本発明の一実施態様について、図1〜図16を用いて以下に詳細に説明する。本実施形態の薬剤払出装置が払い出し対象とする薬剤は、アンプルまたはバイアル(換言すれば、薬剤容器に収容された薬剤)ではなく、薬剤容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤自体を指す。その一例として、本実施形態では、上記薬剤が錠剤またはカプセルであるものとして説明する。
また、本明細書における「落下」には、払出経路または回収経路の内部における「自由落下」と、払出経路または回収経路上の「滑落」とが含まれる。
また、本実施形態では、処方箋データに基づき薬剤が払い出される場合を例示して説明する。つまり、薬剤容器へと払出される払出数量は、処方箋データに含まれる処方数量である。これに限らず、例えばユーザが設定した払出数量分の薬剤が、薬剤容器へと払い出される構成であってもよい。
〔薬剤払出システムの構成〕
まず、薬剤払出システム100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、薬剤払出システム100の概略的な構成の一例を示す図であり、(a)は、薬剤払出装置1に薬剤容器6及び回収容器7がセットされている状態を示す図であり、(b)は、薬剤容器6及び回収容器7がセットされていない状態を示す図である。図2は、薬剤払出システム100の薬剤払出装置1、表示装置3及び認証装置4の概略的な構成を示す斜視図である。
図1の(a)及び(b)に示すように、薬剤払出システム100は、薬剤払出装置1、読取装置2、表示装置3、認証装置4及び記憶装置5を備えている。なお、各装置は、有線で接続されている構成を示しているが、無線により接続可能な構成であってもよい。
薬剤払出装置1は、投入された複数の薬剤を順送りし、順送りされた薬剤の少なくとも一部をカウントして払い出すとともに、残余の薬剤を回収するものである。図1の(a)に示すように、薬剤払出装置1は、薬剤容器6をセット可能な第1領域11、回収容器7をセット可能な第2領域12を有しているとともに、図2に示すように、薬剤が投入される薬剤投入部13を有している。薬剤投入部13は、薬剤払出装置1の筐体の上面に形成された開口部(投入口)である。薬剤払出装置1は、薬剤投入部13に投入された薬剤のうちカウントした薬剤を、第1領域11にセットされた薬剤容器6へと払い出し、残余の薬剤を、第2領域12にセットされた回収容器7へと送り出す。薬剤払出装置1の詳細については後述する。
薬剤容器6は、薬剤払出装置1によってカウントされた薬剤を収容可能な容器であり、例えばバイアルである。回収容器7は、薬剤払出装置1に投入された薬剤のうち、薬剤容器6に払い出されなかった薬剤を収容可能な容器である。薬剤容器6としては、異なる大きさ(高さ)を有する種々の容器がある。例えば、処方される薬剤の種類または数に応じてその大きさが異なる。回収容器7は、薬剤払出装置1用として1種類の容器が準備されていればよい。つまり、第1領域11には、種々の大きさを有する薬剤がセットされるが、第2領域12には、1種類の回収容器7(大きさが一定の回収容器7)がセットされる。
読取装置2は、医療従事者(例:医者)が処方した薬剤(処方箋)を示す処方箋データ、及び、薬剤が保管されている保管容器(元瓶)内の薬剤を示す保管薬剤データを取得するものである。読取装置2は、処方箋データ及び保管薬剤データを取得するデータ読取部2Rを備えている。例えば、処方箋データ及び保管薬剤データは、それぞれバーコードによって実現されている。この場合、データ読取部2Rはバーコードリーダによって実現されている。読取装置2は、データ読取部2Rに当該バーコードが印刷されたシートまたはカード等がかざされることで、処方箋データ及び保管薬剤データを読み取る。読取装置2は、読み取った処方箋データ及び保管薬剤データを薬剤払出装置1へと送信する。
表示装置3は、各種データを表示する表示部3Aと、ユーザ操作を受け付ける操作部3Bとを備えている。表示部3Aは、例えば液晶パネルにより実現されており、操作部3Bは、例えば表示部3Aに重畳されたタッチパネルにより実現されている。
認証装置4は、薬剤払出装置1のユーザの識別情報を示すユーザデータをユーザから取得し、登録されたユーザであるか否かの認証を行うものであり、認証結果を薬剤払出装置1へと送信する。認証装置4は、例えば指紋認証装置により実現されている。
記憶装置5は、薬剤払出システム100において必要となる各種データを記憶しているものである。記憶しているデータとしては、例えば、薬剤払出装置1のユーザとして登録されたユーザの識別情報を示す登録ユーザデータ、または、各種薬剤の薬剤名(例:薬種ID(Identification))等を含む登録薬剤データ(マスタ)が挙げられる。その他、処方時に登録された処方箋データである登録処方箋データが挙げられる。登録処方箋データごとに処方箋で指定された薬剤名(薬種ID)が紐付けられて、記憶装置5に記憶されている。
登録ユーザデータは、例えば、認証装置4において、ユーザデータとの照合のために用いられる。また、登録処方箋データは、例えば、薬剤払出装置1において、処方箋データまたは保管薬剤データとの照合のために用いられる。
〔薬剤払出装置の構成〕
次に、図3〜図10を用いて、薬剤払出装置1の構成について説明する。図3は、薬剤払出装置1の内部構成の一例を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は第1回転体14及び第2回転体15の配置関係を説明するための概略的な側面図である。図4は、薬剤払出装置1の内部構成の一例を示す正面図であり、(a)は前カバーC1が装着されている状態を示す図であり、(b)は前カバーC1が取り外された状態を示す図である。図5は、落下経路規定部材の清掃について説明するための図であり、(a)は落下経路規定部材が装着されている状態を示す図であり、(b)は落下経路規定部材が取り外された状態を示す図であり、(c)は後カバーC2の背面図である。図6は、薬剤払出装置1の内部構成の一例を示す斜視図であり、カウンター26を説明するための図である。図7は、薬剤払出装置1の内部構成の一例を示す斜視図であり、(a)は高さ規制体17が初期位置にある状態を示す図であり、(b)は高さ規制体17が調整後の位置にある状態を示す図である。図8は、薬剤払出装置1の内部構成の一例を示す平面図であり、(a)は幅規制体18が初期位置にある状態を示す図であり、(b)は幅規制体18が調整後の位置にある状態を示す図である。図9は、高精度払出モード時に薬剤の順送り速度を下げるタイミングについて説明するための図であり、(a)は薬剤検出センサー27を用いた場合を示す図であり、(b)はカウンター260を用いた場合を示す図である。図10は、薬剤払出システム100の各構成の一例を示すブロック図である。
図3の(a)に示すように、薬剤払出装置1は、第1領域11、第2領域12、第1回転体14、第2回転体15、仕切壁16、高さ規制体17、幅規制体18、幅規制壁19、薬剤落下部20、払出経路21、回収経路22、及び支持部材23を備えている。
薬剤払出装置1では、薬剤投入部13(図2参照)に投入された薬剤は、第1回転体14上に載置される。その後、薬剤は、第1回転体14の回転により移動領域MRにおいて第1回転体14から第2回転体15へと乗り移り、第2回転体15の回転により、第2回転体15上から薬剤落下部20へと落下する。薬剤落下部20へと落下した薬剤は、払出経路21または回収経路22へと送られる。第2回転体15上の薬剤は、高さ規制体17、幅規制体18及び幅規制壁19により整列させられる。払出経路21を通過した薬剤は、第1領域11において支持部材23により支持された薬剤容器6に払い出され、回収経路22を通過した薬剤は、第2領域12に載置された回収容器7に収容される。以下、各部材について詳細に説明する。
<第1回転体・第2回転体>
第1回転体14及び第2回転体15は、投入された薬剤を順送りする順送り機構として機能する。順送りの場合、投入された薬剤は、薬剤落下部20へ向けて移動される。なお、後述する高さ規制体17及び幅規制体18についても順送り機構の一部として機能する。
第1回転体14は、回転することにより、投入された薬剤を外周側(径方向外側)へ移動させる回転部材である。具体的には、図3の(a)に示すように、第1回転体14は、第1軸部14Aを中心として回転する、円盤状の回転部材である。
図3の(b)に示すように、第1回転体14は、XY平面(例:薬剤払出装置1の載置面)に対して傾斜するように配設されている(図7も参照)。つまり、第1回転体14の第1軸部14A(第1回転軸Ax1)は、Z軸方向(垂直方向)に対して所定角度傾斜するように配置されている。
図3の(a)に示すように、第1回転体14の上面には、当該上面における、投入された薬剤の転動を抑止するための複数の凸条部14Bが放射状に設けられている。第1回転体14に投入された薬剤は、第1回転体14の回転により発生する遠心力により外周部へと移動する。
仕切壁16は、第1回転体14の外周部に沿って立設している。これにより、投入された薬剤が第1回転体14上に載置される。具体的には、投入された薬剤は、第1回転体14と仕切壁16とで区画された収容空間に収容される。
薬剤払出装置1は、第1回転体14の回転を制御する第1回転制御機構を内蔵している。第1回転制御機構は、例えば、第1軸部14Aと、第1回転軸Ax1を中心として第1軸部14Aを回転させる駆動部(例:モータ)(不図示)とによって実現されている。第1回転制御機構の駆動(換言すれば第1回転体14の回転制御)は、回転体制御部51(図10参照)によって制御される。
第2回転体15は、円環状の回転部材であり、第1回転体14の上側(+Z軸方向)に位置するように配設されている。第2回転体15は、図3の(b)に示すように、第2回転体15の第2回転軸Ax2が±Z軸方向に延伸し、かつその上面がXY平面と略平行となるように水平配置されている。つまり、第2回転体15の第2回転軸Ax2は、第1回転体14の第1回転軸Ax1とは異なる方向に延伸している。
また、第2回転体15は、第2回転軸Ax2の軸方向(+Z軸方向)から見ると、第1回転体14の外周に沿って配置されている(図8も参照)。さらに、図3の(b)及び図6に示すように、第1回転体14の傾斜により、第2回転体15の内周部に対して第1回転体の外周部が低くなっており、その間に所定高さの段差(±Z軸方向における第1回転体14と第2回転体15との高低差)が形成されている。この段差は、第1回転体14の傾斜により、第1回転体14及び第2回転体15の位置によって異なっている。具体的には、第1回転体14における最も高い位置において段差が最も小さくなっている。この段差が最も小さい部分は、第1回転体14の回転により、投入された薬剤が第1回転体14から第2回転体15へと乗り移る移動領域MRとして機能する。そして、第2回転体15は、第1回転体14から移動してきた薬剤を薬剤落下部20へ向けて順送りする。
なお、本実施形態の移動領域MRでは、第2回転体15の内周部が、第1回転体14の外周部に対して薬剤が脱落しない程度の隙間をあけた位置にあり、かつ、当該内周部と外周部との高さが略同一位置となるように構成されている。但し、当該高さの設定は、薬剤が第1回転体14から第2回転体15へと乗り移すことが可能であれば、第2回転体15の内周部を第1回転体14の外周部より上側に位置させてもよいし、下側に位置させてもよい。
第1回転体14及び第2回転体15は、投入された薬剤が薬剤落下部20へ向けて移動するように同一方向に回転する。移動領域MRにて第1回転体14から第2回転体15へと乗り移った薬剤の少なくとも一部は、薬剤落下部20まで移送され、残余の薬剤は、高さ規制体17及び幅規制体18により、第1回転体14側へと落下させられる。このように、第1回転体14及び第2回転体15は、投入された薬剤を薬剤落下部20まで移送する薬剤移送領域を形成している。薬剤移送領域は、薬剤落下部20から薬剤が落下する落下方向(−Z軸方向を含む方向)とは異なる方向に広がる領域といえる。換言すれば、薬剤移送領域は、第2回転体15の上面に沿って水平方向に広がる領域と定義してもよい。
薬剤落下部20は、第2回転体15から落下した薬剤が払出経路21または回収経路22へと送り出される開口部である。薬剤落下部20は、払出経路21及び回収経路22を規定する前カバーC1(図4の(a)参照)及び後カバーC2(図4の(b)参照)によって形成されている。
なお、薬剤払出装置1は、第2回転体15の外周部に沿って立設する外枠(不図示)を備えている。これにより、第1回転体14から乗り移った第2回転体15上の薬剤は、薬剤落下部20まで移送されるか、第1回転体14側へのみ落下する。
薬剤払出装置1は、第2回転体15の回転を制御する第2回転制御機構(不図示)を内蔵している。第2回転制御機構は、例えば、第2回転体15の下面に沿って設けられたギア部材と、ギア部材を回転させる駆動部(例:モータ)とによって実現されている。第2回転制御機構の駆動(換言すれば第2回転体15の回転制御)も、回転体制御部51によって制御される。
(高速払出モード及び高精度払出モードの切替)
第2回転体15は、高速払出モード(第1モード)と高精度払出モード(第2モード)とを切り替え可能である。換言すれば、回転体制御部51は、上記2つのモードを切り替えることで、第2回転体15の回転速度(薬剤の順送り速度)を制御する。
