JP2018203829A - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】強粘着性で、剥離の際に被着体の表面への粘着シートの残存が抑制された粘着シートの提供。【解決手段】シート状基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着シートで、粘着剤層は、ベースポリマー、ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー及び低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合してなり、(1)被着体貼付後24hrで測定した対SUS粘着力が10N/25mm以上で、(2)80℃、錘1kgの条件で測定した対SUS保持力の24hr後のズレが1mm以内で、(3)動的濡れ性測定方法で測定されるプローブタック値が、8.0N/5mmφ以上である、粘着シート。ベースポリマーが、アクリル系重合体であることが好ましい、粘着シート。低分子量オリゴマーが重量平均分子量(Mw)が500〜50000であることが好ましい、粘着シート。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着シートに関する。
近年、粘着シートは様々な用途に用いられている。粘着シートが貼着される被着体は一段と多様化しており、用途によって粘着時や粘着後に、様々な特性が要求される。
上述の粘着シートの用途としては、窓ガラスに貼付するPOPラベル、ウエットティッシュの取り出し口の蓋として用いられるフラップラベル、屋内外のサインラベル、バスの広告の加飾ラッピング等、様々な用途がある。これらの用途では、粘着シートは、ガラス、プラスチック、金属等の様々な材質の被着体に貼着される。
上述のような用途に用いられる粘着シートには、粘着時に強粘着性を示すことが要求され、また、剥離する際に、粘着シートの一部が被着体に残存しないことが要求される。すなわち、上述のような用途に用いられる粘着シートには、いわゆる強粘剥離性が要求される。
強粘剥離性を示す粘着シートとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び水酸基を有するアクリル系モノマー(a2)を共重合させて得られるアクリル系樹脂(A)及びイソシアネート系架橋剤(B)を含む粘着剤組成物を用いた再剥離型粘着シートが提案されている(特許文献1参照)。
2015−110685号公報
しかしながら、特許文献1の粘着シートは、特定の粘着組成物を不織布芯材に染み込ませて形成されており、ガラス、プラスチック、金属等の多様な被着体の表面の微細な凹凸形状に追従することができず、十分な強粘性が発揮できず、粘着剤組成物により形成されている粘着シートよりも強粘性に劣るという問題がある。
従って、粘着剤組成物により形成されており、強粘剥離性に優れた粘着シートの開発が望まれている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、強粘着性を示し、且つ、剥離の際に被着体の表面への粘着シートの残存が抑制されている、いわゆる強粘剥離性に優れた粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ベースポリマー、2個以上の二重結合を有する多官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなる粘着シートにおいて、(1)JIS Z0237に準拠して測定した対SUS粘着力、(2)JISZ0237に準拠して測定した対SUS保持力、及び(3)ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠した動的濡れ性測定方法により測定したプローブタック値が特定の範囲である構成とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の粘着シートに関する。
1.シート状基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着シートであって、
前記粘着剤層は、ベースポリマー、ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなり、
(1)JIS Z0237に準拠して、被着体貼付後24hrで測定した対SUS粘着力が10N/25mm以上であり、
(2)JISZ0237に準拠して、80℃、錘1kgの条件で測定した対SUS保持力の24hr後のズレが1mm以内であり、
(3)ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠した、以下の条件の動的濡れ性測定方法で測定されるプローブタック値が8.0N/5mmφ以上である、
ことを特徴とする粘着シート。
[動的濡れ性測定方法]
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)
測定条件:プローブ 5mmφ、ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面、ウェイト 19.6±0.2g(真鍮製)、プローブ移動速度 5.0cm/秒、ドエルタイム 1秒
2.前記ベースポリマーは、アクリル系重合体である、項1に記載の粘着シート。
3.前記ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーは、炭素間二重結合を2個以上有する多官能モノマーである、項1又は2に記載の粘着シート。
4.前記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーは、炭素間二重結合を1個有する単官能モノマーである、項1〜3のいずれかに記載の粘着シート。
5.前記低分子量オリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が500〜50000である、項1〜4のいずれかに記載の粘着シート。
6.前記低分子量オリゴマーは、ガラス転移点(Tg)が25℃以下である、項1〜5のいずれかに記載の粘着シート。
