JP2018514273A - 瘢痕を被覆および保護するための組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の主題は、(a)ケイ素を含有しない少なくとも1種の膜形成ポリマーと、(b)少なくとも1種の有機UVフィルタと、(c)少なくとも1種の有機溶媒とを含有する組成物であり、前記組成物は20℃において液体であり、成分(a)および成分(b)は溶媒(c)中に溶解されており、かつ膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の総量の比率は、6.5未満である。本発明はまた、治療用組成物、前記組成物の使用、装置および方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、膜を形成するポリマー(以下、「膜形成ポリマー」と称する)、有機UVフィルタおよび有機溶媒を含有し、瘢痕への局所塗布(topical application)に適用可能な組成物に関する。本発明はまた、治療用組成物、前記組成物の使用、装置および方法に関する。
瘢痕は創傷上に増殖する皮膚の永続的な斑点である。瘢痕は線維形成と称されるプロセスにおいて線維組織から形成される。瘢痕化は創傷治癒プロセスの自然な一過程である。非常に軽度の病変は例外として、例えば事故、病気または外科手術に起因するすべての創傷は、ある程度の瘢痕化を生じる。皮膚上の瘢痕は、様々な形で個人の安寧に影響を与え得る。特に皮膚の露出部に形成された場合には、瘢痕は不愉快な光学的外観を有し得る。また、それらの瘢痕は、掻痒または疼痛のような生理学的副作用も有し得る。
そのような問題を緩和するために、瘢痕をパッドまたはパッチで被覆することは一般的な方法である。これに代わって、瘢痕を瘢痕用ゲル(scar gels)のような保護組成物で被覆してもよい。そのような被覆および組成物は改善された光学的外観を提供する。また、前記被覆および組成物は副作用を軽減し、治癒を促進し得る。
瘢痕を被覆し、瘢痕の治癒を支援するための組成物は、一般的にシリコン系ゲルの形態で提供される。シリコンゲルは、瘢痕を環境から遮り、瘢痕に潤いを与える(hydrating)ことができる。これは概して「閉塞効果(occlusion effect)」と称される瘢痕治癒に有益な効果を有する。
例えば、特許文献1は、皮膚に塗布される創傷または瘢痕を被覆するためのシリコーンゲルに関する。前記ゲルは一般的な化粧品添加剤または医薬品添加剤を含有してもよい。前記ゲルは瘢痕治癒を改善し、皮膚に光学的に改善された外観を与えるであろう。
シリコン系瘢痕ゲルは、例えば、ドイツ国バートホンブルク所在のメダ ファーマ(MEDA Pharma)からダーマティックス ウルトラ(Dermatix Ultra)という商標で、またはドイツ国フランクフルト所在のシンクレア ファーマ(Sinclair Pharma)からケロコート(KELO−COTE)という商標で、商業的に入手可能である。
瘢痕が皮膚の露出部に位置する場合、瘢痕ゲルまたは組成物が個人の活動を損なわないことが使用者にとって重要である。前記瘢痕ゲルまたは組成物は、瘢痕上で安定したまま、比較的長期間にわたって保護を提供すべきである。前記瘢痕ゲルまたは組成物は、透明であり、かつ瘢痕を隠すために、皮膚の色の化粧品を塗布するのに適しているべきである。さらに、前記瘢痕の閉塞は効果的かつ永続的であるべきである。これらの点において、当該分野では既知の組成物を改善することが望まれている。
瘢痕ゲルのような恒常的な使用のための組成物はまた、皮膚に容易に塗布されるべきである。シリカに基づく既知の瘢痕ゲルは、数分間の比較的長い乾燥時間を必要とし、それは使用者には不便である。
さらに、瘢痕は色素性ではなく、かつ一般にUV放射に対して感受性である。特に、UV−A放射は皮膚に損傷を与えたり、創傷治癒に対して悪影響を有したりする場合がある。よって、瘢痕が太陽に露出される皮膚部分に位置する場合には、効果的かつ永続的なUV保護が必要とされる。しかしながら、シリコン系ゲルの一般的なUVフィルタを組み込む能力は一般的に限られており、十分ではない。よって、現在入手可能なシリコン系瘢痕ゲルは、UV保護を提供しないか、または不十分なUV保護しか提供しない。UV保護を提供するシリコーン系瘢痕ゲルは、ドイツ国フランクフルト所在のシンクレア ファーマ(Sinclair Pharma)からケロコート(KELO−COTE) UVという商標で商業的に入手可能である。しかしながら、UV保護のレベルおよび耐久性はさらに改善される可能性がある。
一方、当該分野において用いられる一般的な日焼け止め剤は、高く永続的なUV保護を提供することができる。典型的な日焼け止め剤は、特許文献2または特許文献3に記載されている。しかしながら、これらの日焼け止め剤は瘢痕には適合しない。前記日焼け止め剤は、典型的にはオイルおよび乳液の形態で提供される。具体的には、前記日焼け止め剤は皮膚を被覆せず、皮膚を環境から密閉しない。よって、典型的な日焼け止めは、瘢痕治癒を支援し得る閉塞効果を提供しない。
いくつかの日焼け止め剤は、皮膚上でポリマー膜を形成し、かつUVフィルタを安定させるポリマー添加剤を含有する。皮膚に塗布されると、前記組成物は、薄い一時的な油性膜を形成する。典型的には、そのような日焼け止め剤は、約1%〜2%のような低量の膜形成ポリマーと、約20〜30%の高量のUVフィルタとを含有する。日焼け止め剤中に用いられる市販の膜形成ポリマーは、ダーマクリル(DERMACRYL) 79(アクゾノーベル(AkzoNobel)、米国)である。非特許文献1には、1%の量の様々な膜形成ポリマーと32%のUVフィルタとを含有するエタノールベースの日焼け止め組成物が開示されている。
特許文献4は、活性薬剤としてクレアチンまたはその誘導体を含有する日焼け止め剤および皮膚損傷の治療用組成物に関連している。実施例7および実施例8において、0.30重量%の膜形成ポリマーを含有する日焼け止め乳液を開示している。
特許文献5は、膜形成ポリマーを含有する日焼け止め組成物のような局所製剤に関連している。前記日焼け止め組成物は、概して3重量%以下の比較的低量のUVフィルタを含有する(5頁13〜19行目)。その実施例は、そのような組成物によって得ることができるUV保護は限られていることを示している。前記文献は治療応用または瘢痕への応用には関連していない。
よって、高くかつ永続的なUV保護を提供する、瘢痕を被覆するための改善された手段の必要性が存在する。
米国特許出願公開第2014/0148506A1号 米国特許第5,204,090号 米国特許出願公開第2014/0170095A1号 米国特許出願公開第2004/0029969A1号 欧州特許出願公開第EP0055857号
マーシャル エル. ジェイ.(Marshall, L. J.)、「Multi talented film−formers」、COSSMA 4/2014、第14/15頁。
本発明の根底にある課題は、上述した課題を克服する組成物、使用、方法および装置を提供することである。具体的には、前記課題は、瘢痕を保護し、瘢痕を被覆し、かつ瘢痕の治癒を支援するための新規な組成物であって、効果的なUV保護も提供する組成物を提供することである。前記組成物は瘢痕を密閉して、瘢痕に潤いを与えることにより、閉塞効果を提供すべきである。前記保護は強力かつ永続的であるべきである。具体的には、効果的かつ永続的な機械的保護、UV保護および閉塞が提供されるべきである。使用者の日常の戸外活動は出来るだけ損なわれないべきである。前記組成物は、使用者によって容易に好都合に塗布されなければならない。前記組成物は、瘢痕に対して許容可能な光学的外観を与えなければならない。適当な添加剤が含有されている場合には、前記組成物は化粧品応用および治療応用に適した基剤を提供しなければならない。