なお、第1回転体14は、払出処理中、常時回転している必要はなく、例えば、第2回転体15上に薬剤が無い場合にのみ回転する。そのため、上記2つのモードの切替えにより、回転速度が制御される対象は、第2回転体15であればよい。なお、第2回転体15上における薬剤の有無は、薬剤検出センサー27(後述)により行われてもよいし、当該有無検知のためのセンサーを別途設けることにより行われてもよい。
高速払出モードは、予め設定された払出数量分の薬剤がカウントされるまで定速で(所定速度)順送りするモードである。高精度払出モードは、払出数量未満の所定数量分の薬剤がカウントされることにより回転速度を下げて順送りするモードである。
例えば、払出数量が40錠である場合を考える。この場合、薬剤容器6には、40錠分正確に払い出されることが好ましい。
高速払出モードの場合、回転体制御部51は、カウンター26(後述)が40錠目をカウントするまでは、所定速度で第2回転体15を回転させる。40錠目をカウントした時点で、回転体制御部51は、第2回転体15を停止する。この場合、停止後も薬剤容器6にいくつかの薬剤が払い出される可能性があるが、払出数量に近い数量分の薬剤を、高速に薬剤容器6に払い出すことができる。過剰に払い出された薬剤は数個であると考えられるため、ユーザは、カウンター26によりカウントされた個数(例:33個)を確認して、その数個分(3個分)を薬剤容器6から取り除くだけでよい。
一方、高精度払出モードの場合、回転体制御部51は、払出数量未満の所定数量分の薬剤をカウンター26がカウントすることにより、回転速度を低下させる。例えば、回転体制御部51は、払出数量未満の所定数量分の薬剤をカウンター26がカウントした後、薬剤検出センサー27が薬剤を検出した場合に、回転速度を所定速度(第1速度)から、第1速度よりも低い速度(第2速度)へと低下させる。具体的には、回転体制御部51は、上記カウント後に薬剤検出センサー27が薬剤を検出し、当該薬剤が図9の(a)に一点鎖線の枠囲みで示すスローダウン範囲(SD範囲)SD1またはSD2に存在する場合には、第2速度へと低下させる。また、回転体制御部51は、所定時間経過後(具体的には、SD範囲SD1およびSD2に薬剤が無い場合には)、回転速度を第2速度から第1速度へと戻してもよい。
ここで、第1速度は、第2回転体15から落下した薬剤をカウンター26がカウント可能な速度に設定されていればよい。第2速度は、第2回転体15から払い出される数量を1錠単位で調整することが可能な速度に設定されていればよい。また、払出数量未満の所定数量は、当該所定数量がカウントされた時点で回転速度を第2速度から停止に切り替えれば、払出数量(40錠)を超えて第2回転体15から払い出されることが無いように設定される薬剤の数量である。所定数量は、例えば、30錠から35錠の間に設定される。所定数量は、薬剤払出装置1の製造時に設定されているが、操作部3Bを介して設定されてもよい。
例えば、払出数量未満の所定数量が35錠に設定されている場合、カウンター26が35錠目をカウントした後に、回転体制御部51は回転速度を低下させる。そのため、第2回転体15から薬剤落下部20へと落下する薬剤の間隔を広げることができるので、1錠ずつ確実にカウントすることが可能となる。また、40錠目をカウントするときに、連続して41錠目が落下してしまうことを回避できるので、薬剤容器6に正確に40錠払い出すことができる。
この場合、上記のような過剰に払い出された薬剤を薬剤容器6から取り除くという手間は発生しない。但し、高精度払出モードよりも高速払出モードの方が、薬剤払出装置1における薬剤の払出処理に要する時間を短くすることができる可能性がある。
また、第2回転体15は、高精度払出モードにおいて、所定数量分の薬剤をカウンター26がカウントしている場合であっても、薬剤検出センサー27が第2回転体15の特定の領域に薬剤の存在を検出していないときには、順送り速度を下げなくてもよい。
上記特定の領域は、薬剤検出センサー27の対象物の検出範囲(図9の(a)の二点鎖線による枠囲み部分)よりも薬剤順送り時の回転方向(順送り時の薬剤移送方向)下流側の、第2回転体15上の領域である。換言すれば、特定の領域は、薬剤落下部20の近傍の領域であって、かつ、薬剤落下部20よりも順送り時の薬剤移送方向上流側の、第2回転体15上の領域(第2回転体15上の端部領域を含む領域)であればよい。特定の領域は、例えば、図9の(a)に示すSD範囲SD1及びSD2を含む領域(図9の(a)の一点鎖線による枠囲み部分)であってよい。また、特定の領域に上記検出範囲が含まれてもよい。
第1回転体14及び第2回転体15上に存在する薬剤が少なくなると、薬剤を連続的に順送りすることが困難となる。具体的には、回転体制御部51が、所定数量(例:35錠)がカウントされた時点で回転速度を一律に低下させてしまうと、次の薬剤が薬剤落下部20へと送り出されるまでに時間を要してしまう可能性がある。その結果、36錠目以降の払い出しに時間を要してしまう可能性がある。
上記のように、上記特定の領域において薬剤の存在を検出できない場合には、回転速度を下げないようにすることにより、次の薬剤が当該特定の領域に移送されるまで第1速度で順送りすることができる。そのため、第1回転体14及び第2回転体15上に存在する薬剤が少なくなった場合でも、効率的に薬剤を払い出すことができる。そして、次の薬剤が当該特定の領域に移送されたときには当該薬剤の存在が検出される。この検出を受けて、回転体制御部51が回転速度を低下させることにより、上記特定の領域に複数の薬剤が存在しても、薬剤を1錠だけ薬剤落下部20へと落とすことができる。また、払出数量を超えて払い出される可能性を低減できる。
回転体制御部51は、35錠目をカウントした後に、上記特定の領域で薬剤の存在を検出できない場合には、一旦第2速度へと低下させた回転速度を第1速度に戻す。これに限らず、35錠目以降については、回転速度を下げたままとしてもよい。
なお、回転体制御部51は、例えば第1回転体14の回転速度の制御が第2回転体15の回転速度の制御に連動している場合には、上記2つのモードの切替えにより、第2回転体15とともに、第1回転体14の回転速度を制御してもよい。この場合には、第1回転体14及び第2回転体15は上記2つのモードを切り替え可能であり、回転体制御部51は、上記2つのモードを切り替えることで、第1回転体14及び第2回転体15の回転速度を制御するものといえる。
<払出経路・回収経路>
図4の(a)及び(b)に示すように、払出経路21は、第2回転体15から落下した薬剤を第1領域11にセットされた薬剤容器6へと払い出すために、当該薬剤を通過(落下)させる経路である。払出経路21は、当該薬剤(払出対象となる薬剤)を第1領域11へと吐出する払出端部21Aを有する。回収経路22は、第2回転体15から落下した薬剤を第2領域12にセットされた回収容器7に回収させるために、当該薬剤を通過(落下)させる経路である。当該回収対象となる薬剤は、薬剤容器6へと払い出されなかった残余の薬剤である。回収経路22は、当該薬剤を第2領域12へと吐出する回収端部22Aを有する。払出経路21及び回収経路22は、着脱可能な前カバーC1及び後カバーC2が嵌合することにより形成されている。
また、払出端部21Aは、回収端部22Aよりも高い位置に配置されている。換言すれば、払出経路21及び回収経路22の形状、大きさ及び配置位置は、払出端部21Aが回収端部22Aよりも高い位置に配置されるように規定されている。
つまり、払出端部21Aの位置は、種々の大きさを有する薬剤容器6をセットできるように規定されている。そのため、種々の大きさを有する薬剤容器6を、払い出される薬剤がこぼれないように第1領域11に配置することが可能となる。また、回収端部22Aは、高さが一定である回収容器7をセットできるように規定されている。つまり、第2領域12の高さを回収容器7の高さにあわせて設定することができる。そのため、回収容器7についても、薬剤がこぼれないように第2領域12に配置することができる。
図4の(a)の矢印にて示すように、第2回転体15から送り出された薬剤は、薬剤落下部20を介して払出経路21または回収経路22へと落下する。ここで、第2回転体15から送り出された薬剤が落下する落下位置(例:薬剤落下部20へと落下を開始する位置)を通る、±Z軸方向に延伸する仮想的な基準線BL1を規定する。払出経路21及び回収経路22の形状、大きさ及び配置位置は、基準線BL1から払出端部21A(例:払出端部21Aの略中心)までの距離D1が基準線BL1から回収端部22A(例:回収端部22Aの略中心)までの距離D2よりも短くなるように規定されている。距離D1及びD2は、水平距離とも称される。
距離D1<距離D2とするため、払出経路21の延伸方向を回収経路22の延伸方向に比べ鉛直方向に近づけることができる。この場合、上記落下位置から落下した薬剤は、払出経路21の内壁に衝突しにくくなるため、当該衝突に起因して発生する静電気等により当該薬剤が払出経路21に付着する可能性を低減できる。そのため、付着によるカウント誤差が発生しにくく、カウント数と同数の薬剤を薬剤容器6へ払い出す可能性が高くなる。
本実施形態では、図4の(a)に示すように、基準線BL1が薬剤落下部20の内部に通るように払出経路21及び回収経路22の配置位置(第2回転体15に対する薬剤落下部20の位置)が規定されている。また、回収経路22の長さは払出経路21の長さよりも長く、第2回転体15及び幅規制体18の下方まで延伸している。つまり、本実施形態では、払出経路21の長さを比較的短く(例:回収経路22よりも短く)することで、上記距離D1及びD2の関係を実現し、払出経路21に薬剤が付着する可能性を低減させている。
また、本実施形態では、図4及び図8に示すように、回収経路22は、第2回転体15の一部(上記薬剤移送領域の一部)、幅規制体18の一部、及び幅規制体18を±Y軸方向に移動させる幅規制体移動機構18A(規制体移動機構)(後述)の一部の下方となるように配置されている。また、回収経路22は、+Z軸方向から見て、第2回転体15の一部、幅規制体18の一部、及び幅規制体移動機構18Aの一部と重なるように配置されている。このように配置することにより、回収経路22が第2回転体15の一部、幅規制体18の一部、及び幅規制体移動機構18Aの一部と重ならない位置に設けられている構成に比べ、薬剤払出装置1の小型化を図ることができる。
なお、回収経路22の少なくとも一部が、第2回転体15の少なくとも一部、幅規制体18の少なくとも一部、または、幅規制体移動機構18Aの少なくとも一部と重なるように、回収経路22が配置されていてもよい。
また、払出経路21と回収経路22との位置関係によっては、回収経路22が第2回転体15の一部、幅規制体18の一部、及び幅規制体移動機構18Aの一部と重なるように配置されていなくてもよい。この場合、払出経路21の少なくとも一部が、+Z軸方向から見て、第2回転体15の一部、幅規制体18の一部、及び幅規制体移動機構18Aの一部と重なるように、払出経路21が配置されていてもよい。また、払出経路21の少なくとも一部、及び回収経路22の少なくとも一部が、+Z軸方向から見て、上記第2回転体15の一部、幅規制体18の一部、及び幅規制体移動機構18Aの一部と重なるように、払出経路21及び回収経路22が配置されていてもよい。
このように、払出経路21及び/または回収経路22の少なくとも一部が上記各部材と重なるように配置されることで、薬剤払出装置1の小型化を図ることができる。
<支持部材>
図4の(a)に示すように、第1領域11の上方で、かつ払出端部21Aの近傍には、払出端部21Aから吐出された薬剤を収容する位置に薬剤容器6が配置されるように、薬剤容器6の側面を支持する支持部材23が設けられている。
支持部材23は、本実施形態では、薬剤容器6の側面を挟むことにより薬剤容器6を把持する把持機構で構成されている。把持機構は、±X軸方向に移動可能な2つの腕部を備え、薬剤容器6の形状及び大きさに合わせて2つの腕部が動くことにより、2つの腕部によって薬剤容器6を把持する。薬剤容器6の支持状態は、例えば図1の(a)及び図3の(a)に示されている。
このように、支持部材23は、第1領域11において、種々の形状及び大きさを有する薬剤容器6が払出端部21Aと対向するように、かつ薬剤容器6が浮いた状態で支持可能なように構成されている。一方、回収容器7は、例えば図1の(a)及び図3の(a)に示すように、第2領域12に載置される。
また、支持部材23は、薬剤容器6を検出する薬剤容器検出センサー(不図示)を備えている。薬剤容器検出センサーは、薬剤容器6の検出結果を制御部50へ送信する。
なお、種々の大きさを有する薬剤容器6を第1領域11にセットできればよく、例えば、薬剤容器6を載置可能で、かつ薬剤容器6の大きさに合わせて±Z軸方向に移動可能な移動式載置台が設けられていてもよい。また、薬剤容器検出センサーは、支持部材23が備えている必要は必ずしもなく、薬剤容器6の支持状態を検出できるのであれば、第1領域11における薬剤払出装置1の筐体に設けられていてもよい。
<回収容器検出センサー>
図4の(a)に示すように、第2領域12における薬剤払出装置1の筐体には、第2領域12に載置された回収容器7を検出する回収容器検出センサー24が設けられている。回収容器検出センサー24は、回収容器7の検出結果を制御部50へ送信する。回収容器検出センサー24は、第2領域12に載置された回収容器7を検出できるのであれば、薬剤払出装置1のいずれの位置に設けられていてもよい。
<切替機構>
