〔薬剤払出装置の構成〕
図1は、薬剤払出装置100の構成例を示す斜視図である。図2は、薬剤払出装置100の構成例を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、薬剤払出装置100は、それぞれ同一種類かつ複数の薬剤を収容すると共に、薬剤の払出しを行う複数のカセットを装着可能であり、受け付けた払出指示によって定められた種類の薬剤の払出しを行う。なお、複数のカセットには、それぞれ異なる種類の薬剤(例:錠剤又はカプセル剤)が収容される。但し、複数のカセットの少なくとも一部に、互いに異なる種類の薬剤が収容されればよく、同一種類の薬剤が互いに異なるカセットに収容されても構わない。
薬剤払出装置100は、主として、PC(Personal Computer)10、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16、散薬供給ユニット17、分包ユニット18及び指示書払出部19を備える。
薬剤払出装置100は、PC10が備える制御部11によって制御される。具体的には、制御部11は、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16及び散薬供給ユニット17から供給される錠剤及び散薬等の薬剤を、所定の分包単位(例:服用時期単位)で分包ユニット18により分包して払出す。
図2に示すように、薬剤払出装置100は、処方入力端末200と通信可能に接続される。処方入力端末200は、薬剤払出装置100の上位システムの一例であり、例えば、病院又は老健施設等に配置される電子カルテシステム、院内又は院外の薬局に配置される調剤管理システムである。制御部11は、処方入力端末200から、例えば1患者への投与に係る処方データを取得する。制御部11は、当該処方データに示された薬剤を、当該処方データに示された分包単位で、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16及び散薬供給ユニット17から払出し、分包ユニット18により分包する。
なお、上記「1患者への投与に係る処方データ」としては、例えば、以下の(1)~(3)が挙げられる。1患者への投与に係る処方データを単に処方データと称する。
(1)1患者へ投与される薬剤に関するデータ(1患者単位の処方データ)。
(2)1患者へ投与される1回分の薬剤に関するデータ(1処方単位の処方データ)。
(3)1患者へ投与される1回分の薬剤に対して処方時に分類が付与されている場合の、その分類に関するデータ(1RP(レシピ)単位の処方データ)。
また、薬剤払出装置100は、バーコードリーダ300と通信可能に接続される。バーコードリーダ300は、薬剤の種類を識別するための薬剤識別情報(例:薬剤名、薬剤ID、及び薬剤コード)を読取るものである。なお、薬剤の種類は、後述の分割錠剤又は非分割錠剤を識別する指標ではない。つまり、薬剤識別情報は、分割錠剤又は非分割錠剤を識別するものではない。同一種類の薬剤であれば、分割錠剤でも非分割錠剤でも、同じ薬剤識別情報が付与される。
薬剤識別情報は、JAN(Japanese Article Number)コード、RSS(Reduced space symbology)コード及びQRコード(登録商標)の形式で記憶されていても構わない。JANコード及びRSSコードは、一次元コード(例:バーコード、GS(Global Standard)1コード)で表現される数値又は文字の情報であり、QRコード(登録商標)は、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。
バーコードリーダ300は、薬局の薬剤棚等に設けられた錠剤の収容容器(例:箱、瓶)、又はPTP(Press Through Pack)シート等に記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコード(登録商標)を読取る。バーコードリーダ300により読み取られた薬剤識別情報は、制御部11に入力される。バーコードリーダ300は、例えばPDA(Personal Digital Assistance)等の携帯情報端末で実現されても構わない。
<錠剤供給ユニット>
錠剤供給ユニット15は、薬剤のうち、例えば錠剤を払出すユニットである。つまり、錠剤供給ユニット15が払出対象とする薬剤は、服用できない薬剤容器に収容された薬剤(例:アンプル若しくはバイアル)ではなく、服用できない薬剤容器等には収容されていない薬剤、又は、服用できない包装等が施されていない薬剤自体である。具体的には、錠剤供給ユニット15が払出対象とする薬剤は、円盤状若しくは球状等の錠剤、又はカプセル剤(服用可能な薬剤容器に粉薬等が収容されたもの)等の各種形態の固形薬剤である。本明細書では、錠剤供給ユニット15が払出対象とする薬剤は、分割されていない錠剤である非分割錠剤(非分割薬剤)、又は、分割された錠剤である分割錠剤(例:略半分に分割された錠剤(半錠))(分割薬剤)であるものとして説明する。なお、分割錠剤には、略半分に分割された錠剤に限らず、4分の1(4分の3)に分割された錠剤、3分の1(3分の2)に分割された錠剤等、様々な大きさに分割された錠剤が含まれる。
錠剤供給ユニット15は、払出した錠剤を分包ユニット18に供給する。錠剤供給ユニット15は、主として、固定カセット装着部151(専用カセット装着部)及び可変カセット装着部152(汎用カセット装着部)を備える。また、固定カセット装着部151には、固定カセットCa1(専用カセット)が装着され、可変カセット装着部152には可変カセットCa2(汎用カセット)が装着される。
(固定カセット)
固定カセットCa1は、予め定められた種類の薬剤を払出対象とするカセットである。固定カセットCa1は、払出される対象が特定種類の薬剤に限定されたカセットであるともいえる。つまり、固定カセットCa1には、特定種類の錠剤が予め収容される(予め定められた錠剤が収容される)。
ここで、「特定種類」とは、錠剤の名称(成分)等に基づき分類された錠剤の種類に限らず、錠剤の大きさ(重量)、錠剤の形状、錠剤の表面の状態(質感)、錠剤の硬さ等、様々な指標のうちの少なくとも1つの指標が同一であることを指す。つまり、固定カセットCa1は、錠剤の種類、大きさ、形状、表面の状態、及び硬さ等のうちの少なくとも1つの指標が同一である錠剤の払出しに限定されたものである。なお、錠剤の表面の状態とは、例えば、つるつるしている、ざらざらしている等の触り心地を指す。
同一種類の錠剤であっても、その大きさ等が互いに異なる錠剤も存在する。同一種類の錠剤であっても、その大きさ等が互いに異なる錠剤については、互いに異なる特定種類の錠剤であるため、これらの錠剤は、互いに異なる固定カセットCa1に収容される。
固定カセットCa1は、収容されている錠剤を単位量毎(例:1錠ずつ)払出すことが可能である。例えば、固定カセットCa1は、錠剤が収容される錠剤収容部と、錠剤収容部の下方に設けられ、錠剤収容部に収容された錠剤を個別に払出す錠剤払出部とを備える。錠剤払出部には、払出される錠剤が通過する通過経路(払出経路)が設けられている。この通過経路の幅(通過経路幅)は、固定カセットCa1に収容される錠剤として予め定められた錠剤の外形に応じて、予め規定されている。つまり、固定カセットCa1は、このように規定された幅の通過経路を有するカセットである。
固定カセットCa1は、固定カセット装着部151に取外し可能に装着できる。固定カセット装着部151は、固定カセットCa1を装着可能な装着ユニットである。固定カセット装着部151は、装着された固定カセットCa1から錠剤を払出すために、制御部11からの処方データに基づく錠剤払出の指示を受けて、当該固定カセットCa1の駆動機構に駆動力を供給する。
また、固定カセット装着部151は、RFID(Radio Frequency Identifier)リーダライタ(不図示)を備えていても構わない。RFIDリーダライタは、固定カセットCa1に設けられたRFIDタグ(不図示)に対して情報の読み書きを行う。RFIDタグには、例えば、固定カセットCa1を識別するための固定カセット識別情報が記憶されている。
固定カセット装着部151は、複数個、錠剤供給ユニット15に設けられている。つまり、固定カセットCa1は、固定カセット装着部151の個数分、錠剤供給ユニット15に設けることが可能である。図1の例では、固定カセット装着部151は、縦6×横9の合計54個設けられている(つまり、固定カセットCa1が装着可能な個数が54個である)が、その数はこれに限られず、1個以上あればよい。
固定カセットCa1は、2種類のカセットを含む。具体的には、図2に示すように、固定カセットCa1は、非分割錠剤固定カセットCa11(非分割薬剤専用カセット)と、分割錠剤固定カセットCa12(分割薬剤専用カセット)と、を含む。非分割錠剤固定カセットCa11は、特定種類の薬剤として非分割錠剤を払出すことが可能な固定カセットである。分割錠剤固定カセットCa12は、特定種類の薬剤として分割錠剤を払出すことが可能な固定カセットである。つまり、非分割錠剤固定カセットCa11は、予め収容された非分割錠剤を払出すものであり、分割錠剤固定カセットCa12は、予め収容された分割錠剤を払出すものである。なお、固定カセットCa1として、非分割錠剤固定カセットCa11及び分割錠剤固定カセットCa12の何れか一方のみが装着されていても構わない。
(可変カセット)
可変カセットCa2は、払出指示が示す種類の薬剤を払出対象とするカセットである。可変カセットCa2は、払出される対象が特定種類の薬剤に限定されていないカセットであるともいえる。つまり、可変カセットCa2には、複数種類の錠剤のうちの1種類の錠剤が収容される。可変カセットCa2は、固定カセットCa1とは異なり、可変カセットCa2には予め定められた特定種類の錠剤が収容されているわけではなく、例えば処方データに応じて、可変カセットCa2に収容される錠剤を適宜変更できる。可変カセットCa2は、駆動条件の変更により、収容された任意の種類の薬剤を単位量毎に払出すことが可能である。可変カセットCa2は、後述するように、収容される錠剤の種類に応じて、錠剤の通過経路幅を変更可能なカセットであるともいえる。
可変カセットCa2は、可変カセット装着部152に取外し可能に装着できる。可変カセット装着部152は、可変カセットCa2を装着可能な装着ユニット(モーターベース)である。可変カセット装着部152は、装着された可変カセットCa2から錠剤を払出すために、制御部11からの処方データに基づく錠剤払出の指示を受けて、当該可変カセットCa2の駆動機構に駆動力を供給する。
例えば錠剤を払出すときに、処方データに応じて、ユーザが所有する可変カセットCa2のうちの1つに、払出対象の錠剤のうちの1種類の錠剤が割り付けられる。その後、割り付けられた錠剤に対応するように駆動条件の変更(例:通過経路幅の調整)を行った後、可変カセット装着部152のロックを解除する。これにより、可変カセットCa2が可変カセット装着部152から取外し可能な状態となる。ユーザは、割り付けられた錠剤が可変カセットCa2に収容されていない、又は不足している場合には、当該錠剤を収容した後、当該可変カセットCa2を可変カセット装着部152に戻すことで、当該可変カセットCa2からの錠剤の払出しが可能となる。
なお、可変カセットCa2が可変カセット装着部152に設けられていない場合には、後述のLED(Light Emitting Diode)153が点灯する。この場合、ユーザは、可変カセットCa2を、点灯したLED153を備える可変カセット装着部152に取り付ける。これにより、可変カセットCa2への錠剤の割り付け及び収容が可能となる。
また、可変カセット装着部152は、RFIDリーダライタ(不図示)を備えていても構わない。RFIDリーダライタは、可変カセットCa2に設けられたRFIDタグ(不図示)に対して情報の読み書きを行う。RFIDタグには、例えば、可変カセット識別情報、及び、薬剤払出処理において可変カセットCa2に割り付けられた錠剤の薬剤識別情報が記憶される。
可変カセットCa2は、2種類のカセットを含む。具体的には、図2に示すように、可変カセットCa2は、非分割錠剤可変カセットCa21(非分割薬剤汎用カセット)と、分割錠剤可変カセットCa22(分割薬剤汎用カセット)と、を含む。非分割錠剤可変カセットCa21は、非分割錠剤を払出すことが可能な可変カセットである。分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤を払出すことが可能な可変カセットである。つまり、非分割錠剤可変カセットCa21は、例えば薬剤払出処理において収容された非分割錠剤を払出すものであり、分割錠剤可変カセットCa22は、例えば薬剤払出処理において収容された分割錠剤を払出すものである。
なお、可変カセットCa2として、非分割錠剤可変カセットCa21及び分割錠剤可変カセットCa22の何れか一方のみが装着されていても構わない。また、非分割錠剤可変カセットCa21及び分割錠剤可変カセットCa22の何れも装着されていなくても構わない。必要に応じて(例:処方データの内容に応じて)、非分割錠剤可変カセットCa21又は分割錠剤可変カセットCa22の装着が促される。
また、分割錠剤可変カセットCa22は、少なくとも分割錠剤を払出すことが可能な可変カセットであればよい。つまり、分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤だけでなく、非分割錠剤を払出すことが可能であっても構わない。
可変カセット装着部152は、複数個、錠剤供給ユニット15に設けられている。つまり、可変カセットCa2は、可変カセット装着部152の個数分、錠剤供給ユニット15に設けることが可能である。図1の例では、可変カセット装着部152は、固定カセット装着部151の下方に縦1×横4の合計4個設けられており、その全てに可変カセットCa2が設けられている。可変カセット装着部152の個数(装着可能な可変カセットCa2の個数)はこれに限らず、1個以上あればよい。可変カセット装着部152の個数は、例えば、縦2×横4の合計8個(つまり、装着可能な可変カセットCa2の個数が8個)であっても構わない。
なお、錠剤供給ユニット15は、固定カセットCa1を有さず、複数の可変カセットCa2のみを有していても構わない。
(可変カセットCa2の詳細)
可変カセットCa2の構造の詳細について説明する。非分割錠剤可変カセットCa21及び分割錠剤可変カセットCa22の構造はほとんど同じである。そのため、ここでは分割錠剤可変カセットCa22を例に挙げて説明する。
図3の(a)は、可変カセット装着部152に分割錠剤可変カセットCa22が取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)は、可変カセット装着部152の構成例を示す斜視図であり、(c)は、カウントセンサー154の配置例を示す図である。図4の(a)は、カバー部を取り外した状態の分割錠剤可変カセットCa22の構成例を示す斜視図であり、(b)は、当該状態の分割錠剤可変カセットCa22の一部を示す平面図である。図5は、高さ規制体224及び幅規制体225の構成例を示す図である。図6の(a)及び(b)は、分割錠剤可変カセットCa22が備えるガイド部材226の構成例を示す図であり、(c)は、非分割錠剤可変カセットCa21が備えるガイド部材326の構成例を示す斜視図である。図7の(a)~(c)は、第2回転体223の動作例を説明するための図である。
図3の(a)に示すように、可変カセット装着部152に可変カセットCa2(図3では分割錠剤可変カセットCa22)が接続されることで、可変カセット装着部152の制御を受けて可変カセットCa2による分割錠剤の払出処理が実現する。可変カセットCa2は、投入された錠剤を払出口227(図3の(c)参照)まで順送りすることで、払出口227から錠剤を払出す部材である。可変カセット装着部152は、上述のように、可変カセットCa2が装着されると共に接続されることで、可変カセットCa2の動作を制御する部材である。
可変カセット装着部152は、図3の(b)に示すように、LED153及びカウントセンサー154を備える。
LED153は点灯することで、可変カセット装着部152に可変カセットCa2(払出対象の錠剤を収容する可変カセットCa2)が装着されていないことを通知する通知部である。これにより、例えば処方データの内容に応じて、可変カセットCa2の入れ替え(例:非分割錠剤可変カセットCa21から分割錠剤可変カセットCa22への入れ替え、又はその逆)をユーザに案内できる。
通知部は、LED153に限らず、その他の点灯部材であっても構わないし、音を出力する音出力部材であっても構わない。その他、文章、記号、図形等を表示する表示部材で実現されても構わない。音出力部材及び表示部材は、PC10で実現されても構わない。
カウントセンサー154は、図3の(c)に示すように、可変カセットCa2の第2回転体223から送り出され、払出口227を通過(落下)した錠剤を検知するセンサーである。カウントセンサー154は、払出口227を通過した錠剤を検知することで、その個数をカウントする。カウントセンサー154は、第2回転体223から送り出された錠剤の通過経路上に対象物の検出範囲が形成されるように配置される(図3の(c)の「光軸」参照)。
また、図3の(a)に示すように、可変カセットCa2は、表示部221を備える。表示部221には、例えば、可変カセットCa2に収容される錠剤の錠剤名等が表示される。また、表示部221には、例えば、可変カセットCa2が非分割錠剤可変カセットCa21であるか、又は分割錠剤可変カセットCa22であるかを示す情報が表示される。
例えば、可変カセットCa2が可変カセット装着部152に装着されたときに、制御部11は、収容される錠剤の情報等を含む画像を表示部221に表示させる。表示部221は、例えば、通電により画像が表示されると(表示内容が書き込まれると)、その後は無通電状態でもその画像の表示を維持する電子ペーパーである。これに限らず、液晶ディスプレイ等の他の表示部であっても構わない。
分割錠剤可変カセットCa22は、図4に示すように、主として、第1回転体222、第2回転体223、高さ規制体224、幅規制体225、及びガイド部材226を備える。
分割錠剤可変カセットCa22では、分割錠剤は第1回転体222に投入される。その後、分割錠剤は、第1回転体222の回転により移動領域Ar1において第1回転体222から第2回転体223へと乗り移り、第2回転体223の回転により、第2回転体223上から払出口227へと落下する。また、第2回転体223上の分割錠剤は、高さ規制体224及び幅規制体225により1列に整列させられる。
第1回転体222及び第2回転体223は、投入された分割錠剤を払出口227まで搬送する薬剤搬送機構として機能する。具体的には、第1回転体222及び第2回転体223は、順送り(正転)の場合、投入された分割錠剤を、払出口227へ向けて搬送する。逆送り(逆転)の場合、第2回転体223は、第2回転体223上に載置された分割錠剤を、順送りする方向とは逆方向へ搬送する。
第1回転体222は、回転することにより、投入された分割錠剤を外周側(径方向外側)へ移動させる回転部材(内円盤、内輪)である。具体的には、図4に示すように、第1回転体222は、第1軸部222Aを中心として回転する円盤状の回転部材である。図4の(a)に示すように、第1回転体222は、XY平面(例:分割錠剤可変カセットCa22の載置面)に対して傾斜するように配設されている。
