JP2018512892A - 抗tyro3抗体及びその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ヒトTyro3受容体の細胞外ドメイン、特に免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、該受容体へのヒトGas6の結合を低減又は阻害する抗体、特にヒト又はヒト化抗体に関する。本発明はまた、過剰増殖性疾患又は感染性疾患の診断、予防又は処置におけるこれらの抗体の使用にも関する。【選択図】なし
Description
本発明は医薬の分野に関し、特に、Tyro3受容体型チロシンキナーゼの細胞外ドメインに結合する抗体に関する。これらの抗体は、特に治療目的及び診断目的で有利な特性を示す。
Byk、Dtk、Rse、Rek、Sky又はTifとしても知られるTyro3は、受容体型チロシンキナーゼのTyro3/Axl/Mer(TAM)ファミリーの1つである。
チロシンキナーゼ受容体は、特異的リガンドを結合することができる細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び選択された細胞内基質に結合してリン酸化することができる細胞内触媒ドメインからなる。リガンドが細胞外領域に結合することで、チロシンキナーゼ受容体に一連の構造的再配置が起こり、これが細胞内タンパク質のリン酸化による一連のイベントを誘発するその酵素活性化をもたらし、細胞外シグナルが最終的に核に伝達され、遺伝子発現を変化させる。
TAM受容体は、2つの免疫グロブリン(Ig)関連ドメイン及び2つのフィブロネクチンIII型(FNIII)関連ドメインを含むN末端細胞外ドメインを含み、単一膜貫通へリックス、及び細胞質チロシンキナーゼドメインが続く。リガンド結合の際に受容体は二量体化し、チロシンキナーゼは活性化される。
これらの受容体は、約43%のアミノ酸配列同一性を示し、且つプロテインSには存在するがGas6には存在しないトロンビン切断部位を除いて同じ複合マルチドメイン構造を共有する、相同リガンドGas6(成長停止特異性遺伝子−6(growth arrest specific gene-6))及び/又はプロテインSによって活性化され得る。
近年の研究では、TAM受容体が、免疫、止血、及び炎症に主要な役割を果たすことが明らかにされた(Zheng等、J. Immunol 2015, 194; Rothlin et al.Cell. 2007, 131, 1124-1136)。これらの受容体、特にTyro3は腫瘍発生及び腫瘍細胞生存に関連することも示された(Linger等、Adv Cancer Res, 2008; 100:35-83; Vander Meer et al., Blood. 2014; 213(16):2460-2469)。これらの認識に基づいて、Tyro3は、膀胱がん、悪性黒色腫、若しくは乳がんなどのTyro3過剰発現がんの治療剤開発のため(国際公開第2010/031828号; Ekyalongo等、Anticancer Res. 2014Jul;34(7):3337-45)、又は免疫応答を向上させるため(Lemke及びRothlin、 Nat Rev Immunol. 2008;8(5):327-336)のターゲットとして特定された。
TAM受容体阻害剤は、Gas6又はプロテインS又は細胞外ドメインに特異的に結合してリガンドと受容体との相互作用を抑制するものなどの受容体活性を低減する分子、Gas6又はプロテインS濃度を低下させる分子、構成的Tyro3活性化を阻害する分子、及び細胞内ドメインに結合して受容体のシグナリングを抑制する分子を含む。選択的阻害剤は、小分子、チロシンキナーゼドメイン欠損可溶性受容体、又は抗体の形態であり得る。
Tyro3受容体は、TAM受容体のうちで最も研究が進んでいないものであり、現在まで、この受容体の治療的な選択的阻害のための効果的な方法はない。いくつかの、Tyro3に対するマウス抗体は市販されており、或いは悪性黒色腫におけるこの受容体の活性を研究するためDemarest等によって記載されている(Biochemistry、2013、52、3102-3118)。しかし、ヒト患者の処置におけるマウスモノクローナル抗体の使用は、抗体に対する宿主の免疫応答をもたらし、処置の有効性を損なう可能性がある。
したがって、Tyro3に効果的且つ特異的に結合し、その活性を調節するヒト又はヒト化抗体が強く求められている。
本発明は、抗Tyro3抗体及びその使用方法を提供する。
第1の態様において、本発明は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体に結合せず、ヒトTyro3受容体に対するヒトGas6の結合を低減又は阻害する、単離されたヒト又はヒト化抗体に関する。
特に、本発明の抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなるか、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1を含み得、及び/又は配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなるか、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1を含み得る。
抗体は、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2にさらに結合し得る。特に、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−1及びIg−2に結合する抗体は、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号88、102、116、130、144又は158の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号89、103、117、131、145又は159の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含む。
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号88、102、116、130、144又は158の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号89、103、117、131、145又は159の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含む。
代替的に抗体は、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し得るが、免疫グロブリン様ドメインIg−2には結合しない。特に、この抗体は、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号10、32、46、60、又は74の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号11、33、47、61、又は75の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含み得る。
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号10、32、46、60、又は74の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号11、33、47、61、又は75の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなるか又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含み得る。
特に、本発明の抗体は、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号32の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号33の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号46の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号47の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号60の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号61の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号74の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号75の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号88の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号89の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号102の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号103の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号116の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号117の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号130の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号131の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号144の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号145の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号158の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号159の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、を含むとよい。
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号32の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号33の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号46の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号47の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号60の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号61の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号74の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号75の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号88の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号89の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号102の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号103の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号116の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号117の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号130の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号131の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号144の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号145の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号158の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号159の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなるか若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、を含むとよい。
抗体はTyro3受容体の阻害剤であり、好ましくは、Tyro3細胞外ドメインとのTyro3リガンドの結合を低減若しくは阻止し、及び/又はTyro3媒介シグナル伝達を減少若しくは阻止し、及び/又はTyro3リン酸化を低減若しくは阻止し、及び/又はTyro3二量体化を低減若しくは阻止する阻害剤であるとよい。
抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体、好ましくはIgG1抗体であるとよい。
他の態様において、本発明は、
(a) 本発明の抗体をコードする核酸配列、及び
(b) (a)の配列のいずれかに相補的な核酸、からなる群から選択される単離核酸分子に関する。
(a) 本発明の抗体をコードする核酸配列、及び
(b) (a)の配列のいずれかに相補的な核酸、からなる群から選択される単離核酸分子に関する。
本発明はまた、本発明の核酸を含むベクターにも関する。
本発明は、本発明の核酸又はベクターを含む宿主細胞にさらに関する。
さらなる態様において、本発明は、抗体の発現に適した条件下で本発明の宿主細胞を培養するステップと、任意的に該抗体を回収するステップとを含む、本発明の抗体を作製するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、本発明の抗体、核酸、ベクター又は宿主細胞、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
最後の態様において、本発明はまた、過剰増殖性疾患又は感染性疾患の診断、予防又は処置に用いるための、本発明の抗体又は医薬組成物にも関する。
[定義]
本明細書で用いられるとき「Tyro3」、「Tyro3チロシンキナーゼ」又は「Tyro3レセプター」という用語は、Tyro3タンパク質、好ましくはヒトTyro3タンパク質を指す。ヒトTyro3(遺伝子ID:7301)は、Byk、Dtk、Rse、Rek、Sky又はTifとしても知られており、受容体型チロシンキナーゼのTyro3/Axl/Mer(TAM)ファミリーの1つである。ポリヌクレオチド及びアミノ酸配列は当該技術分野において周知である。参照配列は、それぞれGenbank受託番号MN_006293.2及びNP_006284.2である。トランスクリプトームデータベースUniGeneにおけるヒトTyro3の参照エントリーは、Hs.381282である。Tyro3受容体は、2つの免疫グロブリン(Ig)関連ドメインIg−1及びIg−2、並びに2つのフィブロネクチンIII型(FNIII)関連ドメインFNIII−1及びFNIII−2を含むN末端細胞外ドメインからなり、単一の膜貫通ヘリックス及び細胞質チロシンキナーゼドメインが続く。各ドメインの位置は既知であり、公開データベースで容易にアクセス可能である。Uniprot受託番号Q06418(配列番号1)に開示されるように、ヒトTyro3タンパク質の細胞外ドメインは、配列番号1の41位から128位までの第1のIgドメイン(Ig-1)、配列番号1の139位から220位までの第2のIgドメイン(Ig-2)、配列番号1の227位から320位までの第1のFNIIIドメイン(FNIII-1)、及び配列番号1の325位から416位までの第2のFNIIIドメイン(FNIII-2)を含む。Tyro3タンパク質−チロシンキナーゼドメインは、配列番号1の518位から790位まで及んでいる。
本明細書で用いられるとき「Tyro3」、「Tyro3チロシンキナーゼ」又は「Tyro3レセプター」という用語は、Tyro3タンパク質、好ましくはヒトTyro3タンパク質を指す。ヒトTyro3(遺伝子ID:7301)は、Byk、Dtk、Rse、Rek、Sky又はTifとしても知られており、受容体型チロシンキナーゼのTyro3/Axl/Mer(TAM)ファミリーの1つである。ポリヌクレオチド及びアミノ酸配列は当該技術分野において周知である。参照配列は、それぞれGenbank受託番号MN_006293.2及びNP_006284.2である。トランスクリプトームデータベースUniGeneにおけるヒトTyro3の参照エントリーは、Hs.381282である。Tyro3受容体は、2つの免疫グロブリン(Ig)関連ドメインIg−1及びIg−2、並びに2つのフィブロネクチンIII型(FNIII)関連ドメインFNIII−1及びFNIII−2を含むN末端細胞外ドメインからなり、単一の膜貫通ヘリックス及び細胞質チロシンキナーゼドメインが続く。各ドメインの位置は既知であり、公開データベースで容易にアクセス可能である。Uniprot受託番号Q06418(配列番号1)に開示されるように、ヒトTyro3タンパク質の細胞外ドメインは、配列番号1の41位から128位までの第1のIgドメイン(Ig-1)、配列番号1の139位から220位までの第2のIgドメイン(Ig-2)、配列番号1の227位から320位までの第1のFNIIIドメイン(FNIII-1)、及び配列番号1の325位から416位までの第2のFNIIIドメイン(FNIII-2)を含む。Tyro3タンパク質−チロシンキナーゼドメインは、配列番号1の518位から790位まで及んでいる。
本明細書で定義されるような「定常領域」とは、軽鎖又は重鎖免疫グロブリン定常領域遺伝子の1つによってコードされる抗体由来定常領域を意味する。本明細書で用いられるとき「定常軽鎖」又は「軽鎖定常領域」は、カッパ(Cカッパ)又はラムダ(Cラムダ)軽鎖によってコードされる抗体の領域を意味する。定常軽鎖は、通常単一ドメインを含み、本明細書で定義されるように、Cカッパ又はCラムダの108〜214位を指し、ナンバリングはEUインデックスによるものである(Kabat等、1991、Sequencesof Proteins of Immunological Interest、5th Ed., UnitedStates Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda)。本明細書で用いられるとき「定常重鎖」又は「重鎖定常領域」とは、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、又はIgEとしての抗体のアイソタイプを規定するための、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロン遺伝子によってコードされる抗体の領域を意味する。全長IgG抗体については、本明細書で定義される定常重鎖とは、CH1ドメインのN末端からCH3ドメインのC末端を指し、従って118〜447位を含み、ナンバリングはEUインデックスによるものである。
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインをいう。重鎖の可変ドメインは、「VH」として言及され得る。軽鎖の可変ドメインは、「VL」として言及され得る。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の部分であり、抗原結合部位を含む。軽鎖又は重鎖可変領域(VL又はVH)は、「相補性決定領域」又は「CDR」として言及される3つの超可変領域が割って入ったフレームワーク領域からなる。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、例えば、Kabat(「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、E.Kabat等、U.S. Department of Health and HumanServices、(1983年)参照)や、Chothiaのように正確に定義されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成物である軽鎖及び重鎖の複合フレームワーク領域は、主に抗原への結合に関与するCDRを配置及びアライメントする働きをする。
本明細書で用いられるとき「フレームワーク」又は「FR」領域とは、CDRとして規定される領域を除いた抗体可変ドメインの領域を意味する。各抗体可変ドメインフレームワークは、CDRによって分離された隣接領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)にさらに細分されることができる。
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24〜34(L1)、50〜56(L2)及び89〜97(L3)並びに重鎖可変ドメインの31〜35(H1)、50〜65(H2)及び95〜102(H3);Kabat等、1991年)、並びに/又は「超可変ループ」からの残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26〜32(L1)、50〜52(L2)及び91〜96(L3)並びに重鎖可変ドメインの26〜32(H1)、53〜55(H2)及び96〜101(H3);Chothia及びLesk、J.Mol. Biol 1987;196:901-917)を通常含む。AbMCDRは、KabatCDRとChothia構造ループとの間の折衷(compromise)を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。「接触」CDRは、利用可能な複合体の結晶構造解析に基づいている。IMGTの固有のナンバリングは、抗原受容体、鎖型又は種が何であれ、可変ドメインを比較するために定義されている(Lefranc M.-P.、Immunology Today 18,509(1997); Lefranc M.-P.、The Immunologist 、7,132-136(1999); Lefranc、M.-P.等、Dev. Comp. Immunol.、27、55-77(2003))。通常、この領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、上記のKabat等の方法によって実施される。
「Kabat位置」又は「Kabatのような可変ドメイン残基ナンバリング」又は「Kabatのようなアミノ酸位置ナンバリング」及びその変形の用語は、上記のKabat等の抗体の編集物(compilation)の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用して、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはCDRの短縮又は可変ドメインのFR若しくはCDRへの挿入に相当するより少ない又は追加のアミノ酸を含み得る。残基のKabatナンバリングは、抗体の配列の相同性領域における「標準的な」Kabatナンバリング配列とのアライメントにより、所定の抗体について決定され得る。