図4の(b)に示されるように、薬剤払出装置1は、第2回転体15から送り出され、薬剤落下部20を介して落下した薬剤の通過経路を、払出経路21と回収経路22との間で切り替える切替機構25を備えている。切替機構25の動作は、切替機構制御部53(図10参照)によって制御される。
切替機構25は、切替弁25A、回転軸25B、及び駆動軸25Cを備えている。切替弁25Aは、払出経路21または回収経路22の一方を塞ぐ弁である。図4の(b)には、切替弁25Aが回収経路22を塞いでいる場合が例示されている。この場合、払出経路21を薬剤の通過経路とすることができるので、払出経路21へと薬剤を払い出すことができる。
回転軸25Bは、切替弁25Aを回転させる軸である。回転軸25Bは、薬剤払出装置1の筐体(例:前カバーC1)に回転可能に支持されている。回転軸25Bは、駆動軸25Cと接続可能である。
駆動軸25Cは、薬剤払出装置1の筐体に回転可能に支持されている。駆動軸25Cは、駆動部(例:モータ)(不図示)によって駆動される(回転させられる)。一例として、切替機構制御部53は、駆動部を動作させて駆動軸25Cを所定方向(例:時計回りまたは反時計回り)に回転させてよい。
これにより、駆動軸25Cに接続された回転軸25Bを、駆動軸25Cと同方向に回転させることができるので、切替弁25Aを所定の側(払出経路21を塞ぐ側、または回収経路22を塞ぐ側)に位置させることができる。このように、切替機構制御部53は、駆動部の動作を制御することにより、切替機構25の動作を制御できる。
切替機構25は、図4の(b)に示すように、薬剤の通過経路の切替を、第2回転体15から送り出された薬剤が落下する途中で行うことができるように、前カバーC1及び後カバーC2の内部に取り付けられている。
なお、切替機構25は、薬剤の通過経路を、払出経路21から回収経路22に切り替えることもできる。この場合、切替弁25Aが払出経路21を塞ぐことにより、回収経路22を薬剤の通過経路とし、回収経路22へと薬剤を送り出すことができる。
また、少なくとも前カバーC1及び後カバーC2は、互いに嵌合されることにより、払出経路21及び回収経路22を規定する落下経路規定部材を構成する。換言すれば、落下経路規定部材は、少なくとも前カバーC1及び後カバーC2を有している。上述のように、切替機構25は、落下経路規定部材に設けられている。
図5の(a)及び(b)に示すように、落下経路規定部材は、薬剤払出装置1に着脱可能に構成されている。切替弁25A及び回転軸25Bもまた、落下経路規定部材と同様、薬剤払出装置1に着脱可能である。なお、落下経路規定部材を薬剤払出装置1に着脱可能とするための構成としては、公知の係止構造が用いられてよい。
一例として、落下経路規定部材を清掃する場合の処理の流れは、以下の(1)〜(4)の通りとなる。
(1):薬剤払出装置1から落下経路規定部材(切替弁25A及び回転軸25Bを含む)を取り外す。
(2):落下経路規定部材を各バーツ(例:前カバーC1及び後カバーC2)に分解し、分解後の各バーツを清掃する。
(3):清掃後の各パーツを組み合わせて、落下経路規定部材を再び組み立てる。
(4):落下経路規定部材を薬剤払出装置1に取り付ける。
このように、薬剤払出装置1に着脱可能な落下経路規定部材によれば、落下経路規定部材を薬剤払出装置1から取り外して、当該落下経路規定部材を清掃できる。したがって、薬剤払出装置1(より具体的には、落下経路規定部材)のメンテナンス性を向上させることができる。
図5の(b)に示すように、駆動軸25Cには、磁石M1が設けられている。また、図5の(c)に示すように、回転軸25Bには、磁石M2が設けられている。図5の(b)及び(c)では、磁石M1及び磁石M2がそれぞれ2つ設けられている場合が例示されている。但し、磁石M1・M2のそれぞれの個数は2つに限定されない。磁石M1・M2のそれぞれの個数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
磁石M1・M2のそれぞれの個数は、薬剤払出装置1の設計者によって適宜設定されてよい。磁石M1・M2を、回転軸25Bの向きと駆動軸25Cの向きとを一致させる案内部材として機能させることができれば、磁石M1・M2の個数及び配置は任意である。
駆動軸25Cによって回転軸25Bを適切に回転させるためには、回転軸25Bと駆動軸25Cとを適切に接続する必要がある。具体的には、回転軸25Bの向きと駆動軸25Cの向きとが一致するように、回転軸25Bと駆動軸25Cとを接続する必要がある。
したがって、磁石M1・M2が設けられていない場合には、落下経路規定部材を取り外して清掃したユーザは、回転軸25Bの向きと駆動軸25Cの向きとを一致させるように注意を払う必要があった。具体的には、ユーザは、回転軸25Bの向きと駆動軸25Cの向きとを一致させるように落下経路規定部材の向きを調整して、当該落下経路規定部材を薬剤払出装置1に取り付ける必要があった。
しかしながら、磁石M1・M2を設けた場合には、当該磁石M1・M2が回転軸25Bの向きと駆動軸25Cの向きとを一致させる案内部材として機能する。一例として、回転軸25Bの向きを駆動軸25Cの向きと一致させないまま、ユーザが落下経路規定部材を薬剤払出装置1に取り付けようとしている場合を考える。この場合、回転軸25Bを駆動軸25Cに近接させることにより、磁石M1・M2間に発生する磁気吸引力によって、回転軸25Bを駆動軸25Cの向きと一致するように配向させることができる。
したがって、ユーザに、回転軸25Bの向きと駆動軸25Cの向きとを一致させるように落下経路規定部材の向きを調整させることなく、落下経路規定部材を薬剤払出装置1に取り付けさせることができる。そのため、落下経路規定部材を薬剤払出装置1に取り付ける場合における、ユーザの操作の利便性を向上させることができる。
落下経路規定部材を薬剤払出装置1に取り付けた後は、回転軸25Bと駆動軸25Cとは、磁石M1・M2間の磁気吸引力によって、強固に連結される。このため、上述のように、駆動軸25Cの回転に連動させて回転軸25Bを回転させることにより、切替弁25Aによる薬剤の通過経路の切り替えを行うことができる。
<カウンター>
図6に示すように、第2回転体15から送り出された薬剤をカウントするカウンター26を備える。カウンター26によるカウント制御は、カウンター制御部54によって制御される。
カウンター26は、第2回転体15から送り出された薬剤の通過経路上に対象物の検出範囲(図6に示す二点鎖線による枠囲み部分)が形成されるように配置される。本実施形態のカウンター26は、発光部26Aと、発光部26Aからの光を受光する受光部26Bとで構成されている。発光部26Aは、幅規制体移動機構18Aが設けられている筐体に設けられている。受光部26Bは、発光部26Aと対向する位置に設けられている。換言すれば、カウンター26は、発光部26Aから発せられた光を、発光部26Aと対向する位置にある受光部26Bが受光する(または受光しない)ことで、検出範囲内の対象物の有無を特定する、所謂受光型のセンサーである。
なお、上記位置に検出範囲が形成できるのであれば、発光部26A及び受光部26Bの配置位置はこれに限られない。また、カウンター26は、受光型のセンサーである必要は必ずしもない。例えば、カウンター26は、発光部から発せられた光が対象物で反射し、当該反射した光を受光部で受光することで、検出範囲内の対象物の有無を特定する、所謂反射型のセンサーであってもよい。この場合、発光部と受光部とは並設される。
カウンター26は、薬剤のカウントを、第2回転体15から送り出された薬剤が落下する途中で行うことができるように配置されている。本実施形態では、カウンター26は、前カバーC1及び後カバーC2が嵌合することにより形成された薬剤落下部20の上方に検出範囲が形成されるように配置されている。
カウンター26は、第2回転体15から送り出された薬剤が落下を開始する位置(落下位置)に検出範囲が形成されるように設けられることが好ましい。この場合、落下し始めた薬剤をカウントできる。
カウンター26が上記落下位置から−Z軸方向に遠ざかった位置に設けられている場合、カウンター26は、当該位置にて薬剤をカウントすることになる。ここで、例えば、規定された払出数量の最後の薬剤(例:払出数量が40錠の場合の40錠目)をカウントする場合を考える。40錠目をカウントした場合には払出経路21への薬剤の払い出しが完了し、薬剤の通過経路は回収経路22へと切り替えられる。カウンター26が上記落下位置から遠ざかった位置に設けられている場合に、40錠目と41錠目とが連続して移送されている場合を考える。この場合、40錠目をカウントして上記切替を行う前に、41錠目が払出経路21へと落下してしまい、払出数量を超えて薬剤容器6に薬剤が払い出されてしまう可能性が高い。上記のように、落下位置に近い位置に検出範囲が形成されるようにカウンター26が設けられることにより、上記のような連続的な移送が生じても、41錠目の落下前に当該移送を止め、上記切替を行うことが可能となる。そのため、薬剤のカウントを正確に行うことが可能となる。
カウンター26は、受光部26Bが発光部26Aからの光の強度の変化を検出すると、検出範囲を通過(落下)した薬剤を検出したものとして、当該検出結果をカウンター制御部54へ送信する。カウンター制御部54は、当該検出結果を受けると薬剤が1個通過したと判断し、当該薬剤をカウントする。したがって、薬剤をカウントするカウンター26の機能は、発光部26A、受光部26B及びカウンター制御部54により実現されているといえる。
<高さ規制体・幅規制体>
図7及び図8に示すように、高さ規制体17及び幅規制体18は、第1回転体14及び第2回転体15により順送りされた薬剤の通過をその薬剤の大きさに応じて規制するために薬剤の通過経路幅を規定し、かつ通過経路幅を変更すべく移動可能な規制体である。高さ規制体17は、通過経路幅として、図7の(b)に示す移送高さW1を規制するものである。幅規制体18は、通過経路幅として、図8の(b)に示す移送幅W2を規制するものである。移送高さW1は、高さ規制体17の下面と第2回転体15の上面との間隔であり、移送幅W2は、第2回転体15の内周部から湾曲面18Sまでの間隔である。
高さ規制体17は、第1回転体14に載置された薬剤が第2回転体15に乗り移る移動領域MRに対して、順送り時の薬剤移送方向下流側に、かつ第2回転体15の上方に位置するように配設されている。高さ規制体17は、図7の(a)及び図8の(a)に示すように、第2回転体15の外周部から内周部にかけて延びるとともに、薬剤移送方向に沿って所定角度で傾斜するガイド面17Sを備えている。
高さ規制体17は、第2回転体15の上面において移送高さW1を規定するために、±Z軸方向に移動する。薬剤払出装置1は、高さ規制体17の移動を制御する高さ規制体移動機構を内蔵している。高さ規制体移動機構は、例えば、ネジ部材17Aと、ネジ部材17Aが延伸する軸を中心としてネジ部材17Aを回転させる駆動部(例:モータ)(不図示)とにより実現されている。ネジ部材17Aは、図7の(a)に示すように、高さ規制体17に形成されたネジ受け部と係合して設けられている。上記駆動部の駆動によりネジ部材17Aが回転し、高さ規制体17が±Z軸方向に移動することで、移送高さW1が、投入された薬剤の大きさに合わせて調整される。上記駆動部(換言すれば、高さ規制体移動機構)は、規制体制御部52(図10参照)により制御される。
図7の(a)では、移送高さW1≒0mmである場合の高さ規制体17の状態を示している。この位置は、高さ規制体17の初期位置である。図7の(b)では、高さ規制体17を初期位置から一定の移送高さW1(>0mm)となる位置まで移動させた場合の高さ規制体17の状態を示している。
幅規制体18は、図7の(a)に示すように、高さ規制体17より更に薬剤移送方向下流側に、かつ第2回転体15の上方に位置するように配設されている。幅規制体18は、第2回転体15の内周部の直径より大きい直径を有する湾曲面18Sを有する。幅規制体18が±Y軸方向に移動することにより、湾曲面18Sの周方向の一部において最小の移送幅W2(≒0mm)を形成することができる。また、幅規制体18における、湾曲面18Sの薬剤移送方向下流側の部分と、当該部分と対向する位置に立設する幅規制壁19とによって、第2回転体15上の端部領域(薬剤案内領域)が規定される。薬剤案内領域は、湾曲面18Sを通過した薬剤が、薬剤落下部20へと案内される(送り出される)領域である。
幅規制体18は、第2回転体15の上面において移送幅W2を規定するために、±Y軸方向に移動する。薬剤払出装置1は、幅規制体18の移動を制御する幅規制体移動機構18Aを内蔵している。幅規制体移動機構18Aは、例えば、図6に示すように、幅規制体18の下方に配置された、嵌合部18Aaと歯車18Abとを有する。また、幅規制体移動機構18Aは、歯車18Abを回転させる駆動部(例:モータ)(不図示)を含む。
嵌合部18Aaは、薬剤払出装置1の筐体側に設けられた筐体側部材と、幅規制体18の下面側に設けられた規制体側部材とから構成されている。筐体側部材と規制体側部材とは±Y軸方向に延伸するように設けられ、かつスライド可能に嵌合されている。これにより、幅規制体18の±Y軸方向への移動が可能となる。歯車18Abは上記駆動部により回転させられ、歯車18Abに連結された部材(不図示)により、嵌合部18Aaの±Y軸方向の移動が実現される。幅規制体18の±Y軸方向の移動により、移送幅W2が、投入された薬剤の大きさに合わせて調整される。上記駆動部(換言すれば、幅規制体移動機構18A)は、規制体制御部52により制御される。
