JP2018205278A - 振動試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】供試体Sの保持される振動台(例えばテーブル2)を直交3軸方向の並進運動および当該各軸周りの回動の6自由度で加振できるよう、複数(例えば8台)の加振機5を備えた振動試験装置1において、Z軸加振機5による垂直方向への加振に伴い発生する共振による振動台の撓みを抑制し、振動試験の精度を向上させる。【解決手段】例えば4台のZ軸加振機5をそれぞれの加振点Vzが四角形の頂点をなすように配置する。それら4つの加振点が同一平面P上に位置するように4台のZ軸加振機5を作動させて、振動台を加振する制御装置(コントローラ10)を備える。【選択図】図7
Description
本発明は、振動台上に保持した供試体を水平2軸および垂直1軸の直交3軸方向の並進運動、並びに当該各軸周りの回転運動(回動)の6自由度で加振して、その振動特性などを試験できるようにした6自由度の振動試験装置に関する。
従来より、例えば自動車用のシート等の振動試験を行うために、それらの供試体を振動台上に保持して加振するようにした6自由度の振動試験装置が知られている。この種の振動試験装置を用いれば、実際の使用状態を模擬するように供試体を振動させながら、その性能や安全性などに関する試験を行うことができる。例えば特許文献1に記載の振動試験装置は、それぞれ振動台を加振する6台の加振機を備えている。
詳しくは、前記振動台のX軸方向一側には1台の水平X軸加振機が配設され、振動台をX軸方向に並進させるようになっている。また、Y軸方向一側には2台の水平Y軸加振機が横並びに配設され、振動台をY軸方向に並進させるとともに、Z軸周りに回動させるようになっている。さらに、振動台の下方には3台の垂直Z軸加振機が配設され、Z軸方向に並進させるとともに、X,Yの各軸周りに回動させるようになっている。
ところで、前記従来例(特許文献1)の振動試験装置では、振動台の下方において3台の垂直Z軸加振機を、それぞれの加振点が直角三角形の頂点をなすように配置している。こうすると、3つの加振点によって幾何学的に平面が決まることから、振動台をガタなく支持して加振することができる一方で、その加振に伴い振動台に変形、撓みが生じることは阻止し得ない。
すなわち、振動試験装置の振動台は通常、厚い金属板などによって頑丈に製造されているものの、その寸法形状に応じた共振モードを有しており、一例として図6には誇張して示すように、例えば1次の共振モードとして矩形状の振動台(図6の例ではテーブル2)の対角線の方向(図中、手前から奥への対角線の方向)に撓みを生じることになる。このように低次の共振によって生じる撓みは比較的振幅の大きなものとなるので、供試体の正確な加振を妨げるおそれがある。
本発明はこのような実情を考慮してなされたものであり、垂直方向への加振に伴い発生する共振による振動台の撓みを抑制し、振動試験の精度を向上させることを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、まず、供試体が保持される振動台を直交3軸(水平X,Y軸および垂直Z軸)方向の並進運動および当該各軸周りの回転運動(回動)の6自由度で加振できるように、複数の加振機を備えた振動試験装置を対象としている。
そのために振動試験装置は、振動台の水平X軸方向一側に配置され、水平X軸方向に加振する少なくとも1台のX軸加振機と、振動台の水平Y軸方向一側に配置され、水平Y軸方向に加振する少なくとも2台のY軸加振機と、を備えている。なお、X軸およびY軸は水平面において互いに直交していればよく、その方向については特に限定されないので、少なくとも2台のX軸加振機と少なくとも1台のY軸加振機とを備えていてもよい。
また、振動試験装置は、振動台の垂直Z軸方向一側において4つの加振点が四角形の頂点をなすように配置され、垂直Z軸方向に加振する少なくとも4台のZ軸加振機をさらに備えている。そして、前記振動台に制御振動を加えるためにX軸加振機、Y軸加振機およびZ軸加振機を作動させるときに、当該Z軸加振機についてはそれらの加振点が同一平面上に位置するように制御する制御装置を備えている。
このように構成された振動試験装置では、制御装置によってX軸加振機、Y軸加振機およびZ軸加振機を作動させ、X軸、Y軸およびZ軸の直交3軸方向、並びにこれら各軸周りの3方向の計6自由度で振動台を加振することができるので、この振動台に保持された供試体を、実際の使用状態を模擬するように振動させて、その性能や安全性など種々の特性に関する試験を行うことができる。
そうして振動台を加振すると、これに伴い振動台に共振が発生し、比較的大きな振幅の撓みが生じるおそれがあるが、前記の構成では振動台を支持する少なくとも4台のZ軸加振機の加振点が、四角形の頂点をなすように配置され、加振時においても同一平面上に位置するように制御される。すなわち、3つの加振点によって決まる平面上に、他の少なくとも1つの加振点が位置するようになり、これにより振動台の撓みが抑制される。
上述したように振動台が矩形状をなす場合は、その対角線の方向に1次の共振モードによる比較的振幅の大きな撓みを生じることになるので、これを抑制するために、振動台の2つの対角線上に2つずつZ軸加振機の加振点を配置することが好ましい。こうすれば、1次の共振モードによって振動台の対角線の方向に生じる比較的振幅の大きな撓みを効果的に抑制できる。
なお、その場合に4つの加振機の加振点を振動台の四隅に対応づけて配置してもよい。すなわち、矩形状の振動台の中央部分(例えば対角線の交点)と4つの隅部との中間に、その中央部分から同じ距離になるように加振点を配置してもよい。さらに、5台のZ軸加振機を用いる場合には、4つの加振点の中央に加振点を追加すればよく、6台のZ軸加振機を用いる場合には、隣り合う2つの加振点のうち、間隔の大きなものの中央に加振点を追加すればよい。こうすれば、振動台の撓みを抑制する効果がより高くなる。