本明細書で使用される「約」という用語は、特定値の値±10%の範囲、より好ましくは特定値の値±5%の範囲を指す。例えば、「約1」は、10%を考慮する場合に0.9〜1.1を意味し、5%を考慮する場合に0.95〜1.05を意味する。
本明細書で用いられるとき「実質的にからなる」という用語は、参照配列と少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を指す。配列は、参照配列に対して置換、好ましくは保存的置換、挿入又は欠失を含み得る。好ましくは、配列は、参照配列に対して1〜10の置換、挿入又は欠失、より好ましくは参照配列に対して1、2、3、4又は5、さらにより好ましくは1又は2の置換、挿入又は欠失を含むことができる。所定の実施形態において、置換、挿入及び/又は欠失は、CDRの外側の領域(すなわち、フレームワーク領域)に生じる。
本明細書で用いられるとき、「配列同一性」又は「同一性」という用語は、2つのポリペプチド配列のアライメントからの位置の一致数(%)(同一のアミノ酸残基)に関する。配列同一性は、配列ギャップを最小化しながらオーバーラップ及び同一性を最大化するようにアライメントした時に配列を比較することで決定される。特に、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、多くの数学的なグローバル又はローカルアラインメントアルゴリズムのいずれかを用いて、決定されるとよい。同様の長さの配列は、最も有利には長さ全体にわたり配列をアライメントするグローバルアライメントアルゴリズム(例として、ニードルマン・ウンシュアルゴリズム、ニードルマン及びウンシュ、1970年)を用いて好ましくはアライメントされ、一方で、実質的に異なる長さの配列は、ローカルアライメントアルゴリズム(例として、スミス・ウォーターマンアルゴリズム(スミス及びウォーターマン、1981年)又はアルトシュル(Altschul)アルゴリズム(アルトシュル他、1997年、アルトシュル他、2005年)を用いて好ましくはアライメントされる。アミノ酸配列同一性率を決定するためのアライメントは、当該技術の範囲内の種々の方法でおこなわれ得、例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/、又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/などのインターネット上のウェブサイトにおいて公衆に利用可能なコンピュータソフトウエアが用いられる。当業者は、比較される配列全長にわたって最大のアライメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。本明細書の目的のため、アミノ酸配列同一性率値はペアワイズシーケンスアライメントプログラムであるEMBOSS Needleを用いて生成された値に関し、該ペアワイズシーケンスアライメントプログラムは、全ての検索パラメータがデフォルト値に設定される、即ち、スコアリングマトリクス=BLOSUM62、ギャップオープン=10、ギャップエクステンド=0.5、エンドギャップペナルティ=偽、エンドギャップオープン=10、及びエンドギャップエクステンド=0.5に設定される、ニードルマン・ウンシュアルゴリズムを用いて、2つの配列の最適なグローバルアライメントを求める。
「保存的」アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、同様の物理化学的特性を持つ側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において既知であり、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷型極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐した側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
本明細書で用いられるとき、ポリペプチド又は核酸に関する「精製された」又は「単離された」という用語は、その自然の媒体又は形態ではないポリペプチド又は核酸を指す。従って、「単離された」という用語は、その元の環境、例えば自然に存在する場合であれば自然環境から取り出されたポリペプチド又は核酸を含む。例として、単離されたポリペプチドは、それが通常付随しているか、又は通常混合されているか若しくは溶解されている細胞の少なくともいくつかのタンパク質又は他の成分を典型的には欠いている。単離されたポリペプチドは、細胞溶解物に含まれる自然に産生されたポリペプチド、精製又は部分的に精製された形態のポリペプチド、組換えポリペプチド、細胞によって発現又は分泌されるポリペプチド、並びに異種宿主細胞又は培養物内のポリペプチドを含む。核酸に関して、単離又は精製されたという用語は、例えば、核酸がその自然のゲノム状況にはないということを示す(例えば、プロモーターに連結され、又は異種宿主細胞に人工的に導入される、発現カセットとしてのベクターにある)。
[本発明の抗体]
本発明は、ヒト対象におけるTyro3受容体活性を有効且つ選択的に調節するために治療的に有用な新規抗体の作製に基づく。
本発明は、ヒト対象におけるTyro3受容体活性を有効且つ選択的に調節するために治療的に有用な新規抗体の作製に基づく。
従って、第1の態様において、本発明は、ヒトTyro3受容体の細胞外ドメインに結合する抗体に関する。
本明細書における「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、具体的には、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体フラグメント、及びその誘導体を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体と1つ以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有会合又は非共有会合によって形成されたより大きな融合分子の一部であり得る。
一部の実施形態では、抗体は全長抗体である。本明細書で用いられるとき「全長抗体」という用語は、ネイティブ抗体構造と実質的に類似の構造を有する抗体を指し、以下に規定される抗体フラグメントではない。この用語は、特に、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。好ましい実施形態では、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4から選択される全長IgG抗体の抗体であり、好ましくは全長IgG1抗体である。
一部の他の実施形態では、抗体は抗体フラグメントである。「抗体フラグメント」は、全長抗体の一部、一般にその抗原結合ドメイン又は可変ドメインを含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、F(ab)3、Fv(典型的には抗体の単一アームのVL及びVHドメイン)、一本鎖Fv(ScFv)、dsFv、Fd(典型的にはVH及びCH1ドメイン)及びdAb(典型的にはVHドメイン)フラグメント、ミニボディー、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、カッパボディー、線状抗体、一本鎖抗体分子、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体、並びに抗原結合機能を保持する他の抗体フラグメント(例えば、Holliger及びHudson、NatBiotechnol. 2005 Sep; 23(9):1126-36)を含む。抗体フラグメントは、インタクトな抗体や組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)のタンパク質消化を含むが、これに限定されない様々な技術によって作製されることができる。これらの技術は当業者に周知であり、文献に広く記載されている。
抗体のパパイン消化により、それぞれが単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力をその名前が表す残りの「Fc」フラグメントとが産生される。ペプシン処理では、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab’)2フラグメントを生じる。
本明細書で用いられるとき「Fab」、「Fabフラグメント」又は「Fab領域」とは、VH、CH1、VL、及びCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、個別のこの領域又は本明細書に記載のポリペプチドに関するこの領域を指し得る。
Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の残基を付加することにより、Fabフラグメントと異なる。F(ab’)2抗体フラグメントは元々それらの間にヒンジシステインを有する対のFab’フラグメントとして産生されたものである。抗体フラグメントの他の化学的結合も知られている。
本明細書で用いられるとき「Fv」、「Fv領域」又は「Fvフラグメント」とは、単一抗体のVL及びVHドメインを含むポリペプチドを意味する。このフラグメントは、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。一実施形態では、2本鎖Fv種は、緊密で非共有の会合である1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種において、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種のものに類似する「二量体」構造で会合可能であるように、フレキシブルペプチドリンカーによって共有結合されることができる。Fvは、個別のこの領域又は本明細書に記載のポリペプチドに関するこの領域を指し得る。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖に存在する。scFvの概説については、Pluckthunによる、The Pharmacology of MonoclonalAntibodies、vol. 113、Rosenburgand Moore eds.、Springer-Verlag、NewYork、pp.269-315(1994)に記載されている。
本明細書で用いられる「Fc」、「Fcフラグメント」又は「Fc領域」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除いた抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにこれらのドメインのN末端のフレキシブルヒンジを指す。IgA及びIgMについては、FcはJ鎖を含み得る。IgGについては、Fcは免疫グロブリンドメインCγ2(CH2)及びCγ3(CH3)並びにCγ1とCγ2との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、C226、P230又はA231位のアミノ酸残基からカルボキシル末端まで及ぶと規定され、ナンバリングはEUインデックス指数に従う。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによると残基447)は、例えば、抗体の作製若しくは精製時に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去され得る。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、並びにK447残基ありなしの抗体の混合物を有する抗体集団を含むことができる。Fcは、個別のこの領域又は本明細書に記載のポリペプチドに関するこの領域を指し得る。
「ダイアボディー」という用語は、同じポリペプチド鎖(VH−VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントを指す。同じ鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは別の鎖の相補的ドメインとペアリングさせられ、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディーは二価又は二重特異性であってよい。ダイアボディーは、例えば、Hudson等、Nat. Med. 9:129-134(2003)、及びHollinger等、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448(1993)により詳細に記載される。トリアボディー及びテトラボディーも、Hudson等、Nat. Med. 9:129-134(2003)に記載される。
一部の好ましい態様において、抗体は、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、F(ab)3、Fv、一本鎖Fv(ScFv)フラグメント及びダイアボディーからなる群から選択される抗体フラグメントである。
本明細書で用いられるとき「抗体誘導体」という用語は、例えば全長抗体又は抗体のフラグメントである本明細書で提供される抗体を指し、1つ以上のアミノ酸が、例えば、アルキル化、PEG化、アシル化、又はエステル若しくはアミド形成などによって化学的に修飾されているものである。特に、この用語は、当該技術分野において周知であり、容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾された、本明細書で提供される抗体を指し得る。抗体の誘導体化に適した部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの例としては、PEG、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストランおよびポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
誘導体はまた、細胞傷害剤、蛍光部分などの検出可能な部分、診断用放射性同位体若しくはイメージング剤を含むがこれらに限定されない1つ以上の異種分子;又はアガロースビーズなどのような固体担体、にコンジュゲートされた本発明の抗Tyro3抗体を含む免疫複合体であってもよい。細胞傷害剤の例には、化学療法剤若しくは薬剤、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物若しくは動物由来の、又はそのフラグメントの、タンパク質毒素、酵素活性毒素)又は放射性同位体が含まれるが、これらに限定されない。抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、当業者に周知の種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる。リンカーは、細胞内の細胞傷害性薬剤の放出を促進する「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari等、Cancer Res. 52:127-131(1992))を使用することができる。
本発明の抗体は、機能型Fc領域、天然配列Fc領域又は変異型Fc領域を含むことができる。
「機能型Fc領域」は、天然配列Fc領域のエフェクター機能を有する。例示的な「エフェクター機能」にはC1q結合、細胞依存性細胞傷害性(Cell Dependent Cytotoxicity、CDC)、F受容体結合、抗体依存性細胞傷害性(Antibody Dependent Cell Cytotoxicity、ADCC)、貪食作用、抗体依存性細胞貪食(Antibody Dependent Cell Phagocytosis、ADCP)、細胞表面受容体下方調節などを含む。このようなエフェクター機能は、一般にFc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とし、様々な周知のアッセイを用いて評価されることができる。
「天然配列Fc領域」は、自然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1Fc領域(非A及びAアロタイプ)、天然配列ヒトIgG2Fc領域、天然配列ヒトIgG3Fc領域、及び天然配列ヒトIgG4Fc領域、並びに自然に存在するそれらの変異体が含まれる。
「変異型Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換によって、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異型Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、これは例えば天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域における約1〜約10のアミノ酸置換、好ましくは約1〜約5のアミノ酸置換などである。本明細書の変異型Fc領域は、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、最も好ましくは少なくとも約90%の相同性、より好ましくは少なくとも約95%の相同性を有する。
所定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。所定の実施形態では、結合特異性の1つはTyro3、特にヒトTyro3の細胞外ドメインに対するものであり、もう1つは任意の他の抗原に対するものである。特定の実施形態において、二重特異性抗体は、Tyro3の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体はまた、Tyro3を発現する細胞に細胞傷害剤を局在化させるために使用され得る。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体フラグメントとして調製されることができる。
多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え同時発現(Milstein及びCuello、Nature305:537(1983)、国際公開第93/08829号、並びにTraunecker等、EMBO J. 10:3655(1991)を参照)、並びに「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」設計(例えば、米国特許第5,731,168号を参照)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製するために静電ステアリング効果(electrostatic steering effects)を生じさせること(国際公開第2009/089004A1号)、2つ以上の抗体又はフラグメントを架橋すること(例えば米国特許第4,676,980号、及びBrennan等、Science 229:81(1985)を参照)、二重特異性抗体を作製するためにロイシンジッパーを使用すること(例えばKostelny等、J. Immunol、148(5):1547-1553(1992)を参照)、二重特異性抗体フラグメントを作製するために「ダイアボディー」技術を使用すること(例えば、Hollinger等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:6444-6448(1993)を参照)、一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えばGruber等、J. Immunol 152:5368(1994)を参照)、及び例えば、Tutt等、J. Immunol. 147:60(1991)に記載のように三重特異性抗体を調製すること、によって作製されるとよい。「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する改変抗体も本明細書に含まれる(例えば、米国出願公開第2006/0025576A1号参照)。
好ましい実施形態では、抗体は単離された抗体である。「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。特に抗体は、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって測定されるとき純度95%又は99%より高く精製されるとよい。抗体純度の評価方法の概説については、例えば、Flatman等、J. Chromatogr. B 848:79-87(2007)が参照される。
本発明の抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体であり得る。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書で用いられるとき「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、該集団を構成する個々の抗体が、少量で存在する自然に発生し得る突然変異を除いて同一であるもの、を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位を標的とする。さらに、異なる決定基(エピトープ)を標的とする異なる抗体を典型的に含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基を標的とする。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler等、Nature 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClackson等、Nature 352:624-628(1991)及びMarks等、J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)に記載されている技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
本発明の抗体は、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体であってもよい。
「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である一方で、残余の鎖は、所望の生物学的活性を示す限り、別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体、並びにそのような抗体のフラグメントの対応する配列と同一又は相同である(Morrison等、Proc. Natl. Acad Sci. USA 81:6851-6855(1984))。好ましくは、抗体のフレームワークの少なくとも一部は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列である。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ヒト化抗体は、多くの部分において、レシピエントの超可変領域残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの可変ドメイン、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、超可変領域のすべて又は実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、FRのすべて又は実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも部分も含み、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む(Jones等、Nature 321:522-525(1986);Reichmann等、Nature332:323.329 (1988);及びPresta、Curr. Op. Struct.Biol. 2:593-596(1992))。
