以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、下記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る鑑査支援システム1は、鑑査支援装置2と、一又は複数のクライアント端末3と、一又は複数の薬品払出装置4と、一又は複数の調剤機器5とを備える。なお、前記薬品払出装置4単体を、本発明に係る鑑査支援システムとして捉えてもよい。
前記鑑査支援装置2、前記クライアント端末3、前記薬品払出装置4、及び前記調剤機器5各々は、LAN又はインターネット等の通信網N1を介して無線又は有線で通信可能に接続される。また、前記鑑査支援装置2には、前記鑑査支援装置2に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システム6が前記通信網N1を介して接続されている。なお、前記鑑査支援装置2が処方箋から処方データを読み取り可能であること、又は前記鑑査支援装置2においてユーザー操作による処方データの入力が可能であることも考えられる。
[鑑査支援装置2]
前記鑑査支援装置2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示部24、操作部25、ドライブ装置26、及びコード読取部27等を備えるパーソナルコンピュータである。前記鑑査支援装置2は、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関の内部又は外部に配置される。
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標、以下同様)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
前記記憶部22は、各種のデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、前記制御部21等のコンピュータに後述の鑑査支援処理(図7参照)を実行させるための鑑査支援プログラムが予め記憶されている。また、前記記憶部22には、例えば医薬品マスター、患者マスター、ユーザーマスターなどの各種のデータベースも記憶されている。さらに、前記記憶部22には、前記医薬品マスターとは別に薬品データベースも記憶されている。
前記医薬品マスターには、薬品ID、薬品コード、薬品名、YJコード、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤の形状(カプセル錠、球形錠、平錠(円板状の錠剤)など)、錠剤の色、錠剤のサイズ、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、錠剤の正画像(錠剤の表面及び裏面の外観画像)などの医薬品各々に関する情報が含まれる。例えば、前記正画像は、後述の薬品データベースに登録された正画像が予め取り込まれることによって登録される。
前記ユーザーマスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のID、パスワード、ユーザーグループ、及び処理権限などのユーザーに関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。
前記薬品データベースには、薬品ごとに、薬品コード、薬品名称、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項、アレルギー情報、添付文書情報などの情報が対応付けて記憶されている。特に、前記薬品データベースにおいて、錠剤については、その錠剤に形成されている錠剤の識別情報及び錠剤の形状などの情報が記憶されている。前記薬品データベースは、例えば前記ドライブ装置26によってCD又はDVDなどの記録媒体から読み取られ、又は前記通信網N1を介して外部装置から受信され、前記データ記憶部22に記憶される。なお、前記薬品データベースは、前記鑑査支援システム1において、前記医薬品マスターなどの各種マスターに情報を取り込む際、又は薬品各々の添付文書の情報を参照する際などに使用される。また、前記制御部21が、前記通信網N1を介して外部装置又はウェブサイトから前記薬品データベースを必要に応じて読み出すことが可能な構成であってもよい。なお、前記薬品データベースは前記医薬品マスターの更新などに用いられる。
前記通信I/F23は、前記通信網N1を介して前記クライアント端末2、前記薬品払出装置4、及び前記調剤機器5などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
前記表示部24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示部である。前記操作部25は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作部であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部21に入力する。前記操作部25は、例えば前記表示部24に表示された表示画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの調剤開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
前記ドライブ装置26は、前記鑑査支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体261から前記鑑査支援プログラムを読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリーなどであり、前記ドライブ装置26は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記鑑査支援装置2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記鑑査支援プログラムが前記記憶部22に記憶される。
前記コード読取部27は、コード情報(バーコード又は二次元コードなど)を読み取ることが可能なバーコードリーダーである。例えば、前記コード読取部27は、処方箋に記載された前記コード情報から処方データを読み取るために用いられる。前記処方箋から読み取られた処方データは前記制御部21によって前記記憶部22に記憶される。
このように構成された前記鑑査支援装置2において、前記制御部21は、表示処理部211、操作表示処理部212、及び再実行処理部213を含む。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記表示処理部211、前記操作表示処理部212、及び前記再実行処理部213として機能する。なお、前記制御部21は、前記処方データに基づいて前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5による分包処理などの調剤処理を実行させるための調剤用の処方データ(調剤データ)を生成し、その処方データを前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5に入力する機能も有する。これにより、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5では、前記処方データに基づいて分包処理などの調剤処理が実行される。
前記表示処理部211は、前記薬品払出装置4において処方データに基づいて後述の薬品カセット41及び手撒きユニット45のいずれか一方又は両方から払い出された一又は複数の錠剤が服用タイミングごとに分包紙などの包装材により包装される分包処理において撮影された前記錠剤各々の撮影画像を分包単位(一包単位)で前記クライアント端末3などに表示する。なお、本実施形態において、前記服用タイミングは、服用日及び服用時期(朝食後、昼食後、夕食後など)を含む用語として用いるが、本発明における服用タイミングは単に服用時期を示すものであってもよい。
なお、前記撮影画像は、前記分包処理各々において前記錠剤各々が分包紙で包装される前又は後で撮影される。また、前記表示処理部211は、前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報(文字又は記号など)と前記処方データとに基づいて実行される自動鑑査処理の鑑査結果を前記クライアント端末3などに表示する。より具体的に、前記表示処理部211は、前記撮影画像と共に前記撮影画像が撮影されたときの前記自動鑑査処理による鑑査結果を表示することが可能である。
前記操作表示処理部212は、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5で調剤された薬剤の鑑査結果が表示される画面に、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5で実行された前記処方データに基づく調剤処理の一部又は全部を個別に再実行させるための操作部を表示させる。
前記再実行処理部213は、前記操作表示処理部212により表示される前記操作部に対するユーザー操作に応じて、前記薬品払出装置4又は前記調剤機器5で実行された調剤処理の一部又は全部を前記薬品払出装置4又は前記調剤機器5に再実行させる。例えば、前記再実行処理部213は、前記処方データに基づいて前記調剤処理の一部又は全部を実行するための再実行データを生成し、前記再実行データを再実行指示と共に前記薬品払出装置4又は前記調剤機器5に送信する。なお、前記再実行データは、前記処方データに基づく前記調剤処理のうち一又は複数の服用タイミングに対応する調剤処理を再実行するためのデータである。
具体的に、本実施形態において、前記操作表示処理部212は、前記薬品払出装置4で実行された分包処理の一部又は全部を再実行させるための再発行操作画面D304(図23参照)を表示させることが可能である。なお、前記分包処理の一部又は全部は、一又は複数の服用タイミングについての分包処理である。そして、前記再実行処理部213は、前記再発行操作画面D304に対するユーザー操作に応じて、前記薬品払出装置4で実行された分包処理の一部又は全部を、当該分包処理を実行した前記薬品払出装置4又は当該分包処理を実行した前記薬品払出装置4とは異なる前記薬品払出装置4に再実行させることが可能である。
[クライアント端末3]
前記クライアント端末3は、制御部31、記憶部32、通信I/F33、表示部34、操作部35、及びコード読取部36などを備えるパーソナルコンピュータである。前記クライアント端末3各々は、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関に配置され、薬剤師などのユーザーによって操作される操作端末である。
前記制御部31は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部31は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
前記記憶部32は、前記制御部31によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部32には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶される。前記ブラウザソフトは、前記通信網N1を介して前記鑑査支援装置2にアクセスすることにより前記表示部34に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作部35を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記鑑査支援装置2に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。具体的に、前記制御部31は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記鑑査支援装置2に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記鑑査支援装置2にアクセスする。
前記通信I/F33は、前記通信網N1を介して前記鑑査支援装置2などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
前記表示部34は、前記制御部31からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部35は、前記クライアント端末3に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作部35は、前記表示部34に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード、マウス(ポインティングデバイス)、及びタッチパネル等を含む。
前記コード読取部36は、コード情報(バーコード又は二次元コードなど)を読み取ることが可能なバーコードリーダーである。例えば、前記コード読取部36は、薬品が収容されている薬瓶又は薬箱に記載されたコード情報から薬品の情報を読み取るために用いられる。また、前記コード読取部36は、後述の薬包451に印刷されるコード情報から処方データを識別するための処方IDなどの処方識別情報を読み取るために用いられる。
そして、前記鑑査支援システム1では、前記鑑査支援装置2及び前記クライアント端末3によりサーバクライアントシステムが構成されており、前記鑑査支援装置2が前記クライアント端末3のユーザー操作に応じて各種の処理を実行する場合について説明する。例えば、前記鑑査支援装置2の制御部21は、HTMLなどのページ記述言語によって記述されたデータを前記クライアント端末3に送信することにより、前記クライアント端末3の表示部34に各種の画面を表示させる。また、前記クライアント端末3の制御部31は、前記操作部35に対する操作入力に応じて前記鑑査支援装置2に操作信号を送信する。
なお、前記鑑査支援装置2、前記クライアント端末3、及び前記薬品払出装置4のいずれか一つ又は複数に、前記鑑査支援プログラムの一部又は全部がインストールされており、後述の鑑査支援処理(図16参照)が前記鑑査支援装置2、前記クライアント端末3、又は前記薬品払出装置4などによって協働して実行されることも考えられる。
[調剤機器5]
前記調剤機器5は、処方データに基づいて薬剤を調剤する際に用いられる機器である。前記調剤機器5には、前記薬品払出装置4のように錠剤を分包する錠剤分包装置の他に、例えば散薬分包装置、水剤分注機、シート払出装置、及びピッキング補助装置などが含まれる。前記散薬分包装置は、複数種類の散薬が収容された複数の散薬カセットを有しており、処方データに従って前記散薬カセットに収容されている散薬を自動的に所定量ずつ分包することが可能である。また、前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、処方データに従って前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記シート払出装置は、処方データに従って、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットから払い出す。前記ピッキング補助装置は、薬剤師が手動で調剤する際に用いられ、薬品棚又は薬瓶などに付された識別情報(バーコードなど)から医薬品名を読み取って、その読み取られた医薬品名と処方データに含まれる医薬品名との照合を行うものである。
[薬品払出装置4]
ここで、図2〜図15を参照しつつ、薬品払出装置4について説明する。
図2、図3、及び図4Aに示すように、前記薬品払出装置4は、処方制御ユニット501、錠剤供給ユニット502(薬品供給ユニットの一例)、分包ユニット504、分包制御ユニット505、及びバーコードリーダー506などを備える。前記薬品払出装置4は、薬剤を調剤するために用いられる調剤機器である。なお、図4Aにおける一点鎖線は、錠剤の移動経路を示している。
前記処方制御ユニット501、前記錠剤供給ユニット502、前記分包ユニット504、及び前記分包制御ユニット505は内部バスN2によって接続されている。前記処方制御ユニット501及び前記バーコードリーダー506は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従って無線通信可能である。そして、前記薬品払出装置4は、前記処方制御ユニット501及び前記分包制御ユニット505によって制御され、前記錠剤供給ユニット502から供給される錠剤を服用時期などの分包単位で前記分包ユニット504により分包して払い出す。
[処方制御ユニット501]
前記処方制御ユニット501は、前記薬品払出装置4を統括的に制御するコンピュータである。図2及び図3に示すように、前記処方制御ユニット501は、制御部510、記憶部520、モニター530、操作部540、及び通信IF550等を備える。
前記制御部510は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部510は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部520などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記CPUは、各種の処理を実行するプロセッサーであり、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部510は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
前記記憶部520は、各種のデータを記憶するHDD(HARD DISK DRIVE)又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部520には、前記制御部510等のコンピュータに後述の薬品払出処理(図15左側参照)を実行させるための薬品払出プログラムが予め記憶されている。
