以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(基板作業装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による基板作業装置100の全体構成について説明する。
基板作業装置100は、図1に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する部品実装装置である。
基板作業装置100は、基台1と、搬送部2と、ヘッドユニット3と、支持部4と、レール部5と、部品撮像部6と、マーク撮像部7と、制御部8とを備えている。
基台1は、基板作業装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、搬送部2、レール部5および部品撮像部6が設けられている。また、基台1内には、制御部8が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のテープフィーダ11を配置可能なフィーダ配置部1aがそれぞれ設けられている。
テープフィーダ11は、基板Pに実装される部品Eを供給する装置である。テープフィーダ11は、複数の部品Eを保持した部品供給テープ(図示せず)が巻き回されたリール(図示せず)を保持している。また、テープフィーダ11は、ヘッドユニット3による部品Eの取出しのための部品保持動作に応じて、保持されたリールを回転させて部品供給テープを送り出すことにより、部品Eを供給するように構成されている。
搬送部2は、基板作業装置100の外部から実装前の基板Pを搬入し、基板Pを搬送方向(X方向)に搬送し、基板作業装置100の外部に実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、搬送部2は、搬入された基板Pを目標停止位置(実装停止位置)A1まで搬送するとともに、目標停止位置A1において固定するように構成されている。また、搬送部2は、一対のコンベア部2aを有している。一対のコンベア部2aは、それぞれ、プーリ2b(図2参照)に掛け回された輪状の搬送ベルト2c(図2参照)を有している。搬送部2は、一対の搬送ベルト2cにより、一対の搬送ベルト2c上に載置された基板Pを搬送方向に搬送するように構成されている。また、搬送部2は、搬送ベルト2cを回転駆動するための駆動モータ2dを有している。制御部8は、駆動モータ2dを制御することにより、搬送ベルト2c上に載置された基板Pの搬送速度を制御するように構成されている。
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットであり、目標停止位置A1において固定された基板Pに部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット3は、複数(5つ)のヘッド(実装ヘッド)3aを含んでいる。複数のヘッド3aの各々は、真空発生装置(図示せず)に接続されており、真空発生装置から供給される負圧によって、先端に装着されたノズル(図示せず)に部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。各ヘッド3aは、それぞれ、上下方向に移動可能に構成されている。これにより、各ヘッド3aは、部品Eを吸着するかまたは基板Pに部品Eを実装するために下降した位置と、水平面内で移動するために上昇した位置との間を移動可能に構成されている。
支持部4は、ヘッドユニット3を搬送方向(X方向)に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、支持部4は、搬送方向に延びるボールねじ軸41と、ボールねじ軸41を回転させるX軸モータ42とを含んでいる。ヘッドユニット3には、支持部4のボールねじ軸41と係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ42によりボールねじ軸41が回転されることにより、ボールねじ軸41と係合するボールナットとともに、支持部4に沿って搬送方向に移動可能に構成されている。
一対のレール部5は、支持部4をY方向に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、レール部5は、支持部4のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール51と、Y方向に延びるボールねじ軸52と、ボールねじ軸52を回転させるY軸モータ53とを含んでいる。支持部4には、レール部5のボールねじ軸52と係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部4は、Y軸モータ53によりボールねじ軸52が回転されることにより、ボールねじ軸52と係合するボールナットとともに、一対のレール部5に沿ってY方向に移動可能に構成されている。
このような構成により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平面内で(X方向およびY方向に)移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3は、テープフィーダ11の上方に移動して、テープフィーダ11から供給される部品Eを保持(吸着)することが可能である。また、ヘッドユニット3は、目標停止位置A1において固定された基板Pの上方に移動して、保持(吸着)された部品Eを基板Pに実装することが可能である。
また、本実施形態では、ヘッドユニット3には、基板Pの位置を検出するための基板検出部12が設けられている。基板検出部12は、ヘッドユニット3とともに移動することにより、水平面内で移動可能に構成されている。また、基板検出部12は、レーザ光により基板Pの位置を検出する光学式の基板検出部である。具体的には、基板検出部12は、下方に向けてレーザ光を照射可能であるとともに、基板検出部12から照射されて検出対象物により反射されたレーザ光を検出可能に構成されている。基板検出部12は、反射されたレーザ光を検出することにより、基板Pの位置を検出するように構成されている。本実施形態では、基板検出部12は、基板Pの前端部(搬送方向の上流側の端部)を検出することにより、基板Pの位置を検出するように構成されている。
部品撮像部6は、基板Pへの部品Eの実装に先立ってヘッド3aに保持(吸着)された部品Eを撮像する部品認識用のカメラである。部品撮像部6は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向)から、ヘッド3aに保持(吸着)された部品Eを撮像するように構成されている。部品撮像部6による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部8は、部品Eの吸着状態(回転姿勢およびヘッド3aに対する吸着位置)を取得(認識)するように構成されている。