キメラ抗体又はヒト化抗体は、当業者に周知であり、且つ文献に広く記載されている様々な技術によって作製されることができる。
「ヒト抗体」又は「完全ヒト抗体」とは、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有する、及び/又は本明細書に開示するヒト抗体を作製するための技術のいずれかを用いて作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除くものである。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む当該技術分野で既知の様々な技術を用いて作製され得る(Hoogenboom及びWinter、J.Mol. Biol.、227:381(1991)、Marks等、J. Mol.Biol.、222:581(1991))。ヒトモノクローナル抗体の調製のために、Cole等、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、AlanR.Liss、p. 77(1985);Boerner等、J. Immunol.、147(1):86-95(1991)に記載の方法も利用される。また、van Dijk及びvan de Winkel、Curr. Opin. Pharmacol.、5:368-74(2001)も参照される。ヒト抗体は、抗原投与に応答してこのような抗体を産生するように改変されているがその内因性遺伝子座が無効化されて(例えば免疫化ゼノマウス)ヒト遺伝子座に置き換えられているトランスジェニック動物に抗原を投与することによって、調製することができる(例えば、XENOMOUSE(登録商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び米国特許第6,150,584号参照)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって作製されたヒト抗体に関して、例えば、Li等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、103:3557-3562(2006)も参照される。
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、ヒト又はヒト化モノクロ―ナル抗体、さらに好ましくはヒトモノクローナル抗体である。
本発明の抗Tyro3抗体は、Tyro3、特にヒトTyro3に対して高い特異性及び/又は選択性を示す。
「特異的結合」又は「特異性」とは、本明細書で用いられるとき、Tyro3などの抗原上に存在するエピトープに検出可能に結合する一方、他のタンパク質又は構造(他のTAM受容体など)に検出可能な反応をあまり示さない抗体の能力を指す。抗体特異性は、実験の項に記載されるようなELISA結合アッセイなどの周知の方法を用いた交差反応性の測定によって決定することができる。特異性は、他の無関係の分子への非特異的結合に対する特異的抗原への結合における親和性/結合活性について、約10:1、約20:1、約50:1、約100:1、10,000:1又はそれより大きい比で示されることができる。
「選択的結合」又は「選択性」とは、1つ以上の他の生物学的分子、構造、細胞、組織などとは対照的に、特定の領域、標的、又はペプチドへのタンパク質の優先的結合を指す。Tyro3結合抗体は、特定の生体において(例えば、マウス生体とは対照的にヒトにおいて)産生されるTyro3受容体、及び/又はTyro3受容体の特定の部分(特定のエピトープ又は抗原決定基領域など)に選択性がある。例えば、選択性は、競合ELISA又はBiacoreアッセイによって測定されることができる。選択性を示す親和性/結合活性の違いは、任意の検出可能な優先度であり得る(例えば、検出可能な場合、1:1.1を超える、又は約1:5を超える比が適切であり、1:10、1:100、1:1000以上を含む)。
好ましくは、本発明の抗Tyro3抗体は、特異的に/選択的にヒトTyro3に結合する。特に、該抗体は、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体、及び/又はマウスTyro3などの非霊長類哺乳類Tyro3、並びに特にこれらの受容体の細胞外ドメインに、顕著に結合するものではない。
一部の実施形態において、抗Tyro3抗体は、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体の細胞外ドメインに顕著結合するものではない。ヒトAxlタンパク質の配列はUniprot受託番号P30530(配列番号6)に開示され、細胞外ドメインは配列番号6の26位から451位に及ぶ。ヒトMerタンパク質の配列は、Uniprot受託番号Q12866(配列番号7)に開示され、細胞外ドメインは、配列番号7の21位から505位に及ぶ。
一部の実施形態において、抗Tyro3抗体は、マウスTyro3の細胞外ドメインに顕著に結合するものではない。マウスTyro3タンパク質の配列は、Uniprot受託番号P55144(配列番号8)に開示され、細胞外ドメインは、配列番号8の31位から419位に及ぶ。
好ましい実施形態では、抗Tyro3抗体は、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体の細胞外ドメインに顕著に結合するものではなく、マウスTyro3の細胞外ドメインに結合するものでない。
好ましくは、抗Tyro3抗体は、カニクイザル(又はMacacafascicularis)Tyro3受容体の細胞外ドメインにさらに結合する。カニクイザルTyro3タンパク質の細胞外ドメインの配列は配列番号9に開示されている。特定の実施形態では、抗Tyro3抗体は、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体の細胞外ドメインに顕著に結合せず、マウスTyro3の細胞外ドメインに結合せず、カニクイザルTyro3受容体の細胞外ドメインに結合する。
他の実施形態では、抗Tyro3抗体は、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体の細胞外ドメインに顕著に結合しないが、マウスTyro3の細胞外ドメインに結合する。この抗体は、例えば配列番号1の310位から340位に及ぶTyro3の細胞外ドメインの部分など、ヒトとマウスとのTyro3において相同である受容体のフラグメントに対するものであり得る。
抗Tyro3抗体は、Tyro3リガンド結合の競合阻害剤であり得、すなわちTyro3受容体に結合し、Tyro3リガンドの該受容体、特にヒトTyro3受容体細胞外ドメインへの結合を顕著に低減又は阻害する抗体であり得る。競合阻害剤は、Tyro3リガンドよりも高い親和性でTyro3に結合することができる。競合アッセイは、当該技術分野における標準的な技術(例えば、競合ELISA又は他の結合アッセイ)を用いて行うことができる。
Tyro3リガンドは、GAS6タンパク質又はプロテインS、好ましくはGAS6タンパク質、より好ましくはヒトGAS6タンパク質であり得る。
GAS6(成長停止特異性6)は、構造的に、血漿ビタミンK依存性タンパク質のファミリーに属する。GAS6は、Tyro3、AXL及びMERであるTAMファミリーの受容体型チロシンキナーゼとの相互作用を介して成長因子様の特性を有する。ヒトGAS6は、リン脂質膜への結合を媒介するガンマカルボキシグルタミン酸が豊富なドメイン、4つの上皮成長因子様ドメイン、及び2つのラミニンG様ドメイン、からなる678アミノ酸のタンパク質である。トランスクリプトームデータベースUniGeneにおけるヒトGAS6の参照エントリーは、Hs.646346である。
プロテインSは、血液凝固系における抗凝固剤である。これは、第V因子及び第VIII因子を分解し、それによって血液凝固を阻害するプロテアーゼである活性化プロテインCの補助因子として作用する。トランスクリプトームデータベースUniGeneにおけるヒトプロテインSの参照エントリーは、Hs.64016である。Gas6とプロテインSとは、全体で44%のアミノ酸配列同一性を示し、同じ複合マルチドメイン構造を共有し、このドメイン構成を示すマウス及びヒトゲノムにコードされるただ2つのタンパク質である。
本発明の抗Tyro3抗体は、ヒトTyro3受容体へのヒトGas6の結合を、少なくとも10%、好ましくは約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85〜約90%(実験の項に記載される競合ELISAに基づいた、飽和レベルの抗体で遮断されたリガンドのパーセント)低減又は阻害し得る。特に、本発明の抗Tyro3抗体は、約25%〜約75%、好ましくは約50%〜75%、より好ましくは約60%〜約75%の範囲のヒトTyro3受容体へのヒトGas6の結合を低減又は阻害することができる。
本発明の抗Tyro3抗体は、Tyro3受容体の阻害剤/アンタゴニスト又はアゴニストであり得る。
好ましい実施形態では、抗Tyro3抗体は、Tyro3の阻害剤、すなわちTyro3受容体の少なくとも1つの活性を阻害又は低減する抗体である。
「Tyro3受容体活性」又は「Tyro3活性」には、Tyro3の任意の生物学的活性、例えば、Tyro3受容体への例えばGas6又はプロテインSであるTyro3リガンドの結合によって増強又は誘導される活性が含まれる。特に、Tyro3受容体は、細胞生存及び増殖、精子形成、免疫調節及び貪食作用の制御に関与することが示されている。この受容体はまた、エボラ及びマールブルグウイルスの細胞侵入因子としても同定されている。
抗体は、例えば、Tyro3リガンド(例えば、Gas6)のTyro3の細胞外ドメインとの結合を低減若しくは阻止すること、Tyro3媒介シグナル伝達を低減若しくは阻止すること、及び/又はTyro3リン酸化を低減若しくは阻止すること、及び/又はTyro3二量体化を低減若しくは阻止することによって、Tyro3活性を阻害することができる。阻害活性は、当該技術分野で既知の任意の方法によって容易にアッセイすることができる。特に、この活性は、結合アッセイ、競合結合アッセイ、又はリン酸化若しくは自己リン酸化アッセイによって測定されることができる。
一部の他の実施形態では、抗Tyro3抗体は、Tyro3のアゴニスト、すなわちTyro3受容体の活性を刺激する抗体である。アゴニストは、例えば、Tyro3リガンドの受容体への結合を促進して、受容体の二量体化を誘導若しくは促進し、及び/又はTyro3リン酸化を誘導若しくは促進し、及び/又はTyro3媒介シグナル伝達を向上させることができる。アゴニスト活性は、上記のような当該技術分野で既知の任意の方法によって容易にアッセイすることができる。
本発明の抗Tyro3抗体は、ヒトTyro3受容体の細胞外ドメイン(配列番号1の41位から429位)に結合する。抗体は、2つの免疫グロブリン様ドメインIg−1及びIg−2のうちの1つ以上、並びに/又は2つのフィブロネクチンIII型様ドメインFNIII−1及びFNIII−2のうちの1つ以上に結合することができる。
好ましい実施形態において、抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合する。特に、そのような抗体は、
AGLKLMGAPVKLTVSQGQPVKLNCSVEGMEEPDIQWVKDGAVVQNLDQLYIPVSEQHWIGFLSLKSVERSDAGRYWCQVEDGGETEISQPVWLT(配列番号2)
のアミノ酸配列を含むか、実質的にそれからなるか、又はそれからなるポリペプチドに結合し得る。
AGLKLMGAPVKLTVSQGQPVKLNCSVEGMEEPDIQWVKDGAVVQNLDQLYIPVSEQHWIGFLSLKSVERSDAGRYWCQVEDGGETEISQPVWLT(配列番号2)
のアミノ酸配列を含むか、実質的にそれからなるか、又はそれからなるポリペプチドに結合し得る。
一部の他の実施形態では、抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2に結合しない。好ましくは、抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に特異的又は選択的に結合する。特に、そのような抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、実質的にそれからなるか、又はそれからなるポリペプチドと、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、実質的にそれからなるか、又はそれからなるポリペプチドに結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、実質的にそれからなるか、又はそれからなるポリペプチドに結合しないか、又は顕著に結合しない。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2には顕著に結合しない。
特に、抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDEKRASGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSQERNGNYAVFGGGTKLTVL(配列番号10)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQIVPRASRTNYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRPYFQTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号11)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDEKRASGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSQERNGNYAVFGGGTKLTVL(配列番号10)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQIVPRASRTNYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRPYFQTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号11)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号10及び11の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表1に示される。
表1は、配列番号10及び11の可変領域のCDR配列を示す。
別の特定の実施形態では、抗体は、配列番号32の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号33の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2には顕著に結合しない。
特に、抗体は、配列番号32の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号33の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号32の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号33の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDWKRASGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSQERKGNYFVFGGGTKLTVL(配列番号32)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQINRHASNTMYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSGGATSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号33)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDWKRASGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSQERKGNYFVFGGGTKLTVL(配列番号32)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQINRHASNTMYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSGGATSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号33)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号32及び33の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表2に示される。
表2は、配列番号32及び33の可変領域のCDR配列を示す。
さらなる特定の実施形態では、抗体は、配列番号46の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号47の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2には顕著に結合しない。
特に、抗体は、配列番号46の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号47の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号46の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号47の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDKKRVSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSLAVDGNYGVFGGGTKLTVL(配列番号46)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGAISRNGSTTYYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSGGLTSGGTIPEYYQHWGPGTLVPVSSVD(配列番号47)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDKKRVSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSLAVDGNYGVFGGGTKLTVL(配列番号46)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGAISRNGSTTYYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSGGLTSGGTIPEYYQHWGPGTLVPVSSVD(配列番号47)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号46及び47の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表3に示される。
表3は、配列番号46及び47の可変領域のCDR配列を示す。
他の特定の実施形態では、抗体は、配列番号60の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号61の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2には顕著に結合しない。
特に、抗体は、配列番号60の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号61の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号60の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号61の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRPSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSQNPQGNYFVFGGGTKLTVL(配列番号60)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGVINKYASWTRYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSGGLTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号61)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRPSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSQNPQGNYFVFGGGTKLTVL(配列番号60)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGVINKYASWTRYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSGGLTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号61)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号60及び61の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表4に示される。
表4は、配列番号60及び61の可変領域のCDR配列を示す。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号74の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号75の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2には顕著に結合しない。
