JP2018199594A - 酸素貯蔵材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温に曝された場合であっても優れた酸素供給性能を有する酸素貯蔵材料を提供すること。【解決手段】パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を50質量%以上含有し、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定される、前記シェルの平均厚みが10〜500nmであり、前記コアの平均粒子径が1〜10μmである、ことを特徴とする酸素貯蔵材料。【選択図】なし

Description

本発明は、複合酸化物からなる酸素貯蔵材料及びその製造方法に関する。
従来から、様々な金属酸化物を含有する複合酸化物が排ガス浄化用触媒の担体や助触媒等として利用されてきた。このような複合酸化物中の金属酸化物としては、雰囲気中の酸素分圧に応じて酸素の吸放出が可能である(酸素貯蔵能を有する)ため、セリアが好適に用いられてきた。そして、近年では、セリアを含有する様々な種類の複合材料が研究されている。
例えば、特開2005−231951号公報(特許文献1)には、CeとZrを含むパイロクロア構造を有する複合酸化物であって、Ceの40〜90%をCe以外の希土類金属イオン又はアルカリ土類金属イオンで置換した複合酸化物材料が開示されており、この複合酸化物が酸素吸蔵放出能に優れていることも記載されている。しかしながら、この複合酸化物は、1種類のパイロクロア型複合酸化物からなるものであるため、酸素吸蔵放出速度が十分に速いものではなかった。
一方、特開2014−114180号公報(特許文献2)には、セリア−ジルコニア複合酸化物のパイロクロア構造を有する結晶粒子と、この粒子表面に存在するランタナ−ジルコニア複合酸化物のパイロクロア構造を有する結晶とを含み、前記ランタナ−ジルコニア複合酸化物の結晶が少なくとも一部において前記セリア−ジルコニア複合酸化物の結晶粒子表面に固溶している複合酸化物材料が開示されており、この複合酸化物材料が高温下における安定性に優れていることも記載されている。
特開2005−231951号公報 特開2014−114180号公報
しかしながら、特許文献1〜2に記載の複合酸化物は、高温に曝されると、酸素供給性能(特に、低温での酸素供給性能)が低下する場合があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温に曝されても優れた酸素供給性能を有する酸素貯蔵材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含有するシートと、蛍石構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物粒子を含有するシートとを交互に積層して加圧成形した後、還元処理を行うことによって、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアとパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子が得られ、このコアシェル型複合酸化物粒子のシェルを厚くすることができ、その結果、このコアシェル型複合酸化物粒子の耐熱性が向上することを見出し、また、得られるコアシェル型複合酸化物粒子は、高温に曝されても酸素供給性能に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の酸素貯蔵材料は、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を50質量%以上含有し、
大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定される、前記シェルの平均厚みが10〜500nmであり、前記コアの平均粒子径が1〜10μmである、ことを特徴とするものである。
また、本発明の酸素貯蔵材料には、パイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物粒子が更に含まれていてもよい。
このような本発明の酸素貯蔵材料においては、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物の含有量が50〜95質量%であることが好ましい。
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法は、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含有するシートと、蛍石構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物粒子を含有するシートとを交互に積層して積層体を得る工程と、
前記積層体に加圧成形を施して成形体を得る工程と、
前記成形体に900〜1600℃の温度で還元処理を施して、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を含有する酸素貯蔵材料を得る工程と、
を含むことを特徴とする。
なお、本発明の酸素貯蔵材料は、大気中、1100℃で5時間加熱した後のものに限定されるものではなく、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定されるシェルの平均厚み及びコアの平均粒子径が前記範囲内のものであれば、大気中、1100℃で5時間加熱する前後のいずれのものも本発明の酸素貯蔵材料に包含される。