7.前記低分子量オリゴマーは、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリエーテル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜6のいずれかに記載の粘着シート。
本発明の粘着シートは、強粘着性を示し、且つ、剥離の際に被着体の表面への粘着シートの残存が抑制されており、優れた強粘剥離性を示すことができる。
本発明の粘着シートは、シート状基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着シートであって、上記粘着剤層は、ベースポリマー、ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなり、(1)JIS Z0237に準拠して、被着体貼付後24hrで測定した対SUS粘着力が10N/25mm以上であり、(2)JISZ0237に準拠して、80℃、錘1kgの条件で測定した対SUS保持力の24hr後のズレが1mm以内であり、(3)ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠した、以下の条件の動的濡れ性測定方法で測定されるプローブタック値が8.0N/5mmφ以上であることを特徴とする粘着シートである。
[動的濡れ性測定方法]
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)
測定条件:プローブ 5mmφ、ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面、ウェイト 19.6±0.2g(真鍮製)、プローブ移動速度 5.0cm/秒、ドエルタイム 1秒
本発明の粘着シートは、粘着剤層がラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなり、上記(1)及び(2)を満たすので、粘着シートの粘着剤層が凝集力に優れ、強粘着性を示すとともに、優れた剥離性を示すことができる。
また、本発明の粘着シートは、低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなり、上記(3)を満たすので、粘着シート表面が被着体表面への濡れ性に優れており、被着体の表面形状に高い追従性を示すので、高い粘着性を示すことができる。このため、本発明の粘着シートは、優れた強粘剥離性を示すことができる。
以下、本発明の粘着シートについて詳細に説明する。
本発明の粘着シートは、シート状基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着シートであって、上記粘着剤層は、ベースポリマー、ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなる。
(ベースポリマー)
ベースポリマーは、モノマーを重合してプレポリマーとすることにより調製されるものであれば特に限定されず、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を用いることができる。これらの中でも、強粘着性により一層優れる点で、アクリル樹脂を好適に用いることができる。ベースポリマーとして、アクリル樹脂と、その他の樹脂を混合して用いる場合、その他の樹脂の添加量は、粘着剤組成物の50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル系重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体が更に好ましい。中でも、強粘着性により一層優れる点で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸及び/又は極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体との共重合体であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜8がより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルが挙げられる。これらの中でも、強粘着性により一層優れる点で、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソオクチルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体の極性基としては、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、グリシジル基等が挙げられ、これらの中でも、ヒドロキシ基、アミド基が好ましい。
極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。
上記極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成する(メタ)アクリル酸誘導体として、上記極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体以外に、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、フェニル基、シクロヘキシル基等の環状構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体を用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の含有量は、20〜100質量%であることが好ましく、40〜99.5質量%であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体における極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体の単量体単位の含有量は0〜80質量%であることが好ましく、0.5〜60質量%であることがより好ましい。
ベースポリマーを重合させる重合方法としては、加熱により重合させる重合方法、活性エネルギー線を照射して重合させる重合方法等が挙げられる。