特に、抗体は、配列番号74の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号75の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号74の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号75の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDNKRGSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSKSPEGNYMVFGGGTKLTVL(配列番号74)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGEIFLPPSTTVYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRQTRLTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号75)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDNKRGSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSKSPEGNYMVFGGGTKLTVL(配列番号74)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGEIFLPPSTTVYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRQTRLTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号75)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号74及び75の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表5に示される。
表5は、配列番号74及び75の可変領域のCDR配列を示す。
一部の実施形態において、抗体は、免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合するが、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2に結合せず、又は顕著に結合せず、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号10、32、46、60又は74、好ましくは配列番号10、32、46、又は60の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号11、33、47、61又は75、好ましくは配列番号11、33、47、又は61の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含む。
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号10、32、46、60又は74、好ましくは配列番号10、32、46、又は60の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号11、33、47、61又は75、好ましくは配列番号11、33、47、又は61の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含む。
一部の実施形態において、抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2に結合する。特に、そうした抗体は、
‐ 配列番号2のアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、及び
‐ AGLKLMGAPVKLTVSQGQPVKLNCSVEGMEEPDIQWVKDGAVVQNLDQLYIPVSEQHWIGFLSLKSVERSDAGRYWCQVEDGGETEISQPVWLTVEGVPFFTVEPKDLAVPPNAPFQLSCEAVGPPEPVTIVWWRGTTKIGGPAPSPSVLNVTGVTQSTMFSCEAHNLKGLASSRTATVHLQ(配列番号3)であるアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、及び
‐ VPFFTVEPKDLAVPPNAPFQLSCEAVGPPEPVTIVWWRGTTKIGGPAPSPSVLNVTGVTQSTMFSCEAHNLKGLASSRTATVHLQALPAAPFNITVTKLSSSNASVAWMPGADGRALLQSCTVQVTQAPGGWEVLAVVVPVPPFTCLLRDLVPATNYSLRVRCANALGPSPYADWVPFQTKGLA(配列番号4)であるアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、に結合し得る。
‐ 配列番号2のアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、及び
‐ AGLKLMGAPVKLTVSQGQPVKLNCSVEGMEEPDIQWVKDGAVVQNLDQLYIPVSEQHWIGFLSLKSVERSDAGRYWCQVEDGGETEISQPVWLTVEGVPFFTVEPKDLAVPPNAPFQLSCEAVGPPEPVTIVWWRGTTKIGGPAPSPSVLNVTGVTQSTMFSCEAHNLKGLASSRTATVHLQ(配列番号3)であるアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、及び
‐ VPFFTVEPKDLAVPPNAPFQLSCEAVGPPEPVTIVWWRGTTKIGGPAPSPSVLNVTGVTQSTMFSCEAHNLKGLASSRTATVHLQALPAAPFNITVTKLSSSNASVAWMPGADGRALLQSCTVQVTQAPGGWEVLAVVVPVPPFTCLLRDLVPATNYSLRVRCANALGPSPYADWVPFQTKGLA(配列番号4)であるアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、に結合し得る。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号88の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号89の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1とヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合する。
特に、抗体は、配列番号88の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号89の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号88の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号89の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRSSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSANQRGNYMVFGGGTKLTVL(配列番号88)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGSITRSSSRTHYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRGYTHLRTWGPGTLVTVSS(配列番号89)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRSSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSANQRGNYMVFGGGTKLTVL(配列番号88)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGSITRSSSRTHYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRGYTHLRTWGPGTLVTVSS(配列番号89)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号88及び89の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表6に示される。
表6は、配列番号88及び89の可変領域のCDR配列を示す。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号102の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号103の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1とヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合する。
特に、抗体は、配列番号102の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号103の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号102の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号103の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDAKRVSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSASANGNYRVFGGGTKLTVL(配列番号102)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGRIRPLLSHTMYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSWLATSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号103)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDAKRVSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSASANGNYRVFGGGTKLTVL(配列番号102)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGRIRPLLSHTMYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRSWLATSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号103)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号102及び103の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表7に示される。
表7は、配列番号102及び103の可変領域のCDR配列を示す。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号116の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号117の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1とヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合する。
特に、抗体は、配列番号116の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号117の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号116の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号117の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDDKRLSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTEINGNYAVFGGGTKLTVL(配列番号116)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGRIHTYQSSTRYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRHHSTTTANPYSSWGPGTLVTVSS(配列番号117)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDDKRLSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTEINGNYAVFGGGTKLTVL(配列番号116)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGRIHTYQSSTRYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRHHSTTTANPYSSWGPGTLVTVSS(配列番号117)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号116及び117の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表8に示される。
表8は、配列番号116及び117の可変領域のCDR配列を示す。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号130の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号131の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1とヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合する。
特に、抗体は、配列番号130の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号131の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号130の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号131の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDKKRISGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTSTGGNYMVFGGGTKLTVL(配列番号130)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQIRGPASATHYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRHQQQTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号131)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDKKRISGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTSTGGNYMVFGGGTKLTVL(配列番号130)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQIRGPASATHYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRHQQQTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号131)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号130及び131の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表9に示される。
表9は、配列番号130及び131の可変領域のCDR配列を示す。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号144の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号145の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1とヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合する。
特に、抗体は、配列番号144の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号145の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号144の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号145の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDAKRSSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSLSDSGNYFVFGGGTKLTVL(配列番号144)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQIRGQHSSTLYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRHGASTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号145)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDAKRSSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSLSDSGNYFVFGGGTKLTVL(配列番号144)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGQIRGQHSSTLYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRHGASTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号145)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号144及び145の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表10に示される。
表10は、配列番号144及び145の可変領域のCDR配列を示す。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号158の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号159の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1とヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合する。
特に、抗体は、配列番号158の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号159の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号158の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号159の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDHKRASGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSISPAGNYGVFGGGTKLTVL(配列番号158)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGRISRHGSQTYYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRAGGQTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号159)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDHKRASGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSISPAGNYGVFGGGTKLTVL(配列番号158)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGRISRHGSQTYYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWRSLEASDTAMYYCVRAGGQTSGGTIPEYYQHWGPGTLVTVSS(配列番号159)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号158及び159の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表11に示される。
表11は、配列番号158及び159の可変領域のCDR配列を示す。
一部の実施形態において、抗体は、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−1と免疫グロブリン様ドメインIg−2とに結合し、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号88、102、116、130、144、又は158、好ましくは配列番号102、116、130、144、又は158の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号89、103、117、131、145、又は159、好ましくは配列番号103、117、131、145、又は159の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含む。
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号88、102、116、130、144、又は158、好ましくは配列番号102、116、130、144、又は158の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号89、103、117、131、145、又は159、好ましくは配列番号103、117、131、145、又は159の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖、を含む。
他の実施形態において、抗体は、ヒトTyro3受容体のフィブロネクチンIII型ドメインFNIII−1に結合する。特に、そうした抗体は、
‐ 配列番号4のアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、及び
‐ AAPFNITVTKLSSSNASVAWMPGADGRALLQSCTVQVTQAPGGWEVLAVVVPVPPFTCLLRDLVPATNYSLRVRCANALGPSPYADWVPFQTKGLAPASAPQNLHAIRTDSGLILEWEEVIPEAPLEGPLGPYKLSWVQDNGTQDELTVEGTRANLTGWDPQKDLIVRVCVSNAVGCGPWSQPLVVSSHDR(配列番号5)であるアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、に結合し得、
配列番号2又は3のアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチドに結合しない。