また、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法によって、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物(以下、「パイロクロア型CZ」という。)からなるコアとパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物(以下、「パイロクロア型ZL」という。)からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子が形成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法においては、パイロクロア型CZ粒子を含有するシートと、蛍石構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物(以下、「蛍石型ZL」という。)粒子を含有するシートとを交互に積層して加圧成形した後、高温で還元処理を行う。前記パイロクロア型CZ粒子は熱的に安定なミクロンサイズの粒子であり、前記蛍石型ZL粒子はパイロクロア型CZ粒子に比べて熱安定性に劣るナノサイズの粒子である。これらの粒子をそれぞれ含むシートを交互に積層して加圧成形した積層体に高温で還元処理を施すと、熱安定性に劣る蛍石型ZL粒子が、熱的に安定なパイロクロア型CZ粒子を含有するシート中に固相拡散するため、コアシェル型複合酸化物粒子が形成されると推察される。
一方、蛍石構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物(以下、「蛍石型CZ」という。)粒子を含有するシートと蛍石型ZL粒子を含有するシートとを交互に積層して加圧成形した積層体に高温で還元処理を施すと、蛍石型CZ粒子及び蛍石型ZL粒子は、いずれも熱安定性に劣るため、互いに固溶して反応し、蛍石型CZ粒子を含有するシートと蛍石型ZL粒子を含有するシートとの界面に、セリア−ジルコニア−ランタナ複合酸化物からなる中間層が形成されると推察される。
本発明によれば、高温に曝されても優れた酸素供給性能を有する酸素貯蔵材料を得ることが可能となる。
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法を示す概略図である。 実施例1で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験後のEDXマッピング像である。 比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験後のEDXマッピング像である。 比較例4で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験後の(a)反射電子像、(b)LaのEDXマッピング像、(c)CeのEDXマッピング像、及び(d)ZrのEDXマッピング像である。 実施例1及び比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験前後のX線回折パターンを示すグラフである。 水素−昇温還元試験における温度プロファイルを示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜4で得られた酸素貯蔵材料粉末の水素−昇温還元試験結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の酸素貯蔵材料について説明する。本発明の酸素貯蔵材料は、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物(パイロクロア型CZ:CeZr)からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物(パイロクロア型ZL:LaZr)からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を含有するものであり、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定される、前記シェルの平均厚みは10〜500nmであり、前記コアの平均粒子径は1〜10μmである。このような本発明の酸素貯蔵材料においては、パイロクロア型CZからなるコアの周囲に、より耐熱性の高いパイロクロア型ZLからなるシェルが存在しているため、耐熱性が向上し、高温に曝されても優れた酸素供給性能が発現される。また、このような特性を有する本発明の酸素貯蔵材料を排ガス浄化用触媒の担体や助触媒として使用すると、車両等において頻繁に発生する酸素濃度の急速な変化に対応することができ、エミッションの悪化を抑制することが可能となる。
本発明にかかるセリア−ジルコニア複合酸化物は、CeとZrとがパイロクロア型に規則的に配列した結晶構造(パイロクロア構造)を有するもの(パイロクロア型CZ)である。このようなパイロクロア型CZとしては、パイロクロア型セリア−ジルコニア固溶体(以下、「パイロクロア型CZ固溶体」という。)が好ましい。なお、パイロクロア型CZの形成は、CuKαをX線源として測定したセリア−ジルコニア複合酸化物のX線回折パターンにおいて、2θ=14.5°付近に回折ピークが存在することによって確認することができる。
このようなパイロクロア型CZ中のCeの含有量としては、CeとZrとの合計量に対して原子比〔Ce/(Ce+Zr)〕で0.40〜0.60が好ましく、0.45〜0.55がより好ましい。Ceの含有量が前記下限未満になると、酸素供給性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、Ceの利用効率が低下する傾向にある。なお、パイロクロア型CZ中のCeの含有量は、酸素貯蔵材料のX線回折パターンにおけるパイロクロア型CZの回折ピークに基づいてパイロクロア型CZの格子定数を求め、パイロクロア型CZの原子比〔Ce/(Ce+Zr)〕と格子定数とがZrOとCeOとを両端とするVergard則に従うとして、X線回折ピークから求めた格子定数から算出することができる。
また、本発明にかかるジルコニア−ランタナ複合酸化物は、ZrとLaとがパイロクロア型に規則的に配列した結晶構造(パイロクロア構造)を有するもの(パイロクロア型ZL)である。このようなパイロクロア型ZLとしては、パイロクロア型ジルコニア−ランタナ固溶体(以下、「パイロクロア型ZL固溶体」という。)が好ましい。なお、パイロクロア型ZLの形成は、CuKαをX線源として測定したジルコニア−ランタナ複合酸化物のX線回折パターンにおいて、2θ=14.2°付近に回折ピークが存在することによって確認することができる。