なお、前記薬品払出プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部520にインストールされる。本発明は、前記薬品払出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えることができる。
また、前記記憶部520には、例えば医薬品マスター、患者マスター、カセットマスター、及び薬局マスターなどの各種のデータベースも記憶されている。なお、前記制御部510は、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどの記録媒体から不図示のディスクドライブなどの読取装置によって読み取られたデータに基づいて、前記記憶部520に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、前記制御部510は、前記操作部540に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
前記医薬品マスターには、薬ID、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤のサイズ(高さ及び幅)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。
また、前記カセットマスターは、前記固定カセット41A各々のカセット識別情報と前記固定カセット41A各々に割り当てられた前記薬品情報との対応関係を示す情報である。前記カセットマスターは、例えば前記薬品払出装置4の初期設定における前記操作部540のユーザー操作に応じて前記制御部510によって登録される。
前記モニター530は、前記制御部510からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示手段である。例えば、前記モニター530には、処方データの入力画面及び処方データの選択画面などの各種情報が表示される。
前記操作部540は、ユーザー操作を受け付ける操作ボタン、キーボード、マウス及びタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部510に入力する。前記操作部540は、例えば前記モニター530に表示された前記入力画面における処方データの入力操作、前記選択画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの分包開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
前記通信IF550は、前記薬品払出装置4をLAN等の通信網N1に接続するための通信インターフェースであって、前記通信網N1を介して接続された前記鑑査支援装置2との間でデータ通信を実行する。また、前記通信IF550は、前記バーコードリーダー506等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信カードなどの無線通信インターフェースも備えている。
そして、前記通信IF550は、前記鑑査支援装置2から処方データを取得し、前記処方データを前記記憶部520に記憶させる。例えば、前記通信IF550は、前記鑑査支援装置2に設けられた記憶部22の所定の記憶領域に処方データが新たに記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に前記処方データが新たに記憶された場合に前記処方データを前記所定の記憶領域から読み出す。もちろん、前記通信IF550は、前記鑑査支援装置2から送信された前記処方データを受信するものであってもよい。
[錠剤供給ユニット502]
前記錠剤供給ユニット502は、複数の薬品カセット41、個別払出部43、回転ユニット44、手撒きユニット45、撮影部46、通過検出部47、印刷ユニット48、描画ユニット49などを備える。複数の前記薬品カセット41には、予め定められた特定種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の固定カセット41Aと、駆動条件の変更により任意の種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の可変カセット41Bとが含まれる。前記固定カセット41A及び前記可変カセット41Bにより払出可能な前記錠剤は、例えば円盤状、球状、又はカプセル状などの各種形態の固形薬品である。なお、前記錠剤供給ユニット502が、前記固定カセット41Aを有さず、複数の前記可変カセット41Bのみを有することも他の実施形態として考えられる。
前記固定カセット41A各々は、前記錠剤供給ユニット502に設けられた装着部411各々に着脱可能に構成されている。前記装着部411各々には、前記固定カセット41Aを個別に駆動させる第1駆動部42Aが設けられている。前記第1駆動部42A各々は、駆動モーター561及びRFIDリーダライタ562を備える。前記駆動モーター561は、前記固定カセット41Aの駆動機構に駆動力を供給する。前記RFIDリーダライタ562は、RFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して、前記固定カセット41Aに設けられたRFIDタグ(不図示)から情報を読み取ること、又は前記RFIDタグに情報を書き込むことが可能である。
なお、前記RFIDタグ(不図示)及び前記RFIDリーダライタ562の設置箇所は、前記固定カセット41Aが前記装着部411に装着された状態で前記RFIDリーダライタ562による前記RFIDタグ(不図示)の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。前記RFIDタグ(不図示)は、前記固定カセット41A各々を識別するためのカセット識別情報などが記憶される不揮発性の記録媒体であり、前記カセット識別情報は前記薬品払出装置4の初期設定などにおいて前記処方制御ユニット501により書き込まれる。
前記可変カセット41B各々は、前記錠剤供給ユニット502に設けられた装着部412各々に着脱可能に構成されている。前記装着部412各々には、前記可変カセット41Bを個別に駆動させる第2駆動部42Bが設けられている。前記第2駆動部42B各々は、駆動モーター571〜574及びRFIDリーダライタ575を備える。前記駆動モーター571〜574は、前記可変カセット41Bの駆動機構に駆動力を供給する。前記RFIDリーダライタ562は、RFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して、前記可変カセット41Bに設けられたRFIDタグ575Aから情報を読み取ること、又は前記RFIDタグ575Aに情報を書き込むことが可能である。
なお、前記RFIDタグ575A及び前記RFIDリーダライタ575の設置箇所は、前記可変カセット41Bが前記装着部412に装着された状態で前記RFIDリーダライタ575による前記RFIDタグ575Aの情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
前記RFIDタグ575Aは、前記可変カセット41B各々を識別するためのカセット識別情報、及び後述の薬品払出処理(図15左側参照)において前記可変カセット41Bに割り当てられる錠剤の薬品情報などが記録される不揮発性の記録媒体である。前記薬品情報は、錠剤(薬品)の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬ID、薬品コード、JANコード、RSSコード、QRコード(登録商標、以下同様)などである。なお、前記JANコード及び前記RSSコードは、一次元コード(バーコード、GS1コード)で表現される数値又は文字の情報であり、前記QRコードは、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。
[固定カセット41A]
ここで、図5を参照しつつ、前記固定カセット41Aの一例について説明する。なお、ここで説明する前記固定カセット41Aの構造は一例に過ぎず、同様の機能を有するものであれば他の構造であってもよい。なお、図5は、前記固定カセット41Aの上部を覆うカバー部材を省略した図である。
前記固定カセット41A各々では、収容される錠剤の種類が予め定められているため、例えば前記固定カセット41A各々の前面には、前記固定カセット41Aに収容される錠剤の薬品情報が予め記載されている。
図5に示すように、前記固定カセット41Aは、多数の錠剤が収容される錠剤収容部601、及び剤前記錠剤収容部601に収容された錠剤を個別に排出する錠剤排出部602を備えている。前記錠剤排出部602は、前記錠剤収容部601の略中央部に形成された凹部に設けられており、前記錠剤収容部601内の錠剤は前記錠剤排出部602に向けて順次下降する。
前記錠剤排出部602は、前記固定カセット41Aの筐体で回転可能に支持されたローター603と、前記ローター603の外周を覆う内壁603Aとを備えている。前記ローター603は、前記固定カセット41Aが前記装着部に装着されたときに、各種のギアなどの駆動伝達系(不図示)を介して前記第1駆動部42Aの前記駆動モーター561に連結される。また、前記ローター603の外周面には、予め定められた配置間隔でリブ604及びリブ605が形成されている。これにより、前記ローター603の外周には、前記リブ604、前記リブ605、及び前記内壁603Aによって囲まれた間隙606が間欠的に形成されている。前記間隙606の幅は、前記固定カセット41Aに収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められており、前記錠剤の1錠分の幅に相当する。
また、前記リブ604及び前記リブ605の間には前記ローター603の外周面全体に亘る間隙607が形成されている。ここで、前記リブ604及び前記リブ605各々の上端の高さは、前記固定カセット41Aに収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められている。具体的に、図5に示す前記リブ604の上端の高さは前記錠剤の3錠分の高さに相当するものであり、前記ローター603の前記間隙606各々には前記錠剤が3錠ずつ挿入される。また、前記リブ605の上端の高さは、前記錠剤の1錠分の高さに相当する。
一方、前記内壁603Aには、前記ローター603から錠剤を排出するための排出口608が形成されており、前記排出口608には前記間隙607に挿入される仕切板609が設けられている。これにより、前記排出口608では、前記間隙606に挿入されている3錠の錠剤のうち、上の2錠は前記仕切板609によって落下が規制され、下の1錠のみが排出される。従って、前記固定カセット41Aでは、前記駆動モーター561によって前記ローター603が駆動されることにより、前記錠剤収容部601に収容された錠剤が1錠単位で払い出される。
[可変カセット41B]
次に、図6〜図9を参照しつつ、前記可変カセット41Bの一例について説明する。なお、前記可変カセット41B及び前記固定カセット41Aは、例えば国際公開第2014/112221号公報などにも開示されている。また、ここで説明する前記可変カセット41Bの構造は一例に過ぎず、任意の種類の錠剤を1錠ずつ払い出すことが可能なものであれば他の構造であってもよい。例えば、特表2010−535683号公報又は特開2010−115493号公報には、前記可変カセット41Bの他の例が開示されている。
図6〜図8に示すように、前記可変カセット41Bは、多数の錠剤が収容される錠剤収容部701と、前記錠剤収容部701から錠剤を払い出す第1回転体702及び第2回転体703とを備えている。なお、図6〜図8は、前記可変カセット41Bの上部を覆うカバー部材を省略した図である。また、前記可変カセット41Bは、予め定められた単位量ごとに錠剤を払い出すことが可能であればよく、例えば1錠単位ではなく複数錠ごとの払い出しが可能な構成であってもよい。
前記第1回転体702は、前記錠剤収容部701の底面を構成する円盤状の部材である。前記第1回転体702の回転軸は鉛直方向に対して予め定められた所定角度だけ傾斜しており、前記第1回転体702の上面が水平面に対して前記所定角度だけ傾斜している。また、前記第1回転体702の上面には放射状のリブ702Aが所定間隔ごとに形成されている。そして、前記第1回転体702は、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、図7及び図8に示す駆動ギア702Bに連結されている。
前記第2回転体703は、平面視で前記第1回転体702の周囲に配置された中空環状の部材であって、前記錠剤収容部701の錠剤を払出口704に搬送して前記払出口704から払い出す搬送部材の一例である。また、前記第1回転体702の上端部は、前記第2回転体703と同一水平面上に位置している。そして、前記第2回転体703は、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、図8に示す駆動ギア703Aが外周面に形成されている。
一方、図9に示すように、前記装着部412には、前記可変カセット41Bが装着されたときに前記第1回転体702の前記駆動ギア702Bに連結される駆動ギア801、及び前記第2回転体703の前記駆動ギア703Aに連結される駆動ギア802が設けられている。前記駆動ギア801は、前記第2駆動部42Bの前記駆動モーター571に連結されており、前記駆動ギア802は、前記第2駆動部42Bの前記駆動モーター572に連結されている。
さらに、図6及び図7に示すように、前記可変カセット41Bは、前記第2回転体703により前記払出口704まで搬送される前記錠剤の払出経路上に配置された高さ規制部材705及び幅規制部材706を備えている。
前記高さ規制部材705は、前記第2回転体703により前記払出口704まで搬送可能な錠剤の高さ方向のサイズを規制し、前記幅規制部材706は、前記第2回転体703により前記払出口704まで搬送可能な錠剤の幅方向のサイズを規制する。これにより、前記可変カセット41Bでは、前記第2回転体703に載置された錠剤のうち前記高さ規制部材705により規制される高さh1及び前記幅規制部材706により規制される幅w1に収まる錠剤のみが前記払出口704から払い出される。従って、前記可変カセット41Bでは、前記高さh1及び前記幅w1が前記錠剤収容部701に収容される錠剤の1錠分の高さ及び幅以上であって少なくとも2錠分の高さ及び幅より小さい場合に、その錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。
そして、前記可変カセット41Bは、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1を変更するための高さ調整部705Aと、前記幅規制部材706により規制される前記幅w1を変更するための幅調整部706Aとを備える。前記幅調整部706Aの外周面には、前記幅規制部材706に形成された長穴706Bの内周面に形成されたラック(ギア)に噛合されたピニオンギアが形成されている。
前記高さ調整部705Aは、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、図8に示す駆動ギア705Bに連結されている。前記高さ調整部705Aは、回転駆動されることにより前記高さ規制部材705の下端部の位置を上下に移動させ、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1を変更する。
前記幅調整部706Aは、前記可変カセット41Bの筐体によって回転可能に支持されており、図8に示す駆動ギア706Cに連結されている。前記幅調整部706Aは、回転駆動されることにより前記幅規制部材706の前記錠剤収容部701側への突出量を変更し、前記幅規制部材706により規制される前記幅w1を変更する。具体的に、前記幅規制部材706の前記錠剤収容部701側への突出量は、前記幅調整部706Aの回転により前記幅調整部706A及び前記長穴706B各々が矢印R3方向(図6参照)に相対的に移動することによって変更される。
一方、図9に示すように、前記装着部412には、前記可変カセット41Bが装着されたときに前記駆動ギア705Bに連結される駆動ギア803、及び前記駆動ギア706Cに連結される駆動ギア804が設けられている。前記駆動ギア803は、前記第2駆動部42Bの前記駆動モーター573に連結されており、前記駆動ギア804は、前記第2駆動部42Bの前記駆動モーター574に連結されている。
なお、図8及び図9に示すように、前記可変カセット41B及び前記装着部412は、前記可変カセット41Bが前記装着部412に装着されたときに連結される駆動ギア707A及び駆動ギア805を備える。前記駆動ギア707Aは、前記第1回転体702を上下方向に昇降させる不図示の昇降機構に連結されており、前記駆動ギア805は不図示の駆動モーターに連結されている。これにより、前記駆動モーターが駆動されると、前記駆動ギア805から前記駆動ギア707Aに駆動力が伝達され、前記昇降機構により前記第1回転体702が昇降可能である。
そして、前記可変カセット41Bでは、前記第1回転体702が回転方向R1(図6及び図7参照)に回転されると、前記錠剤収容部701の錠剤が前記第1回転体702から前記第2回転体703に排出される。また、前記可変カセット41Bでは、前記第2回転体703が回転方向R2(図6及び図7参照)に回転されると、前記第2回転体703上の錠剤が前記払出口704に向けて搬送される。
但し、前記第2回転体703により搬送される錠剤のうち高さ方向に積み重なった錠剤は前記高さ規制部材705に接触して前記錠剤収容部701に戻される。また、前記第2回転体703により搬送される錠剤のうち幅方向に並んで搬送されている錠剤は前記幅規制部材706に接触して前記錠剤収容部701に戻される。