ベースポリマーを重合させるために、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、繰り返し単位を有しない重合開始剤を好適に用いることができる。このような重合開始剤としては、例えば、加熱により重合させる重合方法の場合は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤を挙げることができる。また、活性エネルギー線を照射して重合させる重合方法の場合は、重合開始剤としては、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾインエーテル系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、アミン系重合開始剤等が挙げられる。
上記アセトフェノン系重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。上記ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。上記チオキサントン系重合開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。上記アミン系重合開始剤としては、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
ベースポリマーを重合させるための重合開始剤の添加量は、所望の平均分子量にするために重合条件などと合わせて適宜調整するとよい。
本発明で用いる重合開始剤の分子量は、1000以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましい。重合開始剤の分子量の下限値については特に限定されず、100以上が好ましい。
ベースポリマーの重量平均分子量は10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、30万以上が更に好ましく、35万以上が特に好ましい。また、ベースポリマーが架橋性アクリル系重合体の場合、重量平均分子量は200万以下が好ましく、150万以下がより好ましく、100万以下が更に好ましく、75万以下が特に好ましい。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である
粘着剤組成物中のベースポリマーの含有量は、粘着剤組成物を100質量%として、15〜70質量%が好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
(ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー)
ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーは、粘着剤組成物において架橋剤として作用し、本発明の粘着シートの粘着剤層の凝集力を向上させ、強粘着性を付与する化合物である。上記ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーは、本発明の粘着シートに強粘剥離性を付与することができれば特に限定されず、本発明の粘着シートにより優れた動的濡れ性を付与し、強粘着性をより一層向上させることができる点で、炭素間二重結合を2個以上有する多官能モノマーが好ましい。
上記2個以上の炭素間二重結合を2個以上有する多官能モノマーとしては、例えば、2官能アクリレート、多官能アクリレートが挙げられる。
上記2官能アクリレートとしては、例えば、トリプロピレングリコールジアクリレート(商品名:M-220、東亞合成(株)製)、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:M-240、東亞合成(株)製)、1,6ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
上記多官能アクリレートとしては、例えば、トリメチルプロハントリアクリレート(商品名:M-309、東亞合成(株)製)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(商品名:M-321、東亞合成(株)製)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:A-TMM-3、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
上記ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
粘着剤組成物中の、上記2個以上の二重結合を有する多官能モノマーの含有量は、粘着剤組成物を100質量%として、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。2個以上の二重結合を有する多官能モノマーの含有量が上記下限値以上であると、架橋が十分となり、粘着シートの強粘剥離性がより一層向上する。2個以上の二重結合を有する多官能モノマーの含有量が上記上限値以下であれば、粘着シートが硬くなり過ぎず、強粘着性がより一層向上する。
(ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー)
ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーは、本発明の粘着シートを形成するための粘着剤組成物において、塗工適性を持たせるためのベースポリマーの希釈溶媒として作用すると同時に、粘着シートを形成するための組成物となる。上記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーは、本発明の粘着シートに強粘剥離性を付与することができれば特に限定されず、本発明の粘着シートにより優れた動的濡れ性を付与し、強粘着性をより一層向上させることができる点で、炭素間二重結合を1個有する単官能モノマーが好ましい。