このようなパイロクロア型ZL中のLaの含有量としては、ZrとLaとの合計量に対して原子比〔La/(Zr+La)〕で0.40〜0.60が好ましく、0.45〜0.55がより好ましい。Laの含有量が前記下限未満になると、酸素貯蔵材料の耐熱性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、パイロクロア構造が形成されにくくなる傾向にある。なお、パイロクロア型ZL中のLaの含有量は、酸素貯蔵材料のX線回折パターンにおけるパイロクロア型ZLの回折ピークに基づいてパイロクロア型ZLの格子定数を求め、パイロクロア型ZLの原子比〔La/(La+Zr)〕と格子定数とがZrOとLaとを両端とするVergard則に従うとして、X線回折ピークから求めた格子定数から算出することができる。
本発明の酸素貯蔵材料は、前記パイロクロア型CZからなるコアと前記パイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を含有するものである。また、本発明の酸素貯蔵材料においては、本発明の効果が損なわれない範囲において、前記コアにLaが含まれていてもよく。前記シェルにCeが含まれていてもよい。なお、このようなコアシェル構造、コア及びシェルの組成は、エネルギー分散型X線(EDX)分析装置を備える走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてSEM−EDX分光分析を行うことにより確認することができる。
本発明の酸素貯蔵材料において、前記コアシェル型複合酸化物粒子の含有量は50質量%以上である。コアシェル型複合酸化物粒子の含有量が前記下限未満になると、コアシェル構造を形成していないパイロクロア型CZ粒子の割合が多くなるため、酸素貯蔵材料は、耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する。また、酸素貯蔵材料の耐熱性が向上し、高温に曝された場合における酸素貯蔵材料の酸素供給性能が更に向上するという観点から、コアシェル型複合酸化物粒子の含有量としては、酸素貯蔵材料全体に対して70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。
また、本発明の酸素貯蔵材料においては、前記コアシェル型複合酸化物粒子以外に他の複合酸化物粒子が含まれていてもよい。このような他の複合酸化物粒子の含有量としては、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。また、このような他の複合酸化物粒子としては、前記コアシェル型複合酸化物粒子のシェルを形成していないパイロクロア型ZL粒子が挙げられ、このパイロクロア型ZL粒子には、本発明の効果が損なわれない範囲において、Ceが含まれていてもよい。
なお、前記コアシェル型複合酸化物粒子及び前記他の複合酸化物粒子(例えば、前記コアシェル型複合酸化物粒子のシェルを形成していないパイロクロア型ZL粒子)の含有量(含有割合)は以下の方法により測定することができる。すなわち、先ず、酸素貯蔵材料を、エネルギー分散型X線分析(EDX)装置を備える走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、例えば、1000倍の倍率で観察し、得られたSEM像においてEDXマッピング分析及び点分析を行い、コアシェル型複合酸化物粒子部分(以下、「A部」という)と他の複合酸化物粒子部分(以下、「B部」という)とを特定し、前記SEM像(EDXマッピング像)における前記A部及び前記B部の平均組成をそれぞれ算出する。次に、市販の画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製「A像くん」)を用いて、前記SEM像における前記A部及び前記B部の総面積をそれぞれ算出する。前記SEM像に対して奥行方向のSEM試料の厚さをほぼ一定と仮定し、前記A部及び前記B部の各平均組成と前記A部及び前記B部の各総面積とから、前記A部及び前記B部の含有量(質量基準)を見積り、前記SEM像における前記A部及び前記B部の含有割合(単位:質量%)を算出する。このようなSEM像における前記A部及び前記B部の含有割合(単位:質量%)を、無作為に抽出した20以上の視野について測定し、その平均値を求めることによって、酸素貯蔵材料全体についての前記コアシェル型複合酸化物粒子及び前記他の複合酸化物粒子の含有割合を求めることができる。
本発明の酸素貯蔵材料において、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定されるシェルの平均厚みは10〜500nmである。シェルの平均厚みが前記下限未満になると、パイロクロア型ZLによる効果が十分に発現せず、酸素貯蔵材料は耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する。他方、シェルの平均厚みが前記上限を超えると、酸素の吸放出速度が遅くなり、実用面で問題がある。また、酸素貯蔵材料の耐熱性が向上し、高温に曝された場合における酸素貯蔵材料の酸素供給性能が更に向上するという観点から、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定されるシェルの平均厚みとしては、15〜400nmが好ましく、20〜250nmがより好ましい。
また、本発明の酸素貯蔵材料において、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定されるコアの平均粒子径は1〜10μmである。コアの平均粒子径が前記下限未満になると、酸素貯蔵材料の耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する。他方、コアの平均粒子径が前記上限を超えると、酸素の吸放出速度が遅くなる。また、酸素貯蔵材料の高い耐熱性と良好な酸素吸放出速度を両立するという観点から、大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定されるコアの平均粒子径としては、2〜9μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