驚いたことに、本発明の根底にある課題は、特許請求の範囲に従った組成物、使用、方法および装置によって解決されることが判明した。本発明のさらなる実施形態について本記載を通じて概説する。
本発明の主題は、
(a)ケイ素を含有しない少なくとも1種の膜形成ポリマーと、
(b)少なくとも1種の有機UVフィルタと、
(c)少なくとも1種の有機溶媒とを含有する組成物であり、
前記組成物は20℃において液体であり、成分(a)および成分(b)は溶媒(c)中に溶解されており、かつ
前記膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の重量パーセントにおける総量の比率は6.5未満であり、
前記組成物中のUVフィルタ(b)の全体量は少なくとも10%w/wである。
本発明の主題はまた、治療に用いるための前記組成物である。
好ましくは、前記治療は瘢痕の治癒を支援するためのものである。好ましくは、前記組成物は、個人の瘢痕に対して、局部的(locally)かつ局所的(topically)に塗布される。前記瘢痕は、ケロイド、肥厚性瘢痕、萎縮性瘢痕、または線状皮膚萎縮(stretch mark)のような任意の種類のものであり得る。
本発明の主題はまた、瘢痕を局部的に被覆し、かつ/または保護するため、特に瘢痕にUV保護を提供するための前記組成物の非治療的使用である。
前記組成物は液体溶液である。よって、成分(a)および成分(b)、並びに任意の添加剤は前記溶媒中に溶解されている。よって、前記組成物は、その中に分散した二つの相または固体を含有しない。前記組成物は、例えばローション、クリームまたはゲルの形態にある乳剤または懸濁液ではない。
膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の総量の比率は、6.5未満である。換言すると、前記組成物中におけるポリマーの含有量は比較的高い。そのような高レベルの膜形成ポリマー(a)は、通常、日焼け止め組成物中には用いられない。前記組成物が皮膚に塗布されると、新規な構造および特性を有するコーティングが形成される。本発明によれば、ポリマー含有量が高いために固体の弾性コーティングが形成されるのに対して、当該分野における組成物はより低量のポリマーを含有し、皮膚に塗布されると油性膜を形成する。
本願において用いられる場合、「膜形成ポリマー」という用語は、前記組成物が皮膚に薄い層で塗布されて、前記有機溶媒が蒸発したときに、均一なコーティングを形成する前記組成物中のポリマーを指す。典型的には、そのようなポリマー膜は、皮膚上において均一かつ連続的に形成される。対照的に、他の非膜形成ポリマーは、「島」状の離散構造および凝集体を形成する。好ましくは、前記ポリマーは硬化されない。よって、前記ポリマーは、好ましくは、コーティングの形成中または形成後に共有結合した網状組織を形成しない。前記コーティングは、前記UVフィルタを皮膚上に結合する。日焼け止め剤のような化粧品組成物に用いられる膜形成ポリマーは、当該分野において既知であり、広く用いられている。典型的な有機UVフィルタは、それらがポリマー混合物中において可塑剤として機能するため、均一なコーティングの形成を支援する。具体的には、前記膜形成ポリマーは、有機UVフィルタおよび有機溶媒、特にエタノールを有する典型的な日焼け止め溶液中に適用された場合、皮膚上において膜を形成する。
前記膜形成ポリマーは有機溶媒、特にアルコールと融和性(compatible)であり、容易に溶解され得る。特定の実施形態において、前記膜形成ポリマーは水溶性ではない。
前記膜形成ポリマーはケイ素元素(Si)を含有しない。よって、前記膜形成ポリマーはシリコーンではない。前記少なくとも1種の膜形成ポリマーは、炭素に基づく。好ましくは、前記少なくとも1種の膜形成ポリマーは、C、H、OおよびN元素と、任意でS元素とからなる。構造によって、前記ポリマーは、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムのようなカウンターカチオンを含有してもよい。好ましくは、前記組成物は、ケイ素を含有する膜形成ポリマーを全く含有しない。特定の実施形態において、前記組成物は、シリコーンまたはケイ素(Si)を含有する化合物を全く含有しない。
好ましい実施形態において、前記膜形成ポリマーはコポリマーである。本願で用いられる場合、「コポリマー」という用語は、2つ以上の単量体サブユニットから調製された任意のポリマーを指す。よって、コポリマーという用語は、ターポリマー、テトラポリマー、およびその他同種のものを包含する。前記コポリマーは、交互コポリマー、周期コポリマー、統計コポリマー、またはブロックコポリマーのような任意の既知構造のものであってよい。
好ましくは、前記コポリマーは両親媒性である。換言すると、前記コポリマーは親水基と疎水基とを含む。理論に縛られるものではないが、前記両親媒性ポリマーは、疎水基が水分バリアを形成し、瘢痕を密閉し得るのに対して、親水基は瘢痕表面および水分平衡に好影響を与え得るため、前記組成物に有利な特性を与える。好ましくは、前記親水基はポリマー主鎖に結合しており、前記疎水基は側鎖を形成する。
好ましくは、前記親水基はカルボキシル基である。理論に縛られるものではないが、カルボキシル基は瘢痕の水分平衡に好影響を有し得る。好ましくは、前記カルボキシル基は、好ましくは前記ポリマーの主鎖に直接結合している繰り返しサブユニットである。
好ましくは、前記疎水基はアルキル基である。理論に縛られるものではないが、アルキル基は、良好な撥水性を提供するだけでなく、前記膜中における有機UVフィルタの結合および安定化にも関与し得る。前記アルキル基は、2〜30個、好ましくは2〜20個、より好ましくは6〜12個の炭素原子を含有し得る。前記アルキル基は、分岐していてもよいし、直線状であってもよい。好ましくは、前記アルキル基は繰り返しサブユニットである。より好ましくは、前記アルキル基は、前記ポリマーの側鎖を形成する。そのような側鎖は前記ポリマー主鎖に結合されている。前記側鎖は、前記ポリマー主鎖の一部でなく、単量体サブユニットを互いに結合しない。理論に縛られるものではないが、前記アルキル側鎖の長さは、前記コーティングの撥水性を制御すると思われる。よって、好ましい実施形態において、前記アルキル側鎖は少なくとも4つ、または少なくとも6つの炭素原子を含む。
好ましい実施形態において、前記コポリマーはカルボキシル基およびアルキル基を含む。前記カルボキシル基は前記ポリマー主鎖に結合しており、前記アルキル基は側鎖である。前記側鎖は、主鎖に対して側方方向に結合している。
好ましい実施形態において、前記膜形成ポリマーはアクリレートである。前記アクリレートは、前記ポリマーの主鎖に結合したカルボキシル基を含む。好ましくは、前記膜形成ポリマー(a)はアクリレート/アミドコポリマーである。好ましくは、前記ポリマーは疎水基を有するアクリルコポリマーであり、より好ましくは疎水基を有するアクリレート/アミドコポリマーである。最も好ましくは、前記ポリマーは、6〜16個の炭素原子を有するアルキル基を備えたアクリレート/アミドコポリマーである。高度に好ましい実施形態において、前記ポリマーは、アクリルレート/オクチルアクリルアミドコポリマー(INCI名称;CAS番号129702−02−9)である。このポリマーは、例えば、ドイツ国アクゾノーベル(AkzoNobel)からダーマクリル(DERMACRYL) 2.0またはダーマクリル(DERMACRYL) 79という商標で商業的に入手可能である。そのようなポリマーは、ポリマー主鎖に結合したカルボキシル基と、オクチル側鎖とを含む。