第2回転体223は、図4に示すように、円環状の回転部材であり、第1回転体222の上側(+Z軸方向)に位置するように配設されている。第2回転体223は、第2回転体223の第2回転軸が±Z軸方向に延伸し、かつその上面がXY平面と略平行となるように水平配置されている。
また、第2回転体223は、第2回転軸の軸方向(+Z軸方向)から見ると、第1回転体222の外周に沿って配置されており、回転することにより、第2回転体223上に載置された分割錠剤を例えば払出口227へと搬送する回転部材(外円盤、外輪)である。
第1回転体222及び第2回転体223は、順送り時には、投入された分割錠剤が払出口227へ向けて搬送されるように同一方向に回転する。移動領域Ar1にて第1回転体222から第2回転体223へと乗り移った分割錠剤の少なくとも一部は、払出口227まで順送りされ、残余の分割錠剤は、高さ規制体224、幅規制体225及びガイド部材226(第1変位部材226A及び第2変位部材226B)により、第1回転体222側へと落下させられる。
高さ規制体224及び幅規制体225は、第1回転体222及び第2回転体223により順送りされた分割錠剤の通過をその分割錠剤の大きさに応じて規制するために分割錠剤の通過経路幅を規定し、かつ通過経路幅を変更すべく移動可能な規制体である。高さ規制体224及び幅規制体225は、図4に示すように、第2回転体223上に、分割錠剤が一列に並んで払出口227へ搬送可能な、分割錠剤の通過経路Roを規定する。
高さ規制体(高さガイド)224は、通過経路幅として、図5に示す移送高さW1を規制するものである。幅規制体225は、通過経路幅として、図4の(b)に示す移送幅W21及びW22を規制するものである。移送高さW1は、高さ規制体224の第1高さ規制部224Aの下面と第2回転体223の上面との間隔である。換言すれば、移送高さW1は、高さ規制体224の、通過経路Roの表面からの距離である。移送幅W21は、第2回転体223の内周部から、幅規制体225の第1壁面225S1までの間隔であり、移送幅W22は、ガイド部材226から、幅規制体225の第2壁面225S2までの間隔である。
高さ規制体224は、第2回転体223の上面において移送高さW1を規定するために、±Z軸方向に移動する。具体的には、高さ規制体224は、図4の(a)及び図5に示すように、第1高さ規制部224A及び第2高さ規制部224Bを備える。
第1高さ規制部224A及び第2高さ規制部224Bは、順送り時に、第2回転体223に載置された分割錠剤が高さ方向(+Z軸方向)に重なった状態で払出口227へ搬送されることを防止する部材である。第1高さ規制部224Aは、移動領域Ar1に対して、順送り時の薬剤移送方向下流側に、かつ第2回転体223の上方に位置するように配設されている。第2高さ規制部224Bは、払出口227に対して、順送り時の薬剤移送方向上流側に、かつ第2回転体223の上方に位置するように配設されている。
幅規制体(幅ガイド)225は、図5に示すように、高さ規制体224とともに、移動領域Ar1に対して、順送り時の薬剤移送方向下流側に、かつ第2回転体223の上方に位置するように配設されている。幅規制体225は、図4の(b)に示すように、第2回転体223の内周部の直径より大きい直径を有する第1壁面225S1(湾曲面)と、第1壁面225S1の、順送り時の薬剤移送方向下流側に位置する第2壁面225S2とを有する。幅規制体225が略±Y軸方向に移動することにより、移送幅W21及びW22を調整できる。第1壁面225S1の周方向の一部において最小の移送幅W21を形成可能なように、幅規制体225と第2回転体223との位置関係が規定される。
ガイド部材226は、図6の(a)に示すように、払出口227に接続された、第2回転体223により形成される分割錠剤の通過経路Roの一部を規定し、かつ、払出口227へと分割錠剤をガイドする部材である。ガイド部材226は、図4の(b)に示すように、幅規制体225の第2壁面225S2と対向する位置に立設され、第2壁面225S2と共に、通過経路Roの一部を規定する。ガイド部材226が規定する通過経路Roは、第1壁面225S1を通過した分割錠剤が払出口227へとガイドされる、第2回転体223上の端部領域(薬剤ガイド領域)ともいえる。
ガイド部材226は、第1変位部材226A、第2変位部材226B、固定部材226C、及び支持部材226Dを備える。
固定部材226Cは、第2回転体223上に設置された非変位部材であり、通過経路Roの側壁を規定する側壁部材(第1側壁部材)である。なお、幅規制体225もまた、当該側壁を規定する側壁部材(第2側壁部材)といえる。支持部材226Dは、固定部材226Cから上流側に延伸しており、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを、支持部材226Dの下方に吊下げるように支持する。
第1変位部材226A及び第2変位部材226Bは、支持部材226Dから吊下げられていることにより、第2回転体223により搬送される分割錠剤が接触することにより変位すると共に、分割錠剤に対してその変位を打ち消す向きに働く力を及ぼす。これにより、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bは、分割錠剤の向き又は位置を調整して所定幅(移送幅W22)に規定された下流側(薬剤ガイド領域)への分割錠剤の搬送を補助する。
第1変位部材226A及び第2変位部材226Bの変位(揺動)により、分割錠剤に与えられる衝撃を吸収できる。そのため、分割錠剤の破損を防止できる。また、上記力が分割錠剤に与えられることで、分割錠剤の向き(姿勢)を矯正できる。また、固定部材226Cによって分割錠剤の搬送が妨げられないように、分割錠剤の位置も矯正できる。そのため、固定部材226Cにおける分割錠剤の詰まり発生を抑制できる。
具体的には、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bは、固定部材226Cの上流側に配置されている。これにより、順送りされてきた分割錠剤を固定部材226Cに接触させる前に、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bに接触させることができる。そのため、固定部材226Cへの接触による分割錠剤の破損を防止できる。
また、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bは、分割錠剤が固定部材226Cの一端(上流側の一端)に接触することを抑制するように、分割錠剤の向き又は位置を変化させる。このように向き又は位置を変化させることで、固定部材226Cの一端への接触による分割錠剤の破損を防止しつつ、当該一端における分割錠剤の詰まり発生を抑制できる。
また、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bという2つの変位部材を設けていることで、段階的に分割錠剤の向き又は位置を変化させることができる。そのため、上記分割錠剤の詰まり発生を効率良く抑制できる。
分割錠剤は破損しやすい。そのため、分割錠剤を取り扱う分割錠剤可変カセットCa22において、ガイド部材226に第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを設け、分割錠剤の破損を防止しつつ、分割錠剤を払出口227へ搬送できるようにすることは有益である。
また、分割錠剤は、丸みを帯びた非分割錠剤と異なり、特殊な形状(分割された表面を含む形状)を有する。そのため、分割された表面の角部が幅規制体225及び固定部材226Cに接触することで、分割錠剤の搬送が妨げられ、分割錠剤が詰まりやすい。そのため、この観点からも、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを設けることは有益である。
また、図6の(a)に示すように、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bは、払出口227側から見て、固定部材226C、第1変位部材226A、及び第2変位部材226Bの順に配置されるように、固定部材226Cに接続されている。つまり、分割錠剤可変カセットCa22は、変位部材として、第1変位部材226Aと、第1変位部材226Aよりも上流側に(払出口227から遠い位置に)配置された第2変位部材226Bと、を備える。
図7の(a)に示すように、分割錠剤がガイド部材226に引っ掛かるような状態で搬送されてきた場合であっても、第1変位部材226Aに分割錠剤MDが接触することで、その向き又は位置が矯正される。これにより、ガイド部材226での引っ掛かりの発生を抑制できるので、分割錠剤可変カセットCa22は効率良く分割錠剤MDを払出すことができる。なお、第2変位部材226Bも同様の効果を奏する。つまり、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを設けることで、2段階で分割錠剤MDの向き又は位置を矯正できる。
しかしながら、分割錠剤MD11の向き又は位置によっては、図7の(b)に示すように、順送り時に、第1変位部材226Aにより分割錠剤MD11の向き又は位置を矯正しきれず、分割錠剤MD11が固定部材226Cに引っ掛かってしまう場合もある。この場合、分割錠剤MD12の移動は、分割錠剤MD11に妨げられてしまう。
この状態において、第2回転体223は逆送り動作を行った場合、図7の(c)に示すように、分割錠剤MD11を第2変位部材226Bに引っ掛けつつ、分割錠剤MD12については第1高さ規制部224Aの方向に移動させることができる。つまり、分割錠剤MD11及びMD12の間隔を広げることができる。
この状態において、再度第2回転体223が順送り動作を行った場合、図7の(a)に示すように、分割錠剤MD12が接触していない状態で、分割錠剤MD11を第1変位部材226Aに接触させることができる。そのため、分割錠剤MD11の向き又は位置を矯正できる。
また、分割錠剤MD11の向き又は位置は、逆送り時に第2変位部材226Bに引っ掛かったときに、固定部材226Cに引っ掛かってしまったときとは異なる向き又は位置に変更される可能性が高い。そのため、第1変位部材226Aに分割錠剤MD11を再度接触させることで、分割錠剤MD11の向き又は位置を、通過経路Roを通過できる程度に矯正できる可能性が高まる。
また、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bは、以下のような形状を有していても構わない。
例えば、第2変位部材226Bは、順送り時の分割錠剤の破損を防止するため、分割錠剤を順送りしたときに当該分割錠剤が接触しても当該分割錠剤の移動を妨げない形状を有する。加えて、第2変位部材226Bは、逆送り時に前方の分割錠剤と後方の分割錠剤との間隔を広げるために、第1変位部材226Aに接触した分割錠剤を逆送りしたときに、当該分割錠剤が接触することで当該分割錠剤の移動を抑制できる形状を有する。本実施形態では、図6の(b)に示すように、第2変位部材226Bの断面形状は略D形状である。
一方、第1変位部材226Aは、分割錠剤の破損を防止するため、順送り時の分割錠剤の移動も、逆送り時の分割錠剤の移動も妨げない形状を有する。本実施形態では、図6の(b)に示すように、第1変位部材226Aの断面形状は略円形状である。
なお、非分割錠剤可変カセットCa21は、分割錠剤可変カセットCa22と同様の機能を有する。但し、分割錠剤可変カセットCa22の払出対象となる錠剤は分割錠剤であるのに対し、非分割錠剤可変カセットCa21の払出対象となる錠剤は非分割錠剤である。そのため、非分割錠剤可変カセットCa21は、分割錠剤を払出すための機能を有している必要は無い。
具体的には、非分割錠剤可変カセットCa21は、第2高さ規制部224Bを有している必要は無い。分割錠剤は、特殊な形状を有するため、固定部材226Cで分割錠剤が詰まったときに上下方向に重なりやすい。第2高さ規制部224Bは、このような状況を回避すべく設けられたものである。非分割錠剤の場合、このような状況は生じにくい。
また、非分割錠剤可変カセットCa21は、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを備えている必要は無い。非分割錠剤可変カセットCa21は、ガイド部材226に代えて、図6の(c)に示すガイド部材326を備えていても構わない。ガイド部材326は、ガイド部材326での錠剤の引っ掛かりを防止すべく、順送り時に錠剤が接触する接触部分326Aが傾斜を有している。
ガイド部材326は固定されているため、錠剤の向きを変更しにくい。上述の通り、分割錠剤は特殊な形状を有しているため、接触部分326Aに引っ掛かりやすく、また乗り上がりやすい。分割錠剤が接触部分326Aに乗り上がった場合には、後続の分割錠剤上に落ちてしまい、2つの分割錠剤が重なった状態で払出口227から払出されてしまう可能性がある。さらに、接触部分326Aへの接触により、分割錠剤が破損しやすい。これらの問題点を解消すべく、分割錠剤可変カセットCa22では、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを有するガイド部材226が採用されている。一方、非分割錠剤を払出す非分割錠剤可変カセットCa21では、上記のような問題は生じにくいため、ガイド部材326が採用されてよい。
<手撒きユニット>
手撒きユニット16は、払出す錠剤をユーザにより投入することが可能なユニットである。手撒きユニット16は、ユーザにより分包単位で錠剤が投入される複数の手撒き収容部と、各手撒き収容部に収容された錠剤を手撒き収容部毎に払出す手撒き払出部と、を備える。
複数の手撒き収容部はマトリクス状に配置されている。手撒き払出部は、例えば、各手撒き収容部の底面に、各手撒き収容部を個別に開閉可能なように設けられる。ユーザは、どの錠剤をどの手撒き収容部に収容するかを表記した指示書を確認しながら、各手撒き収容部に錠剤を収容する。その後、制御部11の制御を受けて、分包ユニット18で分包されるタイミングに合わせて、各手撒き収容部が個別に開くことにより、各手撒き収容部に収容された錠剤が払出される。
手撒きユニット16には、例えば、固定カセットCa1に収容されていない錠剤であって、可変カセットCa2を用いた錠剤の払出しができない場合(例:ユーザが所有している可変カセットCa2の全てが使用状態である場合)に用いられる。但し、可変カセットCa2に空きがある場合であっても、固定カセットCa1に収容されていない錠剤の払出しに、手撒きユニット16が採用されても構わない。
<散薬供給ユニット>
散薬供給ユニット17は、薬剤のうち、例えば散薬を払出すユニットである。図1に示すように、散薬供給ユニット17は、投入部171及び172を備えており、投入部171及び172のそれぞれに投入された散薬を分包単位で払出し、分包ユニット18に供給する。
<分包ユニット>
分包ユニット18は、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16及び散薬供給ユニット17から供給された薬剤を、分包単位毎(例:服用時期毎)に薬包シートに収容することで、薬剤が分包された薬包を生成する。例えば、分包ユニット18は、透明又は半透明のロール状の薬包シートにより分包単位毎に薬剤を包装して溶着等により封止する。これにより、分包単位毎に薬剤が分包された薬包が分包ユニット18から払出される。
また、分包ユニット18は、各薬包に収容された薬剤が適切であるか否かをユーザが検査するための検薬包を、薬包と共に払出す。検薬包は、薬剤が分包されていない空包であり、検薬包には、各薬包に収容されるべき薬剤の情報(例:薬剤名、錠剤の収容数)が印字される。検薬包は、排出される薬包の前段又は後段部分に付与される。
<指示書払出部>
指示書払出部19は、分包ユニット18に払出される錠剤のうち、どの錠剤を可変カセットCa2に収容し、どの錠剤を手撒きユニット16に収容するのかを表記した指示書を払出す。ユーザは、払出された指示書を確認することで、どの薬剤を何個、非分割錠剤可変カセットCa21若しくは分割錠剤可変カセットCa22に収容するのか、又は手撒きユニット16のどの手撒き収容部に収容するのかを把握できる。
<PC>
PC10は、制御部11、記憶部12、各種情報を表示する表示部13、及び各種ユーザ操作を受付ける操作部14を備える。なお、PC10は、薬剤払出装置100が備えるものとして説明するが、薬剤払出装置100に接続される、薬剤払出装置100とは異なる別の装置として実現されても構わない。
制御部11は、薬剤払出装置100の各部を統括的に制御する。制御部11の機能は、記憶部12に記憶されたプログラムを、CPU(Central Processing Unit)が実行することで実現されてよい。制御部11の機能については後述する。
記憶部12は、制御部11が実行する各種のプログラム、及び当該プログラムによって使用されるデータを格納する。
記憶部12には、例えば、複数種類の薬剤に関する様々な情報を管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)が記憶されている。薬剤データベースには、薬剤識別情報の他、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬等)、錠剤のサイズ(例:高さ(厚み)及び幅(直径))、比重、種別(例:普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬)、配合変化、賦形薬品、注意事項等の情報が含まれる。
また、記憶部12には、固定カセット識別情報と固定カセットCa1に収容されている錠剤を示す薬剤識別情報との対応関係を示すカセットデータベース(カセットマスタ)が記憶されている。
その他、記憶部12には、割付情報(割当情報)及び駆動対応情報等が記憶されている。割付情報は、可変カセット識別情報と、可変カセットCa2に割り付けられた錠剤を示す薬剤識別情報との対応関係を示す情報である。駆動対応情報は、薬剤識別情報と可変カセットCa2の駆動条件(例:移送高さ、移送幅、第1回転体222及び第2回転体223の回転速度)との対応関係を示す情報である。
(制御部の詳細)
制御部11は、主として、払出特定部111、通知制御部112、幅算出部113、分包制御部114、表示制御部115、及び印字・書換制御部116を備える。
払出特定部111は、処方データに示された払出対象となる薬剤を、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16、及び散薬供給ユニット17の何れから払出すのかを特定する。払出特定部111は、処方入力端末200(又は操作部14)から処方データを取得すると、薬剤データベースを参照することで、処方データに含まれる各種薬剤(払出対象となる各種薬剤)が散薬であるか錠剤であるかを特定する。
散薬の場合、払出特定部111は、散薬供給ユニット17を、当該散薬を払出すためのユニットとして特定する。このとき、表示制御部115は、散薬供給ユニット17に散薬を投入する旨をユーザに促すための画像を表示部13に表示させる。錠剤の場合、払出特定部111は、錠剤供給ユニット15及び手撒きユニット16の何れかを、当該錠剤を払出すためのユニットとして特定する。