なお、前記シェルの平均厚み及び前記コアの平均粒子径は以下の方法により求めることができる。すなわち、前記SEM−EDX分光分析によって得られるEDXマッピング像において、無作為に50個のコアシェル型複合酸化物粒子を抽出する。抽出したコアシェル型複合酸化物粒子のシェルの厚みコアの粒子径を測定し、それらの平均値を求め、シェルの平均厚み及びコアの平均粒子径とする。
さらに、本発明の酸素貯蔵材料において、パイロクロア型CZの含有量としては、酸素貯蔵材料全体に対して50〜95質量%が好ましく、75〜95質量%がより好ましい。パイロクロア型CZの含有量が前記下限未満になると、酸素貯蔵能(OSC)が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、相対的にパイロクロア型ZLの含有量が減少するため、酸素貯蔵材料は耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する傾向にある。
なお、本発明の酸素貯蔵材料におけるパイロクロア型CZ及びパイロクロア型ZLの含有量は以下の方法により測定することができる。すなわち、先ず、パイロクロア型CZ粒子又は蛍石型ZL粒子を、冷間等方圧加圧装置(CIP)を用いて3t(29.4kN)で加圧し、得られる成形体を炭素炉中、1600℃で5時間還元し、得られる還元生成物を大気中、500℃で5時間焼成してパイロクロア型CZ粉末又はパイロクロア型ZL粉末を得る。これらの粉末を、乳鉢を用いて種々の質量比で混合し、得られる混合粉末のX線回折パターンを測定する。このX線回折パターンにおけるパイロクロア型ZL(2θ=28.6°)とパイロクロア型CZ(2θ=29.4°)の最強線の強度比を求め、この強度比を混合粉末の質量比に対してプロットして検量線を作成する。次に、酸素吸蔵材料のX線回折パターンを測定し、前記検量線に基づいて、パイロクロア型ZL(2θ=28.6°)とパイロクロア型CZ(2θ=29.4°)の最強線の強度比から、酸素吸蔵材料全体に対するパイロクロア型CZ及びパイロクロア型ZLの含有量を求める。
次に、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法について説明する。図1には本発明の酸素貯蔵材料の製造方法の概略を示す。
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法は、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含有するシートと、蛍石構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物粒子を含有するシートとを交互に積層して積層体を得る工程〔積層工程〕と、
前記積層体に加圧成形を施して成形体を得る工程〔加圧成形工程〕と、
前記成形体に900〜1600℃の温度で還元処理を施して、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を含有する酸素貯蔵材料を得る工程〔還元処理工程〕と、
を含む方法である。
〔積層工程〕
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法においては、先ず、パイロクロア型CZ粒子を含有するシート(以下、「パイロクロア型CZシート」という。)と蛍石型ZL粒子を含有するシート(以下、「蛍石型ZLシート」という。)とを交互に積層して積層体を形成する。
前記パイロクロア型CZシートとしては特に制限はなく、例えば、所望のCe含有量のパイロクロア型CZ粉末と水溶性バインダー樹脂とをイオン交換水に添加してスラリーを調製し、このスラリーを用いて製膜したグリーンシートが挙げられる。前記パイロクロア型CZ粉末はとしては特に制限はなく、例えば、セリア前駆体(例えば、硝酸セリウム)とジルコニア前駆体(例えば、オキシ硝酸ジルコニウム)とを含有する水溶液を用い、アンモニアの存在下で逆共沈法により共沈殿物を生成させ、得られた共沈殿物を焼成することによってセリア−ジルコニア固溶体を調製し、このセリア−ジルコニア固溶体を40〜350MPaの条件で加圧成形し、得られた加圧成形体に還元雰囲気下、900〜1600℃の温度で加熱処理を施すことによって得ることができる。また、前記水溶性バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、各種セラミックのグリーンシートに用いられるものが挙げられる。
このようなパイロクロア型CZシートの平均厚みとしては特に制限はないが、10〜500μmが好ましく、20〜250μmがより好ましい。パイロクロア型CZシートの平均厚みが前記下限未満になると、シートを作製しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コアシェル型複合酸化物粒子を形成していないパイロクロア型CZ粒子が多くなり、本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、前記パイロクロア型CZ粉末の平均粒子径としては特に制限はないが、1〜10μmが好ましく、2〜9μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。パイロクロア型CZ粉末の平均粒子径が前記下限未満になると、酸素貯蔵材料の耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸素の吸放出速度が遅くなる傾向にある。
