JP2019007503A - チューンドマスダンパー、チューンドマスダンパーの設置構造、及び、チューンドマスダンパーの設置方法 - Google Patents

チューンドマスダンパー、チューンドマスダンパーの設置構造、及び、チューンドマスダンパーの設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】質量体のロッキング振動を抑制する。
【解決手段】制振対象物の上方又は下方に配置された質量体が、制振対象物の上下振動に同調して上下振動することにより、制振対象物の上下振動を抑制するチューンドマスダンパーであって、制振対象物に直接的又は間接的に設けられて質量体を支持する粘弾性部材と、粘弾性部材と並列に設けられるとともに、粘弾性部材よりも質量体の重心から離れた位置に配置されて、質量体を支持する少なくとも3つの弾性部材と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、チューンドマスダンパー、チューンドマスダンパーの設置構造、及び、チューンドマスダンパーの設置方法に関する。
制振対象物(例えば、建物の床等)の上下振動を抑制する装置として、質量体と弾性部材と減衰部材を備え、制振対象物の上下振動に同調して、略逆位相の上下振動を質量体がすることにより、制振対象物の上下振動を抑制するチューンドマスダンパー(以下、TMDとも言う)が知られている。例えば、特許文献1では、床材の下側に、粘弾性体(減衰部材)をゴムなどの弾性体で覆った複合体が設けられており、その複合体に質量体が取り付けられている。
特開平4−143346号公報
しかしながら、上述したようなTMDでは質量体がロッキング振動(揺りかごの如く上下に揺動する振動)をするおそれがあった。そして、ロッキング振動が発生した場合には、上下振動と同調した略逆位相の上下振動をし難くなって、その結果、制振対象物の上下振動の抑制効果が減退してしまうおそれがあった。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は質量体のロッキング振動を抑制することにある。
かかる目的を達成するために本発明のチューンドマスダンパーは、制振対象物の上方又は下方に配置された質量体が、前記制振対象物の上下振動に同調して上下振動することにより、前記制振対象物の前記上下振動を抑制するチューンドマスダンパーであって、前記制振対象物に直接的又は間接的に設けられて前記質量体を支持する粘弾性部材と、前記粘弾性部材と並列に設けられるとともに、前記粘弾性部材よりも前記質量体の重心から離れた位置に配置されて、前記質量体を支持する少なくとも3つの弾性部材と、を有することを特徴とする。
このようなチューンドマスダンパーによれば、質量体を安定して支持することができるので、質量体のロッキング振動を抑制することができる。
かかるチューンドマスダンパーであって、前記粘弾性部材は1つだけ設けられており、
前記質量体の前記重心の平面位置は、前記粘弾性部材の内側に位置していることが望ましい。
このようなチューンドマスダンパーによれば、ロッキング振動をより抑制することができる。
かかるチューンドマスダンパーであって、前記粘弾性部材は、直方体の部材であることが望ましい。
このようなチューンドマスダンパーによれば、質量体を安定して支持することができる。
かかるチューンドマスダンパーであって、前記粘弾性部材の剛性が、前記弾性部材の剛性の合計よりも小さいことが望ましい。
このようなチューンドマスダンパーによれば、ロッキング振動が発生しにくい。
かかるチューンドマスダンパーであって、前記弾性部材は、圧縮コイルばねであることが望ましい。
このようなチューンドマスダンパーによれば、質量体を下側から支持する場合に好適である。
かかるチューンドマスダンパーであって、前記制振対象物は床であり、前記床よりも下に、前記床に対して固定された台が設けられており、前記粘弾性部材及び前記弾性部材は、前記台と前記質量体との間に並列に介挿されてもよい。
このようなチューンドマスダンパーによれば、台を介して、床の上下振動を抑制することができる。
また、上記のチューンドマスダンパーが設置されたチューンドマスダンパーの設置構造であって、前記床の下に設けられた梁と、前記梁の側面から突出するように設けられた突出部材と、前記台が設置された受梁と、を有し、前記受梁の端部が前記突出部材に接合されていることを特徴とする。
このようなチューンドマスダンパーの設置構造によれば、既存の梁に取り付けることができる。
