JP2018201498A - 胡椒の実の加工物 - Google Patents

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【課題】口の中に入れた後で初めて味を楽しむことができ、よりフレッシュで、噛んだ時にプチっとはじけるような新たな食感と弾力をもった、そのまま食べて味わうことのできる胡椒の実の加工物を提供する。【解決手段】複数の胡椒の実を有する胡椒の実の加工物であって、果皮と種皮との間に液相を有し、果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ、はがれた果皮が球形をなす胡椒の実が30%以上あることを特徴とする胡椒の実の加工物を提供する。前記胡椒の実の加工物は、傾斜角15±1.5°で設置された板を自重で30cm転がしたときに、最短経路の両側に2.5cmとった幅内で落下するものの割合が50%以上であることが好ましく、水分含量が50〜80質量%であり、所定の圧縮率測定方法で測定される圧縮率35〜85%であることが好ましく、平均密度が0.75〜0.91g/mLであることが好ましい。【選択図】図7

Description

本発明は、フレッシュで、噛んだ時に果皮が破れてプチっとはじけるような新たな食感をもった胡椒の実の加工物に関する。
胡椒(Piper nigrum)は、インド原産のコショウ科コショウ属のつる性植物であり、その果実は香辛料として世界中で幅広く利用されている。
一般に流通している胡椒の実は、熟す前や完熟した後に収穫され、乾燥される。しかし、乾燥した実は非常に硬くそのままでは食べることが困難であるので、粉状に粉砕して食材にかけたり、粒状のまま煮込み料理等で煮込んでスープに味を移したりして、胡椒の香りや味を利用している。
乾燥されるまでの工程における風味の減少等を抑制する技術として、特許文献1には、所定量の胡椒の実に所定量の水を添加し加圧攪拌して胡椒の実を摺擦し、果皮及び果肉を除去した後、乾燥することにより、腐敗臭がなく、α−phellandrene、β−phellandrene、及び1,8−cineolのGC−FIDによるピーク面積の合計が15000[Pa*S]以上であり、且つ外種皮及び内種皮を有している白胡椒が得られることが記載されている。
特開2010−246393号公報
しかしながら、胡椒は粉砕した時点で香りが放出され始めるので、時間がたつと香りが弱くなってしまう。また、粉砕することなく粒のまま胡椒を食べるとしても、煮込み料理等で使われている従来の胡椒では、胡椒独特のうま味と辛味が強くは感じられないだけでなく、胡椒の果皮に弾力がないので、噛んだ時にプチッとする食感を得ることができず、視覚的にも鮮やかではない。
さらに、特許文献1に記載の白胡椒は、果皮が除かれているので、従来の粒状胡椒と同じように、噛んだ時にプチッとする食感を得ることができず、視覚的にも鮮やかではない。
よって、本発明の目的は、胡椒独特のうま味と辛味を味わうことができると共に、胡椒の実のフレッシュな香りやさわやかな味も味わうことができ、さらに、噛んだ時に果皮が破れてプチっとする新たな食感をもった胡椒の実の加工物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、果皮と種皮との間に液相を有するように加工した胡椒の実が、胡椒独特フレッシュな香りと味を楽しむことができると共に、はじけるような新たな食感と弾力をもつことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の1つは、複数の胡椒の実を有する胡椒の実の加工物であって、果皮と種皮との間に液相を有し、果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ、はがれた果皮が球形をなす胡椒の実が30%以上あることを特徴とする胡椒の実の加工物を提供するものである。本発明の胡椒の実の加工物によれば、胡椒独特のうま味と辛味を味わうことができると共に、果皮と種皮との間に液相を有するので、胡椒の実のフレッシュな香りとさわやかな味を味わうことができる。また、噛んだ時にはじけるような新たな食感と弾力を感じることができる。
本発明の胡椒の実の加工物においては、傾斜角15±1.5°で設置された板を自重で30cm転がしたときに、最短経路の両側に2.5cmとった幅内で落下するものの割合が50%以上であることが好ましい。これによれば、果皮に弾力があり、真円度が高いので、噛んだ時に果皮が破れてプチッとする食感と弾力を感じることができ、果皮表面のしわも少なく視覚的にも鮮やかである。
また、本発明の胡椒の実の加工物においては、水分含量が50〜80質量%であり、下記圧縮率測定方法で測定される圧縮率が35〜85%であることが好ましい。
圧縮率測定方法:胡椒の実の加工物の当初の厚さを求めておき、テクスチャーアナライザーを使用して、直径25mmの円形板からなるプランジャにより、速度1mm/秒で押圧していき、実が破裂する直前の実の厚さを求め、下記計算式により圧縮率(%)を求める。