‐ 配列番号4のアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、及び
‐ AAPFNITVTKLSSSNASVAWMPGADGRALLQSCTVQVTQAPGGWEVLAVVVPVPPFTCLLRDLVPATNYSLRVRCANALGPSPYADWVPFQTKGLAPASAPQNLHAIRTDSGLILEWEEVIPEAPLEGPLGPYKLSWVQDNGTQDELTVEGTRANLTGWDPQKDLIVRVCVSNAVGCGPWSQPLVVSSHDR(配列番号5)であるアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチド、に結合し得、
配列番号2又は3のアミノ酸配列を含む、実質的にそれからなる、又はそれからなるポリペプチドに結合しない。
特定の実施形態では、抗体は、配列番号172の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3と、配列番号173の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3とからなる群より選択される1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つのCDRを含む。好ましくは、該抗体は、ヒトTyro3受容体のフィブロネクチンIII型ドメインFNIII−1に結合する。
特に、抗体は、配列番号172の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む軽鎖、並びに/又は配列番号173の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる群より選択される1、2、若しくは3つ、好ましくは3つのCDRを含む重鎖を含み得る。
好ましくは、抗体は、配列番号172の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖と、配列番号173の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖とを含む。
さらに特定の実施形態において、抗体は、
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDTKRHSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSAEHRGNYAVFGGGTKLTVL(配列番号172)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGHINPMRSTTTYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWHSLEASDTAMYYCVRNDNHDDYTYTDDWGPGTLVTVSS(配列番号173)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPKKYAYWYQQKSGQAPVLVIYEDTKRHSGIPERFSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSAEHRGNYAVFGGGTKLTVL(配列番号172)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる軽鎖可変領域と、
EVQLVQSGADVKKPGASLTISCQASGYTFTDYWISWVRQKPGKGLEWMGHINPMRSTTTYGPSFQGHVTISADRSTATAYLQWHSLEASDTAMYYCVRNDNHDDYTYTDDWGPGTLVTVSS(配列番号173)
のアミノ酸からなる、又は実質的にそれからなる重鎖可変領域と、を含む。
配列番号172及び173の可変領域の、Chothia、AbM、Kabat、Contact及びIMGT定義システムによるCDRの配列は、表12に示される。
表12は、配列番号172及び173の可変領域のCDR配列を示す。
好ましい実施形態では、抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1を含み、及び/又は配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1を含む。好ましくは、抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなるCDR−L1を含み、且つ配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなるCDR−H1を含む。
さらに特定の好ましい実施形態において、抗体は、Kabat定義による、
‐ アミノ酸コンセンサス配列SGDALPKKYAY(配列番号12)からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、
‐ アミノ酸コンセンサスEDX1RX2(配列番号186)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はE、W、K、S、N、A、D、H、若しくはT、好ましくはE、W、K、S、N、A、D、若しくはHであり、X2はA、V、P、G、S、V、L、I、若しくはH、好ましくはA、V、P、G、S、V、L、若しくはIである、CDR−L2、
‐ アミノ酸コンセンサスYSX1X2X3X4GNYX5V(配列番号187)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はQ、L、K、A、T、L、若しくはIであり、X2はE、A、N、若しくはSであり、X3はR、V、P、Q、A、I、T、D、若しくはH、好ましくはR、V、P、Q、A、I、T、若しくはDであり、X4はN、K、D、Q、E、R、G、S、若しくはAであり、X5はA、F、G、M、若しくはRである、CDR−L3、
‐ アミノ酸コンセンサス配列DYWIS(配列番号21)からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、
‐ アミノ酸コンセンサスX1IX2X3X4X5SX6TX7YGPSFQG(配列番号188)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はQ、A、V、E、S、R、若しくはH、好ましくはQ、A、V、E、S、若しくはRであり、X2はV、N、S、F、T、R、若しくはHであり、X3はP、R、K、L、T、若しくはGであり、X4はR、H、N、Y、P、S、L、Q、若しくはM、好ましくはR、H、N、Y、P、S、L、若しくはQであり、X5はA、G、P、S、L、Q、H、若しくはR、好ましくはA、G、P、S、L、Q、若しくはHであり、X6はR、N、T、W、H、S、A、若しくはQであり、X7はN、M、Y、R、V、H、L、若しくはT、好ましくはN、M、Y、R、V、H、若しくはLである、CDR−H2、及び/又は、
‐ アミノ酸コンセンサスX1X2X3X4TSGGTIPEYYQH(配列番号189)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はP、S、Q、H、若しくはAであり、X2はY、G、T、W、若しくはQであり、X3はF、G、R、L、Q、若しくはAであり、X4はQ、A、L、若しくはSであるCDR−H3、又はGYTHLRT(配列番号99)、HHSTTTANPYSS(配列番号127)、若しくはNDNHDDYTYTDD(配列番号183)のアミノ酸配列のうちの1つからなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H3、好ましくは、上記規定のアミノ酸コンセンサスX1X2X3X4TSGGTIPEYYQH(配列番号189)からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H3、
のCDRのうちの1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つを含む。
‐ アミノ酸コンセンサス配列SGDALPKKYAY(配列番号12)からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、
‐ アミノ酸コンセンサスEDX1RX2(配列番号186)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はE、W、K、S、N、A、D、H、若しくはT、好ましくはE、W、K、S、N、A、D、若しくはHであり、X2はA、V、P、G、S、V、L、I、若しくはH、好ましくはA、V、P、G、S、V、L、若しくはIである、CDR−L2、
‐ アミノ酸コンセンサスYSX1X2X3X4GNYX5V(配列番号187)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はQ、L、K、A、T、L、若しくはIであり、X2はE、A、N、若しくはSであり、X3はR、V、P、Q、A、I、T、D、若しくはH、好ましくはR、V、P、Q、A、I、T、若しくはDであり、X4はN、K、D、Q、E、R、G、S、若しくはAであり、X5はA、F、G、M、若しくはRである、CDR−L3、
‐ アミノ酸コンセンサス配列DYWIS(配列番号21)からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、
‐ アミノ酸コンセンサスX1IX2X3X4X5SX6TX7YGPSFQG(配列番号188)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はQ、A、V、E、S、R、若しくはH、好ましくはQ、A、V、E、S、若しくはRであり、X2はV、N、S、F、T、R、若しくはHであり、X3はP、R、K、L、T、若しくはGであり、X4はR、H、N、Y、P、S、L、Q、若しくはM、好ましくはR、H、N、Y、P、S、L、若しくはQであり、X5はA、G、P、S、L、Q、H、若しくはR、好ましくはA、G、P、S、L、Q、若しくはHであり、X6はR、N、T、W、H、S、A、若しくはQであり、X7はN、M、Y、R、V、H、L、若しくはT、好ましくはN、M、Y、R、V、H、若しくはLである、CDR−H2、及び/又は、
‐ アミノ酸コンセンサスX1X2X3X4TSGGTIPEYYQH(配列番号189)からなる、若しくは実質的にそれからなり、X1はP、S、Q、H、若しくはAであり、X2はY、G、T、W、若しくはQであり、X3はF、G、R、L、Q、若しくはAであり、X4はQ、A、L、若しくはSであるCDR−H3、又はGYTHLRT(配列番号99)、HHSTTTANPYSS(配列番号127)、若しくはNDNHDDYTYTDD(配列番号183)のアミノ酸配列のうちの1つからなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H3、好ましくは、上記規定のアミノ酸コンセンサスX1X2X3X4TSGGTIPEYYQH(配列番号189)からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H3、
のCDRのうちの1、2、3、4、5又は6つ、好ましくは6つを含む。
本発明の抗体は、Tyro3に対する結合活性が実質的に保持されるならば、任意の適切なフレームワーク可変ドメイン配列を含むことができる。特定の実施形態では、抗体の可変ドメインフレームワークは、CDR(FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4)を分離する領域によって配列番号10及び11に規定されるとおりである。
好ましい実施形態では、抗体は全長IgG抗体、すなわちIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4、好ましくはIgG1抗体である。抗体は、上記の軽鎖及び重鎖の可変領域の任意のもの、ヒトIgG定常鎖、好ましくはIgG1鎖、並びにヒトラムダ鎖又はヒトカッパ鎖、好ましくはラムダ鎖を含み得る。ヒトIgG1定常鎖の例示的配列を配列番号190に示す。ヒトラムダ定常鎖の例示的配列を配列番号191に示す。
好ましい実施形態において、抗体はヒトTyro3受容体に高親和性で結合する。「結合親和性」は、一般に、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用全体の強度を指す。他に示されない限り、本明細書で用いられるとき、「結合親和性」は、結合ペア(例えば抗体と抗原)のメンバー間における1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む当技術分野で既知の一般的な方法によって測定されることができる。低親和性抗体は一般に抗原に緩徐に結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は一般に抗原により速く結合し、長期間結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野で既知であり、そのいずれも本発明の目的のために使用することができる。
所定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、10−5M以下の解離定数(Kd)を有し、好ましくは9、8、7、6、5、4、3、2又は1×10−6M以下のKd、より好ましくは9、8、7、6、5、4、3、2又は1×10−7M以下のKd、さらにより好ましくは9、8、7、6、5、4、3、2または1×10−8M以下のKdを有する。最も好ましい実施形態では、本明細書で提供される抗体は、9、8、7、6、5、4、3、2又は1×10−9M以下の解離定数を有する。
特定の実施形態において、本発明の抗体は、3.1×10−7M以下の解離定数(Kd)を有し、好ましくは、表13及び表14に記載のScFv2410、2412、2413、2414、2415、2710、2711又は2713の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又はCDR配列を有する抗体の群から選択される。他の実施形態では、本発明の抗体は、1.4×10−7M以下の解離定数(Kd)を有し、好ましくは、表13及び表14に記載のScFv2410、2412、2413、2415、2710、又は2713の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又はCDR配列を有する抗体の群から選択される。さらなる実施形態において、本発明の抗体は、7.4×10−8M以下の解離定数(Kd)を有し、好ましくは、表13及び表14に記載のScFv2410、2415、2710又は2713の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又はCDR配列を有する抗体の群から選択される。さらなる実施形態において、本発明の抗体は、4×10−8M以下の解離定数(Kd)を有し、好ましくは、表13及び表14に記載のScFv2713の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又はCDR配列を有する抗体である。
Kdは、当業者に既知の任意の技術を用いて測定されることができる。特に、抗Tyro3抗体とヒトTyro3ECD(配列番号1の40位から429位)との間の結合親和性を測定するために、BiacoreT100(GE Healthcare、Uppsala、Sweden)を用いた表面プラズモン共鳴(surface plasmonresonance、SPR)測定を、アフィボディ(登録商標)(AFFIBODYAB、参照カタログ番号10.0623.02.0005)でコーティングされたシリーズSのCM5センサーチップ上で行うことができる。15秒から55秒の注入時間を用いて、約100RUの最大応答を得るようにIgGを捕捉することができる。カイネティクス測定のため、0.15〜10μMのヒトTyro3ECDの溶液を、30μl/分の流速において25℃でPBS−P緩衝液に注入するとよい。平衡解離定数(KD)は、異種リガンドモデル及び1:1モデルを用いて算出することができる(BIAcore評価ソフトウェアバージョン3.2)。平衡解離定数(Kd)は、koff/kon比として算出される(例えば、Chen等、J. Mol. Biol. 293:865-881(1999)を参照のこと)。Kd、koff(又はKdis)及びkon定数は、以下の実験の項(実施例5参照)に記載されるように、バイオレイヤー干渉法(biolayer interferometry、BLI)によって測定することもできる。
一部の特定の実施形態では、本発明の抗体は、1×104M−1s−1以上、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9×104M−1s−1以上のkon定数を有する。より好ましくは、本発明の抗体は、1×105M−1s−1以上、好ましくは1.2×105M−1s−1以上のkon定数を有し、好ましくは表13及び表14に記載のScFv2410又は2713の軽鎖及び重鎖の可変ドメイン又はCDR配列を有する抗体の群から選択される。
一部の特定の実施形態では、本発明の抗体は、1×10−2s−1以下、好ましくは9、8、7、6、5、4×10−3s−1以下のkoff定数を有する。より好ましくは、本発明の抗体は、3×10−3s−1以下のkoff定数を有し、好ましくは表13及び表14に記載のScFv2710の軽鎖及び重鎖の可変ドメイン又はCDR配列を有する抗体である。
一部の実施形態では、本発明は、ヒトTyro3との結合において、上述のような抗体と、より詳細には表13に記載の抗体、すなわち抗体2410、2414、2709、2710、2717、2411、2412、2413、2415、2711、2713及び2718からなる群から選択される抗体と競合するヒト又はヒト化抗体を提供する。抗体は、実質的に同じエピトープに結合する場合、他の抗体と競合する。ELISA、放射免疫アッセイ、ウェスタンブロット分析、又はBIACORE分析の使用に基づくプロトコールは、単純競合試験での使用に適する。単純競合アッセイの表面は、好ましくはBIACOREチップ(又は表面プラズモン共鳴分析に適合する別の担体)である。コントロール抗体(例えば、表13に記載の抗体の1つ)を、抗原飽和濃度の表面に接触させ、抗原を保持する表面へのコントロール抗体の結合を測定する。コントロール抗体の該結合を、候補抗体の存在下で抗原を保持する表面へのコントロール抗体の結合と比較する。アッセイ試験において、候補抗体の存在下でのコントロール抗体の結合の有意な減少は、候補抗体が実質的にコントロール抗体と同じエピトープを認識し、したがってこの抗体と競合することを示す。コントロール抗体の結合を、少なくとも約30、40又は50%、好ましくは少なくとも約60、70%、又はそれ以上減少させる候補抗体は、コントロール抗体と競合する抗体と考えることができる。コントロール抗体と候補抗体との順序を逆にすることができる、すなわち、競合試験においてコントロール抗体を最初に表面に結合し、候補抗体を続いて表面に接触することができるということが理解されるべきである。
所定の実施形態では、本発明の抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を作製又は除去するようにアミノ酸配列を改変することによって簡便に行われ得る。
抗体がFc領域を含むところで、それに付加された炭水化物は変更され得る。哺乳動物細胞によって産生される天然の抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN−結合によって通常付加される分枝状の二分岐オリゴ糖を含む(例えば、Wright等、TIBTECH、1997、15:26-32参照)。オリゴ糖は、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」のGlcNAcに付加されたフコースなどの種々の炭水化物を含み得る。一部の実施形態において、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾は、所定の改善特性を有する抗体変異体を作製するために行われ得る。
一実施形態では、Fc領域に(直接的又は間接的に)付加されたフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体のフコース量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%又は20%〜40%であり得る。フコース量は、MALDI−TOF質量分析によって測定されるようなAsn297に付加されたすべての糖構造の合計に対して(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)、Asn297の糖鎖内のフコースの平均量を算出することによって測定される。Asn297は、Fc領域のおよそ297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc領域残基のEUナンバリング)。しかしながら、Asn297はまた、抗体の小規模の配列変異に起因して、297位の約±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち294位〜300位の間に位置し得る。「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する刊行物の例としては、Okazaki等、J. Mol. Biol. 336:1239-1249(2004)及びYamane-OhnukiN、Satoh M、mAbs. 2009; 1:230-236を含むが、これらに限定されない。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例には、タンパク質フコシル化において欠損があるLed3CHO細胞(Ripka等、Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545(1986))、及びα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えばYamane-Ohnuki等、Biotech. Bioeng. 87:614(2004);Kanda. Y等、Biotechnol. Bioeng.、94(4):680-688(2006)を参照)を含む。
所定の実施形態では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されたシステイン改変抗体、例えば「チオMAbs」を作製することが望ましいことがある。特定の実施形態では、置換残基は、抗体のアクセス可能な部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は抗体のアクセス可能な部位に配置され、以下にさらに記載されるように、薬剤部分又はリンカー‐薬剤部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートするように用いられて、イムノコンジュゲートを作製することができる。所定の実施形態では、軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)である残基のいずれか1つ以上がシステインで置換されていてもよい。システイン改変抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように作製され得る。
[核酸、ベクター、宿主細胞及び組換体の作製]
別の態様では、本発明は、上述のような本発明の抗体をコードする核酸、又はそのコード配列に相補的な核酸に関する。好ましくは、核酸は単離又は精製された核酸である。
別の態様では、本発明は、上述のような本発明の抗体をコードする核酸、又はそのコード配列に相補的な核酸に関する。好ましくは、核酸は単離又は精製された核酸である。