図8の(a)では、移送幅W2≒0mmである場合の幅規制体18の状態を示している。この位置は、幅規制体18の初期位置である。図8の(b)では、初期位置から一定の移送幅W2(>0mm)となる位置まで移動させた場合の幅規制体18の状態を示している。
(移送高さ及び移送幅の調整)
本実施形態では、カウンター26によるカウント制御を用いて、移送高さW1及び移送幅W2が調整される。この場合、薬剤容器6に払出数量分の薬剤を払い出す前処理として、移送高さW1及び移送幅W2を調整するための処理が行われる。
高さ規制体移動機構は、高さ規制体17を初期位置に移動させる。幅規制体移動機構18Aは、移送幅W2が最大となる位置まで幅規制体18を移動させる。この状態において、払出対象とする薬剤が薬剤投入部13に投入され、第1回転体14及び第2回転体15が回転すると、当該薬剤は、移動領域MRにおいて第1回転体14から第2回転体15に乗り移るが、高さ規制体17により下流側への移動が規制される。換言すれば、第2回転体15に乗り移った薬剤は、高さ規制体17のガイド面17Sと衝突することにより、第1回転体14へと落下する。
高さ規制体移動機構が、高さ規制体17を初期位置から徐々に移動させ、移送高さW1を広げていくと、薬剤は、ある時点で、ガイド面17Sに衝突せず下流側へと移送され、カウンター26によりカウントされる。カウンター26が最初の薬剤をカウントした時点で、高さ規制体17の移動を停止する。
規制体制御部52は、ガイド面17Sから薬剤案内領域の端部(落下位置近傍)までの距離と、第2回転体15の回転速度と、高さ規制体17の+Z軸方向への移動速度と、最初の薬剤をカウントした時点の移送高さW1と基づいて、当該薬剤が高さ規制体17を通過した時点での移送高さW1を算出する。この算出した移送高さW1を、当該薬剤を払い出すときの移送高さW1(高さ規制体17の位置)として決定する。
具体的には、規制体制御部52は、以下の式:
「最初の薬剤をカウントした時点の移送高さW1」−「ガイド面17Sから薬剤案内領域の端部までの距離」/「第2回転体15の回転速度」×「高さ規制体17の+Z軸方向への移動速度」
を用いて、上記薬剤を払い出すときの移送高さW1を算出する。なお、規制体制御部52は、上記式を用いて算出した移送高さW1に、所定係数を乗じた値(または加えた値)を、上記薬剤を払い出すときの移送高さW1として決定してもよい。所定係数は、実験により適宜設定される値であってよい。
移送高さW1が決定されると、幅規制体移動機構18Aは、幅規制体18を初期位置に移動させる。この状態において、払出対象とする薬剤が薬剤投入部13に投入され、第1回転体14及び第2回転体15が回転すると、当該薬剤は、移動領域MRにおいて第1回転体14から第2回転体15に乗り移るが、幅規制体18により下流側への移動が規制される。換言すれば、第2回転体15に乗り移った薬剤は、幅規制体18の湾曲面18Sと衝突することにより、第1回転体14へと落下する。
幅規制体移動機構18Aは、幅規制体18を初期位置から徐々に移動させ、移送幅W2を広げていくと、薬剤は、ある時点で、湾曲面18Sに接触しながら下流側へと移送され、カウンター26によりカウントされる。カウンター26が最初の薬剤をカウントした時点で、幅規制体18の移動を停止する。
規制体制御部52は、湾曲面18Sの、最も移送幅W2が小さくなる位置から、薬剤案内領域の端部(落下位置近傍)までの距離と、第2回転体15の回転速度と、幅規制体18の+Y軸方向への移動速度と、最初の薬剤をカウントした時点の移送幅W2と基づいて、当該薬剤が幅規制体18を通過した時点での移送幅W2を算出する。この算出した移送幅W2を、当該薬剤を払い出すときの移送幅W2(幅規制体18の位置)として決定する。
具体的には、規制体制御部52は、以下の式:
「最初の薬剤をカウントした時点の移送幅W2」−「湾曲面18Sの、最も移送幅W2が小さくなる位置から、薬剤案内領域の端部までの距離」/「第2回転体15の回転速度」×「幅規制体18の+Y軸方向への移動速度」
を用いて、上記薬剤を払い出すときの移送幅W2を算出する。なお、規制体制御部52は、上記式を用いて算出した移送幅W2に、所定係数を乗じた値(または加えた値)を、上記薬剤を払い出すときの移送幅W2として決定してもよい。所定係数は、実験により適宜設定される値であってよい。
移送高さW1及び移送幅W2の調整(高さ規制体17及び幅規制体18の位置決定)が完了すると、投入された薬剤を全て回収容器7に回収する。これにより、薬剤の払出処理が開始できる状態となる。
このように、高さ規制体移動機構は、移送高さW1が徐々に拡張するように高さ規制体17を移動させつつ、カウンター26によるカウントが開始された時点の移送高さW1を基準として高さ規制体17を位置決めする駆動機構として機能する。また、幅規制体移動機構18Aは、移送幅W2が徐々に拡張するように幅規制体18を移動させつつ、カウンター26によるカウントが開始された時点の移送幅W2を基準として幅規制体18を位置決めする駆動機構として機能する。
移送高さW1が調整されると、例えば、上下に積み重なった状態で移動してきた薬剤(例:円盤状の錠剤、球状の錠剤、またはカプセル剤)のうち、上側に位置する薬剤は高さ規制体17のガイド面17Sと衝突する。これにより、当該薬剤は、第2回転体15上に落とされたり、第2回転体15の内周部から第1回転体14へと落とされたりする。そのため、高さ規制体17により、積み重なっていない状態で、薬剤を下流側へと移動させることができる。
高さ規制体17を通過した薬剤の少なくとも1つは、幅規制体18の湾曲面18Sに接触しながら、第2回転体15の内周部側へ移送される。移送幅W2が調整されているため、幅規制体18の下流側へは、幅規制体18に接触する薬剤しか通過できない。例えば、円盤状または球状の錠剤である薬剤が径方向に並んで移送されてきた場合、幅規制体18に接触していない内側の錠剤は、幅規制体18に接触する外側の錠剤に押圧され、第2回転体15の内周部から第1回転体14へと落とされる。また、錠剤が径方向に並んでいなくでも、重心が第2回転体15の内周部より内側に位置する錠剤も、第2回転体15から第1回転体14へと落とされる。
また、例えば、薬剤がカプセル剤である場合、カプセル剤は、幅規制体18の湾曲面18Sに接触することにより、第2回転体15の内周部側へ移送されるとともに、その長手方向(姿勢)が薬剤移送方向に沿って延びるように補正される。上記と同様、幅規制体18の下流側へは、幅規制体18に接触するカプセル剤しか通過せず、幅規制体18に接触していないカプセル剤は、第2回転体15から第1回転体14へと落とされる。また、移送幅W2が調整されているため、湾曲面18Sとの接触によって姿勢を補正できなかったカプセル剤は、重心が第2回転体15の内周部より内側に位置することになるためバランスを維持できず、第2回転体15から第1回転体14へと落とされる。
幅規制体18の湾曲面18Sを通過した薬剤は、湾曲面18Sにおける移送幅W2よりも広い移送幅を有する薬剤案内領域へと1個ずつ整列した状態で移送され、薬剤落下部20へと送り出される。
また、規制体制御部52は、決定した移送高さW1及び移送幅W2を薬種IDと紐付けて、記憶装置5に登録してもよい。この場合、規制体制御部52は、払出対象となる薬剤を収容する保管容器に貼付されたシート(ラベル)に含まれるバーコードを読取装置2に読み取らせることにより、保管容器内の薬剤を示す薬種IDを取得させる。その後、保管容器内の薬剤が薬剤投入部13に投入されると、規制体制御部52は、上述したように移送高さW1を決定し、決定した移送高さW1を上記薬種IDと紐付けて記憶装置5に記憶する。次に、第1回転体14に薬剤が無い、または第1回転体14内の薬剤が少ない場合には、保管容器内の薬剤が再度投入される。その後、規制体制御部52は、上述したように移送幅W2を決定し、決定した移送幅W2を上記薬種IDと紐付けて記憶装置5に記憶する。
このように、決定した移送高さW1及び移送幅W2が記憶装置5に登録されている場合、規制体制御部52は、薬剤の払出処理の前処理として、払出対象となる薬剤を示す薬種IDに紐付けられた移送高さW1及び移送幅W2を記憶装置5から読み出す。そして、規制体制御部52は、読み出した移送高さW1及び移送幅W2に基づき、高さ規制体17および幅規制体18を移動させ、その位置を調整する。このように、決定した移送高さW1及び移送幅W2が記憶装置5に登録されている場合には、薬剤の払出処理時に当該移送高さW1及び移送幅W2の算出処理を行うことなく、記憶装置5から読み出すだけで、上記位置を調整することができる。
なお、規制体制御部52は上述した移送高さW1及び移送幅W2の算出を行わず、最初の薬剤をカウントした時点で停止したときの移送高さW1及び移送幅W2をそれぞれ、当該薬剤を払い出すときの移送高さW1及び移送幅W2として決定してもよい。
<薬剤検出センサー>
図7の(a)に示すように、薬剤払出装置1は、第2回転体15の特定の領域に薬剤が存在するか否かを検出する薬剤検出センサー27(センサー)を備えている。本実施形態では、薬剤検出センサー27は、幅規制体18の湾曲面18Sの一部に設けられており、例えば、上述した反射型のセンサーである。薬剤検出センサー27の対象物の検出範囲は、本実施形態では、図9の(a)に示す二点鎖線による枠囲み部分である。薬剤検出センサー27は、検出範囲内に存在する薬剤、換言すればその前方を通過する第2回転体15上の薬剤を検出することにより、上記特定の領域に薬剤が存在するか否かを検出する。
本実施形態では、第2回転体15の回転速度、及び、上記検出範囲内で薬剤が検出されたときからの経過時間により、薬剤検出センサー27を通過した薬剤の位置(薬剤検出センサー27から当該薬剤までの距離)が算出される。これにより、図9の(a)に示すSD範囲SD1またはSD2に薬剤が存在するか否かが検出される。本実施形態では、上記算出は、制御部50(具体的には回転体制御部51)により行われる。しかし、上記算出機能は、薬剤検出センサー27が有していてもよい。また、薬剤検出センサー27は、制御部50の上記算出機能を含むものとして定義されてもよい。
なお、上記検出範囲にSD範囲SD1及びSD2が含まれてもよい。この場合、薬剤検出センサー27は、SD範囲SD1またはSD2に薬剤が存在するか否かを直接検出する。
薬剤検出センサー27は、高精度払出モードにおいては、カウンター26が所定数量分の薬剤をカウントした後に薬剤を検出すると、当該検出結果を制御部50へ送信する。回転体制御部51は、この検出結果に基づき、第2回転体15の回転速度を下げる。
<制御部>
薬剤払出装置1は、図10に示すように、上述した構成の他、制御部50及び記憶部70を備えている。制御部50は、薬剤払出装置1の各部を統括的に制御する。制御部50の機能は、記憶部70に記憶されたプログラムを、CPU(Central Processing Unit)が実行することで実現されてよい。
記憶部70は、制御部50が実行する各種のプログラム、及び当該プログラムによって使用されるデータを格納する。なお、記憶装置5に格納される各種データが、記憶部70により管理されてもよい。この場合、薬剤払出装置1に記憶装置5が接続される必要(薬剤払出システム100が記憶装置5を備える必要)は必ずしもない。
制御部50は、主として、回転体制御部51、規制体制御部52、切替機構制御部53、カウンター制御部54、照合部55、表示制御部56、及び入力取得部57を備えている。
回転体制御部51は、第1回転制御機構を制御することにより、第1回転体14の回転を制御するとともに、第2回転制御機構を制御することにより、第2回転体15の回転を制御する。回転体制御部51は、例えば、第1回転体14及び第2回転体15の回転方向及び回転速度を制御する。
回転体制御部51は、第1回転体14及び第2回転体15を独立して制御する。回転体制御部51は、例えば、第2回転体15については、薬剤の払出処理中、常時回転させ、第1回転体14については、第2回転体15上に薬剤が無い場合にのみ回転させる。また、回転体制御部51は、第1回転体14を間欠的に回転させてもよい。さらに、回転時の第1回転体14及び第2回転体15の回転速度は、互いに異なっていてよい。第1回転体14及び第2回転体15の制御は、効率的な薬剤払出処理、無駄な電力消費の回避、または第1回転体14、第2回転体15、第1回転制御機構及び第2回転制御機構の寿命等を考慮して行われればよい。なお、第1回転体14及び第2回転体15が独立して制御される必要は必ずしもなく、回転体制御部51は、第1回転体14及び第2回転体15が連動するように、第1回転体14及び第2回転体15を制御してもよい。
移送高さW1及び移送幅W2の調整処理、及び薬剤の払出処理の開始時には、第1回転体14及び第2回転体15の回転速度は第1速度に設定され、かつ回転方向は薬剤を順送りする方向(薬剤落下部20へと向かう方向)に設定されている。
回転体制御部51は、上述したように、ユーザ操作に基づいて高速払出モードまたは高精度払出モードを切り替えるとともに、高速払出モードまたは高精度払出モードに従って、少なくとも第2回転体15の回転速度を制御する。