かかるチューンドマスダンパーの設置構造であって、前記受梁は、上下一対のフランジと、前記上下一対のフランジを繋ぐウェブとを有し、上側の前記フランジの長手方向の長さは、下側の前記フランジの前記長手方向の長さよりも短いことが望ましい。
このようなチューンドマスダンパー設置構造によれば、制振対象物(床)の下方から受梁及びチューンドマスダンパーを簡易に設置することができる。
また、かかる目的を達成するために本発明のチューンドマスダンパーの設置方法は、質量体が、前記制振対象物の上下振動に同調して上下振動することにより、前記制振対象物の前記上下振動を抑制するチューンドマスダンパーの設置方法であって、台の上に粘弾性部材と少なくとも3つの弾性部材とを配置する支承部材配置工程と、前記弾性部材及び前記性部材の上に前記質量体を配置する質量体配置工程と、前記台を持ち上げて、制振対象物の下方において、当該制振対象物に対して前記台を固定させる設置工程と、を有し、前記支承部材配置工程では、前記弾性部材が前記粘弾性部材よりも前記質量体の重心から離れた位置になるように、前記弾性部材及び前記粘弾性部材を配置することを特徴とする。
このようなチューンドマスダンパーの設置方法によれば、質量体のロッキング振動を抑制することができる。
本発明によれば、質量体のロッキング振動を抑制することができる。
本実施形態のTMD20が設けられた床1の構造を示す伏図である。 図1AのA−A矢視図である。 図1AのB−B矢視図である。 図1AのC−C矢視図である。 図2A及び図2Bは、本実施形態のTMD20の説明図である。図2Aは、TMD20の概略縦断面図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。 TMDの固有振動数と減衰定数との関係について示す図である。 TMD20の設置の変形例を示す図である。
===本実施形態===
<床構造について>
図1Aは、本実施形態のTMD20が設けられた床1直下の構造を示す伏図である。図1Bは、図1AのA−A矢視図であり、図1Cは、図1AのB−B矢視図であり、図1Dは、図1AのC−C矢視図である。なお、図1A〜図1Dにおいて、水平面で直交する2方向(2つの水平方向)のうちの一方をX方向とし、他方をY方向とする。また、ここでは、本実施形態のTMD20を立方体の概略図で示している(詳細の構成は図2参照)。
本実施形態の床構造は、床1と、梁3と、T字部材5と、連結部材7と、TMDユニット10とを備えている。
床1(制振対象物に相当)は、コンクリート製の構造床であり、建物の所定階(例えば3階)の床である。
梁3は、床1を支承する梁(既存梁)であり、床1の下に設けられている。図1A、図1Bにおいて、梁3はY方向に沿って2本平行に配置されている。梁3はH形鋼であり、上下一対の上フランジ3a及び下フランジ3bと、上フランジ3aと下フランジ3bを繋ぐウェブ3cとを有している。そして、図1Bに示すように、梁3の上フランジ3aの上面が床1の下面に接合されている。
T字部材5は、断面(ここでは水平断面)がT字状の鋼製部材である。図1Aに示すように、T字部材5の端面は、梁3のウェブ3cに接合されている。より具体的には、T字部材5の端面は、梁3のウェブ3cのうち、他方の梁3と対向する側の面に接合されている。これにより、T字部材5は、梁3から内側(2本の梁3の間の空間)に突出している。
連結部材7は、図1Bに示すように、略台形形状の鋼製の板材であり、T字部材5の突出部分を挟むように、T字部材5のY方向の両側にボルト等で固定されている。連結部材7は、TMDユニット10のTMD受梁12を、T字部材5(換言すると梁3)に連結(接合)するための部材である。本実施形態において、T字部材5及び連結部材7は、突出部材に相当する。なお、突出部材の構成は、これには限らない。例えば、連結部材7がT字部材5の片側だけに配置されていてもよいし、あるいは、T字部材5と連結部材7を一体に構成してもよい。
<TMDユニット10について>
TMDユニット10は、床1の下方において2本の梁3の間に設けられている。本実施形態のTMDユニット10は、TMD受梁12と、台座14(台に相当)と、TMD20とを備えている。
