった各種加工層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。中でもアクリル樹脂は、耐候性、耐熱・耐湿性に優れるため好ましい。さらに、成型後の寸法安定性を向上させるためには、140℃以上180℃以下の条件でオフアニールすることが好ましい。
また、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐傷性が特に厳しい用途に用いられる場合は、ハードコート層を積層することができる。ハードコート層とは、硬度が高く、耐傷性、耐摩耗性に優れたものであれば良く、アクリル系、ウレタン系、メラミン系、有機シリケート化合物、シリコーン系、金属酸化物などで構成することができる。特に、硬度と耐久性、更に、硬化性、生産性の点でアクリル系、特に活性線硬化型のアクリル系組成物、または熱硬化型のアクリル系組成物からなるものが好ましく用いられる。また、本発明ではハードコート層積層後のフィルムの鉛筆硬度がHB以上であることが好ましく、より好ましくはH以上であり、2H以上であれば最も好ましい。
また、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、金属調加飾に用いられる場合、フィルムの少なくとも片面に金属化合物を蒸着して使用することが好ましい。金属化合物を蒸着して使用することで、外観が金属調となり、現在メッキした樹脂が用いられている成型部材の代替品としても使用することができる。中でも、融点が150℃以上400℃以下である金属化合物を蒸着して使用することがより好ましい。掛かる融点範囲の金属を使用することで、ポリエステルフィルムが成型可能温度領域で、蒸着した金属層も成型加工が可能であり、成型による蒸着層欠点の発生を抑制し易くなるので好ましい。特に好ましい金属化合物の融点としては150℃以上300℃以下である。融点が150℃以上400℃以下である金属化合物としては特に限定されるものではないが、インジウム(157℃)やスズ(232℃)が好ましく、特に金属調光沢、色調の点でインジウムを好ましく用いることができる。また、蒸着薄膜の作製方法としては、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。なお、ポリエステルフィルムと蒸着層との密着性をより向上させるために、フィルムの表面を予めコロナ放電処理やアンカーコート剤を塗布する等の方法により前処理しておいても良い。また、蒸着薄膜の厚みとしては、1nm以上500nm以下であれば好ましく、3nm以上300nm以下であれば特に好ましい。生産性の点から3nm以上200nm以下であれば最も好ましい。
また、本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、印刷を施すことによって、成型部材の表面に用いられた場合、外観、意匠性を付与することができる。印刷方法は特に限定されないが、グラビヤ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などが好ましく用いられる。また、印刷層の厚みは、好ましくは1nm以上20nm以下である。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、成型温度領域での成型強度が低いため、真空成型、圧空成型、真空圧空成型や、射出樹脂圧で成型されるインモールド成形、インサート成型などといった様々な成型方法で成型が可能であり、また、加工温度領域での寸法安定性に優れるため、コーティング、ラミネート、印刷、インサート成型の前工程(フィルム単独での成型)などといった加工工程で寸法変化による不具合が無く加工でき、成型後も優れた表面性を示し、さらに耐疲労性、外観にも優れるため、例えば、建材、自動車部品、モバイル機器、家電やパソコンなどの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、成型温度領域での成型強度が低いため、真空成型、圧空成型、真空圧空成型や、射出樹脂圧で成型されるインモールド成形、インサート成型などといった様々な成型方法で成型が可能であり、また、加工温度領域での寸法安定性に優れるため、コーティング、ラミネート、印刷、インサート成型の前工程(フィルム単独での成型)などといった加工工程で寸法変化による不具合が無く加工でき、成型後も優れた表面性を示し、さらに耐疲労性、外観にも優れるため、例えば、建材、自動車部品、モバイル機器、家電やパソコンなどの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)破断強度
3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(テンシロンUCT−100、オリエンテック製)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った。フィルムが破断したときのフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を破断強度とした。
3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(テンシロンUCT−100、オリエンテック製)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った。フィルムが破断したときのフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を破断強度とした。
(2)破断伸度
(1)と同様の方法でサンプルを切り出し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に引張試験を行い、フィルムが破断したときの伸度を破断伸度とした。
(1)と同様の方法でサンプルを切り出し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に引張試験を行い、フィルムが破断したときの伸度を破断伸度とした。
(3)破断強度および破断伸度の最大差
(1)、(2)で実施した破断強度および破断伸度においてフィルムの10点の幅方向の破断強度および破断伸度から、それぞれの最大値と最小値を選択し、それぞれの最大値−最小値を最大差とした。