別の実施形態において、前記膜形成ポリマーはポリエステルである。前記ポリエステルは、カルボキシル基とアルキル側鎖とを含む。好ましくは、前記コポリエステルはマレイン酸から調製され、より好ましくは、それはメチルビニルエーテル/マレイン酸のコポリマーの(部分的)エチルエステル(CAS番号25087−06−3)である。そのようなポリマーは米国アシュランド(Ashland)からガントレッズ(Gantrez) SP 215という商標で入手可能である。しかしながら、前記アルキル側鎖の長さが短い場合には、撥水性は最適ではないことがある。
別の適用可能な膜形成ポリマーは、ドイツ国バスフ(BASF)からコスメディア(COSMEDIA) DCという商標で入手可能な、(水添ダイマージリノレイル/炭酸ジメチル)コポリマーである。しかしながら、前記ポリマーは、皮膚上において調製したコーティングが粘着性となる傾向があるので好ましくない。他の膜形成ポリマーは、米国アシュランド(Ashland)からガネックス(GANEX) V220という商標で商業的に入手可能なビニルピロリドンと長鎖アルファ−オレフィンとのコポリマー;米国アシュランドからガネックス(GANEX) WP660として入手可能なビニルピロリドン/トリコンタニルコポリマー;イーストマン ケミカルからイーストマン(EASTMAN) AQ 38Sという商標で入手可能なスルホポリエステルを含む水分散性ポリエステルである。
好ましくは、前記組成物中における膜形成ポリマー(a)の量は、4%超、好ましくは5%(w/w)超、より好ましくは6%超または7%超である。好ましくは、前記量は、5%超〜50%(w/w)、より好ましくは6%〜30%(w/w)、または7%〜25%である。特定の実施形態において、前記量は、8%〜25%(w/w)または8〜20%(w/w)である。そのような高量の膜形成ポリマーは、従来技術の日焼け止め剤では稀である。典型的な日焼け止め剤は、約1〜2%(w/w)のより低量の膜形成ポリマーを含有する。他に明示的に述べられていない限り、本願の全体にわたるすべての量は重量パーセント(% w/w)で提供される。
前記組成物は、少なくとも1種の有機UVフィルタ(b)を含有する。日焼け止め組成物に用いられる有機UVフィルタは当該分野において既知である。原則として、有機溶媒と融和性であり、好ましくは有機溶媒中に可溶である任意の有機UVフィルタが適用可能である。
好ましくは、2種以上のUVフィルタ、例えば、2種、3種、4種、5種、6種またはそれ以上のUVフィルタが用いられる。好ましくは、前記組成物は、2〜10種、または3〜6種のUVフィルタを含有する。典型的には、複数のUVフィルタは広範囲のUVスペクトルに対してより良好な保護を提供するので、日焼け止め組成物はUVフィルタの組み合わせを含む。前記組成物に用いるためのUVフィルタまたはUVフィルタの組み合わせは所望のUV保護を考慮して選択される。一般に、2種、3種またはそれ以上のUVフィルタの組み合わせは広い波長範囲に対する保護に有利である。
好ましくは、前記有機UVフィルタは、紫外スペクトル(290nm〜400nm)の少なくとも一部における放射を吸収し、かつ/またはこのスペクトルにおいて少なくとも1つの吸収ピークを有する。好ましくは、前記有機UVフィルタは、紫外スペクトル内の少なくとも1つの波長に対して、50超、好ましくは100超、または200超のエタノール中における比吸収係数(1%、1cm)を有する。
本発明に有用な有機UVフィルタは、化粧品として許容可能(cosmetically acceptable)である。好ましくは、前記UVフィルタは化粧品原料国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients:INCI)に記載されている。好ましくは、前記UVフィルタは欧州共同体または食品医薬品局(FDA)(米国)によって使用を承認されている。
典型的には、前記有機UVフィルタは、少なくとも1つのカルボニル基、エステル基および/またはアミド基と結合した(conjugated)芳香族化合物である。本発明の組成物に用いられる典型的な有機UVフィルタは、アミロキサート、4−アミノ安息香酸、アボベンゾン、ベモトリジノール、ベンゾフェノン−n、ビスジスリゾール二ナトリウム(bisdisulizole disodium)、ビソクトリゾール、シノキサート、ジベンジリド(dibenzylid)、エネアセトン(eneacetone)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、エカムスル、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサラート、イスコトリジノール、アントラニル酸メンチル(menthyl anthranilate)(メラジマート(meradimate))、4−メチルベンジリデンカンフル(エンザカメン)、メキセノン、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸オクチル(octyl methoxycinnamate)、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(ethylhexyl methoxycinnamate)(オクチノキサート(octinoxate))、オクチルサリチラート(オクチサレート)、オキシベンゾン、パディメートA、パディメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾン(ensulizone))、スルイソベンゾン、トロラミンサリチラートおよびウンベリフェロンである。好ましくは、前記組成物は、UVフィルタのこのリストから少なくとも1つのUVフィルタ、好ましくは少なくとも2つ、または少なくとも3つを含む。
本発明の組成物中に用いられ得る有機UVフィルタのさらなる特定の例(括弧内:商標、製造業者)としては、オクトクリレン(パーソル(Parsol) 340、DSM)、p−メトキシケイ皮酸イソアミル(ネオ ヘリオパン(neo Heliopan) E1000、シムライズ(Symrise))、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(パーソル(Parsol) 1789、DSM)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(ユビナール A プラス(Uvinul A Plus)、バスフ(BASF))、ベンゾフェノン−3(すなわちオキシベンゾン)、2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−(2−ヒドロキシフェニル)メタノン(すなわち、ジオキシベンゾン)、ドロメトリゾールトリシロキサンとしても知られている(またメキソリル(MEXORYL) XLとしても知られている)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(「アボベンゾン」)、4−メチルベンジリデンカンフル(4−methyl benzilidene camphor)(「4−MBC」)、エチルヘキシルトリアゾン(ドイツ国バスフからユビナール(UVINUL) T−150として入手可能)、ベモトリジノール(バスフからチノソーブ(TINOSORB) Sとして入手可能)、メンチル−2−アミノベンゾアート(「アントラニル酸メンチル」)、4−アミノ安息香酸(「PABA」)、およびヒドロキシメチルフェニルベンゾトリアゾールが挙げられる。
本発明の特定の実施形態において、有機UVフィルタ(b)は、オクトクリレン、p−メトキシケイ皮酸イソアミル、ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルから選択される。