錠剤の場合、具体的には、払出特定部111は、カセットデータベースを参照して、払出対象となる錠剤が固定カセットCa1に収容されているか否か(つまり、当該固定カセットCa1が当該錠剤を払出対象とするカセットであるか否か)を判定する。払出特定部111は、払出対象となる錠剤が固定カセットCa1に収容されていると判定した場合には、当該錠剤を払出すためのカセットとして当該固定カセットCa1を特定する。
より具体的には、払出特定部111は、処方データに含まれる錠剤の払出数量が整数である場合には、当該錠剤(非分割錠剤)が収容されている非分割錠剤固定カセットCa11を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定する。
また、処方データに含まれる錠剤の払出数量が整数でない場合には、当該錠剤を、非分割錠剤及び分割錠剤の組合せ、又は、分割錠剤として払出すことになる。例えば任意の錠剤についてn.m錠(nは0以上の整数、mは正の数)を払出す必要がある場合、n≧1であれば非分割錠剤及び分割錠剤の組合せを、n=0であれば分割錠剤のみを払出すことになる。
そのため、処方データに含まれる錠剤の払出数量が整数でない場合、払出特定部111は、払出数量に応じて、以下のようにカセットを特定する。つまり、払出特定部111は、n≧1の場合、当該錠剤(非分割錠剤)が収容されている非分割錠剤固定カセットCa11、及び当該錠剤(分割錠剤)が収容されている分割錠剤固定カセットCa12を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定する。一方、払出特定部111は、n=0の場合、当該錠剤(分割錠剤)が収容されている分割錠剤固定カセットCa12のみを、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定する。
一方、払出特定部111は、払出対象となる錠剤が固定カセットCa1に収容されていないと判定した場合には、当該錠剤を可変カセットCa2から払出すことが可能であるか否かを判定する。
払出特定部111は、払出対象となる錠剤が収容された非分割錠剤固定カセットCa11が無いと判定した場合、非分割錠剤可変カセットCa21を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定する。同様に、払出特定部111は、払出対象となる錠剤が収容された分割錠剤固定カセットCa12が無いと判定した場合、分割錠剤可変カセットCa22を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定する。
この場合、例えば、払出特定部111は、割付情報を参照することで、使用可能な非分割錠剤可変カセットCa21(例:空いている非分割錠剤可変カセットCa21)のうちの1つを、上記錠剤を払出すためのカセットとして特定しても構わない。同様に、例えば、払出特定部111は、割付情報を参照することで、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22のうちの1つを、上記錠剤を払出すためのカセットとして特定しても構わない。
なお、払出特定部111は、払出対象とする錠剤を可変カセットCa2に割り付けたときに、当該可変カセットCa2を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定しても構わない。この場合、払出特定部111は、払出対象とする錠剤を可変カセットCa2に割り付けたときに、可変カセット識別情報と、当該錠剤の薬剤識別情報とを対応付ける。この対応付けにより、記憶部12の割付情報を更新する。
払出特定部111は、払出対象となる錠剤が収容された固定カセットCa1、及び当該錠剤を収容可能な可変カセットCa2が無いと判定した場合には、手撒きユニット16を、当該錠剤を払出すためのユニットとして特定する。このとき、表示制御部115は、手撒きユニット16に錠剤を投入する旨をユーザに促すための画像を表示部13に表示させる。
このように、払出特定部111は、錠剤の払出指示に基づき固定カセットCa1及び可変カセットCa2の中から錠剤を払出すためのカセットを特定する。
具体的には、払出特定部111は、受け付けた薬剤の払出指示に分割錠剤の払出指示が含まれている場合には、分割錠剤可変カセットCa22を、分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。これにより、薬剤払出装置100は、従来のように、全ての分割錠剤の払出しを手撒きユニット16を用いて行う必要が無い。指示書を確認しながら手撒きユニット16の各手撒き収容部に正確に錠剤を収容していく作業は、ユーザにとっては負担の大きい作業である。分割錠剤可変カセットCa22を用いた場合、払出数量の分割錠剤を分割錠剤可変カセットCa22の第1回転体222に投入するだけでよい。そのため、薬剤払出装置100は、分割錠剤の払出しにおいて、ユーザの作業負担を軽減できると共に、払出効率を向上させることができる。
また、払出特定部111は、薬剤の払出指示に非分割錠剤の払出指示が含まれている場合には、非分割錠剤可変カセットCa21を、非分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。これにより、薬剤払出装置100は、分割錠剤固定カセットCa12に代えて、非分割錠剤可変カセットCa21から払出すことができる。
また、払出特定部111は、薬剤の払出指示に非分割錠剤の払出指示が含まれており、かつ、当該非分割錠剤を払出対象とする非分割錠剤固定カセットCa11が存在する場合には、非分割錠剤可変カセットCa21より優先して、非分割錠剤固定カセットCa11を、非分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。同様に、払出特定部111は、薬剤の払出指示に分割錠剤の払出指示が含まれており、かつ、当該分割錠剤を払出対象とする分割錠剤固定カセットCa12が存在する場合には、分割錠剤可変カセットCa22より優先して、分割錠剤固定カセットCa12を、分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。
これにより、払出対象となる錠剤が収容されている固定カセットCa1が存在する場合には、固定カセットCa1から優先して払出すことができる。一般に、固定カセットCa1の個数は可変カセットCa2よりも多い。そのため、固定カセットCa1から優先して払出した方が、効率良く錠剤を払出すことができる。
また、固定カセットCa1の場合、予め収容される錠剤の種類が決まっているため、可変カセットCa2のように、固定カセットCa1へ錠剤の割り付けを行う必要が無い。つまり、錠剤を払出すためのカセットとして固定カセットCa1を優先することで、錠剤の割り付け処理を行うことなく、払出対象の錠剤を払出すことができる。また、固定カセットCa1に払出数量以上の錠剤が予め収容されている場合には、錠剤の充填作業を行うことなく、払出対象の錠剤を払出すことができる。
なお、上記では、払出特定部111は、可変カセットCa2に優先して固定カセットCa1を、処方データに含まれる錠剤を払出すためのカセットとして特定するが、これに限られない。払出特定部111は、例えば、固定カセットCa1に優先して可変カセットCa2を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定しても構わない。また、薬剤識別情報に対応付けて払出先が設定されている場合には、当該払出先が示す固定カセットCa1又は可変カセットCa2を、当該錠剤を払出すためのカセットとして特定しても構わない。
また、払出特定部111は、処方データに含まれる分割錠剤についての分割錠剤可変カセットCa22の使用の許否に基づき、分割錠剤可変カセットCa22を、当該分割錠剤を払出すためのカセットとして特定するか否かを判定しても構わない。
この場合、錠剤の種類毎に、分割錠剤可変カセットCa22の使用の許否が予め設定されている。つまり、錠剤の薬剤識別情報に紐付けて、上記使用の許否を示す許否情報が記憶部12に記憶されている。許否情報は、薬剤払出装置100の工場出荷時に設定されても構わないし、ユーザが適宜設定して構わない。また、払出特定部111は、許否情報を設定した時点で、設定日時を登録しても構わない。
錠剤の中には、破損しやすい(例:割れやすい)錠剤が存在する。また、分割錠剤の場合、特殊な形状を有するため、非分割錠剤に比べて破損しやすい。そのため、破損しやすい分割錠剤については、分割錠剤可変カセットCa22からの払出しを不可とすることで、分割錠剤可変カセットCa22を使用することに伴う分割錠剤の破損を防止できる。なお、払出特定部111は、分割錠剤可変カセットCa22からの払出しが不可に設定された分割錠剤については、当該分割錠剤を払出すためのユニットとして、手撒きユニット16を特定する。
なお、払出特定部111は、処方データに含まれる非分割錠剤についての非分割錠剤可変カセットCa21の使用の許否に基づき、非分割錠剤可変カセットCa21を、当該薬剤を払出すためのカセットとして特定するか否かを判定しても構わない。この場合、破損しやすい錠剤について非分割錠剤可変カセットCa21の使用を不可とすることで、非分割錠剤可変カセットCa21を使用することに伴う錠剤の破損を防止できる。
通知制御部112は、錠剤を払出すためのカセットとして可変カセットCa2を特定するときに、可変カセット装着部152に可変カセットCa2が装着されていない場合、可変カセット装着部152に可変カセットCa2が装着されていないことを通知する。
例えば、通知制御部112は、払出特定部111が可変カセットCa2を特定するとき(払出特定部111が可変カセットCa2に払出対象の錠剤を割り付けるとき)に、当該可変カセットCa2が可変カセット装着部152に装着されているか否かを判定する。当該可変カセットCa2が装着されていないと判定した場合、通知制御部112は、可変カセット装着部152(例:可変カセットCa2が装着されていない可変カセット装着部152)のLED153を点灯させる。
これにより、可変カセットCa2の使用時に可変カセットCa2が装着されていないことをユーザに通知できる。ユーザは、この通知を受けて、該当する可変カセットCa2に錠剤を収容した状態で、当該可変カセットCa2を可変カセット装着部152に装着する。これにより、当該可変カセットCa2から錠剤を払出すことが可能となる。
幅算出部113は、非分割錠剤の種類毎に予め登録された非分割錠剤のサイズ(寸法)に基づき、可変カセットCa2における分割錠剤の通過経路幅を算出する。
上述のように、記憶部12には、錠剤のサイズ(例:直径、厚み)に基づき特定された移送高さ及び移送幅を含む駆動対応情報が記憶されている。そのため、非分割錠剤を払出すためのカセットとして非分割錠剤可変カセットCa21が特定された場合には、分包制御部114は、錠剤を払出す前処理として、当該非分割錠剤可変カセットCa21に割り付けられた錠剤の駆動対応情報を参照することで、移送高さ及び移送幅を調整する。
ここで、駆動対応情報は、非分割錠剤のサイズに基づき設定されている。そのため、分割錠剤可変カセットCa22から分割錠剤を払出す場合には、幅算出部113は、その都度、予め薬剤データベースに登録されている錠剤のサイズに基づき、移送高さ及び移送幅を算出する。
分割錠剤を払出すときの移送高さ及び移送幅を含む駆動対応情報を記憶しておいてもよいが、この場合、分割錠剤の実寸を測定し、測定結果に基づき設定した移送高さ及び移送幅を登録する必要がある。しかしながら、薬剤データベースに登録された錠剤の全てについて、分割錠剤の実寸を測定する作業は、ユーザにとって負担が大きい作業である。
また、そもそも全ての錠剤が分割錠剤として払出されるかどうかについても不明である。更に、分割錠剤の大きさとしては、非分割錠剤の2分の1、3分の1又は4分の1等、種々の大きさが想定される。また、分割錠剤の実寸測定のために錠剤を分割する場合に、所定の割合で分割されるとも限らない。例えば2分の1に分割した場合に、分割した2つの錠剤の大きさが均一であるとは限らない。そのため、測定した分割錠剤の実寸に基づき設定された移送高さ及び移送幅が、分割錠剤を払出すための大きさとして適切な値であるとは限らない。
従って、分割錠剤可変カセットCa22を使用するたびに、幅算出部113が移送高さ及び移送幅を算出することで、上記のような負担を軽減できると共に、投入された種々の分割錠剤に適した移送高さ及び移送幅に調整できる。
幅算出部113は、非分割錠剤を払出すためのカセットとして非分割錠剤可変カセットCa21が特定された場合、例えば、以下のように移送高さW1及び移送幅W22を算出する。図8の(a)及び(b)は、移送高さW1および移送幅W22の調整例を説明するための図である。
移送幅W22は、分割錠剤の厚み(B)に依らず、複数の分割錠剤が1列の状態で、払出口227まで搬送される程度の値に設定されればよい。
この観点から、移送幅W22は、例えば分割錠剤の半径(A)の1倍より大きく2倍未満に設定される。なお、分割錠剤の半径としては、薬剤データベースに登録された、投入される分割錠剤として分割される前の錠剤の直径を2で除算した値が用いられる。なお、例えば錠剤を4分の1にした分割錠剤の場合、直径を4で除した値を用いればよい。
分割錠剤の半径の1倍より大きく設定することで、寝た状態の分割錠剤を払出口227へと搬送できる。寝た状態とは、分割された表面が第2回転体223の表面と対向していない状態(分割錠剤が起立していない状態)を指す。また、分割錠剤の半径の2倍未満に設定することで、寝た状態の分割錠剤が2列に並んで搬送されることを防止できる。
分割錠剤は、錠剤が略半分となるように均等に分割されるが、場合によっては、均等に分割されない可能性もある(例:1錠を4:6で分割)。この場合、大きく分割された方の分割錠剤も寝た状態で搬送できるようにするために、移送幅W22を分割錠剤の半径の1倍より大きく設定する必要がある。そのため、移送幅W22は、分割錠剤の半径の1倍より大きく設定される。
また、図8の(b)に示すように、分割錠剤の厚みが比較的厚い場合(所定の厚み以上である場合)、分割錠剤が起立した状態で移送幅W22の方向に複数並んで、第2回転体223上を搬送される可能性がある。この点を考慮すれば、分割錠剤の厚みが所定の厚み以上である場合、移送幅W22は、更に分割錠剤の厚みの2倍未満に設定されても構わない。移送幅W22を分割錠剤の厚みの2倍未満に設定することで、起立した状態の分割錠剤が移送幅W22の方向に複数に並んで搬送されることを防止できる。なお、上記所定の厚みは実験等を経て設定されていればよい。図8の例では、分割錠剤の厚みの2倍が分割錠剤の半径の1.3倍以上である場合に、分割錠剤の厚みが所定の厚み以上であるとしている。
また、移送幅W21は、比較的厚い分割錠剤を起立した状態で搬送できる程度の大きさに設定されても構わない。比較的厚い分割錠剤が起立した場合であっても、上述の移送幅W22の設定により、移送幅W22の通過経路Ro上において、移送幅W22の方向に複数の分割錠剤が並んでしまうことが無いためである。
一方、図8の(a)に示すように、分割錠剤の厚みが比較的薄い場合(所定の厚み未満である場合)には、分割錠剤が起立した状態で移送幅W22の方向に複数並んで、第2回転体223上を搬送される可能性は低い。そのため、分割錠剤の起立(つまり分割錠剤の厚み)を考慮して移送幅W22を設定しなくてもよい。
図8の(a)及び(b)の例では、移送幅W22は、例えば、分割錠剤の半径の1.3倍(1.3A)となるように設定されている。
また、移送高さW1は、分割錠剤の厚みが所定値未満である場合、分割錠剤の厚みの1倍より大きく、かつ当該厚みの2倍未満の値に設定される。つまりこの場合、移送高さW1は、分割錠剤の厚み方向の寸法に応じて設定される。また、移送高さW1は、分割錠剤の厚みが所定値以上である場合、分割錠剤の半径の1倍より大きく、かつ、分割錠剤の厚みの2倍未満の値に設定される。つまりこの場合、移送高さW1は、分割錠剤の厚み方向以外の方向(断面円形状の錠剤であれば半径)の寸法も考慮して設定される。
上述のように、分割錠剤が比較的薄い場合には分割錠剤が起立した状態で搬送される可能性は低い。そのため、移送高さW1は、分割錠剤が起立した状態で第2回転体223上を搬送されることを考慮せずに、2つの分割錠剤が重なった状態で第2回転体223上を搬送されることを防止できる程度(1つの分割錠剤が確実に搬送される程度)の値に設定されればよい。
例えば、図8の(a)に示すように、分割錠剤の厚みの2倍が移送幅W22未満(図8の例では、分割錠剤の半径の1.3倍未満)である場合、移送高さW1は、分割錠剤の厚みに1.1倍を乗じた値(1.1B)に設定される。
但し、比較的薄い分割錠剤が仮に起立してしまった場合、分割錠剤は、移送幅W22の方向に複数に並んで搬送され、払出口227から払出されてしまうことになる。そのため、比較的薄い分割錠剤については寝た状態で払出口227へと搬送されることが好ましい。比較的薄い分割錠剤が起立した状態で払出されることも考慮して移送幅W22を設定すると、移送幅W22が小さくなりすぎて、寝た状態の分割錠剤を払出口227まで搬送できなくなってしまう。そのため、移送幅W22については、比較的薄い分割錠剤が起立する可能性は低いものとして(つまり、起立することを許容して)、上述のように設定される。比較的薄い分割錠剤が起立した状態で払出されることを確実に防止するために、分割錠剤の厚みが所定値未満である場合には、移送高さW1は、更に分割錠剤の半径未満に設定されても構わない。
一方、分割錠剤が比較的厚い場合には分割錠剤が起立した状態で搬送される可能性がある。そのため、分割錠剤が起立した状態でも第2回転体223上を搬送されるように、移送高さW1は、分割錠剤の半径よりも大きい値に設定される。一方、2つの分割錠剤が上下方向に重なった状態で第2回転体223上を搬送されることを防止する必要があるため、移送高さW1は、分割錠剤の厚みの2倍未満の値に設定される。
例えば、図8の(b)に示すように、分割錠剤の厚みの2倍が移送幅W22以上(図8の例では、分割錠剤の半径の1.3倍以上)である場合、移送高さW1は、分割錠剤の半径に1.1倍を乗じた値(1.1A)に設定される。
非分割錠剤可変カセットCa21で錠剤を払出す場合に用いられる駆動対応情報では、錠剤が寝た状態で払出されることを想定して、移送高さ及び移送幅が設定されている。分割錠剤ではない場合、錠剤が寝た状態となりやすいためである。例えば、移送高さW1は、錠剤の厚みの1倍より大きく、かつ2倍未満に設定され、移送幅W22は、錠剤の直径の1倍より大きく、かつ2倍未満に設定されている。
一方、分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤を取り扱う。そのため、移送高さW1及び移送幅W22を、分割錠剤が起立した状態で払出される可能性も考慮して設定する必要がある。上述したように移送高さW1及び移送幅W22を設定することで、分割錠剤がどのような状態で第2回転体223上を搬送されても、少なくともガイド部材226から払出口227までの通過経路Ro上においては分割錠剤を1列に整列させることができる。
そのため、分割錠剤可変カセットCa22は、寝た状態の分割錠剤だけでなく、起立した状態の分割錠剤でも1つずつ払出すことが可能となる。起立した状態の分割錠剤でも払出すことができるため、分割錠剤の払出し効率を向上させることができる。また、2つの分割錠剤が重なった状態で払出されることを防止できる。