圧縮率(%)={(実の厚さ−破裂直前の実の厚さ)/実の厚さ}×100
(以下この計算式を「計算式1」とする。)
これによれば、水分含量が50〜80質量%であるので、胡椒の実のフレッシュな香りとさわやかな味をより味わうことができる。また、胡椒の実の圧縮率が35〜85%であるので、果皮に弾力があり、噛んだ時に果皮が破れてプチッとする食感と弾力をより得ることができる。
さらに、本発明の胡椒の実の加工物においては、平均密度が0.75〜0.91g/mLであることが好ましい。これによれば、胡椒の実の加工物に適量の液体と気体が含まれた液層ができるので、水溶性の香気物質も含まれ、より強い香りを得ることができる。
本発明の胡椒の実の加工物によれば、胡椒独特のうま味と辛味を味わうことができると共に、果皮と種皮との間に液相を有するので、胡椒の実のフレッシュな香りとさわやかな味を味わうことができる。また、噛んだ時にはじけるような新たな食感と弾力を感じることができる。さらに、真円度が高いことから、果皮表面にしわが少なく光沢があり見た目が美しい。
胡椒の実の断面図を模式的に示した図である。 本発明の胡椒の実の加工物において、蔕から花落ちにかけてメスで切れ目を入れ、その切れ目から押し出した種子と、種子が除かれた後成形して球形に戻した果皮を示す写真である。 市販されている胡椒の実の加工物において、蔕から花落ちにかけてメスで切れ目を入れ果皮と種子とを分離した後の、果皮と種子を示す写真である。なお、切れ目から種子を押し出すことができなかったので、果皮は千切れている。 胡椒の実の加工物を転がす装置の一例を示す図である。該装置は、傾斜角14が15±1.5°になるように板10が設置される。 図4の装置を上から見た様子を示す図である。 プランジャによって胡椒の実を押圧した場合において、胡椒の実にかかる負荷を示した図である。 (A)しわの面積が5%以下である胡椒の実の加工物と、(B)しわが多い(しわの面積が5%よりも大きい)胡椒の実の加工物とを示す写真である。 (C)果皮と種皮の間に空間がある胡椒の実の加工物と、(D)空間のない胡椒の実の加工物とを示す写真である。 胡椒の実の加工物が入ったメスシリンダーに蒸留水を入れて、30秒後の様子を示す写真である。Aは実施例8における2回目、Bは参考例1における3回目、Cは参考例2における3回目の様子である。
本発明の胡椒の実の加工物は、果皮と種皮との間に液相を有する。
ここで、胡椒の実の構造を説明すると、図1に示すように、胡椒の実1は、その外側から順に、果皮2、果肉3、種皮4、及び周乳5から構成され、また果皮2の表面には、蔕7と花落ち8を有する。なお、種子6は、種皮4と周乳5、又は周乳5から構成される。果皮と種皮の間の液相は、果皮を一部剥がした際に果肉部分の一部として目視や触感で確認することができる。もしくは、この液相は、メス等で果皮から果肉、種皮、周乳を一貫して分断したときに、果皮と種皮の間に目視や触感で確認することができる。この液相が、胡椒の実を噛んだときのプチッとした、はじける様な食感となる弾力をもたらし、また液相に含まれる液体や気体が、噛んだ後に口内に胡椒の風味を広げることができる。
果皮と種皮の間の液相に含まれる液体の量は、例えば、果皮を剥がし、果皮の内側、種皮の外側の水分をキムワイプ等に吸収させ、水分を吸収させる前の実の質量と、吸収させた後の実の質量との差で、測定することができる。本発明の胡椒の実の加工物は、液体が、胡椒の実の加工物の全質量の10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがさらに好ましい。果皮と種皮の間の液体が上記範囲内であれば、噛んだ時に口に広がるフレッシュな胡椒の味をより楽しむことができる傾向にあり、また、果皮と種皮の間の液体以外の部分が、好ましくは90〜70質量%、さらに好ましくは85〜75質量%あるので、液体を除いた部分での食感も優れている。
また、本発明の胡椒の実の加工物は、果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ、はがれた果皮が球形をなす。「果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ」るとは、例えば、蔕から花落ちにかけてメスで果皮に切れ目を入れ、その切れ目から種皮と周乳、又は周乳からなる種子を押し出すことができることを意味する。また、「はがれた果皮が球形をなす」とは、はがれた果皮をその復元力によって、種子を押し出す前のほぼ球形であった果皮の形状に戻すことができることを意味する。
さらに、「果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ、はがれた果皮が球形をなす」とは、はがれた果皮が1枚になっている必要はなく、はがれた果皮をまとめればほぼ球形に戻すことができるのであれば、はがれた果皮が4枚以下の枚数に分割されていてもよい。4枚以下の枚数に分割された場合、分割された果皮の面積を全て合わせたものが、果皮全体の面積の80%以上であることが好ましい。はがれた果皮が2枚以下であれば、球形に戻りやすくなることからさらに好ましい。
