JP2019004641A - 誘導電動機の回転子 - Google Patents
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Abstract
Description
回転子は、回転軸線回りに回転自在に設けられた回転軸と、この回転軸に外嵌固定された回転子鉄心と、を有している。回転子鉄心には、径方向に沿って延びる複数の回転子ティースが放射状に配置されており、周方向で隣接する回転子ティース間に、回転子スロットが形成されている。この回転子スロットには、導体バーが挿入されている。
ここで、一次側は固定子コイルを収納するための固定子スロットを有し、二次側は導体バーを収納するための回転子スロットを有しているので、回転子の回転トルクに寄与しない高調波磁束が発生する。すなわち、高調波磁束は、固定子と回転子との間の微小隙間近傍に位置する導体バーに高調波二次電流を発生させる。この高調波二次電流は、導体バーに誘導電流を発生させる際の抵抗となり、回転子に回転トルクを発生させるにあたっての損失となる。この損失は、高調波二次銅損と称される。
とりわけ、全閉型の回転子スロットでは、鋳造により導体バーを構成する場合が多く、このような場合、回転子スロットのギャップ近傍まで導体バーが充填されることになる。このため、高調波磁束と導体バーが鎖交することで高調波二次銅損が増大する可能性があった。
図1は、誘導電動機1の中心軸線Cに沿った断面図であり、この中心軸線Cを中心にして片側半分だけ示している。
図1に示すように、誘導電動機1は、固定子2と、固定子2に対して回転自在に設けられた回転子3と、これら固定子2および回転子3を支持するケーシング4と、を備えている。なお、以下の説明では、中心軸線C方向を単に軸方向、中心軸線C回りに回転する方向を周方向(回転方向)、軸方向及び周方向に直交する方向を径方向と称する。
また、固定子鉄心5の内周面側には、中心軸線Cに向かって突出する複数の固定子ティース7が形成されている。各固定子ティース7は、周方向に沿って等間隔に配置されている。
各鏡蓋11,12は、それぞれ開口部11a,12aを固定子鉄心5側に向けた状態で配置されている。また、各鏡蓋11,12の開口部11a,12aの外周縁には、それぞれ外フランジ部15,16が形成されている。
各ベアリングブラケット13,14は、それぞれ略円錐台状に形成されており、突出方向が固定子2側を向くように配置されている。各ベアリングブラケット13,14の径方向中央には、後述の回転軸21を挿通可能な挿通孔13a,14aが軸方向に沿って貫通形成されている。
このように構成された回転子鉄心押え25は、積層された電磁鋼板23(回転子鉄心22)が分離しないように、且つ回転軸21に対して軸方向にずれないように保持する役割を有している。
同図に示すように、回転子鉄心22の外周面22a寄りには、回転子スロット26が軸方向に沿って貫通形成されるとともに、周方向に並んで複数配置されている。回転子スロット26は、回転子鉄心22の外周面22a側が開放されていない、いわゆる全閉型のスロットである。
同図に示すように、回転子スロット26は、軸方向からみて径方向に沿って長い略長方形状に形成された内側スロット27と、内側スロット27の径方向外側に形成され、この内側スロット27と連通する外側スロット28と、により構成されている。
外側スロット28は、径方向外側(回転子鉄心22の外周面22a)に向かうに従って周方向の幅が漸次小さくなるように、軸方向からみて略三角形状に形成されている。また、外側スロット28における内側スロット27側の周方向の幅は、内側スロット27の周方向の幅と同一に設定されている。
突起20は、軸方向からみて径方向に沿って長い略長方形状に形成されている。突起20の径方向の長さL1は、外側スロット28の径方向の長さL2よりも若干短い程度に設定されている。また、突起20の周方向の幅W1は、後述の内側スロット27の周方向の幅(後述の導体バー30の周方向の幅)W2の1/3よりも小さくなる程度に設定されている。
また、内側スロット27に挿入された導体バー30は、例えば、カシメや接着剤等により内側スロット27内に固定される。
まず、誘導電動機1の動作について説明する。