上記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーは、シート化する際の希釈溶媒としての役割もあるため、ベースポリマーとの相溶性を示すことができる点で、ベースポリマーで用いられる単官能の単量体単位と同じであることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルが挙げられる。これらの中でも、強粘着性により一層優れる点で、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸イソオクチルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーとしては、ベースポリマーの組成に合わせて、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸及び/又は極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体とを併用してもよい。(メタ)アクリル酸、及び極性基を有する(メタ)アクリル酸誘導体は、上記ベースポリマーで説明したものを用いることができる。
粘着剤組成物中の、上記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーの含有量は、粘着剤組成物を100質量%として、25〜80質量%が好ましく、35〜70質量%がより好ましい。
(低分子量オリゴマー)
低分子量オリゴマーは、本発明の粘着シートの動的濡れ性を向上させ、強粘着性を付与する化合物である。上記低分子量オリゴマーとしては、本発明の粘着シートに動的濡れ性を付与することができれば特に限定されず、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤組成物中の、粘着性を付与する他の成分との相溶性に優れることにより、本発明の粘着シートにより優れた動的濡れ性を付与し、強粘着性をより一層向上させることができる点で、アクリル系樹脂が好ましい。
上記低分子量オリゴマーとしてのアクリル系樹脂として、例えば、市販品の無官能基ポリマー(商品名:ARUFON UP-1000シリーズ、東亞合成(株)製)、OH基含有ポリマー(商品名:ARUFON UH-2000シリーズ、東亞合成(株)製)、COOH基含有ポリマー(商品名:ARUFON UC-3000シリーズ、東亞合成(株)製)、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位のみからなる重合体、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位と、官能基を有しない非アクリル単量体単位とからなる共重合体などが挙げられる。
上記アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の水素原子を炭化水素基で置換した(メタ)アクリル酸エステル単位が挙げられる。上記炭化水素基の炭素数は1〜18が好ましく、1〜8がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル単位を付与するための(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記官能基を有しない非アクリル単量体単位を付与するための単量体としては、例えば、重合性エチレン基を有する無官能性単量体が挙げられる。上記重合性エチレン基を有する無官能性単量体の重合性エチレン基以外の原子団の炭素数は0〜18が好ましく、0〜8がより好ましい。
上記官能基を有しない非アクリル単量体単位を付与するための単量体としては、具体的には、エチレン、プロピレン、スチレンが挙げられる。
上記低分子量オリゴマーとしてのアクリル系樹脂中の、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位の含有量は、アクリル系樹脂を100質量%として70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることが更に好ましい。
上記低分子量オリゴマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記低分子量オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、500〜50000が好ましく、1000〜30000がより好ましく、2000〜10000が更に好ましい。上記低分子量オリゴマーの重量平均分子量が上記下限値以上であると、粘着シートの再剥離性がより一層向上する。上記低分子量オリゴマーの重量平均分子量が上記上限値以下であると、粘着シートの粘着剤層の動的濡れ性がより向上し、強粘着性がより一層向上する。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。
上記低分子量オリゴマーのガラス転移点(Tg)は、25℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−10℃以下が更に好ましい。上記低分子量オリゴマーのガラス転移点が上記上限値以下であると、粘着シートの動的濡れ性がより向上し、粘着シートの強粘着性がより一層向上する。
本明細書において、ガラス転移点(Tg)は、組成からの計算値あるいは示差走査型熱量計(DSC)等の熱量計を用いた方法により測定される値である。計算方法としては、モノマー単位及びその含有割合から、以下のFoxの式により算定することができる。
Foxの式:1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wm/Tgm)
W1+W2+・・・+Wm=1
式中、Tgは低分子量オリゴマーのガラス転移点であり、Tg1、Tg2、・・・,Tgmは上記低分子量オリゴマーにおける各モノマー由来の構成単位のガラス転移点であり、W1、W2・・・Wmは上記低分子量オリゴマーにおける各モノマー由来の構成単位の重量分率である。
粘着剤組成物中の上記低分子量オリゴマーの含有量は、粘着剤組成物を100質量%として、0.1〜12質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。低分子量オリゴマーの含有量が上記下限値以上であると、粘着シートの動的濡れ性がより向上し、粘着シートの強粘性がより一層向上する。低分子量オリゴマーの含有量が上記上限値以下であると、粘着シートの粘着剤層の凝集性が低下することが無く、再剥離性の低下が抑制される。
(その他の成分)
上記粘着剤組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、充填剤、イオン性液体等の添加剤が含まれてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられる。