なお上記では、分割錠剤の厚み及び半径を用いた移送高さW1及び移送幅W22の算出例について説明したが、これに限らない。算出に用いられる分割錠剤の厚みとしては、分割錠剤の縦(直径)、横(半径)及び高さ(厚み)の寸法のうち最小寸法(短辺とも称する)を有する第1部分を用いればよい。また、算出に用いられる分割錠剤の半径としては、分割錠剤の縦、横及び高さの寸法のうち、2番目に小さい寸法を有する第2部分(中辺とも称する)を用いればよい。
つまり、移送幅W22は、分割錠剤の第2部分の1倍より大きく、第2部分の2倍未満に設定されていればよい。分割錠剤の第1部分が所定の長さ以上(例:分割錠剤の厚みが所定の厚み以上)である場合には、移送幅W22は、更に分割錠剤の第1部分の2倍未満に設定されても構わない。
また、移送高さW1は、分割錠剤の第1部分が所定値未満(例:第1部分×2<移送幅W22、つまり第1部分<移送幅W22/2)である場合、第1部分の1倍より大きく、かつ第1部分の2倍未満の値に設定されていればよい。また、移送高さW1は、分割錠剤の第1部分が所定値以上(例:第1部分×2≧移送幅W22、つまり第1部分≧移送幅W22/2)である場合、分割錠剤の第2部分の1倍より大きく、かつ、第1部分の2倍未満の値に設定されていればよい。
また、上記の例では、分割錠剤の厚みの2倍が移送幅W22(分割錠剤の半径の1.3倍)と同一である場合、図8の(b)の設定方法により移送高さW1が設定されるが、図8の(a)に示す設定方法により移送高さW1が設定されても構わない。
なお、幅算出部113は、予め特定された非分割錠剤のサイズに基づき、分割錠剤の通過経路幅(移送高さW1及び移送幅W22)を算出するものでなくても構わない。例えば、幅算出部113は、当該非分割錠剤のサイズに基づき予め規定された通過経路幅に基づき、分割錠剤の通過経路幅を算出しても構わない。この場合、幅算出部113は、払出対象の分割錠剤に対応する駆動対応情報(分割錠剤に分割する前の非分割錠剤の駆動対応情報)に含まれる移送高さ又は移送幅を、分割錠剤のサイズに応じて変更した値を、調整後の移送高さW1及び移送幅W22として決定する。例えば、幅算出部113は、分割錠剤が半錠であれば、駆動対応情報に含まれる移送高さ及び移送幅を2で除した値を、調整後の移送高さW1及び移送幅W22として決定する。
この場合であっても、分割錠剤ごとに駆動対応情報を記憶しておく必要が無いので、分割錠剤ごとに実寸を測定すると共に、当該測定結果に基づき移送高さ及び移送幅を算出し登録する等のユーザの負担を軽減できる。但し、分割錠剤ごとに、分割錠剤のサイズを示す情報、又は、当該サイズに応じて規定された移送高さ及び移送幅を含む駆動対応情報を記憶しておき、これらの情報を用いて、移送高さW1及び移送幅W22を調整する構成であっても構わない。
分包制御部114は、処方データに基づき、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16及び散薬供給ユニット17を制御して、これらのユニットに投入された錠剤又は散薬を分包ユニット18に払出す。そして、分包制御部114は、分包ユニット18を制御して、処方データに示された分包単位毎に、上記の各ユニットから払出された錠剤又は薬剤を分包する。
例えば、分包制御部114は、処方データに錠剤が含まれている場合には、錠剤供給ユニット15を制御する。具体的には、分包制御部114は、払出特定部111が特定した固定カセットCa1からの錠剤の払出しを行うために、当該固定カセットCa1が装着された固定カセット装着部151に錠剤払出の指示を行う。これにより、固定カセット装着部151が固定カセットCa1を駆動させることで、固定カセットCa1は、処方データに示された数量の錠剤を払出す。
同様に、分包制御部114は、払出特定部111が特定した可変カセットCa2からの錠剤の払出しを行うために、当該可変カセットCa2が装着された可変カセット装着部152に錠剤払出の指示を行う。これにより、可変カセット装着部152が可変カセットCa2を駆動させることで、可変カセットCa2は、処方データに示された数量の錠剤を払出す。また、分包制御部114は、可変カセットCa2による錠剤の払出し前に、可変カセットCa2の移送高さ及び移送幅の調整を行う。
また例えば、分包制御部114は、手撒きユニット16の複数の手撒き収容部の少なくとも何れかに錠剤が割り付けられている場合には、処方データに基づき、錠剤が割り付けられた手撒き収容部に対応する手撒き払出部の開閉動作を制御する。
表示制御部115は、各種情報を含む画像を生成し、表示部13に表示する。表示制御部115は、例えば、分割錠剤可変カセットCa22への分割錠剤の充填時に、分割錠剤可変カセットCa22に収容されている分割錠剤の残数、及び、必要となる分割錠剤の個数を表示する画像を生成する。
このとき、表示制御部115は、非分割錠剤として計数した場合の個数(1錠換算とした場合の個数)と、分割錠剤として計数した場合の個数とを含む画像を生成し、表示部13に表示する。例えば、非分割錠剤を2分割して分割錠剤が生成されている場合、非分割錠剤として計数した場合の個数(錠数)が9個であれば、分割錠剤として計数した場合の個数は18個となる。
上記の表示により、ユーザは、非分割錠剤として計数した場合の個数なのか、分割錠剤として計数した場合の個数なのかを明確に特定できるため、分割錠剤可変カセットCa22に収容する、又は収容されている分割錠剤の個数を、正確に把握できる。
また、表示制御部115は、例えば、薬剤払出処理中に、固定カセットCa1及び可変カセットCa2が空になった場合(つまり充填が必要となった場合)、その旨を通知する画像を表示する。分割錠剤可変カセットCa22の場合、上述した表示が行われる。
なお、上記の個数表示は、例えば、分割錠剤可変カセットCa22を固定カセットCa1として使用する場合(後述)に行われる。これに限らず、上記の個数表示は、分割錠剤可変カセットCa22を可変カセットCa2として使用する場合の充填時に行われても構わない。また、後述の印字・書換制御部116が可変カセットCa2の表示部221に上記の個数表示を行っても構わない。
その他、例えば、表示制御部115は、手撒きユニット16又は散薬供給ユニット17に薬剤を投入する旨をユーザに促すための画像を生成する。また、表示制御部115は、分割錠剤を払出すために、分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16をユーザに選択させるための画像を生成する。また、表示制御部115は、通知制御部112による通知内容を含む画像を生成しても構わない。
印字・書換制御部116は、指示書、検薬包及び薬包への印字、並びに、表示部221の表示(書換え)を制御する。指示書、検薬包及び薬包への印字は、例えば分包ユニット18に備えられた印刷機構(不図示)を制御することにより行われる。
払出特定部111は、処方データに基づき、各種薬剤を払出すためのカセット又はユニットを特定する。印字・書換制御部116は、錠剤を払出すためのカセットとして可変カセットCa2が特定された場合には、例えば、表示部221にその錠剤名を表示させる。また、印字・書換制御部116は、特定された可変カセットCa2が非分割錠剤可変カセットCa21であるのか、分割錠剤可変カセットCa22であるのかを示すカセット特定情報を表示部221に表示させる。
また、印字・書換制御部116は、非分割錠剤として計数した場合の個数(1錠換算とした場合の個数)と、分割錠剤として計数した場合の個数とを含む画像を、表示部221に表示しても構わない。
なお、印字・書換制御部116は、可変カセットCa2が可変カセット装着部152に装着された状態において、表示部221に表示する画像のデータを、可変カセット装着部152のRFIDリーダライタから、可変カセットCa2のRFIDタグに書き込む。これにより、印字・書換制御部116による表示部221への画像表示が可能となる。
また、印字・書換制御部116は、錠剤を払出すためのカセットとして、可変カセットCa2が特定された場合には、例えば、以下の情報を指示書に印字する。
・患者名。
・可変カセットCa2を特定する情報(例:可変カセット識別情報)。
・可変カセットCa2に収容される錠剤名(処方薬名)。
・収容すべき錠剤の個数(処方量)。
・カセット特定情報。
また、印字・書換制御部116は、錠剤を払出すためのユニットとして、手撒きユニット16が特定された場合には、例えば、以下の情報を指示書に印字する。
・患者名。
・手撒きユニット16に収容される錠剤名(処方薬名)。
・錠剤を収容する手撒き収容部の位置。
・手撒き収容部に収容する錠剤の個数(処方量)。
・手撒きユニット16が錠剤を払出すためのユニットとして特定されたことを示す手撒き特定情報。
なお、払出特定部111は、錠剤を払出すためのユニットとして、手撒きユニット16を特定した場合には、各種錠剤を収容する手撒き収容部を特定する(つまり、各種錠剤を手撒き収容部に割り付ける)。印字・書換制御部116は、この手撒き収容部の特定に基づき、錠剤を収容する手撒き収容部の位置を指示書に印字する。
また、印字・書換制御部116は、処方データに基づき、検薬包及び薬包に、例えば患者名、服用時期、処方薬、及び処方量の印字を行う。また、検薬包及び薬包にも、可変カセットCa2から払出された錠剤については、錠剤名と共にカセット特定情報が印字され、手撒きユニット16から払出された錠剤については、錠剤名と共に手撒き特定情報が印字される。
図9は、表示部221の表示例を示す図である。図10の(a)は、指示書の印字例を示す図であり、(b)は、検薬包の印字例を示す図であり、(c)は、薬包の印字例を示す図である。
図9に示すように、印字・書換制御部116は、表示部221に、錠剤名等と共に、カセット特定情報Sig1を表示する。図9の例では、表示部221に、分割錠剤可変カセットCa22であることを示すカセット特定情報Sig1として「半」の文字が表示されている。非分割錠剤可変カセットCa21の場合であれば、カセット特定情報Sig1として、非分割錠剤可変カセットCa21であることを示す、例えば「整」の文字が表示される。
また、図10の(a)に示すように、印字・書換制御部116は、指示書に、患者名及び錠剤名等と共に、錠剤の払出先を特定するための払出先特定情報Sig2を印字する。図10の(a)の例では、指示書に、払出対象の錠剤「△△△錠」の42錠分(「42T(タブレット)」分)について、手撒きユニット16から払出すことを示すために、払出先特定情報Sig2として、手撒き特定情報の一例である「D」の文字が印字されている。払出対象の錠剤を払出すカセットが可変カセットCa2である場合、払出先特定情報Sig2として、可変カセットCa2であることを示す、例えば「U」の文字が印字される。なお、図10において「○○○ ○○○」は患者名である。
また、図10の(b)に示すように、印字・書換制御部116は、検薬包に、患者名及び錠剤名等と共に、払出先特定情報Sig3を印字する。図10の(b)の例では、検薬包には、払出対象の錠剤「△△△錠」の42錠分について、手撒きユニット16から薬包に払出されたことを示すために、払出先特定情報Sig3として、手撒き特定情報の一例である「D」の文字が印字されている。払出対象の錠剤を払出したカセットが可変カセットCa2である場合、払出先特定情報Sig3として、可変カセットCa2であることを示す、例えば「U」の文字が印字される。
また、図10の(c)に示すように、印字・書換制御部116は、各薬包に、患者名及び錠剤名等と共に、払出先特定情報Sig4を印字する。図10の(c)の例では、各薬包には、払出対象の錠剤「△△△錠」について、手撒きユニット16から各薬包に払出されたことを示すために、払出先特定情報Sig4として、手撒き特定情報の一例である「D」の文字が印字されている。払出対象の錠剤を払出したカセットが可変カセットCa2である場合、払出先特定情報Sig4として、可変カセットCa2であることを示す、例えば「U」の文字が印字される。
〔薬剤払出装置の処理例〕
次に、薬剤払出装置100の処理(薬剤払出処理)の一例について説明する。図11は、薬剤払出装置100の処理の一例を示すフローチャートである。図12は、払出特定部111の処理の一例を示すフローチャートである。
本処理例では、錠剤の払出しについては、1種類の錠剤を、非分割錠剤及び分割錠剤の組合せ(n.m錠(nは1以上の整数、mは正の数))として払出すか、又は、分割錠剤のみ(n.m錠(n=0、mは正の数))として払出すものとして説明する。具体的には、当該錠剤をn.5錠(nは0以上の整数)払出す場合を例に挙げて説明する。
(処理の概要)
まず、薬剤払出装置100の処理の概要について説明する。図11に示すように、制御部11は、処方入力端末200(又はPC10の操作部14)から、n.5錠の錠剤の払出指示を受け付ける(S1)。つまり、制御部11は、少なくとも1種類の錠剤についての払出数量がn.5錠である旨の情報を含む処方データを取得する(S1)。制御部11は、当該処方データを受け付けると、払出特定部111は、処方データに基づき、薬剤を払出すためのカセット又はユニットを特定する(S2)。具体的には、払出特定部111は、処方データに錠剤が含まれている場合には、錠剤を払出すためのユニットとして、錠剤供給ユニット15又は手撒きユニット16を特定する。また、払出特定部111は、処方データに散薬が含まれている場合には、散薬を払出すためのユニットとして、散薬供給ユニット17を特定する。
払出特定部111が処方データに含まれる全薬剤の払出先を特定した後、表示制御部115は、特定された可変カセットCa2及び/又は手撒きユニット16への収容指示を含む画像を、表示部13に表示する。またこのとき、印字・書換制御部116は、可変カセットCa2及び/又は手撒きユニット16への錠剤の収容方法を印字した指示書を発行すると共に、可変カセットCa2が可変カセット装着部152に装着された状態で、表示部221に錠剤名等の表示を行う。
ユーザは、上記指示書を確認しながら、可変カセットCa2及び/手撒きユニット16への錠剤の充填作業を行う(S3)。充填作業が完了すると、例えば操作部14を介して分包開始の開始操作を受け付けることにより、分包制御部114は、処方データに基づき、錠剤供給ユニット15、手撒きユニット16及び散薬供給ユニット17から分包ユニット18への払出しを制御する。また、分包制御部114は、処方データに基づき、分包ユニット18での薬剤の分包処理を制御する(S4)。このとき、印字・書換制御部116は、処方データに基づき各薬包に収容された内容物の印字を、各薬包に行うと共に、各薬包に収容された内容物をユーザが確認するための検薬包への印字を行う。
このようにして、薬剤払出装置100は、処方データに示される、所定の服用時期の1患者分の薬剤を当該服用時期毎に払出し、分包する。
(カセット又はユニットの特定処理の一例)
次に、払出特定部111の処理の一例について説明する。図12に示すように、制御部11は、n.5錠の錠剤の払出指示を受け付ける(S11)。n≧1(例:払出数量が1.5錠、2.5錠)である場合、払出対象となる錠剤として、非分割錠剤及び分割錠剤の両方が払出される。この場合、払出特定部111は、まず当該非分割錠剤が収容されている非分割錠剤固定カセットCa11が存在するか否かを判定する(S12)。払出特定部111は、当該非分割錠剤固定カセットCa11が存在すると判定した場合(S12でYES)、当該非分割錠剤固定カセットCa11を、当該非分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する(S13)。その後、分割錠剤固定カセットCa12の存在有無の判定処理(S14)に移行する。
一方、払出特定部111は、上記非分割錠剤固定カセットCa11が存在しないと判定した場合(S12でNO)、例えば割付情報を参照することで、使用可能な非分割錠剤可変カセットCa21が存在するか否かを判定する(S16)。払出特定部111により当該非分割錠剤可変カセットCa21が存在すると判定された場合(S16でYES)、通知制御部112は、可変カセット装着部152に、当該非分割錠剤可変カセットCa21が装着されているか否かを判定する(S17)。この装着の判定は、例えば、可変カセット装着部152のRFIDリーダライタが可変カセットCa2のRFIDタグから可変カセット識別情報を読取ることで行われる。
通知制御部112により、上記非分割錠剤可変カセットCa21が装着されていると判定された場合(S17でYES)、払出特定部111は、当該非分割錠剤可変カセットCa21に、払出対象の非分割錠剤を割り付ける。これにより、払出特定部111は、当該非分割錠剤可変カセットCa21を、当該非分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する(S19)。またこのとき、分包制御部114は、割り付けられた非分割錠剤の駆動対応情報に基づき、移送高さW1及び移送幅W22を調整する。その後、分割錠剤固定カセットCa12の存在有無の判定処理(S14)に移行する。
一方、通知制御部112は、上記非分割錠剤可変カセットCa21が装着されていないと判定した場合(S17でNO)、当該非分割錠剤可変カセットCa21を装着させる位置にあるLED153を点灯する(S18)。その後、S17の処理に戻り、通知制御部112は、当該非分割錠剤可変カセットCa21が装着されたと判定した場合には、LED153を消灯する。なお、所定時間、当該非分割錠剤可変カセットCa21の装着がなかった場合には、LED153を消灯した後、S24の処理(後述)に移行しても構わない。
S13又はS19の処理後、払出特定部111は、上記分割錠剤が収容されている分割錠剤固定カセットCa12が存在するか否かを判定する(S14)。払出特定部111は、当該分割錠剤固定カセットCa12が存在すると判定した場合(S14でYES)、当該分割錠剤固定カセットCa12を、当該分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する(S15)。そして、上記錠剤を払出すためのカセット又はユニットの特定処理を終了する。
一方、払出特定部111は、上記分割錠剤固定カセットCa12が存在しないと判定した場合(S14でNO)、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が存在するか否かを判定する(S20)。払出特定部111により当該分割錠剤可変カセットCa22が存在すると判定された場合(S20でYES)、通知制御部112は、可変カセット装着部152に、当該分割錠剤可変カセットCa22が装着されているか否かを判定する(S21)。
通知制御部112により、上記分割錠剤可変カセットCa22が装着されていると判定された場合(S21でYES)、払出特定部111は、当該分割錠剤可変カセットCa22に、払出対象の分割錠剤を割り付ける。これにより、払出特定部111は、当該分割錠剤可変カセットCa22を、当該分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する(S23)。またこのとき、幅算出部113は、移送高さW1及び移送幅W22を算出し、分包制御部114は、算出された移送高さW1及び移送幅W22となるように、移送高さW1及び移送幅W22を調整する。その後、上記錠剤を払出すためのカセット又はユニットの特定処理を終了する。