回転体制御部51は、薬剤容器6への薬剤の払い出しが完了すると、第2回転体15の回転を停止するとともに、第1回転体14を回転させている場合には、第1回転体14の回転を停止する。また、回転体制御部51は、回収容器7へ薬剤を送り出す場合には、少なくとも第2回転体15を第1速度で回転させる。回転体制御部51は、切替機構制御部53が、回収経路22を薬剤の通過経路とする切替弁25Aの動作を完了させると、少なくとも第2回転体15を回転させる。
なお、回転体制御部51は、薬剤を順送りする方向に第1回転体14及び第2回転体15を回転させているが、これに限らず、順送りする方向とは逆方向に第1回転体14及び第2回転体15を回転させることも可能である。
規制体制御部52は、高さ規制体移動機構を制御することにより、高さ規制体17の±Z軸方向への移動を制御するとともに、幅規制体移動機構18Aを制御することにより、幅規制体18の±Y軸方向への移動を制御する。上述したように、規制体制御部52は、薬剤払出処理の前処理として、移送高さW1及び移送幅W2を調整するときに、高さ規制体17及び幅規制体18の移動を制御する。また、規制体制御部52は、高さ規制体17及び幅規制体18の移動を独立して制御する。
切替機構制御部53は、切替機構25の動作を制御する。具体的には、切替機構制御部53は、駆動軸25Cを回転させる駆動部を制御することにより、切替弁25Aを動作させ、払出経路21または回収経路22を薬剤の通過経路とする。切替機構制御部53は、薬剤払出開始時には、切替弁25Aで回収経路22を塞ぎ、払出経路21を薬剤の通過経路とする。
切替機構制御部53は、カウンター26によってカウントされた薬剤数が、予め設定された払出数量に到達したときに、薬剤の通過経路を払出経路21から回収経路22に切り替えるように、切替機構25を動作させる。具体的には、切替機構制御部53は、カウンター制御部54が払出数量分のカウントを完了し、かつ、回収容器検出センサー24が回収容器7を検出している状態において、切替弁25Aで払出経路21を塞ぎ、回収経路22を薬剤の通過経路とする。回収完了後、切替機構制御部53は、切替弁25Aを動作させ、再度回収経路22を塞ぎ、払出経路21を薬剤の通過経路とする。
カウンター制御部54は、カウンター26が薬剤を検出するたびに、薬剤をカウントする。また、カウンター制御部54は、高精度払出モードの場合には、カウントした薬剤数が払出数量と同数であるか否かを判定する。
照合部55は、読取装置2から受信した処方箋データまたは保管薬剤データと、記憶装置5に登録された登録薬剤データとを照合する。
表示制御部56は、各種表示画像を表示部3Aに表示させる。表示制御部56が表示部3Aに表示させた表示画像の一例が、図15及び図16に示されている。
入力取得部57は、表示装置3の操作部3Bが受け付けたユーザ操作を、表示装置3から取得する。入力取得部57が取得したユーザ操作に基づき、制御部50の上述した各機能ブロックの処理が実行される。
〔薬剤払出システムにおける処理〕
次に、図11〜図16を用いて、薬剤払出システム100における処理の一例について説明する。図11〜図14は、薬剤払出システム100における種々の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図15及び図16は、表示部3Aに表示される種々の表示画像の一例を示す図である。なお、切替弁25Aは、初期状態において、薬剤の通過経路が払出経路21となるように配置されているものとする。
<全体処理>
図11を用いて、薬剤払出システム100における全体的な処理の流れについて説明する。図11は、薬剤払出システム100における全体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
規制体制御部52は、薬剤の払出処理(ステップS2以降の処理)の前処理として、高さ規制体17の位置決め(払出処理時の移送高さW1の決定)と、幅規制体18の位置決め(払出処理時の移送幅W2の決定)とを行う(ステップS1)。つまり、ステップS1において、規制体制御部52は、高さ規制体17および幅規制体18をそれぞれ決定した位置まで移動させる。規制体制御部52は、例えば、薬剤(例:10錠程度)が薬剤投入部13に投入され、かつ、入力取得部57が操作部3Bを介して薬剤払出処理を開始するためのユーザ操作を取得した場合に、上記処理を開始する。
上記処理が完了すると、規制体制御部52は、上記処理が完了したことを示す処理完了信号を、表示制御部56に送信する。表示制御部56は、高速払出モード及び高精度払出モードのいずれかをユーザが選択するための選択画像を、表示部3Aに表示させる。ユーザは、選択画像をタッチすることで、高速払出モード及び高精度払出モードのいずれかを選択する。回転体制御部51は、選択された高速払出モード及び高精度払出モードのいずれかに設定する(または切り替える)(ステップS2)。
上記選択が完了すると、表示制御部56は、処方箋データの読み取りを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図15の(a)に示す表示画像(払出処理の初期画像)が表示されることで、ユーザは、処方箋データの読み取りを行ってよいことを確認する。上記読み取りを開始するよう直接的に促す文章等が表示されてもよい。
ユーザは、処方箋データを示すバーコードが印刷されたシート等を読取装置2のデータ読取部2Rにかざす。読取装置2は、データ読取部2Rを介して処方箋データを取得する(ステップS3)。薬剤払出装置1では、照合部55は、入力取得部57が取得した処方箋データを、記憶装置5に登録された登録処方箋データと照合することで、取得した処方箋データが記憶装置5に登録されているか否かを判定する(ステップS4)。
取得した処方箋データが登録されていない(照合に失敗)と照合部55により判定された場合(ステップS4でNO)、ステップS3に戻る。表示制御部56は、当該判定結果を受けて、処方箋データの再度の読み取りを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図15の(b)に示す表示画像を表示させる。
取得した処方箋データが登録されている(照合に成功)と照合部55により判定された場合(ステップS4でYES)、表示制御部56は、当該判定結果を受けて、保管薬剤データの読み取りを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図15の(c)に示す表示画像を表示させる。
ユーザは、保管薬剤データを示すバーコードが印刷され、保管容器に貼付されたシート等を読取装置2のデータ読取部2Rにかざす。読取装置2は、データ読取部2Rを介して保管薬剤データを取得する(ステップS5)。薬剤払出装置1では、入力取得部57は、読取装置2から当該保管薬剤データを取得し、照合部55に送信する。照合部55は、入力取得部57が取得した保管薬剤データを、ステップS4で登録されていると判定された処方箋データ(登録処方箋データ)に紐付けられて記憶装置5に記憶されている薬種IDと照合する。これにより、照合部55は、取得した保管薬剤データに対応する薬種IDが記憶装置5に登録されているか否かを判定する(ステップS6)。
取得した保管薬剤データに対応する薬種IDが登録されていない(照合に失敗)と照合部55により判定された場合(ステップS6でNO)、ステップS5に戻る。表示制御部56は、当該判定結果を受けて、保管薬剤データの再度の読み取りを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図15の(d)に示す表示画像を表示させる。
取得した処方箋データが登録されている(照合に成功)と照合部55により判定された場合(ステップS6でYES)、表示制御部56は、当該判定結果を受けて、薬剤容器6の第1領域11へのセットを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図15の(e)に示す表示画像を表示させる。
ユーザは、この表示を確認すると、薬剤を薬剤投入部13に投入する(ステップS7)。その後、回転体制御部51は、支持部材23の薬剤容器検出センサーから、薬剤容器6を検出したことを示す薬剤容器検出信号を受信したか否かを判定することにより、薬剤容器6が第1領域11にセットされたか否かを判定する(ステップS8)。薬剤容器6がセットされない場合には(ステップS8でNO)、セットされるまでステップS8の処理が行われる。薬剤容器6がセットされた場合(ステップS8でYES)、回転体制御部51は、薬剤容器検出信号を受信することにより、第1回転体14及び第2回転体15の回転動作を開始する。これにより、カウンター26によるカウント、及び、払出経路21を介して薬剤容器6への薬剤の払い出しが行われる(ステップS9)。
なお、回転体制御部51は、照合部55により上記2つの照合が成功している状態において薬剤容器検出信号を受信するが、照合部55から上記2つの照合に成功したことを示す判定結果を直接受信していてもよい。この場合、回転体制御部51は、上記判定結果と薬剤容器検出信号とを受信した場合に、第1回転体14及び第2回転体15を回転させる。
このように、(1)処方箋データの照合が成功し、(2)保管薬剤データの照合が成功し、及び(3)薬剤容器6がセットされると、自動的に薬剤の払出処理が開始される。これにより、払出処理の開始のためのユーザ操作が不要となるため、操作部3Bへの操作回数(表示部3Aへのタッチ数)を減らすことができる。
カウンター制御部54は、薬剤をカウントするたびに、薬剤のカウント結果を表示制御部56に送信する。表示制御部56は、当該カウント結果を受けて、薬剤払出中のカウント結果を示す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図15の(f)に示す表示画像を表示させる。図15の(f)の例では、払出数量40錠中、20錠払い出された(カウンター制御部54が20錠カウントした)ときの表示画像を示している。
カウンター制御部54は、払出数量分の薬剤のカウントが完了すると、払出数量分のカウントが完了したことを示すカウント完了信号を、回転体制御部51及び切替機構制御部53に送信する。回転体制御部51は、カウント完了信号を受信すると、払出完了と判定し、少なくとも第2回転体15の回転を停止する。また、切替機構制御部53は、カウント完了信号を受信すると、薬剤の通過経路を払出経路21から回収経路22へと切り替えるように切替弁25Aを動作させる(ステップS10)。切替機構制御部53は、当該切替が完了すると、当該切替が完了したことを示す切替完了信号を、回転体制御部51に送信する。
回転体制御部51は、回収容器7を検出したことを示す回収容器検出信号を、回収容器検出センサー24から受信しているか否かを、切替完了信号を受信後に判定することにより、回収容器7が第2領域12にセットされたか否かを判定する(ステップS11)。回収容器7がセットされない場合には(ステップS11でNO)、セットされるまでステップS11の処理が行われる。回収容器7がセットされた場合には(ステップS11でYES)、回転体制御部51は、回収容器検出信号を受信することにより、少なくとも第2回転体15を回転させ、回収容器7に残余の薬剤を送り出す(ステップS12)。回転体制御部51は、所定時間(残余の薬剤を払い出すのに十分な時間)経過後、第2回転体15の回転を停止する。回転体制御部51は、第1回転体14が回転している場合には第1回転体14の回転も停止する。
このように、カウントした薬剤数が払出数量に達したときに、回収容器7が第2領域12にセットされている場合には、残余の薬剤の回収処理(残薬回収動作)を実行することができる。これにより、回収処理の開始のためのユーザ操作が不要となるため、操作部3Bへの操作回数を減らすことができる。
回転体制御部51は、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止すると、停止したことを示す回転停止信号を、規制体制御部52及び表示制御部56に送信する。規制体制御部52は、回転停止信号を受信し、かつ、回収容器7が第2領域12から取り除かれたことを示す回収容器除去信号を回収容器検出センサー24から受信した場合に、高さ規制体17及び幅規制体18の位置を初期位置(移送高さW1≒0mm、移送幅W2≒0mm)へと移動させる(原点取り動作)。
このように、回収容器7が第2領域12から取り除かれると、上記原点取り動作が実行される。これにより、原点取り動作の開始のためのユーザ操作が不要となるため、操作部3Bへの操作回数を減らすことができる。また、回収容器7が第2領域12から取り除かれることで、回収処理の完了と判断することができる。そのため、回収処理の完了を検出するための検出機構、及び回収処理を完了するためのユーザ操作が不要となる。
表示制御部56は、回転停止信号または回収容器除去信号を受信すると、認証装置4を用いてユーザ認証を行うよう促す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図16の(a)に示す表示画像が表示される。このユーザ認証により、薬剤の払出処理の承認をユーザに行わせる。認証装置4によりユーザ認証が行われると、その結果が薬剤払出装置1に送信される。認証が成功している場合には、制御部50は、終了処理を実行する(ステップS13)。認証に失敗している場合には、表示制御部56は再度のユーザ認証を行うよう促す表示画像を表示部3Aに表示させてもよい。
上記終了処理としては、例えば、表示制御部56による(1)警告メッセージの表示、及び(2)払出経路21及び回収経路22の清掃を促す表示画像の表示が挙げられる。