そのように4つの加振点が同一平面上に位置するように4台の加振機を制御するために、前記制御装置は、剛体とみなした振動台の6自由度の振動状態を表す目標波形に基づいて、X軸加振機、Y軸加振機およびZ軸加振機を作動させればよい。そのためには前記制御装置に、Z軸加振機を作動させる制御波形を、それぞれの加振点の座標から幾何学的に定まる変換行列を用いて、前記目標波形から生成する制御波形生成部を備えることが好ましい。
すなわち、振動台を剛体とみなせばその6自由度の運動、即ちX,Y,Zの各軸方向の並進およびそれら各軸周りの回動によって、振動台の振動状態を記述することができる。よって、それら6自由度の振動状態を表す目標波形に基づいて、4台のZ軸加振機の4つの加振点に与えるべき制御波形を、それぞれの加振点の座標から定まる変換行列を用いて生成することができる。そして、この制御波形によって4台のZ軸加振機を制御すれば、4つの加振点は同一平面上に位置するようになる。
ところで、前記振動台の6自由度の目標波形については、供試体に相当する物品の実際の使用状態を再現するものであることが望ましく、そのためには使用状態を模擬する実験を行うことが好ましい。すなわち、例えば自動車用のシートであれば、これを実際に自動車に装着して走行しながら、その複数カ所に配置した振動センサ(例えば加速度センサ)によって、実際に生じている振動波形(加速度波形)を計測する。
こうして計測したデータ、即ち振動波形から物品の6自由度の振動状態を表す目標波形を生成する場合、この物品を剛体とみなせば、複数の計測点の座標から幾何学的に定まる行列式を用いて、各計測点の振動波形を目標波形に変換することができる。この行列式は、前記したように剛体とみなした物品の6自由度の運動を、その各点の運動に変換する変換行列の逆行列となる。
但し、実際の物品は正確には剛体ではなく、その材質や形状などによって異なるものの、実際の使用状態では外力を受けて複雑に弾性変形する。このため、物品の複数の計測点でそれぞれ計測した振動波形には、剛体としての6自由度の振動に重畳して、物品の弾性変形によって各計測点に生じる局所的な振動も含まれるようになる。つまり、各計測点の振動波形には、弾性変形による局所的な振動の分、剛体としての6自由度の振動からのずれが生じることになる。
この点を考慮すると好ましいのは、できるだけ多くの点で振動状態を計測し、そのデータ(振動波形)から局所的な振動の影響を取り除いて、物品の6自由度の振動状態を表す目標波形を生成することである。すなわち、前記の制御装置においては、物品の少なくとも7点で計測した振動波形を、当該各点の座標から定まるムーア・ペンローズの一般逆行列を用いて前記目標波形に変換する、目標波形生成部を備えることが好ましい。
詳しくは、まず、少なくとも7点で計測した振動波形にはそれぞれ、上述したように物品の弾性変形による局所的な振動の影響が含まれているので、この物品を剛体とみなした変換行列の逆行列でもって目標波形に変換することはできない。6自由度の振動状態を表す6つの振動波形に対して、計測点の振動波形との関係を表す式が7つ以上、存在することになるので、唯一解を与える正則行列が存在しないからである。
このような場合にムーア・ペンローズの一般逆行列を用いれば、最小二乗解、即ち7つ以上の振動波形からのずれの合計が最小となるような6つの振動波形(6自由度の目標波形)が得られる。このことは、前記のように物品の実際の使用状態でその7点以上で計測したデータ、即ち振動波形から、局所的な振動による影響をできるだけ均等に取り除いて、当該物品の6自由度の振動状態を表す目標波形が生成されるということである。
よって、こうして生成された目標波形に基づいて加振機を制御し、振動台を加振すれば、これに保持されている供試体が全体としては剛体のように6自由度で振動しながら、それ自体の弾性変形による局所的な振動も発生するようになる。そして、供試体の各部において前記の剛体的な振動と弾性変形による局所的な振動が重畳することによって、実際の使用状態を再現し、振動試験の精度を向上できる。
さらに、そうして高精度の振動試験を行う上で好ましいのは、前記加振機を、静磁場を生成するための励磁コイルと、この励磁コイルにより生成された静磁場による磁気回路および磁気ギャップを形成するためのヨークと、その磁気ギャップ内に配置された振動発生用のドライブコイルとを備え、前記励磁コイルに供給される直流電流と、前記ドライブコイルに供給される所定周波数の交流電流とによって振動を発生するように構成することである。
以上の如く本発明によれば、複数の加振機によって6自由度の振動試験を行う振動試験装置において、振動台を支持する少なくとも4台のZ軸加振機の加振点を、四角形の頂点をなすように配置するとともに、加振時においても同一平面上に位置するようにそれらのZ軸加振機を制御することにより、共振による振動台の撓みを抑制して、振動試験の精度を向上させることができる。
また、供試体に相当する物品の実際の使用状態を模擬する実験によって、7つ以上の計測点における振動波形を取得し、ムーア・ペンローズの一般逆行列によって6自由度の目標波形に変換することにより、振動台を剛体とみなして好適に加振する目標波形が得られる。そして、この目標波形に基づいて加振機を制御することで、振動台に保持した供試体をその使用状態を模擬するように振動させることができる。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1〜3に示すように振動試験装置1は、例えば自動車用のシートなどの供試体Sが保持されるテーブル2(振動台)を備え、このテーブル2を8台の加振機5によって加振することにより、水平2軸(X,Y)および垂直1軸(Z)の直交3軸方向の並進運動、並びにそれら各軸(X,Y,Z)周りの回動の6自由度で振動させて、その特性を試験することができる。