マーク撮像部7は、基板Pへの部品Eの実装に先立って基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)Fを撮像するマーク認識用のカメラである。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。マーク撮像部7による位置認識マークFの撮像結果に基づいて、制御部8は、目標停止位置A1において固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)するように構成されている。
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などを含み、基板作業装置100の動作を制御する制御回路である。制御部8は、搬送部2、テープフィーダ11、X軸モータ42およびY軸モータ53などを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pへの部品Eの実装を行わせるように構成されている。
(目標停止位置への基板の搬送に関する構成)
図2(A)〜(C)に示すように、制御部8は、搬送部2の駆動モータ2dを制御することにより、搬送ベルト2c上に載置された基板Pを目標停止位置A1に搬送して位置決めする制御を行うように構成されている。
具体的には、図2(A)に示すように、基板Pが搬送ベルト2c上に載置されて装置内に搬入されると、制御部8は、搬送部2の駆動モータ2dを制御することにより、搬送ベルト2c上に載置された基板Pを通常の搬送速度で減速開始位置A2に搬送する制御を行うように構成されている。減速開始位置A2は、搬送ベルト2c上に載置された基板Pの減速を開始するための位置であって、目標停止位置A1よりも上流側の位置である。
そして、制御部8は、基板Pの前端部が減速開始位置A2に到達したと判断される場合には、搬送部2の駆動モータ2dを制御することにより、搬送ベルト2c上に載置された基板Pの減速を開始する制御を行うように構成されている。この際、制御部8は、基板検出部12による基板Pの検出結果に基づいて、基板Pの前端部が減速開始位置A2に到達したか否かを判断するように構成されている。具体的には、制御部8は、基板検出部12により基板Pの前端部により反射されたレーザ光が検出された場合に、基板Pの前端部が減速開始位置A2に到達したと判断するように構成されている。また、制御部8は、基板検出部12によりレーザ光が検出されない場合には、基板Pの前端部が減速開始位置A2に到達していないと判断するように構成されている。なお、基板検出部12は、基板Pの減速開始位置A2の上方位置に予め配置されており、基板Pの減速開始位置A2に向けてレーザ光を照射している。これにより、基板Pの前端部が減速開始位置A2に到達すると、基板検出部12から照射されたレーザ光が基板Pの前端部により反射されるとともに、反射されたレーザ光が基板検出部12により検出される。
そして、制御部8は、搬送部2の駆動モータ2dを制御することにより、搬送ベルト2c上に載置された基板Pを通常の搬送速度よりも減速された搬送速度でコンベア停止位置A3に搬送する制御を行うように構成されている。コンベア停止位置A3は、駆動モータ2dによる搬送ベルト2cの駆動を停止するための位置であって、減速開始位置A2よりも下流側で目標停止位置A1よりも上流側の位置である。
そして、図2(B)に示すように、制御部8は、基板Pの前端部がコンベア停止位置A3に到達したと判断される場合には、搬送部2の駆動モータ2dを制御することにより、駆動モータ2dによる搬送ベルト2cの駆動を停止する制御を行うように構成されている。この際、制御部8は、基板Pの前端部が減速開始位置A2に到達したか否かを判断する場合と同様に、基板Pの前端部がコンベア停止位置A3に到達したか否かを判断する。
その後、搬送ベルト2cが慣性力により移動するか、または、基板Pが搬送ベルト2c上を滑ることにより、搬送ベルト2c上に載置された基板Pが目標停止位置A1の近傍において停止される。
そして、図2(C)に示すように、制御部8は、基板検出部12による基板Pの位置の検出結果に基づいて、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dを取得するように構成されている。具体的には、制御部8は、基板検出部12による基板Pの位置の検出結果に基づいて、基板Pの前端部の実際の停止位置を実停止位置A4として取得するとともに、実停止位置A4と目標停止位置A1との間の距離を、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dとして取得するように構成されている。
そして、制御部8は、取得された目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが正常範囲であるか否かを判断するように構成されている。制御部8は、取得された目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが正常範囲(後述する第1位置ずれ量しきい値B1未満)であると判断される場合には、実停止位置A4から基板Pを移動させることなく、基板Pの生産を継続する制御を行うように構成されている。
また、制御部8は、取得された目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが正常範囲(後述する第1位置ずれ量しきい値B1以上)ではないと判断される場合には、実停止位置A4から目標停止位置A1に基板Pを移動させる位置ずれ補正動作を行う制御を行うとともに、基板Pの生産を継続する制御を行うように構成されている。また、制御部8は、次の基板Pの搬送時に今回の基板Pの位置ずれ量Dに基づくフィードバック補正を行って、次の基板Pを目標停止位置A1に搬送する制御を行うように構成されている。
ここで、本実施形態では、図3に示すように、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dに基づいて、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが正常範囲ではないと判断される場合には、作業者に搬送ベルト2cの状態(異常)に関する情報を通知する制御を行うように構成されている。
具体的には、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが予め決められた位置ずれ量しきい値以上である場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されている。本実施形態では、位置ずれ量しきい値は、第1位置ずれ量しきい値B1と、第1位置ずれ量しきい値B1よりも大きい第2位置ずれ量しきい値B2とを含んでいる。また、搬送ベルト2cの状態に関する情報は、第1情報(図4参照)と、第1情報よりも警告度が大きい第2情報(図5参照)とを含んでいる。