(1)、(2)で実施した破断強度および破断伸度においてフィルムの10点の幅方向の破断強度および破断伸度から、それぞれの最大値と最小値を選択し、それぞれの最大値−最小値を最大差とした。
(4)150℃での100%伸長時強度(F100)
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(テンシロンUCT−100、オリエンテック製)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの幅方向に引張試験を行った。測定は予め150℃に設定した恒温槽中にフィルムサンプルをセットし、90秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが100%伸長したとき(チャック間距離が100mmとなったとき)のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を100%伸長時強度(F100値)とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(テンシロンUCT−100、オリエンテック製)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの幅方向に引張試験を行った。測定は予め150℃に設定した恒温槽中にフィルムサンプルをセットし、90秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが100%伸長したとき(チャック間距離が100mmとなったとき)のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×10mm)で除した値を100%伸長時強度(F100値)とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(5)ヘイズ
3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7136−2000に準拠して、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球を使用)を用いて、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、それぞれ10点の拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)を求め、下記式からヘイズ(Hz)を算出した。
・Hz=(Td/Tt)×100。
3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7136−2000に準拠して、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球を使用)を用いて、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、それぞれ10点の拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)を求め、下記式からヘイズ(Hz)を算出した。
・Hz=(Td/Tt)×100。
(6)ヘイズの最大差
(5)で実施したヘイズにおいてフィルムの10点のヘイズから、最大値と最小値を選択し、最大値−最小値を最大差とした。
(5)で実施したヘイズにおいてフィルムの10点のヘイズから、最大値と最小値を選択し、最大値−最小値を最大差とした。
(7)フィルムのb値
JIS−Z−8722−2000に準拠して、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球を使用)を用いて、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、三刺激値X、Y、Zを求め、光源C、視野角2度で透過b値を算出した。
JIS−Z−8722−2000に準拠して、島津製作所製分光光度計「UV−2450PC」(受光部に積分球を使用)を用いて、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、三刺激値X、Y、Zを求め、光源C、視野角2度で透過b値を算出した。
(8)層間密着性
(1)と同様な方法で、試験を行い、破断したフィルムの破断箇所の両面に、日東電工(株)製OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)を貼り合わせ、OPP粘着テープ/引張試験後フィルムサンプル/OPP粘着テープの構成を作成し、ダンプロンテープを強制的に180°剥離をして引張試験後フィルムサンプルの観察を行い、下記の基準で10回評価を行った。
○:層間の剥離が全く生じなかった。
×:A層/B層間での剥離が1回以上発生した。
(1)と同様な方法で、試験を行い、破断したフィルムの破断箇所の両面に、日東電工(株)製OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)を貼り合わせ、OPP粘着テープ/引張試験後フィルムサンプル/OPP粘着テープの構成を作成し、ダンプロンテープを強制的に180°剥離をして引張試験後フィルムサンプルの観察を行い、下記の基準で10回評価を行った。
○:層間の剥離が全く生じなかった。
×:A層/B層間での剥離が1回以上発生した。
(9)寸法安定性
(予め190℃、引張速度300mm/minで130%伸長したサンプルにおける)
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形にそれぞれ切り出し、サンプルとした。引張試験機(テンシロンUCT−100、オリエンテック製)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め190℃に設定した恒温槽中にフィルムサンプルをセットし、90秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが130%伸長したとき(チャック間距離が130mmとなったとき)に引張試験を終了し、サンプル採取した。
(予め190℃、引張速度300mm/minで130%伸長したサンプルにおける)