金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾトリアゾール系樹脂が好ましい。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
イオン性液体としては、例えば、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、または含リンオニウム塩等のイオン性液体が挙げられ、好ましくは、特開2011−89138号公報の段落番号0018〜0028に記載されるイオン性液体を用いることができる。
上記添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
添加剤を添加する場合、粘着剤組成物中の添加剤の含有量は、粘着剤組成物を100質量%として0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、粘着剤組成物中の添加剤の含有量は、粘着剤組成物を100質量%として10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
(粘着剤組成物の重合)
上記粘着剤組成物を重合させる方法としては特に限定されない。一般に、粘着剤組成物を重合させる方法としては、(1)モノマーを含有する粘着剤組成物に、活性エネルギー線を照射して粘着剤組成物を重合させる方法、(2)モノマー及び溶剤を含有する溶液を加熱して溶液中でモノマーを溶液重合させて、加熱により溶剤を除去する方法、(3)モノマー、界面活性剤及び水を含有するエマルションを調製して加熱し、エマルション重合によりモノマーを重合させて、水を熱により除去する方法が挙げられる。本発明では、粘着シートの表面の平滑性、寸法安定性の観点から、溶剤、水、界面活性剤を含有しないことが好ましく、このため、上記(1)の方法が好適である。本発明では、後述する粘着シートの製造方法において説明する重合方法により、粘着剤組成物を重合させることがより好ましい。
上記粘着剤組成物を重合させるために、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては特に限定されず、活性エネルギー線を照射して重合する場合はアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾインエーテル系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、アミン系重合開始剤等が挙げられる。上記アセトフェノン系重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。上記ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。上記チオキサントン系重合開始剤としては、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。上記アミン系重合開始剤としては、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。加熱により重合させる場合は、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
粘着剤組成物を重合させるための重合開始剤の添加量は、所望の平均分子量にするために重合条件などと合わせて適宜調整するとよい。
本発明の粘着シートの厚みは特に限定されず、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。粘着シートの厚みが上記下限値以上であると、強粘性がより一層向上する。粘着シートの厚みが上記上限値以下であると、再剥離性がより一層向上する。
本発明の粘着シートは、(1)JIS Z0237に準拠して、被着体貼付後24hrで測定した対SUS粘着力が10N/25mm以上である。上記対SUS粘着力が10N/25mm以上であることにより、本発明の粘着シートが凝集力に優れ、強粘着性を示すとともに、優れた剥離性を示すことができる。上記対SUS粘着力は、15N/25mm以上が好ましく、20N/25mm以上がより好ましい。また、上記対SUS粘着力は、50N/25mm以下が好ましく、40N/25mm以下がより好ましい。上記対SUS粘着力が上記上限値以下であることにより、本発明の粘着シートが凝集力により優れ、より一層優れた剥離性を示すことができる。
本発明の粘着シートは、(2)JISZ0237に準拠して、80℃、錘1kgの条件で測定した対SUS保持力の24hr後のズレが1mm以内である。上記対SUS保持力のずれが1mm以内であることにより、本発明の粘着シートが凝集力に優れ、強粘着性を示すとともに、優れた剥離性を示すことができる。上記対SUS保持力のずれは、0.5mm以内が好ましく、0.1mm以内がより好ましい。
本発明の粘着シートは、(3)ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠した、以下の条件の動的濡れ性測定方法で測定されるプローブタック値が8.0N/5mmφ以上である、上記プローブタック値が8.0N/5mmφ以上であることにより、本発明の粘着シートが動的濡れ性に優れ、強粘着性を示すことができる。
本明細書において、上記プローブタック値は、ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠して以下の条件の動的濡れ性測定方法により測定される値である。
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)
測定条件:プローブ 5mmφ、ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面、ウェイト 19.6±0.2g(真鍮製)、プローブ移動速度 5.0cm/秒、ドエルタイム 1秒
(シート状基材)