前記組成物は酸化亜鉛または酸化チタンのような無機UVフィルタを含有しない。前記UVフィルタは、Siも含有する有機化合物であってもよい。
前記組成物中のUVフィルタ(b)の全体量は少なくとも10%(w/w)である。好ましくは、前記量は、少なくとも15%または少なくとも20%(w/w)である。好ましくは、前記量は、10%〜60%、好ましくは15%〜50%、より好ましくは20%〜40%(w/w)である。
前記組成物は、膜形成ポリマー(a)および有機UVフィルタ(b)が可溶である少なくとも1種の有機溶媒(c)を含有する。前記溶媒は、皮膚への投与後にそれが迅速に蒸発するように、室温において揮発性であるべきである。好ましくは、前記溶媒はアルコール、酢酸エチル、アセトンおよびメチラールから選択される。好ましくは、前記アルコールは一価アルコールである。好ましくは、前記アルコールは1〜5個の炭素原子を含む脂肪族アルコールである。好ましくは、前記アルコールはエタノール、プロパノールまたはイソプロパノールから選択される。最も好ましくは、前記アルコールはエタノールである。原則として、前記アルコールは、比較的高量のポリマー(a)および化粧品として許容可能であるUVフィルタ(b)と融和性であるように、かつ前記組成物の局所塗布後すぐにコーティングが形成されるように迅速に蒸発するように選択される。
前記組成物中における有機溶媒の量は、30%〜90%(w/w)、好ましくは40%〜80%(w/w)、より好ましくは50%〜70%(w/w)であり得る。
好ましくは、前記組成物は、5%(w/w)未満、好ましくは2%(w/w)未満、または1%(w/w)未満の水を含有する。好ましくは、前記組成物は本質的に水を含まない。好ましくは、特に製造および使用の間に、前記組成物には水は添加されない。前記有機溶媒がより迅速に蒸発することができるので、水は少量であるか、または水は存在しないことが有利である。さらに、全体組成はエタノール中において高度に安定していることが判明した。
成分(a)〜(c)の次に、前記組成物は添加剤(d)を含有してもよい。化粧用組成物、日焼け止め組成物および瘢痕ゲルのための添加剤は当該分野において知られている。前記添加剤は、全体組成が液体となるように選択され、かつそのような量で適用される。
本発明の好ましい実施形態において、前記組成物は、保湿剤、光保護剤、オイル、油脂およびワックスのような疎水性成分、界面活性剤、増粘剤、香料、染料、防腐剤、光安定剤、酸化防止剤、スキンケア剤または医薬化合物から選択される少なくとも1種の添加剤(d)をさらに含有する。前記添加剤は前記組成物中に溶解される。
好ましい実施形態において、前記組成物は光保護剤を含有する。光保護剤は、放射線からの損傷を生理学的または薬理学的なレベルで防止または低減する。好ましくは、前記光保護剤はエクオール(equol)である。
好ましい実施形態において、前記組成物はトコフェロール(ビタミンE)のような酸化防止剤を含有する。好ましくは、前記組成物は、好ましくはレシチン、ビタミンE、グリセリン、またはデクスパンテノールから選択される保湿剤を含有する。好ましい実施形態において、前記組成物は、少なくとも1種の疎水性化合物、例えばモノ−、ジ−またはトリグリセリドのような油、油脂、ワックスなど、を含有する。
特定の実施形態において、前記組成物は、膜形成ポリマー(a)以外のポリマーを含有しない。好ましくは、前記組成物はシリコン系ポリマー、特にシリコーンポリマーを含有しない。驚いたことに、前記組成物は、高いUV保護が得られる一方で、シリコーンを含まなくても、瘢痕を効果的に保護することが判明した。
本発明の好ましい実施形態において、前記組成物は、
(a)5〜50%、好ましくは6〜30%(w/w)の、ケイ素を含有しない膜形成ポリマーと、
(b)10〜60%、好ましくは15〜50%(w/w)の有機UVフィルタと、
(c)30〜90%、好ましくは40〜80%(w/w)の有機溶媒と、
(d)0〜25%、好ましくは0〜10%(w/w)の添加剤とからなる。
ポリマー(a)、UVフィルタ(b)、溶媒(c)および添加剤(d)の量は、瘢痕表面への塗布後に固体コーティングが形成されるように、互いに調節される。原則として、ポリマーおよびUVフィルタは、全体組成が均質で、かつ皮膚に均一に投与されるのに十分な粘度を有するような量で用いられる。比較的低濃度の溶媒は、迅速な蒸発およびコーティング形成を得るために有利である。成分(a)、(b)および(d)の濃度は、溶媒中におけるそれらの溶解度および他の成分との融和性によって制限されることは言うまでもない。この点において、典型的な有機UVフィルタを典型的な膜形成ポリマーと混合することができ、かつそれらの双方が化粧品および薬剤への応用のための典型的な有機溶媒、例えばエタノールなどと高度に融和性であることは有利である。
前記組成物は液体溶液である。よって、前記組成物は、薄い均一な層として皮膚に容易に塗布することができる。皮膚への塗布後、前記溶媒は迅速に蒸発する。溶媒の蒸発後、前記皮膚上にはコーティングが残存する。
前記組成物中、膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の総量の比率(w/w)は、6.5未満である。好ましくは、前記比率は6未満、または5.5未満である。より好ましくは、前記比率は、5未満、または4未満であり、特定の用途ではまた3未満である。好ましくは、前記比率は、少なくとも1であるか、もしくは1を超え、好ましくは、少なくとも1.5であるか、または少なくとも2であるか、もしくは2を超える。好ましくは、前記比率は、1〜6.5であるか、もしくは1超〜6.5であり、より好ましくは1.5〜5.5であるか、または2〜4であるか、もしくは2および4を超える。高度に好ましい実施形態において、前記比率は1を超えるか、または2を超える。本願に用いられる前記比率は、前記組成物中のすべての有機フィルタ(b)の総量(w/w)を前記組成物中のすべての膜形成ポリマー(a)の合計で割ることにより計算される。前記比率が6.5を超える場合には、ポリマーの量は、通常、固体コーティングを形成するのに不十分である。使用されるポリマーが少なすぎると、前記コーティングは油性膜になる傾向にある。前記比率が1以下である場合、UVフィルタの量は相対的に低くなり、薄いコーティングで効果的なUV保護を提供するのはより困難である。
一般的な日焼け止め剤は、約1〜3%の低レベルの膜形成ポリマーと、約20〜30%の高量の有機UVフィルタとを含有する。典型的には、そのような日焼け止め組成物中におけるUVフィルタ(b)に対する膜形成ポリマー(a)の比率は、約8〜約20であり、多くの場合10前後である。皮膚にそのような組成物を塗布すると、油性膜が形成される。
高度に好ましい実施形態において、前記組成物は、少なくとも5%(w/w)の膜形成ポリマー(a)を含有し、前記膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の重量パーセントにおける総量の比率は1を超え、より好ましくは2を超え、かつ前記組成物は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも20の紫外線防御指数(SPF)を有する。
本発明の組成物において、UVフィルタに対するポリマーの比率は既知の組成物におけるよりも著しく低い。結果として、本発明の組成物が皮膚に塗布されると、薄い固体コーティングが形成される。そのような固体コーティングの特性は、油性膜のそれとは著しく異なる。本発明のコーティングは弾力があり、高い耐摩耗性を有しており、皮膚に付着し、本質的に耐水性である。当該分野において用いられる日焼け止め剤はそのような固体コーティングを形成しない。固体コーティングは、例えば物理的性質および透湿性の欠如により、一般的な日焼け止め剤用途には許容可能ではないため、UVフィルタに対するポリマーの比率はより高く調節される。一般的な日焼け止め剤のいくつかの層または厚い層を皮膚に塗布したときに、本発明の固体コーティングが得られないことも観察された。