−振動試験装置の全体構成−
各図に表れているように振動試験装置1には、加振機5のメンテナンス時などにテーブル2を支持するためのフレーム3が設けられている。また、水平2軸(X,Y)の4台の加振機5については、それらをテーブル2とほぼ同じ高さに設置するための加振機台4が設けられていて、その上部に加振機5の支持脚50が取り付けられている。また、図3にのみ示すが、テーブル2の上面とほぼ同じ高さに作業用のフロアFが設けられている。
各図に表れているように振動試験装置1には、加振機5のメンテナンス時などにテーブル2を支持するためのフレーム3が設けられている。また、水平2軸(X,Y)の4台の加振機5については、それらをテーブル2とほぼ同じ高さに設置するための加振機台4が設けられていて、その上部に加振機5の支持脚50が取り付けられている。また、図3にのみ示すが、テーブル2の上面とほぼ同じ高さに作業用のフロアFが設けられている。
なお、本実施形態では説明の便宜上、図1における左右方向(X軸方向)を前後方向と呼び、同図の右側を前側と呼ぶことがある。また、図2における上下方向(Y軸方向)を左右方向と呼び、同図の上側を左側と呼ぶこともある。そして、図1における上下方向が垂直方向(Z軸方向)であり、これは図2において紙面と直交する方向である。
本実施形態においてテーブル2は、例えばハニカム構造を有する金属性の厚板であって、図2のように上方から見ると矩形状をなし、その四辺がそれぞれX軸またはY軸の方向に延びている。そして、そのうちの一辺であるX軸方向の一側(図2の左側であって、前後方向の後側)に2台の加振機5(以下、X軸加振機5ともいう)が横並びに配設され、それぞれジョイント部6を介してテーブル2に連結されている。
これら2台のX軸加振機5を互いに同位相で作動させることにより、テーブル2を前進または後退させることが、即ちX軸方向に並進させることができる。また、2台のX軸加振機5を互いに逆位相で作動させれば、テーブル2をZ軸周りに回動させることができる。同様にテーブル2のY軸方向の一側(図2の上側であって、左右方向の左側)にも2台の加振機5(以下、Y軸加振機5ともいう)が横並びに配設されており、これにより、テーブル2をY軸方向に並進させたり、Z軸周りに回動させたりすることができる。
さらに、テーブル2の下方には前後左右に2台ずつ並んで、合計4台の加振機5(以下、Z軸加振機5ともいう)が配設されており、これによりテーブル2を垂直方向(Z軸方向)に並進させたり、X軸やY軸の周りに回動させたりすることができる。すなわち、4台のZ軸加振機5を全て同位相で作動させれば、テーブル2を垂直方向に並進させることができる。
一方、例えばX軸方向に並ぶ2台のZ軸加振機5を同位相で作動させるとともに、Y軸方向に並ぶ2台ずつについては逆位相で作動させることで、テーブル2をX軸周りに回動させることができる。同様に、Y軸方向に並ぶ2台のZ軸加振機5を同位相で作動させるとともに、X軸方向に並ぶ2台ずつについては逆位相で作動させることで、テーブル2をY軸周りに回動させることができる。
そのように8台の加振機5を作動させる制御は、図4に模式的に示すコントローラ10(制御装置)によって行われる。すなわち、詳しくは後述するが、コントローラ10によって8台の加振機5の作動を同期させ、X,Y,Zの各軸方向および各軸周りの振動を連成させることによって、テーブル2およびこれに保持された供試体Sに対し、6自由度の振動を加えることができる。
−加振機の概略構成−
図4には例えばX軸加振機5について一例を示すように、本実施形態において加振機5は動電型の振動発生機として構成されており、2つの励磁コイル51a,51b、ヨーク52およびドライブコイル53を備えている。ヨーク52は、強磁性体によって形成された第1〜第3の3つのヨーク部52a,52b,52cを一体的に組み合わせてなり、第1ヨーク部52aの外周面と第2ヨーク部52bの内周面との間に、磁気ギャップが形成されている。
図4には例えばX軸加振機5について一例を示すように、本実施形態において加振機5は動電型の振動発生機として構成されており、2つの励磁コイル51a,51b、ヨーク52およびドライブコイル53を備えている。ヨーク52は、強磁性体によって形成された第1〜第3の3つのヨーク部52a,52b,52cを一体的に組み合わせてなり、第1ヨーク部52aの外周面と第2ヨーク部52bの内周面との間に、磁気ギャップが形成されている。
そして、前記第2ヨーク部52bの内周面に、その中心軸(即ち加振軸L)の方向に離隔した状態で前記励磁コイル51a,51bが並んで取り付けられている。励磁コイル51a,51bは、第3ヨーク部52cと、第1ヨーク部52aの外鍔52dとによって位置決めされている。なお、前記3つのヨーク部52a,52b,52cの材料としては、高透磁率で高強度の磁性材料、例えばSS400等の低炭素鋼を用いることができる。
また、ドライブコイル53は、非磁性体からなる筒体54の基端側(図4の左側)の外周面に巻回されており、励磁コイル51a,51bとヨーク52との間の磁気ギャップ内に、それら励磁コイル51a,51bおよびヨーク52とは非接触の状態で挿入されている。なお、筒体54の材料としては、非磁性体の高強度の金属(例えばアルミニウム合金)や、合成樹脂(例えばカーボンファイバ)等を用いることができる。
それらのドライブコイル53および筒体54は、前後方向(X軸方向)にスライド可能に設けられている。すなわち、コントローラ10によって電力増幅器などを介して励磁コイル51a,51bに直流電流を供給することにより、励磁コイル51a,51bを取り巻くヨーク52内に磁気回路(静磁場)が生成される。ヨーク52には上述したような磁気ギャップが形成されており、ここにも静磁場が生成される。