本発明の粘着シートは、シート状基材の片面に上記粘着剤層を積層してなる。シート状基材は、粘着シートの用途により適宜選定すればよい。例えば、粘着シートをウエットティッシュの蓋体(フラップラベル)として用いる場合は、ウェットティシュに含まれる水分やエタノール等を保持するため、耐水性、耐溶剤性やガスバリヤー性が求められる。そのため、シート状基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PET等のポリオレフィン系プラスチックフィルム、並びに、それらに有機、及び/又は、無機顔料を添加し、中空構造とした発泡PET、ユポ等の合成紙;軟質塩ビフィルム;ポリエチレンラミネート紙;金属箔が好ましい。これらの市販品としては、例えば、(株)ユポ・コーポレーション製のユポフィルム「SGS」、「FPG」、「VES」や、東洋紡績(株)製の発泡PETフィルム「クリスパー」、東レ(株)製のPETフィルム「ルミラー」等が挙げられる。
シート状基材の厚みは特に限定されず、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。シート状基材の厚みが上記下限値以上であることにより、粘着シートにより一層優れた隠蔽性を付与することができる。また、シート状基材の厚みが上記上限値以下であることにより、シート状基材が被着体の凹凸形状により一層追従し易くなる。
(粘着シートの製造方法)
上記粘着シートの製造方法としては、(1)モノマーに重合開始剤を添加し、加熱又は活性エネルギー線を照射して、ベースポリマーを調製する工程1;(2)ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する添加剤組成物を、ベースポリマーに添加して粘着剤組成物を調製する工程2;及び、(3)(3−1)粘着剤組成物を離型処理された紙やフィルムの離型処理面に膜状に塗工し、活性エネルギー線を照射又は加熱して、重合させて粘着剤層を形成し、シート状基材の片面に粘着剤層を積層する工程3−1(ドライラミ法による転写方法)、(3−2)粘着剤組成物を離型処理された紙やフィルムの離型処理面に膜状に塗工し、硬化前にシート基材と積層した後活性エネルギー線を照射又は加熱して、重合させて粘着剤層を形成する工程3−2(ウエットラミ法)、又は、(3−3)粘着剤組成物をシート状基材の片面に直接膜状に塗工して活性エネルギー線を照射又は加熱しシート状基材の片面に粘着剤層を設ける工程3−3(ダイレクト塗工方法)のいずれかである工程3を有する製造方法が挙げられる。
上記工程1は、モノマーに重合開始剤を添加し、加熱又は活性エネルギー線を照射して、ベースポリマーを調製する工程である。上記ベースポリマーは、プレポリマーの状態で調製される。工程1では、重合を途中で止めて、モノマーの一部を未反応(重合させないまま)で残存させて、残モノマーとしてもよい。残モノマーは、工程3において、粘着剤組成物を膜状に塗工し、重合させる際に、工程2で添加する添加剤組成物に含まれる多官能モノマー及び単官能モノマーと共に重合することとなる。特に、無溶剤系の粘着剤組成物を重合させる場合は、残モノマーを含有することが好ましい。この場合の残モノマーの量は、工程1で最初に配合したモノマーを100質量%として、20〜80質量%程度が好ましい。
モノマー及び重合開始剤は、上述の粘着剤組成物のベースポリマーにおいて説明したものを用いることができる。
活性エネルギー線としては、モノマーを重合させてプレポリマーを調製することができれば特に限定されず、紫外線、電子線、ガンマ線、放射線等の従来公知の活性エネルギー線を照射すればよい。
以上説明した工程1により、ベースポリマーが調製される。
上記工程2は、ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する添加剤組成物を、ベースポリマーに添加して粘着剤組成物を調製する工程である。
ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーは、上記粘着剤組成物において説明したものを用いることができる。
上記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーは、ベースポリマーとの相溶性に優れる点で、工程1で用いたモノマーを用いることが好ましい。
上述のように、粘着剤組成物中のベースポリマーの含有量は、粘着剤組成物を100質量%として、15〜70質量%が好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。このため、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーの添加量は、ベースポリマーの含有量が上記範囲になるように添加量を調整することが好ましい。また、工程1において、重合を途中で止めて、モノマーの一部を未反応(重合させないまま)で残存させて、残モノマーとする場合、当該残モノマーと、工程2において追加で添加する添加剤組成物との合計量を、上記ベースポリマーの含有量が上記範囲になるように調整することが好ましい。更に、工程1において、ベースポリマー調製時に十分な量のモノマーを残す場合は、残モノマーを工程2におけるラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーとして用い、新たに工程2において、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーを添加しなくてもよい。
以上説明した工程2により、粘着剤組成物が調製される。
工程3は、粘着剤組成物を膜状に塗工し、活性エネルギー線を照射または加熱して、重合させて粘着剤層を形成し、シート状基材の片面に粘着剤層を積層する工程である。工程3としては、具体的には、(3−1)粘着剤組成物を離型処理された紙やフィルムの離型処理面に膜状に塗工し、活性エネルギー線を照射又は加熱して、重合させて粘着剤層を形成し、シート状基材の片面に粘着剤層を積層する工程3−1(ドライラミ法による転写方法)、(3−2)粘着剤組成物を離型処理された紙やフィルムの離型処理面に膜状に塗工し、硬化前にシート基材と積層した後活性エネルギー線を照射又は加熱して、重合させて粘着剤層を形成する工程3−2(ウエットラミ法)、又は、(3−3)粘着剤組成物をシート状基材の片面に直接膜状に塗工して活性エネルギー線を照射又は加熱しシート状基材の片面に粘着剤層を設ける工程3−3(ダイレクト塗工方法)のいずれかの工程が挙げられる。
工程3−1(ドライラミ法による転写方法)では、粘着剤組成物を離型処理された紙やフィルムの離型処理面に膜状に塗工し、活性エネルギー線を照射又は加熱して、重合させて粘着剤層を形成し、シート状基材の片面に粘着剤層を積層する。