誘導電動機1を動作させるには、固定子コイル9に通電する。固定子コイル9に通電すると、固定子鉄心5に磁束(以下、主磁束という)が形成される。この主磁束は、固定子ティース7を介して回転子ティース29に流れる。また、回転子スロット26に導体バー30が挿入されているので、回転子スロット26に固定子2の主磁束が鎖交し、且つ主磁束の変化があると導体バー30に二次電流が発生する。この二次電流と固定子2の磁束により、回転子3に回転トルクが発生する。
同図に示すように、固定子2の主磁束は、回転子ティース29を介し、回転子鉄心22の径方向内側まで奥深く流れていく。つまり、回転子ティース29内では、固定子2の主磁束は、ほぼ径方向に沿うような流れになる。
また、外側スロット28には、突起20が設けられているが、この突起20の周方向の幅W1は、外側スロット28の周方向の幅(内側スロット27の周方向の幅)W2の1/3よりも小さくなる程度に設定されており、固定子2の主磁束が飽和し易い。このため、この主磁束の流れが突起20によって阻害されることが殆どない。
同図に示すように、前述したように、回転子鉄心22には、固定子2の主磁束の他に、回転子スロット26の影響により高調波磁束が発生する。この高調波磁束は、固定子2と回転子3との微小隙間近傍に発生するので、回転子スロット26を周方向に横切るように流れる。
次に、図6に基づいて、第2の実施形態について説明する。
図6は、第2の実施形態における回転子鉄心222の回転子スロット26の拡大平面図であって、前述の図3に対応している。なお、上述の第1の実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
より具体的には、図6に示すように、導体バー230の径方向外側の端面230aには、径方向で突起と対向する箇所に凹部40が形成されている。凹部40を形成することにより、径方向で対向する導体バー230と突起20の径方向内側の先端20aとの間の距離L3が、前述の第1実施形態における導体バー30と突起20の先端20aとの間の距離L4(図3参照)よりも大きくなる。
また、凹部40の周方向の幅W3は、凹部40の角部と突起20の先端20aの角部との間の距離L5が、上記距離L3とほぼ同一寸法になるように設定されている。
しかしながら、導体バー230に凹部40を形成することにより、突起20と導体バー230との間の距離(距離L3,L5)をできる限り大きく確保することができるので、導体バー230の磁束が突起20に漏出してしまうことを確実に抑制できる。また、この漏出によって、導体バー230に渦電流が誘起されてしまうことも抑制できる。このため、さらに高効率な誘導電動機1を提供できる。
次に、図7に基づいて、第3の実施形態について説明する。
図7は、第3の実施形態における回転子鉄心322の回転子スロット26の拡大平面図であって、前述の図3に対応している。
同図に示すように、第3の実施形態では、前述の第2の実施形態の回転子スロット26に、非導電性材料41が充填されている。この点、前述の第2の実施形態と相違する点である。
次に、図8に基づいて、第4の実施形態について説明する。
図8は、第4の実施形態における回転子鉄心422の回転子スロット26の拡大平面図であって、前述の図3に対応している。
同図に示すように、前述の第1の実施形態と本第4の実施形態との相違点は、前述の第1の実施形態では、外側スロット28に突起20が設けられているのに対し、本第4の実施形態では、外側スロット28に突起20が設けられていない点にある。
次に、図9に基づいて、第5の実施形態について説明する。
図9は、第5の実施形態における回転子鉄心522の回転子スロット526の拡大平面図であって前述の図3に対応している。
同図に示すように、前述の第1の実施形態と本第5の実施形態との相違点は、前述の第1の実施形態の回転子スロット26の形状と、本第5の実施形態の回転子スロット526の形状と、が異なる点にある。
ここで、導体バー30の径方向外側の端面30a近傍には、導体バー30の径方向中央寄りと比較して高調波磁束が通り易い(図5参照)。しかしながら、本第5の実施形態においては、導体バー30の端面30a近傍に、副スロット51が形成されている。このため、この副スロット51が、導体バー30の端面30a近傍を周方向に沿って高調波磁束が横切るのを阻害する。また、導体バー30と副スロット51との間には、隙間Sが形成される分、導体バー30の端面30a近傍に渦電流が誘起されるのを抑制できる。この結果、誘導電動機1の高調波二次銅損をさらに確実に低減できる。