そして、磁気ギャップ内に配置されたドライブコイル53に、コントローラ10によって所定周波数の交流電流を供給することで、この交流電流と静磁場との相互作用(ローレンツ力)により、ドライブコイル53が磁束の方向と直交する方向において、交互に向きの変化する力を受けるようになる。これによりドライブコイル53および筒体54は、交流電流の周波数に応じて前後方向に振動する。
こうして振動する筒体54の先端側(図4の右側)は、以下に説明するジョイント部6(連結部)を介してテーブル2に連結されている。また、筒体54の内部には、前記のようなドライブコイル53および筒体54の水平方向のスライドを案内する案内棒55および複数のガイドローラ56が設けられている。ガイドローラ56は、第1ヨーク部52aの内壁面に支持されている。
−加振機の作動によるテーブルの姿勢の変化−
このような構造のX軸加振機5がコントローラ10によって制御されて作動すると、ドライブコイル53および筒体54が一体となって前後方向(加振軸Lの方向であり、この場合はX軸方向)に往復動し、ジョイント部6を介してテーブル2をX軸方向に振動させるようになる。つまり、テーブル2およびその上に保持された供試体Sに対するX軸方向の水平加振が行われる。
このような構造のX軸加振機5がコントローラ10によって制御されて作動すると、ドライブコイル53および筒体54が一体となって前後方向(加振軸Lの方向であり、この場合はX軸方向)に往復動し、ジョイント部6を介してテーブル2をX軸方向に振動させるようになる。つまり、テーブル2およびその上に保持された供試体Sに対するX軸方向の水平加振が行われる。
また、図示はしないが同様にしてY軸加振機5やZ軸加振機5が作動することにより、テーブル2および供試体SをY軸方向(左右方向)やZ軸方向(垂直方向)に加振することができる。そして、それらX軸、Y軸、Z軸のそれぞれの軸方向の並進および各軸周りの振動を連成させることによって、テーブル2および供試体Sを6自由度で加振することができる。
そうして6自由度で加振するときには、テーブル2がX軸、Y軸およびZ軸の周りに回動して、水平面に対し傾斜するように姿勢が変化することがある。そこで、この姿勢変化を許容するために、8台の加振機5のそれぞれとテーブル2との間のジョイント部6は、加振軸Lの方向の力を伝達しながら、それ以外の方向の変位(例えば加振軸Lに直交する軸直方向のスライドや揺動など)を許容するようになっている。
具体的には前記図4に表れているように、ジョイント部6には、加振軸Lに直交するとともに、互いに直交する第1および第2のスライダ61,62と、ボールジョイント63とが介設されている。これらのスライダ61,62およびボールジョイント63は円錐台状のゴムブーツ60に収容され、その小径の端部が加振機5の筒体54に取り付けられている一方、大径の端部はテーブル2側のフランジ板64に取り付けられている。
このように2つのスライダ61,62およびボールジョイント63を組み合わせたジョイント部6においては、第1および第2のスライダ61,62において垂直方向(Z軸方向)および左右方向(Y軸方向)のスライドが許容され、ボールジョイント63において加振軸Lに対する揺動が許容される。これにより、図5に一例を示すようにテーブル2の姿勢変化が許容される。
すなわち、同図(a)に表れているようにテーブル2の前側(図の右側)が下がって、後側が上がるときには、X軸加振機5のジョイント部6において第1のスライダ61がスライドし、テーブル2の上方への変位を許容しながら、同時にボールジョイント63が下向きに揺動することによって、前記のようなテーブル2の傾き(姿勢の変化)が許容される。また、Z軸加振機5のジョイント部6においても第1のスライダ61がスライドするとともに、ボールジョイント63が前向きに揺動する。
一方、同図(b)に表れているようにテーブル2の後側(図の左側)が下がって、前側が上がるときには、X軸加振機5のジョイント部6において第1のスライダ61がスライドし、テーブル2の下方への変位を許容しながら、ボールジョイント63は上向きに揺動する。また、Z軸加振機5のジョイント部6においても第1のスライダ61がスライドするとともに、ボールジョイント63が後向きに揺動して、前記のようなテーブル2の傾き(姿勢の変化)が許容される。
−コントローラ−
そのように6自由度でテーブル2を加振するために振動試験装置1には、8台の加振機5(2台のX軸加振機5、2台のY軸加振機5および4台のZ軸加振機5)の作動を制御するコントローラ10が設けられている。このコントローラ10は一例として、CPU、ROM、RAMおよびバックアップRAMなどを備えた公知の電子制御ユニットからなり、電力増幅器なども内蔵している。
そのように6自由度でテーブル2を加振するために振動試験装置1には、8台の加振機5(2台のX軸加振機5、2台のY軸加振機5および4台のZ軸加振機5)の作動を制御するコントローラ10が設けられている。このコントローラ10は一例として、CPU、ROM、RAMおよびバックアップRAMなどを備えた公知の電子制御ユニットからなり、電力増幅器なども内蔵している。
コントローラ10のCPUは、ROMに記憶された種々の制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは例えば電源オフ時に保存すべきデータ等を記憶する。そして、コントローラ10が種々の制御プログラムを実行することにより、各種の演算処理が行われて以下のように加振機5が制御される。
例えばコントローラ10が2台のX軸加振機5を同位相で作動させ、テーブル2をX軸方向に並進させることで、このテーブル2上に保持された供試体Sに対するX軸方向の水平加振が行われる。同様に2台のY軸加振機5や4台のZ軸加振機5をそれぞれ同位相で作動させることで、テーブル2および供試体SをY軸方向(左右方向)やZ軸方向(垂直方向)に加振することができる。