すなわち、本発明の胡椒の実の加工物は、果皮と種皮との間に液相を有していることで、果皮と種皮との接着面積が少ないため、切れ目から種子を押し出すことができる。この場合、図2に示すように、種子が除かれた果皮は、形状をある程度直すことで、メスで切れ目を入れた箇所等を除いてほぼ球形に戻すことができる。本発明においては、すべての胡椒の実の加工物の、はがれた果皮が球形に戻る必要はなく、任意に取り出した胡椒の実の加工物10個のうち、3個以上、好ましくは5個以上、より好ましくは7個以上、もっとも好ましくは9個以上が球形に戻ればよい。
一方、果皮が連続して種子からはがれないとは、例えば、蔕から花落ちにかけてメスで切れ目を入れ、その切れ目から種子を押し出すことができない、又は果皮が千切れてしまうことを指す。果皮と種皮との間の液相がない、又は少ないことで、果皮と種皮との接着面積が大きいため、切れ目から種子を押し出すことができなかったり、果皮が千切れたり、又はその一部が種皮に張り付いたままとなってしまう。この場合、図3に示すように、種皮4が除かれた果皮2は、形状を直しても球形に戻すことができない。
なお、本発明の胡椒の実の加工物は、喫食時に1個でも使用することはできるが、商品としては複数で提供されることから、本明細書における「胡椒の実の加工物」とは、特に断りのない限り、複数の胡椒の実、好ましくは20個以上、より好ましくは30個以上の胡椒の実を含む加工物のことをいう。また、本発明の胡椒の実の加工物は、果皮と種皮との間に液相を有し、果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ、はがれた果皮が球形をなす胡椒の実を、30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、もっとも好ましくは90%含有する。また、本発明の胡椒の実の加工物は、上記複数の胡椒の実が、1つの容器に充填されて提供されることが好ましい。
また、本発明の胡椒の実の加工物は、傾斜角15±1.5°で設置された板を自重で長さ30cmの転がしたときに、最短経路の両側に2.5cmとった幅内で落下するものの割合が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがもっとも好ましい。なお、長さ30cmとは、胡椒の実の加工物の転がりが開始する位置から最短部経路部分での距離である。
具体的には、例えば、図4に示すように、傾斜角14が15±1.5°になるように板10を設置し、下部12から長さ30cmの地点である開始点13から、胡椒の実の加工物を自重で転がす。図4を上から見た図5に示すように、開始点13から下部12までの最短経路15から左右それぞれ2.5cmの地点16の幅内に落下する胡椒の実の加工物の個数を数える。上述のとおり、この個数の割合が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがもっとも好ましい。
なお、上記、用いる板の材質は、表面が平坦な樹脂板であれば、特に限定されないが、本発明の実施例においては、表面が平坦なアクリル板を用いている。
このような胡椒の実の加工物は、例えば、胡椒の実を高浸透圧の材料と接触させて、浸透圧の差によって脱水して水分含量が50〜80質量%の胡椒の実を得る脱水工程と、前記脱水した胡椒の実を容器に充填し密封する密封工程と、前記密封した胡椒の実を加熱する加熱殺菌工程と、を含む工程により製造することができる。
本発明の原料となる胡椒の実は、胡椒(Piper nigrum)から収穫される実であればよく、系統、品種、産地等は問わない。また、胡椒の実は、熟す前に収穫されたものであってもよく、赤くなる程度まで熟してから収穫されたものであってもよく、未熟な胡椒の実と完熟した胡椒の実が混在していてもよい。
また、本発明の原料となる胡椒の実は、収穫された胡椒の実をそのまま用いてもよいが、ブランチング、水分の除去、凍結保存、及び/又は解凍等の処理をしたものを用いてもよい。ここで、凍結保存処理した胡椒の実を原料とした場合、収穫された後の胡椒の実をそのまま原料とした場合に比べて、果皮と種皮の間に空間ができやすく食感に優れる傾向にある。
ブランチングは、公知の方法で行えばよく、例えば、60〜100℃の熱水に浸漬して1〜180秒間処理すればよい。ブランチングすることにより、胡椒の実の食感等の安定や、微生物の増殖が抑制された胡椒の実を得ることができる。特に60℃以上であれば、胡椒の実の収穫時に付着する胡椒の樹脂を取り除くことができ食感が安定し、70℃以上であれば、大腸菌等の微生物の殺菌効果を得ることができるので、より好ましい。また、100℃以下であれば、胡椒の実の内部の物性に影響が少なく大腸菌等の微生物の殺菌効果を得られ、90℃以下であれば、胡椒の実の表皮の状態が安定する効果が得られるので、好ましい。そして、浸漬しての処理時間は、処理時間を長くすることでブランチングする胡椒の実への効果の均一性を得やすくなる反面、長すぎるとブランチングする胡椒の実の物性が食感や風味に変化が生じやすくなることから、1〜180秒が好ましく、5〜150秒がより好ましく、10〜120秒がさらに好ましく、20〜100秒が最も好ましい。
