JP2019011529A - プリプレグ用剥離工程紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能が良好なプリプレグ用剥離工程紙を提供する。【解決手段】紙基材中に、アクリル樹脂を15g/m2以上40g/m2以下の範囲で含有する含浸紙基材の両面に、目止め層を介することなく、シリコーン剥離剤を含有する離型剤層を有することを特徴とするプリプレグ用剥離工程紙。【選択図】なし

Description

本発明は、寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能が良好なプリプレグ用剥離工程紙に関するものである。
炭素繊維やアラミド繊維等の各種強化繊維を補強材とする複合材料は、軽量で強度及び弾性率に優れていることから、ゴルフシャフト、テニスラケット、釣竿等のスポーツやレジャー用品、または航空機部材として幅広く利用されている。これらの複合材料は、一般に、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグという半製品を材料とし、前記プリプレグを所望の形状に整えた後、加熱成形して所定の形状に成型される。このプリプレグを製造する際には、プリプレグの形状保持や貯蔵、輸送に適するように、支持体として剥離工程紙が使用される。
上記目的の剥離工程紙は、水系エマルジョンタイプのシリコーン剥離剤やトルエン、ヘキサン等の有機溶剤で希釈されたシリコーン樹脂等の剥離剤を紙基材に塗布して、離型剤層を形成し、製造されている。このため、紙基材に対する要求特性としては、シリコーン樹脂が非常に高価であるため、少量のシリコーン塗布液を均一に塗布し得ること、つまり、シリコーン塗布液の浸透を極力抑制することが重要である。また、プリプレグ用途としては高温の加熱成型に耐え得るような耐熱性が必要であり、また、プリプレグ材と剥離工程紙が貯蔵時に両者の間で浮き剥がれが無い様、温湿度に対して良好な寸法安定性を有する紙基材が望まれてきている。
耐熱性改良を目的とした、プリプレグ用剥離工程紙の例として、紙基材の少なくとも一方の面に剥離剤を含有する剥離工程紙であって、前記紙基材を構成するパルプ全体のカナダ標準濾水度が340〜590mlであり、前記紙基材に目止め層が設けられておらず、前記剥離剤はシリコーンエマルジョンからなり、JIS P 8117に準じた透気度が300秒以下であることを特徴とする、プリプレグ用の剥離工程紙が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記紙基材を構成するパルプ全体のカナダ標準濾水度のコントロールとシリコーンエマルジョン剥離剤の組み合わせだけでは、高いレベルの寸法安定性、耐熱性能及び剥離性能が得られないという欠点があった。
また、その他のプリプレグ用剥離工程紙の紙基材としては、グラシン紙タイプ、水系樹脂コート紙タイプ、顔料コート紙タイプ等が提案されている。
グラシン紙タイプは、原料のパルプを極度に叩解し、カレンダー処理等によって繊維間結合を強固にしたものであるが、一般の紙に比べ製造コストが掛かり、離解再生が困難であり、また、湿度変化に対する寸法安定性が十分ではないという欠点があった。
水系樹脂コート紙タイプとしては、澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物、及びこれら水溶性高分子化合物の耐水化剤、或いはスチレン・ブタジエンラテックス、アクリル・スチレン共重合体等の疎水性樹脂エマルジョンを単独でまたは2種以上を混合して紙基材表面に塗布したものが提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
しかしながら、水系樹脂コート紙タイプでは、紙基材に樹脂成分の多くが浸透吸収されるために、紙基材表面を十分に被覆することが困難である。そのため離型剤層の形成時の固形分塗布量分布が不均一となり、良好な剥離性能が得られないという欠点があった。さらに紙基材への水蒸気透過性が大きいため、温湿度変化に対する寸法安定性や耐熱性能も十分ではない。
また、水系樹脂コート紙タイプとして、木材パルプを主体とした基紙に、耐水化剤によって耐水化処理されたポリビニルアルコールが塗布または含浸された炭素繊維強化樹脂形成用の剥離工程紙基材が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、ポリビニルアルコールの如き水溶性樹脂では耐水化処理を施しても、完全な耐水性が得られることはなく、十分な寸法安定性も得られないという欠点があった。さらにポリビニルアルコールの如き水溶性樹脂では、塗布液または含浸液の粘度が高くなり、基紙深奥部まで塗布液または含浸液が到達できないために、良好な層間強度が発現せず、耐熱性能も十分ではない。
顔料コート紙タイプでは、顔料と樹脂バインダーを塗布したものなどが、数多く提案されている(例えば、特許文献6〜12参照)。しかし、顔料と樹脂バインダーを塗布する場合には、10g/m程度の固形分塗布量で紙基材表面の被覆は可能であるものの、特に顔料/バインダー比が大きいものは、形成された塗布層に微小な空隙が形成され、シリコーン剥離剤が溶媒成分とともに、塗布層、さらには紙基材に滲入するので、水系樹脂コート紙タイプほどではないものの、やはり離型剤層の形成時の固形分塗布量分布が不均一となり、良好な剥離性能が得られない。