これにより、前記可変カセット41Bでは、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材706により規制される前記幅w1に対応するサイズの錠剤は、前記第2回転体703上の周方向に1錠ずつ並んだ状態で前記払出口704まで搬送される。そのため、前記可変カセット41Bでは、前記錠剤収容部701に収容された錠剤を1錠単位で払い出すことが可能であり、前記錠剤の払出量を制御することが可能である。
このように、前記可変カセット41Bを用いれば、前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材706により規制される前記幅w1が変更可能であるため、任意の種類の錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。
また、前記可変カセット41B各々には、図6に示すように、表示内容が変更可能な表示部707が設けられている。ここに、前記表示部707は、通電により表示内容が書き込まれると、その後は無通電状態でも前記表示内容の表示が維持される電子ペーパーである。
具体的に、前記可変カセット41B及び前記装着部412各々には前記可変カセット41Bが前記装着部412に装着されたときに接続される接点式のコネクタ(不図示)が設けられている。ここで、前記可変カセット41B側の前記コネクタには前記表示部707が接続されており、前記装着部412側の前記コネクタには前記処方制御ユニット501が接続されている。そして、前記可変カセット41Bが前記装着部412に装着されると、前記表示部707及び前記処方制御ユニット501が前記コネクタによって電気的に接続される。これにより、前記処方制御ユニット501は、前記表示部707各々の表示を変更することが可能になる。なお、前記表示部707は、電子ペーパーに限らず、液晶ディスプレイ等の他の表示手段であってもよい。また、前記表示部707は、前記可変カセット41B各々に対応して前記可変カセット41Bが装着される前記装着部412に設けられることも考えられる。
さらに、前記可変カセット41B各々には、図8に示すように、各種の情報を記憶するRFIDタグ575Aが内蔵されている。前記RFIDタグ575Aは、前記RFIDリーダライタ575により記憶情報の書き換えが可能な不揮発性の記録媒体であって、前述したように前記可変カセット41B各々のカセット識別情報、及び前記可変カセット41B各々に割り当てられた前記薬品情報などの記憶に用いられる。前記RFIDタグ575Aは、前記可変カセット41B各々に設けられる制御基板に搭載されたものであり、前記制御基板は前記処方制御ユニット501からの制御信号に従って前記可変カセット41Bの前記表示部707の表示を変更する機能も有している。
前記手撒きユニット45は、例えば1錠未満の半錠又は1/4錠の錠剤のように前記薬品カセット41からの払い出しに適さない錠剤の払い出しに用いられるものであり、前記薬品払出装置4に対して引き出し可能に設けられている。なお、前記手撒きユニット45は、DTA(Detachable Tablet Adapter)とも称される。前記手撒きユニット45は、マトリクス状(格子状)に設けられた複数のDTAマスを備える。
前記個別払出部43は、前記手撒きユニット45のDTAマス各々の位置に対応する複数のマスを備え、前記個別払出部43のマス各々は、前記手撒きユニット45が前記薬品払出装置4に収容された状態で、前記DTAマス各々の下方に位置する。そして、前記手撒きユニット45が使用される際には、前記薬品払出装置4の前面から前記手撒きユニット45が引き出され、前記DTAマス各々に例えば1錠未満の半錠又は1/4錠などの錠剤が投入される。その後、前記手撒きユニット45のDTAマス各々に投入された錠剤は前記個別払出部43のマス各々に供給される。例えば、前記手撒きユニット45は、前記DTAマス各々の底面が開閉可能であり、前記底面が開かれることによって前記DTAマス各々に投入されている錠剤が前記個別払出部43のマス各々に落下する。
前記個別払出部43は、前記個別払出部43のマス各々に収容された前記錠剤をマス単位で前記回転ユニット44に供給することが可能である。なお、前記手撒きユニット45及び前記個別払出部43と同様にマス単位で錠剤を払出可能な手撒きユニットは、例えば特開2006−110386号公報に開示されている。
前記個別払出部43は、前記マス各々の底面を順に開閉可能な開閉機構を備えており、前記開閉機構によって前記マス各々の底面が順に開かれることによって前記マス各々に投入されている錠剤が順に払い出される。より具体的に、前記個別払出部43は、前記マス各々から予め定められた特定の順番で前記マス内の錠剤を前記回転ユニット44に供給することが考えられる。
前記撮影部46は、図4Aに示されるように、前記薬品カセット41から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路、及び前記手撒きユニット45から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路に設けられるカメラ461〜464を含む。なお、前記カメラ461〜464で撮影される画像はカラー又はモノクロである。前記カメラ461〜464は、前記薬品カセット41又は前記手撒きユニット45から払い出された錠剤が前記分包ユニット504によって分包紙で分包される前に前記錠剤を1錠又は複数錠ごとに撮影するために用いられる。そして、前記カメラ461〜464により撮影される錠剤の撮影画像は、前記制御部510によって、前記撮影画像が撮影されたときの前記分包処理の対象である前記処方データに対応付けて前記記憶部520に記憶されると共に前記鑑査支援装置2に送信される。
図4Aに示されるように、前記カメラ461は、前記薬品カセット41から前記回転ユニット44に供給された錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ462及び前記カメラ463は、前記回転ユニット44に設けられた後述の錠剤回転部441で回転している錠剤から、その錠剤の外周の異なる複数の領域(例えば表面及び裏面など)を撮影するために用いられる。特に、前記カメラ462は、識別情報が刻印で示される錠剤の撮影に適した環境で当該錠剤を撮影するために用いられ、前記カメラ462は、識別情報が印刷で示される錠剤の撮影に適した環境で当該錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ464は、前記手撒きユニット45に収容された錠剤を撮影するために用いられる。
特に、前記制御部510は、前記処方データに基づく前記分包処理が実行される際に、前記カメラ462又は前記カメラ463を用いて錠剤ごとに複数枚撮影して前記錠剤が収容される服用タイミングに対応付けて前記記憶部520に記憶する。例えば、前記撮影画像各々は、前記処方データを識別するための処方IDなどの処方識別情報に対応付けて記憶される。
さらに、前記制御部510は、前記処方データに基づく前記分包処理で得られる前記薬包451(服用タイミング)に対応付けて、前記錠剤の種類と、前記撮影画像と、後述の自動鑑査処理における鑑査結果とを前記記憶部520に記憶する。即ち、前記処方データに含まれる服用タイミングごとに前記錠剤の種類と前記撮影画像と前記鑑査結果とが対応付けて記憶される。具体的に、前記制御部510は、前記自動鑑査処理において前記処方データに基づく前記分包処理についての鑑査結果のうち前記服用タイミングごとの鑑査結果各々を前記服用タイミング各々に対応付けて記憶する。
前記通過検出部47は、前記薬品カセット41から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路、及び前記手撒きユニット45から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路において前記錠剤の通過を検出する光学式センサーなどの通過検出センサー471〜474を含む。そして、前記通過検出センサー471〜474による錠剤の検出信号は前記制御部510に入力される。
図4Aに示されるように、前記通過検出センサー471は、前記薬品カセット41から払い出される錠剤を検出し、前記通過検出センサー472は、前記薬品カセット41から前記回転ユニット44に落下する錠剤を検出する。また、前記通過検出センサー473は、前記個別払出部43から前記回転ユニット44に落下する錠剤を検出する。また、前記通過検出センサー474は、前記回転ユニット44から前記分包ユニット504に落下する錠剤を検出するものであって、前記回転ユニット44に設けられた後述の薬剤導入部80の先端から前記薬包451内に落下する錠剤を検出可能な位置に配置されている。寄り具体的に、前記通過検出センサー474は、前記薬包451が形成される前の分包紙S内に挿入された状態で配置されている。そして、前記制御部510は、前記処方データに基づく前記分包処理が実行される際に、前記通過検出センサー474によって検出される錠剤の数を服用タイミング単位、即ち前記薬包451ごとに対応する払出錠剤数として前記記憶部520に記憶すると共に前記鑑査支援装置2に送信する。
また、前記制御部510は、例えば前記通過検出部47による錠剤の検出タイミングに応じて前記撮影部46により画像を撮影する撮影処理を実行する。具体的に、前記薬品カセット41から前記回転ユニット44に落下する錠剤が前記通過検出部47によって検出された場合に、その錠剤が前記撮影部46によって撮影される。前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影は、前記薬品払出装置4における前記分包処理の実行中に予め設定された撮影間隔(数ms)で行われる。
一方、前記制御部510は、前記手撒きユニット45への錠剤の手撒き作業が終了した旨を入力するための操作が行われた場合に、前記制御部510が前記カメラ464を用いて前記手撒きユニット45の画像を撮影する。そして、前記制御部510は、前記カメラ464により撮影された手撒き画像を、前記処方データを識別するための情報と共に前記鑑査支援装置2に送信する。
前記印刷ユニット48は、前記分包ユニット504において錠剤が収容される前の前記薬包451に情報を印刷することが可能である。例えば、前記薬包451各々の表面には、前記印刷ユニット48によって患者の氏名、服用タイミング(又は服用時期)、薬品名、又は処方量などの情報が印刷可能である。また、前記分包ユニット504では、一の前記処方データに基づく分包処理によって得られる一連の前記薬包451の最初又は最後に、当該処方データを識別するための処方IDなどの処方識別情報を示す一次元又は二次元のコード情報が印刷された空の薬包451が付加される。前記コード情報は、前記コード読取部27及び前記コード読取部36で読み取り可能である。なお、前記薬包451各々に前記コード情報が印刷されてもよい。
前記描画ユニット49は、前記分包ユニット504において錠剤が収容された後の前記薬包451に、インクを用いて予め定められた特定の記号、文字又は図柄を描画することが可能なペン又はスタンプなどの描画部を備える。具体的に、前記描画ユニット49は、後述の自動鑑査処理の鑑査結果を示す記号、文字、又は画像などを前記描画部で前記薬包451に記録することが可能である。
より具体的に、前記制御部510は、図10A及び図10Bに示されるように、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である場合には、前記描画ユニット49を用いて、一連の前記薬包451のうち最後の薬包451Bに、予め設定された画像としてマーカーライン453を描画する。また、前記制御部510は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェック又はエラーである場合には、前記描画ユニット49を用いて、その要チェック又はエラーの対象である前記薬包451に、予め設定された画像としてマーカーライン455を描画する。このように、前記制御部510は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が不適正である場合にその旨が前記薬包451に描画されるだけでなく、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である場合にもその旨が前記薬包451Bに描画される。そのため、前記描画ユニット49の描画部のインク切れなどの異常が発生している場合には、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正であってもその旨が前記薬包451Bに描画されなくなる。また、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である場合と不適正である場合との両方で前記描画ユニット49によって画像が描画され、前記描画部が一処方ごとに描画することになり、前記描画部が長期間描画しないという状況が防止される。このため、例えば前記描画部がペンである場合にそのペン先が乾いて描画ができなくなる描画不良など、長期間描画しないことに起因して生じる問題の発生が防止される。
従って、ユーザーは、前記描画ユニット49の異常などを前記薬包451及び前記薬包451Bを参照して把握することが可能である。具体的に、前記薬包451又は前記薬包451Bのいずれかに前記描画ユニット49によって図形が描画された場合には、前記描画ユニット49に異常が生じていないと判断することが可能である。また、前記薬包451Bに前記描画ユニット49によって図形が描画されていない場合には、前記描画ユニット49に異常が生じているか前記薬包451の分包処理に異常が生じているかのいずれかであると判断することが可能である。なお、前記制御部510は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である場合には、前記描画ユニット49を用いて、その要チェック又はエラーの対象である前記薬包451各々に前記マーカーライン455を描画してもよい。
[自動鑑査処理]
前記薬品払出装置4において、前記制御部510は、前記処方データに基づく分包処理の適否を判断する自動鑑査処理を実行することが可能である。具体的に、前記自動鑑査処理では、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される錠剤の撮影画像と前記処方データとに基づいて、前記処方データに基づく分包処理の適否が前記処方データの単位で判定されると共に、前記服用タイミングごとにも前記分包処理の適否が判定される。ここに、係る自動鑑査処理を実行するときの前記制御部510が鑑査処理部の一例である。
前記自動鑑査処理では、前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報が、前記処方データに含まれる薬品情報と一致するか否かが判断される。より具体的に、前記制御部510は、前記撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報の画像と前記処方データに処方薬として含まれる錠剤に対応付けて記憶されている前記錠剤の識別情報の正画像とを照合する画像鑑査処理を実行することが考えられる。なお、前記正画像は、前記医薬品マスターにおいて前記錠剤の種類ごとに対応して予め登録されている。また、前記画像鑑査処理では、パターンマッチング処理又は文字認証処理などによって前記撮影画像から前記錠剤の識別情報が読み取られ、前記錠剤の識別情報と前記処方データに処方薬として含まれる錠剤の識別情報とが照合されてもよい。
そして、前記画像鑑査処理における照合結果としてマッチング率が予め設定された第1閾値以上である場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「適正(画像)」であると判定される。また、マッチング率が前記第1閾値よりも低い予め設定された第2閾値以上である場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「要チェック(画像)」であると判定される。さらに、前記照合結果としてマッチング率が前記第2閾値未満である場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「エラー(画像)」であると判定される。即ち、前記制御部510は、前記画像鑑査処理による一致度を3段階で判定する。
このように、前記制御部510は、前記分包処理において錠剤が薬包451で分包される前に前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される撮影画像と前記処方データとに基づいて、前記分包処理の適否を鑑査することが可能である。そして、前記制御部510は、前記自動鑑査処理の鑑査結果を前記鑑査支援装置2に送信する。なお、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理が実行される場合には、前記制御部510は、前記錠剤の撮影画像の一部又は全部を前記鑑査支援装置2に送信する。例えば、前記画像鑑査処理において照合に用いられた画像、又は前記錠剤の識別情報が読み取られたときの画像だけが送信されてもよい。
ところで、前記処方データに処方薬として含まれる前記錠剤が、前記錠剤の前記正画像が前記医薬品マスターに登録されていない未登録薬品である場合、前記制御部510は、前記撮影画像に含まれる錠剤の識別情報に基づく前記画像鑑査処理を実行することができない。そのため、前記分包処理の対象となる前記処方データに含まれる錠剤が前記未登録薬品である場合、前記制御部510は、前記画像鑑査処理を実行することなく、前記自動鑑査処理の鑑査結果を「要チェック(未登録)」と判定する。