前記蛍石型ZLシートとしては特に制限はなく、例えば、所望のLa含有量の蛍石型ZL粉末と前記水溶性バインダー樹脂とをイオン交換水に添加してスラリーを調製し、このスラリーを用いて製膜したグリーンシートが挙げられる。前記蛍石型ZL粉末はとしては特に制限はなく、例えば、ランタナ前駆体(例えば、硝酸ランタン)とジルコニア前駆体(例えば、オキシ硝酸ジルコニウム)とを含有する水溶液を用い、アンモニアの存在下で逆共沈法により共沈殿物を生成させ、得られた共沈殿物を焼成することによってジルコニア−ランタナ固溶体を調製し、このセリア−ジルコニア固溶体を焼成することによって得ることができる。また、前記水溶性バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、各種セラミックのグリーンシートに用いられるものが挙げられる。
このような蛍石型ZLシートの平均厚みとしては特に制限はないが、10〜250μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。蛍石型ZLシートの平均厚みが前記下限未満になると、シートを作製しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コアシェル型複合酸化物粒子を形成していないパイロクロア型ZL粒子が多くなり、本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、前記蛍石型ZL粉末の平均一次粒子径としては特に制限はないが、5〜50nmが好ましく、7〜20nmがより好ましい。蛍石型ZL粉末の平均一次粒子径が前記下限未満になると、パイロクロア型CZシートとの反応性が高くなりすぎ、コアシェル構造が形成されにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、パイロクロア型CZ粉末との接触割合が低下し、コアシェル型複合酸化物粒子の生成率が低下する傾向にある。
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法においては、前記パイロクロア型CZシート中のパイロクロア型CZの含有量と前記蛍石型ZLシート中の蛍石型ZLの含有量と比率を調整することによって、所望のパイロクロア型CZ含有量の酸素貯蔵材料を得ることができる。
〔加圧成形工程〕
次に、前記積層工程で得られた積層体に加圧成形を施して成形体を形成する。加圧成形時の圧力としては40〜350MPaが好ましい。成形圧力が前記範囲から逸脱すると、所望のコアシェル型複合酸化物粒子が形成されず、酸素貯蔵材料は耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する傾向にある。なお、このような加圧成形の方法としては特に制限はなく、冷間等方圧加圧法(静水圧プレス法(CIP法))等の公知の加圧成形方法を適宜採用することができる。
〔還元処理工程〕
次に、前記加圧成形工程で得られた成形体に900〜1600℃の温度で還元処理を施す。これにより、蛍石型ZL粒子がパイロクロア型CZを含有するシートに固相拡散して、パイロクロア型CZからなるコアと蛍石型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル粒子が形成され、さらに、このコアシェル粒子の蛍石型ZLがパイロクロア型ZLに変換されるため、パイロクロア型CZからなるコアとパイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子が得られる。還元温度が前記下限未満になると、パイロクロア型ZLからなるシェルが十分に形成されず、酸素貯蔵材料は耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する。他方、還元温度が前記上限を超えると、パイロクロア型CZとパイロクロア型ZLとが反応してパイロクロア型CZLのみからなる複合酸化物粒子が形成されるため、酸素貯蔵材料は耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する。また、所望のコアシェル型複合酸化物粒子が形成され、酸素貯蔵材料の耐熱性が向上し、高温に曝された場合における酸素貯蔵材料の酸素供給性能が更に向上するという観点から、還元温度としては、1000〜1600℃以上が好ましく、1200〜1600℃がより好ましい。還元時間としては1〜25時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。還元時間が前記下限未満になると、パイロクロア型ZLからなるシェルが十分に形成されず、酸素貯蔵材料は耐熱性が低下し、高温に曝されると、酸素供給性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、所望のコアシェル型複合酸化物粒子の形成が飽和する傾向にある。
還元処理の方法としては、還元雰囲気下で前記成形体を所定の温度で加熱処理することが可能な方法であれば特に制限はなく、例えば、(i)真空加熱炉内に前記成形体を設置し、真空引きした後に、炉内に還元性ガスを流入させて炉内の雰囲気を還元雰囲気として所定の温度で加熱して還元処理を施す方法、(ii)黒鉛製の炉を用いて炉内に前記成形体を設置し、真空引きした後に、所定の温度で加熱して炉体や加熱燃料等から発生するCOやHC等の還元性ガスにより炉内の雰囲気を還元雰囲気として還元処理を施す方法、(iii)活性炭を充填したルツボ内に前記成形体を設置し、所定の温度で加熱して活性炭等から発生するCOやHC等の還元性ガスによりルツボ内の雰囲気を還元雰囲気として還元処理を施す方法等が挙げられる。これらの還元処理方法の中でも、簡便で特殊な反応炉を必要としないという観点から、前記(iii)の方法が好ましい。
また、このような還元雰囲気を達成するために用いられる還元性ガスとしては特に制限はなく、CO、HC、H、その他の炭化水素ガス等が挙げられる。このような還元性ガスの中でも、後処理が容易であるという観点から、CO、Hが好ましい。
〔酸化処理工程〕
本発明の酸素吸蔵材料の製造方法においては、このようにして得られる還元生成物に酸化処理を施すことが好ましい。これにより、還元処理中に失われた酸素が補填され、酸素吸蔵材料としての安定性が向上する。このような酸化処理の方法としては特に制限はなく、例えば、酸化雰囲気下(例えば、大気中)で前記還元生成物を加熱する方法が挙げられる。また、このような酸化処理における加熱温度としては特に制限はないが、300〜800℃が好ましい。また、加熱時間も特に制限はないが、0.5〜5時間が好ましい。