核酸は、DNA(cDNA若しくはgDNA)、RNA、又はそれら2つの混合物であり得る。核酸は、一本鎖形態、又は二本鎖形態、又はそれら2つの混合であってもよい。核酸は、例えば修飾された結合、修飾されたプリン若しくはピリミジン塩基、又は修飾された糖を含む、修飾されたヌクレオチドを含むことができる。核酸は、化学合成、組換え、及び突然変異誘発を含む、当業者に既知の任意の方法によって調製されることができる。本発明による核酸は、本発明による抗体の配列から推定することができ、コドンの使用は、核酸が転写される宿主細胞に従って調節することができる。これらのステップは、当業者に周知の方法に従って実施することができ、そのうちの一部はSambrook等の参考マニュアルに記載されている(Sambrook J、Russell D(2001)Molecular cloning:a laboratory manual、Third Edition ColdSpring Harbor)。
本発明の核酸は、抗体の軽鎖を含むアミノ酸配列及び/又は抗体の重鎖を含むアミノ酸配列をコードしてもよく、或いはそのようなコード配列に相補的であってもよい。
本発明はさらに、本発明の核酸を含むベクターを提供する。任意的に、ベクターは、いくつかの本発明の核酸を含んでもよい。特に、ベクターは、調節領域、すなわち1つ以上の制御配列を含む領域に、操作可能に連結された本発明の核酸を含むことができる。任意的に、ベクターは、いくつかの調節領域に操作可能に連結された本発明のいくつかの核酸を含むことができる。
「制御配列」という用語は、コード領域の発現に必要な核酸配列を意味する。制御配列は内因性又は異種性であってよい。周知であり、現在当業者により使用されている制御配列及び制御配列が好ましい。そのような制御配列には、プロモーター、シグナルペプチド配列及び転写ターミネーターが含まれるが、これらに限定されない。
「操作可能に連結された」という用語は、制御配列がコード領域の発現を誘発するように、制御配列がコード配列に対して適切な位置に配置される構成を意味する。
本発明はさらに、宿主細胞を形質転換、トランスフェクション又は形質導入するための本発明の核酸又はベクターの使用に関する。
本発明はまた、本発明の1つ以上の核酸及び/又は本発明の1つ以上のベクターを含む宿主細胞を提供する。
「宿主細胞」という用語はまた、複製時に生じる突然変異により親宿主細胞とは同一ではない親宿主細胞の任意の子孫を包含する。
抗体コードベクターのクローニング又は発現に適した宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。
例として、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合に、細菌で作製され得る。細菌における抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号及び第5,840,523号が参照される(大腸菌における抗体フラグメントの発現を記載しているCharlton、Methods in Molecular Biology、Vol. 248 (B.K.C. Lo、 ed.、 Humana Press、 Totowa、 NJ、 2003)、pp.245-254も参照される)。抗体は、発現後、可溶性画分内の細菌細胞溶解物から単離され得、さらに精製され得る。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物は抗体コードベクターの適切なクローニング又は発現宿主であり、これは、部分的又は完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体を作製する、グリコシル化経路が「ヒト化」された真菌又は酵母株を含む。Gerngross、Nat. Biotech. 22:1409-1414(2004)及びLi等、Nat. Biotech. 24:210-215(2006)が参照される。
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物及び昆虫細胞が含まれる。特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と共に使用され得る、多数のバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物も宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号及び第6,417,429号を参照されたい。
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例として、懸濁液で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham等、J. Gen Virol. 36:59(1977)に記載されるような293又は293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather、Biol. Reprod. 23:243-251(1980)に記載されるようなTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト胚細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather等、Annals N. Y. Acad. Sci. 383:44-68(1982)に記載されるようなTRI細胞;MRC5細胞;並びにFS4細胞が挙げられる。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216(1980))、Y0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体作製に適した所定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yasaki及びWuの、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、Vol.248(B.K.C. Lo、 ed.、HumanaPress、Totowa、NJ)、pp. 255-268(2003)を参照されたい。
本発明はまた、抗体の発現に適した条件下で、上記のように、本発明の核酸又は本発明のベクターを含む宿主細胞を培養することと、任意的に、宿主細胞又は宿主細胞培養培地から抗体を回収することとを含む、本発明の抗体を作製するための方法にも関する。任意的に、回収された抗体をさらに精製又は単離することができる。適切な培地、培養条件及び作製方法は、当業者に周知であり、宿主細胞や作製する抗体に応じて容易に選択されることができる。
[医薬組成物]
本発明はさらに、本発明の抗体、核酸、ベクター又は宿主細胞を含む医薬組成物に関する。組成物は、1つ以上の本発明の抗体、1つ以上の本発明の核酸、及び/又は1つ以上の本発明のベクター、及び/又は1つ以上の本発明の宿主細胞を含むことができる。好ましくは、医薬組成物は、1つ以上の本発明の抗体を含む。
本発明はさらに、本発明の抗体、核酸、ベクター又は宿主細胞を含む医薬組成物に関する。組成物は、1つ以上の本発明の抗体、1つ以上の本発明の核酸、及び/又は1つ以上の本発明のベクター、及び/又は1つ以上の本発明の宿主細胞を含むことができる。好ましくは、医薬組成物は、1つ以上の本発明の抗体を含む。
本発明の抗体を含む医薬組成物は、薬学的に有用な組成物を調製するために既知の方法によって製剤化されることができ、所望の純度を有する抗体が、水溶液、凍結乾燥又は他の乾燥製剤の形態で、任意の生理的に許容される担体、賦形剤又は安定剤と混合される(Remington:The Science and Practice ofPharmacy 20th edition(2000))。
本明細書で使用されるとき、「医薬製剤」又は「医薬組成物」という用語は、活性成分の生物学的活性を有効にさせるような形態であり、且つ製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性である追加の成分を含有しない製剤に関する。好ましくは、そのような製剤は滅菌されており、すなわち、無菌性であるか、又はあらゆる生きた微生物及びそれらの胞子を含まないものである。
許容される担体、賦形剤又は安定剤は、使用される用量及び濃度でレシピエントに無毒であり、緩衝剤、安定化剤、保存剤、等張剤(isotonifier)、非イオン性洗浄剤、抗酸化剤及びその他の様々な添加剤を含むが、これらに限定されない。
緩衝剤は、生理的条件に近い範囲のpHを維持するために利用される。緩衝剤は、好ましくは、約1mM〜約50mMの範囲の濃度で存在する。本発明での使用に適する緩衝剤には、シトラート、スクシナート、タルトラート、フマラート、グルコナート、オキサラート、ラクタート及びアセタート緩衝剤などの有機酸及び無機酸、及びそれらの塩、並びにリン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、並びにトリスなどのトリメチルアミン塩を含むが、これらに限定されない。
保存剤は、微生物増殖を遅らせるために添加され得、0.2%〜1%(w/v)の範囲の量で添加することができる。本発明での使用に適する保存剤は、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メタ−クレゾール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムハライド(例えば、クロライド、ブロマイド、ヨーデイド);ヘキサメトニウム又はベンゼトニウムクロライド;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;及び3−ペンタノールを含むが、これらに限定されない。
等張剤は、本発明の液体組成物の等張性を確実にするために添加することがされ得、多価糖アルコール、好ましくはグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールなどの3価以上の糖アルコールを含む。
安定化剤は、増量剤から添加剤(治療剤を可溶化する、又は変性若しくは容器壁への付着の防止に利用される)までの機能の範囲であり得る広いカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤は、(上記に列挙された)多価糖アルコール;アルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなどのアミノ酸;イノシトールなどのシクリトールを含む、ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロールなどの有機糖又は糖アルコール;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、アルファ‐モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;低分子量ポリペプチド(すなわち<10残基);ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;キシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなど単糖類;ラクトース、マルトース、スクロースなどの二糖類、及びラフィノースなどの三糖類;デキストランなどの多糖類であり得る。安定剤は、治療剤の重量部当たり0.1〜10,000重量の範囲で存在してもよい。
非イオン性界面活性剤又は洗浄剤(「湿潤剤」としても知られている)が、治療薬の可溶化に利用され、また治療用タンパク質を撹拌による凝集から保護するために、添加されることができる。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート(20、80など)、ポロクサマー(184、188など)、PLURONICS、ポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80など)を含むが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、好ましくは約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在し得る。
さらなる種々の賦形剤は、増量剤(例えばデンプン)、キレート剤(例えばEDTA)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び共溶媒が含まれるが、これらに限定されない。
活性成分は、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)、又はマクロエマルジョンにおいて、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセルなどのコアセルベーション技術によって、又はポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルなどの界面重合法によって、調製されたマイクロカプセルに封入することもできる。そうした技術は、Remington:The Science and Practice ofPharmacy、20th edition(2000)にて公開されている。
医薬組成物の形態、投与経路、投与量及び投与計画は、処置される症状、疾患の重症度、患者の年齢、体重及び性別などに応じたものである。
投与に使用される用量は、様々なパラメーターに応じて、特に使用される投与モード、関連する病状、又は代替的に所望される治療期間に応じて、適合させることができる。
本発明の医薬組成物は、局所、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下又は眼内投与などのために製剤化することができる。
好ましくは、医薬製剤は注射可能な製剤である。医薬製剤は、特に、等張性で無菌の生理食塩水(リン酸一ナトリウム若しくはリン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム若しくは塩化マグネシウムなど、又はそうした塩の混合物)、或いは乾燥の、特に凍結乾燥された組成物であってもよく、これは、場合によって滅菌水又は生理食塩水の添加により注射液の調製が可能になるものである。
滅菌注射液は、上記列挙された種々の他の成分とともに、必要量の活性化合物を適切な溶媒に取り込み、必要ならば、その後に濾過滅菌することによって、調製することができる。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過したその溶液から、有効成分と任意の追加の所望の成分との粉末を生成する真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
静脈内又は筋肉内注射などの非経口投与用に製剤化された組成物に加えて、他の薬学的に許容される形態には、例えば、経口投与用の錠剤又は他の固体剤;タイムリリースカプセル剤;及び現在使用されている任意の他の形態が含まれる。
本発明の医薬組成物は、1つ以上の本発明の抗体を含み得る。
医薬組成物は、1つ以上の追加の活性化合物をさらに含み得る。追加の活性化合物の例には、化学療法薬剤、抗生剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤又は抗ウイルス剤が含まれるが、これらに限定されない。
化学療法薬剤の例は、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、トラスツズマブ、GnRH類似体、ゲムシタビン、ドセタキセル、パクリタキセル、マイトマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、シクロホスファミド、エピルビシン、フルオロウラシル、メトトレキセート、ミトザントロン(mitozantrone)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ブレオマイシン、エストラムスチンホスフェート又はエトポシドホスフェートを含むが、これらに限定されない。
抗生剤の例としては、アモキシシリン、クラリスロマイシン、セフロキシム、セファレキシンシプロフロキサシン、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、テルビナフィン、レボフロキサシン、ニトロフラントイン、テトラサイクリン及びアジスロマイシンを含むが、これらに限定されない。
抗真菌剤の例としては、クロトリマゾール、ブテナフィン、ブトコナゾール、シクロピロクス、クリオキノール、クリオキノール、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナフチフィン、ナイスタチン、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、及びトルナフテートを含むが、これらに限定されない。
抗ウイルス剤の例としては、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビル及びロピナビルを含むが、これらに限定されない。
特定の障害又は症状の処置に有効である本発明の抗体の量は、障害又は症状の特性次第であり、標準的な臨床技術によって決定することができる。
好ましい実施形態では、各用量は、体重キログラム当たり約0.1mg〜約25mgの範囲の抗体、又はより好ましくは体重キログラム当たり約1mg〜約10mgの範囲であり得る。
投与のための投薬スケジュールは、疾患のタイプ、疾患の重症度、及び治療剤に対する対象の感受性を含む多くの臨床的因子に応じて、月1回から毎日まで変化し得る。
[治療及び診断への利用]
本発明は、過剰増殖性疾患又は感染性疾患の予防又は処置に使用するための、本発明の抗体又は本発明の医薬組成物にさらに関する。
本発明は、過剰増殖性疾患又は感染性疾患の予防又は処置に使用するための、本発明の抗体又は本発明の医薬組成物にさらに関する。
本発明は、疾患の処置のための薬剤としての、本発明の抗体又は本発明の医薬組成物の使用に関する。本発明はまた、薬剤の製造又は調製のための本発明の抗体の使用にも関する。
特に、本発明は、有効量の本発明の抗体又は組成物を過剰増殖性疾患に罹患している対象に投与することを含む、対象における過剰増殖性疾患を処置する方法に関する。
本明細書で用いられるとき、「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
有効量は、治療有効量又は予防有効量であり得る。「治療有効量」は、必要な用量及び期間で、所望の治療又は予防結果を得るために、有効な量を指す。本発明の抗体又は組成物の治療有効量は、個体において所望の反応を導くために、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重、並びに抗体又は組成物の能力などの因子に応じて変化し得る。治療有効量は、抗体又は組成物の治療上有益な効果がその任意の毒性又は有害な効果を上回る量を包含する。「予防有効量」は、必要な用量及び期間で、所望の予防結果を得るために、有効な量を指す。典型的には、ただし必ずしもそうではないが、予防用量は、疾患に先立って又は疾患の初期において対象に使用されるので、予防有効量は治療有効量よりも少ないものである。
「過剰増殖性疾患」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を指す。一実施形態では、過剰増殖性疾患はがんである。
「がん」という用語は、調節されていない細胞成長・増殖を通常特徴とする哺乳動物の生理的状態を指すか、又は表すものである。がんの例としては、がん腫、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫及び白血病を含むが、これらに限定されない。そうしたがんのより具体的な例には、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、胃腸がん、膵臓がん、神経膠腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、ヘパトーマ、骨肉腫、悪性黒色腫、乳がん、結腸がん、大腸がん、子宮内膜がん又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝がん、白血病及び他のリンパ増殖性障害、並びに種々のタイプの頭頸部がんを含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、がんは、膀胱腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、唾液腺の腺様嚢胞がん、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、膵管腺がん、有毛細胞白血病、転移性前立腺がん、悪性黒色腫、大腸がんから選択される。
本発明はまた、有効量の抗体又は組成物を対象に投与することを含む、感染性疾患に罹患した対象を処置する方法にも関する。
対象は、例えば、ウイルス、細菌、真菌又は寄生虫であり得る病原体によって引き起こされ得る。
本明細書で提供される方法で処置することができる感染性細菌の例には、任意のタイプのグラム陽性細菌(例えば、レンサ球菌、ブドウ球菌、コリネバクテリウム、リステリア、バチルス及びクロストリジウムなど)又はグラム陰性細菌(サルモネラ、赤痢菌、腸内細菌、シュードモナス、モラクセラ、ヘリコバクター、ステノトロホモナス、デロビブリオ、酢酸菌、アルファプロテオバクテリア、大腸菌、淋菌、髄膜炎菌、モラクセラ・カタラーリス、ヘモフィルス・インフルエンザエ、クレブシエラ・ニューモニエ、レジオネラ・ニューモフィラ、緑膿菌、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター・クロアカエ、セラチア・マルセセンスなど)を含むが、これらに限定されない。例の感染性細菌には、ヘリコバクター・ピロリ、ボレリア・ブルグドルフェリ、レジオネラ・ニューモフィラ、マイコバクテリウム(例えば結核菌、M.アビウム、M.イントラセルラーレ、M.カンサシ、M.ゴルドナエなど)、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎菌、リステリア・モノサイトゲネス、化膿レンサ球菌(A群レンサ球菌)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群レンサ球菌)、レンサ球菌(ビリダンス群)、ストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・ボビス、レンサ球菌(嫌気菌種)、肺炎レンサ球菌、病原性カンピロバクター、エンテロコッカス、ヘモフィルス・インフルエンザエ、炭疽菌、ジフテリア菌、コリネバクテリウム、ブタ丹毒菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、エンテロバクター・アエロゲネス、クレブシエラ・ニューモニエ、パスツレラ・マルトシダ、バクテロイデス、フソバクテリウム・ヌクレアタム、ストレプトバチルス・モニリホルム、トレポネーマ・パリダム、トレポネーマ・ペルテニュ、レプトスピラ、アクチノマイセス・イスラエリーを含むが、これらに限定されない。