さらに、前記処方データに処方薬として含まれる前記錠剤が、前記錠剤に文字印刷及び刻印が存在しない無地薬品である場合にも、前記制御部510は、前記撮影画像に含まれる錠剤の識別情報に基づく前記画像鑑査処理を実行することができない。そこで、前記医薬品マスターにおいて、錠剤の種別ごとに前記自動鑑査処理として実行する鑑査処理の種別が予め設定されていることが考えられる。例えば、前記制御部510は、前記医薬品マスターにおける前記錠剤ごとに対応する前記鑑査処理の種別をユーザー操作に応じて設定可能である。なお、前記鑑査処理の種別には、例えば、前記画像鑑査処理の他に、後述の形状鑑査処理及び計数鑑査処理などが含まれる。
具体的に、前記医薬品マスターにおいて、前記錠剤に文字印刷及び刻印が存在しない無地薬品と、前記錠剤に文字印刷又は刻印があるが前記画像鑑査処理で前記識別情報を認識可能な程度の画像が撮影可能でない薬品とについては形状鑑査処理が対応付けられる。前記形状鑑査処理は、前記撮影画像に含まれる前記錠剤の形状、色、サイズのような外観と前記医薬品マスターに記憶されている前記錠剤の外観の情報とを照合する処理である。また、前記医薬品マスターにおいて、前記錠剤に文字印刷又は刻印があり、前記画像鑑査処理で前記識別情報を認識可能な程度の画像が撮影可能な薬品については前記自動鑑査処理が対応付けられる。即ち、前記薬品払出装置4では、前記錠剤に文字印刷又は刻印がある場合であっても、前記画像鑑査処理で前記識別情報を認識可能な程度の画像が撮影可能でない錠剤については、前記自動鑑査処理を実行せずに前記形状鑑査処理又は前記数量鑑査処理などを実行することが可能である。
そして、前記制御部510は、前記医薬品マスターに基づいて、前記処方データに処方薬として含まれる前記錠剤ごとに当該錠剤に対応する種別の鑑査処理(形状鑑査処理又は画像鑑査処理など)を前記自動鑑査処理として実行する。そして、前記制御部510は、前記形状鑑査処理の照合結果が適正である場合には、「適正(形状)」と判定し、前記形状鑑査処理の照合結果が適正でない場合には、「エラー(形状)」と判定する。なお、前記分包処理の対象となる前記処方データに含まれる錠剤が前記無地薬品である場合にも、前記制御部510は、前記画像鑑査処理を実行することなく、前記自動鑑査処理の鑑査結果を「要チェック(無地)」と判定することも他の実施形態として考えられる。
なお、前記処方データに処方薬として前記未登録薬品又は前記無地薬品が含まれる場合に、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「要チェック(未登録)」又は「要チェック(無地)」と判定される構成では、前記処方データに処方薬として前記未登録薬品又は前記無地薬品が含まれる場合に常に前記描画ユニット49によって前記薬包451に「CH」が記録されることも考えられる。一方、前記制御部510は、前記処方データに処方薬として前記未登録薬品又は前記無地薬品が含まれる場合には、前記描画ユニット49による前記薬包451への「CH」の記録を実行させないことが考えられる。これにより、前記画像鑑査処理におけるマッチング率が前記第1閾値よりも低く前記第2閾値以上であり、前記画像鑑査処理の鑑査結果が要チェックと判定された場合にのみ前記薬包451に「CH」が記録されることになる。
また、前記制御部510は、前記処方データに処方薬として含まれる前記錠剤が前記未登録薬品又は前記無地薬品である場合には、前記薬包451に投入された錠剤の数の適否判定する計数鑑査処理を前記自動鑑査処理として実行することが考えられる。具体的には、前記分包処理では、前記通過検出センサー474によって前記回転ユニット44から前記薬包451に落下した前記錠剤の数量がカウントされ、前記計数鑑査処理では、そのカウントされた錠剤の数量と前記処方データにおける前記錠剤の数量とが一致するか否かが判定される。そして、前記制御部510は、前記計数鑑査処理の照合結果が適正である場合には、前記自動鑑査処理の鑑査結果を「適正(計数)」と判定し、前記計数鑑査処理の照合結果が適正でない場合には、前記自動鑑査処理の鑑査結果を「エラー(計数)」と判定する。なお、前記制御部510は、前記計数鑑査処理を、前記画像鑑査処理又は前記形状鑑査処理と共に実行してもよい。
そして、前記薬品払出装置4において、前記制御部510は、前記自動鑑査処理で実行した鑑査処理の種別(画像鑑査処理、形状鑑査処理、計数鑑査処理)と、その鑑査結果とを前記鑑査支援装置2に送信する。これにより、前記鑑査支援装置2では、前記自動鑑査処理の結果の確認が可能である。
また、前記制御部510は、前記自動鑑査処理において、前記形状鑑査処理又は前記計数鑑査処理などを実行した場合には、図10A及び図10Bに示されるように、一連の薬包シート900に含まれる薬包451のうち最初又は最後の薬包451Aに、前記形状鑑査処理又は前記計数鑑査処理のように前記画像鑑査処理とは異なる方法で鑑査が行われた旨を示す例外鑑査情報を印刷することが考えられる。なお、前記薬包451Aは、前記処方識別情報のコード情報が印刷される前記薬包451と同じであってもよい。
前記例外鑑査情報には、例えば前記自動鑑査処理で実行された鑑査処理の種別、及びその鑑査処理の対象となった錠剤の識別情報(薬品名、薬品IDなど)が含まれる。また、前記制御部510は、前記処方データに処方薬として前記未登録薬品が含まれる場合にその旨を前記薬包451Aに印刷してもよい。具体的に、図10A及び図10Bに示される例では、前記薬包451Aに、前記処方データに含まれる処方薬のうち薬品M1、M2について、前記形状鑑査処理が実行されたことが印刷されている。また、前記薬包451Aには、前記処方データに含まれる処方薬のうち薬品M3が前記未登録薬品である旨が印刷されている。なお、前記画像鑑査処理が実行された場合に、その旨が前記薬包451Aに印刷されてもよい。
[回転ユニット44]
前記回転ユニット44は、図4A及び図4Bに示すように、6つの錠剤回転部441と、ユニット回転部442と、薬剤導入部80とを備える。前記ユニット回転部442は、不図示の基台部により回転可能に支持されている。なお、図4Bは、前記回転ユニット44を上方から見た状態を示す模式図である。
前記錠剤回転部441各々は、前記薬品カセット41又は前記手撒きユニット45から供給される1錠の錠剤を回転させることにより前記錠剤の姿勢を変位させることが可能である。前記ユニット回転部442には、6つの前記錠剤回転部441が所定の回転軸回りに60°間隔で配置されており、前記ユニット回転部442は、前記錠剤回転部441を前記所定の回転軸回りに回転させることが可能である。具体的に、前記ユニット回転部442は、前記錠剤回転部441各々を、前記個別払出部43からの錠剤の落下位置P1、前記薬品カセット41からの錠剤の落下位置P2、前記カメラ462による撮影可能位置P3、前記カメラ463による撮影可能位置P4、予備位置P5、及び前記薬剤導入部80への排出位置P6の6箇所に順に移動させることが可能である。
そして、前記薬品払出装置4では、前記薬品カセット41から払い出された1つの錠剤が前記落下位置P1の前記錠剤回転部441に落下した場合、又は前記手撒きユニット45から払い出された1つの錠剤が前記落下位置P2の前記錠剤回転部441に落下した場合に、前記ユニット回転部442によって前記錠剤回転部441が60°回転される。これにより、前記薬品カセット41又は前記手撒きユニット45から払い出された錠剤各々は、個別に前記錠剤回転部441に載置された状態で、前記落下位置P1又は前記落下位置P2から前記排出位置P6に向けて順に移動する。
そして、前記撮影可能位置P3及び前記撮影可能位置P4では、前記錠剤が前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される。なお、図4Bに示されているように、前記回転ユニット44の上方には、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影可能位置において前記錠剤を照明する照明装置468及び照明装置469が固定されている。前記照明装置468及び前記照明装置469は、前記カメラ462及び前記カメラ463により照明環境の異なる画像が撮影されるように、相互に異なる角度又は異なる照度で前記錠剤回転部441に光を照射するものである。具体的に、前記照明装置468は、前記カメラ462によって、識別情報が刻印で示された錠剤の撮影に適した照明環境が実現される角度又は距離から撮影対象の当該錠剤を照明する。また、前記照明装置469は、前記カメラ463によって、識別情報が印刷で示された錠剤の撮影に適した照明環境が実現される角度又は距離から撮影対象の当該錠剤を照明する。
その後、前記錠剤回転部441に載置された前記錠剤は、前記排出位置P6から前記錠剤の落下経路を形成する薬剤導入部80を介して前記分包ユニット504に落下し、前記分包ユニット504内で薬包451に投入される。
ここで、図13及び図14を参照しつつ、前記錠剤回転部441の一例について説明する。図13及び図14に示されているように、前記錠剤回転部441は、一対の回転ローラー100と、前記回転ローラー100各々を個別に支持する一対の支持板101と、前記一対の支持板101を相互に接近する方向に付勢するスプリング102とを備える。また、前記錠剤回転部441では、前記支持板101各々の両端部からアーム103が延在し、その先端部分には相互に噛合するギア104が形成されている。これにより、通常の状態では、前記回転ローラー100各々が相互に接近した状態であり、前記一対の回転ローラー100によって錠剤17が支持可能である。一方、前記一対の回転ローラー100は、前記ギア104の回転により同期して接離し、接触又は接近した状態では薬剤17が回転可能に支持され、離間状態では薬剤17が前記一対の回転ローラー100から前記薬剤導入部80に向けて落下する。
また、前記回転ローラー100各々の回転軸の一端部には従動ギア100aがそれぞれ一体化されている。前記従動ギア100a各々には、駆動軸105の一端側に一体化した駆動ギア106が噛合している。前記駆動軸105の他端側には、不図示の従動ローラーが一体化されている。前記従動ローラーは、マグネットギアで構成されている。また、前記回転ユニット44では、前記カメラ462による撮影可能位置P3又は前記カメラ463による撮影可能位置P4に前記錠剤回転部441が移動したときに、前記錠剤回転部441の真下であって前記錠剤回転部441から離れた位置に、所定の駆動モーターに連結された不図示の連結マグネットギアが設けられている。
そして、前記錠剤回転部441が前記カメラ462の撮影可能位置P3又は前記カメラ463の撮影可能位置P4に移動すると、前記所定の駆動モーターからの駆動力が前記連結マグネットギアを介して前記従動ローラーに伝達される。これにより、前記所定の駆動モーターの駆動力が前記従動ローラー及び前記駆動軸105を介して前記一対の回転ローラー100に伝達され、前記一対の回転ローラー100が同期して同一方向に回転する。従って、前記一対の回転ローラー100に前記錠剤17が載置されている場合には、前記錠剤17が回転する。従って、前記錠剤回転部441では、前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される前記錠剤17の姿勢を変化させることが可能であり、前記錠剤17の外周面を異なる方向から撮影可能である。即ち、前記錠剤回転部441により回転されている前記錠剤17が前記カメラ462及び前記カメラ463によって断続的又は連続で撮影されることにより、前記錠剤17に刻印などで形成された錠剤の識別情報を含む外周面が撮影可能である。
[分包ユニット504]
前記分包ユニット504は、前記錠剤供給ユニット502の前記薬品カセット41及び前記手撒きユニット45の一方又は両方から供給された薬品を服用時期などの分包単位で一つの分包紙に収容する。例えば、前記分包ユニット504は、透明又は半透明のロール状の分包紙Sにより前記分包単位で薬品を包装して溶着等により封止して薬包451を形成する。これにより、前記分包単位で前記薬包451各々に薬品が収容された薬包シート900が前記分包ユニット504から排出される。
ここに、図10A及び図10Bは、前記分包ユニット504から排出される薬包シート900の一例を示す図である。図10A及び図10Bに示すように、前記薬包シート900には、前記分包単位で複数の錠剤が包装された複数の薬包451が連続して形成されており、前記薬包451各々の間には前記薬包451各々を容易に切り離すための切り取り点線452(ミシン目)が形成されている。
[分包制御ユニット505]
前記分包制御ユニット505は、図3に示すように、制御部551及び記憶部552を備え、前記錠剤供給ユニット502、及び前記分包ユニット504などを制御することにより前記薬品払出装置4に分包動作を実行させる。なお、前記分包制御ユニット505は、前記薬品払出装置4に内蔵されている。
前記制御部551は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部551は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部552などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部551は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
前記記憶部552は、各種のデータを記憶するHDD(HARD DISK DRIVE)又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部552には、前記制御部551等のコンピュータに後述の分包制御処理(図15右側参照)を実行させるための分包制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記分包制御プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部520にインストールされる。本発明は、前記分包制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えることができる。
[バーコードリーダー506]
前記バーコードリーダー506は、薬局の薬品棚などに設けられた錠剤の収容容器(箱、瓶など)又はPTPシートなどに記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコードから薬品を識別するコードを読み取り可能である。また、前記バーコードリーダー506は、前記薬包451Aに印刷された前記処方識別情報を示す前記コード情報の読み取りにも用いられる。前記バーコードリーダー506により読み取られた情報は、前記バーコードリーダー506から無線通信により前記処方制御ユニット501に入力される。なお、前記バーコードリーダー506は、例えばPDA又はスマートフォンなどの携帯端末である。
[薬品払出処理及び分包制御処理]
以下、図15を参照しつつ、前記薬品払出装置4において、前記処方制御ユニット501の前記制御部510により実行される薬品払出処理及び前記分包制御ユニット505の前記制御部551により実行される分包制御処理の手順の一例について説明する。ここに、前記制御部510が実行する処理手順(ステップ)をステップS1、S2、・・・と称し、前記制御部551が実行する処理手順(ステップ)をステップS11、S12、・・・と称する。なお、前記制御部510及び前記制御部551のいずれか一方により前記薬品払出処理及び前記分包制御処理の処理結果と同様の処理結果が得られる一連の処理が実行されることも考えられる。
(処方制御ユニット501側:ステップS1)
まず、ステップS1において、前記制御部510は、処方データの発行要求があったか否かを判断する。具体的に、前記制御部510は、予め登録された処方データを発行するための発行操作が前記操作部540に対して行われた場合に前記処方データの発行要求が行われたと判断する。
ここで、前記制御部510は、前記処方データの発行要求がなされるまでの間(S1のNo側)、処理を前記ステップS1で待機させる。一方、前記制御部510は、前記処方データの発行要求があったと判断すると(S1のYes側)、処理をステップS2に移行させる。なお、前記制御部510が、前記鑑査支援装置2等の上位システムから前記処方データを受信した場合に、前記発行操作を要することなく前記処方データの発行要求があったと判断して処理をステップS2に移行させることも他の実施形態として考えられる。
(処方制御ユニット501側:ステップS2)
次に、ステップS2において、前記制御部510は、前記処方データにより払出対象の錠剤を示す薬品情報として入力された全ての薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在するか否かを判断する。具体的に、前記制御部510は、前記記憶部520に記憶されている前記カセットマスターに基づいて、対応する前記固定カセット41Aが存在しない錠剤が処方薬として前記処方データに含まれているか否かを判断する。ここで、少なくとも1つの前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在しないと判断された場合(S2のNo側)、前記制御部510は処理をステップS201に移行させる。
一方、全ての前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在すると判断した場合(S2のYes側)、前記制御部510は処理をステップS7に移行させる。この場合、前記ステップS7では、前記固定カセット41A各々を用いる包動作の開始要求が前記制御部551に送信され、前記制御部551により前記分包動作を実行するための処理が実行される。なお、前記薬品払出装置4が、前記固定カセット41Aを具備しない構成では、前記ステップS2の処理を省略し、前記制御部510が、前記ステップS1で前記処方データの発行要求があったと判断された場合に処理をステップS201に移行させることも可能である。