薬剤によっては、冷置保存が必要な薬剤、または払出処理により粉末が出やすい薬剤がある。これらの情報は、例えば、登録薬剤データから取得可能である。表示制御部56は、登録薬剤データにこれらの情報が含まれている場合には、これらの情報を警告メッセージとして表示部3Aに表示させる。また、払出処理により粉末が出やすい薬剤の場合には、警告メッセージの他、上記清掃を促す表示画像を表示部3Aに表示させる。
(変形例)
上記では、ステップS1において、高さ規制体17及び幅規制体18の位置調整を行っている。しかし、記憶装置5に、規制体制御部52が決定した移送高さW1及び移送幅W2が登録されている場合には、ステップS1の処理は不要である。この場合、規制体制御部52は、例えばステップS3またはステップS5の後に(薬剤投入前に)、記憶装置5から移送高さW1及び移送幅W2を読み出し、当該移送高さW1及び移送幅W2を満たすように高さ規制体17及び幅規制体18移動させる。
<高精度払出モードにおける処理(スローダウン処理)>
次に、図12を用いて、高精度払出モードにおける、薬剤の払出処理(図11のステップS9)の流れについて説明する。図12は、高精度払出モードにおける、薬剤の払出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
回転体制御部51は、カウント数が所定数量以上となった場合に、第2回転体15の回転速度を第1速度から第2速度へと低下させる。当該処理の具体例を以下に説明する。
回転体制御部51は、薬剤払出中、薬剤払出装置1の状態を状態1〜3の間で切り替える。回転体制御部51が第1回転体14及び第2回転体15の回転を開始させたときの状態(第2回転体15を第1速度で回転させるときの状態)を「状態1」とする。薬剤検出センサー27が薬剤を検出したときの状態を「状態2」とする。当該薬剤がSD範囲SD1またはSD2に存在するときの状態を「状態3」とする。
ここで、SD範囲(特定の領域)とは、回転速度を低下させる(スローダウンさせる)か否かを判定するために設定された範囲である。図9の(a)に示すように、薬剤検出センサー27に隣接する下流側の範囲がSD範囲SD2である。SD範囲SD2に隣接する下流側であって、薬剤落下部20までの範囲がSD範囲SD1である。「状態1(初期状態)」においては、SD範囲として、SD範囲SD1が設定される。
回転体制御部51は、第2回転体15の回転速度、及び、薬剤検出センサー27が薬剤を検出したときからの経過時間により、薬剤検出センサー27を通過した薬剤の位置(薬剤検出センサー27から当該薬剤までの距離)を算出する。回転体制御部51は、当該算出結果に基づき、薬剤がSD範囲SD1またはSD2に存在するか否かを判定できる。上述のとおり、薬剤検出センサー27が当該機能を有していてもよい。
図11のステップS9において、回転体制御部51は、第1回転体14及び第2回転体15の回転を開始させる(ステップS21)。回転体制御部51は、少なくとも第2回転体15については、第1速度(通常速度)で回転させる。回転体制御部51は、薬剤を検出したことを示す薬剤検出信号を薬剤検出センサー27から受信したか否かにより、薬剤検出センサー27が薬剤を検出したか否かを判定する(ステップS22)。回転体制御部51は、薬剤を検出したと判定した場合(ステップS22でYES)、「状態1」から「状態2」へと更新し(ステップS23)、ステップS24へ移行する。薬剤を検出していない場合には(ステップS22でNO)、「状態1」のままステップS24へ移行する。
カウンター制御部54は、薬剤のカウント数が払出数量に達しているか否かを判定する(ステップS24)。カウンター制御部54は、当該判定結果を回転体制御部51に送信する。
薬剤のカウント数が払出数量に達している場合には(ステップS24でYES)、払出処理が終了となる。この場合、回転体制御部51は、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止する。薬剤のカウント数が払出数量に達していない場合(カウント数が払出数量未満の場合)には(ステップS24でNO)、回転体制御部51は、「状態1」〜「状態3」のいずれに設定されているか否かを判定する(ステップS25)。「状態1」の場合にはステップS22へ移行し、「状態2」の場合にはステップS26へ移行し、「状態3」の場合にはステップS30へ移行する。
ステップS25で「状態2」と判定された場合、回転体制御部51は、薬剤検出センサー27により、さらに薬剤が検出されたか否かを判定する(ステップS26)。回転体制御部51は、さらに薬剤が検出されていないと判定した場合(ステップS26でNO)、ステップS22で検出された薬剤が、SD範囲SD1に存在するか否かを判定する(ステップS28)。回転体制御部51は、当該薬剤がSD範囲SD1に存在すると判定した場合(ステップS28でYES)、「状態2」から「状態3」へと更新し(ステップS29)、ステップS24へと移行する。当該薬剤がSD範囲SD1に存在しないと判定した場合には(ステップS28でNO)、「状態2」のままステップS24へ移行する。
また、回転体制御部51は、さらに薬剤が検出されたと判定した場合(ステップS26でYES)、SD範囲を、SD範囲SD1からSD範囲SD1+SD2に拡大し(ステップS27)、ステップS28へ移行する。
ステップS25で「状態3」と判定された場合、回転体制御部51は、ステップS26と同様、薬剤検出センサー27により、さらに薬剤が検出されたか否かを判定する(ステップS30)。回転体制御部51は、さらに薬剤が検出されていないと判定した場合(ステップS30でNO)、当該判定結果をカウンター制御部54に送信する。回転体制御部51は、さらに薬剤が検出されたと判定した場合(ステップS30でYES)、SD範囲を、SD範囲SD1からSD範囲SD1+SD2に拡大し(ステップS31)、当該判定結果をカウンター制御部54に送信する。
カウンター制御部54は、上記判定結果を受信すると、カウント数が所定数量以上であるか否かを判定する(ステップS32)。カウンター制御部54は、所定数量以上であると判定した場合(ステップS32でYES)、当該判定結果を回転体制御部51に送信する。回転体制御部51は、当該判定結果を受信すると、第2回転体15の回転速度を第1速度から第2速度へと低下させる(ステップS33)。
回転体制御部51は、ステップS27またはS31でSD範囲がSD範囲SD1+SD2に拡大されている場合には、SD範囲SD1+SD2に薬剤が存在するか否かを判定する(ステップS34)。ステップS27またはS31でSD範囲がSD範囲SD1+SD2に拡大されていない場合(SD範囲がSD範囲SD1である場合)には、SD範囲SD1に薬剤が存在するか否かを判定する(ステップS34)。なお、カウンター制御部54は、ステップS32においてカウント数が所定数量未満であると判定した場合には(ステップS32でNO)、回転速度を変更せず、ステップS34へ移行する。
回転体制御部51は、SD範囲SD1、またはSD範囲SD1+SD2に薬剤が存在すると判定した場合(ステップS34でYES)、低下した回転速度(第2速度)を維持したまま、ステップS24へ移行する。回転体制御部51は、SD範囲SD1、及びSD範囲SD1+SD2に薬剤が存在しないと判定した場合には(ステップS34でNO)、回転速度を第1速度に戻し(ステップS35)、「状態3」から「状態1」へと更新する(ステップS36)。その後、ステップS24へ移行する。なお、カウント数が所定数量未満である場合にはステップS33の処理は行われないため、回転速度は第1速度のままである。そのため、ステップS34でNOの場合には、ステップS35の処理は行われず、ステップS36に移行する。
例えば、予め設定された払出数量が40錠であり、払出数量未満の所定数量が35錠であるものとした場合に、ステップS22で36錠目が検出された場合について考える。36錠目がステップS22で検出されると、「状態1」→「状態2」に更新される(ステップS23)。その後、ステップS26で37錠目が検出されない場合には、36錠目がSD範囲SD1に存在するか否かが判定され(ステップS28)、SD範囲SD1に存在した場合には、「状態2」から「状態3」へと更新される(ステップS29)。その後、ステップS30で37錠目が検出されない場合には、カウント数が所定数量35錠以上であるため、回転速度が第2速度へと下げられる(ステップS33)。36錠目がSD範囲SD1に存在すれば(ステップS34でYES)、回転速度は第2速度に維持される。一方、36錠目がSD範囲SD1に存在しなければ(ステップS34でNO)、薬剤落下部20へ送り出されたものとして、回転速度は第1速度に戻される(ステップS35)。
ステップS26またはS30で37錠目が検出された場合には、SD範囲がSD範囲SD1+SD2に拡大される(ステップS27またはS30)。これにより、36錠目及び37錠目が連続して薬剤検出センサー27で検出され、SD範囲SD1+SD2に存在する場合には、第2速度を、ステップS34で維持することができる。その後、36錠目及び37錠目がSD範囲SD1+SD2に存在しないと判定されると(ステップS34でNO)、回転速度が第1速度に戻される。38錠目以降が連続して薬剤検出センサー27で検出された場合も同様である。
また、ステップS34にてSD範囲SD1+SD2に薬剤が存在しないと判定された場合には、回転速度が第1速度に戻される。36錠目が薬剤落下部20へ送り出された後、SD範囲SD1で37錠目が検出されるまでは、第2回転体15は第1速度で回転する。そのため、カウント数が所定数量以上である場合に一律に第2速度へ低下させる場合に比べ、より高速に、かつ効率的に薬剤を払い出すことが可能となる。
<高精度払出モードにおける処理(払出処理〜終了処理)>
次に、図13を用いて、高精度払出モードにおける、薬剤の払出処理から薬剤払出装置1の終了処理までの処理の流れについて説明する。図13は、高精度払出モードにおける、薬剤の払出処理から薬剤払出装置1の終了処理までの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
高精度払出モードでは、払出数量と同数の薬剤(例:40錠)が薬剤容器6に収容されるように、薬剤払出装置1の処理が実行される。つまり、カウンター制御部54によりカウントされた薬剤数が払出数量と同数であるか否かが判定され、同数であると判定された場合にのみ、回収処理(図11に示すステップS12)が実行される。
カウンター制御部54は、カウントした薬剤数が払出数量と同数であるか否かを判定する(ステップS41)。カウントした薬剤数が払出数量未満であると判定した場合(ステップS41で「カウント数<処方要求数」)、異常時処理P1へと移行し(ステップS61)、ステップS41に戻る。カウントした薬剤数が払出数量を超えている場合(ステップS41で「カウント数>処方要求数」)、異常時処理P2へと移行し(ステップS62)、ステップS41に戻る。異常時処理P1及びP2については、図14を用いて後述する。
カウントした薬剤数が払出数量と同数である場合(ステップS41で「カウント数=処方要求数」)、図11に示すステップS10と同様、回転体制御部51は、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止する。これとともに、切替機構制御部53は、薬剤の通過経路を払出経路21から回収経路22へと切り替えるように切替弁25Aを動作させる(ステップS42)。
その後、図11に示すステップS11と同様、回転体制御部51により、回収容器7が第2領域12にセットされたか否かが判定される(ステップS43)。回収容器7がセットされない場合には(ステップS43でNO)、セットされるまでステップS43の処理が行われる。回収容器7がセットされた場合には(ステップS43でYES)、回転体制御部51は、第2回転体15(及び第1回転体14)を回転させ、回収容器7に残余の薬剤を送り出すことで、回収処理を開始する(ステップS44)。
その後、回転体制御部51は、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転中(回収処理中)に、入力取得部57が再カウント要求を取得したか否かを判定する(ステップS45)。また、回転体制御部51は、上記回転中に、入力取得部57が、認証が成功していることを示す認証結果を認証装置4から受信したか(ユーザが薬剤払出処理を承認したか)否かを判定する(ステップS46)。
ユーザは、薬剤容器6に収容された薬剤を薬剤投入部13に投入して、薬剤のカウントを再度実行する場合、操作部3Bを介して、再カウントを実行することを示すユーザ操作を行う。図16の(a)の例では、ユーザが「Recount」ボタンに触れることにより、操作部3Bは当該ユーザ操作を取得する。入力取得部57は、当該ユーザ操作を再カウント要求として取得する。
回転体制御部51は、上記回転中に、再カウント要求を取得しておらず(ステップS45でNO)、かつ上記認証結果を受信している場合(ステップS46でYES)、所定時間経過後、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止する。これにより、回収処理が完了する(ステップS51)。回転体制御部51は、第2領域12から回収容器7が取り除かれたときに、回収処理が完了したと判定してもよい。このとき、図11に示すステップS12と同様、高さ規制体17及び幅規制体18の原点取り動作が行われる。その後、ステップS13と同様、制御部50は終了処理を実行する(ステップS50)。