また、いずれかの加振機5を逆位相で作動させることで、テーブル2および供試体SをX,Y,Zの各軸周りに回動するように加振することができる。例えばY軸方向に並ぶ2台のZ軸加振機5を同位相で作動させるとともに、X軸方向に並ぶ2台ずつについては逆位相で作動させることで、前記の図5に表れているようにテーブル2をY軸周りに回動するように加振することができる。
ここで、そうして6自由度でテーブル2を加振するためにその下方の4台のZ軸加振機5を作動させると、これに伴いテーブル2に撓みが生じるおそれがある。テーブル2は極めて剛性の高い金属性の厚板であり、X軸やY軸の方向については加振に伴う撓みは無視することができるが、Z軸方向については以下に説明するように膜振動の共振モードによって無視できない大きさの撓みが発生するのである。
すなわち、図6には一例としてFEMの解析結果を誇張して示すように、矩形状のテーブル2において、その撓みの振幅が最大になる1次の共振モードは、対角線の方向に生じる。図示の例ではテーブル2の四隅のうち、図において手前および奥の2つの隅部が仮想の平面Pよりも上方に跳ね上がるような状態を示しており、このような撓みの振幅が比較的大きなものとなることから、テーブル2に保持した供試体Sの正確な加振を妨げるおそれがあった。
これに対し本実施形態では、図1〜3に表れているように4台のZ軸加振機5をテーブル2の下方に前後左右に2台ずつ並べで配設しており、それらの加振点Vzはテーブル2の対角線上に配置され、四隅に対応するように位置している。そして、それら4台のZ軸加振機5を作動させてテーブル2を6自由度で加振するときにも、4つの加振点Vzが同一平面(前記の平面P)上に位置するように制御することによって、前記のような撓みを抑制することができる。
詳しくは図7に模式的に示すように、4つの加振点Vz(図7では位置によって区別して、Vzfr〜Vzrlと示す)が同一平面P上に位置するように、4台のZ軸加振機5を作動させる。こうすると、図6を参照して前述したように1次の共振によってテーブル2に大きな撓みが生じ、手前および奥の2つの隅部が平面Pから上方に跳ね上がろうとするときに、これを抑制するような力が4つの加振点Vzにおいて発生する。
すなわち、図8に誇張して示すように、この図において手前および奥に位置するテーブル2の2つの隅部が共振によって仮想の平面Pから上方に跳ね上がろうとするときには、これらの隅部に対応する加振点Vz(図7を参照)に下向きの力F1が加わるようになり、反対に仮想の平面Pから下方に沈み込もうとする同図の左側および右側の2つの隅部には、これに対応する加振点Vzに上向きの力F2が加わるようになって、テーブル2の撓みが抑制されるのである。
言い換えると、図8において例えば左右の2つの加振点Vz(図7を参照)と、奥の1つの加振点Vzとの計3点で決まる仮想の平面上に、図の手前の加振点Vzが位置するように、4台のZ軸加振機5が制御されることになる。これにより、テーブル2にはその四隅を同一平面P上に位置付けるような力が作用し、前記のような共振モードによる撓みを抑制することができるのである。
−加振制御波形の生成−
そうして4つの加振点Vzが同一平面P上に位置するように、4台のZ軸加振機5を同期して作動させるために、本実施形態においてコントローラ10は、テーブル2を剛体とみなして、その6自由度の振動状態を表す以下の目標波形(A6dof)、即ち例えば6つの加速度波形を算出する。そして、この目標波形に基づいてX軸加振機5、Y軸加振機5およびZ軸加振機5の制御を行う。
そうして4つの加振点Vzが同一平面P上に位置するように、4台のZ軸加振機5を同期して作動させるために、本実施形態においてコントローラ10は、テーブル2を剛体とみなして、その6自由度の振動状態を表す以下の目標波形(A6dof)、即ち例えば6つの加速度波形を算出する。そして、この目標波形に基づいてX軸加振機5、Y軸加振機5およびZ軸加振機5の制御を行う。
すなわち、コントローラ10は、8台の加振機5(2台のX軸加振機5、2台のY軸加振機5および4台のZ軸加振機5)のそれぞれに対して出力する制御波形(Aref)を、それら各加振機5の加振点Vzの座標から幾何学的に定まる変換行列[Tr]を用いて、前記の目標波形(A6dof)から生成する。言い換えるとコントローラ10は、そのような演算を行うプログラムの態様として制御波形生成部10aを備えている。
より具体的には、一例として図7に表れているように直交座標系の原点(0,0,0)をテーブル2の中心部、即ち、X軸、Y軸およびZ軸の全ての方向についての中央位置に設定する。こうすると、テーブル2の剛体変位の6自由度は、X,Y,Z,θx,θy,θzとなり、その6自由度の振動状態を表すテーブル2の目標波形(例えば加速度波形)は、(A6dof)=(ax,ay,az,aθx,aθy,aθz)と表される。
この直交座標系において4台のZ軸加振機5のそれぞれの加振点Vzを、テーブル2における前後左右の位置に応じてVzfr、Vzfl、Vzrr、Vzrlと表すと、例えば前方右側の加振点Vzfr(図7の右側の加振点)の座標は(d,d,−h/2)となる。なお、4台のZ軸加振機5は、それぞれの加振点Vzを原点(0,0,0)からX軸方向およびY軸方向に“d”だけ離して配置しており、テーブル2の厚みを“h”としている。
そして、その「前方右側の」Z軸加振機5の制御波形azfr、即ち「前方右側」の加振点Vzfrに加えるべきZ軸方向の加速度波形は、前記6自由度の目標波形(A6dof)におけるZ軸並進成分az、並びにX軸およびY軸周りの回動成分aθx,aθyを用いて幾何学的に、 azfr=az−d・θx+d・θy … 式(1) と表される。なお、説明の便宜上、回動角度θx,θyがいずれも小さいことから、dsinθ=d・θとしており、また、X軸加振機5やY軸加振機5の作動による影響は無視している。