(処方制御ユニット501側:ステップS201)
ステップS201において、前記制御部510は、前記処方データに基づいて、払出対象の錠剤各々について払出数が、前記手撒きユニット45の使用の有無を判断するために予め設定された特定数以下であるか否かを判断する。そして、前記薬品払出装置4では、前記薬品情報に対応する前記固定カセット41Aが存在しない場合に、前記薬品情報では、前記判断結果に応じて前記手撒きユニット45又は前記可変カセット41Bに割り当てられることになる。具体的に、前記錠剤の数が前記特定数以下であると判断されると(S201:Yes)、処理がステップS202に移行し、前記錠剤の数が前記特定数以下ではないと判断されると(S201:No)、処理がステップS3に移行する。ここに、係る判断処理を実行するときの前記制御部510が判断処理部の一例である。
具体的に、前述したように、前記処方データについて、払出対象の錠剤数の払出数が少ない場合には、当該錠剤について前記可変カセット41Bを使用することが前記手撒きユニット45を使用する場合に比べて、ユーザーの手間を要すること、又は前記薬品払出装置4による錠剤の払い出しに時間を要することがある。そのため、前記特定数は、前記可変カセット41Bよりも前記手撒きユニット45の使用が有利であるか否かを判断するために予め設定された数である。例えば、前記特定数は、前記手撒きユニット45の使用が前記可変カセット41Bの使用に比べてユーザーの手間が軽減される値、又は、前記手撒きユニット45の使用が前記可変カセット41Bの使用に比べて前記薬品払出装置4による錠剤の払い出し時間が短縮される値として予め設定される。即ち、前記ステップS201では、前記可変カセット41Bと前記手撒きユニット45とのいずれを使用する方が有利であるかが判断される。
(処方制御ユニット501側:ステップS202)
ステップS202において、前記制御部510は、前記ステップS201で錠剤の数が前記特定数以下であると判断された錠剤の薬品情報を前記手撒きユニット45に割り当て、処理をステップS6に移行させる。ここに、係る割当処理を実行するときの前記制御部510が割当処理部の一例である。これにより、ユーザーは、錠剤の数が前記特定数以下である錠剤は、前記手撒きユニット45に充填することになり、当該錠剤は、前記手撒きユニット45から払い出されることになる。従って、払出対象の錠剤の払出数に応じた効率的な錠剤の充填作業が実現される。なお、前記制御部510は、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報が前記処方データに複数含まれている場合には、その薬品情報各々について前記ステップS201以降の処理が実行される。
また、本実施形態では、前記ステップS201において払出対象の錠剤の払出数が前記特定数以下であると判断された場合に、前記ステップS202において自動的に当該錠剤の薬品情報が前記手撒きユニット45に割り当てられる場合について説明する。一方、前記手撒きユニット45の使用の有無はユーザーが任意に選択可能であってもよい。例えば、前記制御部510は、前記ステップS202において、前記ステップS201において払出数が前記特定数以下であると判断された錠剤について前記手撒きユニット45を使用するか否かを選択させるための選択画面を表示させる。そして、前記制御部510は、前記選択画面におけるユーザー操作に応じて、前記ステップS201において払出数が前記特定数以下であると判断された錠剤について前記手撒きユニット45に割り当てるか否かを切り替える。
なお、前記制御部510は、前記薬品払出装置4の初期設定などにおいて、ユーザー操作に応じて前記特定数を設定することが可能である。ここに、係る設定処理を実行するときの前記制御部510が第1設定処理部の一例である。これにより、ユーザーごとに任意の前記特定数を設定することができる。
また、前記制御部510は、前記ステップS201において、前記薬品払出装置4に入力されている複数の処方データに含まれる払出対象の薬品の払出数が、予め設定された特定数以下であるか否かを判断することも考えられる。さらに、前記制御部510は、前記薬品払出装置4における薬品各々の払出対象となる頻度、薬包数、又は単位期間(例えば1日、1週間など)あたりの払出量を取得するための履歴情報を記録し、前記ステップS201において、薬品が払出対象となる頻度、薬包数、又は単位期間あたりの払出量が予め設定された頻度又は払出量以下であるか否かを前記履歴情報に基づいて判断することも考えられる。
(処方制御ユニット501側:ステップS3)
ステップS3において、前記制御部510は、前記処方データにより入力された払出対象の薬品情報のうち対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報を未割当の前記可変カセット41Bに割り当てる。従って、前記薬品払出装置4では、未割当の前記可変カセット41Bが存在する場合であっても、払出対象の薬品の錠剤の数が前記特定数以下である場合には、その薬品の薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられず、前記手撒きユニット45に割り当てられることになる。ここに、係る割当処理を実行するときの前記制御部510が割当処理部の一例である。
なお、前記制御部510は、対応する前記固定カセット41Aが存在しない薬品情報が前記処方データに複数含まれている場合には、その薬品情報各々について前記可変カセット41Bの割り当てを実行する。このように、前記処方データにより払出対象の薬品情報が入力された場合に、前記薬品情報を前記可変カセット41Bに割り当てるための処理(割当ステップ)を実行するときの前記制御部510が割当処理部の一例である。
具体的に、前記記憶部520には、前記可変カセット41Bと前記薬品情報との割当状態を示す割当情報521が記憶されている。ここに、図11は前記割当情報521の一例を示す図である。
図11に示すように、前記割当情報521では、前記可変カセット41B各々に現在割り当てられている錠剤の種類を示す薬IDが薬品情報として記憶されている。なお、前記薬IDに代えて錠剤名称、薬品コード、JANコード(又はRSSコード)などの薬品情報が記憶されていてもよい。また、前記可変カセット41Bに、カセット番号C1、C2、・・・が前記カセット識別情報として予め設定されているものとする。前記カセット識別情報は、前記可変カセット41B各々の前記RFIDタグ575Aにも記憶されている。なお、前記割当情報521において、現在薬品情報が割り当てられていない前記可変カセット41Bには未割当である旨が記憶されている。具体的に、図11に示す前記割当情報521では、前記可変カセット41Bのうちカセット番号「C1」には薬ID「M1」の薬品情報、カセット番号「C3」には薬ID「M2」の薬品情報が割り当てられており、カセット番号「C2」及び「C4」には、まだ薬品情報が割り当てられていない旨が示されている。なお、図11に示す前記割当情報521のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記割当情報521は、例えば前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部520に記憶されたものであってもよい。この場合、前記医薬品マスターに含まれる薬品各々に対応付けて、その薬品に割り当てられた前記可変カセット41Bの前記カセット識別情報が記憶される。
また、前記記憶部520には、前記薬品情報と前記可変カセット41Bの駆動条件との対応関係を示す駆動対応情報522が記憶されている。ここに、図12は前記駆動対応情報522の一例を示す図である。
図12に示すように、前記駆動対応情報522には、前記薬品情報ごとに対応して予め設定される駆動条件が記憶されている。前記駆動条件には、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しを開始する前の前記可変カセット41Bの調整に関する事前駆動条件、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出し中の駆動制御に関する駆動中条件、及び前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しを停止する際の駆動制御に関する駆動停止時条件の3種類の条件が含まれる。
具体的に、図12に示す前記駆動対応情報522の例では、薬IDが「M1」、「M2」、「M3」、「M4」である錠剤ごとに対応する前記駆動条件として、払出経路の高さ、払出経路の幅、払出速度、第1スローダウン、第2スローダウン、及び逆回転動作の各項目に関する情報が記憶されている。なお、前記駆動条件は一例に過ぎず、例えば前記可変カセット41Bが振動により錠剤を1錠ごとに払い出すものである場合にはその振動の振動周波数又は振幅などが前記駆動条件として定められていることが考えられる。また、図12に示す前記駆動対応情報522のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記駆動対応情報522で定められた前記駆動条件は、例えば前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部520に記憶されたものであってもよい。
前記払出経路の高さ及び前記払出経路の幅は、前記事前駆動条件の一例であって、前記可変カセット41Bの前記第2回転体703により錠剤を1錠ずつ前記払出口704から払い出すことが可能な値として予め設定された前記高さh1及び前記幅w1(図7参照)の値である。
前記払出速度は、前記駆動中条件の一例であって、前記可変カセット41Bから錠剤を払い出す際の前記第2回転体703の回転速度として薬品情報ごとに適した回転速度である。例えば、前記錠剤のサイズが小さければ、前記駆動モーター572の回転速度が速い場合、前記駆動モーター572が停止するまでの間に前記錠剤が余分に払い出されやすい。一方、前記錠剤のサイズが大きければ、前記駆動モーター572の回転速度が速くても、前記駆動モーター572が停止するまでの間に前記錠剤が余分に払い出されない。そのため、例えば前記駆動条件として設定されている錠剤の払出速度、即ち前記第2回転体703による錠剤の搬送速度が前記錠剤のサイズによって異なることが考えられる。具体的には、前記錠剤のサイズが大きい場合の前記払出速度は前記錠剤のサイズが小さい場合の前記払出速度に比べて遅い値に設定されていることが考えられる。
前記第1スローダウン及び前記第2スローダウンは、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しを停止する際に前記第2回転体703の回転速度を徐々に減速するスローダウンの実行タイミングに関する情報である。前記第1スローダウンは、前記第2回転体703の回転速度を予め定められた第1回転速度まで減速するタイミングを規定する。また、前記第2スローダウンは、前記第2回転体703の回転速度を前記第1回転速度から更に遅い第2回転速度まで減速するタイミングを規定する。例えば、前記可変カセット41Bに収容されている錠剤の形状が丸みを帯びており転がりやすい場合には、前記第2回転体703の駆動を停止させた後に錠剤が転がって払い出されるおそれがある。そのため、例えば球形などの転がりやすい形状の錠剤については前記第1スローダウン及び前記第2スローダウン各々の開始タイミングが早めに設定される。本実施形態において、前記第1スローダウン及び前記第2スローダウンの開始タイミングは、前記可変カセット41Bから払い出される錠剤数の残りの錠数によって設定される。これにより、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しの停止時に錠剤が余分に払い出されることが防止される。他方、前記第2回転体703の駆動が停止された場合に転がりにくい形状の錠剤についてはは前記第1スローダウン及び前記第2スローダウンの開始タイミングが遅く設定されるため、不要な前記スローダウンによる払い出し時間の遅延が抑制される。
また、前記逆回転動作の項目は、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しを停止する際に前記第2回転体703による錠剤の搬送方向を逆方向に切り替える逆回転動作の実行の有無に関する情報である。例えば、前記第2回転体703の駆動を停止させるだけでは、前記第2回転体703上に残存した錠剤が転がって余分に払い出されるおそれがある球形などの転がりやすい形状の錠剤については前記逆回転動作が「有」に設定される。これにより、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しの停止時に錠剤が余分に払い出されることが防止される。なお、前記第2回転体703の駆動が停止された場合に転がりにくい形状の錠剤については前記逆回転動作が「無」に設定され、不要な前記逆回転動作は実行されない。
具体的に、前記制御部510は、前記可変カセット41B各々のうち現在通信可能(制御可能)な前記可変カセット41Bを特定する処理を実行する。例えば、前記制御部510は、前記可変カセット41Bのうち前記RFIDリーダライタ575による前記RFIDタグ575Aからの情報の読み出しに成功した前記可変カセット41Bを通信可能な状態であると判断する。
そして、前記制御部510は、現在通信可能である前記可変カセット41B各々に対する現在の薬品情報の割り当ての有無を、前記割当情報521(図11参照)に基づいて判断し、前記払出対象の薬品情報を未割当の前記可変カセット41Bに割り当てる。このとき、前記制御部510は、前記薬品情報を割り当てる前記可変カセット41Bを決定すると、その割当結果に応じて前記割当情報521の内容を更新する。
ここで、前記薬品情報を割り当てる前記可変カセット41Bの候補が複数存在することが考えられる。この場合、前記制御部510は、例えば前記可変カセット41B各々のうち予め設定された優先順位に基づいて前記薬品情報の割り当ての有無を判断し、最初に未割当であると判断された前記可変カセット41Bに前記薬品情報を割り当てることが考えられる。なお、未割当の前記可変カセット41Bが存在しない場合、前記制御部510は、その旨を前記モニター530に表示させることによりユーザーに報知する。
具体的に、前記可変カセット41Bの選択の優先順位は、前記薬品払出装置4において上下方向に並設された前記可変カセット41Bの配置(図2参照)に基づいて予め設定されていることが考えられる。例えば、身長が低いユーザーにとって、前記薬品払出装置4において上方に配置されている前記可変カセット41Bの操作は、下方に配置されている前記可変カセット41Bよりも困難な場合がある。そこで、前記可変カセット41Bの選択の優先順位は、前記可変カセット41Bのうち最下段に設けられた可変カセット41Bが最も高く、上方に向かって低くなるように設定されていることが考えられる。即ち、前記優先順位は、前記薬品払出装置4において上方に配置されている前記可変カセット41Bよりも下方に配置されている前記可変カセット41Bの方が高く設定されており、下方に配置されている前記可変カセット41Bに優先して前記薬品情報が割り当てられる。いることが考えられる。また、前記優先順位は、前記薬品払出装置4において上下方向に並設された前記可変カセット41Bのうち中央に配置された可変カセット41Bが最も高く、当該可変カセット41Bから離間するほど低くなるように設定されていることも考えられる。
ところで、本実施形態では、前記薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられる場合を例に挙げて説明する。一方、前記制御部510は、前記可変カセット41Bに代えて、前記可変カセット41Bが装着される前記装着部412に前記薬品情報を割り当てることも考えられる。この場合、前記制御部510は、後述のステップS4において、前記薬品情報と前記装着部412との対応関係を示す情報を、前記払出対象の薬品情報に対応する駆動条件と共に前記制御部551に送信する。これにより、前記制御部551は、前記装着部412に装着された前記可変カセット41Bを前記駆動条件に従って駆動させることになる。そして、この場合にも、前記制御部510は、前記薬品情報を割り当てる前記装着部412の候補が複数存在するときは、前記装着部412の選択の優先順位を予め設定された優先順位に従って前記装着部412を選択することが考えられる。特に、前記優先順位は、前記薬品払出装置4において上下方向に並設された前記装着部412の配置(図2参照)に基づいて予め設定されていることが考えられる。具体的に、前記優先順位は、前記装着部412のうち最下段に設けられた装着部412が最も高く、上段に向かって低くなるように設定されていることが考えられる。即ち、前記優先順位は、前記薬品払出装置4において上方に配置されている前記装着部412よりも下方に配置されている前記装着部412の方が高く設定されており、下方に配置されている前記装着部412に優先して前記薬品情報が割り当てられる。また、前記優先順位は、前記薬品払出装置4において上下方向に並設された前記装着部412のうち中央に配置された装着部412が最も高く、当該装着部412から離間するほど低くなるように設定されていることも考えられる。なお、前記可変カセット41Bが装着される前記装着部412に前記薬品情報が割り当てられると、前記薬品情報が割り当てられた前記装着部412に任意の前記可変カセット41Bが装着された場合に、当該可変カセット41Bが当該装着部412に割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動され、当該薬品情報に対応する薬品が払い出される。そのため、前記可変カセット41Bに前記薬品情報が割り当てられる場合とは異なり、ユーザーは、使用する前記可変カセット41Bを自由に選択することが可能である。
