JP2016170976A - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料極と、前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質上に形成され、M2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、前記中間層上に形成された空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕
【選択図】なし
Description
例えば、イットリウム、サマリウム、ガドリニウムから選択される少なくとも1種の酸化物でドープされた酸化セリウムである金属酸化物粉末と溶剤とを含んでなる燃料電池セル用電極ペーストを用いて形成された中間層が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、SrZrO3の高抵抗層が形成されることを抑制するために中間層(GDC)を設けた場合、中間層と固体酸化物電解質(YSZ)との間で、相互拡散により高抵抗の固溶層((Zr、Ce)O2)が生じ、電圧ロスが発生するという問題がある。
<1> 燃料極と、前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質上に形成され、M2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、前記中間層上に形成された空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕
<2> 前記Mは、イットリウム、イッテルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム及びランタンからなる群より選択される少なくとも一つの元素である<1>に記載の固体酸化物形燃料電池。
<3> 前記混合体中のM2Ce2O7の体積分率は、混合体中のM2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との合計体積100%に対して3%以上69%以下である<1>又は<2>に記載の固体酸化物形燃料電池。
<4> 燃料極と、前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質上に形成され、M2O3と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、前記中間層上に形成された空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕
<5> 前記Mは、イットリウム、イッテルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム及びランタンからなる群より選択される少なくとも一つの元素である<4>に記載の固体酸化物形燃料電池。
<6> 前記混合体中のM2O3の体積分率は、混合体中のM2O3と、M及びCeO2の固溶体との合計体積100%に対して3%以上69%以下である<4>又は<5>に記載の固体酸化物形燃料電池。
<7> 前記Mは、ガドリニウムよりも小さいイオン半径を有する元素である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
<8> 前記Mは、イットリウム、イッテルビウム及びジスプロシウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池。
〔固体酸化物形燃料電池〕
本発明の第一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池は、燃料極と、前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質上に形成され、M2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、前記中間層上に形成された空気極と、を備える。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、後述する固体酸化物電解質上に形成され、M2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層を備える。ここで、Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。M2Ce2O7はパイロクロア型構造をとる固体酸化物であり、M及びCeO2の固溶体は蛍石型構造をとる固体酸化物であるため、中間層は結晶構造が異なる2つの固体酸化物の混合体となっている。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、燃料極を備える。燃料極は、酸素イオンと改質ガスの燃料とが反応して電子を放出する電極である。燃料極は、例えば、多孔質で、イオン伝導性が高く、かつ、高温において固体酸化物電解質等と固体間反応を起こしにくいものであることが好ましい。燃料極は、例えば、Ni、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)・ニッケル金属の多孔質サーメット、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)・ニッケル金属の多孔質サーメット等により構成されることが好ましい。燃料極は、上記材料の2種以上を混合した混合材料により構成されていてもよい。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、中間層上に形成された空気極を備える。空気極は、酸化剤ガスの酸素が電子を取り込むことで酸素イオンが形成される電極である。空気極は、例えば、多孔質で、電子伝導率が高いものであることが好ましい。空気極は、例えば、PrCoO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物、LaMnO3系酸化物等により構成されることが好ましい。LaMnO3系酸化物の具体例としては、例えば、La0.8Sr0.2MnO3(LSM)、La0.6Ca0.4MnO3(LCM)等が挙げられる。LaCoO3系酸化物としては、La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.2O3などのLSCFが挙げられる。空気極は、上記材料の2種以上を混合した混合材料で構成されてもよい。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質を備える。固体酸化物電解質は、例えば、酸化物イオン電導性の固体酸化物の緻密体で構成されている。固体酸化物としては、例えば、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア等のジルコニウム酸化物が挙げられる。安定化ジルコニアの具体例としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等が挙げられる。部分安定化ジルコニアの具体例としては、イットリア部分安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア部分安定化ジルコニア(ScSZ)等が挙げられる。また、固体酸化物としては、例えば、Sm、Gd等がドープされたセリア系酸化物;LaGaO3を母体とし、LaとGaとの一部をそれぞれSr及びMgで置換したLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O(3−δ)等のペロブスカイト型酸化物;なども挙げられる。例えば、固体酸化物電解質に含まれるジルコニウムが、中間層との界面付近で相互拡散領域(相互拡散層)を形成する。
〔固体酸化物形燃料電池〕