一方、通知制御部112は、上記分割錠剤可変カセットCa22が装着されていないと判定した場合(S21でNO)、当該分割錠剤可変カセットCa22を装着させる位置にあるLED153を点灯する(S22)。その後、S21の処理に戻り、通知制御部112は、当該分割錠剤可変カセットCa22が装着されたと判定した場合には、LED153を消灯する。なお、所定時間、当該分割錠剤可変カセットCa22の装着がなかった場合には、LED153を消灯した後、S24の処理(後述)に移行しても構わない。
また、S16でNOの場合、S24の処理に移行する。換言すれば、払出特定部111が、非分割錠剤を払出す場合に、当該非分割錠剤を収容している非分割錠剤固定カセットCa11も、使用可能な非分割錠剤可変カセットCa21も存在しないと判定した場合に、S24の処理に移行する。
また、S20でNOの場合、S24の処理に移行する。換言すれば、払出特定部111が、分割錠剤を払出す場合に、当該分割錠剤を収容している分割錠剤固定カセットCa12も、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22も存在しないと判定した場合に、S24の処理に移行する。
つまり、払出特定部111は、払出対象の錠剤を錠剤供給ユニット15から払出すことができない状況であると判定した場合に、上記錠剤を払出すためのユニットとして、手撒きユニット16を特定する(S24)。
このように、払出特定部111は、まず処方データに含まれる錠剤を固定カセットCa1で払出すことが可能であるかどうかを判定する。そして、払出特定部111は、固定カセットCa1で当該錠剤を払出すことができないと判定した場合には、可変カセットCa2からの払出しが可能かどうかを判定する。可変カセットCa2に優先して固定カセットCa1を使用することで、効率良く錠剤を払出すことができる。
なお、図12では、払出特定部111は、非分割錠剤を払出すカセットを特定した後、分割錠剤を払出すカセットを特定しているが、これに限られない。払出特定部111は、分割錠剤を払出すカセットを特定した後、非分割錠剤を払出すカセットを特定しても構わないし、これらの特定処理が並行して行われても構わない。
また、n=0(払出数量が0.5錠)である場合、非分割錠剤を払出すカセットを特定する処理(S12、S13、S16~S19の処理)は行われず、S14以降の処理が行われる。
なお、上記錠剤の払出しに関し、非分割錠剤のみを払出す場合には、例えば、以下のような処理が行われる。
払出特定部111は、処方データに含まれる非分割錠剤が収容されている非分割錠剤固定カセットCa11が存在する場合には、当該非分割錠剤固定カセットCa11を、当該非分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。制御部11は、当該非分割錠剤固定カセットCa11が存在しない場合には、使用可能な非分割錠剤可変カセットCa21があれば、当該非分割錠剤可変カセットCa21を、当該非分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。制御部11は、非分割錠剤可変カセットCa21に空きがなければ、手撒きユニット16を、当該非分割錠剤を払出すためのユニットとして特定する。
(カセット特定処理の別例)
次に、払出特定部111の処理の別例について説明する。
払出特定部111は、分割錠剤可変カセットCa22を、分割錠剤を払出すためのカセットに特定できる状況において、当該分割錠剤を払出すためのユニットとして手撒きユニット16を特定しても構わない。つまり、当該状況において、分割錠剤可変カセットCa22が、分割錠剤を払出すためのカセットとして特定される必要は必ずしもない。
例えば、任意の錠剤についてn.m錠(nは0以上の整数、mは正の数)の払出しを行う場合、払出特定部111は、n=0であれば(例:0.5錠)、分割錠剤を払出すためのカセットとして分割錠剤可変カセットCa22を選択する。一方、払出特定部111は、n≧1であれば(例:1.5錠、2.5錠)、分割錠剤を払出すためのカセット又はユニットとして、分割錠剤可変カセットCa22及び手撒きユニット16の何れかを選択する。分割錠剤可変カセットCa22から払出すか、手撒きユニット16から払出すかは、予め設定されていても構わないし、上記状況においてその都度ユーザに選択させても構わない。
n≧1の場合、任意の錠剤について、非分割錠剤が非分割錠剤固定カセットCa11から払出され、分割錠剤が分割錠剤可変カセットCa22から払出される場合がある。この場合、同種の錠剤が固定カセットCa1及び可変カセットCa2の両方から払出されることになる。この場合、手撒きユニット16を用いた場合よりも払出効率は向上するが、ユーザによっては、異なる位置に配置されたカセットからの払出しの把握が手間だと感じる可能性もある。一方で、手撒きユニット16に収容する錠剤数が多数である場合には、手撒きユニット16に錠剤を収容していくこと自体が、上記把握の手間以上に手間と感じる可能性もある。
そこで、n≧1の場合、分割錠剤を払出すためのユニットとして、手撒きユニット16の選択を可能とすることで、払出効率とユーザの利便性とを両立した錠剤の払出しを行うことが可能となる。なお、n=0の場合は、非分割錠剤固定カセットCa11からの払出しは無いため、払出特定部111は、払出効率を考慮して、分割錠剤可変カセットCa22を、分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。但し、n=0の場合についても、払出特定部111は、設定又はユーザ操作に従って、分割錠剤を払出すためのカセット又はユニットとして、分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16を選択しても構わない。
図13を用いて、分割錠剤を払出すためのカセット又はユニットとして、分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16を選択可能である場合の処理について説明する。図13は、払出特定部111の処理の別例を示すフローチャートである。図13では、図12の処理に、S31及びS32の処理が追加されている。
払出対象の錠剤に分割錠剤が含まれる場合、通知制御部112により、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が可変カセット装着部152に装着されていると判定された場合(S21でYES)、払出特定部111は、n=0であるか否かを判定する(S31)。ここでは、払出特定部111は、処方データに基づき、払出対象の錠剤の払出数量が0.5錠であるのか否かを判定する。
払出特定部111は、n=0であると判定した場合(S31でYES)、払出対象の分割錠剤を上記分割錠剤可変カセットCa22に割り付けることで、当該分割錠剤可変カセットCa22を、当該分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する(S23)。なお、n=0の場合、非分割錠剤を払出すカセットを特定する処理(S12、S13、S16~S19の処理)は行われない。
一方、払出特定部111は、n=0でない(n≧1である)と判定した場合(S31でNO)、設定に従い、上記分割錠剤可変カセットCa22を、上記分割錠剤を払出すためのカセットとして特定するか、手撒きユニット16を、上記分割錠剤を払出すためのユニットとして特定する(S32)。なおこの場合には、非分割錠剤を払出すカセットを特定する処理が行われる。
S32において、分割錠剤可変カセットCa22が選択された場合(つまり、払出対象の分割錠剤が分割錠剤可変カセットCa22に割り付けられた場合)には、本処理は終了となる。手撒きユニット16が選択された場合には、払出特定部111は、処方データに基づき、分割錠剤を収容する手撒き収容部を特定する。つまり、払出特定部111は、n≧1である場合に、手撒きユニット16を、分割錠剤を払出すためのユニットとして特定した場合、分割錠剤の全てを手撒きユニット16(の各手撒き収容部)に割り付ける。
なお、S31の処理は、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が存在すると判定された後(S20でYES)に行われても構わない。この場合、払出特定部111がn=0であるか否かを判定した後に(S31でYES、又はS31でNO)、S21の処理が行われても構わない。また、S32において、払出特定部111により、分割錠剤可変カセットCa22が選択される設定となっていることが特定された後に、S21の処理が行われても構わない。この場合、S21でYESとなった後に、払出対象の分割錠剤が分割錠剤可変カセットCa22に割り付けられる。
〔その他の払出処理例〕
薬剤払出装置100は、以下のように錠剤を払出しても構わない。例えば、払出指示に、同一種類の錠剤について非分割錠剤及び分割錠剤の払出指示(n.m錠(nは1以上の整数、mは正の数)の払出指示)が含まれている場合、分包制御部114(払出制御部)は以下の処理を行う。
分包制御部114は、上記の場合、払出指示に含まれている非分割薬剤を払出すためのカセットとして特定された非分割錠剤可変カセットCa21を駆動させる。また、分包制御部114は、上記の場合、払出指示に含まれている分割薬剤を払出すためのカセットとして特定された分割錠剤可変カセットCa22を駆動させる。つまり、分包制御部114の制御を受けて、非分割錠剤可変カセットCa21は、当該非分割薬剤を払出すと共に、分割錠剤可変カセットCa22は、当該分割薬剤を払出す。
この場合であっても、少なくとも分割錠剤を、可変カセットCa2を用いて払出すため、分割錠剤を手撒きユニット16から払出す場合に比べ、効率良く払出すことが可能である。
なお、上記の払出処理は、例えば、上記非分割錠剤及び分割錠剤を払出対象とする固定カセットCa1が存在しない場合の払出処理に対応する。また、固定カセットCa1を有さず、可変カセットCa2のみを有する薬剤払出装置100においては、上記のように払出処理が実行される。
また、可変カセットCa2の特定は、上述のように払出特定部111により行われても構わないし、ユーザによって行われても構わない。可変カセットCa2の特定がユーザによって行われる場合、分包制御部114は、例えば、ユーザによる、可変カセットCa2に上記非分割錠剤及び分割錠剤が収容された後の払出開始操作を受け付けることで、上記の払出処理を実行しても構わない。
〔分割錠剤可変カセットの使用例-分割錠剤可変カセットの固定カセット化〕
分割錠剤可変カセットCa22は、固定カセットCa1として使用されても構わない。分割錠剤可変カセットCa22の動作モードとして、例えば、第1動作モード及び第2動作モードの何れかに設定できる。第1動作モードは、分割錠剤可変カセットCa22を、分割錠剤を払出す可変カセット(通常の可変カセットCa2)として動作させる動作モードである。第2動作モードは、分割錠剤可変カセットCa22を、分割錠剤固定カセットCa12(つまり、任意の種類の分割錠剤のみを払出す固定カセット)として動作させる動作モードである。このような動作モードの設定により、分割錠剤可変カセットCa22の使用態様をユーザの利便性に応じて切替えることができる。
分割錠剤可変カセットCa22の動作モードの設定は、例えば、ユーザ操作を受け付けることで行われる。設定された動作モードは、可変カセット識別情報と対応付けて記憶部12に記憶される。また、第2動作モードに設定された場合、分割錠剤可変カセットCa22には予め任意の種類の分割錠剤が収容され、当該分割錠剤の薬剤識別情報が、可変カセット識別情報と対応付けて記憶部12に記憶される。
第1動作モードに設定されている場合、払出特定部111は、分割錠剤可変カセットCa22を、通常の動作を行う分割錠剤可変カセットCa22として認識する。この場合、払出特定部111は、処方データに分割錠剤が含まれ、かつ、当該分割錠剤を収容している分割錠剤固定カセットCa12が無い場合に、空いている分割錠剤可変カセットCa22を、当該分割錠剤を払出すためのカセットとして特定する。上述したように、幅算出部113は、当該分割錠剤の大きさに応じて移送高さ及び移送幅を算出し、分包制御部114は、算出された移送高さ及び移送幅に調整する。
一方、第2動作モードに設定されている場合、払出特定部111は、当該分割錠剤を払出すためのカセットを特定するときに、分割錠剤可変カセットCa22を、当該分割錠剤が収容されている分割錠剤固定カセットCa12として認識する。つまり、第2動作モードに設定された分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤を払出す通常の分割錠剤可変カセットCa22としては取り扱われず、分割錠剤固定カセットCa12と同様、収容された分割錠剤専用のカセットとして取り扱われる。そのため、任意の種類の分割錠剤が収容されたときに、幅算出部113が、当該分割錠剤の大きさに応じて移送高さ及び移送幅を算出し、分包制御部114が、算出された移送高さ及び移送幅に調整するが、それ以降に算出及び調整することは無い。
例えば、一年を通してある程度の量が払出されるわけではないが、ある一定時期にある程度の量が払出されるといった錠剤も存在する。このような錠剤としては、例えば、ある一定時期に流行する病気(例:インフルエンザ)のために処方する錠剤が挙げられる。
このような錠剤を分割した分割錠剤は、一年を通してある程度の量が払出されるわけではないため、分割錠剤固定カセットCa12を指定して常時収容しておく必要は無い。しかしながら、上記一定時期においては、当該分割錠剤は頻繁に払出されることが予想される。そのため、上記一定時期においては、分割錠剤固定カセットCa12に当該分割錠剤を収容して払出した方が、払出すたびに当該分割錠剤を分割錠剤可変カセットCa22に収容するというユーザの手間を削減できる。上記のように、分割錠剤可変カセットCa22を分割錠剤固定カセットCa12として取り扱うことが可能となることにより、上記のような分割錠剤を払出すときのユーザの手間を削減できる。
また、印字・書換制御部116は、第2動作モードに設定された分割錠剤可変カセットCa22については、分割錠剤可変カセットCa22を分割錠剤固定カセットCa12として取り扱うこと示す情報を、表示部221に表示させても構わない。この場合、当該情報として、例えば「固定半錠UC」の文字が表示される(図9参照)。また、印字・書換制御部116は、第2動作モードに設定された分割錠剤可変カセットCa22から払出される錠剤については、当該情報を錠剤名と共に印字した指示書、検薬包及び薬包を発行しても構わない。
分割錠剤可変カセットCa22に動作モードを設定できる場合、図12のS14において、払出特定部111は、第2動作モードに設定されている分割錠剤可変カセットCa22が存在するか否かを判定する。払出特定部111は、当該分割錠剤可変カセットCa22が存在する場合には、当該分割錠剤可変カセットCa22も含めて、処方データに含まれる分割錠剤が収容されている分割錠剤固定カセットCa12が存在するか否かを判定する。
なお、上記と同様、非分割錠剤可変カセットCa21に対して動作モードが設定されても構わない。つまり、非分割錠剤可変カセットCa21に対して、通常の可変カセットCa2として動作させる第1動作モードと、任意の種類の非分割錠剤のみを払出す、非分割錠剤固定カセットCa11として動作させる第2動作モードとのいずれかが設定されても構わない。この場合、非分割錠剤可変カセットCa21を固定カセットCa1として用いることが可能となる。
〔分割錠剤可変カセットの使用例-非分割錠剤及び分割錠剤用の可変カセット〕
上記では、分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤を収容し払出す場合に用いられるものとして説明した。これに限らず、分割錠剤可変カセットCa22は、非分割錠剤を収容し払出すものとして用いられても構わない。この場合、分割錠剤可変カセットCa22は、非分割錠剤可変カセットCa21としての機能も有することになる。つまり、分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤又は非分割錠剤を払出可能な可変カセットとして機能する。また、払出特定部111が非分割錠剤可変カセットCa21を特定するときに、分割錠剤可変カセットCa22も特定対象の1つとすることができる。
分割錠剤可変カセットCa22に非分割錠剤が収容される場合、幅算出部113は移送高さ及び移送幅の算出を行わず、分包制御部114は、当該非分割錠剤の駆動対応情報を参照することで、移送高さ及び移送幅を調整しても構わない。
分割錠剤可変カセットCa22は、錠剤の破損を防止しつつ、錠剤の詰まり発生を抑制すべく、変位部材(例:第1変位部材226A及び第2変位部材226B)を備える。そのため、非分割錠剤の払出しに、非分割錠剤可変カセットCa21に代えて分割錠剤可変カセットCa22を用いることで、非分割錠剤の破損を防止しつつ、非分割錠剤の詰まり発生を抑制できる。それゆえ、非分割錠剤についても払出効率を向上させることができる。非分割錠剤の払出しに分割錠剤可変カセットCa22を用いることは、特に破損しやすい、又は割れやすい非分割錠剤の払出しに有効である。
ここで、ユーザが、非分割錠剤可変カセットCa21と、非分割錠剤も払出可能な分割錠剤可変カセットCa22とを所有する場合の、払出特定部111の処理の一例について説明する。ここでは、複数種類の錠剤の払出しを可変カセットCa2から行う場合に、使用する可変カセットCa2の種類の特定順の一例について説明する。
なお、本処理については、
・ユーザが所有する非分割錠剤可変カセットCa21が4個、分割錠剤可変カセットCa22が4個存在し(つまり、非分割錠剤を払出可能な可変カセットが8個、分割錠剤を払出可能な可変カセットが4個存在)、
・払出対象となる錠剤が9種類の錠剤(MD21~MD29)であり、
・9種類のうちの4種類の錠剤(MD21~MD24)は、0.m錠の分割錠剤であり、・9種類のうちの5種類の錠剤(MD25~MD29)は、非分割錠剤であり、
・9種類の錠剤は、全て可変カセットCa2から払出される、
ものとして説明する。つまり、本処理では、払出対象となる錠剤の種類が可変カセットCa2の個数よりも多い。
互いに異なる種類の非分割錠剤と分割錠剤とを払出す場合、払出特定部111は、例えば、当該非分割錠剤のみを払出可能な非分割錠剤可変カセットCa21の特定に優先して、当該非分割錠剤又は分割錠剤を払出可能な分割錠剤可変カセットCa22の特定を行う。
この場合、払出特定部111は、まず分割錠剤MD21~MD24を払出すためのカセットを特定する。払出特定部111は、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が4つ存在するか否かを判定する。払出特定部111は、当該分割錠剤可変カセットCa22が4個存在すると判定した場合には、4個の分割錠剤可変カセットCa22のそれぞれを、分割錠剤MD21~MD24のそれぞれを払出すためのカセットとして特定する。
次に、払出特定部111は、非分割錠剤MD25~MD29を払出すためのカセットを特定する。使用可能な可変カセットCa2は、4個の非分割錠剤可変カセットCa21である。そのため、払出特定部111は、所定の条件に従って、非分割錠剤MD25~MD29の中から、4個の非分割錠剤可変カセットCa21に割り付ける非分割錠剤を選択する。払出特定部111は、例えば払出数量の多い順に、非分割錠剤を4個の非分割錠剤可変カセットCa21に割り付けても構わない。例えば、4個の非分割錠剤可変カセットCa21のそれぞれを、非分割錠剤MD25~MD28のそれぞれを払出すためのカセットとして特定する。