さらに、前記薬品払出装置4においてユーザーが操作し易い前記装着部412の位置はユーザーによって異なることが考えられる。そのため、前記制御部510は、前記薬品払出装置4の初期設定などにおいて、ユーザー操作に応じて前記装着部412についての優先順位を設定可能であることが考えられる。ここに、係る設定処理を実行するときの前記制御部510が第2設定処理部の一例である。例えば、前記制御部510は、前記装着部412のうち最優先となる装着部412をユーザー操作に応じて設定すると共に、その最優先となる装着部412から離間するほど優先順位が低くなるように設定することが考えられる。これにより、ユーザーは、自己の使いやすい位置の前記装着部412の優先順位を高く設定することが可能である。また、ユーザーは、前記薬品払出装置4の経年使用に応じて前記装着部412の優先順位を適宜変更することも可能となる。なお、前記可変カセット41Bに薬品情報が割り当てられる場合の優先順位についても同様である。
また、前記ステップS3において、前記制御部510は、前記RFIDリーダライタ575を制御することにより、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41B各々の前記RFIDタグ575Aに前記可変カセット41Bに割り当てられた前記薬品情報を記録する。このとき、前記制御部510は、前記薬品情報と共に、前記薬品情報が示す錠剤の払出量、患者名、割当日時、担当薬剤師名、及び処方箋の識別情報などの各種の情報を前記処方データに基づいて記録することも考えられる。
一方、前記可変カセット41Bの前記RFIDタグ575Aに前記薬品情報が記録されないことも他の実施形態として考えられる。具体的に、前記RFIDタグ575Aに前記カセット識別情報が予め記録されており、前記RFIDリーダライタ575が情報の読み取りのみが可能なRFIDリーダーであることが考えられる。この場合でも、前記制御部510は、前記RFIDタグ575Aから読み取った前記カセット識別情報と前記割当情報(図9参照)とに基づいて、前記可変カセット41Bに割り当てられた前記薬品情報を認識することが可能である。
(処方制御ユニット501側:ステップS4)
ステップS4において、前記制御部510は、前記払出対象の薬品情報に対応する駆動条件を前記駆動対応情報522(図12参照)に基づいて特定し、前記駆動条件と前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41Bのカセット識別情報とを前記制御部551に送信する。これにより、前記制御部551は、前記駆動条件に従って前記可変カセット41Bを駆動させることになる。
(分包制御ユニット505側:ステップS11)
一方、前記分包制御ユニット505では、前記制御部551が、ステップS11において、前記制御部510からの前記駆動条件の受信の有無を判断する。ここで、前記制御部551は、前記駆動条件が受信された場合には(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させ、前記駆動条件が受信されていない間は(S11のNo側)、処理をステップS13に移行させる。なお、前記制御部551は、前記制御部510から受信した前記駆動条件を、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41Bのカセット識別情報と対応付けて前記記憶部552に記憶する。
(分包制御ユニット505側:ステップS12)
ステップS12において、前記制御部551は、前記駆動条件と共に受信した前記カセット識別情報に対応する前記可変カセット41Bを、前記駆動条件のうち前記事前駆動条件に従って駆動させ、前記払出経路の高さh1及び前記払出経路の幅w1を変更する。このように、前記薬品払出装置4では、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれている場合、前記制御部551が、前記事前駆動条件(払出経路の高さh1及び幅w1)に従って前記可変カセット41Bを駆動させ、その後に、前記可変カセット41Bからの錠剤の払い出しを実行することになる(S14)。
具体的に、前記制御部551は、前記駆動条件に従って前記高さ調整部705A及び前記幅調整部706Aを制御することにより、前記可変カセット41Bから1錠単位で払出可能な錠剤の種類を前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報が示す錠剤に変更する。まず、前記制御部551は、前記駆動モーター573及び前記駆動モーター574を駆動させることにより前記高さ規制部材705及び前記幅規制部材706の位置を初期状態に戻す。そして、前記制御部551は、前記駆動モーター573により前記高さ調整部705Aを駆動させ、前記可変カセット41Bの前記高さ規制部材705により規制される前記高さh1を、前記駆動条件で定められた前記払出経路の高さに変更する。また、前記制御部551は、前記駆動モーター574により前記幅調整部706Aを駆動させ、前記可変カセット41Bの前記幅規制部材706により規制される前記幅w1を、前記駆動条件で定められた前記払出経路の幅に変更する。もちろん、前記高さ規制部材705及び前記幅規制部材706の現在の状態が検出可能な構成であれば、最初に前記初期状態に戻されなくてもよい。
このように前記駆動条件に従って前記払出経路の高さh1及び幅w1が変更されると、前記可変カセット41Bでは、前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報が示す錠剤を1錠単位で払い出すことが可能となり、前記錠剤の払出量が制御可能となる。
また、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれておらず、前記可変カセット41Bの前記高さ調整部705A及び前記幅調整部706Aを手動で作動させて前記払出経路の高さh1及び幅w1を任意に調整することが可能な構成も他の実施形態として考えられる。この場合、ユーザーは、前記可変カセット41Bの前記払出経路の高さh1及び幅w1を調整した後、前記可変カセット41Bを前記錠剤供給ユニット502の前記装着部412に装着する。なお、前記高さ調整部705A及び前記幅調整部706Aは、例えばドライバー等の工具を用いた回転操作により作動可能な構成であることが考えられる。
(処方制御ユニット501側:ステップS5)
次に、ステップS5において、前記制御部510は、前記ステップS3で薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41Bの前記表示部707に、前記可変カセット41Bに割り当てられた薬品情報を表示させる。
例えば、前記制御部510は、前記処方データから予め設定された表示項目の情報を抽出して前記表示部707に表示させる。具体的に、前記表示部707には、前記可変カセット41Bに割り当てられた錠剤の薬品名称、薬ID、払出量、及びJANコード(バーコード)が表示される。なお、患者氏名、割当日時、又は割当担当者などの各種の情報が前記表示部707に表示されてもよい。
(処方制御ユニット501側:ステップS6)
その後、ステップS6において、前記制御部510は、前記可変カセット41Bに対する錠剤の充填が完了した旨を示す充填完了操作が前記操作部540に対して行われたか否かを判断する。具体的に、ユーザーは、前記ステップS3で前記薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられ、前記可変カセット41Bの前記表示部707に前記薬品情報が表示されると、前記可変カセット41Bを前記錠剤供給ユニット502から取り外す。そして、ユーザーは、前記可変カセット41Bに、前記処方データに対応する処方箋、又は前記表示部707に表示された前記薬品情報を参照しながら必要な錠数の錠剤を前記可変カセット41Bに投入する。その後、ユーザーは、前記可変カセット41Bを前記錠剤供給ユニット502に装着し、前記操作部540に対して前記充填完了操作を行う。
ここで、前記充填完了操作が行われるまでの間(S6のNo側)、前記制御部510は処理を前記ステップS6で待機させる。一方、前記充填完了操作が行われたと判断すると(S6のYes側)、前記制御部510は処理をステップS7に移行させる。なお、前記ステップS3で複数の薬品情報が複数の前記可変カセット41Bに割り当てられた場合、前記ステップS6では、前記薬品情報各々に対応する全ての前記可変カセット41Bについて前記錠剤の充填完了操作が行われたか否かを判断する。
ところで、前記処方データに基づいて前記薬品情報が前記可変カセット41Bに割り当てられた後、薬品を充填するために前記薬品払出装置4から任意の前記可変カセット41Bが取り外される。この場合、前記可変カセット41Bが誤って取り外されるおそれがあり、当該可変カセット41Bに誤って薬品が充填されるおそれがある。そのため、前記制御部510は、前記薬品情報の前記可変カセット41Bへの割当後に前記薬品払出装置4から取り外された可変カセット41Bが、当該薬品情報が割り当てられた可変カセット41Bではない場合には、当該可変カセット41Bを識別するためのカセット識別情報を、前記記憶部22に記憶される注意カセットリストに記録することが考えられる。そして、前記制御部510は、その後に前記注意カセットリストに記憶されている前記可変カセット41Bを用いた前記分包処理が初めて実行される場合には、前記自動鑑査処理の種別として、前記画像鑑査処理を強制的に実行することが考えられる。即ち、例えば前記医薬品マスターなどにおいて前記自動鑑査処理の種別として前記形状鑑査処理又は前記数量鑑査処理が設定されている薬品であっても、その薬品が前記注意カセットリストに記憶された前記可変カセット41Bから最初に払い出される場合には前記画像鑑査処理が強制的に実行されることになる。これにより、前記可変カセット41Bから誤った錠剤が前記薬包紙451に分包される可能性が抑制される。なお、前記制御部510は、前記注意カセットリストに記憶されている前記可変カセット41Bを用いた前記分包処理において実行された前記画像鑑査処理の結果が適正である場合には、前記注意カセットリストから当該可変カセット41Bの識別情報を消去する。
(処方制御ユニット501側:ステップS7)
ステップS7において、前記制御部510は、前記処方データに基づく分包動作の開始要求を前記制御部551に送信する。特に、前記処方データに払出対象として含まれた薬品情報が示す錠剤のうち、前記固定カセット41Aに存在しない錠剤の分包動作について、前記制御部510は、例えば以下の手順で開始要求を送信する。
まず、前記制御部510は、前記装着部412各々に装着された前記可変カセット41Bの前記RFIDタグ575Aから前記可変カセット41Bのカセット識別情報を読み出し、前記装着部412各々に現在装着されている前記可変カセット41Bを特定する。そして、前記制御部510は、前記処方データに基づいて、前記可変カセット41Bのうち前記処方データに示された薬品情報に対応する錠剤が収容された前記可変カセット41B各々を前記割当情報521に基づいて特定する。その後、前記制御部510は、前記処方データに示された前記薬品情報各々について、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット41Bのカセット識別情報、前記可変カセット41Bが装着された前記装着部412の識別情報、及び錠剤の払出量などの分包動作に必要な情報を前記制御部551に送信する。
(分包制御ユニット505側:ステップS13)
一方、前記分包制御ユニット505では、前記制御部551が、ステップS13において、前記制御部510からの前記分包動作の開始要求の有無を判断する。ここで、前記制御部551は、前記分包動作の開始要求が受信された場合には(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させ、前記分包動作の開始要求が受信されていない間は(S13のNo側)、処理をステップS11に移行させる。
(分包制御ユニット505側:ステップS14)
ステップS14において、前記制御部551は、前記分包動作の開始要求に従って、前記錠剤供給ユニット502の前記薬品カセット41及び前記手撒きユニット45により必要な薬品を払い出し、前記分包ユニット504により服用時期などの分包単位で分包する分包動作を実行する。なお、前記分包動作において、前記可変カセット41Bから払い出される錠剤の数は、前記可変カセット41Bの前記払出口704に設けられた不図示の光学式センサーを有するカウンターによって計数されて前記制御部551に払出数として入力される。これにより、前記制御部551は、前記カウンターから入力される払出数に基づいて前記可変カセット41Bの駆動を制御し、予め設定された払出量(処方量)のみを前記可変カセット41Bから払い出す。
ところで、前述したように、前記分包動作が実行される際には、前記薬品払出装置4の前記制御部510が、前記カメラ462又は前記カメラ463を用いて分包対象の錠剤各々の撮影画像を撮影し、前記処方データに対応付けて記憶させ、前記自動鑑査処理などに用いる。ここで、前記カメラ462又は前記カメラ463による錠剤の撮影は、前記錠剤回転部441によって回転される前記錠剤について複数回行われるため、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影にはある程度の時間を要する。
一方、前記処方データに基づいて一つの前記薬包451に分包される錠剤には、識別情報が刻印で示されており前記カメラ462による撮影が適した刻印錠剤と、識別情報が印刷で示されており前記カメラ463による撮影が適した印刷錠剤とが含まれることがある。そのため、前記制御部510は、一つの前記薬包451に分包される錠剤として前記刻印錠剤と前記印刷錠剤とが含まれる場合には、前記錠剤供給ユニット502から前記印刷錠剤及び前記刻印錠剤の順で交互に錠剤を払い出すと共に、前記カメラ462及び前記カメラ463による錠剤の撮影を前記回転ユニット44によって前記錠剤回転部441が2回分回転されるごとに実行することが考えられる。
より具体的に、前記制御部510は、前記錠剤供給ユニット502から、前記錠剤落下位置P2の前記錠剤回転部441に前記印刷錠剤を落下させた後、前記回転ユニット44を単位角度(本実施形態では60°)だけ回転させる。ここで、前記書いて入ニット44の単位角度の回転後のタイミングでは、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影を実行しない。次に、前記制御部510は、前記錠剤供給ユニット502から、前記錠剤落下位置P2の前記錠剤回転部441に前記刻印錠剤を落下させた後、前記回転ユニット44を単位角度(本実施形態では60°)だけ回転させる。これにより、前記印刷錠剤が載置された前記錠剤回転部441が前記撮影可能位置P4に存在し、前記刻印錠剤が載置された前記錠剤回転部441が前記撮影可能位置P3に存在することになる。そして、前記制御部510は、このように前記印刷錠剤が前記撮影可能位置P4に存在し、前記刻印錠剤が前記撮影可能位置P3に存在するタイミングで前記カメラ462及び前記カメラ463による錠剤の撮影を実行する。これにより、前記カメラ462及び前記カメラ463を用いた撮影が前記回転ユニット44の単位角度の回転が実行されるごとに実行される場合に比べて処理時間が短縮される。
(分包制御ユニット505側:ステップS15)
その後、前記制御部551は、前記ステップS14における前記分包動作が終了すると、続くステップS15において、前記制御部510に分包動作の完了通知を送信する。
(処方制御ユニット501側:ステップS8)
これに対し、前記処方制御ユニット501では、前記制御部510が、前記制御部551からの前記分包動作の完了通知を待ち受けている(S8のNo側)。そして、前記分包動作の完了通知を受信すると(S8のYes側)、前記制御部510は処理をステップS9に移行させる。
(処方制御ユニット501側:ステップS9)
続くステップS9において、前記制御部510は、払い出しが完了した前記可変カセット41Bの前記表示部707に払い出しが完了した旨の表示を行う。例えば、前記ステップS9では、前記表示部707に「払出完了」の文字が表示されること、又は前記表示部707の前記薬品情報の表示が消去されること等が考えられる。
ところで、病院又は薬局などの医療施設では、前記薬品払出装置4により分包された錠剤が処方データに対応する適切なものであるか否かを確認する鑑査業務が薬剤師によって実施される。これに対し、前記鑑査支援システム1では、後述の鑑査支援処理(図16参照)が実行されることによって薬剤師の鑑査業務が支援される。なお、前記鑑査支援処理は、前記薬品払出装置4の制御部41によって実行されてもよい。
[鑑査支援処理]
以下、図16を参照しつつ、前記鑑査支援システム1おいて、前記鑑査支援装置2の前記制御部21により実行される鑑査支援処理の手順の一例について説明する。前記鑑査支援処理は、前記クライアント端末3に対して、予め設定された最終鑑査権限を有する薬剤師による前記鑑査支援装置2へのログイン操作が行われた場合、又は前記ログイン操作後に最終鑑査処理を行うための鑑査開始操作が行われた場合などに実行される。なお、前記鑑査支援装置2へのログイン認証は、前記記憶部22に記憶されている前記ユーザーマスターに基づいて行われる。以下で説明する当該鑑査支援処理における「表示」及び「操作」などは前記ログイン操作が行われた前記クライアント端末3の前記表示部33及び前記操作部34を用いて行われる。もちろん、同様の操作及び表示が前記鑑査支援装置2で行われてもよい。
<ステップS21>
まず、ステップS21において、前記制御部21は、鑑査対象の候補となる処方データの一覧を表示するための鑑査待ち一覧画面D1を前記クライアント端末3に表示させる。ここに、図17は、前記鑑査待ち一覧画面D1の一例を示す図である。