〔粉砕工程〕
本発明の酸素吸蔵材料の製造方法においては、このようにして得られる還元生成物(必要に応じて、酸化処理を施したもの)に、必要に応じて粉砕処理を施す。これにより、パイロクロア型CZからなるコアと該コアの表面に配置されているパイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を含有する酸素吸蔵材料粉末が得られる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した各複合酸化物粉末は以下の方法により調製した。
(調製例1)
硝酸セリウム六水和物347.4g(0.8mol)、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物221g(0.8mol)及び18%過酸化水素水199.5gをイオン交換水900mlに溶解した。この溶液と25%アンモニア水326.4gとを用いて、逆共沈法により水酸化物沈殿を得た。この沈殿物をビーカーに分取し、150℃で7時間加熱して水分を除去した後、大気中、400℃で5時間仮焼してセリア−ジルコニア固溶体(Ce/Zr=1/1(原子比)。以下、「CZ固溶体」という。)を得た。このCZ固溶体を3000kgf/cm(294.2MPa)で加圧成形して5cm×5cm×0.5cmの成形体を得た。この成形体を、活性炭を充填したルツボに入れ、大気中、1675℃で5時間焼成した。得られた焼成物を室温まで冷却した後、ルツボから取り出し、大気中、500℃で5時間還元焼成した後、粒径が75μm以下となるように粉砕してパイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア固溶体粉末(以下、「パイロクロア型CZ粉末」という。)を得た。
(調製例2)
調製例1と同様にしてCZ固溶体(Ce/Zr=1/1(原子比))を得た。このCZ固溶体を大気中、500℃で5時間焼成した後、粒径が75μm以下となるように粉砕して蛍石構造を有するCZ固溶体粉末(以下、「蛍石型CZ粉末」という。)を得た。
(調製例3)
硝酸ランタン346.4g(0.8mol)及びオキシ硝酸ジルコニウム二水和物221g(0.8mol)をイオン交換水900mlに溶解した。この溶液と逆25%アンモニア水326.4gとを用いて、共沈法により水酸化物沈殿を得た。この沈殿物をビーカーに分取し、150℃で7時間加熱して水分を除去した後、大気中、400℃で5時間焼成してジルコニア−ランタナ固溶体(Zr/La=1/1(原子比)。以下、「ZL固溶体」という。)を得た。このZL固溶体を粒径が75μm以下となるように粉砕して蛍石構造を有するジルコニア−ランタナ固溶体粉末(以下、「蛍石型ZL粉末」という。)を得た。
(調製例4)
調製例3と同様にしてZL固溶体(Zr/La=1/1(原子比))を得た。このZL固溶体を、大気中、1500℃で25時間焼成した後、粒径が75μm以下となるように粉砕してパイロクロア構造を有するZL固溶体(以下、「パイロクロア型ZL粉末」という。)を得た。
(実施例1)
調製例1で得られたパイロクロア型CZ粉末16.8g、水溶性バインダー樹脂(Polymer Inovation Inc.社製「WB4101」)6.6g及びイオン交換水6.5gを容量150mlのポリエチレン製容器に入れ、さらに10mmφのYSZボール160gを加え、ボールミルを用いて回転数200rpmで6時間混合した。得られたスラリーをポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム上にテープキャスティングして十分に乾燥した後、前記PETフィルムを剥離し、さらに、10mm×10mmのサイズにカットして、パイロクロア型CZグリーンシート(厚み約60μm)を得た。
また、調製例3で得られた蛍石型ZL粉末16.8g、水溶性バインダー樹脂(Polymer Inovation Inc.社製「WB4101」)6.6g及びイオン交換水6.5gを容量150mlのポリエチレン製容器に入れ、さらに10mmφのYSZボール160gを加え、ボールミルを用いて回転数200rpmで6時間混合した。得られたスラリーをポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム上にテープキャスティングして十分に乾燥した後、前記PETフィルムを剥離し、さらに、10mm×10mmのサイズにカットして、蛍石型ZLグリーンシート(厚み約60μm)を得た。
このようにして作製したパイロクロア型CZグリーンシート7枚と蛍石型ZLグリーンシート7枚とを交互に積層して14層の積層体を作製した。この積層体を、冷間等方圧加圧装置(CIP、株式会社日機装製「CK4−22−60」)を用いて、3t(29.4kN)で加圧成形した。得られた成形体を炭素炉中、1600℃で5時間還元し、さらに、得られた還元生成物を大気中、500℃5時間焼成した後、粒径が75μm以下となるように粉砕し、酸素貯蔵材料粉末(CZ:ZL=1:1)を得た。
(比較例1)
パイロクロア型CZ粉末の代わりに調製例2で得られた蛍石型CZ粉末16.8gを用いた以外は実施例1と同様にして、蛍石型CZグリーンシート(10mm×10mm×厚み約60μm)を得た。
また、得られる酸素貯蔵材料粉末中のCZとZLの質量比が9:1となるように、調製例3で得られた蛍石型ZL粉末の量を1.86gに変更した以外は実施例1と同様にして、蛍石型ZLグリーンシート(10mm×10mm×厚み約60μm)を得た。
グリーンシートとして、これらの蛍石型CZグリーンシート及び蛍石型ZLグリーンシートを用いた以外は実施例1と同様にして酸素貯蔵材料粉末(CZ:ZL=9:1)を得た。
(比較例2)
蛍石型ZL粉末の代わりに調製例4で得られたパイロクロア型ZL粉末1.86gを用いた以外は実施例1と同様にして、パイロクロア型ZLグリーンシート(10mm×10mm×厚み約60μm)を得た。