工程3−1において、粘着剤組成物を膜状に塗工する際は、被塗工物として基体を用いればよい。基体としては、粘着剤組成物を膜状に塗工して粘着剤層を形成することができれば特に限定されず、例えば、片面に離型層が設けられロール状に巻き取られた、樹脂フィルム、紙、合成紙等が挙げられる。工程3−1では、上記基体の離型層側に粘着剤組成物を塗工し、当該塗工された粘着剤組成物と、ロール状に巻き取られたシート状基材から引き出されたシート状基材とを貼合すればよい。
工程3−1では、塗工された粘着剤組成物が重合して粘着剤層が形成された後に、シート状基材の片面に粘着剤層が積層される。シート状基材の片面に粘着剤層を積層する方法としては特に限定されず、シート状基材上に、調製された粘着剤層を載置して、押圧する等の従来公知の方法により積層すればよい。
工程3−2(ウエットラミ法)では、粘着剤組成物を離型処理された紙やフィルムの離型処理面に膜状に塗工し、硬化前にシート基材と積層した後活性エネルギー線を照射又は加熱して、重合させて粘着剤層を形成する。
上記工程3−2は、上記工程3−1と略同様であるが、粘着剤組成物を重合させる前にシート状基材と貼合し、次いで粘着剤組成物を重合させて粘着剤層を形成する点で、上記工程3−1と相違する。
工程3−2では、上記基体の離型層側に粘着剤組成物を塗工し、当該塗工された粘着剤組成物と、ロール状に巻き取られたシート状基材から引き出されたシート状基材とを貼合すればよい。
工程3−3(ダイレクト塗工方法)では、粘着剤組成物をシート状基材の片面に直接膜状に塗工して活性エネルギー線を照射又は加熱しシート状基材の片面に粘着剤層を設ける。
工程3−3では、上記シート状基材に粘着剤組成物を塗工して、片面に離型層が設けられたロールから引き出された基体の離型層側と貼合することにより、シート状基材上に粘着剤層、及び離型層をこの順に積層して、粘着シートを連続的に製造することもできる。
工程3−1、工程3−2及び工程3−3において、粘着剤組成物を膜状に塗工する方法としては特に限定されず、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の従来公知の方法により塗工することができる。
活性エネルギー線としては、モノマーを重合させて粘着剤組成物を膜状に成形できれば特に限定されず、紫外線、電子線、ガンマ線、放射線等の従来公知の活性エネルギー線を照射すればよい。
粘着剤組成物を加熱により重合させる場合は、粘着剤組成物の温度は50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。また、加熱方法は特に限定されず、加熱炉を通過させる等の従来公知の方法により加熱すればよい。
上記基体は、JIS P8113に準拠して測定される引張強度が1kN/m以上が好ましく、5kN/m以上がより好ましい。引張強度が上記範囲であると、再剥離の際に基体が破壊され難く、優れた再剥離性を示すことができる。
上記樹脂フィルム及び紙としては、具体的には、PETフィルム、発泡PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム、合成紙等のプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、塗工紙、ポリエチレンラミネート紙等が挙げられる。
以上説明した工程3により、シート状基材の片面に粘着剤層が積層される。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例1
[ベースポリマーの重合]
ベースポリマーを調製するためのモノマーとして、アクリル酸2エチルヘキシル95質量%、アクリル酸5質量%の配合となるようにそれぞれ採取し、混合した。次いで、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE184、BASFジャパン社製)を、モノマーの合計100質量部に対して0.05質量部となるよう添加して、高圧水銀ランプを用いて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射を行い、プレポリマー化して、ベースポリマーを調製した。ベースポリマーの重量平均分子量は70万であった。
なお、重量平均分子量はゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件を以下に示す。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
[粘着剤組成物の調製]
ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーとして、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(M−321、東亞合成(株)製)を0.3質量%;ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーとして、アクリル酸2エチルヘキシル(東京化成工業(株)製)と、アクリル酸(東京化成工業(株)製)とを、アクリル酸2エチルヘキシル/アクリル酸=95/5の割合で混合した単官能モノマーを68質量%;低分子量オリゴマーとしてアクリルポリマー(アルフオン UP1000、東亞合成(株)製)を1質量%;光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE184、BASFジャパン社製)を0.7質量%の割合となるように採取し、各添加剤を用意した。
次いで、表1の配合となるようにベースポリマーに各添加剤を添加して、室温で120分間撹拌混合し、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物中のベースポリマーの含有量は、30質量%であった。
調製された粘着剤組成物を、基体として用意した厚み50μmのPET離型フィルム(100RL−07(2)、王子エフテックス(株)製)の離型層側に塗布した。次いで、シート状基材として用意した厚み100μmのPETフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡(株)製)と貼合した後、高圧水銀ランプを用いて積算露光量1500mJ/cmの条件で紫外線照射を行って硬化させ、粘着シートを製造した。得られた粘着シートの粘着剤層の厚みは30μmであった。