前記コーティングは、瘢痕の局部的かつ外用での被覆に高度に有利である。前記コーティングは瘢痕を密閉し、環境との水分交換を防止し、それによって瘢痕治癒を支援する閉塞効果を提供する。前記コーティングは安定しており、かつ前記瘢痕を環境から遮蔽する。前記コーティングは効果的なUV保護を提供するが、機械的保護も提供する。それらの双方は、治癒が進行中である瘢痕組織、ならびに強度および色素のない形成された新たな皮膚にとって非常に重要である。さらに、そのようなコーティングは永続的であり、長期間の保護を提供することが判明した。
理論に縛られるものではないが、前記UVフィルタは、前記コーティング中に少なくとも部分的に埋め込まれていると思われる。前記コーティングは効果的なUV保護を提供する。さらに、前記コーティングは比較的長期間にわたってUV保護を提供する。好ましくは、前記コーティングのUV保護は4時間、8時間、12時間、または24時間の期間にわたって提供される。この点において、これはSPFがそのような期間中に10%を超えて、20%を超えて、または50%を超えて低下しないことを意味し得る。
好ましい実施形態において、前記組成物は、少なくとも10、少なくとも20、好ましくは少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50の紫外線防御指数(SPF)を有する。好ましくは、このSPFは、UV−Aおよび/またはUV−Bに対するものであり、より好ましくはUV−AおよびUV−Bに対するものである。本願で用いられる場合、UV領域およびサブレンジは、DIN5031−7(UV−A:380〜315nm;UV−B:315〜280nm)におけるように定義される。高度に好ましい実施形態において、前記SPFは30を超える。好ましくは、前記SPFはEN ISO 24444:2010に従って測定される。この標準方法では、組成物は、溶媒蒸発後に2mg/cmが残存するように投与される。UVA保護はISO 24443:2012(インビトロ法)に従って測定される。好ましくは、臨界波長λは、インビトロのUVA測定のためのCOLIPA法に従って測定されて、少なくとも370nmである。
前記組成物は薄層として塗布される。前記組成物の量は、塗布部位が前記コーティングによって完全に被覆され、かつ前記コーティングが連続するように調節される。好ましくは、投与される液体組成物の量は1〜10mg/cmであり、かつ/または乾燥したコーティングの量は0.5〜5mg/cmである。
前記コーティングは本質的に耐水性である。これは、前記コーティング上の水滴は表面に残り、前記コーティングに進入したり、または通過したりしないことを意味する。これは、使用者が、例えば雨、水泳、または入浴の間に、水に接触する場合に有利である。
前記コーティングの水蒸気透過性は比較的低い。よって、水は前記コーティングを通過することができず、閉塞効果が改善される。当該分野において既知の典型的な日焼け止め剤は、ある程度、かつ一時的に撥水性であり得る。しかしながら、それらの水蒸気透過性は、典型的には本発明の組成物のそれよりも高い。
前記コーティングは皮膚に堅固に付着する。前記コーティンングは、機械的破壊、特に摩耗に対して高い安定性を有する。これは、例えば使用者が瘢痕の上に衣服を着用する場合には、日常の使用に高度に有利である。
好ましくは、前記コーティングは低い粘着性を有する。これは、前記コーティングは皮膚とは反対側の表側は粘着性でないことを意味する。それとは対照的に、前記コーティングの裏側は皮膚に対して良好な付着性を有する。低い粘着性(tack)は、前記膜形成ポリマーが適切に選択されている場合に得ることができる。上記で概説したように、両親媒性の膜形成ポリマーは前記コーティングに低い粘着性を付与し得ることが判明した。対照的に、(水添ダイマージリノレイル/炭酸ジメチル)コポリマーのような他の膜形成ポリマーによって粘着性のコーティングを得ることができることが判明した。
前記コーティングは、皮膚に塗布して乾燥させた後に高い安定性を有する。前記コーティングは皮膚をしっかりと密閉し、4時間または8時間のような長時間にわたってさえUV保護を提供することが判明した。例えば塗布後8時間に提供されるUV保護(SPF)は依然として初期のレベルの少なくとも50%であり得る。
前記液体組成物の粘度は、10〜1000mPas、好ましくは15〜500mPas、より好ましくは20〜200mPasであり得る(DIN53015、ISO12058に従って20℃で測定)。
好ましくは、前記組成物は清澄な溶液である。よって、前記コーティングは透明または清澄である。これは、前記コーティングが目立たず人目を引かないので、有利である。所望により、前記コーティングは、皮膚色の着色材を含有してもよいし、または乾燥後に着色することもできる。
前記組成物は、瘢痕を被覆する方法において瘢痕に対して投与することができ、前記方法は、
(A)前記組成物を準備する工程と、
(B)前記組成物を個人の瘢痕に局部的かつ局所的に塗布する工程とを含む。
前記方法は非治療的方法であってもよい。好ましくは、前記方法は瘢痕にUV保護を提供するためのものである。工程(B)において、前記組成物は均一に塗布されるべきである。
好ましくは、前記方法は、
(C)前記組成物を乾燥させる後続の工程を含む。
前記組成物は、皮膚への塗布後に迅速に乾燥する。好ましくは、前記組成物は、60秒未満、より好ましくは40秒未満、さらに好ましくは30秒未満、典型的には約20〜30秒で乾燥する。乾燥手段は必要とされない。前記コーティングは薄く、安定した緊密なコーティングに必要とされる組成物の量が少ないため、そのような迅速な自己乾燥が可能である。さらに、乾燥はヒトの皮膚の温度および大きな表面によって支援される。短い乾燥時間は使用者が定期的かつ頻繁に使用するのに有利であり、前記組成物を許容できるようにする。
本発明の主題はまた、前記組成物を個人の皮膚に局所塗布するための装置であり、前記装置は組成物を含む。前記組成物は既知の手段によって皮膚に塗布され得る。前記組成物は前記装置内に貯蔵され、前記装置から送達され得る。原則として、皮膚上に薄い層を送達するいかなる装置も適用可能である。好ましくは、前記装置は、ローラー、フローペン(flow pen)、スプレー容器またはボトルである。ローラーによって高度に均一で連続した薄いコーティングを得ることができることが判明した。好ましくは、前記ローラーは単一ボールローラーまたは3−ボールローラー(tri−ball roller)であり得る。前記フローペンは、シリコーンチップまたはフラップを備えたフローペンであり得る。他の実施形態では、前記組成物は、例えばブラシ、投与ピペット、スパチュラ、布、棒、綿パッドまたはその他同種のものによってボトルから塗布される。
好ましい実施形態において、前記組成物は、塗布の前に、例えば−10℃〜+10℃の温度に冷却される。好ましくは、前記組成物は冷却されたローラーによって塗布される。
本発明の主題はまた、本発明の組成物を生成する方法であり、前記方法は、
(i)膜形成ポリマー(a)をアルコール(c)中に溶解させて、相Aを得る工程と、
(ii)液体の形態にあるUVフィルタ(c)を相Bとして、任意で高めた温度で、提供する工程と、
(iii)好ましくは相Bを相Aに添加することにより、相Aと相Bとを混合する工程とを含む。