次に、図10に基づいて、第6の実施形態について説明する。
図10は、第6の実施形態における回転子鉄心622の回転子スロット626の拡大平面図であって前述の図3に対応している。
同図に示すように、前述の第1の実施形態と本第6の実施形態との相違点は、前述の第1の実施形態の外側スロット28と、本第6の実施形態の外側スロット628との形状が異なる点にある。
Claims (8)
- 回転軸線回りに回転自在に設けられる回転子鉄心と、
前記回転子鉄心の外周面寄りに形成され、且つ前記回転軸線方向に沿って貫通形成されるとともに、回転方向に並んで複数配置される回転子スロットと、
各前記回転子スロットに挿入される導体バーと、
を備え、
前記回転子スロットは、
前記導体バーが配置される内側スロットと、
前記内側スロットの径方向外側に形成され、且つ前記内側スロットと連通する外側スロットと、
からなり、
前記外側スロットは、前記回転方向の幅が径方向外側に向かうに従って漸次小さくなるように形成されており、
前記外側スロットの径方向最外側には、内側面から径方向内側に向かって突出する突起が設けられている
誘導電動機の回転子。 - 前記突起の径方向に沿う突出長さは、径方向内側の先端が前記導体バーとの接触を回避可能な長さに設定されている
請求項1に記載の誘導電動機の回転子。 - 前記突起は、前記回転軸線に直交する断面の形状が径方向に長い長方形状に形成されており、径方向内側の先端が前記導体バーに近接する位置に至るまで延出されているとともに、
前記突起の前記回転方向の幅は、前記導体バーの前記回転方向の幅の1/3よりも小さくなるように設定されている
請求項1又は請求項2に記載の誘導電動機の回転子。 - 前記導体バーの径方向外側の端面には、径方向で前記突起と対向する箇所に、凹部が形成されている
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の誘導電動機の回転子。 - 前記回転子スロットの前記導体バーを避けた位置に、非導電性部材が充填されている
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の誘導電動機の回転子。 - 回転軸線回りに回転自在に設けられる回転子鉄心と、
前記回転子鉄心の外周面寄りに形成され、且つ前記回転軸線方向に沿って貫通形成されるとともに、回転方向に並んで複数配置される回転子スロットと、
各前記回転子スロットに挿入される導体バーと、
を備え、
前記回転子スロットは、
前記導体バーが配置される内側スロットと、
前記内側スロットの径方向外側に形成され、且つ前記内側スロットと連通する外側スロットと、
からなり、
前記外側スロットは、前記回転方向の幅が径方向外側に向かうに従って漸次小さくなるように形成されている
誘導電動機の回転子。 - 回転軸線回りに回転自在に設けられる回転子鉄心と、
前記回転子鉄心の外周面寄りに形成され、且つ前記回転軸線方向に沿って貫通形成されるとともに、回転方向に並んで複数配置される回転子スロットと、
各前記回転子スロットに挿入される導体バーと、
を備え、
前記回転子スロットは、
前記導体バーが配置される内側スロットと、
前記内側スロットの径方向外側に形成され、且つ前記内側スロットと連通する外側スロットと、
からなり、
前記内側スロットは、径方向外側寄りの前記回転方向の幅が、径方向外側に向かうに従って漸次大きくなるように形成されており、
前記外側スロットは、前記回転方向の幅が径方向外側に向かうに従って漸次狭くなるように形成されている
誘導電動機の回転子。 - 回転軸線回りに回転自在に設けられる回転子鉄心と、
前記回転子鉄心の外周面寄りに形成され、且つ前記回転軸線方向に沿って貫通形成されるとともに、回転方向に並んで複数配置される回転子スロットと、
各前記回転子スロットに挿入される導体バーと、
を備え、
前記回転子スロットは、
前記導体バーが配置される内側スロットと、
前記内側スロットの径方向外側に形成され、且つ前記内側スロットと連通する外側スロットと、
からなり、
前記外側スロットは、前記回転方向の幅が均一になるように径方向に長い長方形状に形成されており、
前記外側スロットの前記回転方向の幅は、前記内側スロットの前記回転方向の幅よりも小さく設定されている
誘導電動機の回転子。
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