顔料コート紙タイプの別の一例として、プリプレグ貯蔵時の貯蔵環境の温湿度変化により、工程紙の寸法変化が発生しプリプレグと剥離紙が部分的に剥離するという問題の解決と剥離性能を高める目的で、紙基材に、樹脂含浸後に顔料コート層を設けて、透湿度コントロールや剥離性能を改良したプリプレグ用工程紙が提案されている(例えば、特許文献13参照)。しかしながら、樹脂含浸後に顔料コート層を設けた場合には、プリプレグの製造工程中における熱処理加工時に、紙基材内部の水分が顔料コート層を透気出来ずに火脹れ(ブリスター)が発生し、プリプレグと工程紙に浮き剥がれが発生するという問題があった。
なお、顔料コート紙タイプのプリプレグ用剥離工程紙では、顔料の脱落や塗布欠陥等に起因する、プリプレグの部分的な強度低下を完全に排除することは非常に困難であり、例えば、航空機部材用プリプレグでの部分的な強度不足は、高度差などに伴う気温や気圧の変化が大きい環境サイクル下では、部材破損を引き起こす可能性があり、大事故につながりかねない。
特開2008−196059号公報 特開平04−002900号公報 特開平04−327300号公報 特開平10−001895号公報 特開2007−009348号公報 特開平04−213377号公報 特開平07−097797号公報 特開平08−144198号公報 特開平10−131094号公報 特開2011−208309号公報 特開2016−160544号公報 特開2005−220482号公報 特開2006−274483号公報
本発明の課題は、寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能が良好なプリプレグ用剥離工程紙を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、紙基材中に、アクリル樹脂を15g/m以上40g/m以下の範囲で含有する含浸紙基材の両面に、目止め層を介することなく、シリコーン剥離剤を含有する離型剤層を有することを特徴とするプリプレグ用剥離工程紙によって、本発明を完成するに至った。
また、本発明のプリプレグ用剥離工程紙は、JIS P−8117に準じる王研式透気度が50秒以上200秒以下、且つJAPAN TAPPI No.19−2 B法に準じる層間強度が100N/m以上200N/m以下であることが好ましい。
本発明によれば、寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能が良好なプリプレグ用剥離工程紙を提供が可能となる。
以下、本発明のプリプレグ用剥離工程紙について、詳細に説明する。
本発明のプリプレグ用剥離工程紙は、紙基材中に、アクリル樹脂を15g/m以上40g/m以下の範囲で含有する含浸紙基材の両面に、目止め層を介することなく、シリコーン剥離剤を含有する離型剤層を有することで、優れた寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能を獲得している。
また、本発明のプリプレグ用剥離工程紙は、JIS P−8117に準じる王研式透気度が50秒以上200秒以下、且つJAPAN TAPPI No.19−2 B法に準じる層間強度が100N/m以上200N/m以下であることが好ましい。
本発明のプリプレグ剥離工程紙が有する紙基材としては、木材パルプ系を主原料とした紙基材であることが好ましい。具体的には、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどの木材パルプを主原料とし、必要に応じて、ケナフ、バガス、竹、コットンなどの植物パルプ、或いはガラス繊維や合成樹脂繊維などの非木材繊維を併用しても構わない。また、紙基材の製造には、必要に応じて従来公知の顔料、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤などの各種添加剤を併用することが好ましい。紙基材は、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造される。更に紙基材には、表面サイズ剤などによる微量の表面処理を行っても構わない。更に、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー装置で処理することが好ましい。本発明の紙基材の好ましい坪量範囲としては、30g/m以上400g/m以下である。
本発明において、紙基材中に含浸されるアクリル樹脂としては、従来公知の熱可塑性アクリル樹脂が例示される。熱可塑性アクリル樹脂は、鎖状ポリマーからなり加熱によって可塑性を示す固体状の非水溶性有機高分子化合物であって、水系で使用する場合には水分散液(エマルジョン、ラテックス)であることが好ましい。本発明における好ましいアクリル樹脂の例としては、単量体としてアクリル酸若しくはメタクリル酸若しくはこれらの塩またはこれらのアルキルエステル等の誘導体を含むアクリル系重合体や共重合体の水分散液が挙げられ、特に、メタクリル酸アルキルエステル系重合体や共重合体の水分散液が好ましく用いられる。