好ましくは、工程(i)、(ii)および/または(iii)は、混合手段によって、好ましくは撹拌しながら、実施される。好ましくは、相Aは室温で維持される。UVフィルタ(c)が室温で固体であるか、または十分に粘性(vicious)でない場合、UVフィルタ(c)は、液相Bを得るために、工程(ii)において、好ましくは加熱される。続いて相Aおよび相Bは混合される。好ましくは、工程(iii)において、相Bは、混合下で、好ましくは撹拌下で、相Aにゆっくり添加される。前記工程はすべて、工程(iii)において均質で清澄な溶液が得られるように行なわれる。
本発明の組成物および使用は、好ましくは、前記組成物の瘢痕への局所塗布のためのものである。これは、前記組成物が、特に瘢痕に、場合により瘢痕を取り囲む皮膚の比較的小領域にも、塗布されることを意味する。前記瘢痕を取り囲む領域を被覆することは付着または閉塞の改善に有利であり得る。通常、本発明の組成物は、一般的な日焼け止め剤のように皮膚上に広く分散されない。
前記組成物または使用は、非治療用、特に化粧用、または治療用であり得る。具体的には、治療用組成物は、瘢痕の治癒を支援または改善するためのものである。前記治療用組成物は、瘢痕の治癒を積極的に促進したり、または掻痒または痛みのような瘢痕の副作用を緩和したりし得る。好ましくは、治療効果は、コーティングによって瘢痕を密閉することによりもたらされる。次いで、前記コーティングは瘢痕に潤いを与えて、治癒を支援する閉塞効果を提供する。前記治療用組成物はまた、瘢痕が分子レベルで損傷するのを防止し得る。これは、光保護剤、特にエクオールのような治療効果を有する活性成分を含有することによって得られ得る。
前記組成物は、化粧用途のような非治療的使用のためのものであり得る。例えば、前記組成物は基本的に日焼け止め(sunshield)として用いることができる。典型的には、前記非治療的使用は、基本的に、生理学的または分子レベルにおいて瘢痕の治癒を積極的に支援する成分によってもたらされるものではない。化粧用途はまた、瘢痕の光学外観を改善するためであり得る。
本発明の組成物、方法、使用および装置は、本発明の根底にある課題を解決する。瘢痕治癒を支援する組成物が提供される。前記組成物は、効果的なUV保護と組み合わされた瘢痕の閉塞を提供する。水蒸気透過性は低い。閉塞は、潤いを与えることおよび瘢痕治癒に対する有益な効果と関係する。前記組成物の塗布は容易であり、恒常的な使用は便利である。具体的には、前記組成物は、ローラーなどによって皮膚に容易に塗布することができ、迅速に、典型的には60秒未満以内に、乾燥する。前記コーティングは耐水性であり、皮膚に堅固に付着する。前記コーティングは、UVおよび例えば摩耗による破壊に対して永続的な保護を提供する。よって、皮膚がUVに晒される使用者の典型的な活動は損なわれない。摩耗に対する機械的安定性のために、前記コーティングの上面において衣服を着用したり、着替えたりする場合に、その被覆は影響を受けない。透明なコーティングは光学的に目立たなく、所望により、化粧によって修飾され得る。前記組成物の成分は、化粧品および医薬として許容でき、かつ容易に入手可能である。前記組成物を調製する方法は簡素である。
実施例1
調製
相A
− 収容容器中に溶媒(Pos.1)を添加する。
− 前記溶媒(Pos.1)にポリマー(Pos.2)を添加して、撹拌を開始する。清澄かつ均質な液体が得られるまで、周囲温度で撹拌し続ける。
相B
− UVフィルタ(Pos.3、Pos.4およびPos.5)を別々の容器に添加して、撹拌を開始する。
− 最高65℃まで加熱し、清澄かつ均質な液体が得られるまで、撹拌し続ける。
組成物
相Bを相Aに添加して、清澄で、わずかに粘着性である均質な液体が得られるまで、混合物を室温で撹拌する。前記液体は98mPasの粘度(20℃)および0.912g/cmの密度(20℃)を有した。
投与および生成物の特性
ロールオン、ブラシ、または別の適当なアプリケーターを用いて、わずかに粘着性のポリマーUVフィルタ溶液を容易に瘢痕上に投与することができる。塗布直後に前記溶媒は蒸発し、薄いコーティングが形成される。前記コーティングは固体であり、弾力がある。前記コーティングは耐水性であり、非粘着性で、擦れ落ちにくい。形成されたコーティングは閉塞性(occlusive)であり、瘢痕をUV放射から保護する。
実施例2
実施例1に類似した方法で調製を実施した。コーティングの特性は本質的に実施例1に記載した通りであった。
実施例3
実施例1に類似した方法で調製を実施した。コーティングの特性は本質的に実施例1に記載した通りであった。
実施例4
実施例1に類似した方法で調製を実施した。コーティングの特性は本質的に実施例1に記載した通りであった。
実施例5
実施例1に類似した方法で調製を実施した。コーティングの特性は本質的に実施例1に記載した通りであったが、コーティングの耐水性は、実施例1のものほど良好ではなかった。
実施例6
組成物は本質的に実施例1に従って調製したが、膜形成ポリマーは、ダーマクリル(Dermacyrl) 2.0の代わりに(水添ダイマージリノレイル/炭酸ジメチル)コポリマー(ドイツ国バスフ(BASF)、商標コスメディア(COSMEDIA) DC)であった。前記コーティングの特性は本質的に実施例1に記載した通りであったが、前記コーティングは粘着性となることが判明した。
実施例7〜11
コーティング特性における膜形成ポリマーに対するUVフィルタの比率の影響を一連の実験において調査した。等量のUVフィルタを含有するが、異なる量のダーマクリル(Dermacryl) 2.0ポリマーを含有する様々なアルコール溶液の特性を評価した。実施例7〜11の調合物は、実施例1に記載した通りに、しかしポリマーの量を変更して調製した。エタノールの量はポリマーの変化に適応させた。実施例7〜10は本発明であり、実施例11は比較例である。実施例1と比較した変化および得られた結果を以下の表に要約する。
前記結果は、等量のUVフィルタを含有するが、ダーマクリル(Dermacryl) 2.0ポリマーは様々な量で含有するアルコール溶液が、異なるコーティング形成特性を呈することを示している。7.5%以上の前記ポリマーを含有する調合物は、良好な皮膚における持続性(skin substantivity)および残留性(persistency)を呈する清澄で、堅固で、弾性のある不粘着(tack−free)のコーティングを形成する。前記コーティングは、耐水性であり、かつ擦れ落ちに対する耐性を有する。対照的に、わずか4.5%のポリマーを含有した溶液は、油っぽい感触を有した透明な膜を形成する。前記コーティングは容易に除去され得る。前記データより、瘢痕治療に所望の特性を有する、すなわち清澄で、堅固で、弾力があり、不粘着で、閉塞性であり、良好な皮膚持続性、耐水性、および擦れ落ちに対する耐性を有するコーティングを得るためには、6.7未満、好ましくは6未満のポリマーに対するUVフィルタの比率が必要とされることが推定され得る。この比率は用いられるUVフィルタの組み合わせによって若干異なることがあり、UVフィルタの各組に対して評価されるべきである。
実施例12〜19 − コーティングのUV保護、塗布および安定性
上記の実施例8に従った組成物の本発明のコーティングのUV保護特性、塗布および機械的安定性を分析した。比較のために、ドイツ国シンクレア ファーマ(Sinclair Pharma)からケロコート(KELO−COTE) UVという商標で入手可能な市販の瘢痕保護製品によって、同一の方法を同一の条件下で実施した。このシリコーン系瘢痕ゲルは、瘢痕およびUV保護のマーケットリーダーであり、よって直接比較に適したベンチマーク製品である。
実施例12〜15 − 平均紫外線防御指数SPF