実施例2、3、比較例1、2
粘着剤組成物の配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
比較例3
ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、及びラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーに代えて、有機溶剤である酢酸エチルを用いて、ベースポリマーの酢酸エチル溶液を調製した。ベースポリマーの含有量は、ベースポリマーの酢酸エチル溶液を100質量%として、30質量%であった。次いで、ベースポリマーの酢酸エチル溶液中のベースポリマー(固形分)94.7質量%に対してイソシアネート系硬化剤(コロネートL55、東ソー(株)製)を0.3質量%、低分子量オリゴマーを5質量%加え、光重合開始剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物の酢酸エチル溶液を調製した。
調製された粘着剤組成物の酢酸エチル溶液を、厚み50μmのPET離型フィルム(100RL−07(2)、王子エフテックス(株)製)の離型層側に塗布し、100℃の温風乾燥にて3分乾燥し酢酸エチルを除去した後、厚み100μmのPETフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡(株)製)と貼合し粘着シートを製造した。得られた粘着シートの粘着剤層の厚みは30μmであった。
製造した実施例及び比較例の粘着シートについて、以下の評価を行った。
<(1)対SUS粘着力>
JIS Z0237に準拠して、被着体貼付後24hrで対SUS粘着力を測定した。
<(2)対SUS保持力>
JISZ0237に準拠して、80℃、錘1kg、24hr後の対SUS保持力のズレを測定した。
<(3)動的濡れ性>
ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠して、以下の条件で動的濡れ性を測定した。
測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)
測定条件:プローブ 5mmφ、ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面、ウェイト 19.6±0.2g(真鍮製)、プローブ移動速度 5.0cm/秒、ドエルタイム 1秒
<(4)再剥離性>
JIS Z0237に準拠した方法で被着体であるSUSに貼付し24hr静置した後、手剥がしで粘着シートを剥がして、以下の評価基準に従って評価した。
○:被着体に糊が全く残らない
△:被着体に剥がし終りのエッジ部にのみ線状に糊が残る
×:全面にわたって糊残りする
結果を表1に示す。
本発明の粘着シートは、ガラス、プラスチック、金属等の様々な材質の被着体に対して、優れた強粘剥離性を示すことができる。このため、窓ガラスに貼付するPOPラベル、ウエットティッシュの取り出し口の蓋として用いられるフラップラベル、屋内外のサインラベル、バスの広告の加飾ラッピング等、様々な用途に利用することができる。

Claims (7)

  1. シート状基材の片面に粘着剤層を積層してなる粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、ベースポリマー、ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマー、ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマー、及び低分子量オリゴマーを含有する粘着剤組成物を重合させてなり、
    (1)JIS Z0237に準拠して、被着体貼付後24hrで測定した対SUS粘着力が10N/25mm以上であり、
    (2)JISZ0237に準拠して、80℃、錘1kgの条件で測定した対SUS保持力の24hr後のズレが1mm以内であり、
    (3)ASTM D2979(転倒試験機械による接着剤の感圧粘着性試験法)に準拠した、以下の条件の動的濡れ性測定方法で測定されるプローブタック値が8.0N/5mmφ以上である、
    ことを特徴とする粘着シート。
    [動的濡れ性測定方法]
    測定機器:NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)
    測定条件:プローブ 5mmφ、ステンレススチール表面仕上げAA#400研磨による鏡面、ウェイト 19.6±0.2g(真鍮製)、プローブ移動速度 5.0cm/秒、ドエルタイム 1秒
  2. 前記ベースポリマーは、アクリル系重合体である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記ラジカル重合性を有する二重結合を2個以上有する多官能モノマーは、炭素間二重結合を2個以上有する多官能モノマーである、請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記ラジカル重合性を有する二重結合を1個有する単官能モノマーは、炭素間二重結合を1個有する単官能モノマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート。
  5. 前記低分子量オリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が500〜50000である、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート。
  6. 前記低分子量オリゴマーは、ガラス転移点(Tg)が25℃以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シート。
  7. 前記低分子量オリゴマーは、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリエーテル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の粘着シート。
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