同様にして「前方左側」「後方右側」「後方左側」のそれぞれの加振点Vzfl、Vzrr、Vzrlへの制御波形は、以下のように表される;
azfl = az+d・θx+d・θy … 式(2)
azrr = az−d・θx−d・θy … 式(3)
azrl = az+d・θx−d・θy … 式(4)。
azfl = az+d・θx+d・θy … 式(2)
azrr = az−d・θx−d・θy … 式(3)
azrl = az+d・θx−d・θy … 式(4)。
さらに、詳しい説明は省略するが、2台のX軸加振機5の2つの加振点Vx1,Vx2、および2台のY軸加振機5の2つの加振点Vy1,Vy2にそれぞれ加えるべき制御波形についても、前記と同様にして幾何学的に以下の式(5)〜(8)が得られる。
ax1 = ax+d・θz … 式(5)
ax2 = ax−d・θz … 式(6)
ay1 = ay+d・θz … 式(7)
ay2 = ay−d・θz … 式(8)。
ax2 = ax−d・θz … 式(6)
ay1 = ay+d・θz … 式(7)
ay2 = ay−d・θz … 式(8)。
そして、以上の式(1)〜(8)をまとめて、8台の加振機5のそれぞれを制御するための制御波形(Aref)=(ax1,ax2,ay1,ay2,azfr,azfl,azrr,azrl)を、前記の目標波形(A6dof)=(ax,ay,az,aθx,aθy,aθz)から求める8行6列の変換行列[Tr]が得られる。つまり、8つの加振点の座標から幾何学的に定まる変換行列[Tr]を用いて、6自由度の目標波形(A6dof)から各加振点の制御波形(Aref)が生成される。
こうして生成された制御波形(Aref)に相当する制御信号が、コントローラ10から8台の加振機5に出力され、その作動によってテーブル2が6自由度で加振される。このとき、4台のZ軸加振機5においては、4つの加振点Vzfr〜Vzrlが同一平面P上に位置するように制御されることになり、これにより、図8を参照して上述したようにテーブル2の共振モードによる撓みが抑制される。
−目標波形の生成−
次に、上述した目標波形(A6dof)の生成について説明する。本実施形態では、供試体Sとして例えば自動車用のシートを用いる場合について説明するので、以下ではこれをシートSと記載することもある。そして、前記目標波形(A6dof)は、シートSの実際の使用状態を模擬する実験を行って、計測された振動波形、例えば加速度波形(Amea)のデータから生成するようにしている。なお、振動波形は、変位または速度の波形であってもよい。
次に、上述した目標波形(A6dof)の生成について説明する。本実施形態では、供試体Sとして例えば自動車用のシートを用いる場合について説明するので、以下ではこれをシートSと記載することもある。そして、前記目標波形(A6dof)は、シートSの実際の使用状態を模擬する実験を行って、計測された振動波形、例えば加速度波形(Amea)のデータから生成するようにしている。なお、振動波形は、変位または速度の波形であってもよい。
具体的には、一例を図9に示すようにシートSの所定部位に加速度センサ11を配設し、このシートSを実際に自動車に装着して、走行中にシートクッションSCやシートバックSBにおいて発生する振動を計測する。図示の例ではシートクッションSCの前部の左右両側の2点、中央の1点、および後部の左右両側の2点の計5点と、シートバックSBの上部の左右両側の2点、および中間部の左右両側の2点の計4点と、の合計9点にそれぞれ加速度センサ11を配設している。
このように多くの点で計測する理由は、シートSが剛体ではなく、その構造や材質などによって異なるものの、自動車の走行中の振動によって複雑に弾性変形するからである。こうしてシートSの各部が複雑に弾性変形すると、例えばシートバックSBの上半部の共振によって、乗員に不快な振動を感じさせることがあり、或いはその下半部の共振によってきしみ音が発生することもある。
そこで、前記のように9点に配設した加速度センサ11によってそれぞれ計測した加速度波形a1〜a9を1組として、自動車の走行条件に対応付けてコントローラ10のRAMまたはバックアップRAMに記録する。そして、こうして得られたデータ、即ち加速度波形(Amea)=(a1,a2,…a9)からシートSの6自由度の振動状態を表す前記の目標波形(A6dof)を生成するのである。
その際、仮にシートSが剛体であるとすれば、その6自由度の目標波形(A6dof)を9つの計測点の加速度波形(Amea)に変換する9行6列の行列式[Tm]は、前述の如く目標波形(A6dof)を8つの加振点の制御波形(Aref)に変換する8行6列の行列式[Tr]と同様に、計測点の座標によって決まる。よって、その逆行列[Tm-1]を用いて前記加速度波形(Amea)を変換し、シートSの目標波形(A6dof)を求めることができる。
しかしながら、前記したようにシートSは剛体ではなく、外力を受けて複雑に弾性変形するので、9つ点でそれぞれ計測された加速度波形(a1,a2,…a9)には、シートS全体の剛体としての振動に重畳して、弾性変形によって各計測点に生じる局所的な振動も含まれるようになる。つまり、9つの計測点の加速度波形(Amea)には、弾性変形による局所的な振動の分、シート6全体の6自由度の振動からのずれが生じている。
この点を考慮して本実施形態では、前記の加速度波形(Amea)から局所的な振動の影響をできるだけ均等に取り除いて、目標波形(A6dof)を生成するようにしている。そのためには加速度波形(Amea)を、ムーア・ペンローズの一般逆行列[Tm+]によって目標波形(A6dof)に変換する。言い換えるとコントローラ10は、そのような演算を行うプログラムの態様として目標波形生成部10bを備えている。