本明細書で提供される方法で処置することができる感染性真菌の例には、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、コクシジオイデス・イミチス、ブラストマイセス・デルマチチジス、クラミジア・トラコマチス及びカンジダ・アルビカンスが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で提供される方法で処置することができる感染性寄生虫の例には、熱帯熱マラリア原虫及びトキソプラズマ原虫が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で提供される方法で処置することができるウイルスの例には、レトロウイルス科(例えば、HIV(HIV1及びHIV2など)、MLV、SIV、FIV、ヒトT細胞白血病ウイルス1及び2、XMRV、及びコルチウイルス(CTFV又はバンナウイルスなど));トガウイルス科(例えばアルファウイルス(ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、オニョンニョンウイルス、チクングニアウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス)又は風疹ウイルス;フラビウイルス科(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス(例えば、西ナイルウイルス又は日本脳炎ウイルス)、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、SARSウイルス又はトロウイルスなどのコロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、レスピラトリーシンシチアルウイルス、センダイウイルス、及びメタニューモウイルス);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(例えば、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス(ラクロスウイルスなど)、フレボウイルス及びナイロウイルス);ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1及びHSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、HHV-8、HHV-6、HHV-7並びに仮性狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(エボラウイルス及びマールブルグウイルスを含むフィロウイルス);並びにポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス(例えば、天然痘、サル痘、及び伝染性軟属腫ウイルスなど)、ヤタボックスウイルス(タナ痘及びヤナ痘など))であるウイルスファミリーのメンバーなどのエンベロープウイルスが含まれるが、これらに限定されない。カリシウイルス科(胃腸炎を引き起こす株など);アレナウイルス科(LCMV、ラッサ、フニン、マチュポ及びグアナリトウイルスなどの出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルス及びロタウイルス);ビルナウイルス科;パルボウイルス科(ヒトボカウイルス、アデノ随伴ウイルスなどのパルボウイルス);パピローマウイルス科(パピローマウイルスなど);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(アデノウイルス);ピコルナウイルス科(エンテロウイルス、腸管系ウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、へパトウイルス、カルジオウイルス、アフトウイルス、エコーウイルス、A型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、及びライノウイルス);並びにイリドウイルス科(例えば、アフリカブタ熱ウイルス)であるファミリーのメンバーなどのノンエンベロープウイルスもまた、本明細書で提供される方法で処置することができる。本明細書で提供される方法を使用して処置することができる他のウイルスには、未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、デルタ肝炎の病原因子(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライトと考えられる)、非A型、非B型肝炎の病原因子(クラス1=内部感染、クラス2=非経口感染(例えば、C型肝炎));カリシウイルス(ノロウイルス、ノーウォーク及び関連ウイルスなど);ヘペウイルス(例えば、E型肝炎、JC及びBKウイルスなど)並びにアストロウイルスが含まれる。
本発明の方法において、本発明の抗体は、予防又は処置される疾患に応じて選択され得る他の有効成分と併用して使用することができる。他の有効成分の例には、化学療法薬剤、抗生剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤又は抗真菌剤が含まれるが、これらに限定されない。上記のそうした併用療法には、併用投与(2つ以上の治療剤が同じ又は個別の製剤に含まれる)、及び個別投与が包含され、その場合、本発明の抗体の投与は追加の治療剤及び/又はアジュバントの投与の前に、同時に、及び/又は後に、投与することができる。本発明の抗体は、放射線治療と併用して使用することもできる。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内及び鼻腔内投与を含み、局所処置が所望されるなら病巣内投与を含む、任意の適切な手段によって投与されることができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与が含まれる。投薬は、任意の適切な経路、例えば、投与が短期であるか又は長期であるかに部分的に応じて、静脈内又は皮下注射などの注射によって、行われることができる。単回投与又は種々の時点での複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールが、本明細書において考慮される。
本発明は、さらに、疾患の診断又は検出の方法における使用のための、本発明の抗体又は本発明の医薬組成物に関する。本発明はまた、生物学的サンプルにおけるTyro3の存在を検出する方法にも関する。
本発明の抗Tyro3抗体のいずれも、生物学的サンプルにおけるTyro3の存在を検出するために有用であり得る。本明細書で使用される「検出する」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。特定の実施形態では、生物学的サンプルには、尿路上皮、乳房、膵臓、食道、肺又は脳などの細胞又は組織を含む。
本方法は、Tyro3がサンプル内に存在する場合、Tyro3への抗体の結合を許容する条件下で、生物学的サンプルを本発明の抗体と接触させることと、抗体とTyro3との間で複合体が形成されるかどうかを検出することを含み得る。そのような方法は、インビトロ又はインビボの方法であり得る。
本発明の抗体を用いて診断され得る例となる障害は、がん(例えば、乳がん、肺がん、膵臓がん、脳がん、腎臓がん、卵巣がん、胃がん、白血病、子宮内膜がん、結腸がん、前立腺がん、甲状腺がん、肝臓がん、骨肉腫及び/又は悪性黒色腫)を含む。
本発明の抗体はまた、例えば、Tyro3が患者の選択のためのバイオマーカーであるなど、抗Tyro3抗体での治療に適する対象を選択するために用いられる。
本発明はまた、抗Tyro3抗体での治療のために、疾患、特にがんに罹患した対象を選択する方法、或いは疾患、特にがんに罹患した対象が、抗Tyro3抗体での治療から効果を得やすいかを判定する方法にも関する。
一部の実施形態では、治療又は診断方法に使用される本発明の抗体は、標識されてもよい。標識には、直接的に検出される標識又は部分(蛍光、発色団、電子密度、化学発光及び放射性標識など)、並びに、例えば酵素反応又は分子相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドなどの部分が含まれるが、これらに限定されない。
以下の実施例は、例示を目的として提供され、限定するものとしてではない。
<実施例1 ファージディスプレイによる完全ヒト抗Tyro3scFvの作製‐scFvのIgGへの変換>
抗Tyro3抗体、すなわち抗Tyro3scFvは、対応する抗Tyro3免疫グロブリン(IgG)の変換により、ヒトTyro3タンパク質(配列番号1)に相当するタンパク質の細胞外ドメインを特異的に認識するように選択された。これらの抗Tyro3scFvは、それぞれヒトAXL(配列番号6)及びヒトMERタンパク質(配列番号7)であるTAM受容体ファミリーの他のメンバーを認識しないように選択された。
抗Tyro3抗体、すなわち抗Tyro3scFvは、対応する抗Tyro3免疫グロブリン(IgG)の変換により、ヒトTyro3タンパク質(配列番号1)に相当するタンパク質の細胞外ドメインを特異的に認識するように選択された。これらの抗Tyro3scFvは、それぞれヒトAXL(配列番号6)及びヒトMERタンパク質(配列番号7)であるTAM受容体ファミリーの他のメンバーを認識しないように選択された。
<<抗Tyro3scFvのスクリーニング>>
ScFvクローンは、Rapid Liquid Screening(RLS)を用いて、
‐ 非ビオチン化hTyro3(組換えヒトDtk-Fcキメラ、R&D Systems、Minneapolis、MN、カタログ番号859-DK)でヒトFc(R&D Biotechより)と融合したヒトTyro3(hTyro3)タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)(配列番号1の41位から428位)、
‐ 細菌発現全hTyro3ECD(配列番号1の41位から430位;AxioMx、カタログ番号pAX1635)、又は
‐ ヒトとマウスとのTyro3ECDの間の100%相同領域からの、潜在的なグリコシル化部位を含まない、細菌発現ペプチド(アミノ酸配列DWVPFQTKGLAPASAPQNLHAIRTDSGLIL(配列番号192)を有する)。このペプチドは、Tyro3配列のドメインFNIII1の末端における、配列番号1の310位から340位の配列に相当する、
に特異的なscFvを提示するファージをスクリーニングすることによって、作製と選択とを行った。
ScFvクローンは、Rapid Liquid Screening(RLS)を用いて、
‐ 非ビオチン化hTyro3(組換えヒトDtk-Fcキメラ、R&D Systems、Minneapolis、MN、カタログ番号859-DK)でヒトFc(R&D Biotechより)と融合したヒトTyro3(hTyro3)タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)(配列番号1の41位から428位)、
‐ 細菌発現全hTyro3ECD(配列番号1の41位から430位;AxioMx、カタログ番号pAX1635)、又は
‐ ヒトとマウスとのTyro3ECDの間の100%相同領域からの、潜在的なグリコシル化部位を含まない、細菌発現ペプチド(アミノ酸配列DWVPFQTKGLAPASAPQNLHAIRTDSGLIL(配列番号192)を有する)。このペプチドは、Tyro3配列のドメインFNIII1の末端における、配列番号1の310位から340位の配列に相当する、
に特異的なscFvを提示するファージをスクリーニングすることによって、作製と選択とを行った。
細菌発現タンパク質は、クローニングし、発現させ、精製され、3つのタンパク質全てをビオチン化マルトース結合タンパク質(MBP)融合物として合成した。
単一コロニーをスクリーニングし、陽性クローンを同定し、抗体クローンを配列決定し、固有の配列を同定した。次いで、陽性固有バインダーを、R&DSystemsのマウスTyro3ECD−ヒトFc(759−DT−100)への結合について試験した。
<<scFv精製及び特異性試験>>
タンパク質産生のために、主要なscFvをタンパク質産生ベクター(AxioMx;カタログ番号pAPIII6)にクローニングし、正常にクローニングされたscFvを導入してNEB Turboコンピテント大腸菌(New England Biolabs [NEB]、Ipswich、MA、カタログ番号C2984H)の形質転換をおこなった。抗体を大腸菌で発現させ、HisPurコバルト樹脂(Thermo Scientific、カタログ番号89965)を用いてアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
タンパク質産生のために、主要なscFvをタンパク質産生ベクター(AxioMx;カタログ番号pAPIII6)にクローニングし、正常にクローニングされたscFvを導入してNEB Turboコンピテント大腸菌(New England Biolabs [NEB]、Ipswich、MA、カタログ番号C2984H)の形質転換をおこなった。抗体を大腸菌で発現させ、HisPurコバルト樹脂(Thermo Scientific、カタログ番号89965)を用いてアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
ELISAを行って、hTyro3、mTyro3、hAXL(R&D Systems、カタログ番号154-AL-100)及びhMER(R&D Systems、カタログ番号891-MR-100)であるECD−Fc融合物に結合する精製タンパク質の能力を評価した。OriGene(OriGene Technologies、Rockville、MD;カタログ番号TP308260)の全長(FL)hTyro3への結合も評価した。
見込まれる基準を有するscFvが同定されると、scFvを全IgG1/ラムダIgGとしてIgG変換し、IgG産生が行われた。
<<scFvのIgG変換>>
選択されたScFvヌクレオチド配列の翻訳から、それぞれ軽鎖及び重鎖の可変領域のアミノ酸配列を推定した。選択された抗Tyro3scFvの軽鎖及び重鎖の可変領域のアミノ酸配列を以下に示す。これらのアミノ酸配列は、IgG変換後の対応するIgG分子の可変領域を構成する。
選択されたScFvヌクレオチド配列の翻訳から、それぞれ軽鎖及び重鎖の可変領域のアミノ酸配列を推定した。選択された抗Tyro3scFvの軽鎖及び重鎖の可変領域のアミノ酸配列を以下に示す。これらのアミノ酸配列は、IgG変換後の対応するIgG分子の可変領域を構成する。
表13は、選択されたscFvの重鎖及び軽鎖の可変ドメインのアミノ酸配列を示す。
scFvの重鎖を、EcoRI及びNheIクローニング部位を用いて、pAX1566(Invivogen、pFUSE2ss-CHIg-hG1)にクローニングし、scFvの軽鎖を、EcoRI及びAvrIIクローニング部位を用いて、pAX1642(Invivogen、pFUSE2ss-CLIg-Hl2)にクローニングした。配列確認したクローンをNEB5アルファ細胞に形質転換し、Qiafilter Maxiprepキット(Qiagen、12263)を用いてトランスフェクショングレードのDNAを調製した。哺乳動物における発現のために、FreeStyleMax試薬(Life Technologies、16447-100)を製造者の指示に従って使用して、FreeStyleCHO細胞(Life Technologies、R800-07)を重鎖及び軽鎖構築物と同時トランスフェクトした。細胞上清を、トランスフェクション後6日目に遠心分離することによって採取し、プロテインAセファロースカラム(Life Technologies、101042)に負荷した。プロテインA樹脂を10カラム容量のPBS−T(PBS/0.1%Tween-20)で2回洗浄し、pH3.5の3カラム容量のグリシンで溶出した。pHをpH9.0の1Mトリスで中和した。IgGをAmiconUltra−4遠心フィルター(Millipore、UFC801024)でPBSにバッファー交換した。IgGをSDS−PAGE及びクーマシーブルー染色によって解析し、IgG濃度をクーマシープラスアッセイ(Thermo Scientific、1856210)によって測定した。内毒素レベルをLAL発色アッセイ(Thermo Scientific、88282)によって測定した。
<実施例2 本発明の抗Tyro3IgGの各鎖におけるCDR領域の規定>
抗Tyro3抗体の相補性決定領域は、一方ではIMGTデータベースのヒトVquest解析ツール(http://www.imgt.org/)に、他方では抗体エンジニアリングラボマニュアルの抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析(Ed.: Duebel、S.及びKontermann、R.、Springer-Verlag、Heidelberg)に記載されているABYSISデータベース(http://www.bioinf.org.uk/abs/)の要求ツールに、抗Tyro3IgGの軽鎖配列及び重鎖配列を提出することで規定された。本発明の各抗Tyro3抗体についてのIMGT及びABYSISによるCDRの境界の結果を、以下に示すように、表1〜表12に要約しているる。
抗Tyro3抗体の相補性決定領域は、一方ではIMGTデータベースのヒトVquest解析ツール(http://www.imgt.org/)に、他方では抗体エンジニアリングラボマニュアルの抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析(Ed.: Duebel、S.及びKontermann、R.、Springer-Verlag、Heidelberg)に記載されているABYSISデータベース(http://www.bioinf.org.uk/abs/)の要求ツールに、抗Tyro3IgGの軽鎖配列及び重鎖配列を提出することで規定された。本発明の各抗Tyro3抗体についてのIMGT及びABYSISによるCDRの境界の結果を、以下に示すように、表1〜表12に要約しているる。
表14は、選択された抗Tyro3抗体のCDR配列を示す表の一覧である。
<実施例3 his−strepタグのついた組換えTyro3細胞外ドメイン(ECD)、及びそのフラグメントの作製>
本明細書に記載される異なる結合アッセイ実験のために、ヒト、カニクイザル及びマウス種からの全Tyro3ECDに相当するタンパク質配列を、UniProt Knowledgebase(UniProtKB)データベースによって提供される情報に基づいて規定した。ヒトTyro3タンパク質の完全な細胞外ドメイン(又はECD)の対応するタンパク質配列は、配列番号1のアミノ酸41〜429に相当する。マウスTyro3では、ECDは、配列番号8のアミノ酸21〜505に対応する。カニクイザルでは、ECDの配列は配列番号9に記載されている。
本明細書に記載される異なる結合アッセイ実験のために、ヒト、カニクイザル及びマウス種からの全Tyro3ECDに相当するタンパク質配列を、UniProt Knowledgebase(UniProtKB)データベースによって提供される情報に基づいて規定した。ヒトTyro3タンパク質の完全な細胞外ドメイン(又はECD)の対応するタンパク質配列は、配列番号1のアミノ酸41〜429に相当する。マウスTyro3では、ECDは、配列番号8のアミノ酸21〜505に対応する。カニクイザルでは、ECDの配列は配列番号9に記載されている。
hTyro3ECDの種々のフラグメントも作製された(図1)。これらのフラグメントは、Ig−1ドメイン、Ig−1及びIg−2ドメイン、Ig−1、Ig−2及びFNIII−1ドメイン、Ig−2及びFNIII−1ドメイン、又はFNIII−1及びFNIII−2ドメインを含んだものであった。Ig−1ドメイン、Ig−1及びIg−2ドメイン、Ig−2及びFNIII−1ドメイン、並びにFNIII−1及びFNIII−2ドメインに相当するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号2、3、4、及び5に記載される。
これらの種々のタンパク質に対応するDNA配列を、ヒトでの発現のためにコドン最適化し、遺伝子合成し、構築し、pCDNA3.3I−neo(Life Technologies)にクローニングした。すべてのこれらの構築物について、共通のシグナル配列(METDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号193))を組換えタンパク質の分泌に使用した。ニトリロ三酢酸(NTA)/Ni2+表面、又はStrepmab immoplate(IBALifesciences)上へのタンパク質の検出(抗ヒスチジン又は抗strepタグ抗体によって)、アフィニティー精製又は選択的な固定化を容易にするために、トロンビン開裂部位と、続くストレプトアビジンタグに結合したオクタ−ヒスチジン(8×His)タグとからなるC末端タグ(LVPRGSSAHHHHHHHHSAWSHPQFEK(配列番号194)を付加した。
ヒト及びカニクイザルTyro3タンパク質をHEK293Freestyle細胞に一過的にトランスフェクトし、精製した。他の構築物は、哺乳動物HEK293Freestyle細胞(Life technologies)の、自社内で最適化された一過性トランスフェクション方法を用いて、分泌タンパク質として正常に発現された。短時間で、各構築物をコードするpcDNA3.3プラスミドを増幅し、内毒素非含有のミディプレップ(Macherey Nalgene)を調製した。これらのプラスミドを用いて、293Freestyle細胞(Life technologies)のエレクトロポレーションを行った。次いで、32℃でエレクトロポレーションの24時間後に添加した酪酸ナトリウム1mMの存在下、8%CO2の振とうされるインキュベーターにおいて、34℃で7日間にわたってタンパク質を産生した。発現したタンパク質を、8000rpmで10分間遠心分離によって細胞から分離し、上清を精製前に0.22μmで濾過した。哺乳動物細胞で発現された、8×Hisタグのついた組換えTyro3タンパク質を、Ni-NTAアガロース(高度に架橋した6%アガロースマトリックス内の、四座キレート配位子であるニトリロ三酢酸(NTA))を用いて、天然条件下で精製した。樹脂に結合したタンパク質は、イミダゾールとの競合によって溶出される。次に、タンパク質をさらに精製し、分取用HiLoad26/56Superdex200ゲル濾過カラム(GE healthcare)上のPBS1Xバッファー内でバッファー交換した。タンパク質を、−80℃で保存する前に0.22μmで濾過した。タンパク質の濃度は、紫外可視分光法を用いて測定した。
すべての精製されたTyro3構築物の純度、質量、及び完全性を、SDS PAGE電気泳動、続いてクーマシーブルー染色、そしてHRPコンジュゲートストレプトタクチン(IBA life sciences)を用いた免疫ブロット解析によって確認した。解析する構築物のサイズに応じて150Å又は300Åの孔サイズを有するBioSEC−3(7.8×300)HPLCゲル濾過カラムでタンパク質を解析した。
<実施例4 hTyro3−ECDに対するscFv/IgGのELISA結合アッセイ>
ヒトTyro3ECDタンパク質に結合する各抗Tyro3scFv及び各対応する変換IgGの能力を確認し比較するために、ELISA結合アッセイを行った(図2)。
ヒトTyro3ECDタンパク質に結合する各抗Tyro3scFv及び各対応する変換IgGの能力を確認し比較するために、ELISA結合アッセイを行った(図2)。
ヒトTyro3ECDタンパク質を産生し、実施例3に記載のようにゲル濾過で精製した。このタンパク質は、見かけの分子量約88Kda(グリコシル化追加質量なし)の二量体糖タンパク質として産生された。