非分割錠剤MD29を割り付けるための非分割錠剤可変カセットCa21が存在しないため、払出特定部111は、手撒きユニット16を、非分割錠剤MD29を払出すためのユニットとして特定する。
なお、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が4個存在しない場合、払出特定部111は、所定の条件(例:払出数量の多い順)に従って、分割錠剤可変カセットCa22に分割錠剤を割り付ける。払出特定部111は、割り付けできなかった分割錠剤については、手撒きユニット16を、当該分割錠剤を払出すためのユニットとして特定する。
また、可変カセットCa2の特定順は、上記に限られず、種々の方法が考えられる。払出特定部111は、互いに異なる種類の非分割錠剤と分割錠剤とを払出す場合、例えば、当該分割錠剤を払出す分割錠剤可変カセットCa22の特定に優先して、当該非分割錠剤を払出す非分割錠剤可変カセットCa21の特定を行っても構わない。また例えば、払出対象の錠剤が、可変カセットCa2から優先的に払出す錠剤として設定されている場合には、当該錠剤を可変カセットCa2に優先的に割り付けても構わない。
〔薬剤払出システム〕
次に、薬剤払出システムの一例について説明する。図14は、薬剤払出システムの一例を示す図である。
薬剤払出システムは、薬剤を払出すための種々の装置等を備えたシステムであって、図14に示すように、例えば、複数の薬剤払出装置100、処方入力端末200、及び制御装置500を備える。制御装置500は、複数の薬剤払出装置100と通信可能に接続され、複数の薬剤払出装置100を個別に制御する。また、制御装置500は、処方入力端末200と通信可能に接続される。つまり、本薬剤払出システムでは、処方入力端末200が発行した処方データは、制御装置500を介して、複数の薬剤払出装置100のそれぞれに入力される。
具体的には、制御装置500は、病院の内規等により予め定められた払出方法に従い、受け付けた処方データに含まれる種々の薬剤の払出先として、複数の薬剤払出装置100のいずれかを特定する。各薬剤払出装置100は、制御装置500からの指示に従い、当該薬剤を分包して払出す。
<制御装置>
制御装置500は、主として、割付先特定部501を備える。割付先特定部501は、任意の錠剤n.m錠(nは0以上の整数、mは正の数)の払出指示を受け付けた場合に、任意の薬剤払出装置100における錠剤の割付先を特定する。具体的には、割付先特定部501は、任意の薬剤払出装置100における0.m錠分の錠剤の割付先(分割錠剤の割付先と称す)として、分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16を特定する。また、割付先特定部501は、n錠分の錠剤の割付先(非分割錠剤の割付先と称す)として、例えば非分割錠剤可変カセットCa21を特定する。以下では、割付先特定部501が分割錠剤の割付先を特定する処理について説明する。
ここで、分割錠剤の割付先として分割錠剤可変カセットCa22を優先して選択するカセット優先モードと、分割錠剤の割付先として分割錠剤可変カセットCa22を優先しないカセット非優先モードとが選択可能となっている。
割付先特定部501は、カセット優先モードに設定されている場合、薬剤払出装置100への分割錠剤可変カセットCa22の装着の有無を問わず、分割錠剤の割付先(分割錠剤を払出すためのカセット)として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する。一方、割付先特定部501は、カセット非優先モードに設定されている場合、薬剤払出装置100への分割錠剤可変カセットCa22の装着の有無を特定した後に、分割錠剤の割付先(分割錠剤を払出すためのカセット又はユニット)として、分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16を特定する。
具体的には、割付先特定部501は、予め定められた払出方法に従い、受け付けた処方データに含まれる任意の払出順における任意の錠剤(払出数量n.m錠)の払出先となる薬剤払出装置100を特定する。
割付先特定部501は、カセット優先モードに設定されている場合、ユーザが所有する分割錠剤可変カセットCa22のうちの少なくとも1つを、分割錠剤の割付先として特定する。割付先特定部501は、特定した薬剤払出装置100に、上記n.m錠の錠剤の払出指示と共に、特定した割付先(この場合は、特定した分割錠剤可変カセットCa22)を示す割付先情報を送信する。
上記払出指示及び割付先情報を受信した薬剤払出装置100では、分包制御部114は、特定された分割錠剤可変カセットCa22が可変カセット装着部152に装着されている場合には、当該分割錠剤可変カセットCa22からの分割錠剤の払出処理を実行する。
一方、特定された分割錠剤可変カセットCa22が可変カセット装着部152に装着されていない場合には、通知制御部112は、LED153を点灯させることで、当該分割錠剤可変カセットCa22の装着を促す通知をユーザに対して行う。分包制御部114は、当該分割錠剤可変カセットCa22の装着を認識した後、当該分割錠剤可変カセットCa22からの分割錠剤の払出処理を実行する。
また、割付先特定部501は、カセット非優先モードに設定されている場合、特定した薬剤払出装置100において、分割錠剤の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を選択できるか否かを判定する。
制御装置500は、ユーザが所有している全ての可変カセットCa2の総数(非分割錠剤可変カセットCa21の総数、及び分割錠剤可変カセットCa22の総数)を管理している。また、制御装置500は、どの薬剤払出装置100において、どの可変カセットCa2がどの可変カセット装着部152に装着されているのか(どの可変カセットCa2が使用中(例:割付済、分包中)であるのか)否かを管理している。制御装置500は、可変カセットCa2の使用可否については、各薬剤払出装置100から当該使用可否に関するデータを受信することで管理できる。
割付先特定部501は、カセット非優先モードに設定されている場合、特定した薬剤払出装置100において使用可能な(割付可能な)分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。具体的には、割付先特定部501は、
(分割錠剤可変カセットCa22の総数)-(他の薬剤払出装置100で使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数)…(1)
を用いて、上記使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。
割付先特定部501は、上記式(1)の算出結果としての分割錠剤可変カセットCa22の数が、分割錠剤可変カセットCa22への割付対象の錠剤(分割錠剤)の種類以上であれば、当該錠剤を、種類毎に、分割錠剤可変カセットCa22に割り付ける。一方、割付先特定部501は、上記算出結果としての分割錠剤可変カセットCa22の数が上記割付対象の錠剤の種類未満であれば、算出した分割錠剤可変カセットCa22の数の分、種類毎に、当該錠剤を割り付けると共に、割り付けできなかった錠剤については、手撒きユニット16を割付先として特定する。算出結果として分割錠剤可変カセットCa22の数が0である場合には、全ての分割錠剤の割付先が手撒きユニット16となる。
割付先特定部501は、上記のように特定した割付先を示す割付先情報を、特定した薬剤払出装置100に送信する。これにより、薬剤払出装置100は、割付先情報に従い、分割錠剤の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22及び手撒きユニット16の何れかを選択する。
割付先特定部501は、処方順(処方データに含まれる錠剤の払出順)に、上記の処理を行っていく。つまり、割付先特定部501は、今回払出対象(割付対象)となった錠剤をn.m錠払出すという払出指示を受け付けた場合、上記式(1)を用いて、特定した薬剤払出装置100において使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。そして、割付先特定部501は、算出結果が、今回払出対象の分割錠剤の種類以上であるか否かを判定することで、当該分割錠剤の割付先を特定する。
このように、n.m錠の錠剤を払出す場合であって、かつカセット非優先モードに設定されている場合には、他の薬剤払出装置100で使用中の分割錠剤可変カセットCa22を考慮して、分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16を特定する。そのため、カセット非優先モードに設定されている場合には、カセット優先モードに設定されている場合において発生し得る払出待機の状態を回避できる。
具体的には、カセット優先モードの場合、錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において、分割錠剤の割付先として分割錠剤可変カセットCa22が特定される。当該分割錠剤可変カセットCa22が他の薬剤払出装置100で使用中である場合には、他の薬剤払出装置100での使用が完了するまで、錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において当該分割錠剤可変カセットCa22を使用することはできない。そのため、当該薬剤払出装置100においては、錠剤の払出待機の状態となってしまう。
一方、カセット非優先モードの場合、上述の通り、他の薬剤払出装置100で未使用の分割錠剤可変カセットCa22があれば、当該分割錠剤可変カセットCa22を、錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において使用可能な分割錠剤可変カセットCa22として特定する。そして、当該薬剤払出装置100において使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が、割付対象の分割錠剤の種類の数の分存在する場合には、全ての分割錠剤の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する。一方、使用可能な分割錠剤可変カセットCa22が、割付対象の分割錠剤の種類の数の分存在しない場合には、割付先として分割錠剤可変カセットCa22を特定できなかった分割錠剤については、その割付先として手撒きユニット16を特定する。
つまり、カセット非優先モードの場合、他の薬剤払出装置100での分割錠剤可変カセットCa22の使用状況によって、分割錠剤の割付先として分割錠剤可変カセットCa22を特定できない場合には、その割付先として手撒きユニット16を特定する。そのため、カセット優先モードの場合においては払出待機となり得る分割錠剤を、他の薬剤払出装置100での分割錠剤可変カセットCa22の使用完了を待たずに、手撒きユニット16から払出すことが可能となる。従って、カセット非優先モードの場合、カセット優先モードの場合に発生し得る払出待機の状態を回避できるので、効率良く分割錠剤の払出しを行うことが可能となる。
ここで、上記式(1)では、他の薬剤払出装置100で使用中の分割錠剤可変カセットCa22を、分割錠剤可変カセットCa22の総数から減ずることで、分割錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出している。つまり、上記式(1)では、分割錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において既に使用されている分割錠剤可変カセットCa22については、分割錠剤可変カセットCa22の総数からの減算対象としていない。
分割錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において既に分割錠剤可変カセットCa22が使用されている場合、次の錠剤の払出は、分割錠剤可変カセットCa22において現在行われている分割錠剤の払出完了後に行われる。つまり、次の払出対象の分割錠剤の割付先が、分割錠剤可変カセットCa22及び手撒きユニット16の何れに特定されたとしても、当該分割錠剤の払出は、上記現在行われている錠剤の払出完了まで待機する必要がある。
上記式(1)において、分割錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において既に使用されている分割錠剤可変カセットCa22を減算対象とした場合、次の錠剤の払出において当該分割錠剤可変カセットCa22を使用できるにもかかわらず、次の錠剤の割付先として手撒きユニット16が特定されてしまう可能性がある。この場合、次の払出対象の分割錠剤を分割錠剤可変カセットCa22に収容できず、手撒きユニット16に収容することになるため、却って払出の効率が悪くなる可能性がある。そのため、上記式(1)では、分割錠剤の払出先として特定された薬剤払出装置100において既に使用されている分割錠剤可変カセットCa22を減算対象としていない。
<制御装置における処理>
次に、制御装置500における処理の一例について、図15を用いて説明する。図15は、制御装置500における処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、(1)カセット非優先モードが設定されており、(2)処方順がi番目(iは正の整数)の錠剤をn.m錠払出す場合を例に挙げて説明する。
図15に示すように、制御装置500において、処方順がi番目の錠剤の割付けを開始する場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先となる薬剤払出装置100を特定する(S41)。次に、割付先特定部501は、上記(1)を用いて、特定した薬剤払出装置100において使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出し(S42)、i番目の分割錠剤の種類の全てを分割錠剤可変カセットCa22に割付け可能か否かを判定する(S43)。
割付先特定部501は、上記式(1)の算出結果としての分割錠剤可変カセットCa22の数が、割付対象の分割錠剤の種類以上である場合、分割錠剤の全てを分割錠剤可変カセットCa22に割付け可能と判定する。この場合(S43でYES)、割付先特定部501は、分割錠剤の全ての割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する(S44)。そして、割付先特定部501は、特定した薬剤払出装置100に、i番目の錠剤の払出指示と、分割錠剤の割付先として特定した分割錠剤可変カセットCa22を示す割付先情報を送信する(S45)。
一方、割付先特定部501は、上記式(1)の算出結果としての分割錠剤可変カセットCa22の数が、割付対象の分割錠剤の種類未満である場合、分割錠剤の全ての分割錠剤可変カセットCa22への割付けが不可であると判定する。この場合(S43でNO)、割付先特定部501は、少なくとも一部の種類の分割錠剤の割付先として、手撒きユニット16を特定する(S46)。そして、割付先特定部501は、特定した薬剤払出装置100に、i番目の錠剤の払出指示と、分割錠剤の割付先として特定した分割錠剤可変カセットCa22又は手撒きユニット16を示す割付先情報を送信する(S45)。
(具体例1)
カセット非優先モードに設定された場合の、制御装置500の処理の具体例について説明する。本例では、薬剤払出システムに含まれる薬剤払出装置100が2つであるとする。便宜上、ここでは、薬剤払出装置100A及び100Bと称する。また、薬剤払出装置100Aから処方順1番目の錠剤が払出され、薬剤払出装置100Bから処方順2番目の錠剤が払出されるものとする。また、ユーザが所有する可変カセットCa2が1個であるものとする。
薬剤払出装置100Aから1番目の錠剤を払出す場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先として、薬剤払出装置100Aを特定する。割付先特定部501は、上記式(1)を用いて、薬剤払出装置100Aにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。本例では、分割錠剤可変カセットCa22の総数が1、薬剤払出装置100Bで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が0であるため、薬剤払出装置100Aにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数は、1-0=1となる。そのため、割付先特定部501は、1番目の分割錠剤の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する。
次に、薬剤払出装置100Bから2番目の錠剤を払出す場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先として、薬剤払出装置100Bを特定する。割付先特定部501は、上記式(1)を用いて、薬剤払出装置100Bにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。薬剤払出装置100Aで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が1であるため、薬剤払出装置100Bにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数は、1-1=0となる。そのため、割付先特定部501は、2番目の分割錠剤の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を選択できないため、手撒きユニット16を特定する。
(具体例2)
カセット非優先モードに設定された場合の、制御装置500の処理の具体例について説明する。本例では、薬剤払出システムに含まれる薬剤払出装置100が3つであるとする。便宜上、ここでは、薬剤払出装置100A、100B及び100Cと称する。また、ユーザが所有する可変カセットCa2が5個であるものとする。
また、薬剤払出装置100Aから処方順1番目の錠剤(3種類の分割錠剤を含む)が払出され、薬剤払出装置100Bから処方順2番目の錠剤(1種類の分割錠剤を含む)が払出されるものとする。また、薬剤払出装置100Cから処方順3番目の錠剤(2種類の分割錠剤を含む)が払出され、薬剤払出装置100Aから処方順4番目の錠剤(2種類の分割錠剤を含む)が払出されるものとする。
薬剤払出装置100Aから1番目の錠剤を払出す場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先として、薬剤払出装置100Aを特定する。割付先特定部501は、上記式(1)を用いて、薬剤払出装置100Aにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。本例では、分割錠剤可変カセットCa22の総数が5、薬剤払出装置100B及びCで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が0であるため、薬剤払出装置100Aにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数は、5-(0+0)=5となる。そのため、割付先特定部501は、1番目の3種類の分割錠剤の割付先として、3つの分割錠剤可変カセットCa22を特定する。