TMD受梁12は、TMD20の荷重を受ける梁であり、Y方向に間隔を空けて、X方向に沿って2本平行に設けられている。すなわち、2本のTMD受梁12は、梁3に対して垂直に設けられている。本実施形態のTMD受梁12は、梁3よりもサイズの小さいH形鋼であり、上下一対の上フランジ12a及び下フランジ12bと、上フランジ12aと下フランジ12bとを繋ぐウェブ12cとを備えている。図1Bに示すように、上フランジ12aの長手方向(X方向)の両端部は、連結部材7の形状に合わせてカットされており、上フランジ12aは、下フランジ12bよりも長さが短い。これにより、2つの連結部材7(T字部材51を挟む連結部材7)の間に、下側からTMD受梁12のウェブ12cの端部を挿入することが可能である。そして、TMD受梁12のウェブ12cは、2つの連結部材7の間に挿入されてボルト等で連結部材7と接合される。
台座14は、TMD20を載置するための台である。台座14は、平面形状が矩形(正方形)であり、Y方向の両端部がTMD受梁12の下フランジ12bの上面にボルト等で接合されている。これにより、台座14は、TMD受梁12、連結部材7、T字部材5、梁3を介して、床1に対して固定されている。
TMD20は、床1の上下振動を抑制するための装置であり台座14の上に設けられている。本実施形態のTMDユニット10には、TMD20と台座14の組み合わせがX方向に2つ並んで設けられている。但し、これには限らず、TMD20と台座14の組み合わせが1つだけ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
<TMD20の構成について>
図2A及び図2Bは、本実施形態のTMD20の説明図である。図2Aは、TMD20の概略縦断面図であり、図2Bは、図2A中のB−B断面図である。なお、図2A中では、コイルばね26等のTMD10の一部の構成を側面視で示している。
本実施形態のTMD20は、床1(制振対象物)の下方に配置されている。より具体的には、床1の下方において床1に対して固定された台座14の上に設けられている。つまり、TMD20は、床1に対して間接的に設けられている。そして、基本的に、このTMD20では、床1の下方に設けられた質量体(後述する質量体22)が、床1の上下振動に同調して略逆位相の上下振動をすることにより、床1の上下振動を抑制する。
本実施形態のTMD20は、質量体22と、粘弾性部材24と、弾性部材26とを有している。
質量体22は、例えば平面視略矩形形状の鋼製等の金属製部材であり、この例では、所定厚さの一枚の矩形鋼板が使用されている。但し、これには限らず、例えば、質量が足りない場合には、複数枚の矩形鋼板を積層して使用しても良いし、必要な質量を確保できればコンクリートその他の各種素材を用いることもできる。
粘弾性部材24は、粘性(減衰成分)と弾性(はね成分)の両方の性質をもつ部材である。本実施形態では粘弾性部材24として、発泡性ポリウレタン素材で減衰性能が高い「シロダンプ(登録商標)」を用いている。本実施形態の粘弾性部材24の形状は直方体であり、その平面形状は矩形である。但し、粘弾性部材24の形状はこれには限定されない。例えば、立方体でもよい。また、平面形状が円形や多角形でもよい。粘弾性部材24は、床1の下方において床1に対して固定された台座14の上に設けられて、質量体22を支持している(質量体22と台座14との間に介挿されている)。なお、本実施形態では、粘弾性部材24は、質量体22の平面中心C22又はその近傍位置に配置されており、粘弾性部材24の平面中心は、質量体22の重心の平面位置PG22に一致している。
弾性部材26は、例えば鋼製の線材を所定方向(図では鉛直方向)に沿った中心軸回りに螺旋状に旋回してなる部材(コイルばね)であり、特に圧縮方向の荷重を受けるのに用いられる圧縮コイルばねである。よって、質量体22を下側から支持する場合に好適である。本実施形態のTMD20には、弾性部材26は、質量体22の4隅部にそれぞれ(すなわち4つ)設けられている。より具体的には、弾性部材26は、床1に対して固定された台座14の上に、粘弾性部材24と並列に4つ設けられている(台座14と質量体22との間に互いに並列に介挿されている)。そして、これら4つの弾性部材26は、それぞれの位置において、質量体22を支持している。但し、これには限られず、弾性部材26は、少なくとも3つあればよく、この場合、安定して質量体22を支持することができる。
図2A及び図2Bに示すように、本実施形態では、粘弾性部材24を平面視略矩形形状の質量体22の平面中心C22又はその近傍位置に配しているとともに、粘弾性部材24を周囲から囲むように4つの弾性部材26を質量体22の四隅部にそれぞれ配置している。すなわち、各弾性部材26は、それぞれ、粘弾性部材24よりも質量体22の重心の位置PG22から水平方向に関して遠い位置(離れた位置)に配置されて質量体22を四点支持している。