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形にそれぞれ切り出し、サンプルとした。引張試験機(テンシロンUCT−100、オリエンテック製)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め190℃に設定した恒温槽中にフィルムサンプルをセットし、90秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが130%伸長したとき(チャック間距離が130mmとなったとき)に引張試験を終了し、サンプル採取した。
予め上記の通り用意したサンプルについて、上記の試長部分(190℃で130%伸長した部分)のフィルムを長手方向および幅方向に長さ50mm×幅4mmの矩形にそれぞれ切り出しサンプルとし、熱機械分析装置(TMA EXSTAR6000、セイコーインスツルメンツ製)を使用して、下記の条件下で昇温した際の各温度でのフィルム長の変化率を熱変形率とした。
試長:15mm、荷重:19.6mN、昇温速度:5℃/分、測定温度範囲:30〜250℃
・熱変形率(%)=[{目的温度でのフィルム長(mm)−試長(mm)}/試長(mm)]×100
上記で実施した引張試験においてフィルム長手方向と幅方向の150℃フィルム変形率を下記の通り評価した。
○:150℃フィルム変形率が−11%以上
△:150℃フィルム変形率が−18%以上−11%未満
×:150℃フィルム変形率が−18%未満。
試長:15mm、荷重:19.6mN、昇温速度:5℃/分、測定温度範囲:30〜250℃
・熱変形率(%)=[{目的温度でのフィルム長(mm)−試長(mm)}/試長(mm)]×100
上記で実施した引張試験においてフィルム長手方向と幅方向の150℃フィルム変形率を下記の通り評価した。
○:150℃フィルム変形率が−11%以上
△:150℃フィルム変形率が−18%以上−11%未満
×:150℃フィルム変形率が−18%未満。
(10)成型性
本発明のポリエステルフィルムを、450℃の遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度が150℃の温度になるように加熱し、60℃に加熱した角形金型(70×70mm、高さ25mm)に沿って真空・圧空成型(圧空:0.2Ma)を行った。角形金型は、それぞれエッジ部分のRが1mm、2mm、3mmの3種類準備して真空・圧空成型を行った。金型に沿って成型できた状態を以下の基準で評価した。
○:Rが1mmで成型できた(Rが1mmを再現できた)。
△:Rが3mmで成型できた(Rが3mmを再現できた)が、R1mmでは成型できなかった。
×:Rが3mmで成型できなかった。
本発明のポリエステルフィルムを、450℃の遠赤外線ヒーターを用いて、表面温度が150℃の温度になるように加熱し、60℃に加熱した角形金型(70×70mm、高さ25mm)に沿って真空・圧空成型(圧空:0.2Ma)を行った。角形金型は、それぞれエッジ部分のRが1mm、2mm、3mmの3種類準備して真空・圧空成型を行った。金型に沿って成型できた状態を以下の基準で評価した。
○:Rが1mmで成型できた(Rが1mmを再現できた)。
△:Rが3mmで成型できた(Rが3mmを再現できた)が、R1mmでは成型できなかった。
×:Rが3mmで成型できなかった。
(原料)
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が98.8モル%、ジエチレングリコール成分が1.2モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、)。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が98.8モル%、ジエチレングリコール成分が1.2モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、)。
(ポリエステルB)
1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対して33モル%共重合された共重合ポリエステル(GN001、イーストマン・ケミカル社製)を、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートとして使用した(固有粘度0.75)。
(ポリエステルC−1)
ポリエステル樹脂ペレットが100質量%において、ポリエステルAが70.0質量%であり、ポリエステルBが29.85質量%であり、アクリル・ウレタン共重合樹脂が0.15質量%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)
(ポリエステルC−2)
ポリエステル樹脂ペレットが100質量%において、ポリエステルAが70.0質量%であり、ポリエステルBが30.0質量%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対して33モル%共重合された共重合ポリエステル(GN001、イーストマン・ケミカル社製)を、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートとして使用した(固有粘度0.75)。
(ポリエステルC−1)
ポリエステル樹脂ペレットが100質量%において、ポリエステルAが70.0質量%であり、ポリエステルBが29.85質量%であり、アクリル・ウレタン共重合樹脂が0.15質量%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)
(ポリエステルC−2)
ポリエステル樹脂ペレットが100質量%において、ポリエステルAが70.0質量%であり、ポリエステルBが30.0質量%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(実施例1)
表1の組成、構成とし、A層用およびB層用の原料を、酸素濃度を0.2体積%としたそれぞれのベント二軸押出機に供給、275℃で溶融し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
表1の組成、構成とし、A層用およびB層用の原料を、酸素濃度を0.2体積%としたそれぞれのベント二軸押出機に供給、275℃で溶融し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を75℃、延伸温度を80℃で長手方向に3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、基材フィルムの両面の濡れ張力を50mN/mとし、その処理面に、以下の塗剤A、B、C、D、E、Fを超音波分散させながら混合し、#4メタリングバーにて均一に塗布した。