蛍石型ZLグリーンシートの代わりに、このパイロクロア型ZLグリーンシートを用いた以外は比較例1と同様にして酸素貯蔵材料粉末(CZ:ZL=9:1)を得た。
(比較例3)
調製例1で得られたパイロクロア型CZ粉末をそのまま酸素貯蔵材料粉末として使用した。
(比較例4)
調製例1で得られたパイロクロア型CZ粉末を、ボールミルを用いて平均粒径が1μmとなるまで粉砕した。得られる酸素貯蔵材料粉末中のCZとZLの質量比が1:1となるように、得られたパイロクロア型CZ粉末(1μm−CZ粉末)29.2g、硝酸ランタン43.3g及びオキシ硝酸ジルコニウム二水和物68.4gをイオン交換水500mlに溶解した。この溶液と25%アンモニア水300gとを用いて、共沈法により前記1μm−CZ粉末上に水酸化物が形成された沈殿物を得た。この沈殿物をろ過により回収し、乾燥炉中、150℃で7時間加熱して水分を除去した後、電気炉中、400℃で5時間仮焼し、さらに850℃で5時間焼成して、蛍石型ジルコニア−ランタナ担持パイロクロア型CZ粉末(以下、「蛍石型ZL/パイロクロア型CZ粉末」という。)を得た。この蛍石型ZL/パイロクロア型CZ粉末を3000kgf/cm(294.2MPa)で加圧成形し、得られた成形体を、活性炭を充填した黒鉛ルツボに入れ、アルゴン雰囲気下、1300℃で5時間加熱して還元させた。得られた還元生成物を電気炉中、500℃で5時間焼成して酸化させ、パイロクロア型ジルコニア−ランタナ修飾パイロクロア型CZ粉末(以下、「パイロクロア型ZL/CZ粉末」という。)からなる酸素貯蔵材料粉末を得た。
<耐久試験>
得られた酸素貯蔵材料粉末を大気中、1100℃で5時間加熱した。
<SEM−EDX分光分析>
耐久試験後の酸素貯蔵材料粉末について、エネルギー分散型X線(EDX)分析装置を備える走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてSEM−EDX分光分析を行なった。図2〜図3には、実施例1及び比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験後のEDXマッピング像を示す。また、図4には、比較例4で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験後の(a)反射電子像(加速電圧5kV)、(b)LaのEDXマッピング像、(c)CeのEDXマッピング像、及び(d)ZrのEDXマッピング像を示す。
図2に示したように、実施例1で得られた耐久試験後の酸素貯蔵材料粉末においては、パイロクロア型CZグリーンシートに由来する部分と蛍石型ZLグリーンシートに由来する部分とが隣接していること、並びに、前記パイロクロア型CZグリーンシートに由来する部分には、CZからなるコアとZLからなるシェルとを備えるコアシェル粒子(ZL/CZコアシェル粒子)からなる層が形成されていることがわかった。なお、酸素貯蔵材料粉末中のZL/CZコアシェル粒子の割合は50質量%以上であった。また、図2に示したEDXマッピング像において無作為に抽出した50個のZL/CZコアシェル粒子について、コアの粒子径及びシェルの厚みを測定し、コアの平均粒子径及びシェルの平均厚みを算出した。それらの結果を表1に示す。
一方、図3に示したように、比較例1で得られた耐久試験後の酸素貯蔵材料粉末においては、蛍石型CZグリーンシートに由来する部分にCZ層、蛍石型ZLグリーンシートに由来する部分にZL層が個々に存在し、さらに、これらの層の間には、CZとZLとが反応して形成されたセリア−ジルコニア−ランタナ(CZL)からなる中間層が存在すること、並びに、ZL/CZコアシェル粒子は存在しないことがわかった。
また、図4に示したように、比較例4で得られた耐久試験後の酸素貯蔵材料粉末は、CZとZLとが固相反応して形成されたCZL粒子であることがわかった。
<X線回折測定>
耐久試験前後の酸素貯蔵材料粉末のX線回折パターンを、X線回折装置(株式会社リガク製「RINT−Ultima」)を用い、CuKαをX線源として測定した。図5には、実施例1及び比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末の耐久試験前後のX線回折パターンを示す。
図5に示したように、耐久試験前の酸素貯蔵材料粉末については、実施例1及び比較例1のいずれにおいても、パイロクロア型CZ(CeZr)に由来する回折ピーク及びパイロクロア型ZL(LaZr)に由来する回折ピークが観測された。
また、比較例2においても同様に、耐久試験前の酸素貯蔵材料粉末については、パイロクロア型CZ(CeZr)に由来する回折ピーク及びパイロクロア型ZL(LaZr)に由来する回折ピークが観測された。
さらに、図5に示したように、実施例1で得られた酸素貯蔵材料粉末については、耐久試験後においても、パイロクロア型CZ(CeZr)に由来する回折ピーク及びパイロクロア型ZL(LaZr)に由来する回折ピークが観測されたが、比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末については、耐久試験後において、パイロクロア型CZ(CeZr)に由来する回折ピークが観測されなかった。これは、実施例1で得られた酸素貯蔵材料粉末においては、パイロクロア型CZからなるコアの周囲に、より耐熱性の高いパイロクロア型ZLからなるシェルが存在しているため、耐熱性が向上したのに対して、比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末においては、パイロクロア型CZからなるコアとパイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル構造が形成されていないため、耐熱性が向上せず、耐久試験によってパイロクロア型CZが蛍石型CZに相変態したことによるものと考えられる。