回転体制御部51は、上記回転中に、再カウント要求を取得している場合(ステップS45でYES)、ステップS51と同様、回収処理を完了した後(ステップS52)、回転停止信号を規制体制御部52に送信する。規制体制御部52は、薬剤の通過経路を回収経路22から払出経路21へと切り替えるように切替弁25Aを動作させる(ステップS53)。その後、切替機構制御部53は、切替完了信号を回転体制御部51及び表示制御部56に送信する。
表示制御部56は、切替完了信号を受信後に、薬剤容器6に収容されている薬剤を薬剤投入部13に投入するとともに、空になった薬剤容器6を第1領域11に再度セットするよう促す表示画像を、表示部3Aに表示させる。例えば、図16の(b)に示す表示画像を表示させる。ユーザは、この表示画像を確認することにより、薬剤容器6に収容された薬剤を薬剤投入部13に投入し、投入後の空になった薬剤容器6を第1領域11にセットする(S54)。
回転体制御部51は、切替完了信号を受信後に、支持部材23の薬剤容器検出センサーから薬剤容器検出信号を受信したか否かを判定することにより、薬剤容器6が第1領域11にセットされたか否かを判定する(ステップS55)。回転体制御部51は、薬剤容器6が第1領域11にセットされたと判定した場合(ステップS55でYES)、入力取得部57が再スタート要求を取得したか否かを判定する(ステップS56)。薬剤容器6がセットされない場合には(ステップS55でNO)、セットされるまでステップS55の処理が行われる。
ユーザは、薬剤容器6に収容された薬剤を薬剤投入部13に投入し、かつ空になった薬剤容器6を第1領域11にセットした場合、操作部3Bを介して、再カウントを開始することを示すユーザ操作を行う。図16の(b)の例では、ユーザが「Restart」ボタンに触れることにより、操作部3Bは当該ユーザ操作を取得する。入力取得部57は、当該ユーザ操作を再スタート要求として取得する。
回転体制御部51は、再スタート要求を取得したと判定した場合(ステップS56でYES)、第1回転体14及び第2回転体15を回転させることにより、カウント及び払出処理(図11に示すステップS9)が実行される(ステップS57)。再スタート要求を取得できない場合(ステップS56でNO)、取得できるまでステップS56の処理が行われる。
回転体制御部51は、上記回転中に、再カウント要求を取得しておらず(ステップS45でNO)、かつ上記認証結果を受信していない場合(ステップS46でNO)、ステップS51と同様、回収処理を完了する(ステップS47)。その後、回転体制御部51は、ステップS45及びステップS46と同様の処理を実行する(ステップS48及びS49)。そして、ステップS49でYESの場合に、ステップS50の終了処理が実行される。
このように、ユーザは、回収処理の完了を待つことなく、再カウント指示、またはユーザ認証を行うことによる承認指示を入力できる。薬剤払出装置1は、上記回収中に、再カウント要求の有無を判定し、再カウント要求があった場合には、回収処理完了後に、再カウント要求を示すユーザ操作を取得せずとも、再カウントを実行できる。また、上記回収中に、認証が成功しているか否かを判定し、認証が成功していた場合には、回収処理完了後に、認証確認を行わずとも、終了処理を実行できる。換言すれば、処理の効率化を図ることができる。
<異常時処理>
次に、図14を用いて、図13に示すステップS61及びステップS62の異常時処理の流れについて説明する。図14は、異常時処理の流れの一例を示すフローチャートであり、(a)はカウントした薬剤数が払出数量未満である場合の処理(図13に示すステップS61の異常時処理P1)を示し、(b)はカウントした薬剤数が払出数量を超えている場合の処理(図13に示すステップS62の異常時処理P2)を示す。
(異常時処理P1)
まず、図14の(a)を用いて、異常時処理P1について説明する。制御部50は、(1)投入された薬剤数が払出数量未満である場合、または(2)薬剤容器6が第1領域11から取り除かれた場合に、カウントした薬剤数が払出数量未満であると判定する。
図13のステップS41において、カウンター制御部54は、払出処理中(払出数量分の薬剤のカウントが完了していない状態)において、薬剤を検出したことを示す薬剤検出信号をカウンター26から所定時間受信していないか否かを判定している。カウンター制御部54は、薬剤払出中に所定時間受信していないと判定した場合には、第1回転体14及び第2回転体15に残余の薬剤が無いものと判定する。つまり、カウントした薬剤数が払出数量未満であると判定する。
また、図13のステップS41において、カウンター制御部54は、払出処理中に、薬剤容器6が支持部材23から取り外されたか否かを判定している(ステップS71)。カウンター制御部54は、薬剤払出中に取り外されたと判定した場合には、カウントした薬剤数が払出数量未満であると判定する。支持部材23の薬剤容器検出センサーは、薬剤容器6が取り外された場合、例えば、薬剤容器6が取り外されたことを示す薬剤容器除去信号を、カウンター制御部54に送信する。カウンター制御部54は、薬剤容器検出センサーから薬剤容器除去信号を受信したか否かを判定することにより、薬剤容器6が支持部材23から取り外されたか否かを判定する。
(投入された薬剤数が払出数量未満である場合)
カウンター制御部54は、カウンター26から薬剤検出信号を所定時間受信しておらず、かつ、薬剤容器6が支持部材23から取り外されていない場合には(ステップS71でYES)、投入された薬剤数が払出数量未満であると判定する(上記(1)の場合)。この場合、カウンター制御部54は、当該判定結果を回転体制御部51及び表示制御部56に送信する。
回転体制御部51は、当該判定結果を受信すると、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止する。表示制御部56は、当該判定結果を受信すると、カウント数が払出数量未満であることを示す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図16の(c)に示す表示画像を表示させる。なお、カウント数が払出数量未満であることを直接的に促す文章等が表示されてもよい。
ユーザは、この表示画像を確認し、第1回転体14及び第2回転体15上に薬剤が無いことを確認すると、操作部3Bを介して、再カウントを開始するためのユーザ操作を行う。図16の(c)の例では、ユーザが「Add pills」ボタンに触れることにより、操作部3B(及び入力取得部57)は当該ユーザ操作を取得する。
表示制御部56は、入力取得部57が上記ユーザ操作を取得すると、図11のステップS5及びS6と同様、保管薬剤データの読み取りを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。ユーザは、当該表示画像を確認すると、読取装置2に保管薬剤データを読み取らせる。入力取得部57は、読取装置2から保管薬剤データを取得する(ステップS76)。
照合部55は、当該保管薬剤データが記憶装置5に登録されているか否かを判定する(ステップS77)。登録されていない場合(ステップS77でNO)、ステップS76に戻る。登録されている場合(ステップS77でYES)、表示制御部56は、図11のステップS7と同様、薬剤容器6の第1領域11へのセットを促す表示画像を表示部3Aに表示させる。ユーザは、この表示を確認すると、薬剤投入部13に薬剤を投入する(ステップS78)。
回転体制御部51は、図13のステップS56及びS57と同様、入力取得部57が再スタート要求を取得したか否かを判定する(ステップS74)。再スタート要求を取得したと判定した場合(ステップS74でYES)、第1回転体14及び第2回転体15を回転させることにより、カウント及び払出処理(図11に示すステップS9)が実行される。
(薬剤容器が第1領域から取り除かれた場合)
カウンター制御部54は、カウンター26から薬剤検出信号を所定時間内に受信している場合であっても、薬剤容器6が支持部材23から取り外されたと判定した場合(ステップS71でNO)、当該判定結果を回転体制御部51及び表示制御部56に送信する。
回転体制御部51は、当該判定結果を受信すると、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止する。表示制御部56は、当該判定結果を受信すると、薬剤容器6を第1領域11にセットするよう促す表示画像を表示部3Aに表示させる(ステップS72)。例えば、図16の(c)に示す表示画像を表示させる。ユーザは、この表示画像を確認することで、薬剤容器6を支持部材23に嵌め込むことができる。
回転体制御部51は、図13のステップS55と同様、支持部材23の薬剤容器検出センサーから薬剤容器検出信号を受信したか否かを判定することにより、薬剤容器6が第1領域11にセットされたか否かを判定する(ステップS73)。回転体制御部51は、薬剤容器6が第1領域11にセットされたと判定した場合(ステップS73でYES)、入力取得部57が再スタート要求を取得したか否かを判定する(ステップS74)。このとき、表示制御部56は、再スタート要求を取得できるように、「Restart」ボタンを含む表示画像(例:図15の(e)の表示画像に「Restart」ボタンを含めた表示画像)を表示させる。そして、ステップS74でYESであれば、上述したステップS75以降の処理が行われる。
なお、薬剤容器6がセットされない場合(ステップS73でNO)、セットされるまでステップS73の処理が行われる。再スタート要求を取得できない場合(ステップS74でNO)、取得できるまでステップS74の処理が行われる。
(異常時処理P2)
次に、図14の(b)を用いて、異常時処理P2について説明する。カウンター制御部54は、カウントした薬剤数が払出数量を超えたと判定した場合(図13のステップS41で「カウント数>処方要求数」)、当該判定結果を回転体制御部51及び表示制御部56に送信する。
回転体制御部51は、当該判定結果を受信すると、第2回転体15(及び第1回転体14)の回転を停止する。表示制御部56は、当該判定結果を受信すると、カウント数が払出数量を超えていることを示す表示画像を表示部3Aに表示させる。例えば、図16の(d)に示す表示画像を表示させる。
ユーザは、表示画像を確認すると、操作部3Bを介して、再カウントを実行することを示すユーザ操作を行う。図16の(d)の例では、ユーザが「Recount」ボタンに触れることにより、操作部3Bは当該ユーザ操作を取得する。入力取得部57は、当該ユーザ操作を再カウント要求として取得する。
制御部50では、図13のステップS45と同様、入力取得部57が再カウント要求を取得したか否かが判定される(ステップS81)。そして、再カウント要求を取得した場合には(ステップS81でYES)、図13のステップS54〜S57までの処理と同様の処理が行われる(ステップS82〜S85)。再カウント要求を取得できない場合には(ステップS81でNO)、取得されるまでステップS81の処理が行われる。
〔変形例〕
次に、図9の(b)を用いて、薬剤払出装置1の変形例について説明する。変形例の薬剤払出装置1は、カウンター26の代わりに、カウンター260を備えている。カウンター260は、カウンター26の機能を有するとともに、薬剤検出センサー27の機能も有する。したがって、変形例の薬剤払出装置1は、薬剤検出センサー27の代わりに、カウンター260を用いて、回転速度を低下させるか否かを判定している。つまり、変形例の薬剤払出装置1は、薬剤検出センサー27を備えていなくてもよい。
カウンター260は、上述した所謂反射型のセンサーで実現されている。カウンター260の対象物の検出範囲は、図9の(b)の二点鎖線による枠囲み部分で示すように、薬剤落下部20の上と、第2回転体15上の端部領域(薬剤案内領域)とを含んでいる。当該検出範囲は、薬剤落下部20の近傍の領域であって、かつ、薬剤順送り時の回転方向上流側の、第2回転体15上の領域(第2回転体15上の端部領域を含む領域)であればよい。
回転体制御部51は、カウント数が所定数量以上である場合に、検出範囲で薬剤を検出した場合には、回転速度を第1速度から第2速度へと低下させる。つまり、回転体制御部51は、カウント数が所定数量以上である場合に、(1)検出範囲で薬剤が検出されていない場合には、第1速度で第2回転体15を回転させ、(2)検出範囲で薬剤が検出されている場合には、回転速度を第2速度に低下させ、第2速度で第2回転体15を回転させる。
この構成であっても、残余の薬剤が少なくなった場合に、効率的に薬剤の払い出しを行うことができる。また、カウンター260が上記2つの機能を有しているので、薬剤払出装置1の小型化を図ることができる。
なお、カウンター260は、カウンター26と同様、第2回転体15から薬剤落下部20へと落下するときの薬剤をカウントすることが好ましい。
〔本開示の利用可能性〕
上述した薬剤払出装置1における移送高さW1及び移送幅W2の調整は、高さ規制体17を位置決めするためのセンサー、及び幅規制体18を位置決めするためのセンサーを用いずに、カウンター26のみを用いて行うものである。このような構成は、以下の構成を有する装置に適用できる。
(1)薬剤が投入される第1回転体。