ブランチングした後の水分の除去は、公知の方法で行えばよいが、胡椒の実に傷が付くことをなるべく避けることができる方法が好ましく、例えばざるに入れて水切りしたり、遠心脱水機にかける方法が好ましく採用される。凍結保存は、−20℃以下の条件で凍結保存する等、公知の方法で行えばよい。解凍は、自然解凍、流水解凍、温水解凍等、公知の方法で行えばよい。
脱水工程は、胡椒の実を高浸透圧の材料と接触させて、浸透圧の差によって脱水して水分含量が50〜80質量%の胡椒の実を得る工程である。ここで、高浸透圧の材料と接触させる方法としては、例えば、塩蔵、砂糖漬け、ぬか漬け等の公知の方法を採用することができる。特に、胡椒の実の水分含量を少なくすることができること、胡椒の実に風味を付与できることから、塩蔵による方法が好ましい。
塩蔵は、胡椒の実に塩を混合して漬け込む。胡椒の実100質量部に対して塩を5〜30質量部混合することが好ましく、7〜25質量部混合することがより好ましい。塩が5質量部未満であると、微生物が繁殖しやすくなるので保存性が悪くなり、また塩の味わいが弱いものとなり、30質量部を超えると、塩の味わいが強すぎてしまう傾向にある。上記範囲で塩を混合することによって、そのまま食べてもおいしく感じられ、また、保存性に優れた胡椒の実の加工物を得ることができる。
また、塩蔵における温度は適宜選択することができるが、15〜30℃下であることが好ましく、20〜25℃下であれば漬け込んだ後すなわち浸漬後の胡椒の色がより安定しやすいので、より好ましい。
さらに、塩蔵における時間は適宜選択することができるが、8時間以上漬け込むことが好ましく、10〜72時間漬け込むことがより好ましく、12〜48時間漬け込むことがさらに好ましい。
脱水工程は、塩蔵した胡椒の実を脱水して所定の水分含量の胡椒の実を得る工程である。ここでの脱水された水分の除去においても、胡椒の実に傷が付くことをなるべく避けることができる方法であることが好ましく、例えばざるに入れて水切りしたり、遠心脱水機にかける方法が好ましく採用される。脱水工程後の水分含量は50〜80質量%であることが好ましく、60〜70質量%であることがより好ましい。水分含量50質量%未満であると、食感が悪くなり、80質量%を超えると、微生物が繁殖しやすくなるので保存性が悪くなる傾向にある。
密封工程は、脱水した胡椒の実を容器に充填し密封する工程である。容器は、特に限定されないが、後の加熱殺菌工程に耐えることができ、また密封することができる容器であることが好ましい。さらには、瓶、缶、プラスチック容器、トレー容器、カップ容器、ポリオレフィン積層ボトル等の、外部からの蒸気の流れによる押圧や水圧等によっても容器形状が維持できる容器であれば、容器内の胡椒の実に容器の外からの圧力がかかることなく、容器内の胡椒の実が加熱されることで胡椒の実の中から圧を加えることができるので、均一に球状に膨らませることができ、より好ましい。
加熱殺菌工程は、密封した胡椒の実を加熱する工程である。加熱は、例えば蒸気、熱水等を用いた公知の方法により行うことができ、密封した状態で60〜95℃、5〜60分の条件下で加熱を行うことが好ましく、65〜90℃、10〜50分の条件下で加熱を行うことがより好ましい。加熱時間が5分以上であり、加熱温度が50℃であればコウジカビや酵母等の微生物に対する殺菌効果が得られることができるが、60℃以上であることで胡椒の実の内部の水分の気化が始まり、果皮と種皮との間に相ができる傾向にある。このことから加熱温度が60℃以上であれば、加熱殺菌工程と、果皮と種皮との間に相を作る工程とを一度に行うことができ、効率的な生産となる。加熱温度が95℃を超えたり、加熱時間が60分を超えると、胡椒の実の生の香りとさわやかな味が減少する傾向がある。また、上記範囲で加熱殺菌することによって、胡椒独特のうま味と辛味とを保たせつつ、胡椒の実を充分に殺菌することができる。
さらに、本発明の胡椒の実の加工物は、例えば上述した方法により得られるものであり、果皮を破砕されていない状態で含有し、水分含量が50〜80質量%であり、圧縮率が35〜85%である。
本発明の胡椒の実の加工物の水分含量は、好ましくは50〜80質量%であり、より好ましくは60〜70質量%である。これによって、胡椒の実の生の香りとさわやかな味を味わうことができる。なお、水分含量は、塩蔵工程における塩分濃度、温度、時間等を変えることによって調整できる。また、別途乾燥工程を設け、乾燥の度合いによっても調整することができる。
本発明において、胡椒の実の加工物の圧縮率は、テクスチャーアナライザー(物性試験機)、例えば「テクスチャーアナライザー」(製品名、Stable Micro Systems社製)を用いて測定できる。すなわち、胡椒の実の加工物の当初の厚さを求めておき、次いでテクスチャーアナライザーを用いて、直径25mmの円形板からなるプランジャにより、速度1mm/秒で押圧していき、実が破裂する直前の実の厚さを求め、下記計算式1により圧縮率(%)を求める。