本発明の他の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池は、燃料極と、前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、前記固体酸化物電解質上に形成され、M2O3と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、前記中間層上に形成された空気極と、を備える。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕
なお、本形態に係る固体酸化物形燃料電池は、前述の第一実施形態の中間層を、M2O3と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層に変更したこと以外は、第一実施形態と同様である。そのため、第一実施形態と共通する事項については、その説明を省略する。例えば、中間層の形成方法、好ましい厚さ等については、第一実施形態と共通するため、
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、後述する固体酸化物電解質上に形成され、M2O3と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層を備える。ここで、Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。なお、Mとして好ましい元素は、第一実施形態に記載の元素と同様である。
以下、実験例にて、(1)中間層を形成する各固体酸化物と相互拡散層中のジルコニウム成分の量との関係、(2)Mのイオン半径と中間層内でのジルコニウムの有効拡散距離との関係、(3)温度をパラメータとしたときのYSZ及びGDCの比率と導電率との関係、(4)相互拡散層の厚さと電圧ロスとの関係、及び(5)ガドリニウムと、イットリウム又はイッテルビウムとの導電率の差について検討した。
固体酸化物電解質(YSZ)と中間層とが接触するように固体酸化物電解質及び中間層を形成し、中間層内に形成される相互拡散層に含まれるジルコニウム成分の量と、中間層を形成する固体酸化物との関係について検討した。具体的には、SIMS(二次イオン質量分析法)により、中間層(LDC:ランタンドープセリア、YDC:イットリウムドープセリア、YbDC:イッテルビウムドープセリア)中に含まれるジルコニウム成分の量を分析した。図2は、中間層表面からの深さとジルコニウムの濃度との関係を示すグラフである。
次に、中間層を形成するMDC(Mをドープしたセリア)におけるM(Yb、Y、La、Gd)のイオン半径と、中間層内でのジルコニウムの有効拡散距離との関係について検討した。具体的には、前述のペレットについて、SIMSでの測定時にジルコニウムの強度が1/eになるときの中間層表面からの距離を有効拡散距離とし、その有効拡散距離を相互拡散層の厚さとした。そして、有効拡散距離とMDCにおけるM(Yb、Y、La、Gd)のイオン半径との関係を調べた。図3は、M(Yb、Y、La、Gd)のイオン半径と中間層(MDC)内でのジルコニウムの有効拡散距離との関係を示すグラフである。
次に、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)及びGDC(ガドリニウムドープセリア)の比率と、YSZ及びGDCが混合した層の導電率との関係について検討した。図4は、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)及びGDC(ガドリニウムドープセリア)のモル比(混合比率)と、導電率との関係を示すグラフである。図4では、GDCxYSZ1−xについて、xを0から1まで変化させた場合の導電率の推移を表している。ここで、YSZとしては、ジルコニアに酸化イットリウムを8%添加してなる酸化物を用い、GDCとしては、(Ce0.8Gd0.2)O1.9を用いた。
次に、GDCとYSZとの混合比率が1:1であるGDC(0.5)YSZ(0.5)及びGDCとYSZとの混合比率が9:1であるGDC(0.9)YSZ(0.1)について、相互拡散層の厚さと電圧ロスとの関係について検討した。図5は、固溶割合が異なる場合の、相互拡散層の厚さと電圧ロスとの関係を示すグラフである。なお、相互拡散層の厚さと相互拡散層の抵抗とは比例関係にあり、相互拡散層の抵抗と電圧ロスとの間には線形性があるため、相互拡散層の厚さと電圧ロスとの間にも線形性がある。
次に、ガドリニウムと、イットリウム又はイッテルビウムとの導電率の差について、図6及び7を参照して検討する。図6は、Mのイオン半径と中間層材料の導電率との関係を示すグラフであり、詳細には、800℃での(CeO2)0.8(MO1.5)0.2の導電率を示すグラフである。図7は、異なる中間層材料を用いた場合の、中間層の厚さと電圧ロスとの関係を示すグラフである。なお、図6において、MがY、Yb、La又はGdの場合の中間層材料の導電率は実験値であり、それ以外は文献値である。図7において、左側の縦軸は中間層材料をそれぞれGDC、YDCとし電流密度を0.5A/cm2とした場合に計算される電圧損失を示し、右側の縦軸は、その差分から求められる電圧損失差を計算したものである。
2 中間層
3 固体酸化物電解質
4 燃料極
5 相互拡散層
10 固体酸化物形燃料電池
Claims (8)
- 燃料極と、
前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、
前記固体酸化物電解質上に形成され、M2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、
前記中間層上に形成された空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕 - 前記Mは、イットリウム、イッテルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム及びランタンからなる群より選択される少なくとも一つの元素である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記混合体中のM2Ce2O7の体積分率は、混合体中のM2Ce2O7と、M及びCeO2の固溶体との合計体積100%に対して3%以上69%以下である請求項1又は請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 燃料極と、
前記燃料極の一方の面の上に形成された固体酸化物電解質と、
前記固体酸化物電解質上に形成され、M2O3と、M及びCeO2の固溶体との混合体を含む中間層と、
前記中間層上に形成された空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池。
〔Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一つの元素を表す。〕 - 前記Mは、イットリウム、イッテルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム及びランタンからなる群より選択される少なくとも一つの元素である請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記混合体中のM2O3の体積分率は、混合体中のM2O3と、M及びCeO2の固溶体との合計体積100%に対して3%以上69%以下である請求項4又は請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記Mは、ガドリニウムよりも小さいイオン半径を有する元素である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記Mは、イットリウム、イッテルビウム及びジスプロシウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
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