本実施形態では、図3および図4に示すように、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1(たとえば、1.5mm)以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2(たとえば、3mm)未満である場合に、第1情報を通知する制御を行うように構成されている。本実施形態では、第1情報は、基板Pおよび搬送ベルト2cの状態の確認を促す情報である。これにより、異物の付着の可能性がある基板Pと搬送ベルト2cとの両方の確認を作業者に促すことが可能である。また、本実施形態では、制御部8は、搬送ベルト2cの状態に関する第1情報とともに、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dによる基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を、作業者に通知する制御を行うように構成されている。本実施形態では、基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報は、1枚の基板Pにおける基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報である。制御部8は、目標停止位置A1から位置ずれした位置から、目標停止位置A1まで基板Pを移動させるために要した実際の時間を、基板Pの搬送に要する時間のロス時間として取得するとともに、取得された基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を、作業者に通知する制御を行うように構成されている。
また、本実施形態では、図3および図5に示すように、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第2位置ずれ量しきい値B2以上である場合に、第2情報を通知する制御を行うように構成されている。本実施形態では、第2情報は、搬送ベルト2cのメンテナンス(清掃や交換など)を促す情報である。
また、図3に示すように、第1位置ずれ量しきい値B1は、基板Pの搬送枚数に応じて目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが増加する傾向を示す位置ずれ量増加傾向領域R1に対応する値として設定されている。これにより、第1情報をより早期に通知することが可能である。また、第2位置ずれ量しきい値B2は、基板Pの搬送枚数に応じて目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが不定になる位置ずれ量不定領域R2に対応する値として設定されている。これにより、フィードバック補正による目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dの低減効果が小さい位置ずれ量不定領域R2において、警告度が大きい第2情報を通知することが可能である。
なお、上記した作業者に各情報を通知する制御は、たとえば、基板作業装置100の表示部100a(図4および図5参照)に上記した各情報を表示することにより行われる。あるいは、上記した作業者に各情報を通知する制御は、基板作業装置100から実装ラインを制御するホストコンピュータなどの他の装置にデータを送信するとともに、データを受信した他の装置の表示部に上記した各情報を表示することにより行われる。
また、本実施形態では、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、複数回位置ずれ量しきい位置以上となった場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されている。つまり、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが位置ずれ量しきい値以上となった回数が、予め決められた回数以上になった場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されている。
具体的には、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満となった回数が、予め決められた第1回数(たとえば、3回)以上になった場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する第1情報、および、基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を通知する制御を行うように構成されている。また、制御部8は、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが第2位置ずれ量しきい値B2以上となった回数が、予め決められた第2回数(たとえば、3回)以上になった場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する第2情報を通知する制御を行うように構成されている。なお、第1回数および第2回数は、同じ回数であってもよいし、互いに異なる回数であってもよい。
(警告通知処理)
次に、図6を参照して、本実施形態の基板作業装置100による警告通知処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、制御部8により行われる。
図6に示すように、まず、ステップS1では、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、正常範囲であるか否か(第1位置ずれ量しきい値B1よりも小さいか否か)が判断される。目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、正常範囲である(第1位置ずれ量しきい値B1よりも小さい)と判断される場合には、警告通知処理が終了されて、基板Pの生産が継続される。
また、ステップS1において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、正常範囲ではない(第1位置ずれ量しきい値B1以上である)と判断される場合には、ステップS2に進む。
そして、ステップS2において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満であるか否かが判断される。目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満であると判断される場合には、ステップS3に進む。
そして、ステップS3において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満となった回数が、予め決められた第1回数以上であるか否かが判断される。目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満となった回数が、第1回数未満であると判断される場合には、位置ずれ量Dが偶然第1位置ずれ量しきい値B1以上になっただけと考えられるため、搬送ベルト2cの状態に関する情報が通知されることなく、警告通知処理が終了されて、基板Pの生産が継続される。