計算式1:圧縮率(%)={(実の厚さ−破裂直前の実の厚さ)/実の厚さ}×100
ここで実が破裂する直前の実の厚さとは、図6に示すように、上記の測定条件でプランジャによって胡椒の実を押圧した場合に負荷が最大となった時の実の厚さである。
本発明の胡椒の実の加工物の上記方法で求められる圧縮率は、果皮と種皮の間に液相が全体的にできて弾力を増せることから、好ましくは35〜85%であり、果皮と種皮の間の液相が均一にでき果皮の凹部も少なくなることから、より好ましくは45〜75%である。これによって、果皮に弾力があり、噛んだ時にプチッとする食感を得ることができ、さらに黒い光沢があり、視覚的にも鮮やかなものとなる。圧縮率が35%未満であると、弾力を感じにくくなり、また噛んだ時にプチッとする食感が得にくくなる傾向があり、85%を超えると、果皮が柔らかく粘り感を感じやすくなってしまう傾向にある。
さらに、本発明の胡椒の実の加工物は、平均密度が0.75〜0.91g/mLあることが好ましく、より好ましくは0.80〜0.90g/mLである。平均密度が上記範囲未満であると、胡椒の実の加工物に含まれる水溶性の香気物質による香りやさわやかな味が弱すぎたり、上記範囲を超えると、香りやさわやかな味が強すぎる傾向となる。
本発明の胡椒の実の加工物の平均密度は、例えば、20℃の室内に12時間以上保管していた蒸留水を、胡椒の実の加工物25gを入れたメスシリンダーに100mLになるまで入れた量から測定できる。
また、本発明においては、胡椒の実の加工物を果皮及び種皮を含めて、蔕と花落ち部分の中間で1/2に分割し、分割した蔕側の断面と花落ち部分側の断面の2つの断面にキムワイプ等の吸い取り紙を当てて液体を吸い取り、それによる減質量%に基づいて計算した、胡椒の実の加工物中に含まれる遊離液体の含量が、胡椒の実の加工物の全質量の20〜50質量%であることが好ましく、25〜45質量%であることがより好ましい。遊離液体の含量が20質量%以上であることで、噛んだ時に、果皮と種皮の間のフレッシュな胡椒の味を感じられた上に、遊離液体の含量が25質量%以上あることで、さらに胡椒の実の加工物全体での遊離液体が適度に得られるため胡椒のみずみずしい味を楽しむことができる。また、遊離液体の含量が50質量%以下であることで、胡椒の実の加工物全体での弾力を含めた食感が良いためさらに好ましく、みずみずしい食感を得ることができ、遊離液体の含量が45質量%以下であることで、さらに胡椒の実としての適度な歯ごたえのある食感を得ることができる。
本発明の胡椒の実の加工物は、カリオフィレン(caryophyllene)とリナロール(linalool)を含み、果皮と種皮の間の液体に含まれるカリオフィレン1.0質量部に対して、リナロールが0.3〜5.0質量部であることが好ましい。カリオフィレンに対するリナロールの量が上記範囲内であれば、果皮が破裂したとき、香り成分である、カリオフィレンとリナロールが一定割合の範囲で放出されるので、非常に好ましい香りを感じられる傾向にある。
なお、カリオフィレンとリナロールの割合は、ソフトパイプに胡椒の実の加工物を入れ、ソフトパイプの片側から窒素ガスを粉砕と同時に一定量を一定時間注入し、ソフトパイプの反対側から排出される窒素ガスと、粉砕により放出されるガスを濃縮し、DART−MS分析を行い、両成分を定量することにより求めることができる。
また、本発明の胡椒の実の加工物は、ピペリン(piperine)を含む。ピペリンの含有量は、胡椒の実の加工物全量に対して、1.0〜1.5質量%であることが好ましい。ピペリン含量が上記範囲内であれば、果皮が破裂したとき、辛み成分であるピペリンの非常に好ましい辛みを感じられる傾向にある。
なお、ピペリン含量は、高速液体クロマトグラフィやガスクロマトグラフィ等による公知の方法で測定することができる。
さらに、本発明の胡椒の実の加工物は、無差別に選択した胡椒の実の加工物100個について、10倍で拡大して肉眼観察したとき、果皮に凹部を有しない胡椒の実の加工物が30個以上あることが好ましく、50個以上あることがより好ましい。果皮に凹部を有しない胡椒の実の加工物が30個以上であれば、実の黒い光沢により視覚的にも鮮やかさを感じることができる。ここで、凹部を有しないとは、10倍に拡大して目視にて観察した時に、表面積に対して凸凹を伴うしわの面積が5%以下であったことをいう。
本発明の胡椒の実の加工物は、胡椒独特のうま味と辛味や、生の香りとさわやかな味を味わうことができ、また噛んだ時にプチッとする食感を得ることができ、さらに黒い光沢があり、視覚的にも鮮やかであるので、食品分野で大変有用である。例えば、そのまま食してもよく、肉料理、魚料理、デザート等の風味付けに用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