A : 水分散ポリエステル樹脂(酸基4.5mg/g)
B : メチロール化メラミン(希釈剤: イソプロピルアルコール/ 水)
C : オキサゾリン架橋剤(日本触媒製“エポクロス”WS−500
D : コロイダルシリカ(平均粒径140nm)
E : コロイダルシリカ(平均粒径300nm)
F : フッ素系界面活性剤(希釈剤:水)
固形分質量比:A/B/C/D/E/F
=100質量部/38質量部/5質量部/2質量部/0.5質量部/0.2質量部
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度100℃、延伸温度120℃で幅方向に3.8倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、フィルム厚み188μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。MD、TDの破断強伸度、ヘイズ、フィルムの破断強伸度の均一性、ヘイズの均一性、層間剥離性、を表1に示す。
A : 水分散ポリエステル樹脂(酸基4.5mg/g)
B : メチロール化メラミン(希釈剤: イソプロピルアルコール/ 水)
C : オキサゾリン架橋剤(日本触媒製“エポクロス”WS−500
D : コロイダルシリカ(平均粒径140nm)
E : コロイダルシリカ(平均粒径300nm)
F : フッ素系界面活性剤(希釈剤:水)
固形分質量比:A/B/C/D/E/F
=100質量部/38質量部/5質量部/2質量部/0.5質量部/0.2質量部
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度100℃、延伸温度120℃で幅方向に3.8倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、フィルム厚み188μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。MD、TDの破断強伸度、ヘイズ、フィルムの破断強伸度の均一性、ヘイズの均一性、層間剥離性、を表1に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜3)
組成、フィルム構成を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にフィルムを製造した。
得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
組成、フィルム構成を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にフィルムを製造した。
得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
本発明の成型用二軸配向ポリエステルフィルムは、成型性、寸法安定性に優れており、成型加工を施して、様々な成型部材への加飾に使用できるため、例えば、建材、自動車部品、モバイル機器、家電やパソコンなどの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
Claims (2)
- A層、B層、A層の順の3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、A層およびB層が、いずれもポリエステル樹脂を主成分とし、かつ、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を含有し、A層は、A層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を1モル%以上5モル%未満有し、
B層は、B層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構造単位を5モル%以上10モル%未満有し、
A層のフィルム全体厚みに対する積層比が0.1以上0.6以下であり、
下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする成型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(1):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する25℃における幅方向の引張破断強度の最大差が30MPa以下
(2):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7127−2000に準拠して、フィルムを幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出し、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルム幅方向に引張試験を行った際の前記10点に関する引張破断伸度の最大差が20%以下
(3):3m×3m範囲のフィルムから任意の10点を選択し、JIS−K−7136−2000に準拠して、フィルムサンプルの入射角0度の分光透過率を測定し、それぞれ10点の拡散透過率(Td)と全透過率(Tt)を求め、下記式から算出したヘイズ(Hz)の前記10点に関するヘイズにおけるヘイズの最大差が0.2%以下であり、ヘイズが2.0%以下
・Hz=(Td/Tt)×100 - 前記B層が下記(4)を満たすポリエステル樹脂ペレットを10質量%以上、30質量%以下で用いて得られることを特徴とする、請求項1記載の成型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(4):ポリエステル樹脂ペレット100質量%において、ポリエチレンテレフタレート樹脂が70質量%以上90質量%以下であり、アクリル・ウレタン共重合樹脂が0.05質量%以上0.2質量%以下、共重合ポリエステル樹脂が10質量%以上30質量%以下である。
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