ダブルサンドイッチELISAを行った。このアッセイは、抗strepmAb(IBA biotechのStrepMAB-Immoコートしたマイクロプレート)でプレコートしたELISAプレート上に直接捕捉した、固定化strepタグ付き全ヒトTyro3ECDにおいて試験される抗Tyro3抗体の結合の測定に基づく。短時間で、StrepMAB−Immoコートしたマイクロプレートの96ウェルを300μLのPBSTween0.2%(ELISA洗浄溶液と言及される)で3回洗浄した。過剰な精製strepタグ付きhTyro3ECDタンパク質を、室温で1時間のインキュベーションによって捕捉した。これらの実験では、PBS、BSA1%(ELISA希釈溶液と言及される)で希釈した3μg精製タンパク質をウェル毎に固定化した。ウェルを300μLの洗浄溶液で3回洗浄した。ウェル表面上の非特異的結合部位を、200μL/ウェルのブロッキング溶液(PBS、BSA3%)を用いて室温で60分間ブロッキングした。ウェルを300μLの洗浄溶液で5回洗浄した。次に、ELISA希釈溶液に希釈した、試験される異なる濃度の抗Tyro3抗体100μl(デュプリケートで)をウェル毎に加え、室温で1時間インキュベートした。無関係のコントロールIgG2656もこの実験に加えた。ScFv形式の抗Tyro3抗体については、デュプリケートの6つの濃度で実験を行った(図3A)。IgG形式の抗Tyro3抗体については、デュプリケートの9つの濃度で実験を行った(図3B)。最初の希釈のScFv開始濃度は10μg/mL(又は2718については30μg/mL)であり、次いでELISA希釈溶液で3倍の希釈を行った。IgG実験では、最初の希釈の開始濃度は3μg/mlであり、次いでELISA希釈溶液で3倍の希釈を行った。ウェルを300μLの洗浄溶液で5回洗浄した。次に、評価される抗Tyro3抗体の特性に応じて(表15の1列目参照)、捕捉されたTyro3構築物へのその結合が、ELISA希釈溶液で希釈した提示の希釈(表15の4列目)における表15(3列目)に記載の対応するHRPコンジュゲート2次抗体100μl/ウェルを添加することによって明らかにされた。この混合物を室温で60分インキュベートさせた。ウェルを300μLの洗浄溶液で5回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ活性を、100μl/ウェルの即時使用可能なTMB溶液で示し、撹拌下且つ光なしで、室温において5〜30分間インキュベートした。Labsystems iEMS MF装置を用いて、450nm及び540nmでの光学濃度を読み取った。
表15は、ELISA結合アッセイ条件を示す。
<実施例5 バイオレイヤー干渉法(biolayerinterferometry、BLI)を用いた抗Tyro3IgGの親和性測定>
ヒトTyro3の、組換え8his−strepタグ付き細胞外ドメイン(ECD)(配列番号1の位置40〜429)20mgをHiloadSuperdexS200 26/60でゲル濾過した。試験される抗ヒトTyro3IgGもゲル濾過によって精製した。
ヒトTyro3の、組換え8his−strepタグ付き細胞外ドメイン(ECD)(配列番号1の位置40〜429)20mgをHiloadSuperdexS200 26/60でゲル濾過した。試験される抗ヒトTyro3IgGもゲル濾過によって精製した。
親和性の測定は、抗ヒトカイネティクス(anti-HumanKinetics、AHC)使い捨て光ファイバーバイオセンサーチップを備えたOctetK2機器(Pall/ForteBio)でバイオレイヤー干渉法を用いて行った。すべての実験は、推奨されるFortebioランニングバッファー(0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)及び0.02%(v/v)Tween_20を含むPBS)内で30℃にて行われた。このバッファーは、リガンド(ここでは抗体)及び解析物(ここではヒトTyro3タンパク質の細胞外ドメイン)の希釈にも使用した。96ウェルマイクロプレート(No.黒ポリプロピレン低結合プレート、Greiner Bio-One、Frickenhausen、Germany)内の試料を1000rpmで撹拌した。AHCバイオセンサー(PallCollaboration; ref:18-5060)を用いて、チップを5.625μg/mL(37.5nM)の異なる抗hTYRO3に10分間浸し、これにより0.3nmの捕捉レベルが典型として得られた。カイネティクス定数は、6つの濃度(37.5又は62.5(実験に応じて)、並びに125、250、500、1000及び2500nM)に希釈したヒトTyro3の細胞外ドメインを添加することによって、精製した抗体のそれぞれについて(分子量150kDa)測定された。測定の間に、pH1.5の10mMグリシンにおいて5秒の3サイクル、次いでPBSにおいて5秒曝露することによって、抗ヒトTyro3バイオセンサー表面を再生した。会合相を300秒間測定し、解離相を解離ステップに応じて300秒間、相互作用に応じて測定した。すべての測定は、二重参照減算を用いて、すなわち、ヒトTyro3タンパク質の細胞外ドメインの各濃度に曝露されたリガンドなしのコントロールセンサーと、ランニングバッファーのみを存在させたリガンドを含む参照ウェルとを減算することで、ベースラインドリフトについて補正された。ForteBioデータ解析ソフトウエア9.0上で、各抗体の親和性、会合速度定数(kon)及び解離速度定数(koff)を、1:1相互作用モデル(大域的あてはめ、センサーによってリンクされたRmax)を適用して算出した。通常は異種結合によって生じたものである、ソフトウェアで確実にあてはめができなかった曲線(主にfull R2<0.925)は、その後の解析から除外された。結果を図10及び図11に示す。
<実施例6 特異性ELISA>
R&D SystemsのhTyro3(859-DK-100)、hAx1(154-AL-100)又はhMer(891-MR-100)の細胞外ドメインをPBS内において96ウェルマイクロタイタープレート(1μg/ウェル)にコートし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄し、PBS/3%BSA内において室温で1時間ブロッキングした。プレートを上述のように洗浄し、scFvを1μg/mL(PBSで希釈)で添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBST(PBS/0.01%Tween-20)で3回洗浄し、2次抗体抗FLAG−HRP(Abcam、ab49763、ブロッキングバッファーで1/5000希釈)を室温で1時間添加した。プレートを上述のようにPBSTで洗浄し、シグナルをUltra−TMB試薬(Thermo Scientific、34028)で発色させた。
R&D SystemsのhTyro3(859-DK-100)、hAx1(154-AL-100)又はhMer(891-MR-100)の細胞外ドメインをPBS内において96ウェルマイクロタイタープレート(1μg/ウェル)にコートし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄し、PBS/3%BSA内において室温で1時間ブロッキングした。プレートを上述のように洗浄し、scFvを1μg/mL(PBSで希釈)で添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBST(PBS/0.01%Tween-20)で3回洗浄し、2次抗体抗FLAG−HRP(Abcam、ab49763、ブロッキングバッファーで1/5000希釈)を室温で1時間添加した。プレートを上述のようにPBSTで洗浄し、シグナルをUltra−TMB試薬(Thermo Scientific、34028)で発色させた。
図4に提示される結果は、選択された抗Tyro3scFvがhAx1又はhMerと交差反応しないことを示す。
<実施例7:GAS6競合アッセイ>
マイクロタイタープレートを、PBS内で100μl/ウェルの2.5μg/mLヒト組換え全長Tyro3タンパク質(OriGene#TP308260)でコートし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄し、PBS/3%BSA内において室温で1時間ブロックした。プレートを上述のように洗浄し、抗体(抗Tyro3scFv又はMAB859)、ビオチン化GAS6又は抗体/GAS6混合物を室温で1時間適用した。プレートをPBST(PBS/0.01%Tween-20)で3回洗浄し、ブロッキングバッファーで希釈した2次抗体を室温で1時間添加した。全長Tyro3に対するGAS6結合を0.4μg/mLのストレプトアビジン−HRP(Abcam、ab7403)で検出し、ScFv結合を抗−His−HRP抗体(Sigma-Aldrich、A7058、1/5000希釈)で検出し、MAB859結合を抗マウス−HRP(Abcam、ab6728、1/10000希釈)で検出した。プレートをPBSTでリンスし、シグナルをUltra−TMB試薬(Thermo Scientific、34028)で発色させた。
マイクロタイタープレートを、PBS内で100μl/ウェルの2.5μg/mLヒト組換え全長Tyro3タンパク質(OriGene#TP308260)でコートし、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄し、PBS/3%BSA内において室温で1時間ブロックした。プレートを上述のように洗浄し、抗体(抗Tyro3scFv又はMAB859)、ビオチン化GAS6又は抗体/GAS6混合物を室温で1時間適用した。プレートをPBST(PBS/0.01%Tween-20)で3回洗浄し、ブロッキングバッファーで希釈した2次抗体を室温で1時間添加した。全長Tyro3に対するGAS6結合を0.4μg/mLのストレプトアビジン−HRP(Abcam、ab7403)で検出し、ScFv結合を抗−His−HRP抗体(Sigma-Aldrich、A7058、1/5000希釈)で検出し、MAB859結合を抗マウス−HRP(Abcam、ab6728、1/10000希釈)で検出した。プレートをPBSTでリンスし、シグナルをUltra−TMB試薬(Thermo Scientific、34028)で発色させた。
GAS6の非存在下及び存在下におけるこれらの競合アッセイの結果は、図5A及び図5Bにそれぞれ示される。
<実施例8:カニクイザル及びマウスTyro3ECDに対する抗Tyro3scFv及びIgGの交差反応>
このアッセイの目的は、マウス及びカニクイザルTyro3タンパク質に対する抗Tyro3scFv及びIgGの交差反応性を評価することであった。このアッセイは、実施例4に記載されて図2に示されるようにダブルサンドイッチELISAにおいて、実施例3に記載されるように調製されたカニクイザル又はマウスTyro3ECDにおける抗Tyro3抗体の結合を測定することに基づく。
このアッセイの目的は、マウス及びカニクイザルTyro3タンパク質に対する抗Tyro3scFv及びIgGの交差反応性を評価することであった。このアッセイは、実施例4に記載されて図2に示されるようにダブルサンドイッチELISAにおいて、実施例3に記載されるように調製されたカニクイザル又はマウスTyro3ECDにおける抗Tyro3抗体の結合を測定することに基づく。
これらの実験では、5μg/mLの最終希釈での(PBS、BSA1%希釈溶液で希釈)カニクイザル及びマウスのTyro3strepタグ付きECDタンパク質100μLを各ウェルに添加した(ウェルあたり約500ngのTyro3タンパク質である)。
1次抗体及び2次抗体、並びにそれらの使用条件を表16に記載する。
表16は、カニクイザル及びマウスTyro3ECDに対する抗Tyro3scFv及びIgGの交差反応性を測定するために用いた抗体を示す。
scFv形式及びIgG形式における抗Tyro3のカニクイザルTyro3ECDに対する交差反応性は、それぞれ図6A及び図6Bに示される。
scFv形式における抗Tyro3のマウスTyro3ECDに対する交差反応性は、図7に示される。
<実施例9:抗Tyro3scFvのエピトープマッピング>
このアッセイの目的は、Ig様(Ig1又はIg2)又はフィブロネクチン(FnIII1又は2)ドメインのなかでヒトTyro3ECDのサブドメインに対する本発明の各抗Tyro3の結合領域を規定することであった。
このアッセイの目的は、Ig様(Ig1又はIg2)又はフィブロネクチン(FnIII1又は2)ドメインのなかでヒトTyro3ECDのサブドメインに対する本発明の各抗Tyro3の結合領域を規定することであった。
このアッセイは、ヒトTyro3ECDの種々のフラグメントに対する抗Tyro3scFvの結合を測定することに基づく。実施例4に記載の二重サンドイッチELISAを用い、約500ng/ウェルの(PBS、BSA1%で希釈した5μg/mL希釈で100μL/ウェル)、実施例3の記載において作製したTyro3フラグメントを固定化した。
1次抗体及び2次抗体、並びにそれらの使用条件を表17に記載する。
表17は、抗Tyro3scFvのエピトープマッピングに用いた抗体を示す。
(図8に示されるように)Tyro3の種々のドメインにおける結合結果において、抗Tyro3抗体の3つのサブクラス、
Ig1及びIg2に対するバインダー(2411、2412、2413、2415、2711及び2713)、
Ig1に結合し、Ig2に結合しないバインダー(2410、2414、2709、2710及び2717)(2717の場合は特別であり、2717のエピトープはIg1-Ig2フラグメントにアクセスできない(Ig1に結合し、Ig1-Ig2フラグメントについては全く結合しない)が、これは、例えば完全Tyro3ECDにおいて他のドメインが存在する場合には該当しない。)、及び
最後に、FNIII1ドメインに対するバインダー(2718ScFv)、が同定された。
Ig1及びIg2に対するバインダー(2411、2412、2413、2415、2711及び2713)、
Ig1に結合し、Ig2に結合しないバインダー(2410、2414、2709、2710及び2717)(2717の場合は特別であり、2717のエピトープはIg1-Ig2フラグメントにアクセスできない(Ig1に結合し、Ig1-Ig2フラグメントについては全く結合しない)が、これは、例えば完全Tyro3ECDにおいて他のドメインが存在する場合には該当しない。)、及び
最後に、FNIII1ドメインに対するバインダー(2718ScFv)、が同定された。
<実施例10:生細胞における抗Tyro3IgGの結合>
Tyro3を過剰発現する細胞に結合する抗Tyro3IgGを評価するために、組換えヒトTyro3を発現するようにトランスフェクトされたHEK293細胞と、内因性Tyro3を発現する非トランスフェクトHEK293細胞とを使用した。
Tyro3を過剰発現する細胞に結合する抗Tyro3IgGを評価するために、組換えヒトTyro3を発現するようにトランスフェクトされたHEK293細胞と、内因性Tyro3を発現する非トランスフェクトHEK293細胞とを使用した。
Tyro3の過剰発現は、PBS内において4℃で30分間、ライブデッドNIR色素(Life Technologies、#L10119)、及び1μgのTyro3特異的MAB859モノクローナル抗体(R&D Systems)又はそのアイソタイプコントロール(MAB002、R&D systems)に5E5細胞を暴露してコントロールした。細胞をPBSで洗浄し、1:100PEコンジュゲートヤギ抗マウスIgAb(BD Pharmingen)とともに、100μLのPBS内において4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、少なくとも10,000個の生細胞のPE蛍光をARIAIIIフローサイトメーター(Beckton Dickinson)にて直ちに記録した(図9の上部パネル)。
非トランスフェクト細胞よりもTyro3トランスフェクト細胞にさらに結合するという個々のIgGの能力を測定するために、5E5非トランスフェクト細胞及びTyro3トランスフェクト細胞を、PBS内において4℃で30分間、ライブデッドNIR色素(Life Technologies、#L10119)と1μgの各IgXに曝露した。細胞をPBSで洗浄し、20μLのPEコンジュゲートマウス抗ヒトラムダ軽鎖Ab(BD Pharmingen)とともに、100μLのPBS内において4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、少なくとも10,000個の生細胞のPE蛍光をARIAIIIフローサイトメーター(Beckton Dickinson)にて直ちに記録した(図9の中央と下部のパネル)。過剰発現されたTyro3に結合するIgGの能力を、非トランスフェクト細胞及びTyro3トランスフェクト細胞のPE発現プロファイルを示すオーバーレイヒストグラムを用いて判定した。オーバレイヒストグラムプロットは、Kaluzaソフトウェア(Beckman Coulter)を用いて得られ、HEK細胞において特徴的なサイズ及び粒度分布を有する細胞に限定され、そのうち死細胞は除外された(図示せず)。
Claims (15)
- ヒトTyro3受容体の免疫グロブリン様ドメインIg−1に結合し、ヒトAxl受容体及びヒトMer受容体には結合せず、ヒトTyro3受容体へのヒトGas6の結合を低減又は阻害する、単離ヒト抗体又は単離ヒト化抗体。
- 前記抗体は、配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1を含み、及び/又は配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1を含む、請求項1に記載の抗体。
- 前記抗体は、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2にさらに結合する、請求項1又は2に記載の抗体。
- 前記抗体は、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号88、102、116、130、144、又は158の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号89、103、117、131、145、又は159の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。 - 前記抗体は、ヒトTyro3の免疫グロブリン様ドメインIg−2に結合しない、請求項1又は2に記載の抗体。
- 前記抗体は、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L1と、配列番号10、32、46、60又は74の軽鎖可変領域のCDR−L2及びCDR−L3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−L2及びCDR−L3とを含む軽鎖、並びに
配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H1と、配列番号11、33、47、61又は75の重鎖可変領域のCDR−H2及びCDR−H3からなる、又は実質的にそれからなるCDR−H2及びCDR−H3とを含む重鎖を含む、請求項1、2及び5のいずれか1項に記載の抗体。 - 前記抗体は、
配列番号10の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号11の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号32の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号33の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号46の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号47の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号60の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号61の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号74の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号75の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号88の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号89の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号102の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号103の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号116の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号117の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号130の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号131の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号144の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号145の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、又は
配列番号158の軽鎖可変領域のCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3を含む軽鎖、並びに配列番号159の重鎖可変領域のCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3からなる、若しくは実質的にそれからなるCDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含む重鎖、を含む、請求項1又は2に記載の抗体。 - 前記抗体は、好ましくは、Tyro3細胞外ドメインとのTyro3リガンドの結合を低減若しくは阻止し、及び/又はTyro3媒介シグナル伝達を低減若しくは阻止し、及び/又はTyro3リン酸化を低減若しくは阻止し、及び/又はTyro3二量体化を低減若しくは阻止する、Tyro3受容体の阻害剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体。
- 前記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体、好ましくはIgG1抗体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体。
- (a) 請求項1〜9のいずれかに記載の抗体をコードする核酸配列、及び
(b) (a)の前記配列のいずれかに相補的な核酸、
からなる群から選択される単離核酸分子。 - 請求項10に記載の核酸を含むベクター。
- 請求項10に記載の核酸又は請求項11に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の抗体を作製するための方法であって、前記抗体の発現に適した条件下で請求項12に記載の細胞を培養するステップと、任意的に前記抗体を回収するステップと、を含む方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗体、請求項10に記載の核酸分子、請求項11に記載のベクター、又は請求項12に記載の細胞と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物。
- 過剰増殖性疾患又は感染性疾患の診断、予防又は処置に用いるための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗体、又は請求項14に記載の医薬組成物。
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