<1.市販の胡椒の実の加工物との比較(1)>
1.胡椒の実の加工物(実施例1)の製造
収穫された胡椒の実を洗浄し、80℃の湯に浸漬して50秒間ブランチングを行い、次いで、胡椒をざるに入れて水切りしたのち、−20℃で冷凍保管した。30日間冷凍保管された胡椒を流水で自然解凍し、ざるに入れて水切りした。水切りした胡椒の実820gと塩180gの合計1kgをポリ袋に入れて、塩が均一に分散するように撹拌し、23℃で24時間浸漬した(塩蔵)。塩蔵後、脱水された胡椒の実の水分を除去するために、再度ざるに入れて水切りした。その後、ガラス瓶に充填、密封し、80℃で20分間の加熱を行い、25℃で2日間保管した胡椒の実の加工物を得た。
なお、市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)はいずれも胡椒を粒のまま食することができるものであり、塩漬けされたものである。
2.評価
上記で製造した胡椒の実の加工物(実施例1)と市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)とを用いて、蔕から花落ちにかけてメスで切れ目を入れ、その切れ目から種子を押し出したときの、果皮と種子の様子を評価した。
3.結果
上記で製造した胡椒の実の加工物(実施例1)は、20個中18個で、果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがすことができ、18個中15個で、1枚か2枚の連続状態で果皮がちぎれることなく、連続した状態で種子からはがすことができた。また、18個中17個で、はがれた果皮をほぼ球形に戻すことができた(図2(A)〜(D))。
一方、市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)は、それぞれ20個中20個、20個中16個で、切れ目から種子を押し出すことができない、又は果皮が千切れてしまい、そのため、果皮は成型しても球形に戻すことができなかった(図3(A)、(B))。
<2.市販の胡椒の実の加工物との比較(2)>
1.評価
上記で製造した胡椒の実の加工物(実施例1)と、市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)とを用いて、板を転がる様子について評価した。より詳細には、図4,5に示したように、傾斜角14を13.6°としたアクリル板10の開始点13に試料を置き、それぞれの胡椒の実の加工物を自重で30cm転がし、下部12における落下地点を確認した。任意に選んだそれぞれの胡椒の実の加工物20個のうち、最短経路から左右2.5cm地点16の幅内に落下するものの個数を数えた。
2.結果
結果を表1に示した。表中、〇は最短経路から左右2.5cmの幅内に落下したもの、×は左右2.5cmの幅外に落下したものを示す。表1に示されるように、左右2.5cmの幅内に落下したものは、本発明の胡椒の実の加工物(実施例1)は20個のうち14個、市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)はそれぞれ6,4個であった。本発明の胡椒の実の加工物(実施例1)はまっすぐに落下したものが多かったことから、円真度が高いことがわかった。
<3.胡椒の実の加工物の製造>
1.胡椒の実の加工物の製造
(実施例2)
実施例1で使用した胡椒の実と異なる日に収穫した胡椒の実を用いた他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(実施例3)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実900gと塩100gの合計1kgをポリ袋に入れて行った他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(実施例4)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実830gと塩170gの合計1kgをポリ袋に入れて行い、さらに、塩蔵後の脱水された水分の除去をざるで行う代わりに、遠心脱水機で行った他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(実施例5)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実900gと塩100gの合計1kgをポリ袋に入れて行い、また、塩蔵後の脱水された胡椒の実の水分の除去をざるで行う代わりに、遠心脱水機で行い、さらに、胡椒の実を入れたガラス瓶を80℃20分間加熱する代わりに、95℃20分間加熱した他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(実施例6)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実800gと塩200gの合計1kgをポリ袋に入れて、さらに、28