また、比較例2で得られた酸素貯蔵材料粉末についても比較例1と同様に、耐久試験後において、パイロクロア型CZ(CeZr)に由来する回折ピークが観測されなかった。このことから、比較例2で得られた酸素貯蔵材料粉末においても、パイロクロア型CZからなるコアとパイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル構造が形成されていないため、耐熱性が向上せず、耐久試験によってパイロクロア型CZが蛍石型CZに相変態したと考えられる。
以上の結果から、実施例1で得られた酸素貯蔵材料粉末は、パイロクロア型CZからなるコアとパイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるパイロクロア型ZL/CZコアシェル粒子を50質量%以上含有し、シェルの平均厚み及びコアの平均粒子径が所定の範囲にあるものであることが確認された。さらに、前記パイロクロア型CZは、高温で加熱しても、その構造が維持されていることが確認された。
一方、比較例1で得られた酸素貯蔵材料粉末は、パイロクロア型CZ層とパイロクロア型ZL層とCZL中間層とを備え、パイロクロア型ZL/CZコアシェル粒子を含有しないものであることが確認された。また、前記パイロクロア型CZ層は、高温での加熱により、蛍石型CZ層に相変態することが確認された。
また、比較例2で得られた酸素貯蔵材料粉末は、比較例1と同様に、蛍石型CZグリーンシートに由来する部分にパイロクロア型CZ層、蛍石型ZLグリーンシートに由来する部分にパイロクロア型ZL層が個々に存在し、さらに、これらの層の間に、CZとZLとが反応して形成されたセリア−ジルコニア−ランタナ(CZL)からなる中間層が存在し、ZL/CZコアシェル粒子は存在しないと考えられる。また、前記パイロクロア型CZ層は、高温での加熱により、蛍石型CZ層に相変態すると考えられる。
さらに、比較例4で得られた酸素貯蔵材料粉末は、パイロクロア型CZ粉末の表面の少なくとも一部がパイロクロア型ZLで覆われたものであったが、高温での加熱により、CZL粒子に変化することが確認された。
<水素−昇温還元試験(H−TPR試験)>
実施例及び比較例で得られた耐久試験後の酸素貯蔵材料粉末について、水素−昇温還元試験(H−TPR試験)を行なった。すなわち、耐久試験後の酸素貯蔵材料粉末0.4gを石英反応管に充填し、これを昇温脱離測定装置(ヘンミ計算尺株式会社製「TP5000」))に装着し、O(20容量%)/Ar(残部)からなるガスを60ml/分で供給しながら、図6に示す温度プロファイルで前処理を行なった後、H(4容量%)/Ar(残部)からなるガスを60ml/分で供給しながら、図6に示す温度プロファイルで酸素貯蔵材料粉末を昇温し、出ガス中のH濃度を質量分析計で測定した。図7には、酸素貯蔵材料粉末の温度と水素消費量との関係を示す。なお、図7においては、水素消費量が多いほど、Ce4+→Ce3+への還元が進行し、酸素供給性能(特に、酸素供給速度)に優れていることを示している。
図7に示したように、実施例1で得られた酸素貯蔵材料粉末は、約200℃からCeの還元が始まっており、比較例1〜4で得られた酸素貯蔵材料粉末に比べて、200℃以上低い温度からCeの還元が開始され、高い酸素供給性能を有するものであることがわかった。これは、上述したように、実施例1で得られた酸素貯蔵材料粉末は、耐熱性が向上したため、耐久試験後においても、酸素貯蔵性能(OSC)に寄与するパイロクロア型CZが維持されているのに対して、比較例1〜4で得られた酸素貯蔵材料粉末は、パイロクロア型CZからなるコアとパイロクロア型ZLからなるシェルとを備えるコアシェル構造が形成されていないため、耐熱性が向上せず、耐久試験により、酸素貯蔵能(OSC)に寄与するパイロクロア型CZが少なくなったことによるものと考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、高温に曝されても優れた酸素供給性能を有する酸素貯蔵材料を得ることが可能となる。したがって、本発明の酸素貯蔵材料は、高温に曝されても優れた酸素供給性能(特に、低温での酸素供給性能)を発現できるため、排ガス浄化用触媒の担体や助触媒、触媒雰囲気調整材等として有用である。

Claims (4)

  1. パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を50質量%以上含有し、
    大気中、1100℃で5時間加熱した後に測定される、前記シェルの平均厚みが10〜500nmであり、前記コアの平均粒子径が1〜10μmである、ことを特徴とする酸素貯蔵材料。
  2. パイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物粒子を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の酸素貯蔵材料。
  3. 前記パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物の含有量が50〜95質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素貯蔵材料。
  4. パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含有するシートと、蛍石構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物粒子を含有するシートとを交互に積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体に加圧成形を施して成形体を得る工程と、
    前記成形体に900〜1600℃の温度で還元処理を施して、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア複合酸化物からなるコアと、該コアの表面に配置されているパイロクロア構造を有するジルコニア−ランタナ複合酸化物からなるシェルとを備えるコアシェル型複合酸化物粒子を含有する酸素貯蔵材料を得る工程と、
    を含むことを特徴とする酸素貯蔵材料の製造方法。
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