図17に示されるように、前記鑑査待ち一覧画面D1には、鑑査対象となる処方データの一覧が表示される一覧表示領域A11が表示されている。具体的に、前記一覧表示領域A11には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、服用開始日、及び日数の情報と共に、前記鑑査支援システム1に接続されている前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器のステータス情報が表示される。
また、前記鑑査待ち一覧画面D1には、ユーザー操作を受け付けるための操作キーK11、K12等が表示されている。前記操作キーK11は、前記鑑査支援装置2における鑑査履歴を表示するための鑑査履歴画面D2を表示させるための操作キーであり、前記操作キーK12は、前記鑑査支援装置2において鑑査処理を実行するための鑑査画面D3を表示させるための操作部である。即ち、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における操作に応じて、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5などの複数の機器で行われた調剤についての鑑査を開始することが可能である。
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における前記操作キーK11が操作された場合に、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたと判断すると(S22:Yes)、処理をステップS23に移行させ、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われていなければ(S22:No)、処理をステップS24に移行させる。
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2を前記クライアント端末3に表示させる。このように、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1におけるユーザー操作に応じて、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器で行われた調剤についての鑑査履歴を表示させることが可能である。
ここに、図18は、前記鑑査履歴画面D2の一例を示す図である。図18に示されるように、前記鑑査履歴画面D2には、既に鑑査が完了した処方データの一覧が表示される一覧表示領域A21が表示されている。前記一覧表示領域A21には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、服用開始日、鑑査者、及び鑑査日時などの情報が表示される。また、前記一覧表示領域A21には、前記鑑査支援システム1に接続されている前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5各々で調剤された薬剤の鑑査結果が適正であった旨を示す「OK」、又は鑑査結果がエラーであった旨を示す「NG」などが表示される。具体的に、前記薬品払出装置4に対応する鑑査結果は、前記自動鑑査処理の結果である。なお、「OK」は、背景又は文字が予め定められた青色又は白色などの第1特定色で表示され、「NG」は、背景又は文字が予め定められた赤色などの第2特定色で表示される。また、「NG」が表示される場合には、判定結果がエラーであることに対応して行われた処置の内容(例えば「修正済」など)が表示される。
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部21は、前記鑑査開始操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1において、鑑査対象となる前記処方データが選択された状態で前記操作キーK12が操作された場合に、前記鑑査開始操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査開始操作が行われたと判断すると(S24:Yes)、処理をステップS25に移行させ、前記鑑査開始操作が行われていなければ(S24:No)、処理をステップS26に移行させる。なお、前記制御部21は、例えば前記コード読取部27により前記薬包451に記載されているコード情報が読み取られ、前記コード情報に基づいて前記処方データが特定された場合にも、当該処方データを鑑査対象とする前記鑑査開始操作が行われたと判断する。
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1において選択されていた前記処方データについて鑑査を行うための前記鑑査画面D3を前記クライアント端末3に表示させる。ここに、図19は、前記鑑査画面D3の一例を示す図である。図19に示されるように、前記鑑査画面D3には、基本情報領域A31及び鑑査結果領域A32が表示されている。前記基本情報領域A31には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、性別、年齢、服用日、及び用法などの情報が表示される。
前記鑑査結果領域A32には、前記鑑査待ち一覧画面D1で選択されていた前記処方データの内容及び前記処方データについての鑑査結果などがレコード(Rp1〜Rp3)ごとに表示される。なお、前記処方データに複数のレコードが含まれる場合に、前記レコード各々を処方データと称することがある。
そして、前記鑑査結果領域A32には、薬品名、用量、形態、調剤機器の号機番号、用量、及び判定結果が表示される。なお、前記判定結果は、例えば前記薬品払出装置4で実行される前記自動鑑査処理による前記処方データごとの鑑査結果であり、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5各々から前記鑑査支援装置2に適宜入力される。また、前記自動鑑査処理は、前記薬品払出装置4及び前記調剤機器5から画像などの各種の情報を取得した前記鑑査支援装置2の前記制御部21によって実行されてもよい。
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示されている判定結果についての詳細を確認するための詳細確認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記鑑査画面D3には、前記鑑査画面D3に表示されている前記処方データに含まれる前記レコードのいずれかに対応する判定結果の表示箇所が選択された場合に、前記詳細確認操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記詳細確認操作が行われたと判断すると(S26:Yes)、処理をステップS27に移行させ、前記詳細確認操作が行われていなければ(S26:No)、処理をステップS28に移行させる。
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示されている判定結果についての詳細が表示される鑑査詳細画面D303を表示させる鑑査表示制御処理を実行する。なお、前記鑑査表示制御処理は、前記制御部21の前記表示処理部211によって実行される。
ここに、図20A、図21、及び図22Aは、鑑査詳細画面D303を示す図である。具体的に、図20Aは、前記自動鑑査処理による鑑査結果が適正である場合の表示例、図21は、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合の表示例、図22Aは、前記自動鑑査処理による鑑査結果が要チェックである場合の表示例である。
前記鑑査詳細画面D303には、基本情報領域A311、調剤詳細領域A322、及び鑑査結果領域A313が表示されている。前記基本情報領域A311は、前記基本情報領域A31と同様に、患者情報及び処方データなどが表示される領域である。より具体的に、前記基本情報領域A31には、前記処方データにおける処方ID、患者名、及び用法などの処方関連情報が表示されている。なお、前記基本情報領域A31に前記処方データにおける用量などの他の情報が前記処方関連情報として表示されてもよい。前記調剤詳細領域A322では、前記薬包451の単位(服用タイミング単位)で前記薬包451に分包されている錠剤の内容が予め定められた方向に沿って並べて表示される。
なお、前記調剤詳細領域A322において、前記薬包451の包数を示す1包目、2包目、・・・などの包数情報が表示される表示領域A320には、前記包数情報都と共に、又は前記包数情報に代えて、服用タイミング(服用日及び服用時期)が表示されることも考えられる。
また、前記制御部21は、前記薬品払出装置4で前記通過検出センサー474により前記服用タイミングごとに対応する錠剤数がカウントされている場合には、その錠剤数を前記鑑査詳細画面D303に表示させることも考えられる。これにより、ユーザーは、前記錠剤数に問題ないことを容易に把握することが可能である。さらに、前記薬品払出装置4が、前記分包ユニット504における前記錠剤の分包後の前記薬包451を撮影する撮影部を備えている場合には、前記制御部21が、そのカメラによって撮影された分包後の撮影画像を前記詳細画面D303に表示させることも考えられる。
前記調剤詳細領域A322には、薬品名、種別、結果、及び正画像が表示される。具体的に、前記種別には、前記薬品名に対応する錠剤が前記薬品カセット41及び前記手撒きユニット45のいずれから払い出されたものであるかが識別可能に表示される。例えば、前記錠剤の払い出し元が前記薬品カセット41である場合には「C」又は「カ」などが識別符号として表示され、前記手撒きユニット45である場合には「D」又は「手」などが識別符号として表示される。また、前記結果には、前記薬品名に対応する錠剤についての鑑査結果が適正であるか否かが個別に表示される。前記正画像は、錠剤の正しい画像として予め前記医薬品マスターなどに登録された登録画像である。例えば、前記医薬品マスターでは、錠剤各々に対応付けてその錠剤の表裏面に対応する2枚の画像が前記登録画像として登録されている。なお、前記登録画像は、前記錠剤の外周面のうち前記錠剤の識別情報を含む領域が撮影された1枚の画像であってもよい。
また、前記調剤詳細領域A322では、錠剤ごとに対応付けて、前記薬包451各々に分包される前に前記撮影部46で撮影された錠剤の撮影画像が分包結果情報として表示されている。なお、前記自動鑑査処理において前記計数鑑査処理のみが実行される場合には、前記撮影画像の表示が省略されてもよい。
また、前記制御部21は、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理が実行された場合には、前記薬品払出装置4で前記錠剤の識別情報が読み取られた元画像、又は、前記正画像と比較された元画像を少なくとも表示させる。一方、前記制御部21は、前記薬品払出装置4において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を更に表示させてもよい。これにより、薬剤師は、例えば1枚の前記錠剤の撮影画像だけでは前記錠剤の適否の判断が難しい場合に、複数枚の前記錠剤の撮影画像を参照して適否を判断することが可能である。
例えば、図20Aに示されている前記調剤詳細領域A322では、1包目の前記薬包451に分包されている錠剤の撮影画像として、「トランサミンカプセル250mg」、「セファランチン錠1mg」、及び「リフレックス錠15mg」の3つの錠剤の撮影画像が1枚ずつ表示されている。なお、前記錠剤が平らな錠剤である場合には、前記錠剤の表裏面の2枚の画像が表示され、前記錠剤がカプセル錠などの形状である場合には、前記錠剤の識別情報が含まれる面と前記錠剤の識別情報が含まれない面との2枚の画像が表示されてもよい。
また、図21に示されているように、前記調剤詳細領域A322では、前記鑑査詳細画面D303に表示されている前記処方データに含まれる薬品の前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合、その薬品に対応する一又は複数の領域A314及び領域A315の背景が予め定められた赤色などの前記第2特定色で表示される。これにより、ユーザーは、前記領域A314及びA315の位置を確認することにより前記自動鑑査処理の結果がエラーである薬品を容易に把握することができる。
また、前記鑑査結果領域A313には、前記鑑査詳細画面D303に表示されている前記処方データに含まれる全ての薬品についての前記自動鑑査処理の結果が表示される。なお、前記鑑査結果領域A313に表示される前記自動鑑査処理の結果は分包結果情報の一例である。具体的に、図20Aに示される例では、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である旨を示す「承認待ち」が、前記第1特定色の背景と共に前記鑑査結果領域A313に表示されている。さらに、前記鑑査詳細画面D303には、表示中の鑑査結果を承認する旨の操作が行われる承認キーK311が表示されている。そして、前記制御部21は、前記承認キーK311が操作された場合に、図20Bに示すように前記鑑査結果領域A313を「承認OK」に変更する。
また、図21に示される例では、前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラーである旨を示す「NG」が、前記第2特定色の背景と共に前記鑑査結果領域A313に表示されている。さらに、図22Aに示される例では、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである旨を示す「CHECK」が、前記第1特定色及び前記第2特定色とは異なる予め定められた黄色などの第3特定色の背景と共に前記鑑査結果領域A313に表示されている。
特に、前記調剤詳細領域A322では、前記処方データに含まれる前記錠剤ごとについて前記自動鑑査処理の鑑査結果を示す個別結果表示領域A323が個別に表示されている。具体的に、図21に示す例では、「トランサミンカプセル250mg」及び「セファランチン錠1mg」については、鑑査処理の結果が適正である旨を示す「○」が表示されており、「リフレックス錠15mg」については、鑑査処理の結果にエラーが生じている旨を示す「×」が表示されている。これにより、薬剤師は、例えば前記鑑査処理の結果がエラーの原因となった前記錠剤を容易に把握することができる。前記鑑査処理の結果が適正であるか否かを示す情報も分包結果情報の一例である。なお、図22Aに示されるように、鑑査処理の結果が要チェックである場合には、その旨を示す「△」が前記個別結果表示領域A323に表示される。
また、前記制御部21は、前記処方データに処方薬として前記無地薬品が含まれる場合には、前記鑑査詳細画面D303の前記鑑査結果領域A313に要チェック(無地)である旨を表示させることが考えられる。例えば、前記鑑査詳細画面D303では、前記鑑査結果領域A313において、「CHECK(無地)」が、前記第1特定色〜前記第3特定色とは異なる橙色などの第4特定色を背景色として前記鑑査結果領域A313に表示される。また、前記制御部21は、前記調剤詳細領域A322において前記無地薬品に対応する表示欄についても前記第4特定色を背景色として表示させる。これにより、ユーザーは容易に前記無地薬品を特定することが可能である。
同様に、前記制御部21は、前記処方データに処方薬として前記未登録薬品が含まれる場合には、前記鑑査詳細画面D303の前記鑑査結果領域A313に要チェック(未登録)である旨を表示させることが考えられる。例えば、前記鑑査詳細画面D303では、前記鑑査結果領域A313において、「CHECK(未登録)」が、前記第1特定色〜前記第4特定色とは異なる緑色などの第5特定色を背景色として前記鑑査結果領域A313に表示される。また、前記制御部21は、前記調剤詳細領域A322において前記未登録薬品に対応する表示欄についても前記第5特定色を背景色として表示させる。これにより、ユーザーは容易に前記未登録薬品を特定することが可能である。
即ち、前記制御部21は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである場合に、その要チェックの種別(要チェック(画像)、要チェック(無地)、又は要チェック(未登録))を前記鑑査結果領域A313の表示色で表現する。従って、ユーザーは、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである場合に、前記鑑査結果領域A313の配色を参照することでその要チェックの種別を容易に把握することが可能である。そのため、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである場合は、前記鑑査結果領域A313に同一の「CHECK」の文字が表示されてもよい。
ところで、前述したように、前記自動鑑査処理では、前記画像鑑査処理に限らず、前記形状鑑査処理及び前記計数鑑査処理などが実行されることがある。ここで、前記自動鑑査処理で実行された鑑査処理の種別(画像鑑査処理、形状鑑査処理、計数鑑査処理)が前記鑑査結果領域A313とは別の領域に表示されてもよい。一方、前記制御部21が、前記鑑査結果領域A313を用いて、前記自動鑑査処理で実行された鑑査処理の種別を表示させることが考えられる。
例えば、前記制御部21は、前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、前記計数鑑査処理の鑑査結果が全て適正である場合には、前記鑑査結果領域A313に図20Aに示すような「承認待ち」の文字、又は「OK」などの文字を表示させる。但し、前記画像鑑査処理が実行されず前記形状鑑査処理のみ又は前記計数鑑査処理のみが実行された場合、前記制御部21は、前記鑑査結果領域A313に実行された前記自動鑑査処理の種別を表示させることが考えられる。例えば、前記形状鑑査処理が実行されて鑑査結果が適正であって場合は「承認待ち(形状)」と表示され、前記計数鑑査処理が実行されて鑑査結果が適正であった場合には「承認待ち(計数)」と表示されることが考えられる。なお、前記画像鑑査処理が実行されて鑑査結果が適正であった場合に「承認待ち(画像)」と表示されてもよい。さらに、前記鑑査結果領域A313に表示される文字は同じであって、前記鑑査結果が適正である旨を示す前記鑑査結果領域A313の背景色が前記自動鑑査処理の種別に応じて異なることも考えられる。