換言すると、質量体22の重心の平面位置PG22と4つの弾性部材26の平面中心26Cとの水平方向の距離L26は、当該重心の平面位置PG22と粘弾性部材24の平面中心C24との水平方向の距離(不図示)よりも大きくなっている。
よって、これら4つの弾性部材26で質量体22は安定して4点支持される。これにより、質量体22は安定して上下振動することができる。そして、その結果、質量体22のロッキング振動を効果的に防ぐことができる。
なお、仮に、中央の粘弾性部材24の剛性が高い(硬い)とロッキング振動が発生しやすい。このため、粘弾性部材24の剛性は、4つの弾性部材26の剛性の合計よりも小さいことが望ましい。これにより、ロッキング振動を発生しにくくすることができる。
<TMD20の設置方法について>
まず、床1を支承する2本の梁3の対向するウェブ3cの側面にT字部材5、及び、連結部材7を取り付けておく。
次に、TMDユニット10を形成する。すなわち、上フランジ12aの長手方向の両端をカット(図1B参照)したTMD受梁12を2本平行に配置し、その下フランジ12bに台座14をボルト等で取り付ける(接合する)。また、台座14の上に、図2Bに示すように、粘弾性部材24と4つの弾性部材26を並列に配置する。さらに、粘弾性部材24と4つの弾性部材26の上に、所定の質量の質量体22(例えば、複数枚の矩形鋼板積層させたもの)を配置する。このようにして、TMDユニット10を形成する。
そして、形成したTMDユニット10を床1の下方から上に持ち上げて、T字部材5を挟む2つの連結部材7の間にTMD受梁12のウェブ12cの端部を挿入する。そして、ボルト等で連結部材7とウェブ12cを接合する。これにより、床1に対してTMDユニット10(TMD受梁12)が固設される。このような設置方法によれば、床1の下側から既存の梁3にTMD20を容易に取り付けることができる。但し、設置方法はこれには限らない。例えば、TMD受梁12に台座14を取り付けた後、持ち上げて連結部材7とTMD受梁12のウェブ12cを接合してもよい。そして、その後、台座14の上に、粘弾性部材24と4つの弾性部材26を並列に配置して、その上に質量体22を配置してもよい。
<TMDの調整について>
上述したTMD20を用いて床1の振動を減衰させるには、TMD20の固有振動数を床1の固有振動数に一致させる必要がある。以下では、TMD20の質量体22の上下振動を床1の上下振動に同調させるための調整作業(固有振動数や減衰定数の調整)について考察する。
なお、質量体をばねと減衰部材で支持した一般的なモデルにおいて、時間をt、質点の質量をm、減衰部材の減衰係数をc、ばね定数をk、質点の位置をx(t)とすると、このモデルの運動方程式は次の線形微分方程式となる。
Figure 2019007503
式(1)の解として減衰正弦振動が導かれ、これより減衰を考慮した固有振動数fは、
Figure 2019007503
となる。ここでhは減衰定数であり、
Figure 2019007503
である。
図3は、TMDの固有振動数と減衰定数との関係について示す図である。ここでは、本実施形態のTMD20以外に、比較例として、本実施形態の粘弾性部材24を弾性部材25に置き換えたTMD20´(比較例1)と、弾性部材26を用いずに粘弾性部材24のみで構成したTMD20″(比較例2)を挙げている。なお、弾性部材25は、弾性部材(コイルばね)の外周部を、減衰部材として機能する粘弾性の筒状部材で覆いつつ接着剤で接合一体化したタンピングコイルばねである。これらの各ケースにおいて、ばねの剛性をk2とし、減衰材の剛性をk1とする。
各TMDの全体剛性k、全体減衰係数c、全体減衰定数h、固有振動数fは、それぞれ図に示した値となる。
固有振動数fの調整については、通常の使用範囲において、全体減衰定数hは20%以下であり、実用上h2=0としても大きな違いはなく、いずれのケースでもばねと減衰部材との組み合わせによって細かい調整が可能である。
一方、全体減衰定数hの調整方法は、減衰部材の種類による違いが顕著になる。
例えば、比較例1(TMD20´)の場合、図に示すように、減衰係数c1がほぼ一定となる。このため、固有振動数fの同調条件で質量mと剛性(k1+k2)を決めると全体減衰定数hも自動的に決まってしまう。よって、固有振動数fを変えずに全体減衰定数hを最適値に調整するのは困難である。