次に、薬剤払出装置100Bから2番目の錠剤を払出す場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先として、薬剤払出装置100Bを特定する。割付先特定部501は、上記式(1)を用いて、薬剤払出装置100Bにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。薬剤払出装置100Aで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が3、薬剤払出装置100Cで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が0であるため、薬剤払出装置100Bにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数は、5-(3+0)=2となる。そのため、割付先特定部501は、2番目の1種類の分割錠剤の割付先として、1つの分割錠剤可変カセットCa22を特定する。
次に、薬剤払出装置100Cから3番目の錠剤を払出す場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先として、薬剤払出装置100Cを特定する。割付先特定部501は、上記式(1)を用いて、薬剤払出装置100Cにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。薬剤払出装置100Aで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が3、薬剤払出装置100Bで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が1であるため、薬剤払出装置100Bにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数は、5-(3+1)=1となる。そのため、割付先特定部501は、3番目の2種類の分割錠剤のうち、1種類の分割錠剤の割付先として、1つの分割錠剤可変カセットCa22を特定すると共に、残りの1種類の分割錠剤の割付先として、手撒きユニット16を特定する。
次に、薬剤払出装置100Aから4番目の錠剤を払出す場合、割付先特定部501は、当該錠剤の払出先として、薬剤払出装置100Aを特定する。割付先特定部501は、上記式(1)を用いて、薬剤払出装置100Aにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数を算出する。薬剤払出装置100B及びCで使用中の分割錠剤可変カセットCa22の数が1であるため、薬剤払出装置100Aにおいて使用可能な分割錠剤可変カセットCa22の数は、5-(1+1)=3となる。そのため、4番目の2種類の分割錠剤の割付先として、装着された3つの分割錠剤可変カセットCa22のうちの2つの分割錠剤可変カセットCa22を特定する。特定された2つの分割錠剤可変カセットCa22は、1番目の分割錠剤の払出処理が完了していれば、4番目の分割錠剤が払出可能な状態となっている。
〔割付先数の設定〕
次に、同一種類の錠剤を割付可能な割付先数の設定の一例について説明する。薬剤払出装置100において、錠剤の割付先としては、非分割錠剤可変カセットCa21、分割錠剤可変カセットCa22、及び手撒きユニット16が存在する。そのため、同一種類の錠剤の割付先としては、非分割錠剤可変カセットCa21、分割錠剤可変カセットCa22、及び手撒きユニット16の何れかが選択される。
つまり、薬剤払出装置100において、同一種類の錠剤を割付可能な割付先数としては、3つを上限として設定できる。換言すれば、薬剤払出装置100における割付先の最大使用数は3つである。制御部11は、予め定められた、又はユーザ設定により設定された割付先数と、同一種類の錠剤の払出数量とに基づき、当該錠剤の割付先として、非分割錠剤可変カセットCa21、分割錠剤可変カセットCa22、及び手撒きユニット16の少なくとも何れかを特定する。
例えば、同一種類の錠剤の払出数量が1.75錠であるとする。つまり、払出特定部111は、1つの非分割錠剤、1つの0.5錠剤(0.5錠分に分割された分割錠剤)、及び、1つの0.25錠剤(0.25錠分に分割された分割錠剤)の割付先をそれぞれ特定する必要がある。なお本例では、分割錠剤可変カセットCa22は、0.5錠剤を払出すためのカセットであるものとする。
ここで、薬剤払出装置100では、可変カセットCa2を手撒きユニット16に優先して割付先とするように設定されているものとする。そのため、払出特定部111は、割付先数が3に設定されている場合、非分割錠剤の割付先として非分割錠剤可変カセットCa21を、0.5錠剤の割付先として分割錠剤可変カセットCa22を、0.25錠の割付先として手撒きユニット16を特定する。
一方、割付先数が2に設定されている場合、払出特定部111は、非分割錠剤の割付先として非分割錠剤可変カセットCa21を、0.5錠剤及び0.25錠剤の割付先として手撒きユニット16を特定する。また、割付先数が1に設定されている場合、払出特定部111は、非分割錠剤、0.5錠剤及び0.25錠剤の割付先として手撒きユニット16を特定する。
割付先数が3に設定されている場合、ユーザは、同一種類の錠剤を、その形状に応じて、3つの割付先に収容する必要がある。一方、割付先数が1に設定されている場合には、ユーザは、同一種類の錠剤を、1つの割付先(手撒きユニット16)に収容すればよい。従って、割付先数を小さく設定しておけば、同一種類の錠剤を収容する箇所が散在しないため、複数箇所に収容するという煩わしさを解消できる。
但し、同一種類の錠剤の払出数量が増加すると、ユーザは、手撒きユニット16の各手撒収容部に、非分割錠剤、0.5錠剤及び0.25錠剤の全てを収容していく作業の方が煩わしく感じる可能性もある。同一種類の錠剤の払出数量が比較的大きい場合、非分割錠剤を非分割錠剤可変カセットCa21へ、0.5錠剤を分割錠剤可変カセットCa22へ一度に収容した方が煩わしくない可能性もある。
従って、例えば割付対象となる同一種類の錠剤の払出数量によって割付先数を変更する等、割付先数を選択できることで、ユーザの使い勝手に則した割付先を選択できる。
〔薬剤払出装置の別例〕
次に、図16を用いて、薬剤払出装置100の別例について説明する。図16は、薬剤払出装置101の全体構成の一例を示す斜視図である。薬剤払出装置101は、薬剤払出装置100の機能と同一の機能を有する。つまり、薬剤払出装置101は、図2に示す各種部材を備える。但し、薬剤払出装置101は、以下の点において薬剤払出装置100とは異なる。
薬剤払出装置101では、図16に示すように、複数の可変カセット装着部152が垂直方向(縦方向)に並んで設けられている。具体的には、薬剤払出装置101は、切欠部101bを有する開閉扉101aを備える。
薬剤払出装置101は、薬剤払出装置100と同様、複数の固定カセットCa1を備えており、開閉扉101aを開くと、固定カセットCa1を視認し、かつ、取出し又は装着できる。つまり、固定カセットCa1は、開閉扉101aと対向する、薬剤払出装置101の内部に収容されている。切欠部101bは、垂直方向に並んで配置された可変カセット装着部152、及び可変カセット装着部152に装着された可変カセットCa2が開閉扉101aと接触しないようにするために形成されている。
可変カセット装着部152に載置された可変カセットCa2から払出された錠剤は、薬剤払出装置100の内部に設けられた分包ユニット18(図16では開閉扉101cが閉じた状態であるため図示されていない)へと移動する。分包ユニット18は、可変カセット装着部152の下方に設けられている。そのため、可変カセットCa2から払出された錠剤は、その自重によって、錠剤の通過経路(不図示)を通って分包ユニット18へと移動する。この点、固定カセットCa1に収容された錠剤、及び、手撒きユニット16に収容された錠剤についても同様である。また、薬剤払出装置100についても同様である。
なお、薬剤払出装置101は、表示部13に加えて、表示部13と同様に各種情報を表示する表示部130を備えるが、表示部130を必ずしも備える必要は無い。また、薬剤払出装置100が表示部130を備えても構わない。
<可変カセット装着部の使用制限>
図16に示すように、複数の可変カセット装着部152が垂直方向に並んで設けられている場合、可変カセットCa2が装着される位置(高さ)によって、当該可変カセットCa2から払出された錠剤が分包ユニット18で受ける衝撃が異なる。
具体的には、薬剤払出装置101の上方に位置する可変カセット装着部152に装着された可変カセットCa2から払出された錠剤ほど、分包ユニット18に到達したときの移動速度が大きい。つまり、上方の可変カセットCa2から払出された錠剤ほど、分包ユニット18(例:錠剤を一時的に貯留するホッパー)と衝突したときに、分包ユニット18から受ける力が大きい。そのため、上方の可変カセットCa2から払出された錠剤ほど破損しやすい。
一般に、非分割錠剤は、破損しにくいように、その周囲に保護膜がコーティングされている。しかしながら、分割錠剤の場合、分割した表面に保護膜がコーティングされていない。そのため、分割錠剤は、非分割錠剤に比べ外部からの衝撃に弱く、破損しやすい。つまり、分割錠剤は、分割した表面から粉又は欠片が発生しやすい。そのため、分割錠剤を上方の可変カセットCa2から払出した場合には、下方の可変カセットCa2から払出す場合に比べ、破損する可能性が高くなる。
そこで本例では、分割錠剤を可変カセットCa2から払出す場合には、下方の可変カセットCa2からの分割錠剤の払出しを許可し、上方の可変カセットCa2からの払出しを許可しない。つまり、薬剤払出装置101の制御部11は、錠剤の割付先として可変カセットCa2を特定する場合、払出対象の錠剤が分割錠剤である場合には、下方に装着される分割錠剤可変カセットCa22を、当該分割錠剤の割付先として特定する。
具体的には、分割錠剤可変カセットCa22を装着可能な可変カセット装着部152が予め定められている。下方の可変カセット装着部152(例:下から3番目までの3つの可変カセット装着部152)が、分割錠剤可変カセットCa22を装着可能な可変カセット装着部152として予め定められている。
払出特定部111は、分割錠剤の割付先として可変カセットCa2を特定するときに、予め定められた可変カセット装着部152に分割錠剤可変カセットCa22が装着されているか否かを判定する。払出特定部111は、分割錠剤可変カセットCa22が装着されていると判定した場合、当該分割錠剤可変カセットCa22に、払出対象の分割錠剤を割り付ける。一方、払出特定部111が、分割錠剤可変カセットCa22が装着されていないと判定した場合、通知制御部112は、予め定められた可変カセット装着部152のうちの1つに対応するLED153を点滅させる。これにより、当該可変カセット装着部152への分割錠剤可変カセットCa22の装着をユーザに促す。
このように、分割錠剤については、出来る限り下方に装着された分割錠剤可変カセットCa22から払出すようにすることで、分包ユニット18での分割錠剤の破損を抑制できる。
〔溢れ出し検出動作〕
次に、可変カセットCa2における錠剤の溢れ出し検出動作の一例について説明する。図4の(a)及び図5に示すように、可変カセットCa2では、第1回転体222が第2回転体223に対して傾斜するように配置されることで、第1回転体222の上方に錠剤を収容する空間が形成されている。
可変カセットCa2に錠剤が投入されると、上記空間内に錠剤が収容される。但し、上記空間から溢れ出るほどの錠剤が可変カセットCa2に投入される等、全ての錠剤が上記空間内に収容されていない状態で、当該錠剤の払出処理が開始されると、高さ規制体224及び幅規制体225等によって、錠剤を一列に整列することができない可能性がある。この場合、2つの錠剤が一度に払出口227から払出されてしまう可能性がある。
そのため、制御部11は、可変カセットCa2に収容された錠剤を可変カセットCa2から払出す前に、可変カセットCa2において、例えば以下のような溢れ出し検出動作を実行させる。
分包制御部114は、まず、錠剤が収容された可変カセットCa2の第2回転体223を、錠剤を順送りする方向(錠剤が払出口227に向かう方向)とは逆方向に、例えば1周以上回転させる(逆転させる)。その後、分包制御部114は、第2回転体223を、錠剤を順送りする方向に回転させる(正転させる)。
上記空間に収容できる程度の錠剤が可変カセットCa2に投入されている場合には、第2回転体223上に錠剤が載置された場合であっても、当該錠剤は、第2回転体223を逆転させたときに第2回転体223の周囲に存在する部材に衝突し、上記空間内へと落下する。そのため、分包制御部114がその後第2回転体223を正転させたときに、第2回転体223から払出口227へと落下する錠剤は存在しない。従って、分包制御部114は、カウントセンサー154が所定時間内に錠剤を検知しないため、全ての錠剤が上記空間内に収容されている(払出処理が開始できる状態となっている)ものと判定する。
一方、上記空間に収容できない程度の錠剤(上記空間から溢れ出る程度の錠剤)が可変カセットCa2に投入されている場合には、第2回転体223を逆転させても第2回転体223上に錠剤が残ってしまう。そのため、分包制御部114がその後第2回転体223を正転させたときに、第2回転体223から払出口227へと落下する錠剤が存在する。この場合、カウントセンサー154は、所定時間内に錠剤を検知することになる。従って、分包制御部114は、カウントセンサー154からの錠剤検知の通知を受けることで、全ての錠剤が上記空間内に収容しきれず、払出処理を開始できない状態となっているものと判定する。この場合、分包制御部114は、払出処理を開始することなく、例えばユーザに対するエラー通知を行う。例えば、分包制御部114は、表示制御部115を制御して、エラー通知を行うための画像を表示部13に表示させる。
このように、可変カセットCa2から錠剤を払出す前に溢れ出し検出動作を実行することで、可変カセットCa2に投入した錠剤が確実に上記空間に収容された状態において、払出処理を開始できる。
しかしながら、溢れ出し検出動作を実行した場合、その動作分、時間を要することとなる。また、上記空間に確実に錠剤を収容するユーザにとっては、溢れ出し検出動作が不要となる可能性もある。
そこで、溢れ出し検出動作の実行要否をユーザが選択できるようにしても構わない。分包制御部114は、溢れ出し検出動作が実行要に設定されている場合には、払出処理の前処理として溢れ出し検出動作を実行する一方、実行不要に設定されている場合には、当該前処理として溢れ出し検出動作を実行しない。このように、溢れ出し検出動作の実行要否をユーザが選択でき、当該選択結果に従い溢れ出し検出動作が実行される、又は実行されないことにより、ユーザの使い勝手に応じた動作を可変カセットCa2に行わせることが可能となる。
〔非分割錠剤可変カセット及び分割錠剤可変カセットの動作切替え〕
次に、非分割錠剤可変カセットCa21と分割錠剤可変カセットCa22との動作方法の相違について、図17を用いて説明する。図17は、非分割錠剤可変カセットCa21及び分割錠剤可変カセットCa22のそれぞれの動作例(処理例)を示すフローチャートである。
薬剤払出装置100では、可変カセット装着部152のRFIDリーダライタは、当該可変カセット装着部152に装着された可変カセットCa2のRFIDタグから、当該可変カセットCa2の可変カセット識別情報を読取る。分包制御部114は、読取った可変カセット識別情報により、可変カセット装着部152に、非分割錠剤可変カセットCa21及び分割錠剤可変カセットCa22の何れが装着されているのかを判定する。分包制御部114は、この判定結果に基づき、非分割錠剤可変カセットCa21用の処理、及び分割錠剤可変カセットCa22用の処理を実行する。
<分割錠剤可変カセットの動作例>
分包制御部114は、可変カセット装着部152に分割錠剤可変カセットCa22が装着された場合、例えば以下のように、可変カセット装着部152の駆動を制御することで、分割錠剤可変カセットCa22を動作させる。
なお、本動作例では、第2回転体223の回転速度は、段階1(最低速)~段階7(最高速)の7段階に設定可能となっている。また、薬剤払出装置100は計時部(不図示)を備え、分包制御部114は、計時部による計時の開始及びリセットを制御する。これらの点については、後述の非分割錠剤可変カセットCa21の動作例においても同様である。
図17に示すように、分割錠剤が第1回転体222(内輪)に投入された後、分割錠剤の払出処理が開始されると、分包制御部114は、高さ規制体224及び幅規制体225を制御することで、移送高さW1と移送幅W21及びW22とを調整する。その後、分包制御部114は、第1回転体222を回転させることにより、第1回転体222から第2回転体223(外輪)へ分割錠剤を乗り移らせる、分割錠剤のかき上げ動作を開始する(S51)。
その後、分包制御部114は、第2回転体223を順送りさせる(S52)。回転速度は、投入された分割錠剤の大きさに基づき、例えば段階1~段階3のいずれかに設定される。またこのとき、計時部は、第1所定時間(例:2秒)の計時を開始する。
分包制御部114は、計時部が計時を開始してから第1所定時間以内に、カウントセンサー154が分割錠剤を検知し、その検知結果を取得した場合、第2回転体223を第3距離分逆送りさせる(S53)。つまり、分包制御部114は、順送り動作を一時的に逆送り動作に切替えて、第2回転体223上の分割錠剤を第3距離分逆送りさせる第3切替え動作(逆転動作3)を実行する。
ここで、2つの分割錠剤が連続して払出口227から排出される場合を考える。この場合、先頭の分割錠剤が払出口227から払出された後も、そのまま順送り動作が続行された場合、当該分割錠剤に続けて、後続の分割錠剤も払出口227から払出される可能性がある。この場合、カウントセンサー154は、2つの分割錠剤を1つの分割錠剤として誤カウントしてしまう可能性がある。上記第3距離分逆戻りさせることで、2つの分割錠剤の落下間隔を広げることができるため、上記誤カウントの発生を防止できる。
そのため、第3距離は、実験等を経て、上述の誤カウントが発生しない程度の距離に設定されていればよい。本実施形態では、分包制御部114は、例えば、第2回転体223を、第2回転軸の周りを約5°回転させることで、第3距離分の逆送り動作を実現する。
分包制御部114は、第1所定時間内にカウントセンサー154から検知結果を取得している間は、S52及びS53の処理を繰り返す。このS52及びS53の処理は、固定部材226Cでの詰まりが生じていないときの払出し動作である通常払出し動作とも称される。
一方、分包制御部114は、計時部が計時を開始してから第1所定時間以内に、カウントセンサー154から検知結果を取得しなかった場合(計時部から第1所定時間経過の通知を取得した場合)、第2回転体223を第1距離分逆送りさせる(S54)。つまり、分包制御部114は、順送り動作を一時的に逆送り動作に切替えて、第2回転体223上の分割錠剤を第1距離分逆送りさせる第1切替え動作(逆転動作1)を実行する。