平均紫外線防御指数(SPF)は、DIN EN ISO24444:2010、日焼け止め製品の紫外線防御指数のインビボ測定のための方法(a method for the in vivo determination of the sun protection factor of sunscreen products)に従って測定した。前記平均紫外線防御指数は、紫外線を吸収するか、反射するか、または散乱させることができる任意の成分を含有し、ヒト皮膚と接触して配置されることを意図した製品に適用可能である。この国際基準は、太陽の紫外線によって誘発される日焼けに対してヒト皮膚を保護するための日焼け止め製品の評価の基準を提供する。日焼け止め製品によって提供される太陽保護のレベルは、従来、UV放射に対する皮膚の紅斑反応を用いた紫外線防御指数すなわちSPF試験を用いて評価されてきた。前記SPFは、ヒトボランティアの皮膚に塗布された日焼け止め製品を有する場合および有さない場合に最小限の紅斑反応を誘発するのに必要とされるエネルギーから計算された比率である。それは、通常、人工光源からの紫外線を用いる。前記試験は10人で実施した。結果を皮膚への塗布後30分および8時間に測定した。結果は、SPF−試験法EN ISO 24444:2010によって述べられる統計的規準に準拠した。
その結果を下記の表7に要約する。前記結果は、本発明の製品が50の非常に高いSPFを有することを示している(実施例12)。皮膚への塗布後8時間においても依然として強力な保護が提供される(実施例13)。UV保護特性はベンチマーク製品(比較例14,15)よりも著しく良好である。
実施例16および17 − UVAおよび臨界波長に対する保護
UVA保護は、ISO 24443:2012「インビトロの日焼け止め剤UVA光防護の測定(Determination of sunscreen UVA photoprotection in vitro)」に従って評価した。前記規格は、日焼け止め製品によって提供されるUVA保護を測定するためのものである。前記方法は、標識されたUVB防護係数に相関して、インビトロのUVA防止効果指数(UVA−protection factor:UVAPF)を測定する。前記試験は、粗面にされた基材上に塗られた日焼け止め剤試料の薄膜を介したUV透過率を、規定されたUV供給源からの制御された照射量のUV放射に曝露する前および曝露した後に測定することに基づく。照射について、UV光の照射量は試験中の製品に指定されて選択される。
臨界波長λは、2011年3月のCOLIPA「in−vitro UV Protection Method Task Force」によって公開された「“Critical wavelength” values of sunscreen products」に従って測定した。試験製品の臨界波長λ値は、290nmからその波長までの照射された製品に対する吸光度スペクトルの下方の領域が290nmから400nmまでの吸光度スペクトルの積分の90%である波長として定義される。前記試験は、粗面にされた基材上に塗られた日焼け止め剤試料の薄膜を介したUV透過率を、規定されたUV供給源からの制御された照射量のUV放射に曝露する前および曝露した後に測定することに基づく。照射について、UV光の照射量は、試験中の製品に指定されて選択される。前記臨界波長は日焼け止め剤の保護の広さの尺度であると見なされる。そのため、フィルタは、臨界波長が370nmより長い場合には、それらの吸収のかなりの部分をUVAにおいて有する「広域スペクトル」として分類される。
その結果を下記の表8に要約する。前記結果は、実施例16における本発明の製品のUVA保護は約45.5%であるのに対して、比較製品のUVA保護はわずか4.2%であることを示している。業界基準によれば、本発明の組成物のみがUVA保護剤として分類され得る。さらに、本発明の組成物の臨界波長は有意により高く、これは前記組成物が広域スペクトル保護を提供することを示している。
実施例18 − 瘢痕治癒
肥厚性のケロイドまたは美容上不満足な瘢痕の治療における本発明の組成物の有効性を評価するために、二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床研究を実施した。該試験はPOSASアンケートによって実施した。
患者および観察者の瘢痕評価スケール(The Patient and Observer Scar Assessment Scale:POSAS)は瘢痕の質を評価するアンケートである。POSASは、当技術分野において広く用いられて、認められており、多くの臨床試験に用いられてきた。POSASは、2つの独立した6項目のスケール、すなわち10点制に基づいた観察者および患者スケールからなる。観察者スケールは、血管分布、色素沈着、厚さ、起伏、柔軟性および表面積の基準を有する。POSASの観察者スケールは6項目(血管分布、色素沈着、厚さ、起伏、柔軟性および表面積)からなる。すべての項目は、1(「正常な皮膚と同様」)〜10(「想像できる最悪の瘢痕」)に及ぶスケールで得点される。6項目の合計がPOSAS観察者スケールの合計点を生じる。各項目についてカテゴリボックスが追加される。さらに、全体的な見解が1〜10に及ぶスケールで得点される。パラメータはすべて、好ましくは、相当する解剖学的位置における正常な皮膚と比較されるべきである。患者スケールは、患者によって回答される6つの標準的な質問を含む。回答は1〜10のスケールで与えられる。前記アンケートに関するさらに詳しい情報はwww.posas.orgにおいて見つけることができる。
POSASは、外科的瘢痕を有する患者による個人内対照(intra−individual control)を有したプラセボ対照二重盲検調査で実施された。前記調査は少なくとも2cmの長さの瘢痕を有する8人の患者について実施された。2つの比較可能な瘢痕をそれぞれ上記の実施例8の本発明の組成物で治療した。比較のために、マーケットリーダーであり、かつベンチマーク製品であるドイツ国シンクレア(Sinclair)から商業的に入手可能な瘢痕ゲルのケロコート(KELO−COTE) UVで患者を治療した。全体として、5人の患者を本発明の製品で治療し、3人の患者を比較の製品で治療した。相違は試験におけるプローブの無作為選択によった。患者は、3か月の期間にわたって一日に二回ゲルを塗布した。前記瘢痕をPOSASスケールに従って、医師および患者によって、最初の塗布の1日前、6週間後、および3か月後に評価した。前記試験は、ヘルシンキ宣言(世界医師会2000)の原理および「医薬品の臨床試験の実施の基準(Good Clinical Practice)」(ICH 1998)の規則に従って実施した。結果を表9(観察者スケール)および表10(患者のスケール)に要約する。
前記結果は、瘢痕治癒に対する本発明の製品の有意な効果の証拠を提供する。本発明の製品で治療されたすべての患者については、3か月後には瘢痕は完全にまたはほぼ完全に治癒し、各皮膚部分は正常な皮膚と同一であるか、または高度に類似していた。特に、ほとんどの患者は、数週間後に既に有意な改善を報告した(データは示さず)。対照的に、3か月間にわたって前記ベンチマーク製品で治療した患者はすべて依然として顕著な瘢痕を有した。
前記患者の結果は、瘢痕治癒に対する本発明のコーティングの有意な効果を明示し、確認する。対照的に、前記ベンチマーク製品で治療した患者はすべて3か月後に顕著な瘢痕を報告した。
実施例19:塗布の容易さおよびコーティングの機械的安定性
実施例18において上述したPOSASアンケートと共に、塗布および瘢痕上における乾燥した製品の安定性に関して追加の質問を患者に尋ねた。よって、補足アンケートは二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床試験の一部であった。質問および結果を下記に要約する。
A)ゲルはどれくらい速く乾燥したか?