また、ステップS3において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満となった回数が、第1回数以上であると判断される場合には、ステップS4に進む。
そして、ステップS4において、基板Pおよび搬送ベルト2cの確認を促す第1情報とともに、基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を作業者に通知する制御が行われる。その後、警告通知処理が終了されて、基板Pの生産が継続される。
また、ステップS2において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第2位置ずれ量しきい値B2以上であると判断される場合には、ステップS5に進む。
そして、ステップS5において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第2位置ずれ量しきい値B2以上となった回数が、予め決められた第2回数以上であるか否かが判断される。目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第2位置ずれ量しきい値B2以上となった回数が、第2回数未満であると判断される場合には、位置ずれ量Dが偶然第2位置ずれ量しきい値B2以上になっただけと考えられるため、ステップS4に進み、ステップS4において、基板Pおよび搬送ベルト2cの確認を促す第1情報とともに、基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を作業者に通知する制御が行われる。その後、警告通知処理が終了されて、基板Pの生産が継続される。
また、ステップS5において、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第2位置ずれ量しきい値B2以上となった回数が、第2回数以上であると判断される場合には、ステップS6に進む。
そして、ステップS6において、搬送ベルト2cのメンテナンスを促す第2情報を作業者に通知する制御が行われる。その後、警告通知処理が終了されて、基板Pの生産が継続される。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、制御部8を、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dに基づいて、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成する。上記のような通知を行うことによって、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行うことを作業者に促すことができる。その結果、作業者の作業により搬送ベルト2cの状態が改善されることにより、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dを効果的に低減することができるので、位置ずれした位置から目標停止位置A1に基板Pを移動させる分だけ生じる基板Pの搬送に要する時間のロスを効果的に低減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが予め決められた位置ずれ量しきい値以上である場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成する。これにより、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を容易に通知することができる。
また、本実施形態では、上記のように、位置ずれ量しきい値は、第1位置ずれ量しきい値B1と、第1位置ずれ量しきい値B1よりも大きい第2位置ずれ量しきい値B2と、を含んでいる。そして、搬送ベルト2cの状態に関する情報は、第1情報と、第1情報よりも警告度が大きい第2情報と、を含んでいる。そして、制御部8を、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第1位置ずれ量しきい値B1以上でかつ第2位置ずれ量しきい値B2未満である場合に、作業者に第1情報を通知する制御を行うとともに、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、第2位置ずれ量しきい値B2以上である場合に、作業者に第2情報を通知する制御を行うように構成する。これにより、作業者は、第2情報よりも先に通知される第1情報により、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行う必要性があることをより早期に知ることができるので、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業をより早期に行うことができる。また、第1情報が通知された場合に、作業者が搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行わなかったとしても、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dがさらに大きくなった場合には、警告度が大きい第2情報を通知することができる。この場合、作業者は、警告度が大きい第2情報により、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行う必要性が高いことを知ることができる。その結果、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行うことをより強く作業者に促すことができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1情報は、搬送ベルト2cの状態の確認を促す情報であり、第2情報は、搬送ベルト2cのメンテナンスを促す情報である。これにより、第1情報が通知された場合には、搬送ベルト2cの状態の確認を行うことを作業者に促すことができる。また、第2情報が通知された場合には、搬送ベルト2cのメンテナンス(清掃や交換など)を行うことを作業者に促すことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、搬送ベルト2cの状態に関する情報とともに、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれによる基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を、作業者に通知する制御を行うように構成する。これにより、作業者は、基板Pの搬送に要する時間のロス時間に基づいて、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行う必要性が高いことを定量的に知ることができる。