さらに、前記調剤詳細領域A322では、前記処方データに含まれる前記錠剤の種別ごとに、当該錠剤について実行された前記自動鑑査処理の種別が表示されるモード表示領域A324が表示される。前記モード表示領域A324では、例えば画像鑑査処理、形状鑑査処理、数量鑑査処理などの自動鑑査処理の種別が表示される。これにより、ユーザーは、前記処方データに処方薬として含まれる錠剤各々について実行された前記自動鑑査処理の種別を容易に把握することが可能である。
また、図22Bに示されるように、一部の錠剤について前記画像鑑査処理が実行されると共に、一部の錠剤について前記形状鑑査処理が実行され、それらの鑑査結果が共に適正であった場合には「形状鑑査」が前記鑑査結果領域A313に表示され、前記形状鑑査処理の対象となった錠剤に対応する表示領域の背景が予め設定された配色で表示されてもよい。
また、前記制御部21は、前記形状鑑査処理の鑑査結果だけがエラーである場合には、前記鑑査結果領域A313に「NG(形状)」と表示させ、前記計数鑑査処理の鑑査結果だけがエラーである場合には、前記鑑査結果領域A313に「NG(計数)」と表示させることが考えられる。なお、前記画像鑑査処理の鑑査結果だけがエラーである場合に「NG(画像)」と表示させてもよい。さらに、前記鑑査結果領域A313に表示される文字は同じであって、前記鑑査結果がエラーである旨を示す前記鑑査結果領域A313の背景色が前記自動鑑査処理の種別に応じて異なることも考えられる。
また、前記制御部21は、前記処方データ内の服用タイミングごとの鑑査結果としてエラー又は要チェックなどの複数の状態が同時に発生している場合、前記制御部21は、各状態に予め設定された優先条件に従って、優先度が高い状態を選択して前記鑑査結果領域A313に表示させることが考えられる。例えば、前記鑑査結果としてエラー及び要チェックが発生している場合にはエラーが優先されて前記鑑査結果領域A313に「NG」と表示される。また、前記自動鑑査処理において複数種別の鑑査処理が実行された場合も同様である。例えば、前記画像鑑査処理の鑑査結果で要チェック(画像)が発生し、前記形状鑑査処理又は前記計数鑑査処理の鑑査結果で要チェック(形状)又は要チェック(計数)が発生した場合には、前記画像鑑査処理が優先されて前記要チェック(画像)に対応する「CHECK(画像)」が前記鑑査結果領域A313に表示される。
また、前記鑑査詳細画面D303には、操作キーK312が表示されている。前記操作キーK312は、一又は複数の前記薬包451に対応する服用タイミングについて前記分包処理を再実行させるための再分包操作を開始するための操作キーである。前記再発行キーK312が操作されると、前記制御部21は、前記分包処理の再実行の方法を設定するための再発行操作画面D304を表示させる。ここに、図23は、前記再発行操作画面D304の一例を示す図である。
図23に示されるように、前記再発行操作画面D304では、前記分包処理の再実行の対象として、「全分包」、「CHECK分包のみ」、「NG分包のみ」、「CHECK、NG分包」、及び「指定包」が選択可能である。「全分包」が選択されると、全ての前記薬包451が対象となり、「CHECK分包のみ」が選択されると、鑑査結果が要チェック(要チェック(画像)、要チェック(形状)、要チェック(計数))である前記薬包451のみが対象となる。また、「NG分包のみ」が選択されると、鑑査結果がエラー(エラー(画像)、エラー(形状)、エラー(計数))である前記薬包451が対象となり、「CHECK、NG分包」が選択されると、鑑査結果がエラーである前記薬包451及び要チェックである前記薬包451が対象となる。さらに、「指定包」では、再実行の対象となる前記薬包451を任意に指定することが可能であり、例えば連続指定又は個別指定が可能である。なお、前記分包処理の再実行の対象となる前記薬包451が他の画面で既に指定されている場合には、その指定済みの前記薬包451の薬包番号などの識別情報が、前記指定包の入力欄に表示される。
そして、前記再発行操作画面D304には、再発行の実行を開始させるための再発行キーK315が表示されており、前記制御部21は、前記再発行キーK315の操作に応じて、指定された前記薬包451の前記分包処理を再実行させるための前記再実行データ及び前記再実行指示などを含む制御指示を前記薬品払出装置4に送信する。ここに、係る処理は前記制御部21の再実行処理部213によって実行される。これにより、前記薬品払出装置4では、前記制御指示に従って前記再発行操作画面D304で指定された前記薬包451に対応する服用タイミングについての前記分包処理が再実行される。
<ステップS39>
その後、ステップS39において、前記制御部21は、前記薬品払出装置4に前記分包処理の一部又は全部を再実行させるための再実行制御処理を実行する。ここに、図24は、前記再実行制御処理の一例を示す図である。
[再実行制御処理]
ここで、図24を参照しつつ、前記制御部21によって実行される前記再実行制御処理について説明する。
<ステップS51〜S60>
ステップS51〜S60では、前記処方データついて前記薬品払出装置4で実行された前記分包処理の一部又は全部を再実行させるための処理が実行される。ここでは前記分包処理を実行した前記薬品払出装置4で前記分包処理が再実行される場合について説明する。一方、前記制御部21は、ユーザー操作に応じて又は自動的に、前記処方データについて前記分包処理を実行した前記薬品払出装置4とは異なる薬品払出装置4に一又は複数の服用タイミングについての分包処理を再実行させることも考えられる。これにより、異なる薬品払出装置4で前記分包処理が再実行されることになるため、前記分包処理におけるエラー又は要チェックの発生が回避されることがある。なお、前記制御部510は、前記薬品払出装置4におけるユーザー操作に応じて前記分包処理の一部又は全部の再実行を実行してもよい。この場合、前記鑑査詳細画面D303及び前記再発行操作画面D304も前記薬品払出装置4の前記モニター530に表示され、前記制御部510は、前記モニター530に対するユーザーの再分包操作に応じて一又は複数の服用タイミングについての分包処理を再実行する。
<ステップS51>
ステップS51において、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において全再発行操作が行われたか否かを判断する。より具体的に、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において「全分包」が選択されて操作キーK315が操作された場合に、前記全再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記全再発行操作が行われたと判断すると(S51:Yes)、処理をステップS52に移行させ、前記全再発行操作が行われていなければ(S51:No)、処理をステップS53に移行させる。
<ステップS52>
ステップS52において、前記制御部21は、現在の鑑査対象である前記処方データに対応する前記分包処理を全て再実行させるための制御指示を、前記分包処理を実行した前記薬品払出装置4に送信する再発行処理を実行する。例えば、前記制御指示として、前記処方データが前記薬品払出装置4に再入力される。これにより、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、前記処方データに対応する全ての前記服用タイミングについての分包処理を再実行する。
そして、前記薬品払出装置4の前記制御部510は、前記処方データについて再実行される分包処理においても、前記カメラ462又は463を用いて分包対象の錠剤各々の撮影画像を撮影し、前記処方データに対応付けて記憶する。特に、前記制御部510は、前述したように、前記分包処理のうち前記服用タイミング各々に対応する前記撮影画像を前記服用タイミング各々に対応付けて記憶させる。また、前記制御部510は、前記撮影画像と前記処方データとに基づいて前記服用タイミング各々に対応する前記分包処理の適否を判断する自動鑑査処理を実行し、その自動鑑査処理の鑑査結果を前記処方データに対応付けて記憶する。特に、前記制御部510は、前記服用タイミングごとの前記自動鑑査処理の鑑査結果を前記服用タイミング各々に対応付けて記憶する。
<ステップS53>
ステップS53において、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において要チェックが発生している薬包451(以下、「要チェック包」という)のみの再発行操作が行われたか否かを判断する。より具体的に、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において「CHECK分包のみ」が選択されて操作キーK315が操作された場合に、前記要チェック包のみの再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記要チェック包のみの再発行操作が行われたと判断すると(S53:Yes)、処理をステップS54に移行させ、前記要チェック包のみの再発行操作が行われていなければ(S53:No)、処理をステップS55に移行させる。
<ステップS54>
ステップS54において、前記制御部21は、現在の鑑査対象である前記処方データに対応する前記分包処理のうち要チェックが発生している服用タイミングに対応する分包処理のみを再実行させるための制御指示を前記薬品払出装置4に送信する再発行処理を実行する。これにより、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、前記要チェックが発生している一部の前記服用タイミングについての分包処理のみを再実行する。
なお、このとき前記再発行処理の対象となる前記要チェックが発生している前記服用タイミングは、前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、前記計数鑑査処理のいずれかの鑑査結果が要チェックである服用タイミングである。また、前記再発行操作画面D304において、前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、前記計数鑑査処理を個別に選択可能であることも考えられ、この場合、選択された前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、又は前記計数鑑査処理のいずれか一つ又は複数の鑑査処理の鑑査結果が要チェックである服用タイミングが前記再発行処理の対象となる。
<ステップS55>
ステップS55において、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304においてエラーが発生している薬包451(以下、「NG包」という)のみの再発行操作が行われたか否かを判断する。より具体的に、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において「NG分包のみ」が選択されて操作キーK315が操作された場合に、NG包のみの再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記NG包のみの再発行操作が行われたと判断すると(S55:Yes)、処理をステップS56に移行させ、前記NG包のみの再発行操作が行われていなければ(S55:No)、処理をステップS57に移行させる。
<ステップS56>
ステップS56において、前記制御部21は、現在の鑑査対象である前記処方データに対応する調剤のうちエラーが発生している服用タイミングの前記分包処理のみを再実行させるための制御指示を前記薬品払出装置4に送信する再発行処理を実行する。これにより、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、前記エラーが発生している一部の前記服用タイミングについての前記分包処理のみを再実行する。
なお、このとき前記再発行処理の対象となる前記エラーが発生している前記服用タイミングは、前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、前記計数鑑査処理のいずれかの鑑査結果がエラーである服用タイミングである。また、前記再発行操作画面D304において、前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、前記計数鑑査処理を個別に選択可能であることも考えられ、この場合、選択された前記画像鑑査処理、前記形状鑑査処理、又は前記計数鑑査処理のいずれか一つ又は複数の鑑査処理の鑑査結果がエラーである服用タイミングが前記再発行処理の対象となる。
<ステップS57>
ステップS57において、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304においてNG包及び要チェック包の再発行操作が行われたか否かを判断する。より具体的に、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において「CHECK、NG分包」が選択されて操作キーK315が操作された場合に、NG包及び要チェック包のみの再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記NG包及び要チェック包の再発行操作が行われたと判断すると(S57:Yes)、処理をステップS58に移行させ、前記NG包及び要チェック包の再発行操作が行われていなければ(S57:No)、処理をステップS59に移行させる。
<ステップS58>
ステップS58において、前記制御部21は、現在の鑑査対象である前記処方データに対応する調剤のうちエラー又は要チェックが発生している服用タイミングの前記分包処理のみを再実行させるための制御指示を前記薬品払出装置4に送信する再発行処理を実行する。これにより、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、前記エラー又は前記要チェックが発生している一部の前記服用タイミングについての前記分包処理のみを再実行する。
<ステップS59>
ステップS59において、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において指定包のみの再発行操作が行われたか否かを判断する。より具体的に、前記制御部21は、前記再発行操作画面D304において「指定包」が選択されて操作キーK315が操作された場合に、指定包のみの再発行操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記指定包のみの再発行操作が行われたと判断すると(S59:Yes)、処理をステップS40に移行させ、前記指定包のみの再発行操作が行われていなければ(S59:No)、処理をステップS60に移行させる。
<ステップS60>
ステップS60において、前記制御部21は、現在の鑑査対象の前記処方データに対応する前記分包処理のうち前記再発行操作画面D304において指定されている服用タイミングの分包処理のみを再実行させるための制御指示を前記薬品払出装置4に送信する再発行処理を実行する。これにより、前記薬品払出装置4では、前記制御部510が、前記再発行操作画面D304で指定されている前記服用タイミングについての前記分包処理のみを再実行する。
<ステップS28>
図7の説明に戻り、ステップS28において、前記制御部21は、前記処方データについての前記自動鑑査処理の結果の承認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D303において前記承認キーK311が操作されたか否かを判断する。ここで、前記制御部21は、前記承認操作が行われたと判断すると(S28:Yes)、処理をステップ29に移行させ、前記承認操作が行われていなければ(S29:No)、処理をステップS30に移行させる。
<ステップS29>
ステップS29において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果を承認するための承認処理を実行する。例えば、前記承認処理において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果が承認された旨と、その承認操作を行った薬剤師であるユーザーの識別情報(氏名又はID)とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記憶させる。
具体的に、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D303において前記承認キーK311が操作されると、前記自動鑑査処理の鑑査結果の承認を受け付けて前記処方データに対応付けて記憶する。また、前記制御部21は、図12Bに示されるように、前記鑑査詳細画面D303における前記鑑査結果領域A313に、前記自動鑑査処理の鑑査結果として「承認OK」を表示させる。
<ステップS30>
ステップS30において、前記制御部21は、当該鑑査支援処理を終了するための予め設定された鑑査終了操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における「終了」に対応する操作キーが操作された場合に、前記鑑査終了操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記鑑査終了操作が行われたと判断すると(S30:Yes)、当該鑑査支援処理を終了させ、前記鑑査終了操作が行われていなければ(S30:No)、処理を前記ステップS22に戻す。