詳しくは、まず、前記のように9点で計測した加速度波形(Amea)にはそれぞれ、上述したようにシートSの弾性変形による局所的な振動の影響が含まれているので、これを完全な剛体とみなして逆行列[Tm-1]によって目標波形(A6dof)に変換することはできない。6自由度の振動状態を表す加速度波形(Amea)に対して、9つの計測点の加速度波形(Amea)との関係を表す式が9つ存在することになり、唯一解を与える正則な逆行列が存在しないからである。
この場合には9つの計測点から任意の6つを選び、6つの関係式によって加速度波形を求める正則な逆行列を特定することが考えられる。しかしながら、このような逆行列によって生成した目標波形(A6dof)に基づいて実際にテーブル2を加振したところ、シートSの一部の計測点に生じる振動が計測データから乖離しており、実際の使用状態を模擬するように加振できていないことが分かった。
図10には、そのようにして生成された目標波形(A6dof)に基づいて振動試験を行い、テーブル2に保持されたシートSの所定部位において生じる振動を、実際の使用状態における振動と対比して示す。図示の4つのグラフはそれぞれ、シートSの9つの計測点のうちの4つにおいて前記振動試験による加速度波形と、上述したように実際の使用状態で計測した加速度波形とを対比したものである。
詳しくは図10の左上、左下、右下のグラフには、前記のように正則な逆行列を特定する際に選択した6つの計測点のうちの3点について示しており、これらの計測点においては、振動試験によって得られた加速度波形(一点鎖線のグラフ)が、実際の使用状態で計測されたもの(破線のグラフ)とよく一致している。つまり、振動試験によって実際の使用状態をよく再現できていることが分かる。
一方、図10の右上のグラフには、逆行列を特定する際に選択しなかった3つの計測点のうちの1点について示しており、この計測点においては、振動試験によって得られた加速度波形(一点鎖線のグラフ)が、実際の使用状態で計測されたもの(破線のグラフ)から大きく乖離している。つまり、この計測点では振動試験によって実際の使用状態を再現できていないことが分かる。
これに対して本実施形態では、前記のように9つの計測点の加速度波形(Amea)をムーア・ペンローズの一般逆行列[Tm+]によって目標波形(A6dof)に変換するようにしている。ムーア・ペンローズの一般逆行列[Tm+]は数学的には公知のものであり、詳しい説明は省略するが、これを用いれば、9つの計測点の加速度波形(Amea)からのずれの合計が最小となるような、即ち最小二乗解としての目標波形(A6dof)が得られる。
言い換えると、シートSの実際の使用状態において9つの計測点で計測した加速度波形(Amea)から局所的な振動による影響(ずれ)をできるだけ均等に取り除いて、当該シートSの6自由度の振動状態を表す目標波形(A6dof)を生成することができる。よって、この目標波形(A6dof)に基づいてZ軸加振機5を制御し、テーブル2を加振することで、シートSを実際の使用状態を模擬するように加振することができる。
このように生成した目標波形(A6dof)に基づいて、コントローラ10により4台のZ軸加振機5を制御し、テーブル2を垂直方向(Z軸方向)に加振すると、これに保持されているシートSは、全体としては剛体のように6自由度で振動しながら、その弾性変形による局所的な振動も発生し、それらが重畳することによって、シートSの実際の使用状態における各部の振動状態が再現される。
このように生成した目標波形(A6dof)に基づいてZ軸加振機5を制御したときに、シートSの所定部位に生じる加速度波形を前記図10の4つのグラフにそれぞれ実線で表している。この図の左上、左下、右下のグラフだけでなく、右上のグラフにおいても実線のグラフは破線のグラフとよく一致しており、実際の使用状態における振動をよく再現できていることが分かる。
以上、説明したように本実施形態の振動試験装置1によれば、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの加振機5の作動を同期させ、各軸方向および各軸周りの振動を連成させることによって、テーブル2および供試体(例えば自動車用のシートS)を6自由度で加振することができる。よって、そのシートSを実際の使用状態を模擬するように振動させながら、性能や安全性などに関する試験を行うことができる。
また、シートSなどの実際の使用状態を模擬する実験によって、その複数の計測点における振動波形(加速度波形:Amea)を取得し、これをムーア・ペンローズの一般逆行列[Tm+]によって変換することにより、局所的な振動の影響をできるだけ均等に取り除いて、テーブル2を好適に加振することのできる6自由度の目標波形(A6dof)が得られる。
そして、その目標波形(A6dof)に基づいて4台のZ軸加振機5を制御することにより、それらを同期して作動させ、4つの加振点Vzを加振時においても同一平面P上に位置するように制御することができ、これにより、共振によるテーブル2の撓みを抑制して、振動試験の精度を向上させることができる。
−他の実施形態−
上述した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記の実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上述した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記の実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
一例として前記の実施形態では、平面視で矩形状のテーブル2を下方から支持する4台のZ軸加振機5を前後左右に2台ずつ並べて、それらの加振点Vzをテーブル2の2つの対角線上に2つずつ配置しているが、これに限ることはない。例えば4台のZ軸加振機5の加振点Vzは四角形の頂点をなすように配置されていればよく、また、テーブル2は矩形状でなくてもよい。