(2)第1回転体の外側に設けられた円環状の第2回転体。なお、第1回転体に投入された薬剤は、第2回転体へと乗り移り、第2回転体上を移送した後、第2回転体15から落下して外部へと送り出される。
(3)高さ規制体及び/または幅規制体。
(4)第2回転体から落下した薬剤をカウントするカウンター。
上記(1)〜(4)の構成を備える装置としては、例えば、国際公開公報WO2013/118838号に開示された薬剤充填装置が挙げられる。この薬剤充填装置は、処方箋データに基づき薬剤が収容される薬剤カセットと、バイアル瓶(薬剤容器6に相当)を薬剤カセットに搬送する搬送ユニットとを備えている。薬剤カセットが上記(1)〜(3)の構成を有し、搬送ユニットが上記(4)の構成を有している。
また、上記(1)〜(4)の構成を備える装置としては、例えば、国際公開公報WO2017/094687号に開示された薬剤包装装置が挙げられる。この薬剤包装装置は、第一薬剤供給部、手撒薬剤供給部、包装部、及び第二薬剤供給部を備えている。第一薬剤供給部は、複数の薬剤カセットを備え、各薬剤カセットから薬剤を払い出すことが可能な構成である。手撒薬剤供給部は、手撒きされた薬剤を払い出すことが可能な構成である。包装部は、薬剤カセットまたは手撒薬剤供給部から供給された薬剤を包装紙に包装するものである。第二薬剤供給部は、例えば、数量をカウン卜する必要のある薬剤を収容するものである。この第二薬剤供給部が、上記(1)〜(4)の構成を有する薬剤払出装置を備えている。
〔その他の構成〕
本実施形態では、順送り機構は、第1回転体14、第2回転体15、高さ規制体17及び幅規制体18を備えるものとして説明した。しかし、投入された薬剤が1錠ずつ薬剤容器6または回収容器7に送り出されるのであれば、上記各部材を備えている必要は必ずしもない。例えば、順送り機構は、1つの帯状の薬剤移送機構(例:ベルト)であってもよい。この場合、一端が、薬剤が投入される部分であり、他端が、薬剤が外部へ送り出される部分であり、1錠ずつ外部へと送り出されるように、一端から他端にかけて通過経路幅(薬剤搬送機構の高さ及び幅)が狭まっている構成であってもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤払出装置1の制御ブロック(特に制御部50の各ブロック)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、薬剤払出装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
[1]本発明の一態様に係る薬剤払出装置は、投入された複数の薬剤を順送りし、順送りされた薬剤の少なくとも一部をカウントして払い出すとともに、残余の薬剤を回収する薬剤払出装置であって、薬剤を順送りする順送り機構と、上記順送り機構から送り出された薬剤をカウントするカウンターと、回収する薬剤を落下させて吐出する回収端部を有する回収経路と、払い出す薬剤を落下させて吐出し、上記回収端部よりも高い位置に配置された払出端部を有する払出経路と、上記払出経路と上記回収経路との間で、薬剤の通過経路を切り替える切替機構と、を備える。
上記構成によれば、払い出された薬剤を収容する薬剤容器が配置される第1領域の高さを、回収する薬剤を収容する回収容器が配置される第2領域の高さよりも高くすることが可能となる。そのため、高さが異なる種々の薬剤容器を、払い出される薬剤がこぼれないように第1領域に配置することが可能となる。したがって、薬剤払出装置の利便性を向上させることができる。
なお、回収容器の高さを予め決めておくことができる(高さを一定にすることができる)。そのため、第2領域の高さを回収容器の高さにあわせて設定することができる。したがって、回収容器についても、薬剤がこぼれないように第2領域に配置することができる。また、最長の高さを有する薬剤容器の高さより回収容器の高さが低い場合であっても、薬剤がこぼれないように回収容器を第2領域に配置することができる。
[2]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置では、上記切替機構は、上記カウンターによってカウントされた上記払出経路へと払い出す薬剤数が、予め設定された払出数量に到達したときに、上記通過経路を、上記払出経路から上記回収経路に切り替えてもよい。
上記構成によれば、順送り機構に払出数量を超えて薬剤が投入されている場合に、薬剤容器に払い出されなかった残余の薬剤を、回収経路を介して回収容器へ収容することができる。
[3]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置では、上記順送り機構により送り出された薬剤が落下する落下位置を基準とすると、上記払出端部までの水平距離は、上記回収端部までの水平距離よりも短くてもよい。
上記構成によれば、薬剤容器への落下経路(払出経路)が鉛直方向により近くなるため、薬剤が途中で意図せぬ方向へ向かうリスクを低減することができ、払い出しをより確実に行うことができる。
また、薬剤容器への落下経路の延伸方向を鉛直方向に近づけることができる。この場合、上記落下位置から落下した薬剤は、払出経路の内壁に衝突しにくくなるため、当該衝突に起因して発生する静電気等により当該薬剤が払出経路に付着する可能性を低減することができる。したがって、当該付着によるカウント誤差の発生を抑制でき、カウンターによりカウントされた薬剤数と同数の薬剤を、薬剤容器へと払い出す可能性を高めることができる。
[4]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置は、上記払出端部から吐出された薬剤を収容する位置に薬剤容器が配置されるように、上記薬剤容器の側面を支持する支持部材を備えてもよい。
上記構成によれば、高さが異なる種々の薬剤容器を払出端部の近傍に配置することが可能となる。そのため、払出経路を通過した薬剤が薬剤容器に収容されず、こぼれ落ちてしまうことを防止することが可能となる。
[5]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置では、上記順送り機構は、薬剤が落下する落下位置まで薬剤を移送する、薬剤の落下方向とは異なる方向に広がる薬剤移送領域と、順送りする薬剤の通過をその大きさに応じて規制するために薬剤の通過経路幅を規定し、かつ上記通過経路幅を変更すべく移動可能な規制体と、を有し、上記規制体を移動させる規制体移動機構をさらに備え、上記回収経路及び上記払出経路の少なくとも一方は、上記薬剤移送領域、上記規制体及び規制体移動機構の少なくとも一部の下方であって、かつ、上記回収経路及び上記払出経路の少なくとも一方の少なくとも一部が、上記薬剤移送領域、上記規制体及び規制体移動機構の少なくとも一部と重なる領域に設けられていてもよい。
上記構成によれば、薬剤払出装置の小型化を図ることができる。
[6]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置では、上記順送り機構は、順送りする薬剤の通過をその大きさに応じて規制するために薬剤の通過経路幅を規定し、かつ上記通過経路幅を変更すべく移動可能な規制体を有し、上記通過経路幅が徐々に拡張するように規制体を移動させつつ、上記カウンターによるカウントが開始された時点の通過経路幅を基準として上記規制体を位置決めする駆動機構を備えてもよい。
上記構成によれば、カウンターによるカウントに基づき規制体の位置決めを行うことができる。そのため、規制体を位置決めするためのセンサー(規制体専用のセンサー)を設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。
例えば、上記規制体として、通過経路幅としての略水平方向の横幅を規制する幅規制体と、略垂直方向の縦幅を規制する高さ規制体とを有する場合であっても、幅規制体専用のセンサー、及び高さ規制体専用のセンサーをそれぞれ設ける必要がない。
[7]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置では、上記カウンターによるカウント、及び上記切替機構による上記通過経路の切替は、上記順送り機構により送り出された薬剤が落下する途中で行われ、上記順送り機構は、予め設定された払出数量分の薬剤を上記カウンターがカウントするまで定速で順送りする第1モードと、上記払出数量未満の所定数量分の薬剤を上記カウンターがカウントすることにより薬剤の順送り速度を下げて順送りする第2モードと、を切り替え可能であってもよい。
上記構成によれば、第2モードの場合、予め設定された払出数量分の薬剤を、正確に薬剤容器へ払い出すことができる。一方、第1モードの場合、払出数量を超えて薬剤容器に薬剤が払い出される可能性はあるが、第2モードの場合よりも高速に薬剤容器へ払い出すことができる。
第1モードと第2モードとの間でモードを切替えできることにより、薬剤払出装置の利便性を向上させることができる。
なお、上述の所定数量分の薬剤をカウンターがカウントすることにより薬剤の順送り速度を下げるというのは、所定数量分の薬剤をカウンターがカウントして直ちに順送り速度を下げることを意図するものではない。所定数量分の薬剤がカウントされるとともに、所定条件を満たしたときに、順送り速度を下げることを意図するものである。所定条件を満たす場合としては、例えば、下記[8]のように、センサーが特定の領域において薬剤の存在を検出している場合が挙げられる。また、上述したように、SD範囲SD1またはSD2に薬剤が存在している場合が挙げられる。
但し、所定数量分の薬剤をカウンターがカウントにしてすぐに、所定条件が満たされた場合には、当該カウント後すぐに順送り速度が下げられる可能性があることには留意されたい。
[8]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置では、上記順送り機構は、回転することにより、投入された薬剤を外周側へ移動させる第1回転体と、上記第1回転体の外周に沿って配置され、上記第1回転体から移動してきた薬剤を周方向へ順送りする第2回転体と、を有し、上記第2回転体の特定の領域に薬剤が存在するか否かを検出するセンサーを備え、上記順送り機構は、上記第2モードにおいて、上記所定数量分の薬剤を上記カウンターがカウントしている場合であっても、上記センサーが薬剤の存在を検出していないときには、上記順送り速度を下げなくてもよい。
上記構成によれば、第1及び第2回転体によって構成される順送り機構では、薬剤が少なくなると薬剤を連続的に順送りすることが困難となる。そのため、上記特定の領域に薬剤が存在していないときには、薬剤が不連続になっているから、次の薬剤がより早く送られてくるように、第2モードにおいても順送り速度を下げないようにする。これにより、薬剤が少なくなった場合でも効率的に払い出しを行うことができる。
[9]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置は、投入された複数の薬剤を順送りし、順送りされた薬剤の少なくとも一部をカウントして払い出すとともに、残余の薬剤を回収する薬剤払出装置であって、薬剤を順送りする順送り機構であって、順送りする薬剤の通過をその大きさに応じて規制するために薬剤の通過経路幅を規定し、かつ上記通過経路幅を変更すべく移動可能な規制体を有する順送り機構と、上記順送り機構から送り出された薬剤をカウントするカウンターと、上記通過経路幅が徐々に拡張するように規制体を移動させつつ、上記カウンターによるカウントが開始された時点の通過経路幅を基準として上記規制体を位置決めする駆動機構と、を備える。
上記構成によれば、上記[6]の構成と同様、規制体を位置決めするためのセンサーを設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。
また、上記構成によれば、上記のように規制体を位置決めするため、通過経路幅を、薬剤が1錠ずつ通過するように規制することができる。そのため、当該通過経路幅を有する経路を通過した薬剤を1錠ずつ落下させることができ、カウンターによるカウントの精度を高めることができる。したがって、薬剤払出装置の利便性を向上させることができる。
[10]さらに、本発明の一態様に係る薬剤払出装置は、投入された複数の薬剤を順送りし、順送りされた薬剤の少なくとも一部をカウントして払い出すとともに、残余の薬剤を回収する薬剤払出装置であって、薬剤を順送りする順送り機構と、上記順送り機構から送り出された薬剤をカウントするカウンターと、回収する薬剤を落下させて吐出する回収端部を有する回収経路と、払い出す薬剤を落下させて吐出する払出端部を有する払出経路と、上記払出経路と上記回収経路との間で、薬剤の通過経路を切り替える切替機構と、を備え、上記カウンターによるカウント、及び上記切替機構による上記通過経路の切替は、上記順送り機構により送り出された薬剤が落下する途中で行われ、上記順送り機構は、予め設定された払出数量分の薬剤を上記カウンターがカウントするまで定速で順送りする第1モードと、上記払出数量未満の所定数量分の薬剤を上記カウンターがカウントすることにより薬剤の順送り速度を下げて順送りする第2モードと、を切り替え可能である。
上記構成によれば、上記[7]の構成と同様、第1モードと第2モードとの間でモードを切替えできることにより、薬剤払出装置の利便性を向上させることができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。