その結果、搬送ベルト2cの清掃や交換などの搬送ベルト2cの状態を改善するための作業を行うことをより一層強く作業者に促すことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、目標停止位置A1から位置ずれした位置から、目標停止位置A1まで基板Pを移動させるために要した時間を、基板Pの搬送に要する時間のロス時間として取得するとともに、取得された基板Pの搬送に要する時間のロス時間を示す情報を、作業者に通知する制御を行うように構成する。これにより、実際にロスした時間を基板Pの搬送に要する時間のロス時間として取得することができるので、より正確な基板Pの搬送に要する時間のロス時間を作業者に通知することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが、複数回位置ずれ量しきい値以上となった場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成する。これにより、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dが偶然位置ずれ量しきい値以上になった場合に、作業者に搬送ベルト2cの状態に関する情報が通知されることを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、基板作業装置100が、基板Pの位置を検出するための基板検出部12、を備える。そして、制御部8を、基板検出部12による基板Pの位置の検出結果に基づいて、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dを取得するように構成する。これにより、目標停止位置A1からの基板Pの位置ずれ量Dを容易かつ精度良く取得することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、基板作業装置が、基板に部品を実装する部品実装装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板作業装置が、はんだなどの接合材を基板に印刷する接合材印刷装置であってもよいし、基板を検査する検査装置であってもよい。
また、上記実施形態では、制御部が、目標停止位置からの基板の位置ずれ量に基づいて、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部が、搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数に基づいて、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。この場合、制御部が、搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数が予め決められた搬送枚数しきい値以上である場合に、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。また、搬送枚数しきい値は、第1搬送枚数しきい値と、第1搬送枚数しきい値よりも大きい第2搬送枚数しきい値と、を含んでいてもよい。この場合、制御部が、搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数が、第1搬送枚数しきい値以上でかつ第2搬送枚数しきい値未満である場合に、作業者に第1情報を通知する制御を行うとともに、搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数が、第2搬送枚数しきい値以上である場合に、作業者に第2情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。また、制御部が、目標停止位置からの基板の位置ずれ量および搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数の両方に基づいて、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。この場合、制御部が、目標停止位置からの基板の位置ずれ量が予め決められた位置ずれ量しきい値以上で、かつ、搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数が予め決められた搬送枚数しきい値以上である場合に、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。これにより、目標停止位置からの基板の位置ずれ量が偶然位置ずれ量しきい値以上になったとしても、搬送部の搬送ベルトによる基板の搬送枚数が搬送枚数しきい値以上でなければ、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報が通知されないので、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報が不適切なタイミングで通知されることを抑制することができる。
また、上記実施形態では、位置ずれ量しきい値が、第1位置ずれ量しきい値と、第2位置ずれ量しきい値との2つのしきい値を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、位置ずれ量しきい値が、1つのしきい値であってもよいし、3つ以上のしきい値を含んでいてもよい。
また、上記実施形態では、制御部が、第1情報とともに、基板の搬送に要する時間のロス時間を示す情報を通知する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が、第2情報とともに、基板の搬送に要する時間のロス時間を示す情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。また、搬送ベルトの状態に関する情報が通知されていれば、必ずしも基板の搬送に要する時間のロス時間を示す情報が通知されなくてもよい。
また、上記実施形態では、制御部が、目標停止位置からの基板の位置ずれ量が、複数回位置ずれ量しきい値以上となった場合に、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が、目標停止位置からの基板の位置ずれ量が、位置ずれ量しきい値以上となる毎に、作業者に搬送ベルトの状態に関する情報を通知する制御を行うように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、基板検出部が、ヘッドユニットに設けられているとともに、レーザ光により基板の位置を検出する光学式の基板検出部である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、基板検出部が、ヘッドユニットに設けられた基板を撮像する撮像部であってもよい。また、基板検出部が、搬送部の一対のコンベア部の間に設けられ、基板の下方からレーザ光を照射することにより基板の位置を検出する基板検出部であってもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。