なお、第1距離は、第1変位部材226Aから第2変位部材226Bまでの距離に対応する距離である。本実施形態では、分包制御部114は、例えば、第2回転体223を、第2回転軸の周りを約15°回転させることで、第1距離分の逆送り動作を実現する。また、第1所定時間としては、順送り時の第2回転体223の回転速度が最も低速である場合に、第1変位部材226A付近に存在する分割錠剤が払出口227から払出されるのに十分な時間が設定される。
分包制御部114は、S54の処理後、第2回転体223を再度順送りにする(S55)。また、計時部は、順送り開始時に、第1所定時間の計時をリセットすると共に、第2所定時間(例:4秒)の計時を開始する。
その後、分包制御部114は、第2所定時間以内に、カウントセンサー154から検知結果を取得した場合、固定部材226Cでの詰まりが解消されたものとして、S53の処理に移行する。つまり、通常払出し動作に復帰する。
一方、分包制御部114は、第2所定時間以内に、カウントセンサー154から検知結果を取得しなかった場合(計時部から第2所定時間経過の通知を取得した場合)、第2回転体223を第2距離分逆送りさせる(S56)。つまり、分包制御部114は、順送り動作を一時的に逆送り動作に切替えて、第2回転体223上の分割錠剤を第2距離分逆送りさせる第2切替え動作(逆転動作2)を実行する。その後、S55の処理に戻る。またこのとき、計時部は、第2所定時間の計時をリセットすると共に、第2所定時間の計時を開始する。
つまり、分包制御部114は、第2所定時間以内にカウントセンサー154から検知結果を取得していない間は、S55及びS56の処理を繰り返す。このS55及びS56の処理は、固定部材226Cで詰まった分割錠剤を第2変位部材226Bの手前まで戻した後、当該分割錠剤の再度の払出しを実行する復帰動作とも称される。
なお、第2距離は、第1変位部材226Aから第2変位部材226Bまでの距離(第1距離)よりも長い距離である。本実施形態では、分包制御部114は、例えば、第2回転体223を、第2回転軸の周りを約30°~50°回転させることで、第2距離分の逆送り動作を実現する。
ここで、逆送り時の回転速度は比較的大きく設定されている。そのため、分割錠剤MD11及びMD12の順に並んでいる場合に(図7の(b)及び(c)参照)、逆送り時の回転角度を大きく設定することで、分割錠剤MD12だけでなく分割錠剤MD11も、第2変位部材226Bに接触したとしても、第2変位部材226Bを超えて、移動領域Ar1の方へと移動させることができる。
分包制御部114は、S56の処理を所定回数(例:5回)実行し、S55の処理後の第2所定時間以内にカウントセンサー154から検知結果を取得しなかった場合には、高さ規制体224及び幅規制体225を初期位置に戻す。初期位置とは、移送高さW1、移送幅W21及びW22が最大値を取る位置であって、高さ規制体224及び幅規制体225が全開となる位置を指す。その後、分包制御部114は、所定時間逆送り動作を行い、第2回転体223上の分割錠剤を第1回転体222に戻す(S47)。ここでの所定時間は、第2回転体223上の分割錠剤が第1回転体222に戻されるのに十分な時間に設定されていればよい。またこのとき、計時部は、第2所定時間の計時をリセットする。
その後、S51と同様、分包制御部114は、高さ規制体224及び幅規制体225を制御することで、移送高さW1と移送幅W21及びW22とを調整する。また、分包制御部114は、第1回転体222を回転させることにより、分割錠剤のかき上げ動作を開始する(S58)。なお、S57及びS58の処理は、分割錠剤の払出処理をリセットするリセット動作とも称される。
その後、S55及びS56と同様、復帰動作が実行される(S59及びS60)。分包制御部114は、S59の順送り開始後、第2所定時間以内に、カウントセンサー154から検知結果を取得した場合、S53の処理に移行する。つまり、通常払出し動作に復帰する。一方、S59及びS60の処理が所定回数(例:2回)実行された後は、S57の処理を行った後、本処理を終了する。これ以上の復帰動作を行っても分割錠剤を効率良く払出せない可能性が高いためである。
以上の処理により、分割錠剤可変カセットCa22は、分割錠剤を効率良く払出すことができる。
<非分割錠剤可変カセットの動作例>
分包制御部114は、可変カセット装着部152に非分割錠剤可変カセットCa21が装着された場合、例えば以下のように、可変カセット装着部152の駆動を制御することで、非分割錠剤可変カセットCa21を動作させる。
図17に示すように、分包制御部114は、非分割錠剤のかき上げ処理を開始した後(S51)、S52及びS53に示す通常払出し動作を実行する。また、S52において、分包制御部114は、計時部が計時を開始してから第1所定時間以内に、カウントセンサー154から検知結果を取得しなかった場合、第2回転体223を第1距離分逆送りさせる(S54)。分包制御部114は、S54の処理後、S55及びS56に示す復帰動作を実行する。
上述のように、分割錠剤可変カセットCa22の場合、分包制御部114は、S56の処理を所定回数実行し、S55の処理後の第2所定時間以内にカウントセンサー154から検知結果を取得しなかった場合には、S57の処理(リセット動作)に移行する。非分割錠剤可変カセットCa21の場合、分包制御部114は、S56の処理を所定回数実行し、S55の処理後の第2所定時間以内にカウントセンサー154から検知結果を取得しなかった場合には、本処理を終了する(図17の点線で示す矢印参照)。
非分割錠剤可変カセットCa21は、分割錠剤可変カセットCa22のように、第1変位部材226A及び第2変位部材226Bを有するガイド部材226(図6の(a)参照)の代わりに、ガイド部材326(図6の(c)参照)を備える。そのため、非分割錠剤可変カセットCa21の場合、分割錠剤可変カセットCa22のように、復帰動作の回数を増加させても、非分割錠剤を効率良く払出せることを保証できない。そのため、非分割錠剤可変カセットCa21の場合、分包制御部114は、リセット動作、及び、リセット動作後の復帰動作を実行しない。
このように、分包制御部114は、非分割錠剤可変カセットCa21と分割錠剤可変カセットCa22とでその動作(特に、詰まりが発生した後の動作)を異ならせている。これにより、非分割錠剤可変カセットCa21、及び分割錠剤可変カセットCa22のそれぞれから効率良く錠剤を払出すことができる。
なお、分包制御部114は、例えばS56及びS60において第2回転体223を逆転させるときには、高さ規制体224及び/又は幅規制体225を移動させることで、移送高さW1、及び/又は、移送幅W21及びW22を、所定の大きさに広げても構わない。
〔払出モードの設定〕
次に、可変カセットCa2に払出対象の錠剤が割り付けられた場合の、錠剤の払出し方法の一例について説明する。なおここでは、分割錠剤可変カセットCa22の収容対象の錠剤は、分割錠剤のみであるものとする。
上述したように、払出特定部111は、非分割錠剤を払出す場合、当該非分割錠剤の割付先として非分割錠剤可変カセットCa21を特定するが、これに限らず、当該非分割錠剤の割付先として分割錠剤可変カセットCa22を特定しても構わない。この場合、非分割錠剤の払出モードが設定可能であっても構わない。
設定可能な払出モードとしては、例えば、非分割錠剤を非分割錠剤として非分割錠剤可変カセットCa21から払出す通常払出モードと、非分割錠剤を分割錠剤として分割錠剤可変カセットCa22から払出す特殊払出モードとが挙げられる。つまり、特殊払出モードに設定された錠剤については、全て分割錠剤として払出される。払出モードは、例えば錠剤の種類毎に設定されていても構わない。また、払出モードは、ユーザにより変更可能であっても構わない。
ここで、ある錠剤を2錠払出す場合(つまり非分割錠剤を2つ払出す場合)について考える。払出特定部111は、まず、払出対象の錠剤に設定されている払出モードを特定する。払出特定部111は、通常払出モードが設定されていると判定した場合、払出対象の2つの非分割錠剤の割付先として、非分割錠剤可変カセットCa21を特定する。つまりこの場合、非分割錠剤可変カセットCa21から2つの非分割錠剤が払出される。
一方、払出特定部111は、特殊払出モードが設定されていると判定した場合、払出対象の2つの非分割錠剤の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する。例えば、分割錠剤可変カセットCa22に、0.5錠剤が収容されている場合には、分割錠剤可変カセットCa22は、2錠分、つまり0.5錠剤を4つ払出す。また、分割錠剤可変カセットCa22に、0.25錠剤が収容されている場合には、分割錠剤可変カセットCa22は、0.25錠剤を8つ払出す。
また、ある錠剤を2.5錠払出す場合について考える。払出特定部111は、通常払出モードが設定されていると判定した場合、払出対象の錠剤のうち2錠分の割付先として、非分割錠剤可変カセットCa21を特定すると共に、払出対象の錠剤のうち0.5錠分の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する。つまりこの場合、非分割錠剤可変カセットCa21から2つの非分割錠剤が払出され、分割錠剤可変カセットCa22から1つの0.5錠剤が払出される。
一方、払出特定部111は、特殊払出モードが設定されていると判定した場合、払出対象の錠剤2.5錠分の割付先として、分割錠剤可変カセットCa22を特定する。例えば、分割錠剤可変カセットCa22に0.5錠剤が収容されている場合には、分割錠剤可変カセットCa22は、0.5錠剤を5つ払出す。また、分割錠剤可変カセットCa22に0.25錠剤が収容されている場合には、分割錠剤可変カセットCa22は、0.25錠剤を10個払出す。
以上のように、設定された払出モードによって、非分割錠剤を、非分割錠剤又は分割錠剤として払出すことができる。例えば、比較的大きい錠剤について特殊払出モードに設定しておくことで、当該錠剤の全てを、分割錠剤として分割錠剤可変カセットCa22から払出すことができる。そのため、当該錠剤を飲みやすい大きさにして、患者に提供することが可能となる。
なお、払出モードは、錠剤の種類毎に設定されているものとして説明したが、患者毎に設定可能であっても構わない。この場合、例えば、錠剤の服用が苦手な患者、又は困難な患者に対して特殊払出モードを設定しておくことで、払出特定部111は、当該患者が服用する錠剤の全てを、分割錠剤として分割錠剤可変カセットCa22から払出すことができる。そのため、上記患者が錠剤を服用するときの負担を軽減することが可能となる。
また、特殊払出モードに設定されている場合、払出対象の錠剤は、分割錠剤可変カセットCa22から分割錠剤として払出されるが、これに限られない。払出特定部111は、特殊払出モードに設定されている場合であって、払出対象の錠剤と同種の分割錠剤が収容された分割錠剤固定カセットCa12が存在する場合には、当該錠剤の割付先として、当該分割錠剤固定カセットCa12を特定しても構わない。この場合、払出対象の錠剤は、分割錠剤固定カセットCa12から、分割錠剤として払出される。
〔第2回転体の形状〕
次に、図18を用いて、第2回転体223の形状の一例について説明する。図18の(a)及び(b)は、第2回転体223の一例を概略的に示す断面図である。なお、図18の(b)に示す第2回転体223は、図4及び図5において示す第2回転体223と同一である。
図18の(a)に示す例では、第2回転体223の内周部の全周に亘りリブ223Aが設けられると共に、第2回転体223の外周部の全周に亘りリブ223Bが設けられている。つまり、第2回転体223の内周部(内周縁)及び外周部(外周縁)が突出した形状となっている。
なお本例では、第2回転体223の内周部及び外周部が突出した形状となっているが、これに限らず、例えば第2回転体223の内周部のみが突出した形状となっていても構わない。つまり、第2回転体223にリブ223A及び223Bの両方を設けている必要は必ずしもなく、何れか一方のリブ(例:リブ223A)のみが設けられた形状であっても構わない。
また、リブ223A及び223Bは、第2回転体223と一体に形成されていても、別体として第2回転体223に設けられていても構わない。
一方、図18の(b)に示すように、第2回転体223は、その内周部及び外周部の全周に亘りリブを設けていない形状であっても構わない。
ここで、第2回転体223にリブを設けるか設けないかは、可変カセットCa2の特性等によって決定されても構わない。
第2回転体223の内周部及び/又は外周部にリブを設けることにより、例えば払出口227へ搬送中の錠剤を第2回転体223から落下しにくくすることができる。一方で、リブを設けた場合には、リブに接触して錠剤が破損してしまう可能性がある。特に分割錠剤は破損しやすいので、リブへの接触により破損してしまう可能性がある。
この点を考慮すれば、破損しやすい分割錠剤が収容される分割錠剤可変カセットCa22では、例えば図18の(b)に示されるような、リブを設けない第2回転体223が採用されても構わない。一方、非分割錠剤は分割錠剤に比べ破損しにくい。そのため、非分割錠剤可変カセットCa21では、第2回転体223上の搬送中の錠剤を落下しにくくするために、例えば図18の(a)に示されるような、リブを設けた第2回転体223が採用されても構わない。
上記採用例はあくまで一例であって、分割錠剤可変カセットCa22において、リブ223A及び223Bの少なくとも何れかを設けた第2回転体223が採用されても構わない。また、非分割錠剤可変カセットCa21において、リブ223A及び223Bの何れか、又はその両方を設けない第2回転体223が採用されても構わない。
〔払出動作例〕
次に、可変カセットCa2による錠剤の払出動作の一例について説明する。本動作例では、可変カセットCa2から所定数量の錠剤が払出される場合に、所定数量の錠剤の払出しが完了していないにもかかわらず、第2回転体223上に錠剤が載置されていないときの動作について説明する。
本動作例を実現するために、可変カセットCa2は、例えば、第2回転体223上に存在する錠剤を検出する錠剤検出センサー(例:光センサー)(不図示)を備える。錠剤検出センサーは、第2回転体223上に存在する錠剤を検出可能な位置に配置される。また、可変カセットCa2は、第2回転体223上に錠剤が存在しない時間を計測する計時部(不図示)を備える。
分包制御部114は、錠剤検出センサーによる錠剤の検出結果を受けて、第1回転体222の回転動作を制御する。具体的には、分包制御部114は、錠剤の払出動作を開始後、錠剤検出センサーによって錠剤が検出されていない時間が所定時間経過したと判定した場合に、第1回転体222を所定角度回転させる。
これにより、第2回転体223上に錠剤が存在しない状態が所定時間継続した場合に、第1回転体222上に収容された錠剤を、移動領域Ar1(図5参照)を介して、第2回転体223に移動させるようにすることができる。そのため、第2回転体223上に錠剤が載置されていないことで、可変カセットCa2から錠剤が払出されない時間を短縮できる。つまり、可変カセットCa2による払出効率を高めることができる。
また、分包制御部114は、所定角度回転後の所定時間内に、錠剤検出センサーによって錠剤が検知されなかった場合(所定角度回転後に、錠剤検出センサーによって錠剤が検出されていない時間が所定時間経過したと判定した場合)、第1回転体222を再度、所定角度回転させる。
これにより、所定角度回転してもなお、第1回転体222上に収容された錠剤が第2回転体223上に載置されない場合であっても、再度の所定角度の回転により、第2回転体223に錠剤を移動させるようにすることができる。
なお、上記所定時間は、例えば実験等を経て、適切な長さ(例:4秒)に設定できる。また、上記所定角度についても、例えば実験等を経て、適切な角度(例:180°)に設定できる。また、上記動作を所定回数繰り返した後であっても、錠剤検出センサーによって錠剤が検出されない場合には、分包制御部114は、ユーザにエラーを通知しても構わない。
〔補足事項〕
以下に、上述した内容についての補足事項について説明する。
<払出指示について>
本明細書には、
(A)払出指示に非分割錠剤の払出指示が含まれている(又は、処方データに非分割錠剤が含まれている)、
(B)払出指示に分割錠剤の払出指示が含まれている(又は、処方データに分割錠剤が含まれている)、
(C)払出指示に、同一種類の錠剤について非分割錠剤及び分割錠剤の払出指示 (n.m錠(nは1以上の整数、mは正の数)の払出指示)が含まれている、
等の記載が存在する。
払出指示には、一般に、任意の患者に係る1服用時期(1分包)当たりの錠剤の種類、及び、錠剤の種類毎の払出数量が含まれており、非分割錠剤及び/又は分割錠剤の払出指示が直接的に含まれるわけではない。
上記(A)における、払出指示に非分割錠剤の払出指示が含まれているとは、払出指示に含まれる任意の錠剤の払出数量が整数であるか、又は、当該払出数量がn.m錠(nは1以上の整数、mは正の数)である場合を指す。つまり、上記任意の錠剤について、少なくとも非分割錠剤が払出対象となっていることを指す。
また、上記(B)における、払出指示に分割錠剤の払出指示が含まれているとは、払出指示に含まれる任意の錠剤の払出数量がn.m錠(nは0以上の整数、mは正の数)である場合を指す。つまり、上記任意の錠剤について、少なくとも分割錠剤が払出対象となっていることを指す。
また、上記(C)については、払出指示に含まれる任意の錠剤の払出数量がn.m錠(nは1以上の整数、mは正の数)である場合を指し、上記(A)及び(B)の何れにも含まれる記載である。
但し、払出指示に、非分割錠剤及び/又は分割錠剤の払出指示が直接的に含まれていても構わない。
<払出数量について>
本明細書中の「払出数量」は、1服用時期当たりの払出数量を指す。つまり、任意の錠剤の払出数量が整数であるとは、1服用時期当たりの払出数量が整数であることを指し、任意の錠剤の払出数量が整数でない(n.m錠(nは0以上の整数、mは正の数)である)とは、1服用時期当たりの払出数量が整数でない(n.m錠(nは0以上の整数、mは正の数)である)ことを指す。
<可変カセット識別情報について>
可変カセットCa2のRFIDタグには、可変カセットCa2を一意に特定可能な可変カセット識別情報が記憶されている。可変カセット識別情報には、可変カセットCa2を一意に特定するための識別情報(例:個体番号)の他、可変カセットCa2の種類を示す情報(非分割錠剤可変カセットCa21又は分割錠剤可変カセットCa22を識別するための情報)も含まれている。
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤払出装置100及び101の制御ブロック(特に制御部11の各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、薬剤払出装置100及び101は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、制御装置500の制御ブロック(特に、割付先特定部501)についても同様である。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。