また、前記の実施形態では、加振機5をテーブル2に連結するジョイント部6に、第1、第2のスライダ61,62およびボールジョイント63を介設することによって、テーブル2の姿勢の変化を許容しているが、これにも限定されず、例えばロッドの両端部にボールジョイントを配設し、その一方を加振機5に、他方をテーブル2に連結することによって、ジョイント部を構成してもよい。
さらに、前記の実施形態における加振機5の構成も一例にすぎず、他の構成の加振機を用いてもよい。例えば加振機5の励磁コイルの数を変更してもよい。励磁コイルの代わりに永久磁石を用いてもよい。ヨークの組み合わせを他の組み合わせに変更してもよい。また、サーボモータを利用した加振機として構成してもよい。
なお、加振機5の好ましい構成としては、静磁場を形成するための励磁コイルと、励磁コイルにより形成された静磁場による磁気回路および磁気ギャップを形成するためのヨークと、磁気ギャップ内に配置された振動発生用のドライブコイルとを備えた動電型の構成が挙げられる。
さらにまた前記の実施形態では、自動車用のシートSなどの物品の9点で計測した加速度波形(Amea)をムーア・ペンローズの一般逆行列[Tm+]によって、剛体と見なしたテーブル2の6自由度の目標波形(A6dof)に変換するようにしているが、これにも限定されず、例えば9点から任意の6つの計測点を選び、6つの関係式によって特定される正則な逆行列によって目標波形(A6dof)に変換するようにしてもよい。
また、前記の実施形態では、合計8台の加振機5を備えた振動試験装置1について説明したが、これにも限定されない。すなわち、例えばX軸加振機5またはY軸加振機5のいずれか一方を1台にしてもよいし、Z軸加振機5については5台以上に増やしてもよい。
本発明は、6自由度の振動試験装置に適用して、垂直方向への加振に伴い発生する共振による振動台の撓みを抑制し、振動試験の精度を向上させることができるものであり、有益である。
1 振動試験装置
2 テーブル(振動台)
5 加振機(X軸加振機、Y軸加振機、Z軸加振機)
51 励磁コイル
52 ヨーク
53 ドライブコイル
10 コントローラ(制御装置)
P Z軸加振機の加振点が位置する仮想の平面
S 供試体(一例として自動車用のシート)
Vz Z軸加振機の加振点
2 テーブル(振動台)
5 加振機(X軸加振機、Y軸加振機、Z軸加振機)
51 励磁コイル
52 ヨーク
53 ドライブコイル
10 コントローラ(制御装置)
P Z軸加振機の加振点が位置する仮想の平面
S 供試体(一例として自動車用のシート)
Vz Z軸加振機の加振点
Claims (5)
- 供試体が保持される振動台を直交3軸方向の並進運動および当該各軸周りの回転運動の6自由度で加振できるように、複数の加振機を備えた振動試験装置であって、
前記振動台の水平X軸方向一側に配置され、水平X軸方向に加振する少なくとも1台のX軸加振機と、
前記振動台の水平Y軸方向一側に配置され、水平Y軸方向に加振する少なくとも2台のY軸加振機と、
前記振動台の垂直Z軸方向一側において4つの加振点が四角形の頂点をなすように配置され、垂直Z軸方向に加振する少なくとも4台のZ軸加振機と、
前記振動台に制御振動を加えるために前記X軸加振機、Y軸加振機およびZ軸加振機を作動させるときに、当該Z軸加振機については、それらの加振点が同一平面上に位置するように制御する制御装置と、を備えることを特徴とする振動試験装置。 - 請求項1に記載の振動試験装置において、
前記振動台が平面視で矩形状をなし、その2つの対角線上に2つずつ、前記Z軸加振機の加振点が位置していることを特徴とする振動試験装置。 - 請求項1または2のいずれかに記載の振動試験装置において、
前記制御装置は、剛体とみなした前記振動台の6自由度の振動状態を表す目標波形に基づいて、前記X軸加振機、Y軸加振機およびZ軸加振機を作動させるものであって、前記Z軸加振機を作動させる制御波形を、それぞれの加振点の座標から定まる変換行列を用いて前記目標波形から生成する制御波形生成部を備えている、ことを特徴とする振動試験装置。 - 請求項3に記載の振動試験装置において、
前記目標波形は、供試体に相当する物品の実使用状態を模擬する実験によって生成されるものであり、
前記制御装置は、前記実験において物品の少なくとも7点で計測した振動波形を、当該各点の座標から定まるムーア・ペンローズの一般逆行列を用いて、前記目標波形に変換する目標波形生成部を備えている、ことを特徴とする振動試験装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の振動試験装置において、
前記加振機は、静磁場を生成するための励磁コイルと、この励磁コイルにより生成された静磁場による磁気回路および磁気ギャップを形成するためのヨークと、その磁気ギャップ内に配置された振動発生用のドライブコイルとを備え、前記励磁コイルに供給される直流電流と、前記ドライブコイルに供給される所定周波数の交流電流とによって振動を発生するように構成されていることを特徴とする振動試験装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN109682564A (zh) * | 2019-02-13 | 2019-04-26 | 安徽理工大学 | 六自由度混联式电磁振动试验台 |
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-
2017
- 2017-06-09 JP JP2017114379A patent/JP2018205278A/ja active Pending
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