本発明の他のアクリル系重合体の例としては、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸アルキルエステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸アルキルエステル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−フマル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−イタコン酸共重合体等及びこれらの金属塩または変性物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、アクリル樹脂を含有する含浸液には、アクリル樹脂以外の従来公知の熱可塑性樹脂を含有しても構わない。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体等の、その変性物を含めた合成ゴムラテックスなどの水分散液が挙げられる。また、各種変性あるいは未変性のポリビニルアルコール、酸化澱粉やエーテル化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などの水溶性高分子化合物などを併用しても構わない。また、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤などの液性調整剤や蛍光増白剤、有機顔料、無機顔料などの色相調整剤や、各種架橋剤や耐水化剤などを適宜使用しても構わない。含浸液が含有する総固形分に対するアクリル樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
本発明において、含浸紙には、アクリル樹脂を15g/m以上40g/m以下の範囲で含有する。アクリル樹脂が15g/m未満では、紙基材のパルプ繊維へのアクリル樹脂の被覆が十分ではなく、寸法安定性が十分得られない。更に、シリコーン剥離剤が含浸紙表面に留まり難くなるため、剥離性能も十分得られない。また、40g/mを超えた場合、透気性が悪化するために、耐熱性能が低下する。
本発明において、紙基材に、アクリル樹脂を含有する含浸液を含浸させる方法は、サイズプレス方式により含浸する方法、あるいはディップ方式により含浸する方法等が例示され、オンライン、オフラインでの処理いずれでも構わない。サイズプレス方式の含浸装置としては、例えば、インクラインド、ホライゾンタル、或いはバーチカルサイズプレスなどの2ロールサイズプレス装置などを挙げることができる。ディップ方式は、タブ含浸方式とも呼ばれ、前記サイズプレス方式よりも含浸液が紙基材のより内部まで浸透する上に、アクリル樹脂の固形分含浸量もサイズプレス方式よりも大きく出来ることから、紙基材の主体成分であるパルプ繊維を十分に被覆できるため、寸法安定性をより高めることが可能であるため、より好ましい。さらに、ディップ方式は、パルプ繊維間をアクリル樹脂で結合することで、プリプレグ加熱成形時の紙基材内部での水蒸気内圧増加による変形に抵抗できるため、耐熱性能をより高めることが可能となる。塗布方式によりアクリル樹脂を付与した場合、紙基材の表面に樹脂が層を形成するなどして樹脂成分が偏在するために、紙基材内部の層間強度が十分に発現せず、良好な寸法安定性や耐熱性能が得られない。紙基材にアクリル樹脂を含有する含浸液を含浸した後に、乾燥させる方法としては、従来公知の乾燥装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、直線トンネル乾燥機、シリンダードライヤー、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
本発明のプリプレグ用剥離工程紙が有する含浸紙基材は、熱圧処理により平滑化することが好ましい。熱圧処理装置としては、例えば、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー装置などが挙げられ、金属ロールと弾性ロールを組み合わせたカレンダーロールが好ましく用いられる。熱圧処理条件としては、ニップ数は1以上であれば特に限定はされない。カレンダー処理の線圧は、本発明の効果の範囲において特に限定はされないが、300N/cm以上3000N/cm以下が好ましく用いられる。カレンダー処理のロール温度は、本発明の効果の範囲において特に限定はされないが、80℃以上250℃以下が好ましい。本発明において、熱圧処理後の好ましい平滑性はJIS P−8155に準じる王研式平滑度が100秒以上である。平滑性が低すぎる場合は、離型剤層の固形分塗布量分布が不均一になり、剥離性能に悪影響を与える場合がある。
本発明において、離型剤層が含有するシリコーン剥離剤としては、溶剤系、無溶剤系や水系のものがあり、本発明では何れも使用可能であるが、溶剤系シリコーン剥離剤が好ましく用いられる。溶剤系シリコーン剥離剤は、溶剤により希釈して塗布液とすることが容易であり、このため高分子量(すなわち、高粘度)のポリマーから低粘度の低分子量ポリマー(オリゴマー)まで、幅広く使用することができる。溶剤系シリコーン剥離剤としては、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型等のものがある。付加反応型シリコーン剥離剤は、反応性が高く生産性に優れ、縮合反応型と比較すると、製造後の剥離力の変化が小さい、硬化収縮が無い等のメリットがあるため、本発明において、好ましく使用することができる。