本発明の組成物で治療した患者はすべて10〜40秒内に乾燥すると報告した。対照的に、ベンチマーク製品で治療した患者はすべて、乾燥は30分間超を要すると報告した。
B)ゲル膜は運動または衣服の着用にもかかわらず損傷を受けないか?
本発明の組成物で治療した患者はすべて「はい」と回答した。対照的に、ベンチマーク製品で治療した患者は、「いいえ」と回答した。
C)水/水分との接触時におけるゲル膜の安定性はどうか?
本発明の組成物で治療した患者は、安定性が「非常に良好」(4人の患者)または「良好」(1人の患者)と回答した。対照的に、ベンチマーク製品で治療された患者はすべて、安定性は「不十分」と回答した。
D)ゲル膜はどれくらい長く皮膚上に残存するか?について
本発明の組成物で治療した患者はすべて、前記膜は少なくとも6時間または少なくとも8時間にわたって皮膚上に残存すると報告した。対照的に、ベンチマーク製品で治療した患者はすべて、前記膜は60分間未満にわたって皮膚上に残存すると報告した。
E)朝に塗布したゲル膜は夜の塗布時間に依然として存在するか?
本発明の組成物で治療した患者はすべて、前記膜の100%または約50%が依然として存在したと報告した。対照的に、前記ベンチマーク製品で治療した患者はすべて、前記膜は少しも存在しなかった、または約30%が依然として存在したと報告した。
全体として、前記結果は、本発明の組成物が皮膚上において非常に好都合に塗布され、かつはるかに安定していることを示す。前記データから、本発明のコーティングのみが便利な恒常的使用および普通の活動に適していると推定され得る。本発明のコーティングは、8時間までの長期保護を提供し、衣服の着用、標準的な戸外活動、または雨、洗浄、発汗による水分との接触のような使用者の典型的な活動を損なわない。さらに、本発明のコーティングは、1分間未満の迅速な乾燥時間により、便利に再び塗布することができる。対照的に、前記ベンチマーク製品は安定性が低く、また乾燥に時間を要するために頻繁な塗布は非実用的である。
対照的に、前記ベンチマーク製品は安定性が非常に限られており、水分または中程度の機械的応力との接触により効果がなくなる。頻繁な塗布は、長い乾燥時間を考慮すると非実用的である。

Claims (15)

  1. (a)ケイ素を含有しない少なくとも1種の膜形成ポリマーと、
    (b)少なくとも1種の有機UVフィルタと、
    (c)少なくとも1種の有機溶媒とを含有する組成物であって、
    前記組成物は20℃において液体であり、成分(a)および成分(b)は溶媒(c)中に溶解されており、かつ
    前記膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の重量パーセントにおける総量の比率は6.5未満であり、
    前記組成物中のUVフィルタ(b)の全体量は少なくとも10%(w/w)である、組成物。
  2. 治療に用いるための請求項1に記載の組成物。
  3. 瘢痕の治癒を支援するための請求項2に記載の組成物。
  4. 前記組成物は、個人の瘢痕に対して、局部的かつ局所的に塗布される、請求項3に記載の組成物。
  5. 瘢痕を局部的に被覆し、かつ/または保護するため、特に瘢痕にUV保護を提供するための請求項1に記載の組成物の非治療的使用。
  6. 前記膜形成ポリマー(a)は両親媒性コポリマーであり、好ましくは、前記コポリマーはカルボキシル基およびアルキル基を含み、好ましくは、前記カルボキシル基はポリマー主鎖に結合されており、前記アルキル基は側鎖である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物または使用。
  7. 前記膜形成ポリマー(a)は、6〜16個の炭素原子を有するアルキル基を備えたアクリレート/アミドコポリマーであり、好ましくはアクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマーである、請求項1乃至6の少なくとも1項に記載の組成物または使用。
  8. 前記組成物は、少なくとも5%(w/w)の膜形成ポリマー(a)を含有し、かつ/または
    前記組成物は5%(w/w)未満の水を含有し、かつ/または
    前記膜形成ポリマー(a)に対する有機UVフィルタ(b)の重量パーセントにおける総量の比率は1を超えるか、または2を超える、請求項1乃至7の少なくとも1項に記載の組成物または使用。
  9. 前記溶媒(c)は、脂肪族アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールであり、かつ/または
    前記組成物は、保湿剤、光保護剤、油、油脂、ワックス、グリセリド、界面活性剤、増粘剤、香料、染料、防腐剤、光安定剤、酸化防止剤、スキンケア剤および医薬品から好ましくは選択される、少なくとも1種の添加剤(d)を含有する、請求項1乃至8の少なくとも1項に記載の組成物または使用。
  10. (a)5〜50%(w/w)の、ケイ素を含有しない膜形成ポリマーと、
    (b)10〜60%(w/w)の有機UVフィルタと、
    (c)30〜90%(w/w)の有機溶媒と、
    (d)0〜25%(w/w)の添加剤とからなり、
    前記組成物は5%(w/w)未満の水を含有する、請求項1乃至9の少なくとも1項に記載の組成物または使用。
  11. 前記組成物は、瘢痕への局所塗布後、好ましくは1分間未満の内に、固体コーティングを形成する、請求項1乃至10の少なくとも1項に記載の組成物または使用。
  12. 前記組成物は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、または少なくとも40の紫外線防御指数(SPF)を有する、請求項1乃至11の少なくとも1項に記載の組成物または使用。
  13. 瘢痕を被覆する方法であって、前記方法は、
    (A)請求項1乃至12のいずれか1項に記載の組成物を準備する工程と、
    (B)前記組成物を個人の瘢痕に局部的かつ局所的に塗布する工程と、
    (C)任意で前記組成物を乾燥させる工程とを含み、
    前記方法は、好ましくは非治療用である、方法。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の組成物を調製する方法であって、前記方法は、
    (i)膜形成ポリマー(a)を有機溶媒(c)中に溶解させて相Aを得る工程と、
    (ii)液体の形態にあるUVフィルタ(c)を相Bとして、任意で高めた温度で、提供する工程と、
    (iii)好ましくは相Bを相Aに添加することにより、相Aと相Bとを混合する工程とを含む、方法。
  15. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の組成物の、個人の皮膚、特に瘢痕への局所塗布のための装置であって、前記装置は、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の組成物を、好ましくはローラーの形態で含む、装置。

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