℃で48時間行った他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(実施例7)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実800gと塩200gの合計1kgをポリ袋に入れて、23℃で12時間行った他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(比較例1)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実800gと塩200gの合計1kgをポリ袋に入れて行い、塩蔵後水切りし、ガラス瓶には充填せずに105℃20分間の加熱乾燥を行い、その後、ガラス瓶に充填、密封した他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(比較例2)
実施例1における塩蔵を、水切りした胡椒の実900gと塩100gの合計1kgをポリ袋に入れて行い、塩蔵後水切りし、ガラス瓶に充填、密封した後の加熱殺菌をしない他は、実施例1と同様にして胡椒の実の加工物を得た。
(参考例3)
収穫直後の生の胡椒の実を参考例3とした。
(参考例4)
ブランチングして水分の除去後の胡椒の実を参考例4とした。
2.評価
(1)水分含量
水分含量は、常圧加熱乾燥法により測定した。
(2)水分活性(AW)
水分活性は、水分活性測定装置(製品名「Aqua Lab」、デカゴン社製)により測定した。
(3)圧縮率
胡椒の実の加工物の当初の厚さを測定し、次に「テクスチャーアナライザー」(製品名、Stable Micro Systems社製)を用いて、直径25mmの円形板からなるプランジャにより、速度1mm/秒で押圧していき、実が破裂する直前の実の厚さを求め、前述した計算式1により圧縮率(%)を求めた。
(4)塩分
塩分は、塩分濃度計(製品名「電位差自動滴定装置AT−610」、京都電子工業株式会社製)により測定した。
(5)凹部を有しない実の数
胡椒の実の加工物を10倍の拡大鏡で観察して目視にて200個観察し、表面積に対して凹凸を伴うしわの面積が5%以下である実の数を数えた。なお、図7(A)に、しわの面積が5%以下である実の一例を示し、図7(B)に、しわが多い(しわの面積が5%よりも大きい)実の一例を示した。
(6)色の安定性(光沢)
胡椒の実の加工物を目視で観察し、「全体が黒色で光沢感(ツヤ)のある実」を◎、「全体が黒色であるが、光沢感(ツヤ)にばらつきのある実」を○、「全体が黒色であるが、光沢感(ツヤ)が弱い実」を△、「部分的に黒色でなく茶色等の他の色が確認できる実」を×と評価した。
(7)断面の状態
胡椒の実の加工物をメスで切り断面を作成し、断面の状態を10倍の拡大鏡で観察し、果皮と種皮の間に空間があるか否かを確認した。なお、図8(C)に空間がある実の一例を示し、図8(D)に空間のない実の一例を示した。
(8)断面の液体
胡椒の実の加工物をメスで切り断面を作成し、断面の状態を10倍の拡大鏡で観察し、液体があるか否かを確認した。
(9)カリオフィレン:リナロール(香気成分)
ソフトパイプに胡椒の実の加工物を入れ、胡椒の実の加工物をソフトパイプ内で粉砕すると同時に、ソフトパイプの片側から窒素ガスの一定量を一定時間注入し、ソフトパイプの反対側から窒素ガスと一緒に排出されるガスを濃縮して、DART−MS分析を行い、両成分を定量した。
(10)果皮と種皮の間の液体量
胡椒の実の加工物の果皮をメスで切り目を入れ全体的に剥がし、果皮の内側、種皮の外側の水分を胡椒の実の加工物を転がしキムワイプに吸収させ、水分を吸収させる前の実の質量と、吸収させた後の実の質量との差から、果皮と種皮の間の液体量を求めた。
(11)コメント
10人のパネラーにより、外観、食感、風味についてそれぞれ評価を行い、全パネラーの総合評価としてコメントを記載した。
3.結果
上記結果を下記表2,3に示す。なお、各実施例、比較例の評価は、凹部を有しない実の数(個)は200個、水分含量及び水分活性は40個ずつ同時に製造した胡椒の実の加工物から、それぞれ抜き取って評価し、その他は、10個ずつ抜き取って評価した結果を平均したものである。
表2,3に示されるように、水分含量が50〜80質量%であり、圧縮率が35〜85%である実施例1〜7の胡椒の実の加工物は、香りのバランスが良く、さわやかな味わいを感じられ、食感もよかった。また、実の表面はしわがないものが多く、黒い光沢があり、視覚的にも鮮やかであった。
水分含量が56.6質量%、圧縮率が30%であり、加熱殺菌を100℃以上で行った比較例1の胡椒の実の加工物は、香りが弱く、バランスが崩れて感じられた。また、実の表面はしわが多く、黒い光沢は弱く、視覚的に鮮やかであるとは言えなかった。さらに、パリッとした食感がなく、硬かった。
水分含量が83質量%、圧縮率が32%であり、加熱殺菌を行っていない比較例2の胡椒の実の加工物は、かたくはないが、食感はパリッとしないため好ましくはなかったまた、実の表面はしわがないものが少なく、黒い光沢は弱く、視覚的に鮮やかであるとは言えなかった。