上記した付加反応型シリコーン剥離剤としては、特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えば、従来の熱硬化付加反応型シリコーン剥離剤として慣用されているものを用いることができる。例えば、分子中に官能基として、ビニル基等のアルケニル基、ヒドロシリル基などの求電子性基を有するものが、熱硬化が容易な付加反応型シリコーン剥離剤として挙げられ、このような官能基を有するポリジメチルシロキサンや、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部または全部をフェニル基等の芳香族官能基に置換したものなどが、好適に用いることができる。溶剤系シリコーン剥離剤には、必要に応じて、反応触媒、シリカ、帯電防止剤、染料、顔料その他の添加剤を添加してもよい。付加反応型シリコーン剥離剤の反応触媒としては、白金系触媒が反応性の高さから、好ましく用いられる。
含浸紙基材にシリコーン剥離剤を塗布した後、離型剤層を硬化するには、塗布機のオーブンで加熱処理を行ってもよいし、加熱処理した後に紫外線照射を併用してもよい。なお、離型剤層の硬化に紫外線照射を併用する場合は、離型剤層は光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては特に制限は無く、紫外線や電子線の照射によりラジカルを発生するもので慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。該光重合開始剤としては、例えばベンゾイン類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、α−ジケトン、α−ジケトンジアルキルアセタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。
離型剤層の固形分塗布量は特に限定されないが、含浸紙基材の一方の面における固形分塗布量が0.1g/m以上1g/m以下であることが好ましい。固形分塗布量が0.1g/m未満である場合、含浸紙基材が十分に被覆されず、剥離性能が十分でないことがある。また、固形分塗布量が1g/mを超える場合、シリコーン移行性に悪影響を与えることがある。なお、本発明において、離型剤層はプリプレグの剥離性能の面から、含浸紙基材の両面になければならない。
離型剤層の塗布方法としては、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用でき、適応塗布量範囲や面質から、グラビアコート法の一種である小径グラビアコート法が好ましく用いられる。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
(実施例1)
リファイナーで600mlCSFに叩解したLBKP/NBKP=80部/20部からなるパルプスラリーに、顔料として二酸化チタン6部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂)1部、硫酸アルミニウム2部、アルミン酸ナトリウム0.5部を添加し、調製した紙料を長網抄紙機にて引張強度の縦横比(流れ方向/巾方向の比)が1.5以下になるよう抄造し、坪量102g/m、引張強度の縦横比は1.46の紙基材を得た。
紙基材に、アクリル樹脂としてメタクリル酸エステルエマルジョン(DIC社製:ボンコート(登録商標)AN−730)を樹脂固形分量で100部、アニオン系界面活性剤としてアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム(花王ケミカル社製:ペレックス(登録商標)NBL)3部を水に混合し、固形分濃度23%の含浸液を得た。この含浸液をディップ方式にて、アクリル樹脂の固形分含浸量が26g/mとなるよう含浸し、シリンダードライヤーにて乾燥後、熱カレンダーにて平滑化処理をし、含浸紙基材を得た。
<離型剤層の形成>
シリコーン剥離剤(KS−847:信越化学工業製、溶剤系・付加反応型シリコーン剥離剤):30部及び硬化剤(CAT−PL−50T:信越化学工業製):0.02部を、トルエン溶媒で希釈し、固形分濃度6%の離型剤層塗布液を作製した。得られた離型剤層塗布液を、含浸紙基材の片面に、固形分塗布量が0.3g/mになるように小径グラビアコーターにより塗布した後、150℃で120秒乾燥・硬化して離型剤層を形成(第1面)した。次いで、含浸紙基材のもう一方の面に、前記した離型剤層塗布液を固形分塗布量が0.5g/mになるように小径グラビアコーターにより塗布した後、150℃で120秒乾燥・硬化して離型剤層を形成(第2面)し、実施例1のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(実施例2)
実施例1において用いた含浸液の固形分濃度を30%に変更し、アクリル樹脂の固形分含浸量を36g/mとした以外は、実施例1と同様にして実施例2のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(実施例3)
実施例1において用いた含浸液の固形分濃度を18%に変更し、アクリル樹脂の固形分含浸量を18g/mとした以外は、実施例1と同様にして実施例3のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(比較例1)
実施例1において用いた含浸液の固形分濃度を35%に変更し、アクリル樹脂の固形分含浸量を43g/mとした以外は、実施例1と同様にして比較例1のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(比較例2)