また、比較例2(TMD20″)の場合、粘弾性部材24の減衰定数h1がそのまま全体減衰定数hとなる。この場合、粘弾性部材24の剛性k1を増やしても減らしても(後述の式4において面積Sと厚さTを変えても)減衰定数h1は変わらず、全体減衰定数hが常に一定になるので、最適値に調整することができない。
これに対し、本実施形態(TMD20)では、弾性部材26の剛性k2と減衰部材(粘弾性部材24)の剛性k1との比率(剛性比率)を変えることによって、固有振動数fを変えることなく全体減衰定数hを調整できる。
なお、粘弾性部材24の剛性k1は、粘弾性部材24の動的縦弾性係数をEd(N/mm2)、面積をS(mm2)、厚さをT(mm)とすると、
1=Ed×S/T ・・・(4)
となる。動的縦弾性係数Edは、材料によって値が決まっている。また、本実施形態の粘弾性部材24は自在にカットすることができる(面積Sと厚さTを変更することができる)ので、式(4)より面積Sと厚さTを適宜設定することで剛性k1を細かく調整することができる。
なお、比較例1の弾性部材25(タンピングコイルばね)は市販されている種類が少なく、比較的剛性が高めである。このため、固有振動数fを低くしたい場合、弾性部材26を軟らかいばねにすると、弾性部材25が相対的に固すぎて、ロッキング振動が発生しやすくなる。本実施形態では、減衰性能の高い粘弾性部材24を用いることで、剛性を低く抑えつつ、必要な減衰量を確保でき、これによりロッキング振動を抑制することができる。
また、本実施形態では、質量体22の4隅部にそれぞれ弾性部材26を配置しているので、比較例2の場合よりもロッキング振動を抑制することができる。
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
前述の実施形態では、制振対象物として床1を例示したが、何等これに限らない。すなわち、上方又は下方に質量体22を配置可能なものであれば、それを制振対象物としても良い。
また、前述の実施形態では、弾性部材26として圧縮コイルばねを用いていたが、これには限らない。例えば、板ばね等の他の種類のばねを用いても良い。
また、前述の実施形態では、1つの質量体22につき4つの弾性部材26を設けていて、これにより、質量体22は四点支持されていたが、質量体22を少なくとも三点支持できればよく、弾性部材26の個数は4つには限らない。すなわち、その個数は、3つ以上であれば良い。例えば、弾性部材26を3つだけ設けても良いし、5つ以上設けても良い。
また、前述の実施形態では、1つの質量体22につき1つの粘弾性部材24を設けていたが、粘弾性部材24の個数は1つ以上(少なくとも1つ)であれば良い。すなわち、粘弾性部材24を2つ以上設けても良い。
また、前述の実施形態では、質量体22の平面形状を矩形状としていたが、これに限らない。例えば、平面視円形状としても良いし、あるいは、三角形等の四角形以外の多角形状としても良い。
また、前述の実施形態では、TMD受梁12を床1の梁3に固定させてTMD20を配置していたが、これには限らない。例えば、床1の下部から垂れ下がるようにアンカー部材を設けて、当該アンカー部材にTMD20を載せた台座14を固定しても良い。
また、前述の実施形態では、TMD20は、床1の下方に設けられていたが、これには限らず、床1の上方に設けても良い。また、前述の実施形態では、TMD20は、床1の下方に固定された台座14の上に設けられていた(床1に対して間接的に設けられていた)が、これには限らず、床1に直接的に設けても良い。
図4は、TMD20の設置の変形例を示す図である。
図4では、床1の上に二重床ユニット9が設けられた二重床構造となっている。二重床ユニット9は複数の脚部9aを備えており、この脚部9aが床1の上面に設置されている。これにより、床1の上方に二重床ユニット9による床(所謂OA床)が形成されている。
この変形例では、TMD20は、床1の上に直接的に設けられている。つまり、粘弾性部材24と4つの弾性部材26が床1の上面に並列に配置されており、その上に質量体22が配置されている。換言すると、床1と質量体22との間に、粘弾性部材24と4つの弾性部材26が並列に介挿されている。そして、粘弾性部材24と4つの弾性部材26は、それぞれ、質量体22を支持している。
この場合においても4つの弾性部材26で質量体22は安定して4点支持されるので、質量体22は安定して上下振動することができる。そして、その結果、質量体22のロッキング振動を効果的に防ぐことができる。