収穫直後である参考例3の胡椒の実は、まだ青臭い香りが強く感じられた。ブランチング・水分の除去を行った後の参考例4の胡椒の実の加工物はブランチング・水分の除去前に比べ青臭い香りが抑えられ、食感が柔らかくなっていた。
<4.市販の胡椒の実の加工物との比較(3)>
1.評価
本発明の胡椒の実の加工物(実施例8〜10)と、上記市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)とを用いて、下記表4にある項目について評価した。水分含量、水分活性、塩分、及び果皮と種皮の間の液体量は、上記<2.胡椒の実の加工物の製造>と同様の方法で測定し、それぞれ20個の平均を表4に記載した。ピペリン含量は、ガスクロマトグラフィで3回測定した平均結果を記載した。
胡椒の実の加工物全体に含まれる遊離液体量は、胡椒の実の加工物10個を果皮及び種皮を含めて、蔕と花落ち部分の中間で1/2にメスにて分割し、2つに分割した蔕側の断面と花落ち部分側の断面の2つの断面にキムワイプS−200(日本製紙クラシア製)2枚を30秒当てて液体を吸い取り、2分割する前の実の質量と、遊離液体を吸収させた後の実の質量との差から求め、10個の平均値を記載した。
なお、実施例8〜10に用いた胡椒の実の加工物は、上記<1.市販の胡椒の実の加工物との比較(1)>の実施例1と同様の方法で得た。ただし、収穫した日が実施例1とは異なる胡椒の実を用いている。
2.結果
下記表4に示されるように、実施例8は、質量が0.068質量g、水分含量が62.1質量%、塩分が11.0質量%、果皮と種皮の間の液体量が30.4質量%である実施例8の胡椒の実の加工物は、香りのバランスが良く、さわやかな味わいを感じられ、食感もよかった。また、実の表面はしわがないものが多く、黒い光沢があり、視覚的にも鮮やかであった。さらに、実施例9及び実施例10の胡椒の実の加工物も、香りのバランスが良く、さわやかな味わいを感じられ、食感もよかった。また、実の表面はしわがないものが多く、黒い光沢があり、視覚的にも鮮やかであった。
一方、参考例1は、弾力が弱く噛んだ後のさわやかな味がやや弱く、表面のしわが多かった。また、対象例2は、噛んだ後に胡椒のさわやかな味が弱かった。
<4.市販の胡椒の実の加工物との比較(4)>
1.評価
本発明の胡椒の実の加工物(実施例8〜10)と、上記市販の胡椒の実の加工物(参考例1,2)とを用いて、密度について評価した。
20℃の室内に12時間以上保管していた蒸留水を、それぞれの胡椒の実の加工物25gが入ったメスシリンダーに100mLになるまで入れ、その量から、胡椒の実の加工物25gの平均密度を測定した。
2.結果
下記表5に示されるように、実施例8〜9の胡椒の実の加工物は、平均密度が0.75〜0.91g/mLあった。これら加工物には適量の液体と気体が含まれた液層ができていたので、水溶性の香気物質に起因すると思われる、より強い香りを得ることができた。
また、蒸留水を胡椒の実の加工物が入ったメスシリンダーに入れて30秒後の、メスシリンダーの様子を図9に示した。Aは実施例8における2回目、Bは参考例1における3回目、Cは参考例2における3回目の測定の様子である。実施例8では、胡椒の実の加工物はメスシリンダー中で3層に分かれた。一方、参考例1と参考例2の胡椒の実の加工物はメスシリンダー中で2層に分かれた。
1 胡椒の実
2 果皮
3 果肉
4 種皮
5 周乳
6 種子
7 蔕
8 花落ち
10 板
11 上部
12 下部
13 開始点
14 傾斜角
15 最短経路
16 最短経路から2.5cmの地点

Claims (4)

  1. 複数の胡椒の実を有する胡椒の実の加工物であって、果皮と種皮との間に液相を有し、果皮が千切れることなく、連続した状態で種子からはがれることができ、はがれた果皮が球形をなす胡椒の実が30%以上あることを特徴とする胡椒の実の加工物。
  2. 傾斜角15±1.5°で設置された板を自重で30cm転がしたときに、最短経路の両側に2.5cmとった幅内で落下するものの割合が50%以上である、請求項1に記載の胡椒の実の加工物。
  3. 水分含量が50〜80質量%であり、下記圧縮率測定方法で測定される圧縮率が35〜85%である、請求項1又は2に記載の胡椒の実の加工物。
    圧縮率測定方法:胡椒の実の加工物の当初の厚さを求めておき、テクスチャーアナライザーを使用して、直径25mmの円形板からなるプランジャにより、速度1mm/秒で押圧していき、実が破裂する直前の実の厚さを求め、下記計算式により圧縮率(%)を求める。
    圧縮率(%)={(実の厚さ−破裂直前の実の厚さ)/実の厚さ}×100
  4. 平均密度が0.75〜0.91g/mLある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の胡椒の実の加工物。
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