実施例1において用いた含浸液の固形分濃度を10%に変更し、アクリル樹脂の固形分含浸量を10g/mとした以外は、実施例1と同様にして比較例2のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(比較例3)
比較例1において用いた含浸液を塗布液とし、紙基材の両面にエアナイフコーターで片面あたりの固形分塗布量が9g/mとなるように塗布、乾燥した以外は、比較例1と同様にして、比較例3のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(比較例4)
実施例1の含浸紙基材の両面に、顔料としてカオリン(エンゲルハルド社製の商品名:ウルトラホワイト90)100質量部、バインダーとしてスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス(PA−9276、日本A&L社製)10質量部、リン酸エステル化澱粉2質量部配合した塗布液をエアナイフコーターで片面あたり9g/mとなるように塗布、乾燥して目止め層を設けた以外は、実施例1と同様にして、比較例4のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
(比較例5)
実施例1の紙基材にアクリル樹脂を含有しない以外は、実施例1と同様にして、比較例5のプリプレグ用剥離工程紙を得た。
実施例1〜3及び比較例1、2の含浸紙基材と、比較例3の両面にアクリル樹脂塗布液を塗布した紙基材の断面を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1〜3及び比較例1、2では紙基材内部まで樹脂を含浸していることが確認されたが、比較例3では樹脂は紙表面に層状に存在しており、紙基材内部に樹脂は確認できなかった。(なお、この時は樹脂が目視しやすいように着色した含浸液及び塗布液を用いた。)
実施例1〜3及び比較例1〜5のプリプレグ用剥離工程紙の評価結果を表1に示す。なお、表1中の評価項目は以下の方法で評価した。
<王研式透気度>
作製したプリプレグ用剥離工程紙を、JIS P−8117に準じる王研式試験機法にて測定した。
<層間強度>
作製したプリプレグ用剥離工程紙を、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.19−2 板紙−すき合わせ層のはく離強さ試験方法 平均荷重測定法 B法に準じて測定した。
<寸法安定性>
作製したプリプレグ用剥離工程紙を200mm×200mmに裁断し試験片を作製した。次いで150℃の乾燥器で10分間乾燥し、試験片の寸法を抄紙の流れ方向及び幅方向について測定した(寸法A)。さらに、同試験片を温度32℃相対湿度80%の環境条件下で6時間放置後に、試験片の寸法を抄紙の流れ方向及び幅方向について測定した(寸法B)。下記(1)式を用いて、流れ方向、幅方向各々の寸法変化率を算出した。下記基準にて寸法安定性を判断した。
寸法変化率(%)=(寸法B−寸法A)÷寸法A×100 (1)式
○:流れ方向、幅方向ともに寸法変化率が0.5%未満であり、寸法安定性に優れる。
×:流れ方向、幅方向のいずれかの寸法変化率が0.5%を超えており、寸法安定性に 乏しい。
<剥離性能>
ポリエステル製の粘着テープ(日東電工(株)製、商品名「No.31B」)を、作製したプリプレグ用剥離工程紙の離型剤層面に貼り合せて、2kgローラーを1往復させ密着させた。その後、この粘着テープが貼り合わされたプリプレグ用剥離工程紙を温度23℃、相対湿度50%の環境条件下、剥離角度180°で、0.3m/分の速度で粘着テープ側を引っ張って剥離し、そのときの剥離力を測定し、以下の基準で剥離性能を判断した。
○:第1面の剥離力が30mN以下、且つ第2面の剥離力が20mN以下であり、剥離 性能に優れる。
×:第1面の剥離力が30mN超あるいは、第2面の剥離力が20mN超であり、剥離 性能に乏しい。
<耐熱性能>
作製したプリプレグ用剥離工程紙を50mm×50mmの試験片に切り取り、粘着剤(品番:アロンタック(登録商標)HV−C9500、東亞合成社製)を両面にそれぞれ5g/m塗布して乾燥させた後、オイルバスを用いて200℃で1分間熱処理した。熱処理後の表裏両面を目視にて確認し、ブリスターの有無を次のとおり判断した。
○:ブリスターが発生せず、実使用可能である。
×:ブリスターが発生し、実使用に耐えない。
Figure 2019011529
表1の結果から、本発明である実施例1〜3では、寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能に優れていることがわかる。比較例1〜5では、寸法安定性、耐熱性能、及び剥離性能の何れかが不十分である。

Claims (2)

  1. 紙基材中に、アクリル樹脂を15g/m以上40g/m以下の範囲で含有する含浸紙基材の両面に、目止め層を介することなく、シリコーン剥離剤を含有する離型剤層を有することを特徴とするプリプレグ用剥離工程紙。
  2. JIS P−8117に準じる王研式透気度が50秒以上200秒以下、且つJAPAN TAPPI No.19−2 B法に準じる層間強度が100N/m以上200N/m以下であることを特徴とする請求項1記載のプリプレグ用剥離工程紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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