また、この例では、TMD20は二重床構造のうちの床1(下側の床)の上に設けられているが、これには限られない。例えば、二重床ユニット9によって形成される床(上側の床)の下にTMD20を設けても良い。つまり、二重床ユニット9の床の下面に4つの弾性部材26と粘弾性部材24を配置し、その下に質量体22を設ける(二重床ユニット9の床と質量体22との間に、4つの弾性部材26と粘弾性部材24を互いに並列に介挿する)ようにしてもよい。但し、この場合、弾性部材26として、引張コイルばねを用いることが望ましい。
1 床、
3 梁、3a 上フランジ、3b 下フランジ、3c ウェブ、
5 T字部材、
7 連結部材、
9 二重床ユニット、9a 脚部、
10 TMDユニット、12 TMD受梁、
12a 上フランジ、12b 下フランジ、12c ウェブ、
14 台座(台)、
20 TMD(チューンドマスダンパー)、
22 質量体、
24 粘弾性部材、
26 弾性部材(圧縮コイルばね)

Claims (9)

  1. 制振対象物の上方又は下方に配置された質量体が、前記制振対象物の上下振動に同調して上下振動することにより、前記制振対象物の前記上下振動を抑制するチューンドマスダンパーであって、
    前記制振対象物に直接的又は間接的に設けられて前記質量体を支持する粘弾性部材と、
    前記粘弾性部材と並列に設けられるとともに、前記粘弾性部材よりも前記質量体の重心から離れた位置に配置されて、前記質量体を支持する少なくとも3つの弾性部材と、
    を有することを特徴とするチューンドマスダンパー。
  2. 請求項1に記載のチューンドマスダンパーであって、
    前記粘弾性部材は1つだけ設けられており、
    前記質量体の前記重心の平面位置は、前記粘弾性部材の内側に位置していることを特徴とするチューンドマスダンパー。
  3. 請求項1又は2に記載のチューンドマスダンパーであって、
    前記粘弾性部材は、直方体の部材である
    ことを特徴とするチューンドマスダンパー。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載のチューンドマスダンパーであって、
    前記粘弾性部材の剛性が、前記弾性部材の剛性の合計よりも小さい、
    ことを特徴とするチューンドマスダンパー。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載のチューンドマスダンパーであって、
    前記弾性部材は、圧縮コイルばねである
    ことを特徴とするチューンドマスダンパー。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載のチューンドマスダンパーであって、
    前記制振対象物は床であり、
    前記床よりも下に、前記床に対して固定された台が設けられており、
    前記粘弾性部材及び前記弾性部材は、前記台と前記質量体との間に並列に介挿されている、
    ことを特徴とするチューンドマスダンパー。
  7. 請求項6に記載のチューンドマスダンパーが設置されたチューンドマスダンパーの設置構造であって、
    前記床の下に設けられた梁と、
    前記梁の側面から突出するように設けられた突出部材と、
    前記台が設置された受梁と、
    を有し、前記受梁の端部が前記突出部材に接合されている
    ことを特徴とするチューンドマスダンパーの設置構造。
  8. 請求項7に記載のチューンドマスダンパーの設置構造であって、
    前記受梁は、上下一対のフランジと、前記上下一対のフランジを繋ぐウェブとを有し、
    上側の前記フランジの長手方向の長さは、下側の前記フランジの前記長手方向の長さよりも短い、
    ことを特徴とするチューンドマスダンパーの設置構造。
  9. 質量体が、前記制振対象物の上下振動に同調して上下振動することにより、前記制振対象物の前記上下振動を抑制するチューンドマスダンパーの設置方法であって、
    台の上に粘弾性部材と少なくとも3つの弾性部材とを配置する支承部材配置工程と、
    前記弾性部材及び前記性部材の上に前記質量体を配置する質量体配置工程と、
    前記台を持ち上げて、制振対象物の下方において、当該制振対象物に対して前記台を固定させる設置工程と、
    を有し、前記支承部材配置工程では、前記弾性部材が前記粘弾性部材よりも前記質量体の重心から離れた位置になるように、前記弾性部材及び前記粘弾性部材を配置する、
    ことを特徴とするチューンドマスダンパーの設置方法。
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